兼務の限界は、時間より先に判断に表れます
施設長や事務長が営繕を兼ねていると、忙しさは残業の時間に出ると思われがちです。けれども、先に崩れるのは判断のほうです。時間が足りないとき、人は作業を削るより先に、考える手間を削ります。見積を比べない、決めるのを先に延ばす、確かめずに任せる、という形で表れます。
判断が崩れても、しばらくは何も起きません。修理は遅れながらも進み、請求書は払われます。そのため本人は「まだ回っている」と感じます。問題が見えるのは、同じ故障が繰り返したときや、法定点検の期限が過ぎていたと分かったときです。
図1 時間のサインは本人も気づくが、判断のサインは気づきにくい。
兼務の負担が重くなる時期は、本来の仕事の忙しい時期と重なります。営繕の故障は夏と冬に増えやすく、そこに本来の仕事の締切がぶつかると、判断が一気に粗くなります。
兼務で営繕を受け持つ人と、ぶつかりやすい本来の仕事| 兼ねている人 | 本来の仕事 | 営繕とぶつかりやすい場面 |
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| 施設長 | 入居の相談、ご家族への対応、職員の面談 | 入居の相談が続く時期に、空調や給湯の故障が重なる |
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| 事務長 | 請求、給与、決算、契約の事務 | 月初の請求や年度末の決算と、修理の見積の比べが重なる |
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| 生活相談員 | 入居や退居の調整、ご家族への連絡 | 退居のあとの居室の修繕と、次の入居の調整が重なる |
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| 介護のリーダー | 勤務表づくり、介護、新人の指導 | 人手の少ない日に、業者の立ち会いが入る |
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限界を知らせるサインは、7つあります
兼務の限界は、次の7つのサインで確かめます。どれも判断に出るサインで、本人より周りの職員や業者、経理の担当のほうが先に気づくことの多いものです。
兼務の限界を知らせる7つのサイン| サイン | 具体的な場面 | 放っておくと起きること |
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| 1. 比べずに決める | 見積を1社だけで決め、ほかを当たらない | 高い修理費に気づけない |
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| 2. 先に延ばす | 急がない修理の判断を、何週間も「来週」にする | 小さな不具合が、大きな故障になる |
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| 3. あとから知る | 請求書が届いて初めて、修理の中身を知る | 承認の線が崩れ、費用が見えなくなる |
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| 4. 様子見が続く | 同じ不具合が2回以上出ても、様子を見る | 同じ修理に何度も費用がかかる |
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| 5. 記録が空く | 去年の同じ時期に何を直したか、答えられない | 予算や計画の根拠がなくなる |
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| 6. 期限を人に言われる | 点検や報告の期限を、事務の職員や業者に言われて気づく | 法定の点検や報告が遅れる |
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| 7. 報告が減る | 職員からの修理の話が、前より届かなくなる | 気づかれていない不具合が増える |
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図2 2つ以上なら、手放す仕事を決めて本部に伝える準備を始める。
2つ以上は、手放す準備を始める目安です。1つだけでも、6の「期限を人に言われる」は法令に関わるので、早めに手を打ちます。7の「報告が減る」は、職員が「言っても直らない」と感じ始めた合図です。直ったかどうかが職員に返っていない状態が続いています。
サインは、月に1回数えます。数が増えていく月が続いたら、手放す仕事を広げる時期です。反対に、手放したあとに数が減っていけば、渡し方が合っていると分かります。
本人より先に、周りの人が気づきます
兼務の限界は、本人が最後に気づくことがよくあります。忙しい人ほど、自分の判断が粗くなっていることを振り返る時間がないからです。周りの人に出ているサインを拾うと、本人が気づく前に手を打てます。
周りの人に出るサインと、伝え方の例| 気づく人 | 出ているサイン | 本人への伝え方の例 |
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| 介護の職員 | 修理の話をしても返事がない。直ったか分からない | 「報告した修理の一覧を作ったので、見てもらえますか」 |
