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がんの家族と後悔しないために|今できる5つのことと時期別の表

この記事の結論

後悔をゼロにする方法はありませんが、減らすことはできます。芯になるのは「伝える・聞く・そばにいる・決めておく・自分を保つ」の5つ。全部を完璧にこなす必要はなく、今週はひとつ選べば十分です。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団『遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関す… ほか16件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

がんの家族と過ごす残りの時間で後悔を減らしたいなら、やることを増やすより先に、「これだけは」という芯を決めておくほうが助けになります。この記事では、その芯を「伝える」「聞く」「そばにいる」「決めておく」「自分を保つ」の5つに整理しました。

医師の言う「月単位」「週単位」は、同じような状態の方の経過から出された目安で、時間の流れ方には一人ひとり大きな差があります。先が読めないからこそ、時期ごとに「今できること」を小さく区切っておくと、毎日の迷いが少し軽くなります。

完璧な準備は要りません。読み終えたとき、今週の一歩をひとつだけ選べることを目指して書いています。

余命を聞いた日から、こんな夜が続いていませんか

  • 何をしても「これで正解なのか」と考えてしまい、手が止まる。
  • 後悔したくない一心で焦るのに、何から始めればいいのか分からない。
  • カレンダーを見るたびに、残りの時間だけが減っていくようで怖い。

この記事で分かること

  • 後悔を減らすための「5つの芯」と、それぞれの最初の一歩
  • 遺族調査の数字から読み取れること、読み取れないこと
  • 月単位・週単位・日単位で、できることがどう変わるか
  • 最期に立ち会えなくても、看取りは失敗ではない理由

がんの家族との残された時間で後悔しないために、今できることは何ですか?

伝える・聞く・そばにいる・決めておく・自分を保つ、の5つが芯になります。特別な準備はいりません。今週はこのうち1つを選んで、小さく始めれば十分です。

後悔は、あとから振り返って「できたはずなのに、しなかった」と感じたところに残りやすいものです。だから目指すのは、すべてをやり遂げることではありません。「これはできた」と思える手応えを、いくつか手元に残しておくことです。

この5つは、研究で証明された「後悔しない方法」ではありません。国内の遺族調査や、国立がん研究センター・厚生労働省が家族に向けて示している資料を手がかりに、この記事で整理した考え方です。それぞれの根拠は、このあとの見出しで紹介します。

後悔を減らす5つの芯

  • 伝える「ありがとう」をひとこと、いつもの会話の中で
  • 聞くこれからをどう過ごしたいかを、少しずつ
  • そばにいる長さより、顔を見せて声を届ける回数を
  • 決めておく過ごす場所と、夜に様子が変わったときの連絡先
  • 自分を保つ眠る・食べる・話す相手を、家族自身にも
後悔を減らす5つの芯と、それぞれの最初の一歩

5つは、上から順にこなすチェックリストではありません。本人とよく話せる日が続いているなら「聞く」から。眠っている時間が長くなってきたなら「そばにいる」と「伝える」から。ご家族の方自身が限界に近いなら、最初の一歩は「自分を保つ」です。そのときの状態に合わせて、何度選び直してもかまいません。

たとえば、仕事帰りに病室へ寄り、テレビの音だけが流れている15分。意味のある話をしなければと焦るより、「今日は風が冷たかったよ」と話しかけて、本人の手を少し温める。それも5つのうちの「そばにいる」と「伝える」に入ります。

遺族調査からは、どんなことが分かっていますか?

緩和ケア病棟の遺族が中心のJ-HOPE4では、こころの準備が「できていた」は29%、「ある程度」を含めると85%でした。全体の代表値ではありませんが、準備が整いきらないままその日を迎える家族も少なくないと読み取れます。

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の遺族調査「J-HOPE4」(2018年実施、2020年報告。215施設の遺族に送付し、有効回答9,071名)では、患者さんが亡くなることへのこころの準備について、「できていた」が29%、「ある程度できていた」が56%でした。対象の大半は緩和ケア病棟で家族を見送った方なので、がんの遺族全体の代表値ではありません。それでも、この調査で準備が「できていた」と答えた人は少数だったことは読み取れます。準備が足りないと感じている今のあなたは、決して特別ではありません。

