比較表の前に、条件書で頼み方をそろえます
介護施設の修繕の見積を比較表で比べるときは、見積を頼む前に条件をそろえておきます。同じ「トイレの改修」でも、範囲や工法、作業の時間帯が会社ごとに違えば、金額の差の多くは条件の差です。条件の差が混ざったままの比較表では、どの会社が高いのかを決められません。
図1 条件をそろえると、金額の差が比べられる差になる。
条件がそろっていないと、金額の差に混ざるもの| 条件 | 会社ごとの違いの例 | 金額への出方 |
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| 範囲 | 1社は床の上の配管まで、1社は便器だけ | 範囲の広い会社が高く見える |
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| 工法 | 古い床をはがして張る/上から重ねて張る | 重ね張りが安く見えるが、段差や持ちが違う |
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| 時間帯 | 平日の日中の作業/夜間の作業 | 夜間の割増の分だけ高く見える |
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| 養生 | 入口だけ/廊下まで守り、毎日片付ける | 養生の広い会社が高く見える |
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| 処分 | 含む/別途 | 別途の会社が安く見える |
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| 保証 | 1年/5年/書いていない | 見積の金額には出ず、あとの費用に出る |
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条件を見積の前にそろえるのは、施設の都合だけではありません。建設業法は、工事を頼む側に、工事の内容や着手の時期、支払いの時期と方法などを示すよう求めています。示し方は「できる限り具体的に」です(第20条第4項)。条件書は、この「具体的に示す」を1枚の紙にしたものです。
業者そのもの(許可・保険・到着の時間・料金の形など)を比べる表は、見積の比較表とは別のものです。業者を比べる12列の表は営繕業者の比較は、12列の表に書き込んでから決めますにまとめています。何社から見積を取るかは、金額と法人の決まりで決まり、その考え方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますに書いています。
条件書でそろえるのは、範囲・工法・時間帯・養生・処分・保証の6つです
条件書でそろえる中心は、6つの項目です。どれも、会社ごとに違うと金額の差に混ざる項目です。介護施設の共用トイレを2か所直す例で、書き方を並べます。
条件書の6つの項目と、書き方の例| 項目 | 書くこと | 書き方の例(共用トイレの改修) |
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| 範囲 | どこからどこまで直すか。含まないもの | 2階と3階の共用トイレ各1か所。配管は床の上の見える所まで。天井と照明は含まない |
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| 工法と材料 | はがして張るか重ねるか。材料の種類と性能 | 床ははがして張り替え。床材は滑りにくい長尺シート。便器は洋式で、高さは今と同じ |
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| 時間帯 | 作業できる曜日と時間。音の出る作業の時間 | 平日9時〜16時。食事の前後30分は音の出る作業をしない |
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| 養生 | 守る範囲と、ほこりの仕切り。片付けの頻度 | 廊下はトイレの入口から5mまで守る。毎日の作業の終わりに片付け、通路を空ける |
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| 処分 | 外したものの処分を含めるか。量の書き方 | 便器と床材の撤去と処分を含める。処分の量を書く |
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| 保証 | 保証の年数と範囲を、書き分けてもらう | 工事をした会社の保証と、機器のメーカーの保証を分けて書く |
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図2 6つがそろうと、金額の差を行ごとに比べられる。
工法と材料は、使う人の動きから決めます。床の滑りにくさ、便器の高さ、手すりの位置は、使う入居者の方と介助する職員の動きで変わります。使う人を決め方に入れずに選ぶと、工事のあとに使いにくさが出ます。仕様の決め方でよく起きる失敗と防ぎ方はリフォームの失敗で多いのは、使う人を入れない仕様の決め方ですにまとめています。
時間帯と養生は、入居者の方が暮らす施設ならではの項目です。音の出る作業の時間、ほこりの仕切り方、通路の空け方で、手間と金額が変わります。音と粉じんを、時間帯だけでなく工法や機械で減らす方法は騒音と粉じんは、時間帯だけでなく工法と区画でも減らせますにあります。
保証は、工事をした会社の保証と、機器のメーカーの保証を分けて書いてもらいます。年数が長くても、対象や条件が狭いことがあるからです。保証の種類の違いと管理の仕方は工事の保証は、3つに分けて部位ごとに控えますにまとめています。
条件書は、写真と数量を添えてA4で1〜2枚にします
条件書は、A4で1〜2枚あれば足ります。6つの項目に、工期の希望、見積の書き方、期限、連絡先を加えます。文章より、項目と箇条書きのほうが、業者も読み落としにくくなります。
