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肝転移があるとあとどれくらい?|がんの黄疸・腹水と治療の選択肢

このテーマの総論:ステージ1〜ステージ4で余命は違う?|がんの生存率の読み方

この記事には、余命や生存率などの数字の話が出てきます。数字は多くの方をまとめた統計で、一人ひとりの予測ではありません。読むのがつらいときは、途中で閉じても大丈夫です。

この記事の結論

肝転移があっても、あとどれくらいかは一律ではありません。元のがんの種類、転移の数や大きさ、肝臓の働き(肝機能)、治療の効き方で大きく変わり、薬物療法や、条件が合えば切除などで経過が変わる場合もあります。だるさや黄疸、腹水は、早めに伝えるほど手を打ちやすくなります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」(WHO定義は日本緩和医療学会… ほか8件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

肝臓に転移があると言われても、その言葉だけで残された時間は決まりません。同じ「肝転移」でも、元のがんが何か、転移がいくつあってどのくらいの大きさか、肝臓の働きがどれだけ保たれているかによって、選べる治療も、その後の経過も大きく変わります。

説明の中で「切除」「薬物療法」「肝機能」という言葉が一度に出てきて、整理できないまま帰ってきた方もいると思います。この三つは、ばらばらの話ではありません。「今、どの治療を選べるのか」という一つの問いで、つながっています。

説明を整理できないまま、帰ってきた方へ

  • CTで肝臓に転移がいくつも見つかったと言われ、その場で頭が真っ白になった。
  • 昔どこかで聞いた肝臓についての怖い言い回しが、頭の中で何度もよみがえる。
  • 先生の「切除」「薬物療法」「肝機能」という説明が整理できず、だるさだけが残っている。

この記事で分かること

  • 同じ肝転移でも、治療の選択肢が人によって違う理由
  • 「肝機能」の検査で見ていることと、治療との関わり
  • 切除や薬物療法などが、それぞれ目指すこと
  • だるさ・黄疸・腹水が出たときに、医療者に伝えること

肝臓に転移があると言われました。肝転移があると、あとどれくらいで、どんな経過になりますか?

あとどれくらいかは、元のがんの種類、転移の数や大きさ、肝機能、治療の効き方によって大きく違い、「肝転移」という言葉だけでは決まりません。しばらく症状がないまま治療を続けられることもあり、だるさや黄疸、腹水が出てきても和らげる手段があります。

肝転移は、ほかの臓器にできたがんの細胞が血液の流れに乗って肝臓に届き、そこで増えている状態です。肝臓そのものから発生する「肝臓がん(原発性の肝がん)」とは別のもので、治療や見通しは元のがんに合わせて考えます。検索で見かける肝臓がんの経過や数字は、肝転移にはそのまま当てはまりません。肝臓から発生したがんの経過は、肝臓がんの黄疸・腹水・だるさへの備えで取り上げています。

肝臓は余力の大きい臓器で、転移があっても、しばらくは体調が変わらずに過ごせることがよくあります。この先の経過は、二つの軸に分けて考えると整理しやすくなります。一つは「どの治療を選べるか」という軸で、元のがんの性質、転移の数や大きさ、肝機能で決まっていきます。もう一つは「体にどんな変化が出てくるか」という軸で、だるさや黄疸、腹水などが、いつ、どのくらい現れるかです。前の軸は主治医と相談して決めていくもの、後の軸はご本人が気づいて伝えることで手当てにつながるものです。

主治医と決めていくこと(治療の軸)

  • 切除などで、転移そのものをねらえるか
  • どの薬を、どのくらいの量で使うか
  • 効き目を確かめる時期と、次の選択肢

ご本人が気づいて伝えること(体の変化の軸)

  • だるさや眠気、できなくなったこと
  • 白目や皮膚の黄色み、尿や便の色
  • おなかの張り、体重の増え方、息苦しさ
肝転移の経過を、主治医と決めていく「治療の軸」と、ご本人が気づいて伝える「体の変化の軸」に分けた図

同じ肝転移でも、治療の選択肢が人によって違うのはなぜですか?

