屋上防水と外壁塗装の費用は、面積と工法と足場で決まります
介護施設の屋上防水の改修は500万〜3,000万円、外壁の塗装・補修は800万〜3,000万円が、当窓口の目安です。工期はどちらも1〜3か月ほどです。幅が大きいのは、建物の大きさと傷み方が、施設ごとにまったく違うからです。
屋上防水と外壁塗装の費用の目安(当窓口の目安)| 工事 | 費用の目安 | 工期の目安 | 金額が上がりやすい条件 |
|---|
| 屋上防水の改修 | 500万〜3,000万円 | 1〜3か月 | 屋上が広い、今の層をはがす、室外機や架台が多い |
|---|
| 外壁の塗装・補修 | 800万〜3,000万円 | 1〜3か月 | 階数が多い、ひびやタイルの浮きが多い、目地が長い |
|---|
総額は、いくつかの中身の足し算でできています。いちばん大きいのは「面積×1㎡あたりの単価」ですが、それだけでは決まりません。下地の補修、屋上のふちの壁(立ち上がり)や排水口などの細かい部分、足場や資材の揚げ降ろし、入居者の方を守る養生、現場の管理の費用が加わります。
図1 屋上防水と外壁塗装の見積は、6つの中身の足し算でできている。
同じ1,000万円の見積でも、材料と施工が多くを占める見積と、足場や仮設が多くを占める見積では、中身が違います。見積を受け取ったら、まず6つのどこにいくらかかっているかを分けます。分けると、業者ごとの差がどこから来ているのかが見えてきます。
傷みが一部だけなら、部分の補修で金額は大きく下がります。屋上のふくれを数か所直す、外壁のひびを埋めるといった補修は、範囲が小さければ、全面の改修よりずっと小さな金額で済みます。全面の改修にするか、部分の補修で延ばすかは、劣化の調査の結果を見て決めます。
屋上防水の単価と持つ年数は、工法で変わります
屋上防水の工法は、大きく4つに分かれます。単価も持つ年数も、工法で変わります。
- ウレタン塗膜防水液状の材料を塗り重ねて、継ぎ目のない膜をつくります。表面は、トップコートという上塗りで守ります。
- シート防水塩ビやゴムのシートを張ります。接着するか、機械で留めます。
- アスファルト防水アスファルトとシートを、何層にも重ねてつくります。
- 改質アスファルト防水性質を改良したアスファルトのシートを、あぶるか貼り付けて重ねます。
屋上防水の工法ごとの単価と持つ年数の目安| 工法 | 1㎡あたりの単価の目安 | 持つ年数の目安 | 介護施設で気をつけること |
|---|
| ウレタン塗膜防水 | 4,500〜8,000円 | 10〜15年(表面のトップコートの塗り替えで延びる) | 溶剤のにおいが出る。においの少ない材料を選べるかを聞く |
|---|
| シート防水(塩ビ・ゴム) | 4,500〜8,500円 | 13〜15年 | 機械で留める工法は、ドリルの音が最上階に響く |
|---|
| アスファルト防水 | 6,000〜10,000円 | 露出13〜15年、保護層あり17〜20年 | 溶かす工法は煙とにおいが出る。火を使わない工法を選べるか |
|---|
| 改質アスファルト防水 | 6,000〜9,000円 | 露出15年前後、保護層あり20年ほど | バーナーであぶる工法は火気の見張りが要る。貼り付ける工法もある |
|---|
単価は材料と施工の目安で、今の層の撤去、下地の補修、立ち上がりや排水口、足場は含みません。地域・時期・面積・下地で変わります。持つ年数は、2つの資料をもとにした幅です。1つは旧建設省の研究で示された標準の年数(ウレタン塗膜10年、シート13年、露出のアスファルト13年、保護層のあるアスファルト17年)です。もう1つは建築研究所が2013年に示した年数で、多くの工法で15〜20年とされています。
どの工法がよいかは、屋上の形と、今の防水の種類で決まります。室外機や配管の架台が多く、形が入り組んだ屋上は、継ぎ目のできないウレタン塗膜が、形に合わせて塗りやすい工法です。広く平らな屋上は、厚みのそろうシートや改質アスファルトが向いています。今の防水と相性のよい工法を選ぶと、はがさずに重ねる改修ができ、撤去の費用と音が減ります。
図2 屋上の形と設備の多さで、防水の工法の候補が変わる。
