頼み先は、金額と急ぎの2つで4つの箱に分かれます
介護施設の修繕をどこに頼むかを、業者の種類から考えると迷います。工務店、設備会社、メーカー、施設管理の会社、窓口と、候補が多いからです。先に見るのは、その案件の金額と急ぎの2つです。2つを組み合わせると、案件は4つの箱のどれかに入り、箱ごとに頼み先と比べ方がおおよそ決まります。
頼み先の早見表(金額と急ぎの4つの箱)| 金額\急ぎ | 急ぐ(今日〜今週) | 急がない(今月〜来年度) |
|---|
| 小さい(おおむね50万円未満) | ①近い業者・窓口に写真を送って、すぐ来てもらう | ②ためて、まとめて、月1回などにまとめて頼む |
|---|
| 大きい(50万円以上) | ③応急のあと2〜3社。応急処置で持たせ、専門業者で比べる | ④比べ方を先に決める(見積合わせ・入札・設計の分離) |
|---|
500万円以上の工事は、その工事の種類の建設業の許可を持つ業者に頼みます。法人の規程で相見積や入札の金額が決まっている場合は、そちらを優先します。
図1 上の段が金額の小さい箱、下の段が大きい箱。左が急ぐ箱、右が急がない箱。
線の引き方は、金額がおおむね50万円、急ぎが今週のうちかどうかです。50万円は、1人か2人の職人が数日で終える修理と、何社かを比べてから決めたい工事とを分ける、当窓口の目安の線です。法令で決まった線ではありません。法人の規程に決裁や相見積の金額がある場合は、その線を表に書き足して使います。書き足し方は、この記事の後半で書きます。
早見表で決まるのは、頼み先の「種類」と「比べ方」までです。どの会社に頼むかは、そのあとで選びます。工務店・設備会社・メーカー・施設管理の会社など、業態ごとの守備範囲は修理や営繕の頼み先は、6つの業態から工事ごとに選びますにまとめています。
1分で仕分けるには、金額と急ぎの順に2つだけ問います
仕分けは、修理の話を受けたその場で、1分あれば終わります。問うのは2つだけです。1つ目は「50万円を超えそうか」、2つ目は「今週のうちに直さないと困るか」です。この順に答えると、箱が1つに決まります。
図2 金額、急ぎの順に問うと、箱が1つに決まる。迷ったら大きい側・急ぐ側に入れる。
迷ったときの決め方も、先に決めておきます。金額が分からないときは大きい側に、急ぐか迷うときは急ぐ側に入れます。小さいと思って①や②で動き、あとで大きいと分かると、比べる機会のないまま金額が決まりやすいからです。反対に、大きい側に入れて実は小さかったときは、比べる手間が少し増えるだけで済みます。
急ぐ・急がないの見分け方| 見ること | 急ぐ(今日〜今週) | 急がない(今月〜来年度) |
|---|
| 入居者の方の安全 | 転倒・転落・やけど・閉じ込めのおそれがある | 危なくはないが、使いにくい |
|---|
| 衛生と暮らし | トイレ・お湯・空調・ナースコールが使えない | 代わりの場所や方法で、ふだんどおり回る |
|---|
| 被害の広がり | 水漏れや雨漏りが、床や下の階に広がっている | 跡やしみはあるが、広がっていない |
|---|
| 代わりの設備 | 1台しかない設備が止まった | 同じ設備がほかにもあり、回せる |
|---|
| 期限 | 行政の指導や点検の指摘で、直す期限が近い | 期限はなく、予算の年度に合わせて決められる |
|---|
急ぎの判断は、現場の職員が最初にします。修理の話を上げるときに、表の左の列に当てはまるかを書き添えてもらうと、受けた人が箱を決めやすくなります。夜間や休日に起きた故障は、いったん急ぐ側に入れ、朝まで待てるかを夜勤の職員と確かめてから動きます。
金額の見当は、工事の種類と台数でつけます
「50万円を超えそうか」は、見積を取る前に答える問いです。正確な金額は分からなくてかまいません。工事の種類と、台数や場所の数が分かれば、多くの場合は見当がつきます。当窓口の目安を、早見表の金額の線に当てはめると次のようになります。
工事の種類ごとの金額の見当(当窓口の目安)| 工事 | 費用の目安 | 入る箱の見当 |
|---|
| 建具の調整・照明の交換 | 5,000円〜3万円 | 小さい(①か②) |
|---|
| 水漏れ・詰まりの修理 | 1万5,000円〜8万円 | 小さい(多くは①) |
|---|
| 手すりの設置・補修 | 1か所1万円〜5万円 | 小さい。何十か所もまとめると大きい側 |
|---|
| 特殊浴槽の修理 | 3万〜80万円 | 直す部品しだいで、小さくも大きくもなる |