写真と数量も添えます。写真は、全体・近く・寸法の分かるものの3種類を撮ります。数量は、か所・台・㎡など、施設で数えられるものを書きます。分からない数量は「現地で確かめて、見積に書いてください」と書き、出てきた数量を比べます。図面があれば、該当する部分の写しを付けます。
条件書の後ろに書く、見積の書き方の指定| 指定すること | 書き方の例 | 指定しないと起きること |
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| 行の並び | 条件書の番号の順に、行を分けて書く | 会社ごとに並びが違い、比較表に写すのに時間がかかる |
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| 数量と単価 | 行ごとに数量・単位・単価を書く | 「一式」ばかりで、差の理由が分からない |
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| 含まないもの | 含まないものは「別途」として一覧にする | 合計が安く見え、工事中に追加になる |
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| 別の案 | 条件書と違う工法は、別紙で出す | 条件書どおりの見積がなく、比べられない |
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| 税と有効期限 | 税抜と税込の総額、見積の有効期限を書く | 税の扱いが混ざる。期限の切れた見積で稟議を出す |
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| 工期と支払い | 工期の日数と、支払いの時期を書く | 金額が同じでも、工期や支払いの差に気づかない |
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「一式」の行を、工事費・撤去と処分・仮設と養生などに分けてもらう頼み方は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますに書いています。条件書の「行の並び」で同じ分け方を指定しておくと、届いた見積をそのまま比較表に写せます。
建物の改修では、工事の前に石綿(アスベスト)の事前調査が要ることがあります。調査を見積に含めるのか、別に頼むのかも条件書に書きます。誰が調べ、費用と日数がどれだけ増えるかは大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますで書いています。
伝えてはいけないのは、他社の金額と予算の上限です
見積を頼むときに、伝えないほうがよいことが2つあります。ほかの会社の金額と、予算の上限です。どちらも、伝えたとたんに見積がその金額に引き寄せられ、比べる意味が薄れます。
図3 伝えるのは条件と決め方。金額の手がかりは伝えない。
伝えるか迷う中身と、扱い方| 中身 | 扱い | 理由 |
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| 比べる社数 | 伝える | 「3社で比べます」と分かると、業者は手間のかけ方を決めやすい |
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| 決め方 | 伝える | 金額だけで決めないと伝えると、時間帯や工法の提案に手間をかけてもらえる |
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| ほかの会社の名前 | 伝えない | 見積の中身より、相手の会社を意識した見積になりやすい |
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| ほかの会社の金額 | 伝えない(決めたあとも) | 次から、その金額に寄せた見積が出るようになる |
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| 予算の上限 | 伝えない | 見積が上限に寄り、中身の差が見えなくなる |
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| 予算に合わせて範囲を絞りたいこと | 伝える | 範囲を分けた案を、別紙で出してもらえる |
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予算が限られているときは、上限の金額ではなく、範囲の分け方を伝えます。「優先する範囲」と「できれば行いたい範囲」に分け、それぞれの金額を出してもらいます。予算に合わせて、どこまで行うかを施設が選べるようになります。
値下げを相談するときも、ほかの会社の金額を持ち出さず、範囲・仕様・時期の見直しで話します。令和6年に改正された建設業法には、見積の変更についての決まりも加わりました。材料費や労務費の内訳を書いた見積を出した業者に、通常必要な額を著しく下回るような変更を求めることは禁じられています。
現地調査と質問への答えは、全社にそろえます
条件書を送ったら、現地を見てもらいます。案内する範囲と説明は、全社で同じにします。同じ日に時間をずらして呼ぶと、施設の立ち会いが1日で済み、案内もそろえやすくなります。
業者からの質問には、答えを全社に返します。1社にだけ答えると、その会社だけ条件が変わり、比べられなくなります。質問は締切を決めて受け、答えは「質問回答表」にまとめて、質問した会社の名前を伏せて送ります。
質問回答表の例| 番号 | 質問 | 答え | 送った日 |
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| 1 | 作業できる時間帯は、何時から何時までですか | 平日9時〜16時です。食事の前後30分は、音の出る作業を避けてください | 全社に10月14日 |
