シーリングの劣化は、4つの段階で進みます
シーリングは、外壁のパネルの継ぎ目や窓まわりのすき間を埋める、ゴムのような材料です。雨水が建物の中に入るのを防ぎ、目地の伸び縮みを受け止めています。傷みは一度に起きるのではなく、表面から始まり、4つの段階で奥へ進みます。
外壁のシーリングの劣化の4つの段階| 段階 | 見た目 | 起きていること | 雨水の入りやすさ |
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| 1 表面の変化 | 汚れ、色あせ、表面が粉っぽい | 日差しで、表面だけが傷み始めた | まだ入らない |
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| 2 ひび・しわ | 表面に細かいひびやしわ。押すと硬い | 材料が硬くなり、伸び縮みしにくくなった | ひびが深いと入り始める |
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| 3 はがれ | 縁が壁やサッシから離れ、すき間ができる | 壁にくっつく力が弱まった | 入りやすい |
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| 4 切れ・抜け落ち | 真ん中で切れて口が開く、材料がなくなる | 目地の動きに耐えられなくなった | そのまま入る |
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図1 シーリングは4つの段階で傷み、3段階目から雨水が入りやすくなる。
建築研究所の研究の資料でも、シーリングの傷みは2つに分けて整理されています。見た目に関わるもの(ひび割れ、しわ、色の変化など)と、防水の働きに関わるもの(壁からのはがれ、材料の切れ)です。1・2段階は見た目の傷み、3・4段階は防水の働きが落ちた状態と考えると、急ぎ具合を判断しやすくなります。
同じ建物でも、面によって段階は違います。日差しを長く受ける南と西の面は傷みが早く、北の面は遅い傾向があります。北の面は1段階なのに、西の面はもう3段階、ということもよくあります。劣化は、建物全体ではなく、面ごと・場所ごとに見ます。
段階で、直し方と急ぎ具合が変わります
どの段階かが分かると、直し方と、どれくらい急ぐかが決まります。1・2段階なら、外壁の塗装の時期に合わせて打ち替えれば間に合うことが多く、3・4段階は雨水が入る前に直します。
劣化の段階と、直し方・急ぎ具合の目安| 段階 | 直し方 | 急ぎ具合 |
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| 1 表面の変化 | 直さずに見守る。次の見回りで写真を比べる | 急がない |
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| 2 ひび・しわ | 次の外壁塗装に合わせて打ち替える | 数年のうちの計画に入れる |
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| 3 はがれ | 打ち替え。範囲が狭ければ、その場所だけ先に直す | 早めに。雨の多い季節の前に |
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| 4 切れ・抜け落ち | 打ち替え。直すまでの間は、業者に応急の手当てを頼む | すぐに。室内の染みも見る |
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図2 3・4段階があれば急ぎ、1・2段階なら塗装の時期に合わせる。
3・4段階のまま雨の季節を越すと、すき間から入った雨水が、外壁の裏や下地に回ります。鉄骨のさびや、断熱材の湿り、室内の壁紙の染みやカビにつながることがあります。直すまでの間は、業者に防水のテープを貼ってもらうなどの応急の手当てを頼めます。職員がはしごに上って手当てをすることはしません。
すでに室内に染みが出ているときは、シーリングだけが原因とは限りません。屋上や窓のサッシ、外壁のひびから入っていることもあります。雨漏りの原因の調べ方と、雨の日に残す記録は雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分ですにまとめています。
シーリングは、外壁のこの場所に使われています
シーリングが使われている場所は、建物の作りで変わります。鉄骨造の施設は、外壁のパネル(ALCと呼ばれる軽いコンクリートの板や、押出成形のセメント板)の継ぎ目に、長いシーリングがあります。木造や鉄骨造の小さな施設は、外壁の板(サイディング)の継ぎ目にあります。鉄筋コンクリート造の施設でも、窓まわりや、壁の打継ぎの目地に使われています。
外壁でシーリングが使われている主な場所| 場所 | 目地の動き | 傷みやすさの目安 |
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| 外壁のパネルや板の継ぎ目 | 大きい(パネルごと動く) | 傷みやすい。継ぎ目が長く、量も多い |
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| 窓・サッシのまわり | 中くらい(温度や開け閉めで動く) | 傷みやすい。雨水の入口になりやすい |
