配慮の中心は、工事の段取りで暮らしの変化を小さくすることです
認知症のある入居者の方にとって、工事は、いつもの場所・いつもの道・いつもの人が変わる出来事です。変化が重なると、落ち着かなくなったり、ふだんと違う行動につながったりすることがあります。工事を頼む側にできる配慮の中心は、介護の技術ではなく、工事の段取りで変化を小さくすることです。
工事で起きる変化と、配慮の項目| 変わるもの | 工事で起きること | 配慮の項目 |
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| 場所 | 居間・廊下・トイレが使えなくなり、家具が動く | 一度に変わる場所を少なく、期間を短く区切る |
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| 目印 | トイレの表示や居室の名札が、養生や仕切りで隠れる | 目印は外さない。隠れるなら同じ位置に仮の目印を付ける |
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| 道すじ | 食堂やトイレへの道が、仕切りでふさがる | よく使う道は残す。変えるなら1回だけにする |
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| 人 | 知らない職人が、毎日何人も出入りする | 同じ顔ぶれで通い、服装と名札をそろえる |
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| 出入口 | 搬入のたびに玄関や勝手口が開く | 搬入の時間と出入口を決め、開けている間は人が立つ |
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| 音と時間 | 突然の大きな音や、ふだんと違う時間の物音 | 音の大きい作業は、落ち着いて過ごせる時間に寄せる |
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図1 4つとも、介護の技術ではなく工事の段取りで決められる。
この4つは、どれも工事が始まる前に、施設と業者で決められます。着工してから気づいて直すより、着工の前に決めておくほうが、職員の手間も業者の手戻りも小さくなります。一人ひとりの方への接し方や声のかけ方は、ふだんのケアと同じく、介護の職員が判断します。
業者に求めるのは、介護の知識ではなく、決めた段取りを毎日守ることです。区切り方、目印、出入口、音の時間の4つを紙にして渡し、現場の責任者から職人全員に伝えてもらいます。
専用のフロアがない施設でも、配慮は要ります
認知症の方への配慮というと、認知症の専用のフロアやグループホームの話だと思われがちです。けれども、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅にも、認知症のある方は暮らしています。工事の場所がどのフロアでも、建物の中の誰かの暮らしが変わる前提で段取りを組みます。施設の種類によって、気をつけるところが少しずつ違います。
施設の種類ごとに、工事で気をつけること| 施設の種類 | 暮らしの特徴 | 工事で気をつけること |
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| グループホーム | 1つのユニットが5〜9人。居間と台所が暮らしの中心 | 居間と台所の工事は、区切って短く。玄関と勝手口の開け閉め |
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| 特養(ユニット型) | ユニットごとに居間と食堂があり、なじみの空間がある | ユニットごとに区切る。ほかのユニットの居間を借りる段取り |
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| 特養(従来型) | 多床室と広い食堂。廊下が長く、移動の距離がある | 長い廊下の工事は区画を分け、トイレへの道を残す |
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| 老健 | 機能訓練の部屋への移動が多い。入所の期間が比較的短い方が多い | 入れ替わる方にも分かる目印と、移動の経路の表示 |
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| 有料老人ホーム・サ高住 | 居室が住まいで、自分の家具や持ち物がある | 居室に入る工事は、家具の配置を写真に残して戻す |
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| デイサービス | 通う方が日ごとに違い、休みの日がある | 休みの日に工事を寄せる。通う日ごとに知らせる |
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特養は、ユニット型か従来型かで、工事の区切り方が変わります。型ごとの修繕の頼み方は特養の修繕は、ユニット型か従来型かで頼み方が変わりますにまとめています。
グループホームやデイサービスなどの小さな施設は、工事の場所と暮らしの場所が近く、借りられる部屋も少なくなります。小規模の施設の修繕を頼める業者の見つけ方と任せ方は木造2階の屋根や階段を作り直すなら、2025年4月から確認申請が要りますで書いています。
変わる場所は少なく、変わる期間は短く区切ります