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| 事務・経理の職員 | 請求書の確かめが遅れる。承認が後回しになる | 「今月、承認待ちの請求が〇件あります」 |
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| 業者 | 折り返しの電話がつかない。日程が決まらない | 「日程のご連絡を、事務の担当にしてもよいですか」 |
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| 法人の本部 | 修繕費の報告が遅れる。予算の説明があいまい | 「修理の件数と費用を、月ごとに並べてもらえますか」 |
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伝えるときは、「大丈夫ですか」と聞くより、件数や一覧を見せるほうが届きます。忙しい人は「大丈夫」と答えるからです。数字を見せると、本人も自分の状態を外から見られます。
施設長や事務長が自分で確かめるなら、月に1回、自分あての問いを3つだけ立てます。「今、判断を止めている修理は何件か」「最後に見積を比べたのはいつか」「次の法定点検の期限はいつか」です。3つにすぐ答えられなければ、手放す準備を始める時期です。
「誰に任せるか」より先に、「何を手放すか」を決めます
負担を減らすとき、「誰に任せるか」から考えると、引き受けられそうな人がいないところで話が止まります。先に決めるのは「何を手放すか」です。兼務の人が抱えている営繕の仕事を、運ぶ仕事と決める仕事の2つに分けます。
兼務の営繕の仕事を、運ぶ仕事と決める仕事に分ける| 仕事 | 分け | 手放しやすさ |
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| 業者を探して電話をかける | 運ぶ仕事 | 手放しやすい |
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| 工事の日程を調整する | 運ぶ仕事 | 手放しやすい |
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| 修理の記録と写真を整理する | 運ぶ仕事 | 手放しやすい |
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| 職員から修理の話を受ける | 運ぶ仕事 | 受ける人を決めれば手放せる |
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| 業者の作業に立ち会う | 運ぶ仕事 | 鍵と声かけの決まりを作れば手放せる |
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| 見積を比べて案をつくる | 決める材料づくり | 比べ方を決めれば手放せる |
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| 直すか替えるかを決める | 決める仕事 | 手元に残す |
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| 費用を承認する | 決める仕事 | 手元に残す |
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| どの修理を先にするか決める | 決める仕事 | 手元に残す |
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運ぶ仕事は、手順にしやすく、間違えてもやり直せます。決める仕事は、施設の事情と予算を知っている人にしかできません。兼務の人が手元に残すのは、優先順位と費用の承認の2つで足ります。
「直すか替えるか」は決める仕事ですが、判断の材料までを1人で集める必要はありません。材料を外にそろえてもらい、自分は決めることに時間を使うと、判断の重さが軽くなります。
施設側としては、修理で済むのか、交換したほうがいいのか判断しづらかったのですが、必要な対応について説明してもらえたので、施設長とも相談しながら進めることができました。
ご利用者の声 東京都内・介護施設/事務長
取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。
手放す順番は、手配と記録からです
手放す順番は、判断の要らない仕事から始めます。最初は業者探しと日程の調整、次に記録の整理です。この2つは手順に書きやすく、渡した相手が迷いにくい仕事です。
図3 判断の要らない仕事から渡し、決める仕事は手元に残す。
手配から始めるのは、減る時間がいちばん大きいからです。業者を探す電話は、1件の修理で何本にもなり、折り返しを待つ間も頭から離れません。記録を2番目にするのは、手配を渡したあと、記録が別々の場所に残ると、あとで探す手間がかえって増えるからです。
1つ渡したら、2〜4週間は様子を見ます。次の4つを確かめてから、次の仕事を渡します。
- 仕事が戻ってきていないか業者からの電話が、まだ自分にかかってきていないかを見ます。
- 承認の線を越えていないか決めた金額を超える修理が、承認なしで進んでいないかを見ます。
