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家族はどう支える?子どものがんの役割分担と親の心のケア

このテーマの総論:子どもががん、親は何をすればいい?診断から療養までにできる5つ

この記事では、お子さんのがんについてお伝えしています。読み進めるのがつらいときは、いったん閉じても大丈夫です。相談先は、記事の最後の「次の一歩」にまとめています。

この記事の結論

子どもががんになったとき、家族の不安の出方が人によって違うのは自然なことです。誰かを責めるより、役割を書き出して分け、短い家族会議の場をつくり、親自身の心のケアの先も持っておくと、家族は同じ方向を向きやすくなります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか5件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

子どもががんになると、家族の誰もが不安を抱えます。ただ、その不安の出方は人によって違います。黙って一人で抱え込む人、仕事や用事に没頭して病院から距離をとる人、心配のあまり口を出さずにいられない人。出方はばらばらでも、根っこにある「あの子が心配だ」という気持ちは、多くの場合同じです。

家族の支え合いは、全員の気持ちをそろえるところから始める必要はありません。出方の違いを知り、やることを分け、短く話す場を一つつくる。その順番で進めると、すれ違っていた家族も、子どもを真ん中にして同じ方向を向きやすくなります。どこから手をつけるかは、家族の人数や住んでいる場所、治療の段階によって変わります。

家族がばらばらに感じて、このページを開いた方へ

  • 夫は仕事を増やして、現実から目をそらしているように見える。
  • 私は病院に付きっきりで、家のことも治療のことも、一人で抱えている気がする。
  • 祖父母は心配しすぎて口出しが多い。ありがたいのに、正直しんどい。

この記事で分かること

  • 家族の不安の出方が「抱え込む・離れる・口を出す」に分かれる理由
  • パートナーや祖父母を責めずに、関わり方を変えてもらう言い方
  • 子どもの一週間から逆算する役割分担と、15分の家族会議の開き方
  • 親自身の心のケアの選択肢と、つながり方

子どもががんになり、家族全員が不安です。家族はどう支え合えばいいですか?

気持ちをそろえようとする前に、不安の出方が人によって違うと知り、役割を分け、短く話す場を一つつくることです。支え合いは、同じように悲しむことではなく、同じ方向を向いて分担することから始まります。

病院に泊まり込む母親、帰りが遅くなる父親、毎日のように電話をかけてくる祖父母、口数が減ったきょうだい。子どもががんと診断されたあとの家族は、それぞれが別々の場所で、別々の不安を抱えています。そのうえ疲れがたまると、相手の行動が「冷たい」「無神経」に見えやすくなり、ささいな一言で言い合いになることも増えます。

支え合えていないと感じるのは、家族の仲が悪いからではありません。全員が余裕を失っているときに起きる、ごく自然なすれ違いです。ここで「誰が悪いのか」を探し始めると、話し合いはそこで止まってしまいます。問いを「誰が、何を持つか」に置き換えるだけで、同じ話し合いが責め合いから段取りに変わります。

たとえば「あなたは全然病院に来ない」は、「火曜と金曜の夜、どちらか泊まれる?」に言い換えられます。「お義母さんの電話がしんどい」は、「お義母さんへの連絡は、あなたからお願いできる?」に。責める言葉の多くは、中身を変えずに頼みごとへ置き換えられます。言い換えた一言のほうが、相手も「何をすればいいか」が分かるぶん、動きやすくなります。

家族の不安は、なぜ人によって出方が違うのですか?

