色のついた水が出たら、最初にすること
蛇口から色のついた水が出たら、最初にするのは、その水を飲む水や調理、服薬に使うのをやめることです。介護施設では、入居者の方の飲む水やお茶、薬を飲むときの水、調理の水に、蛇口の水を使っています。色の原因が分かるまでは、備蓄のペットボトルの水などに切り替え、入居者の方の飲む水が足りなくならないよう、量も確かめておきます。
- 使うのをやめる色のついた水は、飲む水、服薬、調理に使いません。厨房と各階の職員に伝え、ペットボトルなど備蓄の水に切り替えます。
- 流して確かめるしばらく水を流し、色が消えるかを、透明なコップに取って確かめます。
- 範囲を確かめるほかの蛇口でも出るか、水か湯か、朝いちばんだけか、ずっと出るかを確かめます。
- 記録と写真を残す時刻、場所、色、流して消えるまでのおよその時間を記録し、コップの水を写真に撮ります。
- 業者に調べてもらう流しても消えない、毎日くり返す、建物全体で出る、といったときは、設備業者に原因を調べてもらいます。
図1 色のついた水が出たときの手順。最初は、使うのをやめることです。
飲む水を備蓄に切り替えるときは、厨房と各階の職員、給食の委託先に同じ知らせを届けます。お茶やとろみ剤を溶かす水、薬を飲むときの水、口の中をきれいにする水も、蛇口の水を使っていることが多いため、うっかり使わないよう、蛇口に「飲用不可」の表示を貼ることもあります。
近くで水道の工事をしている、断水のあとに水が戻った、といったときは、一時的に水が濁ることがあります。水道局のホームページや、地域の工事のお知らせも確かめてください。地域の工事や断水が原因なら、しばらく流すと元に戻ることがほとんどです(介護施設が断水したとき、水を取り出す方法があります)。
色で分かる、原因の見当
水の色は、原因の見当をつける手がかりになります。色ごとに、考えられることと、すぐにすることを表にしました。どの色でも、気になるときは飲まずに、業者や水道局に相談してください。
水の色と、考えられること| 色・様子 | 考えられること | すること |
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| 白く濁る(細かい泡) | 水に溶けていた空気が出てきた | コップに置くと下から透明になれば、多くは心配ない |
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| 赤・茶色 | 鉄の管や継ぎ目のさび | 流して消えるかを見る。くり返すなら管を調べる |
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| 黒い粒・黒っぽい | 古いパッキンのかけら、管の中の付着物 | 出る蛇口を確かめ、パッキンや管を調べる |
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| 青っぽい(浴槽や洗面器に青い跡) | 銅の管から溶け出た成分(主にお湯) | 給湯の管と給湯の温度を調べる |
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| においがする | 受水槽や管の汚れ、塩素のにおい | 塩素のにおい以外は、使うのをやめて相談する |
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図2 水の色で分かる原因の見当。白い濁りは、置いておくと下から透明になります。
色だけでなく、味やにおいの変化にも気をつけます。鉄のような味がする、かびのようなにおいがする、といったときも、使うのをやめて相談します。水道水には消毒のための塩素が含まれているため、塩素のにおいがするのはふつうのことです。
白い濁りかどうかは、透明なコップに水を入れて、しばらく置くと分かります。細かい泡が上に抜けて、下から透明になっていけば、空気が溶け出ているだけです。水圧が高い場所や、寒い時期に起きやすく、飲んでも差し支えないとされています。ただし、置いても濁りが消えないときは、空気ではありません。
どこで色がつくかを、見分ける
赤い水の原因は、大きく2つの場所に分かれます。建物の外の水道管や、受水槽の中で色がつく場合と、建物の中の給水管で色がつく場合です。どこで色がつくかで、連絡先と直し方が変わります。
図3 赤い水の原因の場所を見分ける考え方。
朝いちばんだけ赤く、しばらく流すと透明になるときは、夜のあいだ管の中に止まっていた水に、管のさびが溶け出していることが多くあります。使う人の少ない居室や、空室、夜間の水まわりで起きやすい形です。連休のあとや、空室だった居室に入居者の方が入る前にも、水を流して色を確かめておくと安心です。使っている間はきれいでも、管の内側でさびが進んでいるサインなので、そのままにせず、管の調べに進みます。
受水槽のある施設では、受水槽の清掃や検査がきちんとされているかも確かめます。有効容量の合計が10立方メートルを超える受水槽は、簡易専用水道として、1年以内ごとの清掃と検査が水道法で義務になっています。管理の業者に受水槽の点検口から水の色を見せてもらうと、受水槽の側か、建物の中の管の側かの見当がつきます(受水槽は有効容量10㎥を超えると、清掃と検査が1年以内ごとの義務です)。
給水管の老朽化は、管の材料でサインが違う
建物の中の給水管は、建てた時期によって使われている材料が違います。材料ごとに、傷み方と、出てくるサインが違います。自分の施設の管の材料は、竣工図や、改修のときの図面、設備の業者の点検の記録で分かることがあります。
給水管の材料と、傷み方のサイン| 管の材料 | 使われた時期の目安 | 傷み方とサイン |
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| 亜鉛めっき鋼管(鉄の管) | 古い建物 | 内側からさびる。赤い水、水の出が弱くなる、漏れ |
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| 塩化ビニルで内側を守った鋼管 | その後の建物で多い | 管の内側は守られているが、継ぎ目がさびやすい。継ぎ目からの赤い水や漏れ |
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| 樹脂の管(塩ビ・ポリエチレンなど) | 比較的新しい建物 | さびない。継ぎ目のゆるみや、熱や紫外線による傷み |
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| 銅の管 | お湯の管に多い | 小さな穴(ピンホール)からの漏れ、青い跡 |
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| ステンレスの管 | 比較的新しい建物 | さびにくい。継ぎ目の不具合に注意 |
