目次
動かないときに、確かめる順番 症状から、原因の見当をつける 閉まらない間は、玄関を見守る 保守会社への連絡で、伝えること 挟まれを防ぐ、点検で確かめること 修理か、更新か 直ったあとに、確かめること モデルケース:夕方、玄関の自動ドアが開いたままになった施設 施設長への報告と、記録 平日のうちに、しておくこと よくある質問
目次
動かないときに、確かめる順番 症状から、原因の見当をつける 閉まらない間は、玄関を見守る 保守会社への連絡で、伝えること 挟まれを防ぐ、点検で確かめること 修理か、更新か 直ったあとに、確かめること モデルケース:夕方、玄関の自動ドアが開いたままになった施設 暗証番号で開ける玄関のドアが、開いたまま閉まらなくなった 施設長への報告と、記録 平日のうちに、しておくこと よくある質問 あわせて読みたい記事 この記事の監修者 鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家 この記事で参照した資料 あわせて読まれています 無料一括見積・修繕のご相談 動かないときに、確かめる順番
自動ドアが動かないとき、故障とは限りません。電源が切れている、運転の切替のスイッチが別の位置になっている、センサーの前に物が置かれている、レールに小石が挟まっている、といった、職員が確かめれば直ることも少なくありません。保守会社に電話をする前に、次の順で確かめてください。確かめた結果は、直らなかったときに保守会社へ伝える材料にもなります。
電源を確かめる 自動ドアの電源のスイッチ(ドアの上の機械の部分や、そばの壁にあることが多い)と、専用のブレーカーが入っているかを確かめます。 運転の切替を確かめる 自動、開いたまま、閉めたまま、片側だけ、夜間の施錠などの切替のスイッチが、ふだんの位置にあるかを確かめます。 センサーのまわりを見る ドアの上や横のセンサーの前に、掲示物や植木、のぼりなどがないか。センサーの窓が汚れていないかを見ます。 レールを見る 床のレールや溝に、ごみ、小石、落ち葉などが挟まっていないかを見ます。 保守会社に連絡する 直らなければ、保守会社に連絡します。閉まらない間は、職員が玄関を見守ります。
自動ドアが動かないときに、職員が確かめる順番。 自動ドアが動かないときに確かめる順番 1. 電源・ブレーカー 2. 運転の切替のスイッチ 3. センサーの前の物・汚れ 4. レールのごみ・小石 5. 直らなければ保守会社へ 図1 自動ドアが動かないときに、職員が確かめる順番。
雨の日や、強い日差しが当たる時間に、センサーが人のいない場所を感じて開いたり、反対に人を感じにくくなったりすることがあります。雨の日だけ、夕方だけ、といったように時間や天気で症状が変わるときは、その様子を記録して保守会社に伝えると、センサーの向きや感度の調整で直ることがあります。
停電のあとは、自動ドアが止まったままのことがあります。電気が戻っても動かないときは、電源のスイッチを入れ直すと動き出すことがあります。停電のときの全体の手順は、介護施設が停電。上げてはいけないブレーカーがあります にまとめています。
症状から、原因の見当をつける
自動ドアの不具合に最初に気づくのは、玄関の近くで働く職員や、送迎の職員、面会に来たご家族です。気づいたことをすぐに事務所に伝える流れがあると、閉まらないまま時間がたつことを防げます。
自動ドアの不具合は、開かない、閉まらない、途中で止まる、動きがおかしい、の4つに分かれます。症状で、確かめる場所と、急ぎの度合いが変わります。
症状と、考えられること 症状 考えられること 先に確かめること まったく開かない 電源、切替のスイッチ、センサー、機械の故障 電源と切替のスイッチ 開いたまま閉まらない センサーが人や物を感じ続けている、切替が開放 センサーの前の物、切替のスイッチ 途中で止まる・引っかかる レールのごみ、戸車の傷み、ベルトの傷み レールの溝 閉まるのが速い・強い 調整のずれ、機械の不具合 使うのを控え、保守会社へ 大きな音がする 戸車やベルト、モーターの傷み 音の様子を動画で残す