- 記録がそろっているか月末に、直した修理の一覧と費用がそろっているかを見ます。
- 渡した相手の時間渡した相手の本来の仕事が、遅れていないかを聞きます。
戻ってきた仕事があれば、渡し方のどこが足りなかったかを、渡した相手と一緒に見直します。たいていは、承認の線か、業者への連絡先の伝え直しのどちらかで直ります。
手放す先は、施設の中・法人の本部・外の3つです
手放す先は、施設の中の職員、法人の本部、外の3つです。仕事ごとに向く先が違います。1つの先にすべてを渡すより、仕事ごとに分けると、渡された側の負担も重くなりすぎません。
手放す先ごとの、向く仕事と気をつけること| 手放す先 | 向く仕事 | 気をつけること |
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| 施設の中の職員(事務・リーダー) | 職員から話を受ける、記録の整理、日程の連絡 | 本来の仕事の時間を、週に何時間まで使ってよいか決める |
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| 法人の本部 | 業者の一覧の管理、見積の比べ方、大きな工事の段取り | 本部が遠いと、急ぎの修理に間に合わない |
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| 外(巡回・窓口・代行) | 業者探し、日程の調整、見積の取りまとめ、記録 | 費用がかかる。承認の金額の線を契約に書く |
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施設の中の職員に渡すときは、職種ごとにどの役割を受け持つかを表にすると、1人に集まり直すのを防げます。職種と時間帯で役割を分ける表の作り方は設備の管理は6つの役割に分け、職種と時間帯で受け持ちますにまとめています。
外に渡す場合も、不具合に気づくことと、費用を承認して決めることは施設に残ります。外に任せたあと施設に残る仕事は営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますに、外に任せるときのデメリットと防ぎ方は営繕は外注してかまいません。デメリットは契約の前に手を打てますにあります。
当窓口は、フォームとLINEで24時間ご相談を受け、1回のご依頼で最大3社の見積をそろえます。業者探しと見積の取りまとめを手放したいときの外の先の1つです。毎日のように職員の手で直せる小さな修理が出る施設では、施設の中で受け持つ人を決めるほうが早く片付きます。
手放す前に、3つを決めておきます
仕事を渡す前に、3つを決めておきます。いくらまでなら渡した相手の判断で進めてよいか、どんな修理を急ぎとするか、どの業者に頼んでいるか、の3つです。決めずに渡すと、結局すべての判断が兼務の人に戻ってきます。
手放す前に決めておく3つ| 決めること | 決め方の例 | 決めないと起きること |
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| 承認の金額の線 | 5万円未満は渡した相手の判断で進め、それ以上は承認を取る | すべての修理が承認待ちで止まる |
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| 急ぎの線 | 水が止まらない、入浴できない、ナースコールが鳴らない、は急ぎ | 急がない修理まで、夜に電話が来る |
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| 業者の一覧 | 分野ごとに、頼んでいる業者と連絡先、前回の修理 | 渡した相手が、業者を一から探す |
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図4 3つを決めてから渡すと、判断が兼務の人に戻ってこない。
承認の金額の線は、施設の規模と月の修理の件数で変わります。線を低くしすぎると承認待ちが増え、高くしすぎると費用が見えなくなります。最初は低めに引き、3か月の実績を見て上げていくと、渡した相手も慣れていけます。
業者の一覧は、渡す相手が最初に開く資料です。兼務の人の頭の中にある「この分野はこの会社」という付き合いを書き出しておくと、渡した相手が一から探さずに済みます。一覧の作り方は修理業者を毎回探す手間は、業者台帳で消せますにまとめています。
放っておくと、修理より大きな困りごとにつながります
兼務の限界のサインを放っておくと、困りごとは修理の遅れだけでは済みません。法令の期限、修理費、契約の決まり、職員の気づき、そして担当の人そのものに広がります。
サインを放っておいたときに起きやすいこと| 広がる先 | 起きやすいこと |
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| 法令の期限 | 消防用設備の点検や報告、建物の定期報告の時期を過ぎる |
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| 修理費 | 小さな不具合のうちに直さず、部品の交換や入替になる |
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| 契約の決まり | 社会福祉法人で、見積合わせが要る金額なのに1社で決めてしまう |