国立がん研究センターの遺族調査(2025年7月公表。2021年に亡くなった方のがん遺族1,226名)では、医師と最期の療養場所について話し合っていたのは53%でした。前回の36%からは増えていますが、裏を返せば、半数近くの家族は「話し合った」とは答えていません。5つの芯に「決めておく」を入れたのは、このためです。

同じセンターが2022年3月に公表した調査(2017・2018年にがんで亡くなった方の遺族、有効回答54,167名)では、介護の負担感が大きかったと答えた人が38.9%、死別から1〜2年の時点で強い悲嘆がみられた人が30.9%でした(悲嘆はスクリーニングによる推計で、診断ではありません)。看取りのあとも、家族の暮らしは続きます。「自分を保つ」を芯のひとつにしたのは、そのためです。

読み取れること

  • こころの準備が「できていた」人は少数で、「ある程度」が多い(緩和ケア病棟の遺族が中心の調査)
  • 療養場所を医師と話し合う家族は増えたが、まだ半数ほど
  • 介護の負担や死別後の悲嘆を抱える家族は少なくない

読み取れないこと

  • あなたの家族が、この先どのように過ごせるか
  • どの家族が後悔した・しなかったという個別の答え
  • 「これさえすれば後悔しない」という保証
遺族調査の数字から、読み取れること・読み取れないこと

「伝える」と「聞く」は、どちらから始めればいいですか?

本人が会話を楽しめる時期なら「聞く」からが始めやすく、長い会話がつらそうになってきたら「伝える」を短く重ねます。どちらも、改まった場を用意する必要はありません。

「聞く」は、本人がこれからをどう過ごしたいかに耳を傾けることです。厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みを「人生会議」と名づけています(11月30日は「人生会議の日」)。一度で結論を出すものではなく、繰り返し話し合うことが前提になっています。書面を作ることが必須なわけでもありません。

とはいえ、病室でいきなり「最期はどこで過ごしたい?」と聞ける家族は多くないでしょう。入り口は、もっと手前で大丈夫です。

  • 「一日のうちで、いちばん楽なのはいつごろ?」
  • 「この冬、食べてみたいものはある?」
  • 「若いころ、いちばん楽しかったのはどんなとき?」

答えの端々に、その人が大事にしてきたものが見えてきます。「家で猫と過ごしたい」「孫の運動会の話を聞きたい」。そうした言葉が、のちに療養場所や会う人を決めるときの手がかりになります。本人が話したがらないときは、無理に聞き出さないことも尊重のひとつです。

「伝える」は、感謝や愛情を言葉にすることです。面会の帰りぎわに「今日、顔が見られてよかった」と言う。それだけで十分に「伝える」です。言葉選びに迷うときは、最期に伝える言葉の選び方も役に立ちます。

「そばにいる」は、毎日付き添わないといけないのですか?

毎日でなくてかまいません。そばにいることの中身は、付き添った時間の長さより、顔を見せる・声を届ける・手に触れるといった回数と質です。遠くに住む家族にもできる形があります。

仕事や子育て、遠方での暮らしがあれば、毎日の付き添いは現実的ではありません。毎晩9時に5分だけ電話をする。散歩の途中で撮った空の写真を1枚送る。面会は短くても、週に何度か顔を出す。こうした「小さな、決まった接点」は、本人にとって一日の目印になることがあります。来られない日を謝るより、「今週は水曜と土曜に行くね」と予定を伝えておくほうが、お互いに気が楽です。

これから体にどんな変化が起きうるかを前もって知っておくことも、落ち着いてそばにいる助けになります。看取りの時期の家族向け冊子(緩和ケア普及のための地域プロジェクト〈OPTIM〉の『これからの過ごし方について』)を使った説明について遺族に尋ねた研究(Palliative Care Research、2012年。冊子による説明を受けた10施設の遺族325名への郵送調査で、回答は260名)によると、「とても役に立った」「役に立った」は合わせて81%、「変化の目安になる」は84%でした。研究者は、冊子を渡すだけでなく、十分に話し合いながら使うことを前提にしています。協力した施設での結果なので一般化はできませんが、主治医や看護師に「家族向けの説明の資料はありますか」と聞いてみる価値はあります。

ご家族の方が「何もできずに座っているだけ」と感じている時間も、本人から見れば、安心してうとうとできる時間なのかもしれません。

「決めておく」とは、具体的に何を決めることですか?

