建て替えの時期は、築年数より3つの材料で決まります
介護施設を何年で建て替えるか、という決まりはありません。建物にも法定の耐用年数がありますが、これは減価償却に使う会計の年数です。その年数を過ぎても、建物は使い続けられます。法定の耐用年数と減価償却の考え方は建物附属設備の耐用年数は、設備の区分で決まりますにまとめています。
建て替えの時期を決めるのは、次の3つの材料です。耐震の基準を満たしているか。建て替えたときに、今の設備の基準で同じ定員が入るか。配管を、建物を壊さずに更新できるか。築年数は、この3つを調べ始めるきっかけとして使います。
建て替えの時期を決める3つの材料| 材料 | 確かめること | 改修で延ばせる場合 | 建て替えを考える場合 |
|---|
| 耐震 | 1981年6月より前の基準か。耐震診断のIs値 | 新耐震か、補強で目標の値に届く | 補強の壁や筋かいで、居室や食堂が使いにくくなる |
|---|
| 今の設備の基準 | 居室の面積と定員、敷地の制限 | 今の部屋の形のままで、暮らし方と運営が回る | 多床室を変えたいのに、今の建物では個室にできない |
|---|
| 配管 | 管の材料と通り道、床下や天井裏の余裕 | 新しい管を通す道があり、系統ごとに替えられる | 管が床や壁に埋まり、居室を空けないと替えられない |
|---|
図1 3つの材料は、それぞれ別の書類で確かめる。
3つのうち、急ぐかどうかを決めるのは耐震です。設備の基準と配管は、使い勝手と費用の問題なので、準備に時間をかけられます。耐震は入居者の方と職員の命に関わるため、旧耐震の建物では、ほかの2つより先に診断を受けます。
同じ築40年台の建物でも、新耐震で配管を替えやすい建物と、旧耐震で管が床に埋まっている建物では、残りの使い方がまったく違います。築年数だけで「あと何年」と決めず、3つの材料を1枚の表にしてから、法人の中で話し合います。
旧耐震かどうかは、竣工の年ではなく確認の日付で見ます
耐震の基準は、1981年(昭和56年)6月1日に大きく改められました。この日より後の基準を新耐震、前の基準を旧耐震と呼びます。旧耐震の建物は、今の基準で求める強さに足りないことがあるため、耐震診断で確かめます。
見分けるときに気をつけたいのが、竣工の年です。建物は、建築確認を受けてから工事を始め、完成するまでに1年以上かかることがあります。1982年や1983年に完成した建物でも、確認を受けたのが1981年5月以前なら、旧耐震の基準で設計されています。竣工の年ではなく、確認済証の日付で見ます。
旧耐震か新耐震かを見分ける書類| 書類 | ある場所 | 見るところ |
|---|
| 確認済証 | 施設の保管書類(竣工図と一緒のことが多い) | 交付の日付。1981年6月1日より前なら旧耐震 |
|---|
| 検査済証 | 施設の保管書類 | 完成の検査の日付。確認の日付とは別 |
|---|
| 建築計画概要書 | 市区町村などの建築の担当で閲覧(古い建物は残っていないこともある) | 確認の年月日と番号 |
|---|
| 台帳記載事項証明書 | 市区町村などの建築の担当で発行 | 確認と検査の記録が残っているか |
|---|
| 竣工図 | 施設の保管書類 | 構造の種類と、増築した棟の年 |
|---|
図2 竣工の年ではなく、確認の日付で分かれる。
増築した棟がある施設は、棟ごとに確かめます。本館は旧耐震で、あとから建てた棟は新耐震、ということがよくあります。渡り廊下でつながっていても、構造が分かれていれば、診断も補強も棟ごとに考えます。
新耐震の建物でも、それだけで安心はできません。コンクリートのひび割れや、中の鉄筋のさびが進めば、強さは落ちていきます。建物の定期報告(12条点検)で指摘された傷みは、場所と写真を記録して、次の調査につなげます。定期報告の中身と受け忘れやすい点は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
耐震診断が求められる建物と、診断の流れ
耐震改修促進法では、旧耐震で今の耐震の基準に合わない建物のすべてに、耐震診断と、必要に応じた改修に努めることが求められています。老人ホームなど、避難に手助けが要る方が暮らす建物は、規模によって、行政の関わりが強くなります。
