専門業者に頼むと、3つの数字の精度が変わります
長期修繕計画の費用は、部位ごとに「数量 × 単価」を出し、それを劣化の程度から決めた工事の年に並べて作ります。マンションについて国が示すガイドラインでも、修繕工事の費用は、項目ごとに数量に単価をかけて出す形です。ですから、計画の確かさは、数量・単価・劣化の程度の3つの数字で決まります。専門業者に頼むと変わるのは、この3つの精度です。
図1 3つのどれかがずれると、計画の金額と工事の年がずれる。
自分で作る計画と、専門業者に頼む計画の違い| 項目 | 自分で作る計画 | 専門業者に頼む計画 |
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| 数量 | 図面から概算する。外まわりの長さ×高さで外壁を出すなど | 図面と現地で拾い直し、部位ごとの数量表にする |
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| 単価 | 過去の請求書や、一般の費用の目安を使う | 工法と工事の条件ごとの単価に、仮設や割増を足す |
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| 劣化の程度 | 目視と、職員の気づきで見当をつける | 目視・打診・測定で段階を付け、写真と対にする |
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| 工事の年 | 一般の周期の幅の中から置く | 劣化の段階で、周期の幅の中で前後させる |
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| 根拠の書類 | 計画の表だけが残りやすい | 数量表・単価の出どころ・写真が付く |
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| かかるもの | 職員の時間 | 依頼の費用と、資料の準備・立ち会いの時間 |
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自分で作る計画が悪いわけではありません。台帳と過去の請求書があれば、最初の版は職員で作れます。作り方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。専門業者に頼むかどうかは、計画の数字を何に使うかで決まります。使う場面によっては、自作の精度で足りることもあります。
3つの数字のずれ方も違います。数量のずれは、外壁や屋上のように面積の大きい部位ほど、金額のずれになって大きく出ます。単価のずれは、時間がたつほど広がります。劣化の程度のずれは、工事の年のずれとして出て、積立が間に合わない、という形で表れます。
精度が要るのは、計画の数字でお金や決定が動く場面です
計画の精度が問われるのは、計画の数字をそのまま使って、お金を動かしたり、何かを決めたりする場面です。次のような場面が近いなら、専門業者に頼む価値があります。
- 理事会で大きな工事を決める「この金額の根拠は」「なぜこの年か」に答えるには、数量と劣化の判定の根拠が要ります。理事会に出す資料の組み立ては理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにあります。
- 補助を申請する補助の調査や申請では、工事の範囲と概算の額を示します。計画の数量がずれていると、申請の額と実際の工事費が合わなくなります。来年度の補助に向けた準備は令和9年度の修繕の補助は、まず県の調査が済んだかを確かめますにまとめています。
- 積立の額を決める30年の山の高さが数量と単価で決まるので、毎年の積立の額もそれで決まります。
- 建て替えか改修かを考える残りの年数に、どれだけの改修費がかかるかで判断が変わります。建て替えの時期の考え方は建て替えの時期は、築年数より耐震・設備の基準・配管で決まりますにあります。
- 複数の施設を比べる法人の中で、どの施設から手を入れるかを決めるには、同じ物差しで作った計画が要ります。
図2 数字を何に使うかで、頼むかどうかが分かれる。
反対に、計画を、修繕の予定を職員で共有するために使うのであれば、自作の精度で足ります。まず自分たちで作り、大きな工事が近づいた時点で、その部位だけを専門業者に詳しく調べてもらう、という順番もあります。
数量の精度:どれだけ直すかを、図面と現地で拾い直します
数量は、「どれだけ直すか」を表す数字です。外壁なら㎡、シーリング(目地のゴム状の材料)ならm、空調なら台で数えます。自分で作る計画では、図面から大まかに出すことが多く、ここで大きなずれが生まれます。専門業者は、図面の面ごとに拾い、現地で測り直して、数量表にまとめます。
数量で差が出やすい所| 部位 | 自分で拾うときに起きやすいずれ | 専門業者の拾い方 |
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| 外壁 | 窓や出入口を引き忘れる。ひさしの裏や塀を落とす | 立面図から面ごとに拾い、開口部を引き、付属の部分を足す |
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| 屋上の防水 | 平らな面だけを数え、立ち上がりを落とす | 立ち上がり・笠木・排水口のまわりまで拾う |
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| シーリング | 長さが分からず、一式で置く | 目地の種類ごとに、mで拾う |
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| 足場 | 外壁の面積と同じにする | 建物の外まわりと高さから、足場の面積で拾う |
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| 配管 | 長さが分からず、更新の費用を置けない | 図面と現地で、系統ごとに拾う |
