バリアフリー改修に関わる基準は、3つあります
介護施設のバリアフリー改修に関わる基準は、3つあります。介護保険の設備の基準、バリアフリー法、建築基準法です。3つは、それぞれ見ているものが違います。同じ玄関やトイレに、3つの基準が別々の決まりを置いていることもあります。
3つの基準が決めていること| 基準 | 主に決めていること | かかる場面 | 数字の例 |
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| 介護保険の設備の基準 | 居室の面積と定員、浴室・便所など、施設に置く設備 | 開設のとき、定員や設備を変えるとき。都道府県や市の条例で決まる | 特養の居室は1人あたり10.65㎡以上 |
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| バリアフリー法 | 出入口・スロープ・エレベーター・便所など、移動の経路 | 老人ホームなどの2,000㎡以上の新築・増築・改築・用途変更で義務。ほかは努力義務 | スロープの勾配1/12以下、出入口80cm以上 |
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| 建築基準法 | 構造・防火・避難、階段の手すり、建物の用途 | 新築・増築・大規模の修繕と模様替・用途変更で、確認申請が要ることがある | 階段には手すりを設ける |
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図1 3つは見ているものが違うので、1つに合っても、ほかに合うとは限らない。
介護保険の設備の基準は、国の基準をもとに、都道府県や市が条例で決めています。施設を開くときや、定員や設備を変えるときに、指定を受けた自治体の介護保険の担当が確かめます。バリアフリー法と建築基準法は、建物の基準です。こちらは、建築の担当(特定行政庁)や建築士が確かめます。
3つの基準の数字が違うときは、いちばん厳しい数字に合わせます。改修のあとで、どれかの基準に合わないと分かると、やり直しになります。工事の前に、3つの基準のどれがかかるかを1枚に書き出しておくと、業者との話も早くなります。
居室の面積は、施設の種類で決まっています
居室の面積と定員は、介護保険などの設備の基準で、施設の種類ごとに決まっています。バリアフリー改修で居室に手を入れるときも、この数字を下回らないことが前提です。国の基準の主な数字は、次のとおりです。
施設の種類ごとの居室の面積と定員(国の基準)| 施設の種類 | 1室の定員 | 1人あたりの面積 | 決まりの出どころ |
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| 特別養護老人ホーム | 1人(必要な場合は2人) | 10.65㎡以上 | 国の基準をもとにした条例 |
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| ユニット型の特別養護老人ホーム | 1人(必要な場合は2人) | 10.65㎡以上(2人なら21.3㎡以上) | 同上。ユニットは原則おおむね10人以下、15人まで |
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| 介護老人保健施設 | 4人以下 | 8㎡以上 | 同上 |
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| ユニット型の介護老人保健施設 | 原則1人 | 10.65㎡以上 | 同上 |
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| 介護医療院 | 4人以下 | 8㎡以上 | 同上 |
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| 認知症グループホーム | 1人(必要な場合は2人) | 7.43㎡以上 | 同上 |
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| 養護老人ホーム | 原則1人 | 10.65㎡以上 | 同上 |
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| 軽費老人ホーム(ケアハウス) | 原則1人 | 21.6㎡以上 | 同上 |
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| 有料老人ホーム | 1人 | 13㎡以上 | 都道府県などの指導の指針 |
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| サービス付き高齢者向け住宅 | ― | 25㎡以上(共用の台所などが十分なら18㎡以上) | 登録の基準 |
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実際の数字は、都道府県や市の条例と指針で決まります。面積を内法(壁の内側の寸法)で測ると決めている自治体があるなど、測り方も条例とその解釈で違います。改修で居室の面積が変わるときは、自分の施設に当てはまる条例で確かめます。
バリアフリー改修で気をつけたいのは、手を入れたあとの面積です。居室の中にトイレや洗面を足す、入口を広げて壁を動かす、といった改修で、居室の面積が基準を下回ることがあります。図面の上で、改修のあとの面積を先に出しておきます。
多床室を間仕切りで分ける改修や、ユニット型に変える改修では、1室ごとの面積と定員が問題になります。段階的な進め方と、工事中の居室の回し方は多床室の改修は、空ける居室の数で工事の区切りが決まりますで書いています。
バリアフリー法は、2,000㎡以上の新築・増築・用途変更で義務になります
