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夫や妻がステージ4のがんに|治療と二人の生活の組み立て方

このテーマの総論:夫・妻のがん、あとどれくらい?|配偶者の見通しの聞き方

この記事の結論

ステージ4は、多くのがんで離れた臓器への転移があるときに付けられる分類で、残りの期間を示す言葉ではありません。治療の目的と体調の波を主治医に確かめ、家事・子ども・仕事・お金をひと月ごとに組み直すと、夫婦の暮らしが回り始めます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「TNM分類」「喉頭がん 治療」;国立がん… ほか14件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

妻(夫)がステージ4と診断されても、それは「もう治療がない」という意味でも、残りの期間を示す言葉でもありません。多くのがんでは、離れた臓器への転移があるとステージ4に分類されますが、治療の目的や経過は、がんの種類や体の状態によって一人ひとり大きく違います。

この記事では、ステージ4という言葉の受け止め方から始めて、治療のリズムに合わせた家事と子育ての組み直し方、夫婦それぞれが使える仕事とお金の制度、そして夫婦で話し合う順番までを、今月の段取りに落とし込める形で整理しました。妻の前で平気な顔をしている夫の方に向けて書いていますが、夫ががんになった妻の方にも、そのまま使える内容です。

妻の前では平気な顔をしている夫の方へ

  • 妻には「大丈夫だよ」と言っている。でも頭の中は、仕事と子どもとお金のことでいっぱいだ。
  • 治療は続くと聞いた。それなのに、ステージ4がどういう意味なのか、まだちゃんと聞けていない。
  • 子どもに何と言えばいいのか、明日からの家事をどう回すのか、何から手をつければいいのか分からない。

妻がステージ4のがんと診断されました。夫として何を知り、生活をどう組み立てればいいですか?

知っておきたいのは「治療が何を目指しているか」と「治療で体調が揺れるリズム」の2つです。生活は、家事・子ども・仕事・お金の4つを、ひと月ごとに組み直していきます。いきなり先々まで決めなくて大丈夫です。

1つめの治療の目的は、主治医に「この治療は、何を目指していますか」と聞けば確かめられます。答えが「がんを小さくする」「進行を抑える」「症状をやわらげる」のどれに近いかで、暮らしの組み立て方も変わります。2つめのリズムは、看護師に「治療のあと、体調が落ちやすいのはいつごろですか」と尋ねておくと、家の予定を合わせやすくなります。抗がん剤などの治療は、種類によって通院の間隔も、体調の落ち込み方も違うからです。

生活をひと月ごとに組み直すのは、ステージ4の治療が、検査の結果を見ながら続けたり変えたりしていくものだからです。半年先まで完璧な計画を立てても、治療が変われば作り直しになります。「今月の通院日」「今月の子どもの行事」「今月の支払い」を一枚に並べるほうが、夫婦ともに先の見えない不安が小さくなります。

ステージ4と言われたら、もう治療はないということですか?

いいえ。ステージは、がんの大きさや広がり、リンパ節への転移、離れた臓器への転移の組み合わせで決まる分類です。ステージ4という言葉は、治療の終わりも、残りの期間も意味していません。

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、ステージは、がんの大きさや広がり(T)、リンパ節への転移(N)、離れた臓器への転移(M)の組み合わせで決まると説明しています。多くのがんでは、遠隔転移があるとステージ4に分類されますが、何をもってステージ4とするかは、がんの種類によって異なります。同じ「ステージ4」でも、病気によって意味合いが違うのです。

ステージ4では、がんを完全に取り除くことよりも、がんの進行を抑え、つらい症状をやわらげながら、仕事や家庭の暮らしを続けることを目指して治療が組まれる場合が多くあります。がんの種類や広がり方によっては、治すことを目指す治療が検討される場合もあります。どちらに当たるかは、主治医に確かめるのがいちばん確実です。

