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最期が近いとき医師に聞いておくこと|がんの看取り期の6項目

このテーマの総論:余命を医師に聞いていい?がんの見通しの聞き方と聞く前に決める3つ

この記事の結論

最期が近いと言われたら、医師や看護師と「連絡の約束」を言葉にしておきます。今の見立て、夜中に電話をもらう変化、電話の番号と順番、家族を呼ぶ目安、つらさを和らげる方針、家族の側から伝えることの6つです。聞いたら復唱し、紙に書いて家族で同じものを持ちます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:日本緩和医療学会 編『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』『が… ほか8件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

最期が近いと言われたら、医師や看護師に聞いておきたいのは、病棟と家族のあいだの「連絡の約束」です。今の見立てをどう共有するか、夜中にどんな変化で電話をもらえるか、その電話は誰の番号にどの順でかかるか、遠くの家族をいつ呼ぶか、つらさをどう和らげてもらえるか、そして家族の側から何を伝えておくか。この6つが言葉になっていれば、夜に一人で迷う時間はぐっと短くなります。

体の変化がそれぞれ何を意味するのかはがんの最期が近いサインとは?に、付き添いで泊まるか帰るかの考え方は泊まるか帰るか迷うときにまとめています。この記事では、約束の中身を確かめる質問の言い方と、聞いた約束を復唱し、紙にし、夜勤の看護師まで届いているかを確かめる方法を紹介します。

「そろそろ」と言われてから、電話を手放せずにいる方へ

  • 聞きたいことは山ほどあるのに、どれを誰に聞けばいいのか分からない。
  • 夜中に変化があったら連絡が来るのか、それすら確かめられていない。
  • 遠くのきょうだいをいつ呼べばいいのか、決める手がかりがない。

がんの家族の最期が近いと言われました。今のうちに医師や看護師に聞いておくべきことは何ですか?

病棟と家族のあいだの「連絡の約束」を、6つに分けて確かめます。今の見立て、夜中に連絡をもらう変化、電話の番号と順番、家族を呼ぶ目安、つらさを和らげる方針、そして家族の側から伝えておくことです。

「そろそろ」と言われたあとに家族が抱える迷いの多くは、病院とのあいだで、まだ言葉になっていない約束から生まれます。夜中に電話が来るのか来ないのか分からなければ、電話を握ったまま眠れません。どの変化で呼ばれるのか分からなければ、病室を離れる決心がつきません。反対に、約束がはっきりしていれば、「呼ばれたら動く」と決めて、家族は体を休めることができます。

6つの中には、医師に確かめたほうがよいことと、看護師のほうが答えやすいことがあります。見立てとつらさを和らげる方針は医師に、夜の連絡の段取りは看護師に、と分けておくと、限られた面談の時間を有効に使えます。

約束医師に確かめること看護師に確かめること
①今の見立てどんな段階と見ているか見立てが変わったときの知らせ方
②夜中の連絡の基準連絡が要ると考える変化夜勤のあいだの電話の段取り
③番号と順番(看護師に聞けば足りることが多い)かける番号と、つながらないときの次
④家族を呼ぶ目安会わせたい人がいるなら、いつごろか呼ぶときに使う言葉
⑤つらさを和らげる方針薬の使い方と、家族への相談の仕方夜中に苦しそうなときの動き方
⑥家族から伝えることご本人と家族の願い到着までの時間、家族からの電話
6つの約束と、確かめやすい相手

今の見立ては、どう聞いて、変わったら知らせてもらえますか?

「今の様子を、先生方はどう見ていらっしゃいますか」と聞き、続けて「見立てが変わったら、家族にも知らせていただけますか」と頼みます。見立てそのものより、変わったときに知らせてもらう約束のほうが、家族の動きを支えます。

医師の答えが「日の単位」「週の単位」といった幅のある言葉で返ってきても、それは日数を言い切れないからで、ごまかしではありません。ここで大事にしたいのは、言葉をそろえることです。医師と看護師と家族が同じ言葉で今の段階を呼んでいれば、夜中の電話で「お伝えしていた変化が出てきました」と言われたとき、家族はすぐに意味をつかめます。

聞き方の例です。「家族には、今の段階をどんな言葉で伝えていただけますか」「見立てが変わったときは、どなたから、どんな形で連絡をいただけますか」「次に先生からお話を伺えるのは、いつですか」。答えはその場で書き、言われた言葉は言い換えずに残します。

夜中に変化があったら、どんなときに連絡をもらえますか?