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管の材料が分からないときは、蛇口の下や、パイプスペース、機械室で見える管の様子を写真に撮り、業者に見てもらうと見当がつきます。古い建物では、建てたときの管と、改修で替えた管が混ざっていることもあるため、系統ごとに確かめます。
水の出が弱くなった、という変化も、管の内側にさびやこぶがたまって通り道が狭くなっているサインのことがあります。壁や天井の中から水が漏れて、しみが出てきたときは、管に小さな穴が開いていることもあります(老人ホームで水漏れ。修理より先にすることがあります)。お湯の管は、温度が高いぶん、水の管より早く傷みやすい傾向があります。水とお湯の管は、分けて考えます。
給水管の、調べ方
給水管がどのくらい傷んでいるかは、見た目だけでは分かりません。設備の業者や、管の調査を専門にしている会社に調べてもらいます。調べ方にはいくつかあり、建物の状態と予算に合わせて組み合わせます。
給水管の調べ方| 調べ方 | 分かること | 気をつけること |
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| 水質の検査 | 水に含まれる鉄などの量 | 採る時間(朝いちばんか、流したあとか)で値が変わる |
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| 管の一部を切り取って見る | 管の内側のさびや、残っている厚み | 切り取ったところを直す工事が要る |
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| 管の中にカメラを入れる | 内側のさびやこぶの様子 | 入れられる場所に限りがある |
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| 外から機械で測る | 管の厚みの減り方 | 測れる場所と精度に限りがある |
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図4 給水管を調べて直すまでの流れ。
調べる場所は、傷みが出やすい場所から選びます。建物の中で最も古い系統、使う人の少ない居室の系統、赤い水がよく出る蛇口の近く、などです。調査のために水を止める時間も短くて済むよう、業者と日程を相談します。
調査の結果は、管が使える残りの年数の見当とあわせて報告されることが多くあります。報告書は、長期修繕計画に給水管の工事を入れるときの根拠にもなります。設備の更新の時期の考え方は、設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにまとめています。
直し方は、更生と更新の2つ
給水管の直し方は、大きく2つです。管の内側のさびを取り除き、内側を樹脂などで覆って長持ちさせる更生と、管そのものを新しいものに取り替える更新です。どちらがよいかは、管の傷み方、建物の残りの使用年数、工事の間の水の止め方、費用で決めます。
図5 給水管の更生と更新の違い。
更生の工事は、管の中に研磨材を流してさびを落とし、内側に樹脂を塗って覆う方法が一般的です。工事の前に、管の傷みが更生で持つ程度かを調べ、穴が開きかけている管や、継ぎ目の傷みがひどい管は、その部分だけ更新することもあります。業者によって工法と保証の年数が違うため、見積で確かめます。
建て替えや大規模な改修が近いなら、更生で数年を持たせる考え方もあります。反対に、建物をまだ長く使うなら、更新で根本から直すほうが、長い目で見て費用が少なく済むこともあります。どちらの見積も取り、管が持つ年数あたりの費用で比べると判断しやすくなります。
工事の間の水を、どう確保するか
給水管の工事のあいだは、その系統の水を止める時間が出ます。介護施設は24時間、水を使っているため、水を止める時間と範囲を、業者と細かく決めておくことが大切です。
工事の間の水の段取り| 決めること | 中身 |
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| 止める時間と範囲 | どの系統を、何時から何時まで止めるか |
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| 仮の配管 | 工事の間だけ、別の管で水を送れるか |
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| くみ置き | 止める前に、飲む水と調理の水をくみ置く |
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| 入浴とトイレ | 止める日の入浴を替える。トイレを流す水を用意する |
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| 知らせ | 入居者の方、ご家族、職員、委託先への前もっての知らせ |
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仮の配管は、工事中の系統を飛ばして水を送るために、一時的に設ける管です。仮の配管を使えば、水を止める時間を短くできますが、その分の費用がかかります。止める時間を短くすることを優先するか、費用を優先するかを、施設の状況で決めます。
工事の段取りは、居ながらの大規模な修繕と同じ考え方で組みます。工事の範囲を区切り、入居者の方の生活の予定と重ねて工程表を作ります(居ながら工事の工程表は、工事と暮らしの予定を重ねて作ります)。止める時間は、入浴や食事の時間を外し、入居者の方が日中に過ごす時間帯に合わせてもらうと、影響を小さくできます。
モデルケース:朝だけ赤い水が出る居室があった施設
モデルケース:築35年・定員70名の特別養護老人ホーム(受水槽方式)
使う人の少ない居室で、朝だけ赤い水が出た
変わったこと(結果)
職員が、朝いちばんに居室の洗面台の蛇口をひねると赤い水が出て、しばらく流すと透明になることに気づきました。ほかの居室でも同じことが起きていました。施設は、居室の洗面台の水を飲む水に使わないよう職員に伝え、設備業者に調べてもらいました。管の一部を切り取って見たところ、鉄の管の内側にさびがたまっていました。施設は、建物をあと15年ほど使う計画だったため、給水管の更新を長期修繕計画に入れ、工事までの間は、朝いちばんに各居室の水を流す手順を決めました。
背景と、困っていたこと
この施設では、赤い水が出ることに以前から気づいていた職員がいましたが、「流せば消えるから」と、誰にも報告されていませんでした。給水管の材料や年数も、誰も把握していませんでした。
その後に決めたこと
施設は、水の色やにおいの変化に気づいたら書き込む紙を各階に置き、給水管の材料と年数を機器台帳に書き加えました。