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| 設備 | 台数だけで、能力や年式が分からない | 銘板で、能力と年式まで確かめる |
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外壁は面積が大きいので、数量の1割のずれが、そのまま工事費の1割のずれになります。外壁の改修に数千万円かかる施設なら、数百万円の差です。足場も同じで、外壁の面積とは別に拾わないと、金額が実際より小さく出ます。
設備は、台数よりも能力と年式が大事な数字です。同じ空調でも、能力で単価が変わり、年式で更新の年が変わります。専門業者は銘板を1台ずつ確かめますが、施設に機器台帳があれば、その手間と費用を減らせます。
単価の精度:1単位いくらかを、工事の条件まで入れて当てます
単価は、「1単位いくらか」を表す数字です。同じ屋上防水でも、工法やグレード、面積の大きさ、地域、時期で単価が変わります。介護施設では、入居者の方が暮らす中で工事をすることが多く、その条件も単価に響きます。専門業者は、工法と工事の条件ごとに単価を当て、どの資料の、いつの単価かを書きます。
単価を見るときに確かめること| 確かめること | 中身 | 抜けていると |
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| 工法とグレード | 防水なら、どの工法で、何年もつ仕様か | 安い工法の単価で、計画が小さく出る |
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| 単価の時点 | 何年何月の資料や見積にもとづくか | 古い単価のまま、計画が小さく出る |
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| 仮設・養生・時間帯の割増 | 入居者の方がいる中の工事でかかる分 | 総額の2割〜4割が抜けることがある |
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| 諸経費 | 現場の管理や、会社の経費の分 | 工事費だけの数字になり、見積と合わない |
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| 消費税 | 税込みか、税抜きか | 予算と比べるときに1割ずれる |
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入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が、総額の2割〜4割になることがあります。単価にこの分が入っているか、別の行で足してあるかを確かめます。中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにあります。
単価は、時間がたつと実際と合わなくなります。計画の単価が何年何月のものかが書かれていれば、見直すときに、どこを置き換えればよいかがすぐに分かります。専門業者に頼むときは、単価の出どころと時点を、計画の中に書いてもらいます。
劣化の程度の精度:いつ直すかを、調べた段階で前後させます
劣化の程度は、「いつ直すか」を決める数字です。修繕の周期は、たとえば防水で十数年というように幅で持ちます。その幅の中のどの年に工事を置くかを、実際の傷み方で決めます。専門業者は、目視に加えて、部位に合った方法で調べ、段階を付けます。
劣化を調べる方法と、分かること| 方法 | 分かること | 向いている部位 |
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| 目視 | 色あせ、ひび、さび、膨れ、水のしみ | すべての部位の入口として |
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| 打診 | タイルやモルタルの浮き | 外壁、ベランダの手すりの壁 |
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| 赤外線での撮影 | 広い外壁の浮きの見当 | 足場を組まずに見たい高い外壁 |
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| 配管の内視鏡・抜き取り | 管の中のさび、こぶ、詰まり | 給水・給湯・排水の管 |
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| 運転の記録と測定 | 能力の落ち方、異常な音や温度 | 空調、ポンプ、受変電設備 |
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図3 段階が分かると、同じ周期でも工事の年が変わる。
段階の付け方は業者によって違いますが、上のように4段階ほどで、部位ごとに写真と対にして付けてもらうと使いやすくなります。「早めに直す」と判定された部位は、5年の計画の前のほうに移し、予算と補助の準備を始めます。
設備は、建物の部位と違い、壊れるまで見た目が変わらないことがあります。法定の耐用年数、部品の保有期間、実際の更新の目安を並べて見る考え方は設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにあります。専門業者には、点検の報告書や修理の記録も渡して、見た目だけで判定しないよう頼みます。
精度は、目的と部位に合わせて選べます
すべての部位を、いちばん詳しい方法で調べる必要はありません。費用の大きい部位と、近く工事が来る部位を詳しく、それ以外は図面と目視で、というように、部位ごとに深さを選べます。深さを選べば、同じ費用で、使える計画に近づけます。
調べる深さの3つの段| 深さ | 調べ方 | 向いている目的 | 費用と日数 |
