外注か内製かは、5つの条件で分かれます
営繕を外注するか、施設の職員で行う内製にするかは、資格・件数・金額・急ぎ・知識の5つの条件で分かれます。決めるときは、施設全体を一度に外か中かに分けるのではなく、作業ごとに分けます。同じ施設でも、ランプの交換は内製、消防用設備の点検は外注、というように答えが変わるからです。
外注と内製を分ける5つの条件| 条件 | 内製に向く | 外注に向く | 確かめ方 |
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| 資格 | 資格の要らない作業。または資格を持つ職員がいる | 電気工事・消防用設備・給水の配管など、資格や登録が要る作業 | 作業ごとに、要る資格と、持っている職員を書き出す |
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| 件数 | 同じ作業が月に何件も出る | 同じ作業が年に数件しか出ない | 1年分の作業を、作業の名前ごとに数える |
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| 金額 | 部品代と少しの手間で済む | 1件の金額が大きい。500万円以上は建設業の許可が要る | 1件の見積の額と、年間の合計を見る |
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| 急ぎ | 日中に施設の中ですぐ手当てできる | 夜間・休日に、専門の人の駆けつけが要る | 夜間や休日に起きた回数と、駆けつけた人を見る |
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| 知識 | 建物の癖や、止水栓の場所を知る人が要る | 設備ごとの専門の知識や、メーカーの部品が要る | その作業を、誰がいちばん早く判断できるかを見る |
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図1 5つを作業ごとに当てはめると、外注と内製の線が引ける。
5つのうち、資格は動かせない条件です。資格の要る作業を、資格のない職員がすることはできません。残りの4つは、施設の規模や職員の体制で答えが変わります。
外注そのもののメリットとデメリット、外注してよいかの判断は営繕は外注してかまいません。デメリットは契約の前に手を打てますで書いています。ここでは、外注と内製の分かれ目の見方に絞ります。
作業ごとに、5つを順に当てはめて決めます
5つの条件は、決まった順に当てはめると迷いません。先に資格、次に金額、急ぎ、件数、最後に知識の順です。動かせない条件から当てはめていくと、残った作業だけを件数と知識で考えれば済みます。
図2 動かせない条件から順に当てはめ、残った作業を件数と知識で分ける。
よくある作業に当てはめた例| 作業 | 当てはまる条件 | 分け方の例 |
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| 照明のランプの交換 | 資格は要らない。件数が多い | 内製 |
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| 照明器具やコンセントの交換 | 電気工事士の資格が要る | 資格を持つ職員がいなければ外注 |
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| ドアクローザーの速さの調整 | 資格は要らない。件数が多い | 内製(慣れた職員がいれば) |
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| 戸車の交換 | 資格は要らない。部品と手間が要る | 内製か、巡回の外注 |
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| 手すりの付け直し | 下地の確かめが要り、入居者の方の体を支える | 外注 |
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| 夜間のトイレの詰まり | 急ぎ。初めの手当ては職員でできる | 手当ては内製、修理は外注 |
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| 業務用エアコンの簡易点検 | 点検する人の決まりはない。3か月に1回以上 | 内製 |
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| 業務用エアコンの定期点検 | 十分な知見を持つ人が行う | 外注 |
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| 消防用設備の点検 | 建物の規模によって、消防設備士などが行う | 外注(年間の契約) |
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| 屋上防水の改修 | 金額が大きい。建設業の許可が要ることが多い | 外注(見積を比べる) |
