探すときは、「集める」と「確かめる」を分けます
老人ホームの営繕業者を探すとき、多くの施設では、検索や紹介で見つけた会社に、そのまま見積を頼んでいます。急いでいるときほど、そうなりがちです。けれども、候補を集めることと、その候補が任せられる会社かを確かめることは、分けて考えた方が失敗が少なくなります。
図1 老人ホームの営繕業者を探すときの、2つの段階。
候補の集め方は3日でそろえるのは、見積ではなく候補と日程ですに、業界団体や同業の施設からの紹介は修繕業者の紹介は、団体と同業の施設の2つの経路で集めますにまとめています。この記事では、集めた候補を、国や都道府県が公開している記録で確かめる方法を中心に書きます。どれも無料で、施設の事務室のパソコンから数分で調べられるものです。
公的な記録で確かめられる、7つのこと
業者のことを調べられる公的な記録は、思っているより多くあります。どの記録で何が分かるかを、先に一覧にしておきます。
公的な記録で確かめられること| 確かめること | どこで調べるか |
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| ① 建設業の許可と、その業種・有効期間 | 国土交通省の建設業者の検索システム |
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| ② 許可を出した役所と、一般か特定か | 許可番号(検索システムや名刺・見積書) |
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| ③ 過去に行政の処分を受けていないか | 国土交通省のネガティブ情報等検索サイト |
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| ④ どんな工事をしてきたか | 都道府県などの閲覧所での工事経歴書 |
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| ⑤ 電気工事業の登録 | 都道府県の登録電気工事業者の名簿 |
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| ⑥ 水道の指定工事店か | 施設のある地域の水道局の名簿 |
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| ⑦ 会社が実在するか | 国税庁の法人番号公表サイト・適格請求書発行事業者公表サイト |
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すべてを毎回調べる必要はありません。頼む工事の大きさと分野に合わせて、必要なものを選びます。大きな工事ほど、①〜④までをしっかり確かめておくと安心です。
図2 工事の大きさごとに、確かめる記録の目安。
どの記録も、調べた日の時点のものです。許可の更新や登録の変更があるため、一度調べたら終わりではなく、年に一度や大きな工事の前に、もう一度確かめるようにします。
建設業の許可は、国土交通省の検索システムで調べます
国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」では、建設業の許可を持つ会社を、社名や所在地、許可番号で探せます。誰でも無料で使え、登録も要りません。
- 検索システムを開く「建設業者 検索 国土交通省」などで検索し、国土交通省の検索システムを開きます。
- 建設業者を選ぶ検索の画面で、建設業者を探す項目を選びます。
- 社名か許可番号を入れる正しい社名(株式会社の位置も含めて)か、許可番号を入れて検索します。
- 結果を開く出てきた会社を開き、許可の業種と有効期間、所在地を確かめます。
検索の結果で、見るところ| 項目 | 見るポイント |
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| 商号と所在地 | 見積書や名刺の社名・住所と同じか |
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| 許可行政庁 | 国土交通大臣か、どこの都道府県知事か |
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| 許可の業種 | 頼みたい工事の業種が入っているか |
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| 許可の有効期間 | 今日の日付で、期限が切れていないか |
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社名を入れても出てこないときは、表記の違い(株式会社の前か後か、全角と半角など)を変えて試します。それでも出てこないときは、許可を持っていないか、別の社名で許可を取っていることがあります。業者に許可番号を聞くのが確実です。
許可番号から、分かること
建設業の許可番号は、見積書や名刺、会社のホームページに書かれていることが多いものです。番号の形を読むと、どこの役所が許可を出したか、一般か特定か、いつ許可を受けたかの見当が付きます。
許可番号の読み方の例(〇〇県知事許可(般-6)第12345号の場合)| 部分 | 意味 |
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| 〇〇県知事許可 | 1つの都道府県だけに営業所がある会社。2つ以上の都道府県にあれば「国土交通大臣許可」 |