耐震改修促進法で、老人ホームなどに求められること(旧耐震の建物)| 規模 | 求められること | 行政の関わり |
|---|
| すべての規模 | 耐震診断と、必要に応じた改修に努める | 必要に応じて指導と助言 |
|---|
| 階数2以上かつ1,000㎡以上 | 同じく努める(特定既存耐震不適格建築物) | 指導と助言 |
|---|
| 階数2以上かつ2,000㎡以上 | 同じく努める | 指導と助言のほか、指示の対象。従わないと公表されることがある |
|---|
| 階数2以上かつ5,000㎡以上 | 耐震診断の義務。結果は2015年12月末までに報告(要緊急安全確認大規模建築物) | 診断の結果が公表される |
|---|
ここでいう老人ホームなどは、法令の言葉では「老人ホーム、老人短期入所施設、福祉ホームその他これらに類するもの」です。自分の施設がどこに当たるかは、建物のある市区町村などの建築の担当(所管行政庁)で確かめます。
図3 図面がそろっているかで、1と2の手間が変わる。
診断は、構造の分かる建築士の事務所に頼みます。予備調査で図面と建物を見比べ、現地調査でコンクリートの一部を抜き取って強さを調べ、計算で階ごとの値を出します。竣工図や構造の計算書が残っていないと、図面を起こし直す手間が加わり、日数も費用も増えます。
耐震診断や、補強の設計と工事には、自治体の補助がある場合があります。補助の条件として、決まった方法での診断や、第三者の判定を求められることがあります。頼む前に、自治体の担当に補助の有無と条件を聞いておくと、診断のやり直しを防げます。
診断の結果は、Is値0.6を目安に読みます
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の診断の結果は、Is値(構造耐震指標)という数字で出ます。国の告示では、Is値が0.6以上で、q値という別の指標も1.0以上なら、地震で倒れたり崩れたりする危険性が低い、とされています。木造は、評点(Iw値)1.0以上が同じ区分です。
耐震診断の結果の読み方(国の告示の区分)| 区分 | 鉄筋コンクリート造・鉄骨造 | 木造 |
|---|
| 倒壊し、又は崩壊する危険性が低い | Is値0.6以上、かつq値1.0以上 | Iw値1.0以上 |
|---|
| 倒壊し、又は崩壊する危険性がある | 上と下のどちらにも当たらない | Iw値0.7以上1.0未満 |
|---|
| 倒壊し、又は崩壊する危険性が高い | Is値0.3未満、またはq値0.5未満 | Iw値0.7未満 |
|---|
Is値は、階ごと、縦と横の向きごとに出ます。建物の評価は、いちばん低い値で決まります。介護施設では、1階に食堂や浴室、玄関ホールなど、壁の少ない広い部屋が集まることが多く、1階の値が低く出ることがあります。報告書では、どの階のどの向きが足りないのかを見ます。
危険性が高いと出たときは、補強か建て替えかを決めるまでの手当ても考えます。値の低い階から入居者の方の居室を移す、家具の転倒を防ぐ、避難の経路と手順を見直す、などです。補強の工事が終わるまでの間にも、地震は起こり得ます。
危険性があると出たときは、補強の案と費用を出してもらいます。危険性が低いと出たときも、終わりではありません。コンクリートの劣化と、残りの2つの材料(設備の基準と配管)を見て、建て替えの時期を考えます。
補強の目標の値は、0.6を下限として、法人の方針や補助の条件で上に置くこともあります。どこまで上げるかで、補強の量と費用が変わります。診断の報告の場で、目標の値ごとに補強の案を出してもらうと、比べやすくなります。
補強の方法で、使い勝手と工事中の暮らしが変わります
補強が要ると分かったら、方法を選びます。同じ値まで上げる補強でも、方法によって、居室や食堂の使い勝手と、工事中の入居者の方の暮らしへの影響が大きく違います。
主な補強の方法と、介護施設での向き不向き| 方法 | 中身 | 使い勝手と暮らしへの影響 | 向いている場所 |
|---|