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表の分け方は、あくまで例です。たとえば、第二種電気工事士の資格を持つ職員がいれば、照明器具の交換も内製にできることがあります。ただし、高圧で受電している施設では、第二種電気工事士の資格だけでは足りない作業があります。
資格の条件は、越えられない線です
1つ目の条件は資格です。資格や登録が要る作業は、施設の規模や件数にかかわらず、資格を持つ人しかできません。内製にするなら、資格を持つ職員を置くか、職員が資格を取ることになります。
資格や登録が要る作業と、職員でできること| 分野 | 資格や登録が要る作業 | 職員でできることの例 |
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| 電気 | 照明器具・コンセント・スイッチの交換、配線の工事(電気工事士) | ランプの交換、ブレーカーの位置を確かめる |
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| 高圧の受電設備 | 保安の点検(電気主任技術者か、承認を受けた外部の委託先) | 異音やにおいに気づいて連絡する |
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| 消防用設備 | 点検(建物の規模によって消防設備士か消防設備点検資格者) | 表示灯の消えや、感知器の前の物に気づく |
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| 給水の配管 | 給水装置の工事(自治体が指定した工事店) | 止水栓を閉める。パッキンなど蛇口の先の部品の交換 |
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| 業務用エアコン | 定期点検(十分な知見を持つ人) | フィルターの掃除と、3か月に1回以上の簡易点検 |
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| 建物の定期報告 | 建物・建築設備・昇降機などの調査や検査(資格を持つ人) | 日ごろの気づきを記録しておく |
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電気は、施設の受電の形でも変わります。低圧で受電している施設なら、第二種電気工事士の資格で多くの作業ができます。いっぽう、高圧で受電している施設の電気の設備は、「自家用電気工作物」にあたります。最大電力500kW未満の施設では、600V以下の配線の工事でも、第一種電気工事士か、講習を受けた認定電気工事従事者が行います。
高圧で受電している施設は、保安の点検も、電気主任技術者を選ぶか、国の承認を受けて外部に委託する決まりです(電気事業法)。受電の形の見分け方と、電気の修理の頼み先は電気設備の修理を頼む先は、受電の形と作業の中身で決まりますで書いています。
職員が資格を取る道もあります。営繕の担当者に役に立つ資格と、資格がないとできない作業は営繕の仕事は4つの周期で回り、修繕は安全から順に直しますにまとめています。ただし、資格は人に付くものです。資格を持つ職員が辞めたり異動したりすると、その日から内製できなくなります。資格に頼る内製は、2人目を育てるか、外の頼み先を残しておきます。
件数の条件は、同じ作業が月に何件出るかで見ます
2つ目は件数です。同じ作業が月に何件も出るなら、職員が慣れて手早くなり、部品も手元に置いておけます。年に数件しか出ない作業は、職員が覚えたころに次がなく、工具や部品も眠ります。こうした作業は、その道の業者に頼んだほうが早く確かです。
同じ作業の件数と、向いている形(目安)| 同じ作業の件数 | 向いている形 | 理由 |
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| 週に何件も | 内製 | 職員が慣れて手早くなり、部品を手元に置ける |
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| 月に数件 | 内製か、月1回の巡回の外注 | まとめて直せば、どちらでも手間が小さい |
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| 年に数件 | 外注(そのつど頼む) | 職員が覚えにくく、工具と部品が眠る |
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| 数年に1回 | 外注(見積を比べる) | 更新や改修にあたり、専門の判断が要る |
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件数の区切りは考え方の目安です。作業の難しさと、職員の手の空き方で変わります。