|---|
| エアコンの交換 | 1台20万〜60万円 | 1台なら小さい側が多い。2台以上は大きい側 |
|---|
| 給湯器の交換(業務用1台) | 80万〜400万円 | 大きい(③か④) |
|---|
| 特殊浴槽の入替 | 350万〜1,100万円 | 大きい(多くは④) |
|---|
| 屋上防水の改修・外壁の塗装と補修 | 500万〜3,000万円 | 大きい(④)。建設業の許可が要る |
|---|
費用は、規模・地域・時期・建物の状態で変わる目安です。入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。
見当をつけるときに見落としやすいのは、台数と付帯の工事です。1台や1か所なら小さくても、同じ修理を何台分もまとめると大きい側に移ります。また、本体の交換に、撤去と処分、配管や電気のつなぎ直し、床や壁の補修が加わると、本体の金額より大きく上がることがあります。写真を送るときに「何台・何か所か」を書き添えると、業者からも見当を聞きやすくなります。
金額の帯ごとに、動く人や決める人がどう変わるかは5千円と3千万円を、同じ体制では扱えませんで書いています。この記事の早見表は、その金額の軸に、急ぎの軸を足したものです。
①小さくて急ぐ修理は、写真を送って近い先に来てもらいます
①の箱は、トイレの詰まり、居室の扉が閉まらない、廊下の照明が切れた、蛇口の水が止まらない、といった修理です。数万円で直り、そのかわり今日か明日には直したいものです。この箱では、業者を比べません。比べているうちに、困る時間が延びるからです。決め手は、近さと、すぐ動けるかです。
①の箱の頼み先と、選ぶときに見ること| 頼み先 | 向いている修理 | 見ること |
|---|
| いつもの近い業者 | 建具・水まわり・照明など、前にも頼んだ修理 | 今日か明日に来られるか |
|---|
| 保守の契約先 | エレベーター・自動ドア・特殊浴槽・ナースコール | 契約に駆けつけや部品の交換が入っているか |
|---|
| 水道の指定工事店・ガス会社 | 給水管の漏れ、ガスの機器 | 水道局の指定か、ガスの契約先か |
|---|
| 窓口 | いつもの業者が来られない、どこに頼むか分からない | 写真と状況を送れば、手配が進むか |
|---|
①の箱では、写真がいちばんの近道です。写真があると、業者は来る前に部品や道具の見当をつけられます。1回目の訪問で直る見込みが上がり、「見に来て、部品を取り寄せて、また来る」という往復が減ります。送る写真は、次の4つです。
- 離れて1枚部屋や廊下のどこか分かるように、少し離れて撮ります。
- 近くで1枚壊れた所、水のしみ、割れ目など、症状が分かるように撮ります。
- 銘板を1枚機器なら、型番と製造年が書かれた銘板を撮ります。
- ひとこと添えるいつから、どうなると困るか、何台・何か所かを書きます。
近さは、会社の住所ではなく、着くまでの時間で見ます。同じ市内の会社でも、職人がどこから来るかで、平日の日中と夜間とで着く時間が違います。着くまでの時間の聞き方は近くの業者は、市区町村の名前より着くまでの時間で選びますにまとめています。
当窓口は、フォームとLINEで24時間受け付けていますが、お電話の受付はありません。ガスのにおい、エレベーターの閉じ込め、止まらない水漏れなど、今すぐ人が来ないと危ない場面があります。そのときは、ガス会社や保守の契約先、近い業者に電話してください。①の箱で窓口が役に立つのは、いつもの業者が来られないときや、どこに頼めばよいか分からないときです。
こういうサービスは初めてだったので正直どうかなと思っていたのですが、修繕したい場所と状況を伝えるだけで相談できたので、思っていたより簡単でした。
ご利用者の声 東京都内・介護施設/施設管理・営繕担当
取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。
②小さくて急がない修理は、ためてまとめて頼みます
②の箱は、扉の閉まりが少し重い、壁紙のはがれ、網戸の破れ、カーテンレールの外れ、といった修理です。1件ずつ頼むと、職人は1件のために移動し、半日分の手間をかけて来ることになります。施設にとっても、そのたびに電話と立ち会いが要ります。ためておいて、月1回などにまとめて頼むと、両方の手間が減ります。
ただし、②に入れてよいのは、不便でも代わりがある修理だけです。同じ種類の修理でも、程度によっては①に移します。
