介護施設の修繕費の相場は、1件ごとの目安を積み上げて見ます
介護施設の修繕費の相場を知りたいときは、まず1件ごとの費用の目安を押さえます。年間の修繕費は、小さな修理から大きな工事まで、1件ごとの費用を足し合わせたものだからです。下の表は、介護施設でよくある工事の費用と工期の目安です。
工事ごとの費用と工期の目安(当窓口の目安)| 工事 | 費用の目安 | 工期 | 年間の修繕費での出方 |
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| 建具の調整・照明の交換 | 5,000円〜3万円 | 即日〜3日 | 毎年、何度も出る |
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| 水漏れ・詰まりの修理 | 1万5,000円〜8万円 | 即日〜2日 | 毎年、何度も出る |
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| 手すりの設置・補修 | 1か所1万円〜5万円 | 1〜5日 | 毎年、数か所ずつ出る |
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| 特殊浴槽の修理 | 3万〜80万円 | 即日〜3週間 | 部品の交換で、ときどき出る |
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| エアコンの交換(1台) | 20万〜60万円 | 半日〜3日 | 台数が多いほど、毎年どこかで出る |
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| 給湯器の交換(業務用1台) | 80万〜400万円 | 3日〜3週間 | 更新の年に、大きく出る |
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| 特殊浴槽の入替 | 350万〜1,100万円 | 1〜3か月 | 更新の年に、大きく出る |
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| 屋上防水の改修 | 500万〜3,000万円 | 1〜3か月 | 長い周期で、まとめて出る |
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| 外壁の塗装・補修 | 800万〜3,000万円 | 1〜3か月 | 長い周期で、まとめて出る |
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金額は、建物の規模、地域、時期、建物の状態で変わります。同じエアコンの交換でも、天井に埋め込む形か壁にかける形かで費用が違います。配管を使い回せるか、入居者の方がいる時間に工事できるかでも変わります。表の数字は、自施設の見積が大きく外れていないかを見る物差しとして使います。
年間の修繕費は、「件数の多い小さな修理」と「数は少ないが1件が大きい工事」の組み合わせでできています。大きな工事が1件入った年は、小さな修理が何十件もあった年より、修繕費が大きくなります。前の年と比べるときは、まずこの2つを分けて見ます。
年間の修繕費は、3つの層を足して組み立てます
年間の修繕費は、出方の違う3つの層に分けると、自施設の見込みが立てやすくなります。毎年ある小さな修理、数年ごとに出る設備の修理と交換、10年以上の周期で来る大きな工事の3つです。3つの層を足したものが、その年の修繕費になります。
図1 年間の修繕費は、出方の違う3つの層を足したもの。
3つの層ごとの、見込みの立て方| 層 | 中身の例 | 見込みの立て方 | 使う記録 |
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| 毎年の小修理 | 建具の調整、照明の交換、水漏れ、手すりの補修 | 過去3〜5年の件数に、1件あたりの平均額をかける | 修理の記録、請求書 |
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| 数年ごとの修理と交換 | エアコン・給湯器・特殊浴槽の修理や部品の交換 | 機器の年式と台数から、翌年に出そうな台を拾う | 機器台帳、点検の報告書 |
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| 長い周期の工事 | 屋上防水、外壁、特殊浴槽や給湯器の入替 | 長期修繕計画に載っている年と金額を使う | 長期修繕計画、劣化の調査 |
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1つ目の層は年ごとの差が小さく、過去の平均でかなり読めます。たとえば、小修理が年に30件あり、1件あたりの平均が2万円なら、この層は年に60万円ほどです。2つ目の層は、機器の年式から「そろそろ出そうな台」を拾うと読めます。3つ目の層は、長期修繕計画に載っている年に出ます。
3つの層を分けておくと、修繕費が増えたときにも、どの層で増えたのかがすぐに分かります。1つ目の層が増えたなら、日々の傷みや使い方に原因があります。3つ目の層が増えたなら、計画どおりの工事が来ただけかもしれません。30年・5年・単年の3つの計画の持ち方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。
修繕費は、規模・築年数・施設の種類で変わります
介護施設の修繕費が施設ごとに大きく違うのは、建物の規模、築年数、施設の種類の3つが違うからです。ほかの施設の修繕費と比べるときは、この3つがそろっているかを先に確かめます。そろっていなければ、金額の差は高い・安いを表していません。
修繕費の出方を変える3つの条件| 条件 | 修繕費への出方 | 比べるときの見方 |