件数を数えるときは、「修理」とひとまとめにせず、作業の名前で数えます。「建具の修理が年60件」では分けられません。「ドアクローザーの調整が年30件、戸車の交換が年15件、鍵の交換が年3件」と分ければ、どれを中に残すかが見えます。
月に数件の作業は、内製でも外注でも、まとめて直すと手間が小さくなります。月1回の巡回にまとめる日の組み方は小さな修繕は、月1回の巡回で1日7〜10件を直せますで書いています。
金額の条件は、1件の大きさと年間の合計で見ます
3つ目は金額です。金額は、1件の大きさと、年間の合計の2つで見ます。1件が大きい工事は、職員の手に余るうえ、比べて選ぶ手順が要るので外注です。1件は小さくても、年間の合計が大きい作業は、内製にしたときの費用と比べる値打ちがあります。
図3 1件の金額が大きくなるほど、比べて選ぶ手順が要るので外注になる。
1件の請負代金が500万円以上の工事(建築一式の工事は1,500万円以上)は、その業種の建設業の許可を持つ業者が請け負います。社会福祉法人の工事の請負では、令和8年4月から、400万円以下なら2社の見積合わせで足り、超えると3社以上の見積が要ります。こうした工事は、内製で扱う大きさではありません。
年間の合計で見るときは、作業ごとに「1件の外注の額×年の件数」と、「内製にしたときの手間と部品の額」を並べます。内製の額には、給与だけでなく、このあとに書く隠れた費用も入れます。金額が小さく件数が多い作業ほど、内製の値打ちが出やすくなります。
急ぎの条件は、夜間と休日に誰が来られるかで決まります
4つ目は急ぎです。日中に起きた急ぎの不具合は、施設の中に人がいる内製のほうが早く手当てできます。いっぽう、夜間や休日に施設にいるのは、夜勤の介護職員と宿直の人だけのことが多く、修理まではできません。急ぎの条件は、「最初の30分」と「その後の修理」に分けて考えます。
急ぎの場面と、内製・外注の受け持ち(例)| 場面 | 最初の30分(施設) | その後の修理 |
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| 水が止まらない | 止水栓を閉め、床の水を拭き、使えない場所を表示する | 水回りの業者(夜間の割増を確かめておく) |
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| トイレが詰まった | 使用中止の表示をして、別のトイレへ案内する | 朝まで待てるなら翌朝、待てないなら業者 |
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| 停電・ブレーカーが落ちた | 落ちた回路を確かめ、医療や見守りの機器の電源を見る | 電気工事の業者か、電気の保安の担当 |
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| エレベーターの閉じ込め | 中の人に声をかけ、保守の会社に連絡する | 保守の会社(年間の保守契約) |
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| 空調が止まった | 室温を測り、別の部屋に移る準備をする | 空調の業者(夏と冬は待ち時間が長くなりやすい) |
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最初の30分は、どの施設でも内製です。職員が手順を知っているかで、被害の大きさが変わります。その後の修理は、夜間・休日に来てくれる外の業者を平日のうちに決めておきます。
担当者の携帯に夜間の電話が集まっているなら、急ぎの条件だけを外に出す方法もあります。夜間の連絡の受け方を組み立て直す方法は夜間の設備トラブル、電話は誰の携帯に鳴っていますかにまとめています。
知識の条件は、誰がいちばん早く判断できるかで見ます
5つ目は知識です。営繕には、2つの種類の知識が要ります。1つは、建物の癖の知識です。雨漏りしやすい場所、止水栓や分電盤の場所、配管の通り道などで、施設の中にいる人がいちばんよく知っています。もう1つは、設備の専門の知識です。給湯器のエラーの意味や、特殊浴槽の部品の替えどきは、メーカーや専門の業者がよく知っています。
図4 建物の癖は施設に残し、設備の専門の知識は外から借りる。
建物の癖の知識は、1人の担当者の頭の中にだけあると、その人が辞めたときに消えます。内製に残すなら、記録にして2人以上で持ちます。外注に出すなら、外の担当者に集まった知識を、施設の手元の記録に戻してもらいます。どちらにしても、知識の置き場所は施設の記録です。
営繕の仕事が1人に集中する仕組みと、ほどき方は営繕の属人化は、4つの経路を決まった順にほどきますで書いています。
内製には、給与のほかに隠れた費用があります
内製は、外注の費用がかからないぶん安く見えます。けれども、営繕の担当者を置いて内製にすると、給与のほかにもお金と時間がかかります。外注と比べるときは、この隠れた費用を足してから並べます。
内製の隠れた費用| 費用 | 中身 | 見積もり方 |