最期の時期を過ごしたい場所、本人が話せなくなったときに意向を伝える家族、夜に様子が変わったときの連絡先の3つです。本人と医療者と共有しておくと、その日の迷いが減ります。

過ごす場所には、病院(緩和ケア病棟を含む)や、自宅で受ける在宅緩和ケアなどがあります。緩和ケアは終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから受けられるものです(国立がん研究センター がん情報サービス)。今の希望が「家に帰りたい」でも「病院のほうが安心」でも、どちらも本人の大事な意思です。気持ちが揺れていることも含めて、主治医や看護師に伝えておきます。

国の指針(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン、平成30年3月改訂)は、本人による意思決定を基本としています。本人が話せるうちに「もしものとき、誰と相談して決めてほしい?」と聞いておくと、家族が迷ったときの拠りどころになります。

  • 最期の時期を過ごしたい場所(今の希望と、迷っていること)
  • 本人が話せなくなったとき、意向を医療者に伝える家族
  • 夜間に様子が変わったときの連絡先(病棟・訪問看護・在宅医)
  • 遠方の家族に知らせる順番と、連絡役の人
  • 葬儀について本人に希望があるかどうか(決めるのは急がなくてよい)
今のうちに決めておくと、その日の迷いが減ること

夜の連絡先は、家族のグループトークの一番上に固定しておくと、慌てた夜でも探さずに済みます。がんと家族の相談室でも、「もしもの夜に電話する先」をひとつ決めておくための登録を、無料・3分で受け付けています。登録しても、何かを決める必要はありません。

家族が「自分を保つ」のは、わがままではありませんか?

わがままではありません。国立がん研究センターのがん情報サービスは、家族は「第二の患者」ともいわれると説明しています。家族が倒れずにいることは、本人のそばに居続けるための土台です。

がん情報サービスによると、家族は「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを我慢しがちで、そのうえ自分の日常生活も回していかなければなりません。眠れない、食べられない、誰とも話していない。そんな日が続いているなら、それは弱さではなく、休む合図です。

亡くなる前から深い悲しみが始まることもあります。こうした悲しみは「予期悲嘆」と呼ばれ、喪失が現実となる以前に起こる悲嘆と説明されています(日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)。面会のあと、駅のホームで涙が止まらなくなる。それは、おかしなことではありません。

自分を保つための一歩は、具体的なほど続きます。面会しない日を週に1日つくる。夜の付き添いを、きょうだいと曜日で分ける。病院のがん相談支援センターに、自分のつらさを相談する。この窓口は患者さん本人のためだけのものではなく、家族だけで訪ねても、その病院に通っていなくても、無料・匿名で話を聞いてもらえます。

時期によって、できることはどう変わりますか?

月単位と言われたころは「聞く」と「決めておく」、週単位では「伝える」と「そばにいる」、日単位では「そばにいる」が中心になります。時期の言い方は目安で、経過には大きな個人差があります。

医師が使う「月単位」「週単位」「日単位」は、同じような状態の方の経過をもとにした目安で、ご本人の時間を言い当てるものではありません。生存率などの統計も、何年も前に診断された大勢の人の集団の数字で、一人ひとりの余命を示すものではないとされています(国立がん研究センター がん情報サービス)。下の表は、それぞれのころに起きやすい変化に合わせた「できることの例」です。医師からそうした言い方をされていない場合は、本人の体調に合わせて読み替えてください。

芯月単位と言われたころ週単位と言われたころ日単位と言われたころ
伝える思い出話のついでに感謝をひとこと面会のたびに短い言葉を重ねる耳元で名前を呼び、ゆっくり話しかける
聞く過ごしたい場所や会いたい人を聞く「今、何をしてほしい?」と聞く表情や手の力から、心地よさを汲み取る
そばにいる一緒に出かける、好きなものを食べる面会の回数を少し増やす交代で付き添い、手や足にそっと触れる
決めておく療養場所と、意向を伝える家族を話し合う夜の連絡先と、遠方の家族を呼ぶ目安を確かめる誰が泊まるか、交代の順番を決める
自分を保つ面会しない日を週に1日つくる眠れる人から交代で休む食べられるときに食べ、水分をとる
時期別に、5つの芯でできることの例(時期は目安で、個人差が大きい)

