承認する人が見ているのは、4つの問いです
修繕の稟議書を読む本部の担当や理事長が知りたいのは、工事の細かな中身より、決めてよいかどうかの材料です。その材料は、なぜ今か、いくらが妥当か、ほかの方法はないか、しない場合にいくらかかるか、の4つの問いにまとめられます。この4つに順に答える形で書くと、差し戻しが減ります。
承認する人の4つの問いと、答えになる材料| 問い | 承認する人が気にしていること | 答えになる材料 |
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| なぜ今か | 来年度ではだめなのか。今年でなければならない理由は何か | 年式、修理の回数と日付、点検の指摘、写真 |
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| いくらが妥当か | 高すぎないか。業者の言い値ではないか | 同じ条件の見積の比べ、単価、前回の工事の金額 |
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| ほかの方法はないか | 修理で済まないのか。一部だけではだめか | 修理・部分の交換・更新・先送りの案の比べ |
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| しない場合の費用 | やらないと何が起き、いくらかかるのか | 繰り返す修理、代わりの手配、広がる被害の金額 |
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図1 4つの問いに順に答えると、決める材料がそろう。
承認する人は、修繕の専門家とは限りません。施設の現場も毎日は見ていません。だからこそ、現場で当たり前のこと(給湯器が古い、よく止まる)を、日付や回数に置き換えて書く必要があります。「担当者が言うのだから」ではなく、「この材料なら自分も上に説明できる」と思えるかどうかで、承認の早さが変わります。
4つのうち、書き手がいちばん抜かしやすいのは「しない場合の費用」です。工事をする理由は書いても、しなかったときにいくらかかるかまでは書かないことが多いからです。ここを金額にすると、「来年度でもよいのでは」という問いに、先回りして答えられます。
稟議書は、結論を先に、根拠を後ろに置きます
稟議書は、冒頭に「決めてほしいこと」を1行で書き、そのあとに4つの問いへの答えを並べます。見積書や写真などの根拠は、別紙に回します。本文が1〜2枚に収まると、承認する人が読む時間も、上に説明する時間も短くなります。
修繕の稟議書の構成(そのまま使える見出し)| 順 | 見出し | 書くこと | 分量の目安 |
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| 1 | 件名 | 場所と工事の名前(例:1階浴室の業務用給湯器の交換) | 1行 |
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| 2 | 決めてほしいこと | 何を、いくらで、いつまでに決めてほしいか | 1〜2行 |
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| 3 | なぜ今か | 年式、修理の回数と日付、止まったときの影響 | 3〜5行 |
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| 4 | いくらが妥当か | 見積の社数と比べ、選んだ理由 | 3〜5行と比較表 |
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| 5 | ほかの方法との比べ | 修理・部分の交換・更新・先送りの案 | 案ごとに1行の表 |
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| 6 | しない場合の費用 | 1年あたりの費用と、広がる被害 | 3〜5行と計算の表 |
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| 7 | 工事の日程と入居者の方への影響 | 工事の日、止まる時間、代わりの段取り | 2〜3行 |
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| 8 | 予算と財源 | 予算のどの区分か、残りの額、足りない分の出し方 | 1〜2行 |
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| 9 | 別紙の一覧 | 見積書、比較表、写真、修理の記録、点検の報告書 | 箇条書き |
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図2 本文は答えだけを書き、根拠は別紙で確かめてもらう。
「決めてほしいこと」の1行には、金額と期限を入れます。たとえば「1階浴室の業務用給湯器1台の交換(180万円)を、10月20日までに承認してください。11月の寒くなる前に工事を終えるためです」と書きます。期限の理由まで書くと、後回しにされにくくなります。
法人によって稟議の様式が決まっている場合は、その欄に合わせて、この順番の中身を入れます。様式に「理由」の欄が1つしかなければ、その中を「なぜ今か」「ほかの方法」「しない場合の費用」の小見出しで分けます。
「なぜ今か」は、日付と回数と写真で書きます
「なぜ今か」は、承認する人が最初に聞く問いです。「老朽化のため」「故障が多いため」だけでは、なぜ去年でも来年でもなく今年なのかが伝わりません。設置した年、修理の回数と日付、止まった日の影響を、記録から書き出します。
「なぜ今か」の書き方(弱い書き方と、通る書き方)| 弱い書き方 | 通る書き方の例 | 根拠の資料 |
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| 老朽化のため | 2009年に設置して17年目。この2年で修理4回、うち2回は夜間 | 修理の記録、銘板の写真 |
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| 故障が多いため | 今年8月に2日止まり、その2日は入浴を清拭に替えた | 業務の日誌、修理の報告書 |