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| 社会保険料などの負担 | 健康保険・厚生年金・雇用保険などの施設の負担 | 給与に率を掛ける(率は保険の種類と年度で違う) |
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| 工具と測る道具 | 電動工具、脚立、電気のテスター、配管の道具 | 買う額を、使う年数で割る |
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| 部品と材料の在庫 | 戸車・パッキン・ランプなどの手元の在庫と、置き場 | 1年に使う額と、置き場の広さ |
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| けがと事故への備え | 作業中のけがや、物を壊したときの保険 | 保険の掛け金 |
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| 資格と研修 | 資格を取る費用、講習、外部の研修 | 1年あたりの額 |
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| 休みと退職の穴埋め | 担当者が休む日や辞めたあとの外注、採用の費用 | 休みの日数と、採用にかかった額 |
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| 任せる側の時間 | 指示・確かめ・承認にかかる上の人の時間 | 月の時間×1時間あたりの人件費 |
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図5 給与だけで外注と比べず、色の付いた見落としやすい費用まで足してから並べる。
たとえば、営繕の担当者を1人、月給28万円・賞与年2か月分で置くと、給与と賞与で年392万円です。ここに社会保険料などの負担を足します。計算のため15%とすると、およそ450万円になります。さらに工具・在庫・保険・研修の費用が加わります。この額を、外に出したときの年間の費用と並べます。
金額は、計算のしかたを示すための例です。給与や負担の率は、施設の実際の額で計算し直してください。
隠れた費用のうち、見落としやすいのは「休みと退職の穴埋め」です。担当者が1人だけだと、休む日や辞めたあとの数か月は、結局外に頼むことになります。担当者が採用できないときの求人の見直し方と、採用以外の選択肢は営繕の担当者が採れないときは、求人の設計から見直しますで書いています。
日常は内製、資格の要る作業と大きな工事は外注、と混ぜます
5つの条件を当てはめると、似た形に行き着くことが多くあります。日常の小さな修理と見回り、急ぎの最初の手当ては内製に残します。資格の要る作業、法律で決まった点検、大きな工事は外注に出します。全部を内製にも、全部を外注にもしない、混ぜる形です。
混ぜる形の例| 仕事 | 内製(施設の職員) | 外注(外の業者) |
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| 見回りと気づき | 毎日の見回り、職員からの報告の受付 | 月1回の巡回で、職員が見ない場所を見る |
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| 小さな修理 | 調整・締め直し・ランプなどの交換 | たまった修理を、巡回の日にまとめて直す |
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| 資格の要る作業 | 資格を持つ職員がいれば、その一部 | 電気工事・給水の配管・ガスの機器 |
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| 法律で決まった点検 | 点検の日の案内と立ち会い | 消防用設備・建物の定期報告・エレベーター |
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| 急ぎの不具合 | 最初の30分の手当て | 夜間・休日の修理 |
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| 大きな工事 | 工事の間の、入居者の方の動きを決める | 見積を比べて選んだ業者が工事をする |
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| 記録と計画 | 修理の一覧と業者の一覧を、施設で持つ | 更新の時期の見立てや、計画づくりを手伝う |
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混ぜ方は、施設に営繕の担当者がいるかどうかで変わります。担当者がいる施設は、表の内製の列をそのまま担当者が受け持ちます。担当者がいない施設では、見回りと受付は事務やリーダーの職員が受け持ち、小さな修理は巡回の外注に回すことが多くなります。