| 耐震壁を増やす | 柱と梁の間に、鉄筋コンクリートの壁を足す | 窓や出入口がふさがる。工事の音と振動が大きい | 壁を足しても使い方に困らない部屋 |
|---|
| 鉄骨の筋かい(ブレース) | 柱と梁の枠に、鉄骨の筋かいを入れる | 部材が見えるが、光と風は通る | 窓の多い食堂や、廊下の端 |
|---|
| 柱の補強 | 柱に鋼板や炭素繊維を巻いて、粘りを増す | 1本ずつ進められ、工事の範囲が小さい | 柱の粘りが足りない建物 |
|---|
| 外側からの補強 | 建物の外に、フレームや控えの壁を付ける | 中の工事が少なく、暮らしたまま進めやすい | 建物のまわりの敷地に余裕がある建物 |
|---|
| 免震にする | 基礎の下などに、揺れを小さくする装置を入れる | 揺れそのものが小さくなるが、工事が大きく費用も高い | この先も長く使う建物 |
|---|
介護施設でよく問題になるのは、補強の部材が窓をふさぐことです。居室の窓は、明るさと風通しのもとで、避難の経路になることもあります。補強の案が出たら、図面の上だけで決めません。補強が入る部屋に職員と一緒に立って、ふさがる窓や通れなくなる場所を確かめます。
工事中の暮らしへの影響も、方法で変わります。壁を足す工事は、コンクリートを打つために型枠を組み、固まるまで待つ日が要ります。鉄骨の筋かいは、工場で作った部材を取り付けるため、施設の中で音の出る日を短くしやすい方法です。外側からの補強は、工事の多くが建物の外で進みます。
壁や天井に手を入れる補強では、着工の前に石綿(アスベスト)の事前調査が要ります。旧耐震の建物は石綿を含む建材が使われている見込みが高く、分析に回ると日数が延びます。大規模修繕の進め方と石綿の事前調査は大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。
建て替えると、今の設備の基準と敷地の制限がかかります
2つ目の材料は、今の設備の基準です。今ある施設は、建てた当時の基準のまま使い続けられることが多くあります。4人部屋が中心の特別養護老人ホームが、経過の措置などで運営を続けている例も多くあります。けれども建て替えると、新しい建物として今の基準に合わせます。
今の国の基準では、特別養護老人ホームの居室は、1人あたり10.65㎡以上で、定員は原則1人です。4人部屋をそのまま壁で4つに分けても、壁や出入口に面積をとられ、1室あたりの面積が足りなくなることが多くあります。施設の種類ごとの居室の面積はバリアフリー改修は、介護保険・バリアフリー法・建築基準法で決まりますにまとめています。
建て替えたときに、今の基準で変わること| 変わること | 今の建物を使い続ける場合 | 建て替えた場合 |
|---|
| 居室の定員と面積 | 建てた当時の基準のまま使えることが多い | 今の基準の面積と定員に合わせる |
|---|
| 暮らしの単位 | 従来型のまま使える | 補助の条件などで、ユニット型を求められることがある |
|---|
| 建物の大きさ | 容積率や高さの決まりが後から変わっても、そのまま使える(既存不適格) | 今の決まりの範囲でしか建てられない |
|---|
| 敷地と道路 | そのまま使える | 道路に接する長さなど、今の決まりに合わせる |
|---|
| バリアフリーと省エネ | 建てた当時の決まりのまま | 今の決まりに合わせる |
|---|
図4 建て替えると、部屋の形を変えられる代わりに、今の基準がかかる。
とくに見落としやすいのが、建物の大きさの制限です。建てたあとに容積率や日影の決まりが厳しくなった地域では、今の建物と同じ大きさを建て直せないことがあります。建て替えの話を始める前に、建築士に、敷地の条件で何㎡まで建つか、居室が何室取れるかを試算してもらいます。
建て替えずに、部屋の形を変える道もあります。多床室を間仕切りで分ける改修や、ユニット化の改修です。進め方は多床室の改修は、空ける居室の数で工事の区切りが決まりますで書いています。今の建物で暮らし方を変えられるなら、設備の基準は建て替えの理由になりません。
配管を更新できるかで、改修で延ばせる年数が決まります
