日常は工務店と年間で付き合い、大きな工事は比べて選びます
介護施設と地元の工務店の付き合い方は、工事の大きさで2つに分けて考えます。扉の調整や床の補修のような日常の修理は、同じ工務店に続けて頼み、1年を通した関係で回します。外壁や屋上の改修のような大きな工事は、付き合いのある工務店も候補の1社として、ほかの会社と比べて選びます。
図1 日常は関係で回し、大きな工事は比べて選ぶ。
日常の修理と大きな工事の、頼み方の違い| 見ること | 日常の修理 | 大きな工事 |
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| 工事の例 | 扉の調整、床や壁の補修、雨どいの掃除 | 外壁の改修、屋上防水、浴室の改修 |
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| 頼む先 | いつもの工務店 | 工務店を含めた何社か |
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| 決め方 | 電話や巡回のときに、その場で頼む | 仕様書をもとに、見積合わせや入札で決める |
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| 比べる時期 | 年に1回、単価と来るまでの時間を振り返る | 工事ごとに、同じ条件で比べる |
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| 決める人 | 施設の担当者や事務長 | 本部や理事会 |
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2つに分けるのは、工務店を疑うためではありません。日常の修理では、近さと建物の知識が何より役に立ち、毎回比べていたら直るのが遅れます。大きな工事では、金額が大きいぶん、法人の決まりや説明の責任から、比べて選ぶことが求められます。この線を工務店とも共有しておくと、どちらの場面でも気持ちよく付き合えます。
金額と急ぎで頼み方を分ける早見表は修繕の頼み先は、金額と急ぎの2つで4つに分かれますにまとめています。この記事では、地元の工務店との付き合いと、大きな工事で使う入札の手順に絞って書きます。
地元の工務店の強みは近さと建物の知識、限界は体制と分野です
地元の工務店のよさは、施設のすぐ近くにいて、建物のことをよく知っていることです。長く頼んでいれば、どの扉が重くなりやすいか、どこの床が浮きやすいかまで覚えています。いっぽうで、人数の少ない会社が多く、大きな工事の現場をまとめる体制や、分野の広さには限りがあることがあります。
地元の工務店の強みと限界| 見ること | 強み | 限界 |
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| 距離 | 近いので、呼べばすぐ来てくれる | ほかの大きな現場に、人を取られることがある |
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| 建物の知識 | 建物の癖や、前に直した所を覚えている | 記録が社長や職人の頭の中だけにあることがある |
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| 分野 | 大工仕事・内装・建具は自社でできる | 防水・空調・電気などは協力業者まかせになりやすい |
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| 体制 | 社長や職人と直接話せ、話が早い | 人数が少なく、大きな工事の現場管理や書類に手が回りにくい |
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| 費用 | 小さな修理を細かく受けてくれる | 大きな工事では、協力業者に回す分の経費が乗る |
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| 続くか | 長い付き合いで、施設の事情を分かってくれる | 高齢化や後継ぎの事情で、廃業や代替わりがありうる |
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限界は、工務店の落ち度ではありません。会社の大きさと、得意な仕事の違いです。限界を知っておくと、工務店に無理な仕事を頼まずに済み、得意な仕事を気持ちよく任せられます。
最後の「続くか」は、付き合いが長いほど気になる点です。工務店がいなくなる日への備え方は工務店がいなくなる日は、記録と2社目で備えますにまとめています。新しく地元の工務店を探すときに、紹介をもらう方法は修繕業者の紹介は、団体と同業の施設の2つの経路で集めますにあります。
1年を通した付き合いは、5つの節目で回します
日常の修理を同じ工務店に頼むときは、1件ずつの電話のやり取りで終わらせず、1年を通した節目を決めておきます。節目があると、工務店も施設の予定を読めるようになり、混む時期にも施設の仕事の枠を空けてくれやすくなります。
図2 節目を決めておくと、工務店も施設の予定を読める。