②の箱で、ためてよい修理・ためない修理| 場所 | ためてよい(②のまま) | ためない(①へ移す) |
|---|
| 扉と建具 | 閉まりが少し重い、取っ手のゆるみ | 閉まらない、指をはさみそう、鍵がかからない |
|---|
| 壁と床 | 壁紙のはがれ、床の小さな傷 | 床の浮きや段差で、つまずきそう |
|---|
| 水まわり | 水栓の閉まりが固い、排水が少し遅い | 止まらない漏れ、床が濡れる、流れない |
|---|
| 照明 | 使っていない部屋の電球 | 廊下・トイレ・階段の照明 |
|---|
| 手すり・棚 | 飾り棚のぐらつき | 手すりのがたつき、体を預ける所のゆるみ |
|---|
ためる間隔は、月に1回が目安です。1回に5〜10件ほどたまると、職人1人が半日から1日で回れる量になります。たまった修理は、建具・水まわり・電気のように、職人の種類ごとに分けておくと、来てもらう人を決めやすくなります。職員には、まとめて直す日を知らせておきます。「いつ直るのか」という問い合わせが減ります。
②の箱では、1件ずつの相見積はしません。そのかわり、年に1回、1件あたりの単価、出張費、1回の訪問で何件直したかを並べて、頼み先を見直します。小さな工事が後回しになる理由と、受けてもらいやすい頼み方は小さい工事が断られるのは、1人工という単位のせいですにまとめています。月1回の巡回を契約で決める方法は定期の営繕契約は、頻度・範囲・費用の順に決めますで書いています。
③大きくて急ぐ工事は、応急処置で持たせてから比べます
③の箱は、業務用の給湯器が壊れた、特殊浴槽の基板が焼けた、屋上から雨が漏ってきた、といった工事です。直すには数十万円から数百万円かかり、しかも今週のうちに何とかしないと困ります。この箱でいちばん起きやすいのは、急ぐあまり、最初に来た1社の見積でそのまま決めてしまうことです。
③の箱の動き方は、2つの段に分けます。1段目は、今週を持たせる応急処置です。2段目は、持たせているあいだに専門業者2〜3社の見積を比べ、本工事を決めることです。応急処置で数日から2週間ほどの時間をつくれれば、大きな金額の工事でも、比べてから決められます。
図3 応急処置で時間をつくり、そのあいだに本工事を比べる。
③の箱でよく使う、応急の手当て(例)| 止まったもの | 応急の手当て | そのあいだの暮らし |
|---|
| 特殊浴槽 | ほかの浴槽に回す、壊れた部品だけ先に替える | 入浴を清拭に替える日をつくる |
|---|
| 業務用の給湯器 | 残りの台で回す、仮設の給湯器を置く | 入浴の時間帯と人数を分ける |
|---|
| 居室の空調 | 移動式の冷暖房機を置く、部屋を移る | 室温を記録し、体調を見守る |
|---|
| 屋上からの雨漏り | シートで覆う、漏れる所に受けを置く | 漏れる部屋を使わない |
|---|
| 外壁のはがれ | 下の通路を立入禁止にし、ネットで覆う | 出入りの経路を変える |
|---|
介護保険の施設の運営の基準では、入浴は「入浴、又は清拭」と書かれています。特殊浴槽が止まった日は、清拭に替えられます。応急の手当ては、本工事と別の見積に分けてもらいます。1つの見積にまとめると、本工事を比べるときに、応急の費用まで含めた金額で比べることになり、ほかの会社と並べにくくなるからです。
社会福祉法人の場合、国の通知は、電気や機械設備などの故障に伴う緊急の復旧工事を、随意契約によることができる場合に挙げています。ただし、緊急にあたるかは法人の規程と所轄庁の考え方で確かめ、理由を記録に残します。応急で持たせられた場合は、本工事は通常の見積合わせで決めると、あとで説明しやすくなります。
候補を急いでそろえる段取りは3日でそろえるのは、見積ではなく候補と日程ですにまとめています。機器の納期と、仮設の機器でつなぐ方法は至急で交換したいとき、納期を決めているのは3つですにあります。
④大きくて急がない工事は、比べ方を先に決めます
④の箱は、屋上防水や外壁の改修、特殊浴槽の計画的な入替、空調の一斉更新、浴室の改修などです。金額が大きく、時間はあります。この箱で最初に決めるのは、業者ではなく比べ方です。比べ方を決めないまま1社に相談すると、その会社の見積と提案が、そのまま比べる物差しになってしまうからです。
④の箱の、3つの比べ方| 比べ方 | どう進むか | 向いている工事 | 施設の手間 |
|---|