3つ目の材料は配管です。建物の骨組みは長く持っても、給水・給湯・排水の管は、それより早く傷みます。管を何度か替えながら建物を使うのが前提です。そのため、建物を壊さずに管を替えられるかが、改修で延ばせる年数を左右します。
配管を更新できるかを見る5つの点| 見る点 | 替えやすい建物 | 替えにくい建物 |
|---|
| 管の通り道 | パイプスペースや天井裏を通っている | コンクリートの床や壁に埋め込まれている |
|---|
| 床下 | 人が入って作業できる床下の空間がある | 床下に空間がなく、床を壊さないと届かない |
|---|
| 天井裏の高さ | 新しい管やダクトを通す余裕がある | 梁の下に余裕がなく、天井を下げるしかない |
|---|
| 図面 | 設備の竣工図が残り、管の位置が分かる | 図面がなく、開けてみないと分からない |
|---|
| 止め方 | 階や系統ごとに分けて止められる | 1か所を止めると、建物全体の水が止まる |
|---|
管が床に埋まっている建物でも、替える方法がないわけではありません。古い管は使わないことにして、新しい管を廊下の天井や壁の外に沿わせて通す方法があります。ただし、天井が低くなる、見た目と掃除の手間が変わる、居室の中の工事で部屋を空ける日が要る、といった引き換えがあります。
管の傷み方は、材料と水の質で違います。設備ごとの更新の目安と、法定の耐用年数との違いは設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにまとめています。漏水や赤い水が続くようになったら、内視鏡や管の一部の抜き取りで、管の残りの厚さを調べてもらいます。
建て替えを10年以内に考えているなら、配管は全部を替えず、傷んだ系統だけを替えてつなぐ判断もあります。反対に、配管を全部替えれば建物をあと20年使えるなら、改修の値打ちは高くなります。配管の答えは、建て替えの年と組みにして考えます。
改修と建て替えは、1年あたりの費用と暮らしで比べます
3つの材料のどれかが改修で解けないと分かったら、改修と建て替えを同じ表に並べます。工事費の総額だけで比べると、たいてい改修のほうが安く見えます。総額を、その工事で使える年数で割り、1年あたりの費用で比べます。
費用の桁は、延床面積あたりの単価でつかめます。総務省の公共施設の更新費用の試算では、保健・福祉系の施設の単価を、1㎡あたり大規模改修20万円、建て替え36万円としています。延床3,000㎡なら、改修で約6億円、建て替えで約10.8億円です。公共施設の計画のための単価なので、今の工事費とは違います。桁と比率の目安として使います。㎡あたりの単価の使い方は大規模修繕の費用は㎡単価で桁をつかみ、量・単価・時期の3つで抑えますで書いています。
改修と建て替えを並べる表(延床3,000㎡の例)| 比べる項目 | 改修(補強と配管の更新) | 建て替え |
|---|
| 工事費の桁 | 約6億円(1㎡20万円の場合) | 約10.8億円(1㎡36万円の場合) |
|---|
| 使える年数 | 補強と更新で延ばせる年数。診断と調査で見積もる | 新しい建物として長く使う |
|---|
| 1年あたりの費用 | 工事費÷延ばせる年数+その間の修繕費 | (工事費+解体と仮の移転)÷使う年数 |
|---|
| 入居者の移動 | 暮らしたまま。階や棟ごとに部屋を移る | 仮の住まいか、敷地内の新しい棟へ移る |
|---|
| 定員 | 基本は変わらない。工事中は空床が出る | 今の基準と敷地の制限で変わることがある |
|---|
| 補助 | 耐震改修や大規模修繕の補助 | 老朽化した施設の改築などの補助 |
|---|
| かかる時間 | 診断・設計・工事。建て替えより短い | 設計・補助の手続き・工事。改修より長い |
|---|
たとえば、改修に6億円かけて20年延ばすなら、1年あたり3,000万円です。建て替えに10.8億円かけて60年使うなら、1年あたり1,800万円です。ここだけを見ると建て替えが有利ですが、建て替えには解体と仮の移転の費用、工事中の空床が加わります。改修には、延ばした20年の間の修繕費が加わります。足していくと、差は縮まることも広がることもあります(数字は比べ方を示すための例です)。