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| 2 | 工事中の仮設トイレは要りますか | 要りません。同じ階のもう1か所を使います | 全社に10月14日 |
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| 3 | 撤去した便器の処分は、見積に含めますか | 含めてください。処分の量も書いてください | 全社に10月15日 |
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| 4 | 床は重ね張りでもよいですか | 条件書どおり、はがして張ってください。重ね張りは別の案として出していただいてかまいません | 全社に10月15日 |
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日付と中身は、書き方を示すための例です。
質問の締切は、見積の期限の数日前に置きます。締切のあとに大事な質問が来たら、答えを全社に送り、必要なら全社の期限を同じだけ延ばします。答えのたびに条件書を書き直す必要はなく、質問回答表を条件書の一部として扱います。
候補を急いでそろえなければならないときも、同じ依頼文を一度に送り、現地確認の日を早めに決める流れは変わりません。3日で3社の候補をそろえる段取りは3日でそろえるのは、見積ではなく候補と日程ですにまとめています。
見積の期限は、工事の大きさと法律の日数から決めます
見積の期限は、工事の大きさから決めます。建設業法は、工事の内容などを示してから契約までに、見積のための日数を空けることを求めています。日数は予定価格で決まります。500万円未満は中1日以上、500万円以上5,000万円未満は中10日以上、5,000万円以上は中15日以上です(施行令第6条)。
法律の日数は、最短の日数です。現地調査の日程、質問への答え、業者が材料の値段や職人の手配を調べる日数も要ります。次の目安で期限を取ると、見積の中身がそろいます。
見積の期限の目安| 工事の大きさ | 法律で空ける最短の日数 | 施設が取りたい期限の目安 |
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| 数万〜数十万円の修理 | 中1日以上 | 1週間ほど(現地調査を含む) |
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| 数百万円の改修 | 中1日以上(500万円未満) | 2週間ほど |
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| 500万円以上5,000万円未満 | 中10日以上 | 3週間ほど |
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| 5,000万円以上 | 中15日以上 | 4週間以上。設計者がいれば、その工程に合わせる |
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法律の日数は、条件を示してから契約(入札なら入札)までに空ける最短の日数です。期限の目安は、当窓口の考え方です。
図4 期限と質問の締切を先に決め、全社に同じ日程で進める。
期限を延ばすときは、期限の前に、全社へ同じ新しい期限を知らせます。1社だけに延ばすと、その会社だけが長く準備できることになります。期限を過ぎて届いた見積は、比べないのが原則です。
比較表は、会社ごとの合計ではなく、行ごとに並べます
届いた見積は、会社ごとの合計を並べるのではなく、条件書の行ごとに横に並べます。縦に工事の中身の行、横に会社を置く表です。合計だけを見ると、どの行で差が出ているのかが分かりません。
行ごとに並べた比較表の例(共用トイレ2か所の改修)| 行 | 条件書の数量 | A社 | B社 | C社 |
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| 1. 便器と便座の交換 | 2台 | 32万円 | 29万円 | 35万円 |
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| 2. 手すりの取り付け | 4か所 | 12万円 | 10万円 | 14万円 |
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| 3. 床の張り替え | 12㎡ | 18万円 | 9万円(重ね張り) | 17万円 |
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| 4. 撤去と処分 | 便器2台・床12㎡ | 6万円 | 別途 | 7万円 |
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| 5. 養生と片付け | 廊下5m×2か所 | 8万円 | 5万円 | 9万円 |
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| 6. 諸経費 | — | 9万円 | 7万円 | 10万円 |
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| 合計(税抜) | — | 85万円 | 60万円+別途 | 92万円 |
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| 保証 | 書き分け | 工事2年・機器はメーカー | 工事1年 | 工事2年・機器はメーカー |
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| 工期と時間帯 | 平日9時〜16時 | 6日 | 4日 | 7日 |
