家族ががんと分かったとき、最初に役立つのは、新しい情報を集めることよりも、本人のそばで話を聞く時間です。家族にできることは数えきれないほどあるように見えますが、整理すると4つの役割に収まります。どこまで担うかは、病気の時期や、家族それぞれの住む場所・仕事・体力によって変わり、決まった正解はありません。
家族もまた「第二の患者」ともいわれるほど、心にも生活にも負担がかかる立場です。全部を一度に読む必要はありません。いちばん気になる見出しから読み、読み終えたら、今週やることをメモに3行だけ書き出してみてください。
こんな焦りを抱えて、検索した方へ
- 母ががんと診断されてから、何かしなければと焦るのに、何から手をつければいいのか分からない。
- 調べれば調べるほど「やるべきこと」が増えて、結局なにもできていない自分に落ち込む。
- これだけやれば大丈夫、という線がほしい。少しでも役に立てている実感がほしい。
この記事で分かること
- 家族の役割を「そばにいる・情報の整理・生活の支え・自分を守る」の4つに分ける考え方
- 診断直後/治療中/治療を終えたあと/看取りの時期に、何を優先するか
- 家族が背負わなくていい5つのこと
- 今週やることを3つに絞る、3つの問い
家族ががんになりました。家族として何をすればいいのか、何をしてあげればいいのか分かりません。何から始めればいいですか?
最初の一歩は、情報を集めることより、本人のそばで話を聞くことです。診断の直後は本人も家族も気持ちが大きく揺れている時期で、治療のこと以外の大きな決断を急ぐ必要は、ほとんどありません。
国立がん研究センターのがん情報サービス「家族ががんになったとき」は、家族は「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを我慢しがちで、そのうえ自分の日常生活も続けていかなければならない、と説明しています。そのため、ご家族は「第二の患者」ともいわれます。何をすればいいか分からずに焦るのは、能力が足りないからではありません。家族という立場に置かれた人に、自然に起きる反応です。
診断を聞いた夜に家族がしがちなのは、深夜まで検索を続け、翌日の面会で「この治療法はどう?」「別の病院も調べたよ」と提案することです。気持ちは本物でも、本人の頭の中には、まだ受け止めきれていない説明が山のように残っていることがあります。本人が最初に求めているのは、新しい情報より「一緒にいてくれること」「話を聞いてくれること」である場合が少なくありません。情報は、本人が「調べてほしい」と言ったときに、一緒に整理すれば間に合います。
何から始めるか迷う夜は、次の一言だけを用意しておくと動きやすくなります。「今、何かしてほしいことはある? なければ、それでいいよ」。返ってきた答えが「別にない」でも、聞かれたこと自体が、本人にとって「ひとりで抱えなくていい」という合図になることがあります。
家族にできることは、どう整理すればいいですか?
「そばにいる」「情報を一緒に整理する」「生活を支える」「自分を守る」の4つに分けられます。4つめの「自分を守る」はおまけではなく、ほかの3つを長く続けるための土台です。
4つに分けると、「全部やらなければ」という焦りが、「今週はこの役割を少しだけ」という具体的な行動に変わります。一人で4つを担う必要もありません。そばにいる役は近くに住む家族、情報の整理は遠方の家族、というように分けて持つこともできます。
- 1そばにいる話を聞く、診察に付き添う、病室で黙って隣に座る
- 2情報を一緒に整理する説明をメモする、次の診察で聞くことを3つにまとめる、制度を調べる
- 3生活を支える通院の送迎、食事、家事、仕事や子どもの予定の調整、お金の見通し
- 4自分を守る眠る・食べる・休む。自分の話を聞いてもらえる相手を持つ
① そばにいる──「する」より「いる」
話を聞く、診察に付き添う、病室で黙って隣に座る。どれも目に見える成果はありませんが、本人にとっては「この人がいる」という事実そのものが支えになります。面会で何を話せばいいか分からないときは、無理に話さなくてかまいません。テレビを一緒に見る、好きな音楽を小さく流す、飲み物を手の届くところに置く。そうした小さな動きが、「いる」ことの形になります。かける言葉に迷うときは、「頑張って」の代わりに言える言葉も参考にしてください。
② 情報を一緒に整理する──決めるのは本人、材料をそろえるのが家族
医師の説明をメモする、次の診察で聞くことを3つにまとめる、使える制度を調べる。ここで気をつけたいのは、この役割が「本人の代わりに決める」ことではなく、「本人が決めるための材料をそろえる」ことだという点です。調べた情報を渡すときは、「調べてみたけど、読む?」と、受け取るかどうかを本人に選んでもらうと、押しつけになりにくくなります。診察での聞き方は、医師に聞くことを3つに絞る方法にまとめています。
③ 生活を支える──家のこと・仕事・お金の段取り
通院の送迎、食事の準備、洗濯や買い物、子どもの送り迎え、仕事の調整、お金の見通し。治療が始まると、ここの負担がいちばん目に見えて増えます。家族のだれか一人がすべてを担うと長くは続きません。きょうだいや親族には「何かあったら手伝って」ではなく、「火曜の通院の送迎をお願いできる?」と、日付と中身を決めて頼むと、動ける人が増えます。
④ 自分を守る──眠る・食べる・話す
休む、眠る、食事をとる、自分の話を聞いてもらえる相手を持つ。家族が倒れると、ほかの3つが同時に止まってしまいます。自分を後回しにしないことは、わがままではありません。本人のそばに長くいるための準備です。
時期によって、優先することは変わりますか?