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| 般 | 一般建設業の許可。元請で大きな額を下請に出す工事を受けるときは「特」(特定建設業) |
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| 6 | 許可を受けた(または更新した)年。和暦の年を表す |
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| 第12345号 | その役所が付けた番号。更新しても同じ番号が続く |
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番号の例は説明のためのもので、実在する会社のものではありません。
図3 許可番号で確かめる3つのこと。
見積書や契約書に許可番号が書かれていないときは、業者に聞いて書いてもらいます。許可を持つ会社は、許可番号を書くことに慣れているため、すぐに答えてくれるはずです。
知事許可だから小さい会社、大臣許可だから大きい会社、というわけではありません。営業所がいくつの都道府県にあるかの違いです。施設の近くに営業所があるかどうかの方が、日ごろの修理では大事になります。
有効期間と業種を、頼む工事に合わせて見る
建設業の許可の有効期間は5年で、更新しなければ切れてしまいます。また、許可は工事の種類(業種)ごとに取るため、ある業種の許可を持っていても、別の業種の工事の許可があるとは限りません。
老人ホームでよくある工事と、許可の業種の例| 工事の例 | 主な業種 |
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| 床の張り替え・クロスの張り替え | 内装仕上工事 |
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| 給排水・空調の工事 | 管工事 |
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| 照明・コンセント・分電盤の工事 | 電気工事 |
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| 屋上や外壁の防水 | 防水工事 |
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| 外壁の塗装 | 塗装工事 |
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| 大規模な改修をまとめて行う | 建築一式工事 |
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1件の工事が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)になるときは、その工事の業種の許可が要ります。大きな工事を頼む前には、見積書の会社が、その業種の許可を、有効期間内で持っているかを確かめます。業者の公的な評価(経営事項審査)の見方は経営事項審査の点数は、順位ではなく条件を確かめるために見ますにまとめています。
工事経歴書は、閲覧所で見られます
建設業の許可を持つ会社は、毎年、許可を出した役所に工事経歴書などの書類を出しています。この書類の多くは、許可を出した役所の閲覧所で、誰でも見ることができます。どんな種類の建物で、どのくらいの金額の工事をしてきたかが分かります。
- 許可行政庁を確かめる検索システムで、許可を出した役所(大臣か、どこの知事か)を確かめます。
- 閲覧の方法を調べるその役所の建設業の担当のサイトで、閲覧所の場所と受付の方法を調べます。
- 閲覧を申し込む社名と許可番号を伝えて、工事経歴書などの書類を閲覧します。
- 介護施設の工事を探す工事経歴書の中に、老人ホームや介護施設の工事があるかを見ます。
閲覧は手間がかかるため、日ごろの小さな修理のたびに行う必要はありません。大規模な改修や、長く付き合う業者を決めるときに使うと役に立ちます。実績の中身を業者に直接確かめる方法は、実績は、居ながら工事の段取りを見せてもらって確かめますにまとめています。
処分の履歴は、ネガティブ情報等検索サイトで見る
建設業の会社が、法令に違反して行政から処分(指示、営業停止、許可の取消しなど)を受けたときは、国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、一定の期間、公開されます。社名や所在地で検索できます。
図4 処分の履歴が見つかったときの考え方。
処分の履歴があっても、それだけで頼めないと決める必要はありません。何年前の、どんな内容の処分か、その後どう改善したかを業者に聞き、納得できる説明があるかを見ます。説明があいまいなときや、最近の重い処分のときは、大きな工事は別の会社にする方が安心です。
許可のほかにも、分野ごとの登録があります
建設業の許可とは別に、分野ごとに登録や指定が決められている仕事があります。老人ホームの営繕でよく出てくるものを挙げておきます。
分野ごとの登録・指定と、調べ方| 分野 | 登録・指定 | 調べ方 |
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| 電気の工事 | 登録電気工事業者(または届け出) | 都道府県の名簿、業者に登録番号を聞く |