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| コンクリートの壁の打継ぎの目地 | 小さい | 比べると長持ち。塗装に隠れていることが多い |
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| タイル張りの伸び縮みを逃がす目地 | 中くらい | 傷むと、タイルの浮きにもつながる |
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| 笠木・水切り・手すりの根元 | 大きい(金属が伸び縮みする) | 日当たりが強く、傷みやすい |
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| 配管・ダクト・換気口のまわり | 小さい〜中くらい | 後から付けた所は、施工の出来がばらつきやすい |
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動きの大きい目地は、目地の底にはくっつけず、両側の壁の2面だけにくっつける作りにします。底にもくっつくと、目地が広がったときに材料が引っぱられ、早く切れてしまうからです。打ち替えのときは、目地の底にくっつかないための材料が入っているかも、見積で確かめます。
窓のガラスとサッシの間にも、シーリングが使われています。ガラスまわりは、サッシやガラスの業者が扱うことが多い場所です。ガラスが割れたときは、直す前の手当てが先です(窓が閉まらない・ガラスが割れた。転落と外へ出る心配を先に)。タイル張りの外壁で、タイルの浮きやはがれが見つかったときは、シーリングより先に、落下への備えが要ります(外壁がはがれて落ちてきた。まず、下を通る人を守ります)。
シーリングは、塗装より先に傷みます
外壁の塗装がまだきれいなのに、シーリングだけが傷んでいる、ということはよくあります。シーリングは、塗装よりも厳しい条件にさらされているからです。
図3 目地は毎日動き、日差しを受け続けるので、塗装より先に傷みやすい。
外壁のパネルや板は、昼に温まって伸び、夜に冷えて縮みます。その動きを毎日受け止めるのがシーリングです。年月とともに、柔らかさを保つ成分が抜けて硬くなり、動きについていけなくなると、ひびやはがれが出てきます。上から塗装で覆われていない目地は、日差しを直接受けるので、さらに早く傷みます。
国土交通省の長期修繕計画の様式の記載例(マンションを想定したもの)では、シーリングの打ち替えの周期の例を12〜15年としています。外壁の塗装の塗り替えも、同じく12〜15年です。介護施設でも、この年数を目安に考えます。ただ、日差しの強い面や、動きの大きいパネルの継ぎ目は、これより早く傷むことがあります。
職員が見られるサインと、見るときの決まり
シーリングの劣化は、職員でも見つけられます。ただし、見るのは安全な場所からだけです。はしごに上ったり、窓や屋上のふちから身を乗り出したりはしません。2階より上の目地は、地上からカメラの望遠で撮れば、段階の見当がつきます。
職員が見られる、シーリングの劣化のサイン| 見る場所 | サイン | 見方 |
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| 1階の目地・窓まわり | 色あせ、ひび、縁のすき間 | 近くで見て、指で軽く押して硬さを確かめる |
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| 2階以上の目地 | すき間の影、切れて口が開いた所 | 地上から、カメラの望遠で撮って拡大する |
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| 手すりのあるベランダ | 手すりの根元、サッシの下の角 | 身を乗り出さず、手の届く範囲だけ見る |
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| 室内の窓まわり | 窓枠の下や壁紙の染み、カビ | 雨の翌日に、気になる部屋を見て回る |
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| 目地にそった壁 | 目地にそって伸びる黒い汚れ | 材料の成分が塗装ににじんだ跡のことがある |
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写真は、毎年同じ季節に、同じ場所から撮ります。「南面・2階・左から3本目の目地」のように場所を書いておくと、次の年に比べられます。2、3年分の写真がそろえば、どの面がどれくらいの速さで傷んでいるかが分かり、打ち替えの時期を読みやすくなります。
建物の定期報告の調査を受けている施設は、その報告書に、外壁やサッシまわりの指摘が書かれていないかも見ます。定期報告の種類と、受け忘れやすい点は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
打ち替えと増し打ちは、ここが違います
シーリングの直し方には、打ち替えと増し打ちの2つがあります。打ち替えは、古い材料を取り除いて新しく詰め直す方法です。増し打ちは、古い材料を残したまま、上から新しい材料を重ねる方法です。費用も、持つ年数も違います。