表のとおりに進まなくても、気にしなくて大丈夫です。週単位と言われたあとに落ち着いた日が続くこともあれば、思ったより早く変化が進むこともあります。最後のひと月ほどに起きやすい変化は、最後の1か月の変化と家族の備えで詳しく紹介しています。どれから手をつけるか迷ったら、次の分かれ道を使ってください。

  1. Q1本人は今、会話を楽しめる日が多いですか

    はい「聞く」から。答えやすい質問をひとつ用意する

    いいえ「伝える」と「そばにいる」から。短く、何度でも

  2. Q2夜に様子が変わったときの連絡先を、家族全員が知っていますか

    はい次は、過ごしたい場所の希望を少しずつ聞く

    いいえまず連絡先を共有する。今週はそれで十分

  3. Q3ここ数日、ご自身は眠れない夜が続いていますか

    はい「自分を保つ」が先。交代を頼める人を1人決める

    いいえ余力のある今のうちに、「伝える」をひとこと

今週の「ひとつ」を選ぶための分かれ道

最期に立ち会えなかったら、後悔が残りますか?

立ち会えるかどうかは、家族の努力だけでは決められません。間に合わなかったとしても、それまでに重ねた時間と言葉は消えません。看取りの失敗ではありません。

息を引き取る瞬間は、家族が飲み物を買いに席を外したとき、仮眠をとっていたとき、病院へ向かう電車の中にいるときに訪れることもあります。長く付き添ってきた人が、「あの5分さえ」と自分を責めてしまうこともあります。けれど、最期の一瞬に居合わせたかどうかで、それまでの何週間、何か月の付き添いの価値が決まるわけではありません。

間に合わない可能性に備えて、今のうちにできることもあります。病棟や訪問看護の担当者に「夜中でも、変化があれば連絡がほしい」と伝え、連絡を受ける人を1人決めておく。向かう途中で電話がつながったとき、本人の耳元へ声を届けてもらえるかどうかを、前もって聞いておくのもひとつです。

呼びかけへの反応がなくなっても、耳には声が届いている可能性があるといわれています。2020年にカナダのブリティッシュコロンビア大学の研究チームが発表した研究では、ホスピスの患者さんの脳波を測り、反応がない状態でも一部の人の脳が音に反応していたと報告されています(反応がない状態で記録できたのは5人で、言葉の意味まで理解しているかは分からないとされています)。駆けつけたときにはもう息を引き取っていたとしても、手を握り、名前を呼び、「ありがとう」と伝えてください。その時間も、お別れの一部です。

「全部やらなきゃ」と焦っていたご家族は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・妻の立場(夫が自宅で療養中。訪問診療の医師から「月単位」と説明を受けた)
相談のあとに変わったこと
20を超えていた「やることリスト」を今月の3つに絞り、日曜の午後を夫の話を聞く時間に決めた。夜中に検索する日は、週に5日ほどから1〜2日に減った。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、最初に変わったのはノートでした。「後悔しないために」と書き出した項目は、旅行、写真の整理、親戚への連絡、口座の確認など20を超えていました。電話で一緒に読み上げながら、今月やることを「聞く」「決めておく」「自分を保つ」に当たる3つに絞りました。日曜の午後を「夫の話を聞く時間」と決め、1回目は、夫が若いころに働いていた港町の話を1時間ほど聞いたそうです。「リストを見て焦るんじゃなくて、カレンダーの日曜を見て待てるようになった」と話しています。

2. 相談を考えた背景

夫が退院して自宅に戻ったのは、秋の初めでした。訪問診療の医師から「月単位で考えておいてください」と言われた日から、夜中に「がん 後悔しないために」と検索する日が続きました。仕事は時短に切り替えたものの、家事と付き添いで一日が終わり、何かをやり遂げた感覚がないまま眠る毎日だったといいます。

3. 相談する前に困っていたこと

検索で見つけた「やっておくべきこと」の一覧は、読むほど項目が増えていきました。どれも正しそうに見えるのに、夫の今の体力でできるのはどれなのか、自分では選べません。離れて暮らす子どもたちに相談すると「お母さんの好きにしていいよ」と言われ、かえって決められなくなったそうです。