「どんな変化があったら、夜中でも家族に電話をいただけますか」と、基準を言葉で聞きます。家族の側から「呼吸の様子が変わったときも知らせてほしい」など、知らせてほしい場面を伝えておくこともできます。

病棟には病棟の判断があり、何も言わなければ、その判断で連絡が来ます。ただ、家族が知らせてほしい場面と、病棟が連絡する場面が同じとは限りません。様子が大きく変わったら夜中でも知らせてほしいのか、本当に急ぐときだけでよいのか。家族の希望を伝えることで、約束がその家族に合った形になります。

聞き方の例です。「夜は家族が付き添っていません。様子が変わったら、時間を問わず知らせていただけますか」「逆に、朝まで連絡を待っていただいてかまわないのは、どんな場合ですか」。後ろの問いを聞いておくと、電話が鳴らない夜を「何も起きていない夜」として受け止めやすくなります。

夜の電話は、誰の番号に、どの順でかけてもらえばいいですか?

最初に電話を受ける人と、つながらなかったときの2番目、3番目を家族で決め、番号と一緒に病棟に伝えます。病院からかかってくる番号も聞いてスマホに登録しておくと、夜中に知らない番号として見過ごさずに済みます。

入院の手続きのときに書いた連絡先が、今の家族の状況に合っているとは限りません。入院した日は自宅の固定電話を書いたけれど、今は長女が病院の近くに泊まっている、ということもあります。約束を確かめる日に、「連絡先を、今の家族の状況に合わせて書き直したいです」と看護師に伝えてください。

聞き方の例です。「電話は、まず長女の携帯に、つながらなければ夫の携帯にお願いできますか」「夜中の電話は、病院のどの番号からかかってきますか」「つながらなかったときは、どうしていただけますか」。夜は眠りの深い家族がいる、携帯を持たない家族がいる、といった事情も、このときに伝えておきます。電話を受ける役になった人は、夜は充電したまま枕元に置き、音を消さないようにしておきます。

遠くの家族を呼ぶ目安は、どう約束しておけばいいですか?

「家族が着くまでに、これくらい時間がかかります。それを考えて、呼ぶ目安を早めに教えていただけますか」と、到着までの時間を添えて頼みます。看護師が家族を呼ぶときに使う言葉も、先に聞いておくと聞き逃しません。

医療者は、ご本人の様子から「会わせたい方がいれば早めに」と伝えることがあります。けれど、遠方の家族が新幹線で来るのか、飛行機なのか、夜は移動できないのかまでは、聞かなければ分かりません。到着までの時間を伝えておくと、医療者もそれを頭に置いて声をかけやすくなります。

もう一つ確かめたいのが、呼ぶときの言葉です。「ご家族に連絡を」「会わせたい方がいれば」など、家族を呼ぶときの言い方は病棟や人によって違います。「呼んだほうがいいときは、どんな言葉でお知らせいただけますか」と聞いておけば、その言葉が出たときに迷わず動けます。遠方の家族にも、その言葉をそのまま伝えておくと、知らせを受けた側も重みを取り違えずに済みます。

苦しまないための方針は、何を確かめておけばいいですか?

「夜中に苦しそうになったら、どう和らげていただけますか」と聞き、薬の使い方を変えるときや、眠る薬を考えるときに家族へ相談があるかも確かめます。夜中に家族と連絡がつかないときに何を優先してほしいかも、先に伝えておきます。

つらさを和らげる対応のなかには、眠る薬を使うかどうかのように、ご本人や家族と相談しながら決めるものもあります。夜中に家族とすぐに連絡がつかない場合も考えて、「何よりも、つらさを和らげることを優先してほしい」という願いがあるなら、明るいうちに言葉にして伝えておきます。

聞き方の例を挙げます。「夜中に痛みや息苦しさが強くなったら、どう対応していただけますか」「落ち着かなくなったり、つじつまの合わないことを言ったりしたときは、どうしていただけますか」「眠る薬を使うことを考える段階になったら、家族にも相談していただけますか」。亡くなる前の時期には、せん妄と呼ばれる一時的な意識の混乱が起こりやすくなるとされているので、2つめの問いも省かないでください。

薬への心配も、そのまま質問にしてかまいません。日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』は、オピオイドの使用が生命予後を短縮するという根拠はないとしていて、医療用麻薬で命が縮むという根拠はないとされています。鎮静についても、同学会の『がん患者の治療抵抗性の苦痛と鎮静に関する基本的な考え方の手引き 2023年版』が、「少なくとも鎮静が平均的に生命予後を短縮するといった重篤な安全性に及ぼす影響はないと想定される」としています。

家族の側からは、何を伝えておけばいいですか?