選択肢は主に、元のがんの性質、転移の数・大きさ・場所、肝機能と体の状態で決まるからです。どれか一つが変われば、選べる治療も変わります。薬が効いて転移が小さくなり、選択肢が広がることもあります。

元のがんの性質で変わること

元のがんによって、効く薬も、肝臓の転移を取り除くことに意味があるかどうかも違います。大腸がんのように、条件が合えば肝臓の転移を手術で取り除くことが選択肢に入るがんもあれば、膵臓がんや胃がんの多くのように、肝転移があると薬物療法が中心になるがんもあります。薬を選ぶときも、乳がんならホルモン受容体やHER2という性質、大腸がんなら遺伝子の検査の結果、というように、元のがんを調べた結果が手がかりになります。大腸がんの肝転移で切除を考えるときの分かれ道は、大腸がんの肝転移と余命の読み方で詳しく取り上げています。

転移の数・大きさ・場所で変わること

手術や、針を刺して熱で焼く治療(ラジオ波焼灼療法)、狙いを絞った放射線のように、肝臓の転移そのものをねらう治療は、転移の数が限られていて、大きさや場所が条件に合う場合に検討されます。太い血管や胆管のすぐそばにある、肝臓の左右に広く散らばっているといった場合は、ねらう治療が難しくなります。肝臓の外、たとえば肺や骨、おなかの膜にも転移があるかどうかも、大きな判断材料です。

肝機能と体の状態で変わること

肝臓の一部を切り取るなら、残った肝臓で体を支えられるかが問われます。また、薬の多くは肝臓で処理されるため、肝機能が落ちていると、使える薬の種類や量が限られることがあります。体力やほかの持病、ご本人がどんな暮らしを大事にしたいかも、選択肢を絞り込む材料になります。

  1. 1元のがんの性質どの薬が効きやすいか、肝臓の転移を取り除くことに意味があるか
  2. 2転移の数・大きさ・場所手術や焼く治療など、転移そのものをねらえるか
  3. 3肝臓の外の転移肺・骨・おなかの膜などにも転移があるか
  4. 4肝機能と体の状態残せる肝臓で体を支えられるか、使える薬の種類と量
肝転移の治療の選択肢を決める主な材料(どれかが変われば、選択肢も変わる)

説明で出てきた「肝機能」は、何を見ているのですか?

肝臓がたんぱく質を作る、ビリルビンという色素を処理して胆汁として流す、薬や体に不要な物を分解する、といった働きがどれだけ保たれているかを見ています。血液検査の値で確かめ、選べる治療や薬の量を決める材料にします。

「肝機能が悪い」と一言で言われても、どの働きがどう落ちているのかで、意味は変わります。下の表は、説明でよく出てくる検査の項目と、それぞれが主に表していることです。値の正常の範囲は検査をする施設で多少違うため、一つひとつの数字より、前回と比べてどう動いたかを主治医に聞くほうが役に立ちます。

肝機能の値が動く原因は、転移の広がりだけではありません。胆汁の通り道が詰まりかけている、治療の薬の影響が出ている、といった別の原因のこともあり、原因によって打つ手が変わります。「この値が動いた原因は、何と考えられますか」と聞いておくと、次に何が起きうるかの見通しも持ちやすくなります。

検査の項目主に分かること変化したときに起きやすいこと
AST・ALT肝臓の細胞が傷んでいる度合い値が動いても、症状が出ないことが多い
ビリルビン胆汁の色素が処理され、流れているか白目や皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる
ALP・γ-GTP胆汁の通り道の流れ胆管の詰まりを疑う手がかりになる
アルブミン肝臓がたんぱく質を作る力、栄養の状態むくみや腹水が出やすくなる
凝固の検査(PTなど)血を固める成分を作る力血が止まりにくくなる
肝機能を確かめる血液検査の主な項目と、変化したときに起きやすいこと

切除や薬物療法は、それぞれ何を目指す治療ですか?

切除は肝臓の転移を取りきることを目指し、条件がそろう場合に限って検討されます。薬物療法は体じゅうのがんを小さくしたり進み方を抑えたりすることを目指し、多くの場合に治療の中心になります。どちらの場合も、つらさを和らげる治療は並行して受けられます。

切除は、画像に写る転移を残さず取り除けると判断されたときに選ばれる治療です。取りきれても再発することがあるため、手術のあとも定期的な検査が続き、手術の前後に薬を組み合わせることもあります。手術の負担が大きい場合や、小さな転移が限られた数だけある場合には、ラジオ波焼灼療法や放射線が選ばれることもあります。切除できるかどうかは、画像や肝機能をもとに医師が判断するもので、外科・内科・放射線科などの医師が一緒に検討する病院もあります。