4. ここを選んだ理由・決め手

地域のがん相談支援センターのことは知っていましたが、平日の昼は付き添いで電話をかける余裕がありませんでした。夜中でも送れて、名前はニックネームでよく、ご希望の時間帯に電話をもらえるフォームを選んだのはそのためです。送ってすぐに受付確認のメールが届き、「ちゃんと届いた」と分かって、その夜は少し早く眠れたといいます。

5. 相談で話したこと・その後

電話の最初の20分ほど、担当はほとんど口をはさまずに話を聞きました。そのあと、リストを「今月でないとできないこと」と「あとでもできること」に一緒に分けていきました。夫の病状がこの先どうなるかを尋ねたときは、担当は見通しを伝えず、次の訪問診療で聞く質問を3つにまとめて送りました。旅行は見送ることにしましたが、日曜の話は今も続いています。「全部はできない。でも、これはできてる」。そう言えるようになったことが、いちばんの変化だったそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医師・看護師に聞く質問例

  • 本人と大事な話をしておくなら、体調の面で、話しやすいのはいつごろまでと考えられますか。
  • これから起きうる体の変化について、家族向けに説明していただける資料はありますか。
  • 最期の時期を過ごす場所について、家族も一緒に話し合う時間をとっていただけますか。
  • 夜間に様子が変わったとき、家族はどこへ、どんな変化のときに連絡すればよいですか。
  • 付き添う家族が疲れてきたとき、病院の中で相談できる人はいますか。

とはいえ、完璧を目指さなくていいと伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──少し残る後悔は、大事にしてきた証です

心を尽くして準備をしても、あとで「あのとき、もう少し」と思う瞬間は来るかもしれません。それは準備が足りなかった証拠ではなく、それだけ相手を大事に思っていた証です。後悔をゼロにすることを目標にすると、毎日が試験のようになってしまいます。目標は、「これはできた」をいくつか持っておくこと。それで十分です。看取りのあと、眠れない日や自分を責める気持ちが長く続くときは、ひとりで抱えなくてかまいません。がんで大切な人を亡くした家族のための外来(国立がん研究センター中央病院の遺族ケア外来など)や、かかりつけ医、がん相談支援センターに相談できます。

② 実務のこと──芯は家族で分けて持ち、相談先は中身で使い分ける

5つの芯は、ひとりで全部を担うものではありません。日中に付き添える人、離れて暮らしながら連絡役を担う人、手続きや制度を調べる人と、家族の中で持ち場を分けておくと、誰かひとりが倒れずに済みます。相談先も、中身で使い分けられます。体の変化や薬のことは主治医・病棟・訪問看護へ。療養場所や制度のことは、がん相談支援センターや、国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410、平日10時〜15時。相談は無料で、通話料がかかります)へ。気持ちの整理や「今夜どう動くか」を一緒に考えたいときは相談室へ。相談室に電話(080-4178-5017)をいただいた場合、平日9:00〜18:00は担当が直接お受けし、それ以外の時間は自動音声で受け付けたうえで、翌朝9時までに担当から折り返します。2026年9月の実績(運営者集計)を見ると、相談室への電話相談・問い合わせ1,200件のうち、ご家族からの相談が800件を占めています。「何から手をつければ」と迷う夜を過ごしているのは、あなただけではありません。

今日できること

5つの芯から、今夜から明日にかけてできる小さな一歩

  1. 芯をひとつ選ぶ

    5つのうち、今の本人の状態と自分の余力に合うものを1つだけ選び、スマホのメモの一番上に書いておく。

  2. 答えやすい質問をひとつ用意する

    「今週、何か食べたいものある?」のように、すぐ答えられる質問を決め、次に会ったときに聞いてみる。

  3. 夜の連絡先を家族で共有する

    病棟・訪問看護・在宅医など、夜に様子が変わったときの連絡先を家族のグループに送り、見つけやすい場所に固定する。

よくある質問

後悔しないために、仕事を辞めてそばにいたほうがいいですか?