到着までにかかる時間、夜中に家族から様子を尋ねてよいか、付き添いが交代するときの知らせ方、そしてご本人と家族の願いです。約束は、病棟から家族へのものと、家族から病棟へのものがそろって形になります。

家族から伝えておきたいことを、聞き方と一緒に挙げます。「夜中に家族から様子を伺ってもいいですか。何時ごろなら差し支えありませんか」「付き添いの家族が交代するときは、どなたにお伝えすればいいですか」「夜中に着いたら、どの入口から入って、どなたに声をかければいいですか」。最後の問いは、慌てて病院に着いた夜に、閉まった正面玄関の前で立ち尽くさないための一問です。

ご本人が以前から話していた希望があれば、それも伝えます。「静かに過ごしたいと言っていました」「好きな音楽をかけてあげたいです」。家族の願いも同じです。「そのときは、そばにいたいと思っています」と言葉にしておくと、医療者もその願いを頭に置いて動きやすくなります。

病棟から家族へ

  • 見立てが変わったら知らせる
  • 決めた変化があれば、夜中でも電話する
  • 決めた番号に、決めた順でかける
  • つらさを和らげる方針を、家族にも話す

家族から病棟へ

  • 電話を受ける人と、その順番を伝える
  • 到着までにかかる時間を伝える
  • 夜中に家族から電話してよい時間を確かめる
  • ご本人と家族の願いを伝える
病棟から家族への約束と、家族から病棟への約束

聞いた約束は、どうやって言葉にして確かめればいいですか?

聞いた答えをその場で「〜ということでよろしいですか」と復唱し、紙に書いて家族で同じものを持ちます。最後に「この約束は、夜勤の方にも伝わりますか」と聞いておくと、約束が昼の担当の方だけのものになりません。

復唱は、聞き違いや思い込みをその場で直すためのものです。たとえば、「では、呼吸の様子が変わったら、夜中でも長女の携帯にお電話をいただき、つながらなければ夫の携帯へ、ということでよろしいですか」。声に出してみると、「呼吸の様子」とはどんな変化か、「夜中でも」は何時までか、といった、あいまいなところが自然に浮かび上がります。

紙には、日付と、話を聞いた看護師や医師の名前も書きます。写真を撮って、家族のグループに同じ文面で送ります。そして、看護師が交代しても約束が続くように、「夜勤の方にも伝わっていますか」「病棟の記録に残していただけますか」と確かめます。ご本人の様子が変わったら、約束も見直しどきです。面会のたびに、「この約束のままで大丈夫ですか」と一言聞くだけで十分です。

  1. 1聞く6つの約束を、医師と看護師に分けて確かめる
  2. 2復唱する「〜ということでよろしいですか」と声に出す
  3. 3書く日付と、話を聞いた人の名前を添えて紙に残す
  4. 4共有する写真を撮り、家族に同じ文面で送る
  5. 5夜勤に届ける「夜勤の方にも伝わっていますか」と確かめる
  6. 6見直す様子が変わったら、面会のたびに確かめ直す
約束を言葉にして、夜勤まで届ける流れ
  • 今の見立てを表す言葉と、聞いた日付
  • 夜中でも電話をもらう変化
  • 電話を受ける人の順番と、それぞれの番号
  • 病院からかかってくる番号
  • 家族を呼ぶときに使われる言葉と、到着までの時間
  • つらさを和らげる方針と、家族への相談の仕方
  • 夜中に着いたときの入口と、声をかける相手
約束メモに書いておくこと

医師と看護師の言うことが違うと感じたら、どうすればいいですか?

どちらかが間違っていると決めつけず、「先生からは、こう伺いました。看護師さんから見て、今の様子はいかがですか」と、聞いた言葉を並べて確かめます。見立ての言葉と連絡の約束を、医師と看護師のあいだでそろえてもらうよう頼むこともできます。

回診で主治医に「落ち着いていますね」と言われたのに、夕方には看護師から「ご家族への連絡を考えておいてください」と言われる。こうしたずれに戸惑うご家族は少なくありません。医師は回診のときの様子を、看護師は一日を通した変化を見ていることが多く、同じ状態でも言葉が違って聞こえることがあるからです。

迷ったときは、「先生と看護師さんのあいだで、今の見立ては同じですか」「家族は、どちらの言葉を目安に動けばいいですか」と尋ねてください。約束メモの見立ての欄には、誰から聞いた言葉かも書き添えておきます。そうしておくと、次にずれを感じたときに、どこで食い違ったのかを落ち着いてたどれます。

聞くのがつらいとき、誰かに代わってもらってもいいですか?