1年の初めに、工務店と決めておくこと| 決めること | 決め方の例 |
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| 頼む範囲 | 建具・内装・大工仕事は工務店。水まわりと電気は、協力業者が来るか、別に頼むか |
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| 単価と出張費 | 1時間や半日の手間の単価、出張費、最低料金を書面でもらう |
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| まとめて頼む日 | 毎月第2火曜の午後など、来てもらう日を決める |
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| 急ぎの連絡 | 平日の日中、夜間、休日に、それぞれ誰に連絡するか |
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| 記録の渡し方 | 直した所の写真と、使った部品の型番を、毎回もらう |
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10月に翌年度の予定を伝えるのは、工務店が人と材料の手配を考えられるようにするためです。「来年の夏に2階の居室の床を張り替えたい」と半年以上前に分かっていれば、工務店は職人の予定を空けられます。施設にとっても、予算を組む前に概算を聞けるので、予算の組み立てが楽になります。
3月の振り返りでは、1年に頼んだ件数、かかった費用、連絡から来るまでの日数を並べます。数字で振り返ると、来年もこのまま頼むか、範囲を変えるかを、工務店と同じ材料で話し合えます。毎月まとめて来てもらう日を、定期の巡回として契約で決めるやり方は定期の営繕契約は、頻度・範囲・費用の順に決めますにまとめています。
工務店に任せる工事と比べる工事の線を引き、比べるときは同じ条件で頼みます
日常の修理と大きな工事の境目は、施設ごとに決めておきます。線がないと、気づいたら数百万円の工事まで、いつもの工務店に比べずに頼んでいた、ということが起きます。反対に、数万円の修理まで相見積を取っていては、直るのが遅れます。
図3 金額の線と分野の線のどちらかに当たれば、比べて選ぶ。
- 金額の線法人の規程で、相見積や入札が要る金額を線にします。社会福祉法人なら、国の通知の金額も線になります。
- 分野の線防水・空調・電気・設備など、工務店が協力業者に回す分野の大きな工事は、専門の会社と比べます。
- 頻度の線同じ所の修理が年に何度も続くなら、直し続けるか更新するかを、比べて決め直します。
線を引いたら、工務店にも伝えておきます。「この金額を超える工事は、ほかの会社とも比べる決まりです」と前もって言っておけば、工務店も比べられることを前提に見積を出せます。比べられると知らずに出した見積がほかの会社と並べられると、工務店は不意を突かれたと感じます。
付き合いが長いと、工務店にだけ先に工事の話をしたり、ほかの会社より詳しく説明したりしがちです。けれども、1社だけが詳しい話を知っていると、比べた結果を本部や理事会に説明しにくくなります。仕様書や依頼文は全社に同じものを渡し、質問の答えも全社に返します。条件をそろえて見積を頼む方法は見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作りますにまとめています。
比べた結果、工務店に決まらなかったときも、日常の修理の付き合いは続けられます。工務店にとっても、ほかの会社の進め方を知る機会になり、比べたうえで選ばれれば、施設は理由を添えて安心して頼めます。
入札と見積合わせは、札の出し方と交渉の有無が違います
大きな工事の業者を比べて選ぶ方法には、見積合わせと入札があります。どちらも何社かを比べる点は同じですが、札の出し方、開け方、交渉の有無が違います。
入札と見積合わせの違い| 見ること | 見積合わせ | 入札 |
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| 出してもらうもの | 見積書 | 封をした入札書(金額)と、決めた書類 |
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| 出す時期 | 会社ごとに届いた順 | 決めた日時まで。それより後は受け取らない |
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| 開け方 | 届いたものから読む | 決めた日時に、立ち会いのもとで一度に開ける |
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| 交渉 | 範囲や金額を、会社ごとにすり合わせることがある | 札を開けたあとに、金額の交渉はしないのが基本 |
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| 向く工事 | 中身がはっきりした中くらいの工事 | 金額が大きく、法人の決まりで入札が要る工事 |
