なぜ、平日に決めておくのか
介護施設の設備は、土日祝も休まず動いています。給湯も空調もナースコールも、24時間、入居者の方の生活を支えているからです。ところが、修理を頼む業者の多くは、土日祝は休みか、受付だけで、人を出せる数が少なくなります。
休日に止まってから慌てて業者を探すと、いつもの業者は連絡がつかない、ネットで見つけた業者は介護施設に慣れていない、費用の見当がつかない、といったことが重なります。平日のうちに、休日に来てくれる業者を決めておくと、止まったときに迷わず電話でき、費用も前もって分かります。休日の職員の負担も、ぐっと軽くなります。
図1 休日の業者を、止まってから探すときと、平日に決めておくときの違い。
休日に決めておく業者は、すべての設備で1社ずつでなくても構いません。止まると入居者の方の生活に響く設備から順に、少なくとも1社、できれば2社を決めておきます。まずは1つの設備から始めても十分です。
休日に止まって困るのは、どの設備か
休日の備えは、止まったときに入居者の方への影響が大きい設備から順に考えます。施設によって違いますが、多くの介護施設で休日の備えの優先が高いのは、次の設備です。
図2 休日の備えを考える順番の目安。
季節によっても、優先は変わります。夏と冬は空調、冬は給湯と凍結のおそれのある水道管が、とくに大切になります。年末年始やお盆、大型連休の前は、業者の休みも長くなるため、連休に入る前の平日に、止まると困る設備の調子を確かめておくと安心です。
この順に、設備ごとに休日の連絡先を決めていきます。優先の高い設備は、2社目まで決めておくと、1社目が来られないときにも慌てずに済みます。2社目は、1社目と違う会社で、施設から近いところを選ぶのが基本です。
休日に来てくれる業者の種類
休日に来てくれる業者には、いくつかの種類があります。それぞれ、休日の受付の仕方と、実際に来られる範囲や早さが違います。
休日に来てくれる業者の種類| 業者の種類 | 休日の受付 | 向いていること |
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| 機器メーカーの修理窓口 | 休日も受付があることが多い。出動は地域による | 機種ごとの専用の部品が要る修理 |
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| 保守契約の会社 | 契約の中身による。休日の対応が入っていることも | 契約している機器の故障 |
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| 地域の設備業者 | 休日は担当者の携帯につながることも | 給排水、空調、電気の幅広い修理 |
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| 24時間の駆けつけの業者 | 休日も受付・出動 | 水まわりや鍵などの応急の修理 |
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| 修繕の窓口 | フォームやLINEで受付。手配は業者による | 頼み先が分からないときの切り分けと手配 |
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保守契約の会社やメーカーの修理窓口は、休日の受付はしていても、実際に人を出せるのは翌日以降、という場合もあります。受付があることと、その日のうちに来てもらえることは別のことです。受付の電話がつながったら、「今日来られるか」「何時ごろになるか」を、必ず聞いてください。
24時間の駆けつけの業者は、休日でも来てくれる心強さがある一方、介護施設の業務用の機器には慣れていないことや、費用が高くなることもあります。業務用の給湯器や空調、特殊浴槽、ナースコールといった機器は、メーカーの修理窓口か、保守契約の会社、ふだん付き合いのある設備業者を休日の連絡先に決めておくのが基本です。
平日のうちに確かめる、5つのこと
休日の連絡先として業者を決めるときは、平日のうちに、次の5つを確かめておきます。どれも電話一本で聞ける内容ですが、聞いておくかどうかで、休日に止まったときの動きと費用が大きく変わります。
- 休日の連絡先と受付時間休日に電話する番号はどこか、何時から何時まで受け付けているか、留守番電話のときはどうするか。
- 来られる範囲と到着の目安施設まで休日に来られるか、連絡からどのくらいで着くか。
- 休日の割増の金額出張費や作業費に、休日・時間外でいくら上乗せされるか。
- 部品の手配休日に部品を手配できるか、よく使う部品を車に積んでいるか。
- 保守契約の中身保守契約に休日の対応が入っているか、入っていない場合の費用。
図3 平日のうちに業者に確かめる5つ。
聞いた中身は、業者ごとに、聞いた日付と相手の名前と一緒に書き留めておきます。業者の体制は変わることがあるため、年に一度、たとえば保守の点検の日などに、同じことを聞き直しておくと安心です。担当者が替わったときも、聞き直すよい機会です。
休日の割増は、仕組みを知っておく
休日や夜間に業者に来てもらうと、平日の昼より費用が高くなるのがふつうです。多くは、出張費と作業費に、休日・時間外の割増が上乗せされます。部品そのものの代金は、休日でも同じことが多くあります。
休日の費用の内訳の例| 項目 | 平日の昼 | 休日・時間外 |
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| 出張費 | ふつうの金額 | 割増が上乗せされることが多い |
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| 作業費 | 作業の時間や内容に応じた金額 | 割増が上乗せされることが多い |
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| 部品代 | 部品の金額 | 多くは同じ |
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| 部品の取り寄せ | 平日に手配 | 休日は手配できず、翌平日になることも |