かまいません。約束を確かめる役は、家族の中で比較的落ち着いて話を聞ける人が担えば十分です。何を聞けばいいか自体が分からないときは、看護師や医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センターに一緒に整理してもらう方法もあります。

この時期のご家族は、付き添い、仕事、きょうだいへの連絡を抱えながら、自分の気持ちを後回しにしがちです。国立がん研究センター がん情報サービスは、家族が本人を気づかって気持ちを我慢しがちなことにふれて、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と説明しています。聞くのがつらいと感じるのは、それだけ大切に思っているからです。

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口で、家族だけでも、その病院に通っていなくても無料・匿名で相談できます。夜中に不安で眠れないときは、24時間対応で無料のよりそいホットライン(0120-279-338)もあります。がん専門の窓口ではありませんが、話を聞いてもらえます。がんと家族の相談室では、今夜どう動くか、遠方の家族を呼ぶかどうか、病棟に何を確かめるかを、お電話で一緒に整理しています。LINEに夜送っていただいたものは、翌朝いちばんに読んでお返事します。

夜中の電話を待ち続けていた妻は、何を約束した?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
60代・妻の立場(夫が一般病棟に入院中。長男は車で1時間半、長女は飛行機の距離に住む)
相談のあとに変わったこと
夜中に電話をもらう変化、電話の順番、家族が着くまでの時間を看護師と確かめ、一枚の約束メモにした。夜勤の看護師にも伝わっていることを確かめ、電話を握ったまま起きていた夜が、枕元に置いて眠れる夜に変わった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談の翌日の夕方、妻は面会のあとにナースステーションに寄り、6つの項目を書いたメモを見せながら、看護師に一つずつ確かめました。電話は、まず自分の携帯に、つながらなければ長男の携帯に。長男は着くまでに車で1時間半かかることも伝えました。最後に「呼吸の様子が変わったら、夜中でも私の携帯にお電話をいただける、ということでよろしいですか」と復唱し、「夜勤の方にも伝わっていますか」と尋ねると、看護師はその場で記録に書き足し、「申し送りでも伝えますね」と答えたそうです。メモの写真は、長男と長女に同じ文面で送りました。

2. 相談を考えた背景

夫の入院は3週目に入っていました。主治医からは「そろそろ、ご家族で心の準備をしておいてください」と言われていました。妻は車の運転をせず、家から病院まではタクシーで20分ほど。長女は飛行機で帰ってくる距離に住んでいて、毎晩のように「いつ帰ればいいの」とLINEが届いていました。

3. 相談する前に困っていたこと

夜中に病院から連絡が来るのかどうかも、確かめられていませんでした。妻は電話を握ったまま布団に入り、少しの物音で目を覚ましました。スマホで調べると、出てくるのは体のサインの話ばかりで、自分の家の夜をどう過ごせばいいのかは分かりませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターは、平日の日中にしか行けません。ある夜、相談室のLINEに「夜中に病院から電話が来るのか分からず、眠れません」と送りました。翌朝いちばんに返事が届き、昼すぎに電話で話すことになりました。医療機関ではない場所のほうが、遠慮せずに何でも聞ける気がした、といいます。

5. 相談で話したこと・その後

電話で担当は、まず「夜、いちばん怖いのはどんな場面ですか」と尋ねました。そこから、まだ病棟と決まっていない約束を6つに分けて書き出し、復唱の言い方も一緒に考えました。いつごろになるかという問いには、担当は予測を口にせず、「呼ぶ目安として、看護師さんに聞いてみましょう」と質問の形に置き換えました。長女には、看護師が家族を呼ぶときに使う言葉をそのまま伝えることにしました。「約束があると思うだけで、夜の長さが違った」と妻は話しています。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医師・看護師に聞く質問例

  • 今の様子を、先生方はどう見ていらっしゃいますか。見立てが変わったら、家族にも知らせていただけますか。
  • どんな変化があったら、夜中でも家族に電話をいただけますか。
  • 電話をいただく順番を家族で決めました。この番号の順でお願いできますか。
  • 家族が着くまでに時間がかかります。それを考えて、呼ぶ目安を早めに教えていただけますか。
  • 夜中に苦しそうになったら、どう和らげていただけますか。家族への相談はありますか。
  • この約束は、夜勤の方にも伝わっていますか。

とはいえ、約束を交わすご家族に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──約束は、間に合う保証ではなく、慌てないための支え

どれだけ約束を整えても、変化が急で、家族が着く前にその時が来ることはあります。それは約束が足りなかったからでも、家族の落ち度でもありません。反応がなくなっても、耳は聞こえている可能性があるといわれています。間に合いそうにないときに、電話越しに声をかけさせてもらえないか看護師に頼んでおくのも、約束の一つです。声のかけ方は意識がない・反応がなくても聞こえている?でも紹介しています。そして、約束を確かめているあなた自身も、眠り、食べ、誰かに話してください。