不安への向き合い方は、性格や家族の中での立場、これまでの経験によって違うからです。黙って抱える、仕事に打ち込む、口を出すといった出方は、どれも不安から自分と家族を守ろうとする反応です。

付き添いの中心になっている親は、子どもの痛みや検査の結果を一番近くで受け止めるぶん、周りに話す余裕がなくなり、一人で抱え込みやすくなります。仕事を続けている親は、家計と日常を守ることで不安を抑えようとして、気づけば職場にいる時間が長くなることがあります。祖父母は、孫の病気と、わが子である親の苦しさを同時に見ていて、何もできない無力感が「こうしたほうがいい」という口出しに変わりやすい立場です。

どの出方も、外から見ると問題に見えます。けれど本人にとっては、崩れないための精一杯の方法です。相手の出方を「性格の問題」と決めつける前に、その奥にある気持ちを一度想像してみると、かける言葉が変わってきます。

出方よく見られる姿奥にあることが多い気持ちかけたい一言
抱え込む付き添いも連絡も一人で背負い、弱音を吐かない自分がしっかりしなければ、という責任感「一つだけ、私に渡して」
離れる・没頭する残業が増える、病院に足が向かない病室のわが子を見るつらさ、家計への焦り「来られない理由があるなら、聞かせて」
口を出す治療や病院について意見を言う、毎日電話をする何もできない無力感、孫と子の両方への心配「心配してくれてありがとう。頼みたいことがあるの」
不安の出方の3つの型と、奥にあることが多い気持ち

仕事に打ち込んで病院に来ないパートナーは、現実から逃げているのでしょうか?

逃げているとは限りません。働くことで家計と日常を守ろうとしている場合もあれば、病室のわが子を見るのがつらすぎて、足が向かない場合もあります。責める前に、本人の口から理由を聞く場をつくるのが先です。

「どうして来ないの」と問い詰めたくなる気持ちは、毎日病院にいる側からすれば当然です。ただ、問い詰める言葉で始めると、相手は防御に回り、本当の理由はかえって出てこなくなります。自分を主語にして伝えると、同じ内容でも受け取られ方が変わります。たとえば「あなたが病院に来ると、あの子がすごくうれしそうにする」「私、正直もう限界に近い。週に一晩だけ、泊まりを代わってほしい」のように、相手を評価せず、自分の状態と頼みたいことだけを伝えます。

病院に来ることが難しいパートナーにも、受け持てる役目はあります。週末だけ主治医の説明に同席する、会社とのやりとりや医療費の手続きを引き受ける、きょうだいと過ごす夜を担当する。病室にいる時間の長さだけが、子どもを支える量ではありません。役目がはっきりすると、パートナーが「何をすればいいか分からない」状態から抜け出せることがあります。

付き添いの中心が父親で、仕事を続けているのが母親という家庭もあります。どちらの立場でも、離れている側は「自分は何もできていない」という負い目を、残っている側は「自分ばかり」という孤独を抱えやすいものです。その両方を、一度言葉にして交換してみてください。

心配して口を出す祖父母とは、どう付き合えばいいですか?

祖父母の口出しの多くは、孫と、わが子である親の両方を心配する気持ちから来ています。気持ちは受け取りつつ「治療のことは主治医と決める」と線を引き、代わりに頼める具体的な役目を渡すと、関わり方が変わりやすくなります。

「本当にあの病院で大丈夫なの」「テレビで、こういう治療がいいと言っていた」「あなたがしっかりしないと」。祖父母のこうした言葉に、疲れているときほど心がささくれます。言い返したくなる気持ちも、聞き流すしかない虚しさも、自然な反応です。

線を引くときは、感謝と境界と頼みごとを、ひと続きで伝えるのがこつです。「心配してくれてありがとう。治療のことは先生と相談して決めているから、そこは任せてほしい。その代わり、火曜と木曜に、下の子の夕ごはんをお願いできると本当に助かる」。役目を渡された祖父母は、不安の行き場ができ、口出しの回数が自然に減っていくことがあります。

毎日の電話がつらいときは、祖父母への連絡係を一人決め、近況は週に一度まとめて伝える形にしてもかまいません。祖父母自身も、強い不安を抱えています。がん相談支援センターは患者さん本人だけでなく家族も使える窓口なので、祖父母に「話を聞いてもらえる場所がある」と伝えておくのも、親の負担を減らす一つの方法です。