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| 水道の工事 | 指定給水装置工事事業者(指定工事店) | 施設のある地域の水道局の名簿 |
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| 業務用エアコンの冷媒 | 第一種フロン類充塡回収業者 | 都道府県の登録業者の一覧 |
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| 建物の解体を伴う工事 | 解体工事業の登録や許可 | 都道府県の名簿 |
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電気の修理の頼み先は電気設備の修理を頼む先は、受電の形と作業の中身で決まります、水道と空調の業者の選び方は水道は指定工事店、空調はフロンの登録で、頼む業者を選びますにまとめています。小さな修理でも、これらの登録が要る作業はあります。とくに電気と水道は、許可がいらない金額の工事でも、登録や指定がある業者かを確かめます。
会社が実在するかも、確かめておく
初めての会社に頼むときは、会社が本当にあるかも確かめておくと安心です。国税庁の「法人番号公表サイト」では、法人の名前と所在地が分かります。「適格請求書発行事業者公表サイト」では、インボイスの登録があるかが分かります。
会社の実在を確かめる記録| 記録 | 分かること |
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| 法人番号公表サイト | 法人の正しい名前と所在地、名前や所在地の変更の履歴 |
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| 適格請求書発行事業者公表サイト | インボイスの登録があるか(登録番号) |
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| 商業登記 | 役員や会社の目的など(有料の登記情報) |
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ホームページに書かれた住所と、法人番号公表サイトの所在地が大きく違うときは、理由を聞いてみます。移転したばかりのこともありますが、連絡が取れなくなったときに困らないよう、実際の営業所の場所を確かめておきます。
500万円未満の工事は、許可がなくても受けられます
建設業法では、1件500万円未満の工事(建築一式工事は1,500万円未満など)は「軽微な建設工事」として、許可がなくても受けることができます。老人ホームの日ごろの修理の多くはこの範囲です。そのため、許可を持たない業者に頼むことも珍しくありません。
許可を持たない業者に頼むときに、確かめること| 確かめること | 確かめ方 |
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| 分野ごとの登録・資格 | 電気工事士、水道の指定工事店など、作業に要る登録や資格 |
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| 会社の実在 | 法人番号公表サイト、インボイスの登録 |
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| 賠償の保険 | 工事中の事故や損害に備えた保険に入っているか |
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| 介護施設での経験 | 同じ種類の施設での作業の経験と段取り |
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許可がないこと自体は、悪いことではありません。小さな修理を早く丁寧にしてくれる地元の職人さんも多くいます。ただ、金額が大きくなりそうな工事や、ほかの工事と一緒に頼む工事は、許可を持つ会社に頼む方が、あとで困りません。介護施設に慣れているかの見分け方は「介護施設専門」に、資格や登録はありません。慣れているかは、段取りで見分けますにまとめています。
相談・見積は無料|同じ条件で最大3社
このお問い合わせ1本で、
最大3社の見積がそろいます。
モデルケース:見積の前に、許可の期限切れに気づいた施設
モデルケース:定員80名の介護付有料老人ホーム
見積を頼もうとした業者の許可が、切れていた
変わったこと(結果)
外壁の改修の候補に挙がっていた会社を検索システムで調べたところ、塗装工事の許可の有効期間が切れていることが分かりました。施設は見積を頼む前にほかの候補を探し、許可と処分の履歴を確かめた2社から見積を取りました。
背景と、困っていたこと
候補の会社は、以前に小さな修理を頼んだことがあり、施設長も事務長もよく知っていました。今回は金額が大きくなりそうだったため、事務長が念のため検索システムで調べたところ、期限切れが見つかりました。その会社は、更新の手続きが遅れていたと説明しました。
その後に決めたこと
施設は、50万円を超える工事を頼むときは、許可の有効期間と処分の履歴を確かめ、調べた日を業者の一覧に書き込むことにしました。小さな修理は、これまでどおりその会社にも頼んでいます。