環境の変化を小さくする基本は、一度に変わる場所を少なくし、変わっている期間を短くすることです。たとえば居間の床を張り替えるなら、居間を2つか3つに分けて、1区画ずつ工事します。使えない場所が半分なら、残りの半分でいつもの過ごし方を続けられます。
工事の区切り方の例| 工事の場所 | 区切り方 | その日のうちに戻すもの |
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| 居室 | 1日に1〜2室ずつ。その日のうちに居室に戻れる工事に分ける | ベッドと家具の位置、壁の写真やカレンダー |
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| 廊下 | 3〜4区画に分け、トイレと食堂への道を1本は残す | 手すりの養生を外し、通れる幅を元に戻す |
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| 居間・食堂 | 半分ずつ工事し、テーブルといすの位置を変えない | いつもの席、時計、テレビの位置 |
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| トイレ | 複数あるなら1か所ずつ。使えない日は入口に仮の案内 | トイレの表示と、照明のスイッチの位置 |
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| 浴室 | 入浴のない日にまとめ、入浴日の前日までに戻す | 脱衣所のいすと、手すりの位置 |
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図2 区切ると日数は延びるが、暮らしの変化は小さくなる。
居室の中の工事では、工事の前に家具の配置と、壁に貼ってある写真やカレンダーの位置を写真に撮っておきます。工事のあとは、その写真のとおりに戻します。ベッドの向きや、ふだん使う物の置き場所が変わらないだけで、戻ったときの戸惑いが小さくなります。
居室を一時的に移る方がいる工事では、移る回数をできるだけ1回にし、移る先にもいつも使う物を持っていきます。居室の移動を含む工事の工程表の組み方は居ながら工事の工程表は、工事と暮らしの予定を重ねて作りますにまとめています。特養の多床室を区切る改修のように、居室の回し方そのものが工事の中心になるときの段階施工は多床室の改修は、空ける居室の数で工事の区切りが決まりますで説明しています。
目印と道すじは、工事中も変えずに残します
トイレの表示、居室の名札やのれん、廊下の角の飾りなどの目印は、場所を見分ける手がかりになっていることがあります。養生のシートや仕切りでこれらが隠れると、いつもの場所が見つけにくくなります。目印は外さずに残し、隠れてしまう場合は、同じ位置に同じ形の仮の目印を付けます。
図3 動かすときも、高さと形をそろえ、変える回数を減らす。
目印と道すじの残し方| 目印・道すじ | 工事で起きやすいこと | 残し方 |
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| トイレの表示 | 扉の養生で隠れる。扉を外すと表示ごとなくなる | 養生は表示を避けて張る。扉を外す日は、入口の同じ高さに仮の表示 |
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| 居室の名札・のれん | 壁紙の張り替えで、いったん外される | 外したら、その日のうちに元の位置に戻す |
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| 廊下の目印 | 角の飾りや掲示が、仕切りの向こうになる | 仕切りの手前に同じ物を移す |
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| トイレ・食堂への道 | 仕切りでふさがり、遠回りになる | よく使う道を1本は残す。変えるなら曲がり角ごとに案内を出す |
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| 照明 | 工事の区画の照明を止めて、廊下が暗くなる | 通る場所の明るさは変えない。暗くなるなら仮の照明を置く |
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工事が終わったあとにも、変化は残ります。床の色や柄、扉の色、照明の明るさが変わると、慣れるまでに時間がかかる方がいます。濃い色の帯や柄のある床が、段差や穴に見えて足を止める方もいます。仕上げの色や柄を選ぶときは、使う入居者の方と職員の目線を入れます。使う人を仕様の決定に入れる方法はリフォームの失敗で多いのは、使う人を入れない仕様の決め方ですにまとめています。
知らない人の出入りは、顔ぶれと出入口で管理します
工事の間は、ふだん施設にいない人が毎日出入りします。知らない人が何人も行き来すると、落ち着かなくなる方や、職人について行こうとする方もいます。職人の顔ぶれをそろえ、出入りする時間と場所を決めることで、知らない人の気配を小さくできます。
知らない人の出入りと、出入口の決めごと| 決めること | 中身 | 決める相手 |
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| 職人の顔ぶれ | 工事の間は同じ職人が通う。入れ替わるときは前日に知らせる | 業者の現場の責任者 |