薬物療法には、抗がん剤、分子標的薬、免疫の働きを利用する薬、ホルモン療法などがあり、どれを使うかは元のがんで決まります。目標は人によって違い、転移を小さくして手術などを目指す場合、進み方を抑えて今の暮らしを長く保つ場合、症状を和らげることを優先する場合があります。

緩和ケアは、がんと診断されたときから受けられるもので、治療と並行して、だるさや痛み、気持ちのつらさを和らげます。選択肢を前にして迷うときは、それぞれを選んだら暮らしがどう変わるか、選ばなかったらどうなるか、決めるまでにどのくらい考える時間があるかを聞いてみてください。担当医とは別の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも選べます。転院とは違い、担当医に紹介状と検査データを用意してもらって受けるもので、自由診療のため費用は全額自己負担です。

転移をねらう治療が検討されやすい状況

  • 転移の数が限られ、取りきれる見込みがある
  • 残せる肝臓で、体を支えられる
  • 肝臓の外に、取りきれない転移がない

薬物療法が中心になりやすい状況

  • 転移が肝臓の広い範囲に散らばっている
  • 肺や骨など、肝臓の外にも転移が広がっている
  • 体力や肝機能から、手術の負担が大きい
肝臓の転移をねらう治療が検討されやすい状況と、薬物療法が中心になりやすい状況(実際の判断は医師が行う)

だるさや黄疸、腹水が出てきたら、医療者に何を伝えればいいですか?

「いつから」「前と比べてどう変わったか」「暮らしの何ができなくなったか」に加えて、黄疸なら尿や便の色と熱の有無、腹水ならおなか回りと体重、息苦しさを伝えてください。具体的な変化ほど、原因を調べて手を打つ助けになります。

だるさ・眠気

だるさは「疲れやすい」の一言で片づけられがちですが、伝え方しだいで受け取られ方が変わります。日中に横になっていた時間、できなくなった家事や外出、食べられた量を添えてください。だるさには、貧血や感染、薬の影響、気持ちの落ち込みなど、肝臓以外の原因が重なっていることもあり、原因によっては手当てで軽くなります。昼と夜が逆転する、つじつまの合わないことを言う、といった変化は、ご本人より家族が先に気づくことが多いので、家族からも伝えてもらってください。こうした意識の変化は、肝臓の働きの低下のほか、一時的に現れる「せん妄」のこともあり、せん妄は徐々に進む認知症とは別のものです。

黄疸

白目の黄色みは、蛍光灯の下より、昼間の自然な光の下のほうが分かりやすくなります。尿が濃い茶色になる、便の色が白っぽくなる、皮膚がかゆくなる、といった変化も手がかりです。黄疸に熱や寒気、ふるえが加わったときは、胆汁の通り道に感染が起きていることがあるため、夜間や休日でも病院に連絡してください。

腹水

ズボンやスカートのウエストがきつくなった、短い間に体重が増えた、少し食べただけでおなかがいっぱいになる、横になると息苦しい、足がむくむ、尿が減った。どれも腹水を疑う手がかりです。毎朝同じ時間に体重を量っておくと、変化を数字で伝えられます。

  • 横になっていた時間と、できなくなったこと
  • 白目や皮膚の色、尿と便の色
  • 熱や寒気、ふるえがあるか
  • ウエストのきつさと、毎朝の体重
  • 息苦しさ、足のむくみ、尿の量
  • 眠気や、つじつまの合わない言動(家族が気づいたこと)
電話や診察の前に、メモしておくと伝わりやすいこと

黄疸が出たら、もう治療はできないのですか?

そうとは限りません。黄疸の原因が胆汁の通り道の詰まりなら、細い管を入れて流れを通す処置で黄疸が和らぎ、薬の治療をもう一度検討できる場合があります。肝臓全体の働きが落ちて出ている黄疸なら、つらさを和らげることに重心を移していくことが多くなります。

黄疸には大きく分けて、転移や腫れたリンパ節が胆管を外から押して胆汁がせき止められているものと、肝臓そのものの働きが落ちて、ビリルビンを処理しきれなくなっているものがあります。どちらなのかは、画像検査や血液検査で確かめます。前者なら、内視鏡などで胆管に管(ステント)を入れたり、体の外に胆汁を流したりする処置で、値が下がることがあります。黄疸が出ている間は使えない抗がん剤もあるため、流れを通すことが、治療を続ける道を開くこともあります。