介護施設では、工法を選ぶときに、においと音と火も比べます。溶剤のにおいは、換気口や窓から最上階の居室に入ることがあります。シートを機械で留める工法は、ドリルの音が真下の居室に響きます。バーナーを使う工法は、火気の管理と見張りが要ります。どの工法にも、においや音を抑えた材料ややり方があるので、見積の段階で選べるかを聞いておきます。
外壁塗装の単価と持つ年数は、塗料の種類で変わります
外壁の塗装の単価は、塗料の種類(中の樹脂の種類)で、おおよそ決まります。同じ壁でも、ウレタン系、シリコン系、フッ素系、無機系と、上の種類になるほど1㎡あたりの単価は上がり、塗り替えまでの年数も長くなります。
外壁塗装の塗料ごとの単価と持つ年数の目安| 塗料の種類 | 1㎡あたりの単価の目安 | 塗り替えまでの目安 | 向いている場面 |
|---|
| ウレタン系 | 1,800〜2,500円 | 8〜10年 | 数年のうちに建て替えや大きな改修を控えている |
|---|
| シリコン系 | 2,300〜3,500円 | 10〜15年 | 多くの施設で標準の選び方。費用と年数のつり合いがよい |
|---|
| フッ素系 | 3,500〜5,000円 | 15〜20年 | 足場代が大きい高い建物。次の塗り替えを遅らせたい |
|---|
| 無機系 | 4,500〜5,500円 | 20年前後 | 長く使い続ける建物。シーリングの年数とそろえる工夫が要る |
|---|
単価は、下塗りから上塗りまでの材料と施工の目安です。足場、高圧洗浄、ひびの補修、シーリングは別に加わります。年数は塗料の種類ごとによく示される幅で、日当たり・立地・下地で変わります。見積には、塗料の種類と、メーカーが示す耐用の年数を書いてもらいます。
介護施設の外壁では、においの少ない水性の塗料を選べるかも確かめます。溶剤の塗料は乾くまでのにおいが強く、窓を閉めていても居室に入ることがあります。水性の塗料はにおいが少ないぶん、塗るときの気温や湿度に条件があり、冬や梅雨の時期は工期が延びることがあります。
外壁の塗装と一緒に、目地や窓まわりのシーリングを打ち直すのが一般的です。塗料だけが長持ちしても、シーリングが先に傷むと、足場をもう一度組むことになります。シーリングの傷み方の段階と直し方は、シーリングの劣化は4段階。段階で、直し方と急ぎ方が変わりますにまとめています。
タイル張りの外壁は、塗装ではなく、浮きの補修と洗浄が中心になります。浮きの調べ方や、はがれて落ちたときの対応は、外壁と屋根の頼み先と一緒に外壁がはがれて落ちてきた。まず、下を通る人を守りますで書いています。
比べるのは、総額を持つ年数で割った「年あたりの費用」です
工法や塗料が違う見積は、総額だけを比べても、どれが得かは分かりません。総額が安くても早く傷めば、次の工事が早く来るからです。比べるときは、総額を持つ年数で割った「年あたりの費用」に直します。
計算は「年あたりの費用=(工事の総額+途中の手入れの費用)÷持つ年数」です。途中の手入れとは、ウレタン塗膜のトップコートの塗り替えや、塗装の途中でのシーリングの打ち替えなどです。足場や仮設の費用も、総額に入れたまま割ります。足場は次の工事でもかかるので、持つ年数が長いほど、1年あたりの足場の負担が軽くなります。
図3 総額ではなく、途中の手入れを足して、持つ年数で割った額で比べる。
外壁の塗装で年あたりの費用を出した例(外壁の面積2,000㎡ほど)| 案 | 総額(足場・下地の補修・シーリングを含む) | 持つ年数の目安 | 年あたりの費用 |
|---|
| シリコン系 | 1,100万円 | 12年 | 約92万円 |
|---|
| フッ素系 | 1,380万円 | 16年 | 約86万円 |
|---|
| 無機系 | 1,540万円 | 20年 | 約77万円 |
|---|
| 無機系で、途中にシーリングを打ち替える場合 | 1,540万円+約360万円 | 20年 | 約95万円 |
|---|
金額は、計算の仕方を示すための例です。この例では、総額がいちばん高い無機系が、年あたりではいちばん低くなります。ただし、シーリングが塗料より先に傷み、途中で足場を組み直すことになると、年あたりの費用は逆転します。年あたりで比べるときは、塗料、シーリング、屋上の防水の年数がそろうかも一緒に見ます。