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| 服装と名札 | 同じ色の上着と、大きな字の名札を付ける | 業者 |
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| 入居者の方への応じ方 | 話しかけられたら短くやさしく答え、近くの職員を呼ぶ | 施設と業者 |
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| 搬入の時間と出入口 | 搬入は決めた時間に、決めた出入口だけを使う | 施設と業者 |
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| 出入口の見守り | 玄関や勝手口を開けている間は、職員か業者が1人立つ | 施設の担当者 |
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| 工具と材料 | 区画の外に置かない。休憩のときも片付けて区画を閉める | 業者 |
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中でも気をつけたいのが、搬入のときの出入口です。資材を運び込む間、玄関や勝手口、門扉が開いたままになると、入居者の方が外へ出てしまうことがあります。搬入の時間を1日2回などに決め、開けている間は誰かが立つようにします。工事の間だけ自動ドアの開け方を変えるときは、ドアの業者と職員で確かめます。自動ドアが開かない・閉まらないときに職員が確かめる順番は自動ドアが開かない・閉まらない。職員が確かめる順番がありますにまとめています。
工事の区画にも、入り込まない工夫が要ります。仕切りは乗り越えにくい高さにし、出入口は鍵か留め具で閉めます。工具や釘、塗料や接着剤は、口に入れたり触ったりするとけがにつながります。休憩のときも区画の外に置かないことを、業者と決めておきます。
窓まわりの工事で窓を開ける日は、転落と外へ出ることへの備えも要ります。窓が閉まらないときの考え方は窓が閉まらない・ガラスが割れた。転落と外へ出る心配を先にで書いています。
音の大きい作業は、落ち着いて過ごせる時間に寄せます
突然の大きな音は、認知症のある方を驚かせ、不安にさせることがあります。音を小さくする工法や区画の工夫に加えて、いつ音を出すかを1日の過ごし方に合わせて決めます。音を出す前に、職員が近くの方に「これから少し音がします」と声をかけるだけでも、驚く方が減ることがあります。
図4 施設の1日の流れに合わせて、音の大きい作業の時間を決める。
どの時間が落ち着いて過ごせる時間かは、施設ごと、ユニットごと、入居者の方ごとに違います。音の大きい作業の時間は、業者に任せず、介護の職員に聞いて決めます。夕方に落ち着かなくなりやすい方がいるユニットでは、音の大きい作業を午前に寄せます。
夜間の工事は、眠っている時間の音と、夜勤の職員の少なさの両方で負担が大きくなります。夜間・早朝の工事の制約は夜間工事はできますが、夜にしかできない工程だけに絞りますに、工法と区画で騒音と粉じんを減らす方法は騒音と粉じんは、時間帯だけでなく工法と区画でも減らせますにまとめています。
工事を止める判断は、現場の職員がその場でできるようにします
工事の途中で、入居者の方の様子から、作業を止めたほうがよい場面があります。そのとき、事務長や施設長に確かめてからでないと止められない決まりでは、間に合いません。止める場面と合図を先に決め、現場の職員がその場で業者に伝えられるようにしておきます。
作業を止める場面と、止め方| 止める場面 | 業者がすること | 施設がすること |
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| 入居者の方が区画に入ろうとしている | 手を止め、工具を置いて区画の出入口を閉める | 職員が付き添い、別の場所へ誘う |
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| 音で強い不安や混乱が続いている | 音の出る作業をやめ、音の出ない作業に切り替える | 落ち着くまで、職員がそばにいる |
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| 職人について行こうとする方がいる | 作業を止めて、近くの職員に知らせる | 職員が付き添い、職人はその場を離れる |
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| 出入口が開いた間に、外へ向かう方がいる | 出入口を閉め、近くの職員を呼ぶ | 職員が付き添い、出入口の決めごとを見直す |
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| 養生や資材で、つまずきそうな場所がある | 作業を止めて、その場で直す | 直るまで、その場所に職員が立つ |
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図5 止めるのも、再開するのも、職員の合図で決める。
止める合図は、誰にでも分かる簡単なものにします。止めたときは、時刻と理由を記録しておきます。同じ理由で何度も止まるなら、工事の時間帯や区切り方を見直す合図になります。
止めた時間の扱いは、契約の前に業者と決めておきます。短い中断は予定の工期の中で取り戻し、半日を超えて止まったときは工程を組み直す、といった線を引いておきます。線が決まっていれば、現場の職員が止めることをためらわずに済みます。