もうひとつ知っておきたいのが、緩和ケアです。がん情報サービスは、緩和ケアはがんと診断されたときから始まると説明しており、国の第4期がん対策推進基本計画(2023年3月閣議決定)も、診断時からの緩和ケアを掲げています。緩和ケアは治療をあきらめた人のためのものではなく、痛みや吐き気、気持ちのつらさをやわらげるために、治療と並行して受けられるものです。病院の緩和ケアチーム、緩和ケア外来、緩和ケア病棟、自宅で受ける在宅緩和ケアの4つの場があります。

言葉誤解されやすい受け止め方実際の意味
ステージ4もう治療がない、末期多くのがんでは遠隔転移があるとⅣ期。基準はがんごとに違う
治療の目的治すか、あきらめるか進行を抑え、症状をやわらげ、暮らしを保つことを目指す場合も多い
緩和ケア治療をやめた人のケア診断されたときから、治療と並行して受けられる
生存率妻に残された時間過去に診断された大勢の方の集計で、個人の予測ではない
ステージ4と言われたときに、受け止め方がずれやすい言葉

生存率の数字が気になって眠れないときは、ステージと生存率の読み方も開いてみてください。数字が誰の、いつの数字なのかが分かると、受け止め方が少し変わります。

通院や副作用のある毎日、家事はどう回せばいいですか?

家事を「やめる・減らす・頼む・続ける」の4つに仕分けると回りやすくなります。治療の日のあとなど、体調が落ちやすい時期を先に聞いておき、その週は家事の量を最初から少なく見積もっておきます。

これまで妻が担ってきた家事を、夫がそのまま全部引き受けようとすると、仕事と通院の付き添いが重なった週に行き詰まります。完璧に代わりを務めるのではなく、量そのものを減らす考え方に切り替えると、家の中が回り始めます。

仕分けるときは、妻にも「これは続けたい?それとも任せたい?」と聞いてください。体調のよい日にお弁当を作る、子どもの宿題を見るなど、妻が続けたい役割を残しておくことは、暮らしの中での妻の居場所を守ることにもつながります。何でも先回りして取り上げると、かえって「もう役に立たない」と感じさせてしまうことがあります。

  1. 1やめるアイロンがけ、手の込んだ夕食、毎日の掃除機など、なくても暮らせること
  2. 2減らす洗濯や掃除の回数、おかずの品数。作り置きや惣菜、宅配を当たり前に使う
  3. 3頼む子ども、親族、近所の友人、家事を手伝う民間のサービスに任せること
  4. 4続ける妻が続けたい役割や、夫婦で一緒にやりたいこと
家事を仕分けるときの4つの段

冷蔵庫に、ひと月分のカレンダーを貼るのも役に立ちます。治療の日、検査結果を聞く日、子どもの行事、ゴミの日を同じ紙に書き込むと、「この週は夕食を惣菜にする」「この日は祖母に迎えを頼む」と、先に手を打てます。

子どもには、いつ、どのように伝えればいいですか?

決まった正解はありません。まず夫婦で方針をそろえ、子どもの年齢に合った言葉で、何回かに分けて伝えます。「あなたのせいではない」「うつる病気ではない」「変わること・変わらないこと」の3つを入れると、子どもは安心しやすくなります。

国立がん研究センターのがん情報サービスによると、子どもに病気のことを話すかどうかに、これが正解という答えはありません。そのうえで、周りの大人どうしが同じ方針を持っておくことを大事にしています。夫は伝えたい、妻はまだ伝えたくない、という食い違いを抱えたまま子どもに話すと、子どもは誰の言葉を信じればいいか迷います。先に夫婦で「何を、どこまで、誰が話すか」を決めておきます。

小さな子どもは、親の病気を「自分が悪い子だったから」と結びつけて考えることがあります。伝えるときは、子どものせいで病気になったのではないこと、うつる病気ではないことを、はっきり言葉にします。そのうえで、毎日の暮らしの中で変わることと、変わらないことを具体的に話します。