| 見積合わせ | 同じ条件書で2〜3社以上に見積を頼み、比べて1社と契約する | 工事の中身がはっきりしている(機器の更新、部分の改修) | 条件書づくりと、見積の読み比べ |
|---|
| 入札 | 仕様書と図面を全社に渡し、決めた日に札を開けて決める | 金額が大きく、法人の決まりで入札が要る工事 | 仕様書・現場説明・開札・評価の段取り |
|---|
| 設計の分離 | 設計事務所などが調査と仕様書を作り、施工会社を別に選ぶ | 工事の種類が多く、直す範囲を決めにくい大規模修繕 | 設計と監理の費用がかかるが、施設の判断は減る |
|---|
3つは、どれか1つを選ぶものとは限りません。設計を分けて仕様書を作り、その仕様書で見積合わせや入札をする、という組み合わせもあります。どれにするかは、工事の種類の数、直す範囲を施設で決められるか、法人の決まり、工事に立ち会える人の時間で決めます。
比べ方を決めたら、見積を頼む前に、何社に声をかけるかと、何で比べるかも決めておきます。見積を取る社数の考え方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにまとめています。入札の手順(仕様書・現場説明・開札・評価)は日常は工務店と年間で付き合い、大きな工事は入札などで比べて選びますにあります。設計と施工を分ける方式は設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますで書いています。
④の箱の工事は、比べ方を決めてから契約までに、数か月かかることがあります。予算の年度に合わせて工事をするなら、前の年度のうちに比べ方を決めておくと、見積と稟議と契約の時間が取れます。急がない箱にあるうちに動くことが、③の箱に移ってしまうのを防ぐことにもなります。
500万円以上の工事は、その種類の建設業の許可を確かめます
箱とは別に、もう1本、金額の線があります。1件の請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事は、その工事の種類の建設業の許可を持つ業者でないと請け負えません。屋上防水なら防水工事業、外壁の塗装なら塗装工事業、給湯や空調の配管なら管工事業、というように、業種ごとの許可です。
500万円の線は、見積の金額の見方しだいで、思わぬところで越えます。次の3つは、見落としやすい点です。
500万円の線で、見落としやすい3つのこと| 見落としやすいこと | 決まり | 施設が気をつけること |
|---|
| 消費税 | 請負代金の額は、消費税を含めた金額で見る | 税抜きで480万円の見積は、税込みで500万円を超える |
|---|
| 工事を分けた契約 | 分けて契約しても、正当な理由がなければ合計の金額で見る | 許可を避けるために、同じ工事を2つの契約に分けない |
|---|
| 施設が用意した材料 | 注文者が材料を出した場合は、その市場価格と運送賃を足して見る | 機器を施設で買い、取付だけを頼むときも、機器の代金を足して考える |
|---|
許可を持っているか、許可の業種と有効期間は、国土交通省の検索システムで、会社の名前や許可番号から調べられます。調べ方は老人ホームの営繕業者は、公的な記録で確かめられますにまとめています。500万円に届かない工事は、許可がなくても受けられます。ただ、電気の工事や水道の給水の工事など、金額にかかわらず登録や指定が要る分野があります。
④の箱の工事では、元請になる会社の許可だけでなく、実際に工事をする専門の会社の許可も聞いておきます。屋上と外壁をまとめて頼むと、元請の会社のもとで防水と塗装の会社が入ることが多いからです。
法人の規程の金額は、早見表の金額の軸に書き足して使います
早見表の50万円の線は、頼み先を決めるための目安です。法人の規程で、決裁の金額や、相見積や入札を行う金額が決まっている場合は、そちらを優先します。使いやすいのは、早見表の金額の軸に、法人の線を書き足しておくことです。
図4 1,000万円は、会計監査を受けない法人の場合。法人の線を書き足すと、③と④の箱の中で比べ方が決まる。
社会福祉法人では、国の通知で、金額ごとに業者の選び方が決まっています。随意契約の見積合わせでは、令和8年4月から、工事の請負で400万円以下なら2社以上の見積で差し支えありません。超えると、3社以上から見積を取って比べるなどします。会計監査を受けない法人では、予定価格が1,000万円を超える契約は、金額を理由にした随意契約の範囲を超えます。