打ち替えと増し打ちの違い| 比べること | 打ち替え | 増し打ち |
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| やり方 | 古い材料をカッターで取り除き、下塗りをして新しく詰める | 古い材料を残し、上から新しい材料を重ねる |
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| 厚み | 目地の深さに合わせて、決められた厚みを取れる | 上に足せる分しか取れず、薄くなりやすい |
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| 持つ年数 | 新しく作るので、材料のもともとの年数が見込める | 下の古い材料が傷むと、一緒に傷みやすい |
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| 費用と手間 | 取り除く手間と処分の分、高くなる | 取り除かない分、安く早く終わる |
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| 向いている所 | 外壁のパネルの継ぎ目など、ほとんどの目地 | 取り除くとサッシや防水の層を傷める所 |
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図4 外壁の目地は打ち替えが基本。増し打ちは、取り除くとほかを傷める所に限る。
増し打ちが向くのは、サッシのまわりのように、古い材料を取り除くとサッシの塗装や防水の層を傷めるおそれがある所です。その場合も、古い材料がまだしっかり壁に付いていて、上に十分な厚みを足せることが条件です。3・4段階まで傷んだ目地に増し打ちをしても、下からはがれて長く持ちません。
見積に「シーリング工事 一式」とだけ書かれていると、打ち替えなのか増し打ちなのか分かりません。安い見積が、実は増し打ちだった、ということもあります。場所ごとに、どちらの直し方かを書いてもらうと、見積を正しく比べられます。
シーリングの材料は、塗装するかどうかと場所で選びます
シーリングの材料には、いくつかの種類があります。どれを使うかは、上から塗装するかどうかと、使う場所で決まります。違う種類を選ぶと、塗料がのらなかったり、まわりが汚れたりします。
シーリングの材料の種類と、主な使い道| 材料の種類 | 主な使い道 | 上から塗装できるか | 気をつけること |
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| 変成シリコーン系 | 外壁のパネルの継ぎ目、窓まわり | できる | 外壁の目地で広く使われる |
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| ポリウレタン系 | コンクリートの壁の目地など、上から塗装する所 | できる(塗装が前提) | 日差しに弱く、むき出しには向かない |
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| シリコーン系 | ガラスのまわり、浴室などの水まわり | できない | 外壁の目地に使うと、まわりが汚れやすい |
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| ポリサルファイド系 | タイルや石張りの目地など | 塗料との相性を確かめる | 使う場所に合うかを業者に確かめる |
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塗装する目地には、成分が塗装ににじみにくい種類を選ぶと、目地にそった黒い汚れを防げます。以前の工事でシリコーン系が外壁の目地に使われていると、その上には塗料がのりません。塗装の前に、すべて取り除いて打ち替えることになるので、前回の工事でどの材料を使ったかを、記録で確かめておきます。
材料のもともとの持つ年数も、種類と製品で違います。打ち替えの見積では、材料の種類だけでなく、メーカーの仕様と、塗装する目地か、むき出しの目地かを書いてもらいます。むき出しの目地は、塗装で覆われた目地より早く傷むと考えて、次の点検の時期を決めます。
外壁の塗装と同時にするか、先にするかを決めます
シーリングの打ち替えは、外壁の塗装と同時にするのが一般的です。足場が1回で済み、塗装とシーリングの次の時期もそろうからです。ただ、3・4段階の面があるのに、塗装の予定がまだ数年先なら、シーリングだけを先に直すこともあります。
外壁の塗装との組み合わせ方| 組み合わせ方 | やり方 | 向いている場面 |
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| 先打ち(塗装と同時) | 打ち替えてから、上を塗装で覆う | 塗装できる材料の目地。塗装がシーリングを日差しから守る |
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| 後打ち(塗装と同時) | 塗装を終えてから打ち替える | 窓まわりなど、色のついた材料で仕上げたい所 |
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| シーリングだけ先に | 傷んだ面だけ打ち替え、塗装は予定どおり | 3・4段階の面があり、塗装までまだ数年ある |