自動ドアの不具合の急ぎの度合いを決める考え方。 急ぎの度合い 閉まる速さや強さに異常があるか ある(速い・強い) 挟まれの危険 使用を止めて保守会社へ ない 確かめる順番を試す 直らなければ保守会社へ 図2 自動ドアの不具合の急ぎの度合いを決める考え方。
大きな音がするときは、戸車やベルトが傷んでいるサインのことがあります。すぐに止まることは少ないものの、放っておくと、ある日動かなくなることがあります。音の様子を動画で残し、点検のときか、早めに保守会社に見てもらいます。部品を前もって手配できれば、玄関が使えない時間を短くできます。
閉まるのが速い、強く当たる、人がいるのに閉まってくる、といったときは、挟まれてけがをする危険があります。高齢の方や車椅子の方は、ドアの動きに合わせてすばやく動くことができません。こうしたときは、運転の切替で開いたままにするか、使用を止めて、ほかの出入口に案内してから保守会社に連絡します。
閉まらない間は、玄関を見守る
介護施設の玄関の自動ドアは、認知症のある方がひとりで外へ出てしまうことを防ぐ役目を持っていることがあります。暗証番号やボタンで開ける設定にしている施設もあります。故障で開いたままになると、この役目が働かなくなります。
自動ドアが閉まらない間の見守りの例。 閉まらない間の見守り 玄関に職員 交代で玄関のそばにいる 声かけ 出ようとする方に声をかける 見守りの機器 離床センサーなどを確かめる 所在の確認 時間を決めて全員を確かめる 図3 自動ドアが閉まらない間の見守りの例。
閉まらない間は、職員が交代で玄関のそばにいるか、玄関が見える場所で仕事をするようにします。時間を決めて、入居者の方が全員いるかを確かめます。外へ出てしまう心配のある方には、担当の職員がふだんより気を配ります。夜間に閉まらないときは、手で閉めて施錠できるかを確かめ、できなければ保守会社に夜間の対応を頼むか、職員が玄関を見守ります。
外へ出てしまう心配のある方がいるときは、自動ドアが直るまでの間、玄関の近くにいる時間を減らせるよう、日中の過ごし方を工夫することもあります。たとえば、玄関から離れた共用の部屋で活動の時間を設ける、といったことです。ご家族の面会の出入りが多い時間帯は、受付の職員が出入りに声をかけるようにします。
防犯の面でも、夜間に玄関が開いたままになるのは避けたいところです。多くの自動ドアは、電源を切ると手で開け閉めでき、鍵をかけられるようになっています。手で動かす方法は機種で違うため、取扱説明書か保守会社に、平時に確かめておいてください。
保守会社への連絡で、伝えること
自動ドアの保守会社の連絡先は、ドアの上の機械の部分のカバーや、ドアのガラスの端に貼られたシールに書かれていることが多くあります。保守の契約がない場合は、そのシールのメーカーか、建物を建てた建設会社に問い合わせると、連絡先が分かることがあります。
連絡のときに伝えること 項目 伝える中身 場所 玄関、通用口、ユニットの入口など 症状 開かない、閉まらない、途中で止まる、速い、音がする 施設で確かめたこと 電源、切替のスイッチ、センサー、レール 今の状態 開いたまま、閉めたまま、手で動かしている 急ぎの度合い 挟まれの危険があるか、夜間に閉められるか メーカーと型番 シールや銘板の写真
防火戸と兼ねている自動ドアや、火災報知器と連動して閉まる仕組みのドアもあります。こうしたドアの不具合は、防火設備の検査の対象にもなるため、保守会社に加えて、消防設備や防火設備の点検の業者にも知らせます(12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けます )。
保守会社が来るまでに時間がかかるときは、来られる時刻と、それまでの間に施設でしてよいこと(手で開け閉めしてよいか、電源を切っておくべきか)を電話で確かめておきます。夜間や休日は、保守会社の受付の時間にも気をつけます。
どこに頼めばよいか分からないときは、ドアの写真とシールの写真をLINEで窓口に送っていただければ、見立てと手配をします。
挟まれを防ぐ、点検で確かめること
自動ドアの事故で多いのは、閉まってくるドアに体が挟まれることです。国の規格(JIS A 4722)や業界団体の指針では、人を感じるセンサーの範囲や、閉まる速さ、挟まれたときに止まる仕組みなどについて、安全の考え方が示されています。介護施設では、歩くのがゆっくりな方、車椅子や歩行器を使う方が通るため、点検のときに次のことを確かめておきます。