たとえば小学生には、「ママは、がんという病気の治療を病院で続けているよ。治療のあとは疲れて横になる日もあるけれど、ママがあなたを大好きなことは変わらないよ」。中学生や高校生には、病名や治療の予定をもう少し詳しく伝え、「分からないことがあったら、いつでも聞いていい」と添えます。子どもが自分で調べてしまうこともあるので、聞いていい相手が家の中にいると伝えておくと安心です。NPO法人ホープツリーは、親ががんになった子どものための情報サイトを運営しており、伝え方に迷ったときの参考になります。

変わること

  • 治療の日は、おばあちゃんが迎えに来る
  • ママが昼間に横になって休む日がある
  • 夕食がお惣菜の日が増える

変わらないこと

  • 毎朝、パパかママが「いってらっしゃい」を言う
  • サッカーの練習には、これまでどおり行ける
  • 困ったことは、いつでもパパとママに話していい
子どもに伝えるときの「変わること」と「変わらないこと」の例

仕事は続けられますか?夫婦それぞれが使える制度はありますか?

制度は立場によって変わります。治療中の妻が会社員などで健康保険の被保険者なら傷病手当金、支える夫には、条件に合えば介護休暇や介護休業があります。まず、二人が加入している健康保険と、それぞれの勤め先の就業規則を確かめます。

傷病手当金は、会社員などの健康保険の被保険者が、仕事以外の病気やけがの療養で仕事に就けず、給与が出ないときの給付です。連続する3日間の待期を含めて4日以上仕事に就けなかったことが条件で、1日あたりの額は、標準報酬月額の平均額を30で割った額の3分の2です。支給期間は、支給を始めた日から通算して1年6か月です。待期の3日間には、有給休暇や土日祝日も含まれます。

注意したいのは、妻が夫の扶養に入っている場合です。被扶養者は被保険者ではないため、傷病手当金の対象になりません。また、国民健康保険には原則として傷病手当金がないので、加入先に確かめてください。

働きながら治療を続ける妻のためには、国の「治療と就業の両立支援指針」が2026年4月1日から適用され、治療と仕事の両立支援は2026年度から事業主の努力義務になりました。がん相談支援センターでは、働き方にかかわらず、仕事についての相談もできます。

夫の側では、介護休暇と介護休業が使える場合があります。どちらも、家族が「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にあることが前提で、通院治療中でも当てはまるかどうかは状態によります。2025年4月からは、介護に直面したことを申し出た社員に対して、会社が制度を個別に知らせ、意向を確かめることが義務になりました。まず人事の担当者に「妻の治療のことで、使える制度を知りたい」と伝えてみてください。仕事が手につかないときの伝え方は、家族のがんで仕事に集中できないときでも紹介しています。

制度主に使う人主な条件・内容確かめる先
傷病手当金健康保険の被保険者である妻連続3日の待期のあと、4日目から。通算1年6か月勤め先・加入先の健康保険
両立支援治療しながら働く妻2026年度から事業主の努力義務勤め先・がん相談支援センター
介護休暇支える夫要介護状態の家族が1人なら年5日まで(2人以上なら10日)。時間単位でも取れる勤め先の人事・就業規則
介護休業支える夫通算93日まで、3回まで分割。条件により雇用保険から給付金勤め先の人事・就業規則
夫婦それぞれが確かめたい、仕事に関わる制度

治療費が続いても、家計はやっていけますか?