② 実務のこと──家族の中で「受ける人」「知らせる人」「向かう人」を分ける

夜中の電話を受ける人、ほかの家族に知らせる人、病院に向かう人。この3つを同じ人が担うと、電話を切った直後に、連絡と身支度と移動の手配が一度にのしかかります。受ける人が知らせる人に一報を入れ、向かう人はタクシーか運転できる家族の車で動く、と流れを決めておくと、夜中の数分が落ち着いて使えます。勤めている方は、時間単位でも取れる介護休暇(1年に5日、対象の家族が2人以上なら10日まで)や、通算93日まで3回に分けて取れる介護休業について、早めに職場に相談しておくと、呼ばれた日に動きやすくなります。

今日できること

最期が近いと言われた日から、今夜〜明日にできる3つのこと

  1. 約束メモを作る

    6つの約束を紙に書き、聞いた答えを書き込む欄を空けておきます。次の面会でナースステーションに持っていきます。

  2. 病院の番号を登録する

    夜中の電話がかかってくる番号を看護師に尋ね、スマホに病院と病棟の名前で登録します。

  3. 家族の連絡順を決める

    電話を受ける1番目と2番目、遠方の家族に知らせる役を決め、家族のグループに書いておきます。

よくある質問

「そろそろ」とは、あと何日くらいという意味ですか?

何日と言い切れる人はいません。「そろそろ」は、医療者が体の変化から、家族に心の準備や連絡の段取りを始めてほしいと考えたときに使うことが多い言葉です。日数の代わりに、「今の見立てを、家族にはどんな言葉で伝えていただけますか」と聞き、見立てが変わったら知らせてもらう約束をしておくと、その先の動き方が決めやすくなります。

夜中に、家族のほうから病棟に電話して様子を聞いてもいいですか?

遠慮しすぎる必要はありませんが、夜勤は看護師の人数が少ない時間でもあります。だからこそ、「夜中に家族から様子を伺ってもいいですか。何時ごろなら差し支えありませんか」と、昼のうちに約束しておくのがおすすめです。かけてよい時間が分かっていれば、ためらいながら電話を見つめる夜が減ります。

病院からの電話に出られなかったら、どうなりますか?

病棟の対応はそれぞれです。だからこそ、2番目、3番目の連絡先を伝えて、「つながらなければ次の番号へ」とお願いしておきます。着信に気づいたら、登録しておいた病棟の番号にすぐかけ直してください。夜は電話の音を消さないこと、充電したまま枕元に置くことも、約束の一部と考えておきます。

家で看ている場合も、同じように約束しておけますか?

できます。相手が病棟から、訪問看護や在宅医に変わります。末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、主治医の指示のもと医療保険で受け、週の日数の制限がかかりません。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制などが施設基準として求められていますが、夜に誰が電話に出て、どう対応してもらえるかは医療機関ごとに違うので、この記事の6つの約束を同じように確かめてください。

亡くなったあとのことも、今のうちに聞いておくべきですか?

今の時点では、病院での流れを看護師に案内してもらう程度で十分です。夜中だった場合にどこで待てばよいか、誰に声をかければよいかを聞いておくと、その夜に慌てずに済みます。葬儀などの手配は、急いで決めなくてかまいません。がんと家族の相談室では、看取り前後にやることのチェックリストをお送りしています。

病棟との約束を、一緒に一枚にまとめませんか

今の状況と、病棟とまだ確かめられていないことをひとこと、折り返しのお電話番号をお書きください。フォームを送るとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に、担当から折り返しのお電話をします。6つの約束のうち、次の面会で確かめることと、その言い方を一緒に決めます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    聞きたいことを3つに絞って、紙に書いて持っていく

    診察室では、緊張して聞きたいことが出てこないのが自然です。「病状」「治療」「これから」「生活」の4つに分けて、いちばん知りたいことを3つだけ紙に書いて渡すと、短い時間でも聞きやすくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「今日は、このメモの3つを教えていただけますか。」

    1. 質問メモを作り、診察の最初に先生に渡す
    2. 分からなかったときは「別の言葉で、もう一度教えてください」と頼む
    3. 聞けなかったことは、看護師やがん相談支援センターに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 質問を3つに絞ったメモ
    • お薬手帳と、検査結果の控え

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    セカンドオピニオン外来
    別の病院の医師に、診断や治療について意見を聞く方法です。主治医に紹介状と検査結果を用意してもらいます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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