業者に聞く、3つの質問
設備が止まって業者が来てくれたとき、いちばん知りたいのは「いつ直るのか」です。ただ、点検の前の段階では、業者もすぐには答えられません。見通しを早くつかむには、業者に何を聞くかを前もって決めておくことが役に立ちます。次の3つを、点検のあとに聞いてください。
- 原因の見当どの部分が悪いのか、何が原因と考えられるかを聞きます。はっきりしなくても、今の時点の見当で構いません。
- 要る部品と在庫交換が要る部品は何か、その部品が業者の手元や近くの倉庫にあるか、取り寄せになるかを聞きます。
- 直るまでの日数部品がそろってから直るまで、合わせて何日かかりそうかを聞きます。
図1 業者に聞く3つの質問。この答えで、待つ間の回し方が決まります。
業者の答えが「分からない」「調べてみないと」になることもあります。そのときは、いつまでに分かるかを聞きます。部品の在庫をメーカーに問い合わせるのに半日かかる、といった返事があれば、その間にできる手当てを先に始められます。答えを待つ間も、施設は動けます。
この3つの答えがそろうと、施設でするべきことが決まります。その日のうちに直るなら、数時間の手当てで済みます。数日かかるなら、入浴や空調の回し方を組み替えます。部品が手に入らないと分かれば、入れ替えの相談を始めます。答えを書き留めて、施設長と共有してください。あとで同じ機器が止まったときにも、この記録が見通しを早くつける手がかりになります。
その日のうちに直るもの、直らないもの
設備の故障の中には、その日のうちに直るものと、日数がかかるものがあります。分かれ目は、交換する部品の種類と、在庫のあるなしです。
その日のうちに直るか| 故障の例 | 直るまで | 理由 |
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| 部品の調整・清掃で直る | その日のうちが多い | 部品の交換が要らない |
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| よく使われる部品の交換(パッキン、ヒューズ、センサーなど) | その日〜数日 | 業者が持っていることが多い |
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| 機種ごとの専用部品(基板、モーター、ポンプ) | 数日〜2週間ほど | メーカーからの取り寄せになる |
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| 製造が終わった古い機種の部品 | 直らないことも | 部品の保有期間が終わっている |
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| 本体の入れ替えが要る | 数週間〜 | 機器の手配と工事が要る |
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図2 直るまでの日数を決める分かれ目。
その日のうちに直るものでも、業者が来るまでの時間は、業者の予定と施設までの距離で変わります。朝に連絡すれば昼に来られる業者でも、夕方の連絡だと翌日になることがあります。止まったと気づいたら、写真と症状をそろえて、できるだけ早く連絡するのが、直る日を早める近道です。
特殊浴槽、業務用の給湯器や空調、エレベーター、ナースコールといった機器は、機種ごとの専用の部品が多く、取り寄せになりやすい設備です。土日や連休をはさむと、メーカーの部品の出荷が止まり、さらに日数がかかることもあります。年末年始や大型連休の前は、特に気をつけます。
部品の保有期間とは
機器のメーカーは、機種の製造を終えてからも、修理のための部品を一定の期間持っています。これを補修用の部品の保有期間といいます。家庭用の電気製品では、業界でおおよその目安が示されています。業務用の機器は、メーカーごと、機種ごとに期間が決められています。
保有期間が終わると、部品が手に入らなくなり、修理ができないことがあります。保有期間の間でも、在庫が少なくなっていて取り寄せに時間がかかることもあります。自分の施設の機器が、いつ製造を終えたか、部品をいつまで持つ予定かは、メーカーの窓口や保守の業者に聞くと分かります。
図3 機器の製造と部品の保有期間の関係。
保有期間が終わったあとでも、部品の在庫が残っていて修理できることや、同じ働きをする別の部品で直せることもあります。反対に、保有期間の間でも、注文が集中して在庫が切れていることもあります。「保有期間の中だから大丈夫」「過ぎたからもう直らない」と決めつけず、業者に在庫を確かめてもらいます。
保有期間は、機器を設置した年からではなく、その機種の製造を終えた年から数えることが多くあります。設置したのが新しくても、すでに製造が終わりかけていた機種だと、部品が早く手に入らなくなることがあります。設備の更新の年数の考え方は、設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにまとめています。
銘板で、先に確かめること
業者に連絡する前に、機器の銘板の写真を撮っておくと、見通しが早くつきます。銘板は、機器の本体に貼られた小さな板やシールで、メーカー、型番、製造番号、製造年が書かれています。
銘板で分かること| 項目 | 分かること |
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| メーカー | どこに部品を問い合わせるか |
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| 型番 | どの部品が使われているか、製造を終えたか |
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| 製造番号 | 同じ型番の中の細かな違い |
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| 製造年 | 機器の年数と、部品の保有期間の見当 |