バリアフリー法では、老人ホーム、福祉ホームなど、主に高齢者や障害のある方が使う建物は「特別特定建築物」に当たります。老人福祉センターなども同じです。特別特定建築物を一定の規模以上で建築するときは、建築物移動等円滑化基準への適合が義務になります。
バリアフリー法で、工事ごとに求められること(老人ホームなど)| 工事の種類 | 床面積が2,000㎡以上 | 床面積が2,000㎡未満 |
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| 新築 | 基準への適合が義務 | 努力義務(条例で義務にしている自治体もある) |
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| 増築・改築 | その部分が2,000㎡以上なら、適合が義務 | 努力義務 |
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| 用途変更(ほかの建物を施設にする) | その部分が2,000㎡以上なら、適合が義務 | 努力義務 |
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| 修繕・模様替 | 努力義務 | 努力義務 |
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| 今ある建物(工事をしない) | 努力義務 | 努力義務 |
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増築・改築・用途変更の場合の2,000㎡は、建物全体ではなく、増築などをする部分の床面積で見ます。また、自治体は条例で、対象の規模を引き下げたり、対象の建物を足したりできます。福祉のまちづくりの条例などで、もっと小さな規模から義務にしている自治体もあるため、建築の担当に確かめます。
手すりを付ける、段差をなくす、扉を替える、といった改修の多くは、修繕・模様替に当たり、努力義務です。義務でなくても、基準の数字は、使いやすさを確かめる物差しとして役に立ちます。次の節で、主な数字を見ていきます。
移動の経路は、出入口80cm・スロープ1/12が基準の数字です
バリアフリー法の基準(建築物移動等円滑化基準)は、道から、利用する部屋までの経路を、車いすで通れるように決めています。この経路を1つ以上つくることが、適合の中心です。主な数字は次のとおりです。
バリアフリー法の主な数字(建築物移動等円滑化基準)| 場所 | 基準の数字 |
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| 出入口 | 幅80cm以上 |
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| スロープの幅 | 120cm以上(階段に並べて設けるときは90cm以上) |
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| スロープの勾配 | 1/12以下(高さ16cm以下なら1/8以下) |
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| スロープの踊場 | 高さ75cm以内ごとに、踏幅150cm以上 |
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| スロープの手すり | 設ける(勾配が緩く、高さの低い傾斜などは除く) |
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| エレベーター | かごと昇降路の出入口80cm以上、かごの奥行135cm以上、乗降ロビー150cm角以上 |
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| 車いす使用者用便房 | 1以上設ける |
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| 経路の段 | 階段や段を設けない(スロープか昇降機を並べるときは除く) |
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これは、義務の対象の建物に求める最低の数字です。もっとゆとりのある「誘導基準」という目安も国が示しています。入居者の方の多くが車いすを使う介護施設では、最低の数字ぎりぎりではすれ違えない、向きを変えにくい、という場面が出ます。改修では、使う方の動きを見て、ゆとりを足す余地がないかを考えます。
廊下の幅は、介護保険の設備の基準と、手すりを付けたあとの有効な幅の両方で考えます。廊下の幅の基準と改修の方法は消防設備の点検は年2回、消防署への報告は年1回ですにまとめています。
段差は、高さからスロープの長さを出して、置けるかを決めます
段差をスロープでなくすときは、まず段差の高さを測り、要るスロープの長さを出します。勾配1/12なら、長さは高さの12倍です。高さが16cm以下なら、1/8(高さの8倍)まで縮められます。高さが75cmを超えるときは、75cm以内ごとに踊場を設けます。
段差の高さと、スロープの長さの目安| 段差の高さ | 勾配1/12の長さ | 勾配1/8の長さ(16cm以下のとき) | 途中の踊場 |
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| 5cm | 60cm | 40cm | 要らない |
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| 10cm | 1.2m | 80cm | 要らない |
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| 16cm | 約1.9m | 約1.3m | 要らない |
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| 30cm | 3.6m | ―(1/12にする) | 要らない |