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| 簡易 | 図面と目視。数量は図面から拾う | 30年の山の見当、積立の額の見直し | 小さい |
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| 標準 | 図面と現地の測り直し、目視と一部の打診 | 5年の計画、理事会での説明 | 中くらい |
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| 詳細 | 打診・赤外線・配管の調査・設備の測定 | 大規模修繕の前、補助の申請、建て替えの判断 | 大きい |
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たとえば、屋上と外壁は工事が5年以内に来そうなので詳細に、空調と給湯は台数と年式が大事なので標準に、内装は簡易に、という分け方です。依頼書には、部位ごとにどの深さで調べるかを書きます。そうすれば、業者ごとの見積も比べやすくなります。
大規模修繕が数年以内に来るなら、計画の調査を、そのまま工事の設計の調査に使えるかも考えます。改修の前には、建材に石綿が含まれていないかの事前調査も要ります。大規模修繕の進め方と石綿の調査の時期は大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。
専門業者に頼む流れは、6つの段で進みます
専門業者に頼む流れは、目的を決めるところから、成果物を受け取って見直しの進め方を決めるところまで、6つの段で進みます。いちばん大事なのは最初の段です。何に使う計画かが決まっていないと、調べる範囲も深さも決まらず、見積を比べることもできません。
図4 最初の段で目的と範囲を決めると、あとの段がそろう。
マンションについて国が示すガイドラインにも、専門家に計画の見直しを頼むときの考え方があります。発注の仕様書を作り、頼む業務の内容をはっきり示すことが必要とされています。介護施設でも同じで、依頼書に次のことを書いておくと、業者ごとの見積がそろいます。
- 計画の目的理事会の説明、補助の申請、積立の額など、何に使うか。
- 対象の範囲棟、部位、設備。対象から外すものも書く。
- 部位ごとの深さ簡易・標準・詳細のどれで調べるか。
- 計画の期間30年など。5年の計画の表も要るか。
- 成果物計画の表、数量表、単価の出どころ、写真と判定、表計算のファイル。
- 説明の回数中間報告と、理事会などでの説明が要るか。
頼む先は、建築士事務所、設備の設計事務所、建物の診断をする会社、施工会社などです。施工会社に頼むと、その会社がそのまま工事を受けたい立場になります。計画を作る人と工事をする人を分けるかどうかは、大きな工事の頼み方とつながります。設計監理方式と責任施工方式の違いは設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますにまとめています。
施設が用意する物は、図面・記録・点検の報告書です
専門業者に渡す資料がそろっているほど、現地で調べ直す手間が減り、費用も日数も小さくなります。見積を頼む段階で、何があって何がないかを伝えると、業者も見積を出しやすくなります。
施設が用意する物| 用意する物 | 何に使われるか | ないときは |
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| 竣工図・設計図書 | 数量を拾う | 現地の測り直しが増え、費用と日数が増える |
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| 機器台帳 | 設備の台数・年式・能力 | 業者が現地で銘板を見て回る |
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| 修繕の履歴と請求書 | 前回の工事の年・工法・単価 | 周期を一般の目安で置くことになる |
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| 点検の報告書 | 劣化の兆しと、指摘された所 | 調べる範囲が広がる |
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| 過去の工事の契約書・保証書 | 使った材料と、保証の期限 | 工法の分からない部位が残る |
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| 入居者の方の暮らしの時間割 | 調査の時間帯と、立ち入りの段取り | 調査の日程が組みにくくなる |
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機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つから作れます。作り方は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにあります。建物の定期報告(建築基準法第12条の定期調査・検査)の対象の施設なら、その報告書も渡します。定期報告の中身は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
現地の調査の日には、居室や浴室に入る時間、職員の付き添い、打診の音が出る時間帯を、業者と前もって決めます。入居者の方やご家族には、調査の日と、知らない人が建物の中を回ることを、前の週までに知らせておきます。
受け取る計画で、確かめること
計画を受け取ったら、表の合計の金額だけでなく、根拠がそろっているかを確かめます。根拠がない計画は、5年後に見直すときにも、理事会で聞かれたときにも使えません。次の表の6つを、中間報告と最後の受け取りの2回で見ます。
成果物で確かめること| 確かめること | 見る所 | 足りないとき |