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| 施設の手間 | 条件書づくりと、見積の読み比べ | 仕様書、参加の条件、現場説明、開札、評価の段取り |
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社会福祉法人では、国の通知で、どちらを使うかの目安が決まっています。会計監査を受けない法人では、予定価格が1,000万円以下の契約なら、随意契約(見積合わせ)にできます。その見積合わせは、令和8年4月から、工事の請負で400万円以下なら2社以上、超えると3社以上から見積を取って比べるなどします。
予定価格が1,000万円を超える契約は、金額を理由にした随意契約の範囲を超えます。緊急の復旧工事など、通知が挙げる理由にあたらなければ、入札などの競争で選びます。見積を取る社数の考え方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにまとめています。
補助金を使う工事では、補助の要綱で、業者の選び方にさらに条件がつくことがあります。補助のときの選び方は補助を使う工事では、相見積か入札かを交付の条件で確かめますにあります。株式会社などが運営する施設でも、本部の規程で入札や相見積の金額が決まっていることがあるので、先に確かめます。
入札は6つの段階で進め、仕様書のあと2〜3か月を見込みます
入札は、仕様書を作る、参加する会社を決める、現場説明と質問への答え、入札と開札、評価、承認と契約の6つの段階で進めます。仕様書ができてから契約までに、2〜3か月ほどを見込みます。
図4 段階ごとに記録を残すと、決めた理由をそのまま説明できる。
入札の手順と、日数の目安| 段階 | すること | 日数の目安 | 施設で担う人 |
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| 1. 仕様書を作る | 範囲・数量・工法・居ながらの条件・工期・保証を書く | 設計事務所に頼むなら1〜3か月 | 事務長、設計事務所 |
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| 2. 参加する会社を決める | 参加の条件を決め、公募か指名で会社を集める | 1〜2週間 | 事務長、本部 |
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| 3. 現場説明と質問への答え | 全社に同じ説明をし、質問の答えを全社に返す | 1〜2週間 | 事務長、施設長 |
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| 4. 入札と開札 | 見積の期間を置いて札を受け取り、決めた日時に開ける | 予定価格500万円以上なら中10日以上 | 開札に立ち会う2人以上 |
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| 5. 評価して決める | 決めておいた基準で点をつけ、理由を残す | 1〜2週間 | 評価する人を3人ほど |
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| 6. 承認と契約 | 理事会などで承認を受け、契約書を交わす | 法人の会議の日程しだい | 理事長、本部 |
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日数は、工事の大きさと法人の会議の日程で変わる目安です。予定価格5,000万円以上の工事は、見積の期間が中15日以上になります。
社会福祉法人では、国の通知で、法人にとっての「重要な契約」は理事会で決め、契約の結果を理事会に報告することとされています。理事会の日程から逆算して、仕様書を作り始める時期を決めます。年度の後半の理事会で承認を受けるなら、春から夏のうちに仕様書に取りかかります。
入札の手順①:仕様書で、全社に同じ工事を見積もってもらいます
仕様書は、入札の土台です。仕様書があいまいだと、会社ごとに別の工事を思い描いた札が出て、金額を比べても意味がなくなります。仕様書には、何を、どこまで、どの材料と工法で、どんな条件の中で直すかを書きます。
入札の仕様書に書くこと| 項目 | 書くことの例 |
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| 工事の範囲 | 北面と東面の外壁の塗装と、ひび割れの補修。屋上は含まない |
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| 数量 | 塗る面積〇㎡、シーリングの長さ〇m(図面か調査の結果から) |
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| 材料と工法 | 塗料の種類とグレード、下地の補修の方法、塗る回数 |
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| 居ながらの条件 | 作業は平日の9時〜17時。食事の時間は音の出る作業を止める |