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| 業者に勧められたため | メーカーから、修理の部品の供給を終えると案内があった | 案内の文書の写し |
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| 早めに直したいため | 11月の寒くなる前に終えないと、工事中にお湯が使えない日が寒い時期に重なる | 工事の日程の案 |
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| 点検で指摘されたため | 9月の点検で、お湯を温める部分の腐食を指摘された | 点検の報告書の該当ページ |
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写真は、1か所につき3枚が目安です。全体が分かる写真、傷んだ所に近づいた写真、型番と製造年が読める銘板の写真です。写真には、撮った日と場所を書き添えます。現場を見ていない人にも、どこの何の話かが一目で分かります。
部品の見通しや、修理の回数の増え方は、更新の時期を判断する材料にもなります。法定の耐用年数・部品の保有期間・実際の更新の目安の3つを並べて時期を決める考え方は設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにまとめています。稟議書では、そのうち自分の設備に当てはまる材料だけを書きます。
「いくらが妥当か」は、同じ条件の見積を並べて示します
「いくらが妥当か」には、同じ条件で取った見積を並べて答えます。条件がそろっていないと、安い見積が工事の範囲を小さくしているだけのこともあり、比べた意味がなくなります。機器の能力と台数、撤去と処分、配管の範囲、工事の時間帯をそろえてから頼みます。比べるための条件のそろえ方は見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作りますにまとめています。
金額の妥当さを示す材料| 材料 | 示せること | 使う場面 |
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| 同じ条件の見積(2〜3社) | 金額の幅と、選んだ1社の位置 | 基本の形 |
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| 単価の比べ | 1台あたり・1㎡あたりで高すぎないか | 1社しか見積が取れないとき |
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| 前回の同じ工事の請求書 | 前回からどれだけ上がったか | 同じ工事を前にしたことがあるとき |
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| 仮設・養生・割増の行 | 入居者の方がいる中の工事での上乗せ | 総額が目安より高く見えるとき |
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| 当窓口などの費用の目安 | 桁が大きく外れていないか | 見積がまだそろわないとき |
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見積が「一式」としか書かれていないと、承認する人は高いか安いかを判断できません。内訳を分けてもらう頼み方と、1社の見積でも妥当かを確かめる方法は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますにあります。入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。その中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにあります。
社会福祉法人の工事の請負では、見積の社数にも決まりがあります。2社の見積合わせで足りる上限は、令和8年4月から400万円以下になり、それを超えると3社以上から見積を取ります。稟議書には、何社に頼み、何社から出てきたかも書きます。社数の決め方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにまとめています。
いちばん安い見積を選ばなかったときは、その理由を1行で書きます。「保証の期間が長い」「夜間の連絡先が決まっている」「工事の日に止まる時間が短い」など、比べた点を書けば、承認する人も上に説明できます。
「ほかの方法はないか」には、先に3〜4つの案を並べます
「修理で済まないのか」「一部だけではだめか」は、承認する人がよく聞く問いです。聞かれてから答えるより、稟議書の中に案を並べておくほうが早く進みます。修理、部分の交換、全部の更新、先送りの4つを、今年の費用と、止まる心配、入居者の方への影響で比べます。
案を並べる表(業務用給湯器2台のうち1台が古い例)| 案 | 今年の費用 | 止まる心配 | 入居者の方への影響 | 残ること |
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| A 修理(部品の交換) | 約15万円 | 残る(ほかの部品も古い) | 止まれば入浴を清拭に替える | 翌年も修理が出る見込み |
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| B 古い1台を交換 | 約180万円 | 古い1台の分は減る | 工事の日に半日止まる | もう1台は3年後に交換の見込み |
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| C 2台とも交換 | 約330万円 | 大きく減る | 工事の日に1日止まる | 新しいほうの1台は早めの入れ替えになる |
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| D 先送り(応急の手当て) | 約5万円 | 残り、増えていく | 止まれば急ぎの交換になる | 急ぎの割増と、交換の日を選べない |