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型番と製造年が分かると、業者は来る前に部品の在庫を調べられます。現地で点検してから取り寄せを始めるより、1日早く部品が届くこともあります。銘板の写真と一緒に、エラーの表示、症状、止まった時刻も送ってください。どこに頼めばよいか分からないときは、写真をLINEで窓口に送っていただければ、見立てと手配をします。
機器ごとの銘板の写真と型番、製造年、保守の連絡先を一覧にした機器の台帳をつくっておくと、止まったときに慌てずに済みます。台帳の作り方は、機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにまとめています。
地域によっても、日数は変わる
同じ部品でも、施設に届くまでの日数は地域によって変わります。メーカーの部品の倉庫が近い都市部では翌日に届くことがあっても、離れた地域では数日かかることがあります。業者の到着も、施設までの距離と、その日の予定で変わります。
業者を選ぶときに、部品の倉庫がどこにあるか、よく使う部品を車に積んでいるか、を聞いておくのも一つの方法です。同じメーカーの機器を多く扱っている業者は、部品を手元に持っていることが多く、その日のうちに直せる割合が高くなります。
離島や山あいの施設、雪の多い地域の冬は、さらに日数を見込む必要があります。こうした地域では、よく壊れる部品を前もって施設か業者に置いておく、止まると困る設備は2台に分けておく、といった備えが効きます。
待つ間を、どう回すか
部品の取り寄せになったら、直るまでの日数と合わせて、待つ間の回し方を決めます。設備ごとに、よく使う回し方があります。
図4 部品待ちの間に決めること。
待つ間の回し方は、設備が止まる前に決めておくと、慌てずに切り替えられます。特殊浴槽が止まったら誰が清拭の予定を組み直すか、空調が止まったら暖房や冷房の器具をどこから持ってくるか、といったことを、設備ごとに1枚の紙にまとめておくとよいでしょう。業務継続計画の設備の部分に書いておく施設もあります。
待つ間の回し方は、職員の手間が増えることが多くあります。何日続くかが分かれば、それに合わせて勤務の組み方や応援の職員も考えられます。代わりに何をしたかは記録に残し、入居者の方とご家族にも、いつ頃直る見込みかを分かりやすく伝えます。
夜間・休日に止まったとき
夜間や休日に設備が止まると、業者が来られても、部品の手配はメーカーの営業日まで待つことになりがちです。夜間・休日に業者に来てもらうときは、その場で直せる見込みがあるか、部品の手配が要りそうかを、電話の段階で聞いておくと、来てもらうかどうか、朝まで待つかの判断がしやすくなります。
その場で直らず部品待ちになるなら、夜間に業者を呼んでも、出張の費用と割増がかかるだけで、直る日は変わらないことがあります。待つ間の回し方を先に決め、朝に業者と部品の手配を始めるほうがよいこともあります。ただ、水が止まらない、電気に危険がある、といったときは、夜間でも来てもらいます。休日に来てもらえる業者を平日のうちに決めておく考え方は、土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきますにまとめています。
図5 夜間・休日に業者を呼ぶか、朝まで待つかの考え方。
修理を待つか、入れ替えるか
部品の取り寄せに時間がかかる、部品がもう手に入らない、同じ機器で故障が続いている、といったときは、修理を待つか、入れ替えるかを考えます。判断の材料は、主に4つです。
修理か入れ替えかを考える材料| 材料 | 入れ替えを考えるとき |
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| 部品の保有期間 | 終わっている、まもなく終わる |
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| 機器の年数 | 更新の目安の年数を過ぎている |
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| 修理費の積み重ね | この数年の修理費の合計が、入れ替えの費用に近い |
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| 止まる回数 | 同じ機器で、1年に何度も止まっている |
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入れ替えを考えるときは、同じ機器をそのまま新しくするだけでなく、今の入居者の方の状態や、使い方に合う機器かを見直す機会にもなります。特殊浴槽なら入居者の方の体の状態、給湯や空調なら使う量と台数の組み方を、業者と相談します。1台に頼る組み方を2台に分けると、次に止まったときの影響が小さくなります。
入れ替えは、機器の手配と工事に日数がかかるため、その間も待つ間の回し方が続きます。急いで入れ替えたいときの考え方は、至急で交換したいとき、納期を決めているのは3つですにまとめています。今回は修理で直し、次の予算で入れ替えを計画する、という選び方もあります。入れ替えに補助金を使いたいときは、交付の決定の前に工事を始めないことに気をつけます。
モデルケース:特殊浴槽の基板が取り寄せになった施設
モデルケース:定員100名の特別養護老人ホーム
特殊浴槽の基板の取り寄せで、復旧まで9日かかった
変わったこと(結果)
特殊浴槽が動かなくなり、保守の業者が点検すると、制御の基板の故障でした。基板はメーカーからの取り寄せで、連休をはさんだため、復旧まで9日かかりました。その間、施設はほかの浴槽での入浴と清拭を組み合わせて回しました。業者からは、この機種の部品の保有期間があと2年ほどで終わる見込みだと聞き、施設は翌年度の予算で入れ替えを計画しました。
背景と、困っていたこと
この施設では、特殊浴槽の型番と製造年を誰も把握しておらず、業者が来てから型番を調べ、部品の取り寄せを始めるまでに半日かかっていました。
その後に決めたこと
施設は、止まると困る設備の銘板の写真と型番、製造年、保守の連絡先を1枚にまとめました。部品の保有期間が近い機器は、入れ替えの計画に入れることにしました。