腹水も、原因と量によって手当てが変わります。尿を出しやすくする薬、おなかに針を刺して水を抜く処置などがあり、食事の塩分を控えるよう指示されることもあります。かゆみには、飲み薬や塗り薬、保湿などの手当てがあります。どの手当ても、気づいたときに伝えることが始まりです。肝臓のほかにも転移があり、ほかの場所の症状が気になるときは、転移先別の症状と和らげ方も参考にしてください。

  1. Q1黄疸に、熱や寒気、ふるえが加わっていますか

    はい夜間や休日でも、すぐに病院へ電話する。命に関わると感じたら119番

    いいえ気づいた日と尿や便の色をメモし、早めに外来へ連絡する

  2. Q2おなかの張りで、息苦しい・食べられない・尿が減っていますか

    はい次の予約を待たずに病院へ電話し、腹水の手当てを相談する

    いいえウエストと体重を記録し、次の診察で伝える

黄疸や腹水に気づいたとき、どこまで急ぐかを決めるための分かれ道

肝転移があると、最期はどうなるのですか?

肝臓の働きが落ちてくると、眠っている時間が長くなり、意識がぼんやりする時間が増えていくことがあります。黄疸やむくみが強まることもありますが、かゆみやおなかの張り、落ち着かなさといったつらさには、和らげる手段があります。

どんな経過をたどるか、どのくらいの期間かは、人によって大きく違います。肝臓のほかの臓器の状態や体力全体の変化が、経過を左右することもよくあります。痛みには医療用麻薬も使われ、肝臓の働きに合わせて薬の種類や量が調整されます。医療用麻薬で命が縮むのではという心配に対しては、日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』が、オピオイドの使用が生命予後を短縮するという根拠はないと示しています。

亡くなる前の時期には、せん妄と呼ばれる一時的な意識の混乱が起こりやすくなるとされています。家族が知っておくと、驚かずにそばにいる助けになります。最期が近い時期の体の変化については、最期が近いサインの記事にまとめています。

「肝臓に転移」と聞いて、説明が頭に入らなかった方は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
60代・男性・ご本人(胃がんの薬物療法を続けていたところ、CTで肝臓に複数の転移が見つかり、薬の切り替えをすすめられた。妻と二人暮らし)
相談のあとに変わったこと
「切除」「薬物療法」「肝機能」の関係が分かり、切除が難しい理由と新しい薬の目標を主治医に聞き直せた。だるさを記録して伝えるようになり、薬の量の調整につながった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談の翌週の診察で、男性はメモを見ながら三つのことを尋ねました。切除が難しいのはなぜか、新しい薬は何を目指すのか、肝機能のどの値を見ているのか。主治医は紙に肝臓の絵を描き、転移が左右に散らばっていること、ビリルビンとアルブミンの値を見ながら薬の量を決めていくことを説明してくれたそうです。それから男性は、毎晩、その日横になっていた時間と食べられた量を手帳に一行ずつ書くようになりました。2回目の診察でその手帳を見せると、だるさの強い日が続いていることが伝わり、薬の量が調整されました。「『終わり』と思っていた話が、『次にどれを選ぶか』の話に変わった」。

2. 相談を考えた背景

胃がんの治療を始めて半年ほどたったころ、定期のCTで肝臓に転移がいくつも見つかりました。主治医は「切除は難しいので、薬を変えましょう。肝機能を見ながら進めます」と説明しました。男性の頭に残ったのは、肝臓という言葉と、昔聞いた怖い言い回しだけでした。

3. 相談する前に困っていたこと

家に帰っても、三つの言葉がどうつながっているのか分かりませんでした。ネットで調べると、肝臓から発生したがんの話と転移の話が混ざって出てきて、どれが自分のことなのか見分けがつかない。だるさは日に日に強くなっていましたが、「弱音を吐いたら、治療を止められるかもしれない」と思い、診察では言えずにいたそうです。

4. ここを選んだ理由・決め手

妻に勧められて、平日の昼にこのサイトの電話番号にかけました。病院の外の人になら、主治医への遠慮をせずに話せると思えたのが決め手です。電話に出た担当が名前を名乗ったので、少し落ち着いて話し始められたといいます。