変わります。診断直後は「そばにいる」、治療中は「情報の整理」と「生活の支え」、治療を終えたあとは「本人の希望を聞く」こと、看取りの時期は「そばにいる」と「自分を守る」が中心になります。
ここでいう「治療を終えたあと」は、がんそのものに対する治療がひと区切りし、これからの過ごし方を考える時期を指します。先の時期のことは、今は読みたくなければ飛ばしてかまいません。表は、今いる時期の行だけ見れば十分です。
| 時期 | 中心になる役割 | この時期にすること | 後回しにしてよいこと |
|---|---|---|---|
| 診断直後 | そばにいる | 話を聞く。診察に付き添う。情報は本人が望んだ分だけ | 治療法や病院を家族だけで比べること |
| 治療中 | 情報の整理・生活の支え | 質問メモ、通院の送迎、仕事とお金の制度を確かめる | 副作用をすべて先回りして調べること |
| 治療を終えたあと | 本人の希望を聞く | どこで過ごしたいか、誰に会いたいかを少しずつ聞く。療養の体制を相談員と組む | 手配を一人で全部済ませること |
| 看取りの時期 | そばにいる・自分を守る | 声をかける。夜間の連絡の決まりを確かめる。泊まり込みを交代する | 「何かしなければ」という焦り |
この表は「全部やる」ための表ではなく、「今の時期は、これ以外は後回しでいい」と決めるための表です。たとえば治療中でも、本人が副作用で外に出られない週は、情報の整理をいったん止めて「そばにいる」に戻ってかまいません。逆に、診断直後でも本人が「保険のことだけは調べておいて」と言ったなら、それがその週の優先になります。
もう一つ知っておきたいのは、緩和ケアは治療を終えてから始まるものではない、ということです。がん情報サービスの説明でも、緩和ケアは「がんと診断されたときから始まります」とされています。痛みや吐き気、眠れなさ、気持ちのつらさを和らげるケアで、治療と並行して受けられます。WHOの定義でも、緩和ケアの対象は「患者とその家族」とされています。家族の不安も、緩和ケアのチームに相談してよい内容です。
家族が「しなくていいこと」は何ですか?
医療の判断を代わりに背負うこと、本人の気持ちを先回りして決めること、情報をひとりで全部集めること、いつも明るくふるまうこと、何もかも一人で抱えること。この5つは、家族がしなくていいことです。
医療の判断は、医療者と本人のものです。「この治療を受けさせるべきか」を家族が一人で抱える必要はありません。迷ったときは「家族として、どう考えればいいですか」と、そのまま医療者に聞いてかまいません。
本人の気持ちを先回りして「言わないほうがいい」「聞きたくないはず」と決めてしまうと、知りたい、あるいは知りたくないという本人の選択を、家族が代わりにしてしまうことになります。迷ったら、本人に聞くのがいちばん確かです。
手放していいこと
- 治療の判断を一人で背負う
- 本人の気持ちを先回りして決める
- 情報をひとりで全部集める
- いつも明るくふるまう
- 何もかも一人で担う
代わりにすること
- 迷いはそのまま医療者に質問する
- 本人に「どうしたい?」と聞く
- がん相談支援センターで一緒に整理してもらう
- つらい日は「つらい」と口に出す
- 日付と中身を決めて、人に頼む
情報集めも、ひとりで抱えなくてかまいません。全国のがん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」は、患者さんだけでなく家族も、その病院にかかっていない人も、無料・匿名で相談できます。家族が打ち明けたことも、その家族自身が同意しない限り、担当医などに伝わることはありません。近くのセンターは、がん情報サービスの「相談支援センターを探す」で探せます。
いつも明るくいる必要もありません。家族が「心配で眠れなかった」と少しだけ本音を見せたことで、本人が「実はこっちも」と話し始めることもあります。弱さを見せ合えることは、家族の力の一つです。
仕事やお金のことは、いつ、誰に相談すればいいですか?