親と医療者に任せてほしいこと

  • 治療の方法や、病院の選び方
  • 子ども本人に、病気をどこまでどう伝えるか
  • 治療に関わる食べ物やサプリメントの判断

祖父母に頼みたいこと

  • きょうだいの送り迎えや、夕ごはん
  • 洗濯物の受け渡しや、買い物
  • 親戚への近況の連絡
  • 親の話を、助言せずに聞く役
祖父母に「任せてほしいこと」と「頼みたいこと」

役割分担は、どうやって決めればいいですか?

家族の一週間を、子どもの治療の予定から逆算して書き出し、時間帯ごとに「主に受け持つ人」と「代われる人」を決めます。得意なことと実際に使える時間で分けると、不公平感が残りにくくなります。

「できる人がやる」に任せていると、結局はいちばん近くにいる一人に、すべてが集まります。分担を決めるときは、気持ちや貢献度の話から入らず、まず子どもの一週間の予定を紙に書き出します。治療や検査の日、面会の時間、外泊の予定、きょうだいの習いごとや学校の行事。予定が並ぶと、どの時間帯に誰の手が要るのかが、言い争わなくても見えてきます。

次に、やることを洗い出します。付き添いや送り迎えのような目に見える仕事だけでなく、見えにくい仕事も書き出してください。祖父母や親戚からの電話に出ること、学校や保育園とのやりとり、病院から渡される書類の管理、お見舞いの申し出を断ること。こうした細かな仕事が一人に集まると、その人は「自分ばかり」と感じやすくなります。

最後に、時間帯ごとに「主に受け持つ人」と「代われる人」の名前を入れます。代われる人がいる役目は、主に受け持つ人が倒れても止まりません。一週間やってみて回らなかったところは、次に話す場で直せば十分です。

  1. 1一週間の予定を書く治療・検査・面会・きょうだいの行事を、曜日ごとに並べる
  2. 2やることを洗い出す付き添いや家事に加え、電話や書類などの見えにくい仕事も
  3. 3担当と控えを決める時間帯ごとに、主に受け持つ人と代われる人の名前を入れる
  4. 4一週間やってみる回らなかったところは、次の家族会議で直す
子どもの一週間から逆算して役割を決める4つの手順

家族で話す場は、どうつくればいいですか?

週に一度、子どもが聞いていない場所で15分だけ、と決めて始めます。議題は一つ、責めない、一人ずつ話す、最後に一つだけ決める。この4つの約束があれば、短くても話し合いになります。

忙しい家族ほど、話し合いは「時間ができたら」と先送りになり、結局、疲れ切った夜の口げんかで代わりに済ませてしまいます。日曜の夜、子どもが眠ったあとなど、曜日と時間を先に決めてしまうのがおすすめです。一人が病院にいるなら、ビデオ通話でつないでもかまいません。長く話そうとしないことも、続けるための工夫です。

始めるときは、最初に約束を一言で確かめます。「今日は誰が悪いかの話はしない。来週の夜の交代だけ決めよう」。一人ずつ話す時間をとり、ほかの人はさえぎらずに聞きます。最後に、決まったことを一つだけ、全員が見られる場所に書き残します。最初の議題は、下の候補から一つ選ぶと始めやすくなります。

  • 来週の病院の泊まりを、どの曜日に誰が受け持つか
  • きょうだいの送り迎えと夕ごはんを、誰に頼むか
  • 主治医の次の説明に、誰が同席するか
  • 祖父母に頼みたいことを、一つ決める
  • 親戚や職場に、どこまで同じ言葉で伝えるか
  • 一人ずつ「今週いちばんしんどかったこと」を話す
最初の家族会議の議題の候補(一つだけ選ぶ)