医療費には、ひと月の自己負担に上限を設ける高額療養費制度があります。2026年8月から上限額の見直しと年間上限の新設が行われたので、まず加入先の健康保険で、わが家の上限額を確かめるところから始めます。

高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払った医療費が、1日から月末までの1か月の上限額を超えたときに、超えた分が支給される制度です。上限額は年齢と所得区分で決まります。直近12か月に3か月以上上限に達すると、4か月目から上限が下がる「多数回該当」もあり、治療が長く続くステージ4では関わってくることがあります。

夫婦ならではの注意点は「世帯合算」です。同じ健康保険に入っている家族の、同じ月の自己負担は合算できますが(70歳未満は一定額以上の負担のみ)、共働きで夫婦が別々の健康保険に入っている場合は合算の対象になりません。

窓口での支払いは、マイナ保険証で受診すれば、限度額適用認定証がなくても上限額までになります。ただし、マイナ保険証に対応していない医療機関では認定証が必要です。所得の区分によってはマイナ保険証でも申請が必要で、資格確認書で受診している方も事前の手続きが要る場合があります。方法は加入先によって異なります。

1年単位では医療費控除もあります。自分や、生計を一にする配偶者のために、1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えると、所得控除を受けられます。妻の治療費を夫が払っている場合は、夫の申告にまとめられるので、領収書は一つの封筒に集めておくと年明けが楽になります。治療が長く続く場合は、障害年金の対象になる可能性もあります。初診日や保険料の納付などの条件があるため、年金事務所や街角の年金相談センターで確かめてください。お金の相談は、病院の医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターでも受け付けています。

  1. 1加入先を確かめる妻と夫、それぞれがどの健康保険に入っているか
  2. 2月の上限を知る高額療養費の上限額を、加入先に問い合わせる
  3. 3窓口の支払いを整えるマイナ保険証か、限度額適用認定証の手続きを確かめる
  4. 4収入の減りを補う傷病手当金や、勤め先の休暇制度を確かめる
  5. 5年と長期で考える医療費控除の領収書をまとめ、障害年金は年金事務所に相談する
治療費とお金のことを確かめる順番

夫婦で話し合うことは、どんな順番がいいですか?

軽いものから順に重ねていくと、話しやすくなります。最初は「妻がどこまで知りたいか、何を大事にしたいか」、次に今月の家事と子ども、その次に仕事とお金。もしものときの希望は、二人の準備ができてからで十分です。

診断の直後は、夫も妻も、頭が追いついていないことがほとんどです。その時期に、お金やもしものときの話を一度にすると、妻は「もう先がないと思われている」と受け取ってしまうことがあります。順番を決めるのは、話しやすさのためだけでなく、妻の気持ちを守るためでもあります。

一回の話し合いは、話題を一つに絞り、短めに切り上げるくらいがちょうどいい長さです。検査結果を聞いた当日は避け、夕食後や休日の午前など、二人とも落ち着いている時間を選びます。切り出しの言葉は、「治療のこと、どこまで一緒に聞いてほしい?」「これだけは続けたい、ってことある?」のように、妻が答えを選べる形にしておくと、会話が続きやすくなります。

もしものときに望む医療やケアについては、厚生労働省が「人生会議」と名づけて、家族や医療・ケアチームと前もって繰り返し話し合うことを勧めています。一度で決めるものではなく、書面にすることが必須でもありません。治療が落ち着いた時期に、少しずつで大丈夫です。

  1. 1診断を聞いた直後妻がどこまで知りたいか。診察に夫も同席するか
  2. 2次の通院まで今月の家事と子どもの段取り。誰に何を頼むか
  3. 3最初の月の終わりごろ仕事の続け方と、医療費・収入の見通し
  4. 4治療が落ち着いた時期大事にしたい暮らし方と、もしものときの希望
夫婦で話し合う順番の一例

妻がステージ4と言われた夫は、今月の段取りをどう決めた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・夫の立場(妻は会社員で通院治療中、小学生と中学生の子どもが2人)
相談のあとに変わったこと
治療日を中心にしたひと月の予定表ができ、家事のおよそ半分を「やめる・頼む」に回せた。子どもへの説明も夫婦で言葉をそろえ、2回に分けて伝えられた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から2週間で、冷蔵庫に1か月分のカレンダーが貼られました。治療の日、体調が落ちやすい週、子どもの行事、ゴミの日が一枚に並び、体調の落ちやすい週の夕食は惣菜と宅配にすると決めました。洗濯物をたたむのは中学生の長男、週2回の習い事の送迎は近くに住む義母が引き受けることになり、毎晩0時近くまでかかっていた家事は、22時には終わるようになったといいます。妻は体調のよい日に子どものお弁当を作る役を続けています。「全部やろうとしていたのを、やめていいと思えた」と話しています。