治療の予定が見えてきた段階で、「家族の仕事」「本人の収入」「医療費」「介護」の4つの窓口を確かめておくと安心です。どこから聞けばいいか迷うときは、病院の医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターが入口になります。
医療ソーシャルワーカーは、病院などで、患者さんや家族が抱える経済的・心理的・社会的な問題の解決や調整を手伝う専門職です。相談室の名前は病院ごとに違うので、受付で「お金や仕事のことを相談できる窓口はありますか」と聞くのが近道です。
家族の仕事とお金
- 勤務先の人事・上司介護休業・介護休暇など、家族の看病で使える休み方を確かめる
- 加入先の健康保険高額療養費の上限額、窓口での支払い、傷病手当金の条件を聞く
- 病院の医療ソーシャルワーカー療養中のお金や生活の困りごと、使える行政サービスを相談する
- がん相談支援センター制度・仕事・気持ちのことを、家族だけでも無料・匿名で相談する
- 市区町村の窓口・地域包括支援センター介護保険の申請や、在宅での介護サービスを相談する
家族の仕事については、介護休業が、要介護状態(2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態)の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。介護休業と同じく要介護状態の家族が対象ですが、通院の付き添いのような数時間の用事には、年5日(対象の家族が2人以上なら年10日)までの介護休暇を、時間単位で使う方法もあります。2025年4月からは、介護に直面した社員に会社が制度を個別に知らせ、意向を確かめることが事業主の義務になりました。勤務先には「家族ががんの治療を始めました。通院の付き添いで、急に休みをいただくことがあるかもしれません」と、早めに一言伝えておくと、いざというときの相談がしやすくなります。
本人の収入と医療費については、会社員などで健康保険に入っている本人が、病気の療養で仕事に就けず給与が出ないとき、傷病手当金の対象になることがあります。医療費が1か月の上限額を超えたときに払い戻される高額療養費制度は、2026年8月から上限額の見直しと年間上限の新設が行われました。上限額は年齢や所得で決まるので、治療を受けるご本人が加入している健康保険にご確認ください。マイナ保険証で受診すれば、窓口での支払いは月の上限額までになりますが、対応していない医療機関や所得の区分によっては、別に手続きが必要な場合があります。
介護については、65歳以上なら、要介護・要支援と認定されれば原因を問わず介護保険を使えます。40〜64歳の方は、がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)などの特定疾病が原因の場合に対象となり、どちらも市区町村での要介護認定の申請が必要です。どれも「今すぐ使う」ためではなく、「必要になったら使える」状態にしておくために確かめておく制度です。
今週やることは、どうやって3つに絞ればいいですか?
やりたいことを全部書き出してから、「本人が望んでいるか」「期限があるか」「今の自分の体力で続けられるか」の3つの問いで選びます。残りは「来週以降」の欄に移し、今週は見ないと決めます。
たとえば、面会の帰りの電車で、こんな6つを書き出したとします。「セカンドオピニオンについて調べる」「母の好きな煮物を作って持っていく」「兄に状況を伝える」「会社に休み方を相談する」「健康保険の窓口で医療費の上限を確かめる」「病室で使う室内履きを買う」。
Q1本人が望んでいることですか
はい今週の候補に入れる
いいえ本人が望んだときに回す
Q2期限が決まっていることですか
はい今週の候補に入れる
いいえ「来週以降」の欄に移す
Q3今の自分の体力で、続けられますか
はい今週の3つに入れる
いいえ人に頼むか、窓口や制度を使う
本人が望んでいるのは、煮物と室内履き。期限があるのは、会社への相談と医療費の確認。自分の体力で続けられるのは、3つまで。そう考えると、今週は「煮物」「会社への相談」「医療費の確認」の3つになり、室内履きは兄に頼み、セカンドオピニオンは本人が「聞いてみたい」と言ったときに、と振り分けられます。手作りの料理を持っていくときは、治療中の食事の注意や病棟の決まりを、一度看護師に確かめておくと安心です。
3つに絞ると、「全部できていない」が「3つはできた」に変わります。この小さな完了の積み重ねが、「自分も役に立てている」という実感につながっていきます。
家族自身がつらくなったら、どうすればいいですか?