ご家族には、期間と場所と面会への影響を先に知らせます
ご家族へのお知らせは、工事の2週間前までに文書で届けます。大規模修繕のように期間の長い工事では、1か月前までに届けます。書くことは、工事の目的、期間と場所、暮らしへの影響、面会への影響、問い合わせ先です。居室を移る方や、工事の場所の近くに居室がある方のご家族には、文書とは別に、電話や面会のときに個別に説明します。
ご家族へのお知らせに書くこと| 書くこと | 書き方の例 |
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| 工事の目的 | 床のはがれでつまずく心配があるため、居間の床を張り替えます |
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| 期間と時間 | 〇月〇日から〇日まで。作業は平日の午前10時から午後3時まで |
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| 場所 | 1階の居間と台所。2階は工事をしません |
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| 暮らしへの影響 | 工事の間、食事は居間の半分を使います。音の出る作業は午前に寄せます |
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| 面会への影響 | 面会はふだんどおりできます。工事の場所は通れない日があります |
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| 配慮していること | 職人は同じ方が通い、出入口を開けている間は職員が立ちます |
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| 問い合わせ先 | 施設の担当者の名前と、連絡のつく時間 |
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ご家族が気にされるのは、工事そのものより、本人がどう過ごすかであることが多いです。「配慮していること」を1行入れておくと、問い合わせが落ち着いたものになりやすくなります。工事が終わったら、終わったことと、変わった所を短く知らせます。
職員には、その日の工事を朝の申し送りで伝えます
職員への周知は、着工の前に一度伝えて終わりにせず、工事の間は毎日伝えます。その日にどこで何の作業があり、いつ音が出るかが分かっていれば、職員は入居者の方の過ごし方を前もって組み立てられます。
- 着工の2週間前工事の全体の予定、止める合図、出入口の決めごとを、全フロアの職員に伝えます。非常勤の職員にも同じ文書を渡します。
- 前日の夕方翌日の作業の場所と時間、来る職人の人数を、詰所の掲示板に貼ります。
- 当日の朝申し送りで、その日の音の出る時間と、通れなくなる場所を伝えます。
- 夜勤への申し送り区画の鍵、仮の目印、戻した家具の位置を伝えます。
- 工事の終わり変わった所と、新しい設備の使い方を伝えます。
夜勤の職員は、昼の工事を見ていません。夜に目を覚ました方が、仮の目印や戻した家具の位置で迷わないように、夜勤への申し送りで変わった所を伝えます。工事のあとに残る仮の照明や養生も、夜の見回りの道で確かめてもらいます。
職員から「この時間は困る」「この場所は通れないと困る」という声が出たら、その日のうちに業者に伝えて、翌日の段取りに入れます。現場の声を受け取る人を1人決めておくと、伝え漏れが減ります。
モデルケース:居間と台所の床を張り替えたグループホーム
モデルケース:2ユニット・定員18名のグループホーム
6日間の工事で、外へ出ようとする場面が一度もなかった
変わったこと(結果)
1階のユニットの居間と台所の床を、6日間で張り替えました。工事の間、入居者の方が外へ出ようとする場面は一度もありませんでした。前の年の浴室の手すりの工事では、職人の出入りのたびに玄関が開き、外へ向かう方が3回いました。工事の場所に入ろうとする方は、1日目に4回ありましたが、3日目からは0回になりました。ご家族からの問い合わせは2件で、どちらもお知らせの中身の確かめでした。
背景と、困っていたこと
この事業所は木造2階建てで、1階と2階に9名ずつのユニットがあります。1階の居間の床のシートがはがれ、つまずく心配がありました。居間と台所は、入居者の方が1日の大半を過ごす場所です。使えない日をどう過ごすかが決まらず、工事を半年ほど先送りにしていました。管理者は、工事を何日にも分けると、職員の負担が長く続くことにも迷っていました。
決めたこと
居間を半分ずつ2日ずつ、台所を2日で張り替える、6日の工程にしました。テーブルといすの位置、時計とカレンダー、のれんは写真に撮り、毎日の作業の終わりに元の位置に戻しました。職人は同じ2人が通い、搬入は勝手口から午前10時と午後2時の2回だけにして、その間は職員が1人勝手口に立ちました。音の大きい作業は午前に寄せ、夕方は作業を入れませんでした。決め手は、居間の半分が毎日使えることでした。
進めてみて分かったこと
1日目は、仕切りの向こうの職人の声が気になって、仕切りの前に来る方がいました。2日目からは職人どうしの声を小さくしてもらい、仕切りの前に来る方は減りました。夜勤の職員への申し送りに、その日に戻した家具の位置を加えたことで、夜に迷う方もいませんでした。