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| 建物の規模 | 延床面積、居室の数、設備の台数が多いほど、件数も金額も増える | 延床面積1㎡あたり、定員1人あたりに直して比べる |
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| 築年数 | 設備が交換の時期に入ると、2つ目と3つ目の層が増える | 築年数が近い年どうし、施設どうしで比べる |
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| 施設の種類 | 浴室・厨房・空調の数と使い方で、修理の出る所が違う | 同じ種類の施設どうしで比べる |
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築年数では、建物附属設備の法定耐用年数が1つの目安になります。冷暖房の設備は、出力22kW以下のものが13年、それ以外が15年です。給排水・衛生・ガスの設備と電気の設備は15年、エレベーターは17年、消火・排煙・災害報知の設備は8年です。法定耐用年数は会計のための年数で、その年に壊れるわけではありません。それでも、この年数に近づく築10年台から、設備の修理と交換の時期が重なることがあります。
施設の種類でも出方が変わります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設は、特殊浴槽・厨房・空調の台数が多く、2つ目の層が大きくなりがちです。グループホームは家庭に近い設備が多く、1件ごとの金額は小さめです。ただ、設備が1台しかないと、止まったときに急ぎの修理になります。サービス付き高齢者向け住宅は、居室ごとの設備と、退去のあとの原状回復が修繕費に出ます。設備ごとの更新の周期は設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますで一覧にしています。
比べる物差しは、自施設の5年分の実績です
ほかの施設の修繕費は、規模も築年数も違うので、そのまま比べても高いか安いかは分かりません。いちばん確かな物差しは、自施設の過去5年分の実績です。5年分を並べると、毎年ある修理の水準と、大きな工事が入った年の山を見分けられます。
5年分を並べる表の、列の作り方| 列 | 書くこと | 拾う場所 |
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| 年度 | 決算の年度 | 決算書 |
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| 修繕費 | 費用として処理した修繕の合計 | 決算書の修繕費の科目 |
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| 固定資産に計上した工事 | 資本的支出として資産に入れた工事の合計 | 固定資産の台帳、経理の担当 |
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| 3つの層の内訳 | 毎年の小修理・数年ごとの修理と交換・長い周期の工事 | 修理の記録、請求書 |
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| 1㎡あたり・1人あたり | 修繕費を延床面積と定員で割った数字 | 建物の図面、運営の資料 |
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| 主な工事 | その年の大きな工事の名前と金額(たとえば100万円以上) | 契約書、請求書 |
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「固定資産に計上した工事」の列を入れておくのには理由があります。同じ工事でも、元に戻す修理なら修繕費です。性能を上げる工事なら資本的支出として資産に計上され、決算書の修繕費の科目には出てきません。経理の分け方が年によって変わると、工事の量は同じでも修繕費の数字だけが動きます。修繕費と資本的支出の分け方は修繕費か資本的支出かは、見積の分け方で判断しやすくなりますにまとめています。
1㎡あたりや1人あたりの数字は、法人の中のほかの施設と比べるときに役立ちます。ただし、築年数と施設の種類が違えば、差が出るのは当たり前です。差が大きいときは、3つの層のどこで差が出ているかを見てから判断します。5年に満たない施設は、あるだけの年数で並べ、足りない年は長期修繕計画の金額を参考に置きます。
前の年より増えた理由は、6つに分けられます
修繕費が前の年より増えたときは、増えた分を6つの理由に分けます。築年数、計画の更新、物価、突発の故障、先送りのつけ、頼み方の6つです。どれに当たるかで、本部への説明の仕方も、次に打つ手も変わります。1つの工事に2つの理由が重なるときは、金額の大きいほうに入れます。
図2 増えた分を6つに分けると、説明の仕方と打つ手が決まる。
6つの理由と、確かめる記録| 理由 | 中身 | 確かめる記録 |
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| 築年数 | 設備が交換や大きな修理の時期に入った | 機器台帳の年式、法定耐用年数 |
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| 計画の更新 | 長期修繕計画に載せていた工事を行った | 長期修繕計画、本部や理事会の承認 |
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| 物価 | 同じ工事でも、材料費や職人の費用が上がった | 前回の見積との単価の比べ |
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| 突発の故障 | 予定外の故障で、急ぎの修理が出た | 修理の記録、故障の日と中身 |