決まったことは、きょうだいにも短く伝えてください。「来週の水曜は、パパが学校にお迎えに行くよ」と予定が分かるだけで、家の中の見通しが立ち、きょうだいの不安は少し落ち着きます。きょうだいを話し合いそのものにどう入れるかは年齢によって変わるので、本人ときょうだいへの伝え方も参考にしてください。

話し合いがどうしても責め合いになってしまうときは、家族の外の人に入ってもらう方法もあります。病院の医療ソーシャルワーカーは、患者さんや家族の心理的・社会的な困りごとの調整を手伝う専門職で、家族の手が足りないことや、使える制度のことも相談できます。院内で話せるかどうかは、看護師に聞けば教えてもらえます。

親の心のケアには、どんな選択肢がありますか?

話を聞いてもらう窓口、同じ立場の親と話す場、医師などの専門家によるケアの3つがあります。気持ちのつらさが強いほど、一つに頼りきらず、いくつかを組み合わせて使うほうが支えが途切れにくくなります。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、家族について「『第二の患者』ともいわれます」と記し、家族が本人を思って気持ちを我慢しがちで、自分の日常も保たなければならないことを理由に挙げています。子どもを支える親が、自分の心のために相談先を持つのは、ぜいたくでもわがままでもありません。

話を聞いてもらう窓口としては、病院のがん相談支援センターがあり、家族だけでも、その病院に通っていなくても、無料で名前を明かさずに相談できます。公益財団法人がんの子どもを守る会では、小児がん専門のソーシャルワーカーが、東京(03-5825-6312)と大阪(06-6263-2666)の電話で、平日10時〜17時(年末年始を除く)に相談を受けています。

同じ立場の親と話す場は、病院や支援団体によって、親の会や交流の集まりとして設けられていることがあります。同じ景色を見てきた人の一言に救われることもあれば、ほかの子の経過と比べて苦しくなることもあるので、合わないと感じたら離れてかまいません。家族のつながり方は、子どものがんを支える家族のつながり方で詳しく扱っています。

眠れない日や気分の沈む日が続くときは、かかりつけ医や心療内科・精神科で、親自身の不調として診てもらうことも選べます。病院によっては、患者さんの家族も心理の専門職のカウンセリングを受けられることがあるので、病棟の看護師やがん相談支援センターに「親が相談できる心の専門家はいますか」と聞いてみてください。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、かけた場所の都道府県などが行う公的な心の電話相談につながります(曜日と時間は地域ごとに違い、通話料がかかります)。親自身の眠りと体の守り方は、親が不安で眠れないときの記事にまとめています。

  1. 1話を聞いてもらうがん相談支援センター、がんの子どもを守る会、民間の相談窓口
  2. 2同じ立場の親と話す病院や支援団体の親の会、交流の集まり
  3. 3専門家に診てもらうかかりつけ医、心療内科・精神科で、親自身の不調として相談
  4. 4今すぐ危ないと感じるときよりそいホットライン(0120-279-338、24時間・無料)、命の危険があれば119番
親の心のケアの段(軽いものから順に)

一人で抱えていたお母さんの家族は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・母親の立場(中学1年の息子が入院して治療中。夫と小学4年の娘、近くに夫の両親が住んでいる)
相談のあとに変わったこと
日曜の夜に15分の家族会議を始め、夫が週に2晩の泊まりを受け持つようになった。義母からの電話は夫が受ける形に変わり、母親が一人で抱えていた連絡と付き添いが分かれた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から1か月半で、病院に泊まる夜は、母親が週5日、夫が週2日に分かれた。日曜の夜9時からの15分は、病院の母親もビデオ通話でつなぐ家族会議の時間になった。議題は毎回一つだけ。義母からの電話は夫が受け、母親には夜にまとめて伝わる。娘の塾の送り迎えは義父の担当になった。「夫は逃げていたんじゃなくて、どう入ればいいか分からなかったんだと、やっと分かりました」