5. 相談で話したこと・その後

担当は、三つの言葉の一般的な意味と、肝転移の治療の選択肢は元のがんや転移の数、肝機能によって変わるという考え方を説明しました。切除できるかどうかや、男性の見通しについては何も判断していません。話すうちに、男性が本当に聞きたかったのは「なぜ自分は切除できないのか」だと分かり、それを最初に置いた三つの質問をまとめて送りました。だるさを伝えると治療を止められるのでは、という心配も、そのまま主治医に聞いてよいことだと一緒に確かめています。診察の帰り、男性は妻と駅前の喫茶店に寄り、手帳の書き方を二人で決めたそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

主治医・看護師に聞く質問例

  • 元のがんの性質から見て、今の治療の目標は何ですか。
  • 切除や焼く治療が難しい(または検討できる)のは、転移の数・大きさ・場所、肝機能のどれが理由ですか。
  • 肝機能はどの値を見ていて、前回と比べてどう動いていますか。
  • 薬が効いた場合、選択肢が増える可能性はありますか。次に判断するのはいつですか。
  • だるさや黄疸、腹水で、すぐ連絡すべき変化と、夜間・休日の連絡先を教えてください。

とはいえ、肝転移と向き合うあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──怖い言い回しより、目の前の選択肢を信じていい

肝臓に転移があると聞くと、どこかで耳にした怖い言い回しが頭を占めてしまうことがあります。けれど、その言い回しは、あなたの元のがんも、転移の数も、肝機能も知りません。主治医が次の治療を話しているなら、それがあなたの今を表す言葉です。夜中に検索を続けてしまう自分を責めなくていいし、家族の前で平気なふりに疲れたら、ここでは泣いてかまいません。気持ちの沈みが続くときは、主治医やがん相談支援センターに伝えてください。電話をかけた地域の公的な相談機関につながるこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)もあり、受付の時間は地域で違い、通話料がかかります。

② 実務のこと──治療が切り替わっていく前提で、お金と仕事の足場をつくる

肝転移の治療は、効き目を確かめながら薬を変えたり、処置を挟んだりして、形を変えながら続くことがあります。医療費は、ひと月(1日から月末まで)の自己負担に上限がある高額療養費制度が2026年8月から見直され、月の上限額の見直しと、8月から翌年7月までの年間上限の新設が行われました。上限額は年齢と所得区分で決まるので、加入先の健康保険で確かめておくと、治療の切り替えのたびに慌てずに済みます。会社員などで健康保険に入っている方には、療養で仕事に就けず給与が出ないときの傷病手当金があります。国民健康保険の方には原則としてこの手当がないので、使える仕組みがあるかを加入先で確かめてください。治療と仕事の両立は、国の指針のもとで2026年度から事業主の努力義務になっており、働き方の相談は雇用の形に関係なく、がん相談支援センターでできます。

今日できること

肝転移と言われた今夜から、明日にかけてできる3つのこと

  1. 三つの言葉の横に一行ずつ書く

    「切除」「薬物療法」「肝機能」の横に、主治医が何と言っていたかを一行ずつ書きます。空いたままの行が、次の診察で聞くことです。

  2. 明日の朝、白目と尿の色を見る

    昼間の光の下で白目の色を確かめ、朝の尿の色と体重をメモします。変化に早く気づくための、自分だけの基準になります。

  3. だるさを一行で残す

    今日横になっていた時間と、できなかったことを一行書きます。不安で眠れない夜は、相談室のLINEに一言だけ送ってください。夜に届いたものは、翌朝いちばんに読んでお返事します。

よくある質問

肝臓に転移があると、肝臓がんと同じ治療をするのですか?

いいえ、肝転移の治療は元のがんに合わせて選びます。肝臓で見つかっても、細胞の性質は元のがんのものだからです。たとえば乳がんの肝転移なら乳がんの薬、胃がんの肝転移なら胃がんの薬が基本になります。肝臓から発生した肝臓がんの治療法や経過の数字は、そのまま当てはまりません。

転移がいくつもあると、切除はできないのですか?

数だけでは決まりません。元のがんの種類、転移の大きさと場所、残せる肝臓の量、肝臓の外の転移の有無などを合わせて判断します。今は難しくても、薬が効いて転移が小さくなれば、あらためて検討されることもあります。判断の理由に納得がいかないときは、セカンドオピニオンで別の医師の意見を聞く方法もあります。

肝機能の数値が悪いと言われました。もう薬は使えないのですか?