2. 相談を考えた背景

診断の日、病院の駐車場で、妻は「子どもたちには、まだ言わないで」と言いました。夫はうなずき、それからは妻の前で平気な顔をし続けました。夜、子どもが寝たあとに、家計簿アプリを開いては閉じる日が続きました。

3. 相談する前に困っていたこと

傷病手当金という言葉は知っていても、妻が対象になるのか、いつから申請できるのかが分かりませんでした。会社には妻の病気のことをまだ伝えておらず、介護休暇が自分に使えるのかも調べきれずにいました。検索すると生存率の数字ばかりが目に入り、余計に眠れなくなったといいます。

4. ここを選んだ理由・決め手

妻の通う病院のがん相談支援センターも知っていましたが、まず自分の頭の中を整理したいと思い、平日の昼休みに話せる先を探しました。フォームで「12時15分から30分の間」と時間帯を指定でき、名前はニックネームでよかったことが、申し込む決め手になりました。

5. 相談で話したこと・その後

電話では、担当がまず「今、いちばん気がかりなことは何ですか」と尋ね、夫は家事と子どものことを挙げました。担当は治療の判断や予測には触れず、看護師に体調の落ちやすい時期を聞くこと、確かめる制度の順番、人事への最初の一言を一緒に整理しました。妻は勤め先の健康保険に入っていたため、傷病手当金は加入先に確かめることにし、仕事の続け方はがん相談支援センターでも相談できると伝えました。子どもへの話は夫婦で先に言葉をそろえ、まず「病気の名前と、変わらないこと」、次の週末に「治療の予定」と分けて伝えたそうです。「平気な顔をしなくていいと言われて、その日の帰り道、車の中で少し泣いた」とも振り返っています。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • この治療は、何を目指していますか。
  • 治療のあと、体調が落ちやすいのはいつごろで、どのくらい続くことが多いですか。
  • 家族が気をつけておく症状や、すぐに連絡したほうがよい変化はありますか。
  • 仕事を続けるうえで、気をつけておくことはありますか。
  • 緩和ケアのチームや外来に、今から相談することはできますか。

とはいえ、夫として抱えこみすぎないでほしい2つのこと

① 気持ちのこと──平気な顔の下の不安は、どこかで下ろしていい

妻を不安にさせたくなくて、夫が自分の気持ちを後回しにするのは、珍しいことではありません。けれど、仕事も家事も子どもも抱えたまま、誰にも弱音を吐かずにいると、ある日ふっと糸が切れてしまうことがあります。国立がん研究センターのがん情報サービスでも、家族は自分の気持ちを我慢しがちで、「第二の患者」ともいわれると説明されています。妻の前では平気な顔でいてもかまいません。そのかわり、妻のいない場所に、本音を話せる相手を持ってください。

② 実務のこと──家の役割分担は「次の検査まで」の単位で見直す

ステージ4の治療は、検査の結果を見ながら続いていきます。家の中の役割分担も、一度決めたら固定するのではなく、検査結果を聞くたびに見直す前提にしておくと、夫婦のどちらかに負担が偏りにくくなります。夫は通院の付き添いとお金の手続き、祖父母は送り迎え、子どもは自分の身の回りのこと、妻は続けたい役割。こうして担い手を分けておけば、治療が変わったときも、どこを組み替えればいいかがすぐに分かります。来月のことは、来月の検査のあとに考えれば間に合います。

今日できること

今月の段取りを始めるために、今夜から明日にできる3つのこと

  1. 予定を一枚の紙にする

    治療の日、検査結果を聞く日、子どもの行事を1か月分のカレンダーに書き込み、冷蔵庫に貼ります。

  2. 保険と就業規則を確かめる

    妻と自分がどの健康保険に入っているか、勤め先にどんな休暇制度があるかを、明日のうちに調べます。

  3. 家事を一つ手放す

    今週やめる家事を一つだけ決めて、妻にも「これはやめようと思う」と伝えます。

よくある質問

ステージ4でも、仕事を続けながら治療している人はいますか?