2. 相談を考えた背景

息子の入院から2か月。母親は病院に泊まり込み、夫は残業を増やして、帰宅は毎晩10時を過ぎていた。義母は毎日電話をかけてきて、「あの治療で本当に大丈夫なの」と聞く。娘は祖父母の家で過ごす日が増え、口数が減った。ある夜、母親が夫に「もう少し病院に来てよ」と言うと、「仕事を休んだら、治療のお金はどうするんだ」と返され、病院の廊下で電話越しの言い合いになった。

3. 相談する前に困っていたこと

家族会議という言葉は検索で見つけていた。けれど、いざ夫と向き合うと、責める言葉しか出てこない気がした。義母に頼みごとをすれば、口出しがもっと増えそうで怖い。病院の相談窓口で家族のもめごとを話すのは、恥ずかしかった。「うちの家族はおかしいのかもしれない」と、一人で考え込む夜が続いた。

4. ここを選んだ理由・決め手

夫婦のことを、息子の病棟の人に知られたくなかった。相談室のフォームならニックネームで送れて、電話の時間帯も選べる。「家族の役割分担は、第三者が入ると決めやすくなります」という一文を読んで、自分たちだけで決めようとしていたから苦しかったのかもしれない、と思えたことが決め手になった。

5. 相談で話したこと・その後

電話では、担当は名前を名乗り、まず母親の話をただ聞いた。夫を責める言葉が出ても、担当は良い悪いを言わなかった。そのうえで、家族のやることを一緒に書き出し、最初の議題を「来週の泊まりの交代」一つに絞った。夫への切り出し方として、「あなたを責めたいんじゃなくて、来週の夜のことだけ一緒に決めたい」という一文も用意した。担当は息子の病状や治療については何も判断していない。1回目の家族会議は10分で終わり、決まったのは水曜の夜の交代だけだった。2回目、夫が「病室であいつの顔を見ると、何を話せばいいか分からなくなる」とこぼした。その夜から、土曜の泊まりも夫の担当になった。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 説明を聞く家族が日によって変わっても大丈夫なように、別の家族にも同じ説明をしていただけますか。
  • 仕事を続けている親が来られる時間帯に、説明の時間をとっていただくことはできますか。
  • 祖父母が面会するとき、気をつけてほしいことはありますか。
  • 家族の手が足りないことや、家族の気持ちのことを相談できる方は、院内にいますか。
  • 同じ病気の子の家族と話せる場があれば、教えていただけますか。

とはいえ、家族がばらばらに見えるときに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──すれ違いは、家族が壊れかけている印ではありません

病院の廊下で電話越しに言い合いをした夜、「うちの家族はもうだめかもしれない」と思った人もいるかもしれません。けれど、家族の誰もが余裕を失っている時期に、すれ違いが起きないほうが珍しいのです。言い合いになるのは、それぞれが本気で子どものことを考えているからでもあります。すれ違いに気づき、どうにかしたいと思ってこのページを開いたこと自体が、家族をつなぎ直そうとする一歩です。

② 実務のこと──分担表は「決めたら終わり」ではなく、育てていくもの

治療の段階が変わると、必要な手も変わります。入院中は泊まりの交代が中心でも、一時退院や通院の時期には、夜中の体調の変化に備えた連絡の分担や、学校とのやりとりが増えていきます。分担表は、家族みんなが見られる場所に置き、家族会議のたびに書き換えていくものと考えてください。紙なら冷蔵庫に、離れて暮らす家族がいるなら家族で共有できるメモやカレンダーに。誰が何を持っているかが見えているだけで、「自分ばかり」という思いは育ちにくくなります。

今日できること

今夜から明日にかけて、家族の支え合いを動かす3つのこと

  1. やることを書き出す

    付き添い、きょうだいの世話、家事、電話や書類など、見えにくい仕事も含めて紙に書き出します。

  2. 最初の議題を一文で送る

    パートナーに「来週の夜の交代だけ、日曜に15分決めたい」と、責める言葉を入れずに送ります。

  3. 祖父母に頼む役目を一つ選ぶ

    送り迎えや夕ごはんなど、具体的な曜日を入れた頼みごとを一つだけ決めておきます。

よくある質問

夫婦で、治療についての考え方が違います。どうすればいいですか?