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図3 今年の費用だけでなく、残る心配と翌年の費用で比べる。
案を並べたら、選んだ案と、その理由を1行で書きます。たとえば「案Bを選びます。古い1台の修理が続いており、もう1台はまだ部品があるため、交換は来年度以降の予算で計画します」です。選ばなかった案の理由も書いておくと、「Cのほうがよいのでは」という問いにも答えられます。
修理で済むか、交換が要るかは、業者に両方の見積と説明を求めると判断しやすくなります。特殊浴槽なら、修理と買い替えのどちらを選ぶかの目安になるサインがあります。その見分け方は特殊浴槽の修理費は、残りの年数で割って比べますにまとめています。エアコンが急に冷えなくなり、修理か交換かで迷った事務長のお話です。
施設側としては、修理で済むのか、交換したほうがいいのか判断しづらかったのですが、必要な対応について説明してもらえたので、施設長とも相談しながら進めることができました。
ご利用者の声 東京都内・介護施設/事務長
取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。
「しない場合の費用」は、3つの金額を足して出します
「しない場合の費用」は、工事をしなかったときに、1年間でいくら出ていくかの見込みです。繰り返す修理、止まった日の代わり、広がる被害の3つに分けて出します。急ぎの割増は繰り返す修理に、職員の手間は止まった日の代わりに、時間と時給で入れます。どれも過去の記録から出せる数字なので、記録を探すところから始めます。
図4 1つ目と2つ目を足して1年分を出し、3つ目は起きた場合の額として別に書く。
しない場合の費用の計算(業務用給湯器の例・1年分の見込み)| 項目 | 出し方 | 例 |
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| 繰り返す修理 | この2年の修理の回数と、1回の費用から | 1回12万円 × 年2回 = 24万円 |
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| 繰り返す修理(急ぎの割増) | 夜間・休日の修理に上乗せされた額 | 1回3万円 × 年1回 = 3万円 |
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| 止まった日の代わり(仮設の機器) | 止まった日数 × 仮設の機器の借り賃など | 1日2万円 × 3日 = 6万円 |
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| 止まった日の代わり(職員の手間) | 清拭に替えた日に増えた時間 × 時給 | 1日6時間 × 1,500円 × 3日 = 2万7,000円 |
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| 1年あたりの合計 | 上の4行を足す | 約36万円 |
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| 広がる被害(起きた場合) | 水漏れが広がったときの床や階下の補修 | 30万〜80万円(別に書く) |
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この例では、しない場合の費用は1年あたり約36万円です。5年で見ると約180万円になり、古い1台を交換する案Bの費用に近づきます。そこに広がる被害が起きれば、交換の費用を超えます。こうして並べると、「来年度でもよいのでは」という問いに、数字で答えられます。
金額にしにくい影響は、日数と人数で書きます。たとえば「お湯が止まった日は、入居者の方36名の入浴を清拭に替えた」「止まった2日間で、清拭の対応に職員2名が1日3時間ずつ当たった」です。運営の基準では入浴は「入浴、又は清拭」と書かれていて、止まった日は清拭に替えられます。ただ、替える日が続けば、暮らしの質が下がることも書き添えます。
特殊浴槽が止まった日に、入浴を清拭に替えるときの段取りは特殊浴槽が止まった。入浴は清拭に替えられますにあります。稟議書では、止まった日にどう回したかを書いておくと、影響が具体的に伝わります。
写真と専門の言葉は、承認する人に合わせて添えます
業者の見積書や報告書には、専門の言葉がそのまま書かれています。承認する人が読んで分からない言葉は、稟議書の本文で言いかえます。言いかえるときは、何がどうなっているかを、見たままの言葉で書きます。
専門の言葉の言いかえの例| 業者の言葉 | 稟議書での書き方 |
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| 熱交換器の腐食 | お湯を温める部分の金属がさびて、穴があきかけている |
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| 冷媒の漏れ | エアコンの中のガスが漏れ、冷えなくなっている |
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| キュービクルの更新 | 建物に電気を受ける設備(受変電設備)の入れ替え |
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| ドレンの詰まり | 屋上の排水口が詰まり、雨水がたまっている |
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| シーリングの破断 | 外壁の継ぎ目のゴム状の材料が切れ、雨水が入るおそれがある |
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| 一式 | 中身を行に分けた見積を、別紙で添える |
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写真には、矢印や丸で傷んだ所を示し、1枚ごとに説明を1行つけます。「さび」「ひび」「水のしみ」など、写真で見える言葉にそろえると、承認する人が写真と本文を見比べやすくなります。