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| 工期と作業しない日 | 〇月〜〇月。行事の日と、入浴の多い曜日の午前は作業しない |
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| 仮設と養生 | 足場の範囲、窓の養生、通路の確保、職員と入居者の方の動線 |
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| 保証と検査 | 保証の年数と範囲、完了の検査と引き渡しの書類 |
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| 出してもらう書類 | 入札書、内訳書、工程表、体制の表、許可の写し、保険の写し |
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入居者の方がいる中の工事では、居ながらの条件が金額を大きく左右します。仮設・養生・時間帯の割増が、総額の2割〜4割になることもあります。この条件を仕様書に書いておかないと、着工してから「この時間帯では作業できない」と、追加の費用を求められることがあります。
仕様書は、工事の種類が1つで範囲がはっきりしていれば、施設でも作れます。外壁と屋上をまとめるなど範囲が広い工事は、設計事務所などに調査と仕様書を頼むと、全社が同じ工事を見積もれます。設計と施工を分ける方式の選び方は設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますにまとめています。
入札の手順②:参加する会社を決め、現場説明で建物を見てもらいます
仕様書ができたら、参加する会社を決めます。広く募る形(公募)と、施設が声をかける形(指名)があり、どちらを使えるかは法人の経理規程で確かめます。どちらの形でも、参加の条件を先に決めて書面にしておきます。
- 許可の業種工事の種類に合う建設業の許可を持っていること。500万円以上の工事では、この許可がないと請け負えません。
- 同じような工事の実績入居者の方がいる建物での、同じ種類の工事の実績があること。
- 保険工事中の事故に備える保険に入っていること。
- 施設までの距離工事中の急な手直しや、引き渡しのあとの点検に来られること。
- 付き合いのある工務店の扱い条件を満たせば、ほかの会社と同じ扱いで参加できること。
許可は、国土交通省の検索システムで、業種と有効期間まで確かめます。調べ方は老人ホームの営繕業者は、公的な記録で確かめられますにまとめています。
現場説明は、参加する会社に建物を見てもらい、仕様書だけでは伝わらないことを伝える場です。工事できる時間帯、入居者の方の動線、材料の置き場、駐車する場所、質問の締切と答え方を説明します。会社どうしが顔を合わせないよう、1社ずつ時間を分けて案内する方法もあります。どの形でも、説明の中身は全社で同じにします。
質問は書面で受け、答えは質問した会社の名前を伏せて、全社に同じものを返します。答えの中で範囲や数量を変えたときは、仕様書の変更として全社に知らせます。建設業法では、工事を頼む側が、見積に要る期間を置くことになっています。予定価格500万円以上5,000万円未満の工事は中10日以上、5,000万円以上は中15日以上です。質問の答えを返した日から入札の日までも、余裕をもって決めます。
入札の手順③:決めた日時に、立ち会いのもとで開札します
入札の日は、決めた日時までに、封をした入札書を受け取ります。締切を過ぎたものは受け取りません。開札は、決めた日時と場所で、施設の側から2人以上が立ち会って行います。参加した会社の立ち会いを認めるかも、先に決めておきます。
開札の日にすることと、残す記録| すること | 残す記録 |
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| 入札書を受け取る | 受け取った日時、会社名、封がされていたか |
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| 立ち会いのもとで開ける | 開けた日時と場所、立ち会った人の名前 |
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| 金額を読み上げて書き取る | 会社ごとの入札の金額と、内訳書の有無 |
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| 予定価格と照らす | 予定価格の内か外か。外ならその扱い |
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| 辞退や無効を記録する | 辞退した会社とその理由、書類が欠けて無効にした札 |
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予定価格は、法人が見込む上限の金額で、開札の前に決めておきます。国の通知では、実績や予算、実例の価格などを考えて適正に定め、施設整備では設計事務所の意見を聞くなどして決めることとされています。すべての札が予定価格を超えたときの扱い(再度の入札をするかなど)も、先に決めておきます。