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| 職員の気づき | 報告しても返事がないので、職員が不具合を伝えなくなる |
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| 担当の人 | 休職や退職で、営繕の仕事が一度に止まる |
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消防用設備の点検は、機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。介護施設のような特定防火対象物は、1年に1回、消防署に結果を報告します。期限の管理は、兼務の人の頭の中ではなく、年間の予定表に置きます。点検の頻度と決まりは消防設備の点検は年2回、消防署への報告は年1回ですにまとめています。
社会福祉法人の工事の請負では、令和8年4月から、2社の見積で足りるのは400万円以下です。それを超えると3社以上から見積を取ります。比べずに決めるサインは、法人の契約の決まりに触れることもあります。
担当の人が休職や退職で抜けると、それまで1人に集まっていた業者とのつながりや機器の情報が、一度に失われます。営繕が特定の人に集まる仕組みと、ほどき方は営繕の属人化は、4つの経路を決まった順にほどきますにまとめています。
法人の本部には、件数と費用の見込みを1枚で伝えます
手放すには、人や費用について法人の本部の了解が要ることがあります。本部に伝えるときは、「大変です」ではなく、件数と時間と費用で伝えます。1枚の紙に、5つの項目を並べます。
本部に出す1枚に書く5つ| 項目 | 書く中身の例 |
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| 今の状態 | 判断を止めている修理が14件、うち1か月を超えたものが6件 |
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| 手放したい仕事 | 業者探しと日程の調整、記録の整理 |
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| 手放す先と費用の見込み | 事務の職員に週3時間、外の受付と手配に年〇万円 |
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| 手放さないときに起きること | 点検の報告の遅れ、同じ故障の修理の繰り返し |
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| 3か月後に見る数字 | 止まっている修理の件数、直るまでの日数、兼務の人の営繕の時間 |
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図5 件数・時間・費用の数字で、1枚に5つを並べる。
時間の数字があると、本部は判断しやすくなります。誰が何時間を営繕に使っているかの測り方は営繕担当者が足りないときは、増やす前に時間を測りますに、稟議書の書き方は修繕の稟議書は、承認者の4つの問いに答えて書きますにまとめています。外の代行に払う費用の考え方は営繕の代行は手間に、コンサルは判断の材料に費用を払いますにあります。
本部が遠く、決めるまでに時間がかかるときは、「3か月だけ試す」形で頼みます。試す期間、見る数字、元に戻す条件を先に書いておくと、本部も了解しやすくなります。
モデルケース:施設長が営繕を兼ねていたケアハウス
モデルケース:定員50名の軽費老人ホーム(ケアハウス)
判断を止めていた修理が、14件から3件に
変わったこと(結果)
施設長の手元で判断を止めていた修理が、3か月で14件から3件になりました。業者からの日程の電話は事務の職員が受けるようになり、施設長が営繕に使う時間は、週におよそ8時間から2時間ほどに減りました。施設長がするのは、毎週金曜の15分の確かめと、5万円以上の修理の承認です。
背景と、困っていたこと
このケアハウスでは、開設のときから施設長が営繕を兼ねていました。入居の相談やご家族への対応、職員の面接の合間に修理の話を受け、業者に電話をかけていました。7つのサインを数えると、4つが当てはまりました。見積を1社だけで決めることが3回続き、急がない修理が1か月以上止まっていました。宿直の職員が直接頼んだ修理を、請求書で知ったこともあります。消防用設備の点検の報告の期限は、事務の職員に言われて気づきました。
決めたこと
施設長は、業者探しと日程の調整、記録の整理を、週4日勤務の事務の職員に渡しました。5万円未満の修理は、事務の職員が生活相談員と相談して進め、5万円以上は施設長が承認します。空調と給湯の業者探しは外の窓口に任せました。本部には、止まっている修理の件数、事務の職員が使う週3時間、外に任せる費用の見込みを1枚にして伝えました。
進めてみて分かったこと
最初の1か月、施設長は業者から直接かかってくる電話につい出てしまい、日程を自分で決めていました。業者に、日程の連絡は事務の職員にしてほしいと伝え直すと、電話は事務の職員にまとまりました。迷ったのは、事務の職員の本来の仕事が遅れないかという点です。週3時間までと決め、超えそうなときは外に任せる分を広げることにしました。