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| 数量の根拠 | 部位ごとの数量表と、拾った図面 | 数量表を出してもらう |
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| 単価の出どころと時点 | 単価の表に、資料の名前と年月があるか | 出どころと時点を書き足してもらう |
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| 劣化の判定と写真 | 部位ごとの段階と、写真の番号が対になっているか | 写真と判定を対にしてもらう |
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| 仮設・割増の扱い | 入居者の方がいる中の工事の上乗せが入っているか | 別の行で足してもらう |
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| 物価と消費税の扱い | 今の単価か、上がり分を足したか、税込みか | 前提を1ページにまとめてもらう |
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| 元のデータ | 表計算のファイルで受け取れるか | PDFだけでは自分で直せないので頼む |
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図5 根拠まで受け取ると、計画を施設の手で回し続けられる。
受け取りのときは、業者から説明を聞く時間を取ります。自分たちで5年後に見直すとき、どの数字をどこで直せばよいかを、その場で聞いておきます。次の見直しを同じ業者に頼むか、施設で行うかも、このときに決めておきます。
専門業者に頼む費用は、延床面積と調べる深さで決まります
長期修繕計画を専門業者に頼む費用は、技術者が何人で何日かかるかの積み上げで決まります。目安としては、目視が中心の調査と計画で数十万円からです。打診や配管の調査を加え、建物が大きければ、数百万円になることもあります。建物の大きさ、階数、調べる範囲と深さで大きく変わるので、見積で中身を比べます。
費用を左右するものと、見積で確かめること| 左右するもの | 費用への出方 | 見積で確かめること |
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| 延床面積と階数・棟数 | 大きく高いほど増える | 対象の範囲と棟数 |
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| 調べる深さ | 打診・赤外線・配管の調査で増える | 方法と、全面か一部か |
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| 図面の有無 | ないと現地の測り直しが増える | 図面から拾う所と、測る所 |
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| 設備の数 | 機器が多いほど増える | 設備の調べ方と台数 |
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| 成果物 | 報告書の厚さと、データの形 | 表計算のファイルを含むか |
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| 説明の回数 | 理事会などでの説明で増える | 何回の説明が入っているか |
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見積を比べるときは、総額だけでなく、何人が何日、どの方法で調べるかを並べます。安い見積が、目視だけで数量を図面から拾うだけ、ということもあります。目的に合った深さかどうかで比べます。
施工会社の無料の劣化の診断で、計画の代わりにすることもできます。ただ、工事を受けたい立場からの診断なので、数量と単価の根拠を確かめ、大きな工事の前には中立の立場の見立てと比べてから決めます。営繕のコンサルや診断の費用の考え方は営繕の代行は手間に、コンサルは判断の材料に費用を払いますにまとめています。
モデルケース:自作の計画と見積が合わなかった老健
モデルケース:定員80名の介護老人保健施設(医療法人・築26年)
計画と見積の差が、1割ほどに収まった
変わったこと(結果)
長期修繕計画を専門業者に頼み直したところ、外壁と屋上の改修の金額が、そのあとに取った見積と1割ほどの差に収まりました。自作の計画のときは、見積が計画の1.5倍ほどになっていました。毎年の5年の計画の見直しも、受け取った表計算のファイルの単価を置き換えるだけになり、2週間ほどかけていたのが2日ほどで終わるようになりました。
背景と、困っていたこと
事務長は、竣工図と一般の費用の目安から、自分で30年の計画を作っていました。外壁の面積は、建物の外まわりの長さに高さをかけて出していました。外壁の改修の見積を取ると、計画の金額を大きく超えました。足場の面積を外壁と同じにしていたことと、塀やひさしを落としていたことが、あとで分かりました。理事会では「計画の数字は何だったのか」と聞かれました。
決めたこと
事務長は、計画を、理事会の説明と、数年後の補助の申請に使うと決めました。屋上と外壁は詳細に、空調・給湯・エレベーターは標準に、内装は簡易に調べる依頼書を作り、2社に同じ条件で見積を頼みました。成果物には、数量表、単価の出どころ、写真と判定、表計算のファイルを入れてもらいました。
進めてみて分かったこと
迷ったのは費用でした。2社の見積は約90万円と約140万円で、自分で作れたものに払う価値があるかを考えました。決め手は、外壁の改修の見積と自作の計画の差が、その費用より大きかったことです。屋上は判定が「経過を見る」となり、改修を3年後ろにずらせました。