社会福祉法人の工事で、金額ごとに確かめること| 工事の予定価格 | 国の通知での業者の選び方 | 施設が確かめること |
|---|
| 400万円以下 | 随意契約なら、2社以上の見積で差し支えない | 法人の経理規程が、改正前の250万円のままになっていないか |
|---|
| 400万円を超え1,000万円以下 | 随意契約なら、3社以上から見積を取って比べるなどする | 条件をそろえた見積を、何社に頼むか |
|---|
| 1,000万円を超える | 金額を理由にした随意契約の範囲を超える(会計監査を受けない法人) | 入札にするか、緊急の復旧工事など通知が挙げる理由にあたるか |
|---|
①や②の箱で比べずに頼む修理も、法人の規程で見積の取り方が決まっていれば、その決まりに従います。株式会社などが運営する有料老人ホームやサ高住でも、本部の決裁の金額や相見積の社数を、社内の規程で決めていることがあります。早見表を使い始める前に、本部に規程の線を一度聞いて、表に書き込んでおくと、箱ごとの動き方と法人の決まりがずれません。
箱の境目にある修理は、箱を移して扱います
実際の修理は、箱の境目にあることも、途中で箱を移ることもあります。多いのは、次の4つの場面です。
- 来てみたら、修理ではなく交換が要ると言われた①から③へ移ります。その日は応急の手当てだけを頼み、交換は2〜3社で比べます。
- 応急処置が効いて、急ぎでなくなった③から④へ移ります。残りの台で回せるあいだに、比べ方を決め直します。
- 同じ場所の小さな修理が、何度も続く②から④へ移ります。年に何回、いくらかかったかを数え、更新の工事と比べます。
- 1台ずつは小さいが、まとめると大きいエアコンの交換などを何台もまとめて頼むなら、④の箱で比べます。
図5 修理のつもりが交換になったら、その場で交換まで決めず、箱を移して比べる。
箱を移るときは、移ったことを業者に伝えます。「交換はほかの会社にも見積を頼みます」と最初に言っておけば、業者も心づもりができ、あとで行き違いになりにくくなります。見積の条件をそろえて頼む方法は見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作りますにまとめています。
同じ場所の修理が続くときは、②のまま直し続けるより、1年分を数えるほうが判断が早くなります。たとえば同じ浴室の水栓を年に4回直しているなら、修理の合計と、水栓や配管を替える工事の見積を並べます。替えるほうが数年で元が取れるなら、④の箱で比べます。
相談・見積は無料|同じ条件で最大3社
このお問い合わせ1本で、
最大3社の見積がそろいます。
モデルケース:1年分の修理の依頼を4つの箱に分けた介護老人保健施設
モデルケース:定員100名の介護老人保健施設
業者を探す電話が、週10回ほどから3回ほどに減った
変わったこと(結果)
事務長が修理のことで業者を探したり電話したりする回数が、週に10回ほどから3回ほどに減りました。②の箱の修理を月1回の巡回にまとめたことで、出張費のかかる訪問が、年におよそ60回から12回になりました。新しい決まりで迎えた冬には、給湯器の1台が止まりました。残りの台と仮設の給湯器でつないだ10日ほどのあいだに3社の見積を比べ、本部への報告に比べた表を添えられました。
背景と、困っていたこと
この老健では、職員から上がる修理の話を、事務長が1件ずつ受けていました。前の年の依頼を数えると、およそ130件ありました。小さな修理も大きな工事も同じように、そのたびに知っている業者に電話して、来られる会社を探していました。前の年に給湯器を替えたときは、最初に来た1社の見積でそのまま決めてしまい、本部から「なぜ比べなかったのか」と聞かれて、答えに詰まりました。
決めたこと
事務長は、前の年の130件を早見表の4つの箱に分けてみました。①が30件ほど、②が90件ほど、③が6件、④が4件でした。いちばん多い②は月1回の巡回にまとめ、①は分野ごとに近い業者を2社ずつ決めました。③は「応急と本工事を分けて見積をもらう」、④は「前の年度のうちに比べ方を決める」と決め、本部の規程の金額も表に書き込みました。
進めてみて分かったこと
職員が修理の話を上げるときに「今週のうちに直らないと困るか」を書き添えるようにすると、箱を決める時間がほとんどかからなくなりました。いっぽう、②に入れた手すりのぐらつきが、実は急ぐ修理だったことがありました。それからは、手すり・床の段差・廊下の照明は②に入れない、という決まりを足しました。