います。治療の種類や体調によって働き方は変わりますが、国は「治療と就業の両立支援指針」を定め、2026年度から両立支援を事業主の努力義務にしています。がん相談支援センターでは、働き方にかかわらず仕事の相談ができ、両立支援コーディネーターという専門の担い手もいます。続けるかどうかは、主治医の意見も聞きながら、妻自身が決められるようにしてください。

妻が夫の扶養に入っています。傷病手当金はもらえますか?

対象になりません。傷病手当金は、会社員などの健康保険の被保険者が仕事に就けないときの給付で、扶養に入っている被扶養者は含まれないためです。妻がパートなどで自分の勤め先の健康保険に入っている場合は、条件を満たせば対象になります。国民健康保険の場合は原則として傷病手当金がないため、加入先に確かめてください。

共働きで、夫婦が別々の健康保険に入っています。高額療養費は合算できますか?

世帯合算は、同じ健康保険に入っている家族の、同じ月の自己負担を合わせる仕組みです。夫婦が別々の健康保険に入っている場合は合算の対象にならず、それぞれの加入先で上限額を考えます。2026年8月から上限額の見直しと年間上限の新設が行われたので、具体的な上限額は加入先に確かめてください。

夫が介護休業を取れるのは、どんなときですか?

介護休業は、家族が2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にあるときに、その家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる制度です。雇用保険に入っていれば、条件を満たすと介護休業給付金を受けられます。年5日まで(対象家族が2人以上なら10日まで)取れる介護休暇は、時間単位でも使えます。妻の状態が当てはまるかどうかも含めて、勤め先の人事に相談してください。

生存率を調べてしまいました。妻にも当てはまりますか?

生存率は、過去にがんと診断された大勢の方をまとめた数字で、目の前の妻の経過を予測するものではありません。これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があるとも注意されています。見通しを知りたいときは、主治医に幅と起こりやすい変化を尋ねる方法があり、配偶者の見通しの聞き方で詳しく紹介しています。

夫である自分の不安は、誰に話せばいいですか?

がん相談支援センターは、患者さんだけでなくご家族も無料・匿名で使えます。がんと家族の相談室には、評価も助言もせずにただ聞く20分の電話があり、ご希望があれば記録を残しません。妻には言えない不安を、外に出せる場所として使ってください。

今月の段取りを、電話で一緒に組み立てませんか

フォームを送るとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当からお電話します。治療の予定、家事、子ども、仕事、お金のうち、今月決めることと後でよいことを分けて、確かめる制度の順番まで一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    いちばん近い人だからこそ、ひとりで抱え込まない

    パートナーの病気は、暮らし・お金・お子さんのこと・仕事が一度に重なりやすいものです。病状のことは主治医へ、お金や制度のことはがん相談支援センターや病院の医療ソーシャルワーカーへ。相談先を分けると、ひとつずつ進められます。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「これからの生活のことは、どなたに相談すればよいですか。」

    1. パートナー本人が何を知りたいか、どこまで話したいかを確かめる
    2. 医療費や仕事の制度(高額療養費制度・傷病手当金など)を、相談先で確かめる
    3. お子さんへの伝え方に迷うときも、ひとりで決めずに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 健康保険の資格が分かるもの(マイナ保険証・資格確認書など)
    • 医療費の領収書

    公的な相談先

    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。
    加入している健康保険の窓口
    高額療養費制度や傷病手当金などの手続きを確かめられます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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