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割増の金額は業者によって違います。平日のうちに聞いておけば、休日に呼ぶか、翌日まで待つかを、費用も考えて決められます。休日に来てもらっても、部品の取り寄せになれば直るのは平日になるため、その場で直る見込みがあるかを電話の段階で聞いておくことが大切です。
休日に見積もなしに作業を始め、あとで高い金額を求められる、という相談も見られます。休日に初めての業者を呼ぶときは、作業の前に、おおよその金額を確かめてから頼むようにします。金額を聞いた職員の名前と時刻も、記録に残しておきます。
休日の連絡の流れを、1枚にする
平日に決めた業者と確かめた中身は、1枚の紙にまとめて、夜勤や休日の職員がすぐに見られる場所に置きます。休日は、ふだん業者とやり取りしている事務長や営繕の担当者がいないことが多いからです。
1枚の紙に書くこと| 欄 | 書く中身 |
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| 設備 | 給湯、空調、ナースコール、給排水など |
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| 休日の連絡先 | 1社目と2社目の電話番号、受付時間 |
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| 伝えること | 施設名、住所、設備の場所、症状、銘板の写真 |
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| 判断する人 | 業者を呼ぶかを決める人の連絡先(施設長・事務長) |
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| 費用の目安 | 休日の割増を含めた、おおよその金額 |
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図4 休日に止まったときの連絡の流れ。
紙の内容は、新しく入った職員や、派遣の職員にも分かる言葉で書きます。「給湯器」「ボイラー」など、施設の中で呼び方がそろっていない設備は、置き場所や見た目も書き添えておくと、迷わずに済みます。業者に伝える施設の住所と入口、駐車場所も、紙の上のほうに書いておきます。
業者を呼ぶかどうかを、休日にその場にいる職員だけで決めるのは負担が大きいものです。費用のかかる判断は、施設長か事務長に電話で相談してから決める、と紙に書いておきます。ただし、水が止まらない、電気に危険があるといったときは、まず業者に連絡してよいことにしておきます。
業者が来るまでの、応急の手当て
休日は、業者が来るまでに時間がかかることがあります。その間にできる手当てを、設備ごとに前もって決めておくと、休日の少ない人数の職員でも慌てずに動けます。
業者が来るまでの手当て| 設備 | 手当て |
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| 給湯 | ほかの系統の給湯を使う、入浴を清拭に切り替える |
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| 空調 | 室温を測って記録し、扇風機や暖房器具を置く、部屋を移る |
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| ナースコール | 見回りの回数を増やす、代わりの呼び出しの機器を置く |
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| 給排水 | 止水栓を閉める、使えるトイレを案内する |
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| 特殊浴槽 | ほかの浴槽での入浴、清拭に切り替える |
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業者が来るまでの間は、止まった時刻、室温、代わりにしたこと、入居者の方の様子を記録しておきます。業者が来たときに症状を正確に伝えられるだけでなく、あとで施設長や本部に報告するときの材料にもなります。夏や冬に空調が止まったときは、室温の記録がとくに大切です。
応急の手当ては、入居者の方の安全を守るためのもので、職員が設備を直すためのものではありません。機器のカバーを開ける、配線を触る、といった作業は、資格のある業者に任せてください。
「来週になります」と言われたら
休日に連絡がついても、「人が出せないので来週になります」「部品の取り寄せで、届くのは週明けです」と言われることがあります。そのときは、まず待つ間の回し方を先に決め、そのうえで、ほかの業者にも聞くかどうかを考えます。
- 待つ間の回し方を決める入浴、空調、給湯などを、代わりの方法で回します。
- 2社目に聞く1枚の紙の2社目に連絡し、早く来られるかを聞きます。
- 見通しを伝える入居者の方とご家族、職員に、いつ頃直る見込みかを伝えます。
- 平日の最初に動く週明けの朝いちばんに、業者と部品の手配を確かめます。
部品待ちで日数がかかるときの考え方はその日のうちに直るかは、業者の速さより部品で決まります、至急で入れ替えたいときは至急で交換したいとき、納期を決めているのは3つですにまとめています。夜間の連絡の受け方と体制の組み方は、夜間の設備トラブル、電話は誰の携帯に鳴っていますかにまとめています。
モデルケース:連休の初日に給湯器が止まった施設
モデルケース:定員50名の介護付有料老人ホーム
連休の初日に給湯器が止まり、1枚の紙で2社目に連絡した
変わったこと(結果)
連休の初日の朝、業務用給湯器の1台が止まりました。夜勤明けの職員が、休日の連絡の流れの紙を見て1社目に電話すると、出動は連休明けになるとの返事でした。紙に書いてあった2社目の設備業者に電話すると、その日の午後に来てくれ、部品を車に積んでいたため、その日のうちに直りました。
背景と、困っていたこと
この施設では、前の年の年末に空調が止まり、いつもの業者に連絡がつかず、職員がネットで探した業者に高い費用を払ったことがありました。その反省から、事務長が平日のうちに業者に5つのことを確かめ、設備ごとに2社ずつ書いた紙をつくっていました。
その後に決めたこと
施設は、紙を夜勤の詰所と事務室に貼り、年に一度、保守の点検の日に業者の体制を聞き直すことにしました。