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図5 先に打ち替える場合は、シーリングが硬まってから塗装に進む。
シーリングだけを先に直すときは、足場を組まずに、高所作業車やロープで降りる方法を使えることがあります。建物のまわりに車を止める広さがあるか、作業員が窓の外に来ることを入居者の方にどう伝えるかを、先に決めておきます。外壁の塗装の費用の目安と、塗料の種類ごとに年あたりで比べる方法は屋上防水と外壁塗装は、総額より年あたりの費用で比べますで書いています。
先にシーリングだけを打ち替えた場合も、数年後の塗装のときには、その目地を塗装で覆うか、そのまま残すかを決めます。塗装できる材料で打ち替えておくと、あとの塗装のときに選べる幅が広がります。
見積と頼み先で、確かめること
シーリングの工事は、シーリングの専門の業者、防水の業者、外壁の塗装の業者が行います。外壁の塗装と一緒なら、塗装の業者や建設会社がまとめて請け、シーリングの専門の業者が入ることが多くあります。1件の請負代金が500万円以上になるときは、建設業の許可が要ります。シーリングの工事は、業種では防水工事に入ります。
シーリングの見積に書いてほしいこと| 項目 | 書いてほしいこと |
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| 目地の長さ | 面ごと・場所ごとのmが書かれているか |
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| 直し方 | 打ち替えか増し打ちか、場所ごとに書かれているか |
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| 材料の種類 | 変成シリコーン系などの種類と、塗装する目地かどうか |
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| 目地の底の処理 | 底にくっつけないための材料と、下塗りが入っているか |
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| 足場・高所作業車 | 塗装と共用の足場か、シーリングだけの仮設か |
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| 保証 | 年数と、はがれや切れが対象になっているか |
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「一式」の多い見積は、目地の長さと単価に分けてもらうと、ほかの業者と比べられます。1社の見積が妥当かを判断する方法は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますにまとめています。介護施設での工事に慣れているかは、入居者がいる中で作業した段取りを見せてもらうと分かります(実績は、居ながら工事の段取りを見せてもらって確かめます)。
打ち替えたばかりのシーリングは、硬まるまで触ると跡が残ります。1階の手の届く目地は、入居者の方が触らないよう、作業のあとしばらく囲いや表示を置きます。認知症のある方への工事中の配慮は認知症のある方への配慮は、工事の段取りで変化を小さくすることですで書いています。下塗りの材料にはにおいがあるので、窓を閉めてほしい時間も前もって知らせます。
モデルケース:面ごとに段階を書いて見積を取り直したグループホーム
モデルケース:定員18名のグループホーム
面ごとの段階を書いた依頼で、3社の見積がそろった
変わったこと(結果)
外壁の塗装は4年後の予定のまま、傷みの進んだ南と西の面の目地だけを先に打ち替えました。面ごとに劣化の段階を書いた1枚の依頼文を作り直したところ、3社の見積が同じ条件でそろいました。最初の見積から決めるまでに2か月かかっていたのが、依頼文を出し直してからは3週間で決まりました。工事は高所作業車を使い、およそ240mの目地を5日で打ち替えました。
背景と、困っていたこと
このグループホームは、鉄骨造の2階建てで、築14年です。外壁はALCのパネルで、継ぎ目のシーリングが長く続いています。ある雨の翌日、2階の居室の窓の下の壁紙に、小さな染みが見つかりました。最初に呼んだ2社のうち、1社は全面の増し打ちを「一式」で、もう1社は足場を組んだ全面の打ち替えを出してきました。金額は2倍以上違い、何をどう比べればよいのか、管理者には分かりませんでした。
決めたこと
管理者と職員の2人で、地上から4つの面の目地を望遠で撮り、面ごとの段階を表にしました。北と東の面は1・2段階、南と西の面は3・4段階でした。そこで、南と西は打ち替え、北と東は4年後の塗装と同時、という依頼文を作り、3社に送りました。サッシまわりで、取り除くとサッシを傷める所だけは、増し打ちでもよいと書き添えました。作業の時間は、入居者の方のお昼寝の時間を外した午前と午後に分けました。
進めてみて分かったこと
はじめは、全面をまとめて直さないと損ではないか、と迷いました。北と東の面がまだ1・2段階で急がなくてよいと分かったことで、全面の打ち替えに比べて、その年度の支出をおよそ半分に抑えられました。北と東の面は、毎年秋に同じ場所から写真を撮って、進み方を見ています。