建物をあと何年使うかも、計算に入れます。10年ほどで建て替えを考えているなら、20年持つ塗料を選んでも、残りの年数は使い切れません。その場合は、建て替えまでの年数で割って比べます。年あたりの費用は、施設長や理事会に工法の理由を説明するときにも使えます。理事会に出す資料の組み立て方は、理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにまとめています。
入居者がいる中の工事では、仮設と養生と時間帯の費用が加わります
介護施設の工事は、入居者の方が暮らしたまま進めます。そのぶん、ほかの建物の工事にはない費用が加わります。仮設・養生・時間帯の割増を合わせると、総額の2割〜4割になることがあります。
介護施設の屋上防水・外壁塗装で加わりやすい費用| 加わる費用 | 中身 | 抑える工夫 |
|---|
| 出入口の防護 | 玄関や送迎の乗り降りの場所の上に、落下を防ぐ屋根や棚をつくる | 工事の間だけ、使う出入口を1か所にまとめる |
|---|
| 窓と換気の養生 | 塗装やシーリングの日に窓をふさぎ、換気の方法を用意する | 面ごとに日程を分け、一度にふさぐ窓を減らす |
|---|
| においの少ない材料 | 水性や低臭の材料と、ふつうの材料との差額 | 居室に近い面や屋上だけ、においの少ない材料にする |
|---|
| 作業時間の制約 | 食事・入浴・お昼寝の時間を外し、1日の作業時間が短くなる | 音の出る作業の時間帯を先に決めて、見積の条件に書く |
|---|
| 足場を借りる日数 | 1日の作業が短いぶん、足場を借りる日数が増える | 雨の予備日を工程に入れ、面ごとに足場を回す |
|---|
| 資材の揚げ降ろし | 屋上へ材料を運ぶクレーンや荷揚げの機械、誘導の人 | 送迎の時間を外し、揚げ降ろしを少ない日数にまとめる |
|---|
これらの費用が見積のどこに入っているかは、業者によって書き方が違います。「共通仮設」「諸経費」にまとめて入っていることもあれば、行ごとに分かれていることもあります。仮設費と養生費の中身と、総額に占める割合の見方は、仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますでくわしく書いています。
費用を抑える近道は、見積を頼む前に、施設側の条件を紙にまとめて渡すことです。作業してよい時間帯、窓を開けられない日を何日まで受け入れられるか、資材を置ける場所、工事の間に使う出入口を書いておきます。条件があいまいなままだと、業者は安全のために費用を多めに見込みます。
劣化のサインで、部分の補修か全面の改修かの見当がつきます
屋上と外壁の傷みは、見た目のサインで、ある程度の見当がつきます。サインごとに、補修で延ばせそうか、全面の改修が近いかを知っておくと、予算を組む時期を逃しません。最後の判断は、業者の調査の結果で決めます。
劣化のサインと、費用の段階の見当| サイン | 場所 | 費用の段階の見当 |
|---|
| 表面の色あせ、細かいひび | 屋上 | トップコートの塗り替えで延ばせることが多い |
|---|
| ふくれ、継ぎ目の浮き、端のめくれ | 屋上 | 部分の補修。数が多ければ全面の改修を考える |
|---|
| 水たまりが残る、草が生える、破れ | 屋上 | 全面の改修が近い。排水の勾配も確かめる |
|---|
| 手でこすると白い粉がつく | 外壁 | 塗り替えの時期が近い |
|---|
| 塗膜のはがれやふくれ、さびの汁 | 外壁 | 下地の補修を含めた塗り替え |
|---|
| 目地のひび、すき間、やせ | 外壁 | シーリングの打ち替え。塗装と同時にすることが多い |
|---|
屋上は、ふだん職員が上がらない場所なので、サインに気づくのが遅れがちです。年に1〜2回、手すりや柵のある範囲で、排水口のまわりと、ふくれや水たまりがないかを見ておきます。同じ場所から写真を撮りためると、傷みの進む速さが分かり、改修の時期を読みやすくなります。雨漏りがすでに出ているときは、原因を調べるのが先です。雨漏りの原因の調べ方は雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分ですにまとめています。