考え方が違うのは、どちらも真剣に考えているからです。まず、主治医の説明を二人そろって聞く機会をつくってください。同じ説明を同じ場で聞くだけで、すれ違いが小さくなることがあります。それでも迷いが残るときは、何に迷っているのかを書き出して、次の診察で二人の質問として主治医に聞いてみてください。

子どもの前で、夫婦げんかをしてしまいました。

疲れているときに言い合いになるのは、珍しいことではありません。あとで子どもに「さっきは大きな声を出してごめんね。あなたのことで、パパとママは話し合っていたの。あなたのせいじゃないよ」と短く伝えてください。子どもは、親が言い争う理由を「自分のせい」と思い込むことがあるので、この一言で安心できることがあります。

祖父母が、健康食品や民間療法を勧めてきます。

まず「調べてくれてありがとう」と気持ちを受け取ってください。そのうえで、治療に関わるものは主治医と相談して決めていると伝えます。気になるものがあれば、親から主治医に「家族から勧められたものがあるのですが、使ってもいいですか」と聞けば、判断を医療者に任せられ、祖父母との言い合いも避けられます。

遠くに住んでいる家族は、何ができますか?

離れていても受け持てる役目はたくさんあります。親戚への連絡係、医療費や手続きの書類の整理、週末だけの付き添いの交代、そして親の話を夜に電話で聞く役。役目を一つに決めて伝えると、離れている家族の「何もできない」という負い目も軽くなります。

ひとり親で、分担できる家族がいません。

分担の相手は家族に限りません。祖父母や友人、職場の同僚に、日付を入れた小さな頼みごとをするところから始めてください。家族の手が足りないことは、病院の医療ソーシャルワーカーに相談できるかどうか、看護師に聞いてみてください。療養中の不安や使える行政サービスについて相談に応じる専門職で、窓口の名前は病院ごとに違います。

親が自分の心のケアを受けるのは、子どもに申し訳ない気がします。

申し訳なく思う必要はありません。家族は「第二の患者」ともいわれます。支える側もまた、手当てを受けてよい立場だということです。親が心を手当てすることは、子どものそばに居続けるための準備です。最初の一歩は、がん相談支援センターなどに電話を一本かけるだけでもかまいません。

家族会議の最初の議題を、お電話で一緒に決めませんか

ご家族の状況をひとことと、ご希望の時間帯を書いて送ると、受付確認のメールがすぐに届き、その時間帯に担当からお電話します。誰が何を受け持つか、最初に何を話し合うかを、責め合わない言葉で一緒に整理します。お名前はニックネームでかまいません。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    ひとりで抱えず、小児がんに詳しい相談先につながる

    お子さんの病気のことを、親御さんだけで背負う必要はありません。全国の小児がん拠点病院や、がん診療連携拠点病院などにある相談支援センターでは、治療や暮らし、きょうだいのこと、親御さん自身の気持ちについても相談できます。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「治療のこと以外に、きょうだいや学校のことを相談できる窓口はありますか。」

    1. 主治医や担当の看護師に、病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカーなど)を教えてもらう
    2. きょうだいへの伝え方も、ひとりで決めずに相談先と一緒に考える
    3. 親御さん自身が眠れない・食べられない日が続くときは、それも相談先に伝える

    手元にあると話しやすいもの

    • 治療の予定が分かるもの
    • きょうだいの学校・園の連絡先

    公的な相談先

    小児がん拠点病院の相談支援センター
    小児がんの治療や療養のこと、きょうだいや学校のことまで相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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