型番と製造年は、銘板の写真から書き写します。機器の一覧を日ごろから作っておくと、稟議のたびに機械室へ写真を撮りに行かずに済みます。台帳の作り方は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにあります。
通らない稟議には、共通点があります
差し戻される稟議には、共通点があります。どれも、書き手が分かっていることを、読み手も分かっていると思いこんで書いたときに起きます。出す前に、次の表に当てはまる所がないかを見直します。
通らない稟議の共通点と、直し方| 共通点 | 承認する人が思うこと | 直し方 |
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| 理由が「老朽化のため」だけ | なぜ今年なのか分からない | 年式・修理の回数と日付・止まった日の影響を書く |
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| 見積が1社で「一式」だけ | 高いか安いか分からない | 同じ条件で比べるか、内訳と単価を示す |
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| 案が1つだけ | ほかに方法はないのか | 修理・部分の交換・更新・先送りを並べる |
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| しない場合のことがない | 来年度でもよいのでは | しない場合の費用と、暮らしへの影響を書く |
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| 予算のことがない | どこからお金を出すのか | 予算の区分、残りの額、足りない分の出し方を書く |
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| 期限がない | いつまでに決めればよいのか | 決めてほしい日と、その理由を書く |
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とくに多いのが、見積書を付ければ伝わると考えて、本文を短くしすぎる形です。見積書は「いくら」の材料にはなりますが、「なぜ今か」「ほかの方法」「しない場合」には答えていません。見積書を付けたうえで、4つの問いへの答えを本文に書きます。
反対に、長すぎる稟議も読まれにくくなります。業者の報告書を本文に写すと、何を決めればよいのかが埋もれます。本文は答えだけにして、報告書は別紙に回します。
差し戻されたら、指摘を4つの問いに当てて直します
差し戻されたときは、全部を書き直す必要はありません。指摘の言葉を、4つの問いのどれに当たるかに振り分け、足りない材料だけを足します。指摘の意味が分からないときは、その日のうちに承認する人に、何が足りないかを聞きます。
図5 書き直すのではなく、足りない問いの答えを足す。
差し戻しの言葉と、足す材料| 差し戻しの言葉 | 当たる問い | 足す材料 |
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| 「来年度ではだめか」 | なぜ今か・しない場合の費用 | 止まった日数と、1年あたりのしない場合の費用 |
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| 「高くないか」 | いくらが妥当か | 2社目の見積、単価の比べ、前回の請求書 |
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| 「修理で済まないのか」 | ほかの方法 | 修理の案の費用と、残る心配 |
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| 「予算はあるのか」 | 予算と財源 | 予算の区分と残りの額、予備費を使うか |
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| 「業者はどう選んだのか」 | いくらが妥当か | 頼んだ社数、比べた点、選んだ理由 |
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出し直すときは、直した所に下線や色を付け、表紙に「〇月〇日の指摘を受けて、2社目の見積と単価の比べを足しました」と1行書きます。承認する人は、前に読んだ所を読み直さずに済みます。
「予算はあるのか」と聞かれたときは、予算のどの区分から出すかを答えます。予定外の故障なら予備費、計画していた更新なら更新の区分です。修繕・更新・予備費に分けて予算を組む考え方は修繕の予算は、前の年の秋から3つの区分で組みますにまとめています。
モデルケース:給湯器の交換の稟議が、3回差し戻されていた住宅型有料老人ホーム
モデルケース:定員42名の住宅型有料老人ホーム(株式会社が運営)
給湯器の交換の稟議が、差し戻しなしで7日で通った
変わったこと(結果)
業務用給湯器の交換の稟議を、4つの問いに答える形で書き直したところ、差し戻しなしで、出してから7日で承認されました。同じ給湯器の稟議は、前の年に3回差し戻され、承認まで5週間かかっていました。工事は寒くなる前の11月に終わり、冬に入浴を清拭に替えた日はありませんでした。
背景と、困っていたこと
このホームでは、18年目の業務用給湯器2台のうち1台が、この1年で4回止まっていました。事務長は「老朽化のため交換したい」と書き、1社の見積「給湯設備更新工事 一式 240万円」を付けて本社に出しました。本社からは「なぜ今か」「高くないか」「修理で済まないのか」と、3回に分けて聞き返されました。
決めたこと
事務長は、修理の記録から、止まった4回の日付と、そのうち2回が夜間だったことを書き出しました。2社目の見積を同じ条件で取り、比較表を付けました。案は、修理、古い1台の交換、2台とも交換、先送りの4つを並べ、古い1台の交換を選びました。しない場合の費用は、1年あたり約36万円と計算しました。
進めてみて分かったこと
迷ったのは、2台とも交換する案を選ぶかでした。新しいほうの1台はまだ部品があるため、来年度以降の予算で計画すると書きました。1行目に「何を、いくらで、いつまでに」を書いたことで、本社の担当者が役員に説明する資料も、そのまま作れたと言われました。