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会社と金額は、書き方を示すための例で、相場ではありません。
この例では、B社の合計がいちばん安く見えます。けれども行ごとに見ると、床が重ね張りで条件書と違い、処分が別途です。合計の差の多くは、この2つの行から来ています。比較表は、こうした「安く見える理由」を行の単位で見つけるための表です。
金額の行の下には、保証、工期と作業の時間帯、支払いの時期、見積の有効期限を並べます。金額に表れない条件も同じ表に並べると、合計だけで決めてしまうことを防げます。比較表は表計算で作り、条件書の番号と行の番号をそろえておくと、写す手間が減ります。
含まれない行は「別途」と書き分け、補った合計で比べます
比較表に写すとき、見積の状態によって書き方を分けます。空欄のままにすると、「0円」なのか「含まれていない」のかが分からなくなるからです。
見積の状態ごとの、比較表への書き方| 見積の状態 | 比較表への書き方 | 補い方 |
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| 行に金額がある | そのまま書く | 数量が条件書と合っているかだけ見る |
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| 「別途」「含まず」とある | 「別途」と書き、空欄にしない | 会社に金額を聞いて書き込む。聞けないときは、ほかの会社の金額を仮に置いて印を付ける |
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| 行がない | 「記載なし」と書く | 入れ忘れか、要らないと考えたのかを聞く |
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| 数量が条件書と違う | 数量も並べて書く | 条件書の数量で出し直してもらう |
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| 工法が条件書と違う | 工法を書き添える | 条件書の工法で出し直してもらい、違う工法は別の案として並べる |
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| 「一式」で中身が分からない | 「一式」と書く | 数量と単価に分けてもらう |
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先の例のB社なら、処分の行に、ほかの2社の金額の間(6万〜7万円)を仮に置きます。床は、条件書どおりのはがして張る工法で出し直してもらいます。仮に置いた金額には印を付け、契約の前に、B社から聞いた本当の金額に置き換えます。
補った合計で比べると、見た目の合計の差が、どれだけ条件の差だったかが分かります。仮設や養生、時間帯の割増は、入居者の方がいる中の工事では総額の2割〜4割になることがあります。ここが抜けると、差が大きく出ます。その中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにまとめています。
差の大きい行は、数量か単価か工法かを分けて聞きます
行をそろえても差が残る行は、理由を聞きます。聞く前に、その差が数量の違いなのか、単価の違いなのか、工法の違いなのかを分けておくと、聞き方がはっきりします。
図5 数量の差を先に消してから、単価の差を聞く。
- 数量が違うとき「条件書の数量は12㎡です。この数量で出し直していただけますか」と頼みます。
- 単価が違うとき「この単価には、何が含まれていますか」と、含まれる作業と材料を聞きます。
- 工法が違うとき「条件書の工法での金額と、勧める工法での金額を分けてください」と頼みます。
- 行がないとき「この作業は、見積のどの行に入っていますか」と聞きます。
聞き直しは、全社に同じ日に、同じ形で行います。1社にだけ何度も聞くと、その会社だけが見積を練り直せることになります。聞き直しは1回と決めておくと、業者も最初から見積の中身をそろえて出すようになります。
聞き直しの答えも、比較表の該当する行に書き足します。答えの日付と、答えた人の名前も残しておくと、契約の前に条件を確かめるときにそのまま使えます。
モデルケース:共用トイレの改修で、条件書を作って頼み直した有料老人ホーム
モデルケース:定員64名の介護付有料老人ホーム(4階建て)
条件書で頼み直し、3社の見積を1回の会議で比べて決めた
変わったこと(結果)
条件書を作って3社に頼み直したところ、届いた見積を1回の会議で比べて決められました。最初に届いた3社の見積は、合計で最大1.8倍の開きがあり、どれが妥当か分かりませんでした。条件をそろえたあとの開きは1.2倍ほどに縮まり、差の理由も行ごとに説明できました。頼み直しから決定までは4週間で、工事中の追加は1件(床下の配管の取り替えで2万円)でした。
背景と、困っていたこと
このホームでは、各階に2か所ある共用トイレのうち、2階と3階の各1か所を改修することになりました。施設長が3社に電話で「トイレの改修の見積をお願いします」と頼むと、届いた見積はばらばらでした。床をはがして張る会社と重ねて張る会社があり、処分を「別途」とする会社もありました。作業の時間帯も、日中と夜間に分かれていました。
決めたこと
施設長は、6つの項目を書いた条件書を作りました。床ははがして張り替え、作業は平日の9時から16時、工事中は同じ階のもう1か所を使う、と決めました。処分と養生は見積に含め、保証は工事とメーカーに分けて書いてもらいます。条件書と写真、図面の写しを3社に同じ日に送り、質問の答えは質問回答表で全社に返しました。
進めてみて分かったこと
初めは、条件書を作る時間が取れるか迷いました。実際には、写真と数量をそろえて半日ほどで書け、業者からの質問も4件で済みました。重ね張りを勧めた会社の案は別の案として比較表の下に並べ、段差でつまずく心配から採りませんでした。今は、工事の種類ごとに条件書のひな形を残しています。