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| 45cm | 5.4m | ― | 要らない |
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| 90cm | 10.8m | ― | 1か所以上(踏幅150cm以上) |
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スロープの上と下には、車いすが止まって向きを変えられる平らな場所も見込みます。玄関の前の場合は、扉の開く範囲と、送迎の車を停める位置も一緒に考えます。長さが敷地に収まらないときは、折り返しにするか、段差解消機を置くか、別の入口に経路を変えます。
図2 場所と、通る人数で選ぶ。
屋外のスロープは、雨でぬれると滑りやすくなります。表面は滑りにくい仕上げにし、雪や凍結のある地域では、凍る場所をつくらない工夫も考えます。建物の中の小さな段差(敷居、浴室の境、床材の継ぎ目)は、すりつけの板や床のかさ上げでなくせることがあります。床がはがれたり段差ができたりしたときの手当ては床が剥がれた・段差ができた。まず、つまずかない手当てをで書いています。
改修で今の基準に合わせる必要があるかは、工事の種類で決まります
建てたときの決まりに合っていた建物は、あとで決まりが変わっても、そのまま使えます。建築基準法では、これを既存不適格と呼びます。介護保険の設備の基準でも、今ある施設には経過の措置が設けられていることがあります。古い施設が今の基準に合っていなくても、それだけで違反にはなりません。
ただし、工事の種類によっては、今の基準がかかります。分かれ目は、増築・改築・用途変更か、大規模の修繕・模様替(壁・柱・床・はり・屋根・階段の過半を直す工事)に当たるかです。
図3 工事の種類で、今の基準がかかるかが分かれる。
改修の種類と、3つの基準の関わり方| 改修の種類 | 介護保険の設備の基準 | バリアフリー法 | 建築基準法 |
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| 手すり・段差の解消・扉の交換 | 部屋の用途や面積が変わらなければ、影響は小さい | 努力義務(修繕・模様替) | 確認申請は要らないことが多い |
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| 間仕切りや、部屋の用途を変える改修 | 面積・定員・設備が基準に合うかを、工事の前に担当に相談する | 努力義務 | 防火や避難に関わる。大規模の模様替なら確認申請 |
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| 増築・改築 | 増えた部分は今の基準。定員を増やすなら指定の手続き | その部分が2,000㎡以上なら義務 | 確認申請。今ある部分にも今の基準がかかることがある(緩和もある) |
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| 用途変更(ほかの建物を施設に) | 今の基準に合わせて指定を受ける | その部分が2,000㎡以上なら義務 | 規模によって確認申請が要る |
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| 大規模の修繕・模様替 | 設備が変わるなら上と同じ | 努力義務 | 確認申請が要ることがある |
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増築や大規模の修繕をすると、既存不適格の部分を今の基準に合わせることが求められる場合があります。どこまで合わせるかには、法令で緩和もあります。改修の範囲を決める前に、建築士に、どの部分に今の基準がかかるかを確かめてもらいます。建て替えか改修かを考える段階なら、建て替えの時期は、築年数より耐震・設備の基準・配管で決まりますも参考になります。
木造2階建ての施設は、2025年4月から、大規模の修繕・模様替に確認申請が要るようになりました。対象の工事の見分け方は木造2階の屋根や階段を作り直すなら、2025年4月から確認申請が要りますにまとめています。社宅や店舗などを施設に転用した建物は、設備の容量や間取りの制約が先に問題になります。転用した建物の確かめ方は転用した建物の修繕は、容量・間取り・法令を先に確かめますで書いています。
よくあるバリアフリー改修と、確かめる基準
介護施設でよく行うバリアフリー改修を、確かめる基準と気をつけることで並べます。どれも、使う入居者の方と職員の動きを見てから仕様を決めると、手直しが少なくなります。
改修ごとの、確かめる基準と気をつけること| 改修 | 確かめる基準 | 気をつけること |
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| 玄関のスロープ | バリアフリー法の勾配・幅・踊場 | 敷地に長さが収まるか。雨の日の滑り |
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| 段差の解消(敷居・浴室の境) | 経路に段を設けない考え方 | 床の高さをそろえると、扉の下のすき間や排水が変わる |
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| 手すりの取り付け | 建築基準法(階段の手すり) | 壁の下地の強さ。廊下の有効な幅が狭くならないか |
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| 扉を引き戸に替える | バリアフリー法の出入口の幅 | 防火戸に当たる扉は、性能を落とす替え方をしない |