外注の列のうち、頼み先が決まっていない分野は、当窓口のような相談先にまとめて頼む方法もあります。外に任せたあとも施設に残る仕事の全体は営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますにまとめています。
年間の契約が要るのは、周期の決まった点検と保守の設備です
外注に出す作業のうち、年間の契約にしておくものがあります。そのつど頼む形では、点検の周期が守れなかったり、止まったときに間に合わなかったりする作業です。大きく分けると、法律で決まった点検、メーカーの部品が要る設備、止まると暮らしがすぐ止まる設備の3つです。
年間の契約にする条件と、設備の例| 条件 | 設備の例 | 契約で決めること |
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| 法律で点検の周期と、点検する人が決まっている | 消防用設備(機器点検6か月ごと・総合点検1年ごと)、高圧の受電設備の保安、業務用エアコンの定期点検(7.5kW以上) | 点検の日、報告書の受け取り、不具合が出たときの見積 |
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| 法律で調べる周期が決まり、資格を持つ人が調べる | 建物・建築設備・防火設備・昇降機の定期報告 | 調べる時期と、報告の出し方 |
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| メーカーの部品や専門の技術が要る | エレベーター、特殊浴槽、ナースコール、自動ドア | 点検の回数、部品の交換が含まれるか、時間外の費用 |
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| 止まると暮らしがすぐ止まる | 給湯器、空調、受水槽とポンプ | 駆けつけの時間の目安、夜間・休日の連絡先と割増 |
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老人ホームなどの介護施設の多くは、消防法の上で特定防火対象物にあたります。延べ面積1,000平方メートル以上の建物などでは、消防用設備の点検を、消防設備士か消防設備点検資格者が行います(消防法第17条の3の3)。結果の報告は、特定防火対象物では1年に1回です。点検と報告の決まりは消防設備の点検は年2回、消防署への報告は年1回ですにあります。
業務用エアコンは、すべての機器で3か月に1回以上の簡易点検が要り、これは職員でも行えます。圧縮機の出力が7.5kW以上の機器は、十分な知見を持つ人による定期点検も要ります。50kW以上は1年に1回以上、7.5kW以上50kW未満は3年に1回以上です。同じ設備でも、簡易点検は内製、定期点検は外注と分けられます。
年間の契約にしなくてよいのは、小さな修理と、数年に1回の更新や改修です。小さな修理は巡回かそのつど、更新や改修はそのつど見積を比べて頼みます。点検や巡回を定額にできる範囲と、修理を定額にしにくい理由は営繕の定額契約は、読める仕事だけを定額にしますで書いています。
モデルケース:営繕の担当者1人に集まっていた仕事を、5つの条件で分け直した住宅型有料
モデルケース:定員70名の住宅型有料老人ホーム(低圧で受電)
担当者の残業が、月20時間ほどから5時間ほどに
変わったこと(結果)
作業を5つの条件で分け直してから半年で、営繕の担当者の残業は、月におよそ20時間から5時間ほどに減りました。夜間に担当者の携帯が鳴る回数は、月に3〜4回から、ほとんどなくなりました。担当者が休む週も、巡回の業者が小さな修理を直すので、修理が止まらなくなりました。いっぽう、外注の費用は年に数十万円増えました。
背景と、困っていたこと
このホームには、設備会社で働いていた60代の営繕の担当者が1人いました。第二種電気工事士の資格を持っていました。小さな修理から消防用設備の点検の立ち会い、大きな工事の業者探しまで、すべてを1人で受け持っていました。夜間の水漏れでも呼び出され、休みの日も携帯を手放せませんでした。担当者が2年後に退職する意向を伝えたことをきっかけに、事務長は、辞めたあとに何が止まるのかを数えることから始めました。
決めたこと
事務長は、1年分の作業186件を作業の名前ごとに書き出し、5つの条件を順に当てはめました。日常の調整や部品の交換、見回り、急ぎの最初の手当ては、担当者の内製に残しました。夜間の修理は、夜も受け付ける水回りと電気の業者と契約しました。50万円を超える工事は、事務長が見積を比べて決める形に移しました。担当者の手が回らない小さな修理は、月1回の巡回の外注に回しました。迷ったのは、照明器具の交換です。建物が低圧で受電しているので担当者の資格で内製にできましたが、辞めたあとを考え、2年かけて巡回の業者に移すことにしました。
進めてみて分かったこと
作業を名前ごとに数えてみると、担当者の時間の多くは、修理そのものより業者探しと立ち会いに使われていました。外に出したのは件数では全体の3割ほどでしたが、担当者の残業はそれ以上に減りました。