点検のときに確かめること 項目 確かめること センサーの範囲 ドアの前に立った人、ドアの間にいる人を感じるか 閉まる速さ ゆっくり歩く方や車椅子でも通れる速さか 開いている時間 通り抜ける前に閉まり始めないか 挟まれたとき 物に当たったら止まるか、開き直るか 戸車とレール 引っかかりや音がないか
業界団体は、自動ドアの安全のために、専門の業者による定期の保守点検を勧めています。点検の回数は、使う回数や場所で変わります。介護施設の玄関のように、1日に何百回も開け閉めするドアは、傷みが早く出ます。点検の報告書で、部品の交換や更新を勧められたら、修繕の計画に入れます。
介護施設の玄関の自動ドアで、点検や設定のときに気をつけること。 介護施設の玄関の自動ドアで気をつけること 閉まる速さ ゆっくりの方に合わせる 開いている時間 車椅子でも通れる長さ 外へ出る防止 暗証番号などの設定 夜間の施錠 手で閉められるか 図4 介護施設の玄関の自動ドアで、点検や設定のときに気をつけること。
修理か、更新か
自動ドアは、ドアの上の機械の部分(モーター、制御の基板、ベルト、戸車など)と、センサー、ドアそのものでできています。部品の交換で直ることが多いものの、設置から年数がたつと、部品の製造が終わって手に入らなくなることがあります。
自動ドアの修理か更新かを考えるときの材料。 修理か、更新か 修理で済むことが多い 更新を考えるとき センサーの交換 戸車・ベルトの交換 調整のずれ 部品が手に入らない 故障がくり返す 機械の部分が古い 図5 自動ドアの修理か更新かを考えるときの材料。
修理の見積が出たら、交換する部品の名前、部品の代金と作業の代金、出張の費用が分けて書かれているかを確かめます。同じドアで何度も部品を替えているときは、これまでの修理費の合計と、更新の費用を並べて比べると、判断しやすくなります。
更新するときは、ドアのガラスや枠はそのまま使い、機械の部分だけを替える方法もあります。工事の間は玄関が使えなくなることがあるため、ほかの出入口を使う段取りと、見守りの体制を先に決めます。暗証番号で開ける設定や、ナースコールと連動させる設定を入れたいときは、更新の時期に合わせて相談すると、工事が一度で済みます。
直ったあとに、確かめること
直ったあとに確かめること
ゆっくり歩いて、ドアの前に立ったときに開くか、通る間に閉まらないか 車椅子や歩行器で通って、閉まる速さが合っているか 物を当てて、閉まりかけのドアが止まるか、開き直るか 暗証番号や夜間の施錠の設定が、元どおりになっているか 直した内容と、交換した部品、次の点検の時期
確かめるときは、職員が自分で歩いて通るだけでなく、ゆっくり歩く速さや、車椅子を押して通る速さで試します。ふだん玄関を使う入居者の方の歩き方を思い浮かべながら、通り抜ける前に閉まり始めないかを見てください。
修理のあとは、保守会社の担当者と一緒に、実際に通って確かめます。設定の変更が要るときは、施設の使い方(日中は自動、夜間は施錠など)を担当者に伝えます。変えた設定は、職員にも伝えておきます。
モデルケース:夕方、玄関の自動ドアが開いたままになった施設 モデルケース:定員18名の認知症の方のグループホーム
暗証番号で開ける玄関のドアが、開いたまま閉まらなくなった
変わったこと(結果) 夕方の送迎のあと、玄関の自動ドアが開いたまま閉まらなくなりました。職員が確かめると、ドアの横のセンサーの前に、送迎で使った車椅子が置かれたままでした。車椅子を動かすと、ドアは閉まりました。その間、職員の1人が玄関のそばに立ち、入居者の方が外へ出ないよう見守っていました。
背景と、困っていたこと この施設では、以前にも同じようなことがあり、そのときは保守会社を呼んで、出張の費用がかかっていました。職員の間で、センサーの前に物を置かないことが十分に伝わっていませんでした。
その後に決めたこと 施設は、玄関の床に、物を置かない範囲をテープで示しました。自動ドアが動かないときに確かめる順番を、玄関の内側に貼り、閉まらないときは誰が玄関を見守るかも決めました。