数値の動いた原因と程度によります。薬の量を減らす、種類を変えるといった調整で治療を続けられる場合もあれば、胆汁の通り道の詰まりが原因なら、流れを通す処置のあとで治療を検討し直せる場合もあります。「何が原因で、どの値がどこまで戻れば、治療を考えられますか」と聞いてみてください。

だるさが強いのは、病気が進んだからですか?

そうとは限りません。だるさには、貧血、感染、薬の影響、眠りの浅さ、気持ちの落ち込みなど、いくつもの原因が重なることがあり、原因によっては手当てで軽くなります。「横になっている時間が前より増えた」のように、暮らしの変化で伝えると、医療者が原因を探しやすくなります。

黄疸のかゆみがつらくて眠れません。どうすればいいですか?

かゆみは我慢せずに伝えてください。飲み薬や塗り薬のほか、ぬるめのお湯で入浴する、入浴後すぐに保湿する、爪を短く切る、かゆい所を冷やすといった工夫で和らぐことがあります。かゆみが強くなってきたこと自体が、黄疸の変化を知らせるサインのこともあるので、いつから強くなったかも一緒に伝えると役に立ちます。

肝転移と言われてから、何を食べればいいのか分からなくなりました。

肝転移があるからといって、特別に食べてはいけない物が決まっているわけではありません。食べられる物を、食べられるときに少しずつ、で十分です。腹水があって塩分を控えるよう言われている場合や、薬の影響で控える物がある場合は、その指示が優先です。迷うときは、病院の管理栄養士に相談できるか、主治医や看護師に聞いてみてください。

治療の選択肢を、納得して選ぶための質問を一緒に整えます

説明で出てきた言葉と、今いちばん気になっていることをひとことお書きください。受付確認のメールは送信後すぐに届きます。あとは、ご希望の時間帯に担当からの電話を待つだけです。「切除」「薬物療法」「肝機能」の一般的な意味をお伝えしながら、治療の選択肢と体の変化について、主治医に確かめる質問を3つにまとめます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

    1ご相談の内容
    ご相談の種類任意

    今まさに設備が止まっている・水が漏れているときは、いちばん上を選んでください。すぐにできることを表示します。

    水が漏れている場合は、先に止水栓か元栓を閉めてください。電気設備に水がかかっている場合は、ブレーカーを落としてください。写真はLINEから送っていただくのが最短です(24時間受付)。

    対象の設備・箇所任意・複数可

    写真任意・3枚まで

    全体が分かる引きの写真、症状が分かる寄りの写真、銘板(メーカー・型式のシール)の3枚があると、機種と範囲がその場で分かります。入居者の方が写らないようにお撮りください。1枚2MBまで(JPG・PNG・GIF・WebP・PDF)。スマートフォンの写真はそのまま選べます。大きい写真は送信前に自動で縮小します。

    2施設について

    3ご連絡先

    ご希望の連絡方法任意

    連絡のつきやすい時間帯任意・複数可

    4詳しく書ける方へ任意いつから・何回目か・何か所か・何名の施設か。分かるとお見積りまでの日数が短くなります

    同じ症状は

    補助金の利用

    他社のお見積り

    他社の金額をお伺いすることはありません。相見積の場合は、各社に同じ条件をお伝えします。

    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    がんの種類ごとの数字は、主治医と一緒に読む

    がんの種類ごとの生存率などの数字は、多くの方をまとめた統計です。同じ種類でも、進み方や治療の効き方は一人ひとり違います。数字を見て不安になったら、その数字が今のご本人にどう当てはまるのかを、主治医に尋ねてみてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「調べた数字が、本人の場合にどう当てはまるのか教えてください。」

    1. 読んだ数字の出どころ(いつの、どのような方々の統計か)を確かめる
    2. 気になった数字はメモして、診察のときに見せる
    3. 調べものには、出典のはっきりした公的な情報を使う

    手元にあると話しやすいもの

    • 読んだ数字の出典(サイト名と日付)
    • 質問メモ

    公的な相談先

    がん情報サービス(国立がん研究センター)
    出典のはっきりしたがんの情報と、お近くのがん相談支援センターの探し方がまとまっています。
    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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