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| トイレを広げる | 介護保険の便所の決まりと、バリアフリー法の車いす使用者用便房 | 隣の部屋の面積が、基準を下回らないか |
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| エレベーターを付ける | バリアフリー法と建築基準法(昇降機) | 確認申請と、完成後の定期の検査 |
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| 多床室を個室に分ける | 介護保険の居室の面積と定員 | 1室ごとの面積、窓、換気、避難の経路 |
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手すりは、取り付ける壁の下地が弱いと、体重をかけたときにぐらつきます。ぐらつきやドアの不具合の原因の見分け方はドアや手すりの不具合は、6つの部品のどれかですで書いています。エレベーターを付けると、完成したあとも建物の定期報告の対象になります。定期報告の中身は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
浴室やトイレの改修の中身(手すりの向き、介助の場所、扉)は、浴室の形式は、入居者の方の体の状態の内訳で選びますにまとめています。改修で起きやすい失敗と、使う人を仕様の決め方に入れる方法はリフォームの失敗で多いのは、使う人を入れない仕様の決め方ですで書いています。
相談は、介護の担当・建築の担当・建築士の順に進めます
3つの基準は、確かめる担当が違います。改修の前に、次の順で相談すると、手戻りが少なくなります。とくに、居室や浴室、便所などの設備が変わる改修は、工事を頼む前に、介護保険の担当に相談しておきます。
図4 基準を先に確かめてから、見積を頼む。
相談先ごとに、聞くことと持っていくもの| 相談先 | 聞くこと | 持っていくもの |
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| 指定を受けた自治体の介護保険の担当 | 改修のあとも設備の基準に合うか。届け出が要るか | 今と改修のあとの平面図、居室の面積の一覧 |
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| 建築の担当(特定行政庁) | 確認申請が要るか。バリアフリー法と条例の対象か | 確認済証、検査済証、改修の範囲の分かる図面 |
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| 建築士 | 既存不適格の部分と、今の基準がかかる範囲 | 竣工図、過去の改修の記録 |
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| 消防 | 防火戸や避難の経路、消防の設備に関わるか | 改修の範囲の分かる図面 |
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業者に見積を頼むときは、確かめた基準の数字を仕様に書いて渡します。「スロープの勾配は1/12以下、幅は120cm以上、両側に手すり」のように書いておくと、業者ごとの提案を同じ物差しで比べられます。
小さな施設と借りている建物は、先に確かめることがあります
グループホームやデイサービスなど、小さな施設のバリアフリー改修は、多くが努力義務の範囲です。ただし、条例で小さな規模から義務にしている自治体もあります。小さな施設ほど、改修できる場所が限られるため、どこを優先するかを先に決めます。
図5 借りている建物は、改修の前に持ち主と書面で決める。
借りている建物の場合は、改修の前に持ち主の承諾を書面でもらいます。費用を誰が持つか、退去のときに元に戻すか、残してよいかも、あわせて決めます。スロープや手すりのように、次に使う人にも役立つ改修は、残してよいと決まることもあります。
優先する場所は、事故とけがにつながりやすい所からです。玄関の段差、浴室とトイレの出入口、夜に通る廊下の暗さ、の順に見ていくと、限られた予算でも効く所から手を付けられます。手すりの設置・補修の費用は、当窓口の目安で1か所1万円〜5万円です。
モデルケース:玄関の段差に迷ったデイサービス
モデルケース:定員30名のデイサービス(平屋・延床約400㎡)
玄関をスロープに替え、朝の受け入れが40分から25分ほどに
変わったこと(結果)
玄関の36cmの段差を、建物の横に沿わせた長さ5mのスロープに替えました。車いすの方を職員2人で持ち上げて階段を上がる場面がなくなり、職員1人が押して上がれるようになりました。朝の送迎の受け入れにかかる時間は、40分ほどから25分ほどに縮みました。
背景と、困っていたこと
玄関には3段の階段と手すりがありました。車いすを使う利用者の方が8名に増え、朝の送迎の時間には、職員2人で車いすを持ち上げて階段を上がっていました。管理者は、どの基準に合わせればよいのか分からず、業者に頼む前に手が止まっていました。
決めたこと
管理者は、工事の前に、市の建築の担当と、指定を受けた市の介護保険の担当に相談しました。延床が2,000㎡に届かず、増築でもないため、バリアフリー法の基準への適合は努力義務だと分かりました。それでも、スロープは基準の数字(勾配1/12以下、幅120cm以上、手すり)を目安にすると決めました。
36cmの段差には、勾配1/12で4.32mの長さが要ります。玄関の正面には3mしかとれず、建物の横に沿わせて5mのスロープを通す案と、段差解消機を置く案を比べました。迷ったのは、段差解消機なら工事が小さく済むことでした。決め手は、朝の送迎で8名が続けて上がるには、1人ずつしか運べない段差解消機では待ちが出ることでした。停電の日にも使えることも、スロープを選ぶ理由になりました。
進めてみて分かったこと
義務ではない改修でも、基準の数字を仕様に書いたことで、業者の提案を同じ物差しで比べられました。勾配を1/10で出してきた案は、数字を示して直してもらいました。