つらくなるのは、弱いからではありません。家族にも相談先があり、本人のことだけでなく、自分の眠れなさや不安を話してかまいません。病院の看護師、がん相談支援センター、電話の相談窓口を、早めに使ってください。
国立がん研究センター がん対策研究所の「患者さまが受けられた医療に関するご遺族の方への調査報告書(2018-2019年度調査)」(2022年公表)は、2017・2018年にがんで亡くなった方の遺族を対象とした調査で、有効回答は54,167名でした。この調査では、介護の負担感が大きかったと答えた方が38.9%いました。看病の期間が長くなるほど、家族の体と気持ちにも負担が積み重なっていきます。
国立がん研究センターのがん情報サービスにある「家族のがんが進行・再発したとき」というページも、家族自身のつらさを医療者に相談してかまわないと伝えています。面会のついでに、看護師に「最近、私のほうが眠れなくて」と一言伝えるだけでも、話せる場所が一つ増えます。
電話なら、国立がん研究センターの「がん情報サービスサポートセンター」(0570-02-3410、平日10時〜15時、通話料は自己負担、原則1日1回20分以内)で、匿名で相談できます。2026年5月からは、平日12時〜15時のチャット相談も始まりました。夜中に気持ちがあふれそうなときは、24時間・無料のよりそいホットライン(0120-279-338)もあります。
がんと家族の相談室でも、2026年9月の実績(運営者集計)では、電話相談・問い合わせ1,200件のうち800件がご家族からで、ご本人からの400件より多くなっていました。家族が誰かに話すことは、特別なことではありません。
何から手をつければいいか分からなかったご家族は、どう動いた?
説明のための例(実在の方の体験談ではありません)
1. 相談のあとに変わったこと
相談のあと、最初に変わったのは夜の過ごし方でした。それまでは寝る前に2時間近く、治療法や病院の評判を検索していましたが、「今週の3つ」を紙に書いて冷蔵庫に貼ってからは、検索は30分ほどで切り上げられるようになりました。木曜の通院の付き添いは姉と隔週で交代することになり、実家に行く日は、病気の話をせずに母と昼ごはんを食べる日になりました。「あんた、最近顔色がいいね」と母に言われたのは、相談から3週目のことです。
2. 相談を考えた背景
母ががんと診断されたのは、春の終わりでした。説明の場には父と息子さんが同席しましたが、帰りの電車で父が「先生、手術って言ってたか」と聞き返すほどで、誰も説明をはっきり覚えていませんでした。息子さんは「自分がしっかりしなければ」と思い、その夜から情報を集め始めました。
3. 相談する前に困っていたこと
調べるほど、やることのリストは長くなりました。セカンドオピニオン、食事のこと、保険、介護保険、仕事の休み方。2週間でメモアプリの項目は20を超え、どれも手をつけられないまま、仕事中も頭から離れませんでした。母に「何かしてほしいことある?」と聞くことさえ、「頼りないと思われそうで」できずにいたといいます。
4. ここを選んだ理由・決め手
病院のがん相談支援センターのことも知っていましたが、平日の昼は仕事で動けませんでした。夜中にフォームを開いたとき、名前はニックネームでよく、折り返しの時間帯を選べると分かり、「昼休みの15分なら話せる」と思って送信したそうです。送ってすぐに受付確認のメールが届き、「とりあえず受け取ってもらえた」と少し肩の力が抜けたといいます。
5. 相談で話したこと・その後
電話では、息子さんが20の項目を一つずつ読み上げ、担当と一緒に「母が望んでいること」「期限があること」「来週以降でいいこと」に分けていきました。担当は治療法の良し悪しや今後の見通しには触れず、治療についての迷いは「次の診察で先生に聞く質問」として3つにまとめ、メモにして送りました。医療費の上限は健康保険の窓口へ、介護保険はまだ先の話として「来週以降」の欄へ。その週末、息子さんは母に初めて「してほしいことある?」と聞きました。返ってきたのは、「たまにはお昼を一緒に食べたい」という一言でした。
※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。
医療者に聞く質問例
- 家族として、今の時期にいちばん気をつけておくことは何ですか。
- 家族が代わりに聞いてよいことと、本人が決めることは、どう分ければいいですか。
- 治療の予定は、どのくらい先まで見えていますか。仕事の調整のために知っておきたいです。
- 緩和ケアのチームや、医療ソーシャルワーカーにつないでいただけますか。
- 家族の私が眠れなくなったときは、どこに相談すればいいですか。
とはいえ、家族に伝えたい2つのこと
① 気持ちのこと──役に立てている実感がない日も、そばにいた時間は残る