国の通知は、入札者がないときや、再度の入札でも落札者がないときを、随意契約によることができる場合に挙げています。そのときも、なぜ入札で決まらなかったかを記録に残し、随意契約の相手と金額を決めた理由を書いておきます。
安すぎる札が出たときは、すぐに決めずに中身を聞きます。範囲の読み違いや、養生・仮設の抜けで安くなっていることがあるからです。内訳を出してもらい、仕様書どおりに工事できるかを確かめます。どこまで下がったら中身を聞くかも、入札の前に決めておくと迷いません。
金額だけで決めない評価は、基準を札を開ける前に決めます
入札は、いちばん安い札の会社に決める方法だけではありません。金額と工事の中身を点数にして合わせ、合計の高い会社に決める方法もあります。公共工事で使われる「総合評価」と同じ考え方です。介護施設の工事では、入居者の方がいる中でどう進めるかが、金額と同じように暮らしに響きます。
この方法で守ることは1つです。評価の項目と配点を札を開ける前に決め、参加する会社に伝えておくことです。開けてから基準を決めたり変えたりすると、どの会社に決めても、理由を説明できなくなります。
金額だけで決めない評価の項目と、見るもの| 項目 | 見るもの | 出してもらう書類 |
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| 金額 | 入札の金額。安いほど点が高い | 入札書と内訳書 |
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| 工程と居ながらの段取り | 作業の時間帯、騒音や粉じんの対策、入居者の方の動線の守り方 | 工程表と、居ながらの段取りの説明 |
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| 現場の体制 | 現場をまとめる人の経験、職人の数、施設との連絡の仕方 | 体制の表 |
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| 同じような工事の実績 | 入居者のいる建物での、同じ種類の工事の件数と中身 | 実績の一覧 |
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| 保証と点検 | 保証の年数と範囲、引き渡しのあとの点検の回数 | 保証の内容の書面 |
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図5 配点は例。法人の決まりと工事の中身に合わせ、札を開ける前に決める。
配点は、工事の中身で変えます。入居者の方の暮らしに近い浴室や居室の工事では、工程と居ながらの段取りの点を重くします。外壁のように建物の外で進む工事では、金額と保証の点を重くする、という考え方もあります。点は1人でつけず、3人ほどでつけて合計すると、偏りが減ります。
社会福祉法人で金額以外の評価を入れるときは、法人の経理規程で落札者の決め方がどう書かれているかと、所轄庁の考え方を先に確かめます。決めた理由は、評価の表のまま理事会の資料にできます。理事会に出す資料の組み立て方は理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにまとめています。
モデルケース:初めて入札で外壁の改修の業者を選んだ特別養護老人ホーム
モデルケース:定員70名の特別養護老人ホーム(社会福祉法人)
仕様書づくりから契約まで5か月。選んだ理由を評価の表で示せた
変わったこと(結果)
初めての入札を、仕様書づくりから契約まで5か月で終えました。4社の札を、先に決めた配点で比べ、評価の表をそのまま理事会の資料にしました。前の改修のときは、見積の比べ方をめぐって本部と6回やり取りしましたが、今回は2回で済みました。落札しなかった地元の工務店とも、日常の修理の付き合いを続けています。
背景と、困っていたこと
この特養は開設から20年がたち、外壁のひび割れとシーリングの切れが目立っていました。修理はこれまで、近くの工務店にほとんど任せてきました。外壁の改修は予定価格が1,000万円を大きく超える見込みで、法人の規程と国の通知から、入札で業者を選ぶことになりました。事務長にも施設長にも、入札を進めた経験はありませんでした。
決めたこと
事務長は、設計事務所に建物の調査と仕様書を頼みました。作業は平日の日中だけ、食事の時間は音の出る作業を止める、と居ながらの条件も書き込んでもらいました。参加の条件は、工事に合う業種の建設業の許可、入居者のいる建物での外壁の工事の実績、車で1時間以内の距離としました。工務店を含む5社に声をかけ、1社が辞退しました。配点は、金額50点、工程と居ながらの段取り30点、体制と保証20点と決め、入札の前に4社へ伝えました。
進めてみて分かったこと
現場説明は1社ずつ行い、出た質問の答えは4社に同じものを返しました。合計の点がいちばん高かったのは、金額では2番目で、居ながらの段取りを曜日ごとに具体的に示した会社でした。工務店は、塗装を協力会社に回す分の経費が乗り、金額で差がつきました。事務長は結果と理由を工務店に直接伝え、工事のあいだも施設の日常の修理はこれまでどおり頼むと話しました。