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| 先送りのつけ | 前に直さなかった所が、大きな修理になって出た | 過去の点検の指摘、見送った見積 |
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| 頼み方 | 急ぎの依頼、一式の見積、別々の発注で費用が重なった | 見積書の内訳、発注の日付 |
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物価は、施設の努力では動かせない理由です。国土交通省は令和8年2月に、令和8年3月から使う公共工事設計労務単価を公表しました。全国全職種の単純平均で前年度比4.5%の引き上げで、14年連続の上昇です。公共工事の積算に使う単価ですが、職人の費用が上がり続けていることを示す材料になります。前回と同じ工事の見積があれば、単価を並べて物価の分を切り分けます。
築年数の理由を示すには、設備がいつ入ったかが分かる記録が要ります。機器台帳があれば、交換した設備の年式を示すだけで説明がつきます。台帳がない施設は、設備の銘板の年式を写真に撮っておくだけでも材料になります。機器台帳の作り方は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにまとめています。
説明できる増加と、手を打つ増加を見分けます
6つの理由は、大きく2つに分かれます。築年数、計画の更新、物価の3つは、理由を記録で示せる「説明できる増加」です。突発の故障、先送りのつけ、頼み方の3つは、放っておくと翌年も続きやすい「手を打つ増加」です。報告では、この2つを分けて金額を出します。
図3 増えた分がどちらの種類かで、本部への伝え方が変わる。
説明できる増加と、手を打つ増加の見分け方| 見るところ | 説明できる増加 | 手を打つ増加 |
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| 予定にあったか | 長期修繕計画や予算に載っていた | 予定になかった |
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| くり返すか | 一度きり、または周期どおり | 同じ設備で何度も出る |
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| 金額の決まり方 | 見積を比べて決めた | 急ぎで、1社の言い値で決めた |
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| 翌年への影響 | 翌年は元の水準に戻る | 翌年も同じだけ出そう |
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ただし、説明できる増加でも、そのままでよいとは限りません。物価で増えた分は説明がつきますが、工事の時期をまとめる、仕様を見直すといった工夫で、増え方を小さくできることがあります。工事の量・単価・時期の3つから費用を下げる考え方は大規模修繕の費用は㎡単価で桁をつかみ、量・単価・時期の3つで抑えますにまとめています。
反対に、手を打つ増加を、誰かを責める話にしないことです。突発の故障は、設備が古くなれば誰が担当でも起きます。本部が知りたいのは、同じ増え方を翌年にくり返さないために、何を変えるかです。
突発の故障と先送りのつけは、修理の記録で見分けます
手を打つ増加のうち、突発の故障と先送りのつけは、見た目がよく似ています。どちらも予定外の修理として出てくるからです。見分けるには、同じ設備の修理の記録を2〜3年さかのぼります。
図4 同じ設備の修理がくり返されていれば、直し方を変える時期にきている。
同じ設備で修理がくり返されているなら、先送りのつけの疑いがあります。部品を替えてしのいできた設備が、まとめて大きな修理になって出ている形です。この場合は、次の修理の前に、交換した場合の費用と比べます。修理を続けるほど、1回ごとの出張費や部品代が重なり、交換より高くつくことがあります。反対に、交換を急がず、修理で十分に使い続けられる設備もあります。
だからこそ、故障したからすぐ買い替えるのではなく、まず修繕できるのか相談できる窓口があるのは心強いと感じました。
ご利用者の声 大分県・グループホーム/施設長
取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。
突発の故障が多い年は、夜間や休日の急ぎの修理が混ざっていないかも見ます。急ぎの修理には、時間帯の割増や、部品を急いで取り寄せる費用が上乗せされることがあります。土日や祝日に頼める先を平日のうちに決めておくと、急ぎの費用を小さくできます。その備え方は土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきますにまとめています。
頼み方で増えた分は、見積書と発注の記録に表れます
6つ目の理由の「頼み方」は、見積書と発注の記録を見ると見つかります。同じ工事でも、頼み方しだいで費用が変わるからです。施設の側で変えられる理由なので、見つかれば翌年から修繕費を下げられます。
頼み方で修繕費が増える場面| 場面 | 費用に出るところ | 見直し方 |
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| いつも急ぎで頼む | 時間帯の割増、出張費、部品の取り寄せ | 急がない修理は、まとめて平日に頼む |
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| 見積が「一式」だけ | 中身が分からず、高いか安いかを判断できない | 工事費・撤去処分・仮設養生・諸経費に分けてもらう |