ご家族の方へ。「今日も何もできなかった」と感じる日は、振り返ると、いちばん長くそばにいた日だったりします。何かを「した」ことだけが支えではありません。自分を責める声が止まらない夜は、その声を本人に向けるのではなく、家族以外の誰かに聞いてもらってください。
ご本人の方へ。家族が空回りしているように見えるときは、「今はただ一緒にいてくれればいい」と一言伝えてみてください。家族はその一言で、背負っていた荷物を一つ下ろせます。
② 実務のこと──判断は医療者と本人へ、手続きは窓口へ、本音は外へ
治療の判断は、医療者と本人へ。制度や手続きの迷いは、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターへ。家族自身の本音は、電話の相談窓口や、話を聞いてくれる人へ。この3つの出口を先に決めておくと、家族が一人で抱える荷物が減ります。体調の急な変化は主治医や病棟、訪問看護へ連絡し、命に関わると感じたときは迷わず119番に電話してください。
今日できること
今夜から明日にかけて、家族ができる3つのこと
本人に一つだけ聞く
「今、してほしいことはある?」と聞いてみます。答えが「別にない」でも、聞いたこと自体が支えになります。
今週の3つを書き出す
やりたいことを全部書いてから、3つの問いで3つに絞ります。残りは「来週以降」と書いた欄に移します。
自分の休みを先に入れる
カレンダーに、自分が休む時間を30分だけ書き込みます。予定が埋まる前に入れておくのがこつです。
よくある質問
本人が治療について話したがりません。無理に聞いたほうがいいですか?
無理に聞く必要はありません。「話したくなったら聞くよ」と伝えて待つことも支えです。ただ、療養の場所など家族の協力が必要な話については、「次の診察に一緒に行ってもいい?」と、医師の説明を一緒に聞く形から始めると、本人も話しやすくなることがあります。
何をしてあげれば、本人は喜びますか?
人によって違うので、本人に聞くのがいちばん確かです。「してほしいこと」と同じくらい、「してほしくないこと」を聞いておくと、空回りが減ります。見たかった番組を録画しておく、ペットや庭の写真を見せる、好きな作家の新刊を届けるといった、病気と関係のない小さな楽しみが喜ばれることもあります。
遠方に住んでいて、そばにいられません。家族として何ができますか?
離れていてもできることはあります。決まった曜日に電話やメッセージを送る、近くにいる家族の話を聞く役になる、制度や手続きを調べる、交通費や生活費の面で支える、近くの家族が休めるように交代で帰省する。遠方の家族だからこそ、近くにいる家族の「自分を守る」を支えられます。詳しくは遠距離でもできる支え方にまとめています。
きょうだいと温度差があって、つらいです。どうすればいいですか?
温度差は、愛情の差ではなく、本人との距離や持っている情報の差から生まれることもあります。「通院の送迎を月に2回」「医療費の確認」など、頼みたいことを具体的に伝えると、動ける人が増えます。話し合いがこじれるときは、病院の医療ソーシャルワーカーなど、家族以外の人に間に入ってもらう方法もあります。
家族が本人の前で泣いてもいいですか?
泣いてかまいません。家族が涙を見せたことで、本人が「自分も弱音を言っていい」と感じることがあります。ずっと明るくふるまうことが、かえって本人を孤独にする場合もあります。泣いたあとに「それでも、そばにいるよ」と一言添えると、本人も安心しやすくなります。
仕事を休むべきか、続けるべきか迷っています。
すぐに決めなくてかまいません。まずは勤務先の介護休業や介護休暇の制度を確かめ、「必要になったら使える」状態にしておくと、選択肢が残ります。家族自身の生活と収入を守ることも、長く支えるための大事な役割です。迷うときは、がん相談支援センターで家族の立場から相談することもできます。
次に読むなら
今週の3つを、一緒に決めませんか
今の状況と、電話に出やすい時間帯をお書きください。送っていただくと受付確認のメールがすぐに届き、選んでいただいた時間帯に担当が電話をおかけします。頭の中の「やること」を一緒に書き出して、今週の3つと、後回しにしてよいことを分けていきます。
- 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
- すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
- ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。
お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(それ以外の時間はお問い合わせフォームで仮受け付け、翌日17時までに担当から折り返します)/文字で相談したいときはLINEで
私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。