図4 今の層が下地に付いているかで、重ねる改修か、はがす改修かが分かれる。
重ねる改修は、今の層を残してその上に新しい層をつくるので、はがす音や粉じん、廃材が少なく、工期も短くなります。入居者の方がいる施設に向いた方法です。ただ、今の層が浮いていたり、下に水を含んでいたりすると、重ねても長持ちしません。その場合は、はがす費用がかかっても、はがして新しくするほうが、年あたりでは安くなることがあります。
工法を決める前に、調査で確かめることがあります
見積の工法は、調査の結果で決まります。調査をしないまま工法を決めると、工事が始まってから下地の傷みが見つかり、追加の費用になることがあります。工法を決める前に、次のことを確かめます。
工法を決める前に確かめること| 確かめること | 分かること | 確かめ方 |
|---|
| 今の防水と塗装の種類 | 重ねられる工法と、相性のよい材料 | 竣工図や前回の工事の記録を見る。少しだけ切り取って層を見る |
|---|
| 下地の水分 | ふくれの原因と、湿気を逃がす工法が要るか | 水分計で測る。切り取った部分を見る |
|---|
| 塗膜の付き方 | 上から塗れるか、はがす必要があるか | テープなどで、塗膜の付き方を試す |
|---|
| 石綿(アスベスト) | 工事の前の手続きと、作業のやり方 | 資格のある人による事前の調査 |
|---|
| 屋上の設備 | 室外機・配管・アンテナを動かす費用 | 屋上の設備の位置と台数を一覧にする |
|---|
| 排水の具合 | 水たまりの原因と、勾配の手直しが要るか | 雨のあとの写真、排水口の位置と数 |
|---|
石綿(アスベスト)の事前の調査は、解体だけでなく、改修の工事でも法令で求められています。古い外壁の仕上げの塗材や、下地を整える材料に含まれていることがあり、含まれていれば、作業のやり方と費用が変わります。大規模修繕の進め方と、事前の調査で費用と日数がどれだけ増えるかは、大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。
調査の費用は、見積とは別に出てくることがあります。無料で調べる業者もありますが、調べた範囲と方法、結果を書面で受け取っておきます。書面があれば、ほかの業者に見積を頼むときにも同じ材料として渡せます。
見積は、数量と単価と仕様を行ごとに読みます
見積が妥当かどうかは、総額ではなく、行ごとに読むと判断できます。見るのは、数量(何㎡、何m)、単価、工法や塗料の名前と仕様、保証の4つです。数量と仕様がそろっていれば、単価の差が、そのまま業者の差になります。
屋上防水・外壁塗装の見積で確かめる行| 行 | 確かめること |
|---|
| 面積・長さ | 屋上の㎡、外壁の㎡、目地のmが、業者ごとに大きく違わないか |
|---|
| 工法・塗料の名前 | 工法の種類と層の数、塗料の種類と塗る回数が書かれているか |
|---|
| 下地の補修 | 「一式」ではなく、か所数や㎡で書かれているか |
|---|
| 細かい部分 | 立ち上がり、排水口、笠木、湿気を逃がす筒が入っているか |
|---|
| 今の層の扱い | 重ねるのか、はがすのか。はがすなら処分の費用があるか |
|---|
| 足場・仮設 | 足場の㎡と日数、出入口の防護、揚げ降ろしが分かれているか |
|---|
| 保証 | 年数と、何が対象か(漏水だけか、ふくれやはがれもか) |
|---|
「一式」とだけ書かれた行は、中身を分けてもらいます。1社の見積でも、数量で割り戻したり、前回の工事と比べたりすると、妥当かどうかを判断できます。その方法は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますでまとめています。複数の業者に頼むときは、面積と範囲と工法の候補を同じ紙で渡すと、見積を並べて比べられます(見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作ります)。