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| 同じ時期の工事を別々に頼む | 足場や養生、諸経費がそれぞれにかかる | 時期を合わせて、仮設を共用する |
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| 1社の言い値で決める | 金額の幅が分からないまま決まる | 金額に応じて相見積を取る |
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| 小さな修理を毎回ちがう業者に頼む | 出張費と、施設を知るまでの手間が毎回かかる | 分野ごとに頼む先を決めておく |
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見積が「一式」としか書かれていないと、高いか安いかを判断できません。内訳の分けてもらい方と、1社の見積が妥当かの見方は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますにまとめています。入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。その中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますで書いています。
1社の言い値で決めることが続いているなら、金額に応じて相見積を取る決まりを作ります。社会福祉法人の工事の請負では、2社の見積合わせで足りる上限が、令和8年4月から400万円以下になりました。3月までは250万円以下でした。これを超えると、3社以上から見積を取ります。何社から取るかの考え方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにまとめています。
本部には、5年分の表と6つの理由で報告します
法人本部や理事会に修繕費の増加を報告するとき、総額の前年比だけを出すと、質問が返ってきます。「なぜ増えたのか」「来年も増えるのか」という質問です。先に5年分の表と、増えた分を6つの理由に分けた内訳を出すと、その質問に答えた形になります。報告は1枚に収めます。
図5 本部が聞きたいことの順に並べると、説明が1枚に収まる。
報告の1枚に書くこと| 項目 | 書くこと | 書き方の例 |
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| 総額と前年比 | 今年度の修繕費と、前年度との差 | 修繕費は前年度より○万円増えた |
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| 理由ごとの増減 | 6つの理由ごとの増えた額 | 計画の更新で○万円、物価で○万円 |
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| 一度きりか | 翌年も続く分と、続かない分 | 給湯器の交換は一度きりで、翌年は出ない |
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| 打つ手 | 手を打つ増加への対策 | 急ぎの修理を減らすため、点検で見つけた所を前倒しで直す |
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| 翌年度の見込み | 3つの層ごとの見込み | 小修理は今年並み、計画の工事は○万円 |
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翌年度の見込みは、3つの層ごとに出すと根拠が示せます。毎年の小修理は過去の平均、数年ごとの修理と交換は機器の年式と台数、長い周期の工事は長期修繕計画から出します。予算として組むときの区分や予備費の考え方は修繕の予算は、前の年の秋から3つの区分で組みますにまとめています。
本部の担当者は、修繕の専門家とは限りません。専門の言葉は「給湯器(お湯をつくる機械)」のように短く言い添え、金額は千円単位で丸めます。表の数字と本文の数字が合っているかは、出す前にもう一度確かめます。
モデルケース:本部から修繕費の増加を問われた特別養護老人ホーム
モデルケース:定員80名の特別養護老人ホーム(築18年)
修繕費の説明が、1回の打ち合わせで終わるようになった
変わったこと(結果)
修繕費が前の年度より約4割増えた年に、事務長は5年分の表と6つの理由の内訳を作って報告しました。本部とのやり取りは、1回の打ち合わせで終わりました。前の年は、もっと小さな増加の説明に、本部とのやり取りが3週間ほど続いていました。翌年度には、急ぎで頼んだ修理が年18件から7件に減りました。
背景と、困っていたこと
このホームは開設から18年がたち、給湯器と空調の修理が続いていました。その年は、業務用の給湯器1台の交換と、エアコン4台の交換が重なりました。本部からは、前の年度より修繕費が多い理由を聞かれました。けれども手元には請求書の束しかなく、どの増加が予定どおりで、どれが予定外かを示せませんでした。
決めたこと
事務長は、過去5年分の請求書を3つの層に分けて表にし、増えた分を6つの理由に振り分けました。給湯器の交換は、長期修繕計画に載っていた「計画の更新」でした。エアコンのうち2台は、同じ台で修理が3回続いていた「先送りのつけ」でした。急ぎの修理の多くが、土日の故障を週明けまで待てずに頼んだものだったことも分かりました。そこで、修理が2回続いた機器は、更新の候補に入れると決めました。土日に頼む先を平日のうちに決めておくことと合わせて、報告と一緒に本部へ示しました。
進めてみて分かったこと
迷ったのは、先送りのつけを報告に書くかどうかでした。前の担当者の判断を責めるように見えるからです。それでも、理由を分けずに出せば翌年も同じ質問が来ると考え、そのまま書きました。本部は、それを責める材料ではなく、翌年度の予算を組む材料として受け取りました。