図5 解けない材料があるときに、建て替えと並べて比べる。
入居者の方の暮らしへの影響も、表に入れます。改修は暮らしたまま進めますが、工事の間に部屋を何度か移る方が出ます。建て替えは、敷地内に新しい棟を建てて移れるなら、移るのは1回で済みます。暮らしたまま進める工事の工程と、部屋の移り方は居ながら工事の工程表は、工事と暮らしの予定を重ねて作りますにまとめています。
法人の会議や理事会では、30年でかかる総額で案を並べると、比べやすくなります。資料の組み立て方は理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですで書いています。
建て替えの年を決めたら、それまでの修理の範囲を決めます
建て替えの年が決まったら、そこまでの修理の範囲を決めます。建て替えまで5年しかないのに、15年使う設備を全部入れ替えると、多くを使い切らないまま壊すことになります。いっぽうで、安全と雨と法令に関わる不具合は、残りの年数にかかわらず直します。
建て替えまでの残りの年数と、修理の考え方(例)| 残りの年数 | 直すもの | 控えるもの |
|---|
| 10年以上 | 計画どおりに更新する。止まると困る設備は先に替える | 建て替えで不要になる増築や模様替 |
|---|
| 5〜10年 | 止まると困る設備は替える。ほかは部分的な修理でつなぐ | 建物全体の仕上げのやり直し |
|---|
| 5年未満 | 安全・雨漏り・法定の点検で指摘された不具合を直す | 設備の一斉の入れ替えと、内装の全面的な改修 |
|---|
止まると困る設備は、施設ごとに違います。給湯器が1台しかない、エレベーターが1基しかない、という設備がその例です。残りの年数が短くても、止まったときの代わりを用意するか、更新を選びます。修理でつなぐか替えるかは、部品の見通しと、止まったときの影響で決めます。
建て替えまでの年数で計画の範囲を決める考え方は、長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにあります。建て替えの年を長期修繕計画に書き込み、毎年の予算を組むときに見直します。
モデルケース:竣工は1982年でも、確認は旧耐震だった特養
モデルケース:定員80名の従来型特別養護老人ホーム(鉄筋コンクリート造3階建て)
補強と建て替えを分けて決め、方針が9か月で固まった
変わったこと(結果)
「築44年だから、いずれ建て替え」という話が毎年持ち越されていた法人で、耐震診断の依頼から方針の決定まで9か月で固まりました。1階の4か所を鉄骨の筋かいで補強し、建て替えは8年後と年を置きました。建て替えまでに予定していた全館の空調の入れ替えは、止まった台から替える形に改め、その分を建て替えの準備に回しました。
背景と、困っていたこと
建物の竣工は1982年で、職員も法人の本部も新耐震だと思っていました。定期報告の準備で確認済証を出したところ、確認の日付は1981年3月でした。4人部屋が中心で、入居の相談では個室を望む声が増えていました。給水管は床のコンクリートに埋め込まれ、ここ2年で居室の床からの漏水が3回ありました。
決めたこと
事務長は、3つの材料を1枚の表にして、構造の分かる建築士の事務所に耐震診断を頼みました。結果は、2階と3階はIs値0.6以上で、1階の食堂のある向きだけが0.6を下回りました。配管は、居室を順に空けないと替えられないと分かりました。建て替えた場合は、敷地内の駐車場に新しい棟を建てれば、ユニット型で80名が入ると試算されました。
迷ったのは、1階を補強しても、配管と部屋の形の問題は残ることでした。決め手は、補強が1階の4か所で済み、暮らしたまま2か月で終わる見込みだったことです。安全は補強で先に確保し、配管と個室の問題は建て替えで解く、と分けて決めました。
進めてみて分かったこと
築年数で話していたころは、「いつ建て替えるか」だけが議題でした。材料ごとに分けると、急ぐもの(耐震)と、時間をかけて準備するもの(配管と部屋の形)が分かれました。毎年の会議で決めることも、はっきりしました。