1件の請負代金が500万円以上の工事は、その業種の建設業の許可が要ります。屋上防水なら防水工事業、外壁の塗装なら塗装工事業の許可です。屋上と外壁をまとめて頼むときは、建設会社が元請けになり、防水や塗装の専門の業者が下で入ることもあります。社会福祉法人は、金額に応じて、見積を取る社数や入札にするかの決まりがあるので、法人の経理の規程とあわせて確かめます(社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれます)。
屋上と外壁の時期をそろえると、仮設の費用が1回で済みます
外壁の塗装、目地のシーリング、屋上の防水、鉄部の塗装は、時期をそろえて1つの工事にまとめると、仮設の費用が1回で済みます。外周の足場は、外壁だけでなく、屋上のふちの壁の外側や、その上にかぶせた金物(笠木)を直すときにも使えるからです。資材の揚げ降ろし、出入口の防護、入居者の方とご家族へのお知らせも1回で済みます。
図5 屋上防水と外壁塗装の時期をそろえると、仮設と入居者の負担が1回で済む。
時期の目安には、国の資料も使えます。国土交通省のマンション向けの長期修繕計画のガイドラインでは、外壁の塗装や屋上の防水を行う大規模修繕の周期を、一般的に12〜15年程度としています。介護施設でも、この年数を目安に、防水・塗装・シーリングの次の時期を同じ年に並べて計画します。
時期がずれているときは、どちらかを前後に動かして合わせます。たとえば、屋上の防水が築15年で傷み、外壁の塗装は築18年の予定だとします。この場合は、防水をトップコートの塗り替えで数年延ばすか、外壁を少し早めるかを比べます。どちらが得かは、それぞれの案の年あたりの費用で比べると判断できます。
屋上に太陽光の設備を載せる計画がある施設は、防水の時期と合わせて考えます。太陽光を載せたあとに防水をやり直すと、パネルを外して戻す費用がかかるからです。防水と太陽光を同時にする判断と、漏水したときの責任の決め方は、太陽光と防水を同時にするなら、先に責任の分け方を決めますにまとめています。
モデルケース:3社の見積を年あたりで並べ直した特別養護老人ホーム
モデルケース:定員80名の特別養護老人ホーム
総額がいちばん安い案ではなく、年あたりで選んだ
変わったこと(結果)
前の年に2回見送られた屋上防水の改修が、理事会での1回の説明で承認されました。3社の見積を、1㎡あたりの単価と年あたりの費用に直してA4の1枚にまとめ、総額がいちばん安い案を選ばない理由を示せたからです。表を作る作業は、事務長と営繕の担当の2人で半日ほどでした。工事は、音の出る作業を午前と午後の2時間ずつに絞り、7週間で終わりました。
背景と、困っていたこと
この特養は、鉄筋コンクリート造の4階建てで、築22年です。屋上はおよそ900㎡で、築10年のときにウレタン塗膜を重ねる改修をしていました。表面の色あせとふくれが広がり、事務長は改修の見積を3社から取りました。ところが、工法がウレタン塗膜、塩ビシート、改質アスファルトとばらばらでした。含む範囲もそろっておらず、総額は540万円から900万円まで開いていました。前の年の理事会では「なぜ安い案にしないのか」と聞かれ、答えられずに見送りになっていました。
決めたこと
まず3社に、同じ面積と範囲(立ち上がり・排水口・笠木を含むか)を伝えて、見積を取り直しました。取り直した見積は、ウレタン塗膜が680万円、塩ビシートが820万円、改質アスファルトが900万円でした。そのうえで、ウレタン塗膜には途中のトップコートの塗り替えを1回分(約150万円)足しました。持つ年数は、各社が示した年数をもとに、ウレタン塗膜12年、塩ビシート15年、改質アスファルト16年として割りました。年あたりは、ウレタン塗膜が約69万円、塩ビシートが約55万円、改質アスファルトが約56万円でした。後の2案はほぼ同じだったので、火を使わず、においも少ない塩ビシートを選びました。シートを留めるドリルの音が出る作業の時間帯は、見積の条件に書き込みました。
進めてみて分かったこと
はじめは、いちばん安い案との差の140万円が大きく見え、高い案を選ぶことにためらいがありました。年あたりに直すと順番が入れ替わると分かってからは、理事からの質問は、音の出る時間帯と保証の範囲の2つに絞られました。