辞めるかどうかは、急いで決めなくて大丈夫です。仕事を続けながら付き添うために、時間単位でも使える介護休暇や、分けて取れる介護休業といった制度があります。2025年4月からは、介護に直面した社員へ会社が制度を個別に知らせ、意向を確かめることも義務になりました。日数などの条件は離れて暮らす家族の段取りでまとめています。まずは就業規則と会社の窓口で使える制度を確かめ、両立の形を探してからでも遅くはありません。

本人が「何もしなくていい」と言います。それでも何かしたほうがいいですか?

その言葉どおり、特別なことをせずに一緒に過ごす時間も、立派な「そばにいる」です。「何もしなくていい」には、気をつかわせたくない、いつも通りでいてほしいという気持ちが込められていることもあります。予定を詰め込むより、いつもの夕食やいつものテレビ番組を一緒に過ごし、帰りぎわにひとことだけ「ありがとう」を添える。それで十分に5つの芯に触れています。

「月単位」と言われましたが、準備が間に合うか不安です。

「月単位」は、同じような状態の方の経過から出された目安で、ご本人がどう過ごすかを予測した数字ではありません。変化が早く進むこともあれば、落ち着いた時期が続くこともあります。だからこそ、準備を「全部」から「今週のひとつ」に変えておくと、どの時点で変化が来ても、そこまでに積み重ねたものが残ります。見通しは、主治医に「数字ではなく、これから起きやすい変化を教えてください」と聞くと、具体的な備えにつながりやすくなります。

きょうだいで「やるべきこと」の考えが違うときは、どうすればいいですか?

意見が分かれるのは、それぞれが本気で考えている証拠です。まずは「本人がどうしたいか」を共通の物差しにして、それぞれの案を本人の言葉に照らしてみます。本人の気持ちが分からないことは、本人に聞けるうちに聞く。それでもまとまらないときは、主治医や看護師に、家族がそろって説明を受けられる場をお願いすると、同じ情報をもとに話し合えます。話し合いの進め方は、がん相談支援センターや、病院に医療ソーシャルワーカーがいればその人にも相談できます。今すぐ決めなくてよいことは、保留にしてかまいません。

看取りのあと、後悔で眠れなくなったら、どこに相談できますか?

亡くなったあとに後悔や悲しみが続くのは、自然な反応のひとつです。それでも、眠れない日や食べられない日が続くときは、ひとりで抱え込まないでください。国立がん研究センター中央病院には、がんで大切な人を亡くした家族のための遺族ケア外来があります。身近なところでは、かかりつけ医やがん相談支援センターにも相談できます。つらさが強いときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)から、電話をかけた場所の地域の公的な相談窓口につながります(受付時間は地域によって異なり、通話料がかかります)。

夜中に不安で眠れないとき、今すぐ話せる場所はありますか?

よりそいホットライン(0120-279-338)は、24時間・無料で受け付けている電話相談です(がん専門の窓口ではありません)。相談室のLINEは無料で、匿名のまま送れます。夜に届いたものは、翌朝いちばんに読んで返事します。言葉にならなければ、スタンプひとつでもかまいません。ご本人の体調が急に変わったと感じたときの連絡先は、主治医、入院中なら病棟、在宅なら訪問看護です。命に関わると感じたら、迷わず119番に電話してください。

今週の「ひとつ」を、一緒に決めませんか

フォームには、ご家族の今の様子をひとことと、折り返し用のお電話番号だけ書いてください。送ってすぐ受付確認のメールが届き、指定いただいた時間帯に担当が電話をかけます。5つの芯のうち今週どれから始めるかを、手元のリストを見ながら一緒に絞り込みます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

    1ご相談の内容
    ご相談の種類任意

    今まさに設備が止まっている・水が漏れているときは、いちばん上を選んでください。すぐにできることを表示します。

    水が漏れている場合は、先に止水栓か元栓を閉めてください。電気設備に水がかかっている場合は、ブレーカーを落としてください。写真はLINEから送っていただくのが最短です(24時間受付)。

    対象の設備・箇所任意・複数可

    写真任意・3枚まで

    全体が分かる引きの写真、症状が分かる寄りの写真、銘板(メーカー・型式のシール)の3枚があると、機種と範囲がその場で分かります。入居者の方が写らないようにお撮りください。1枚2MBまで(JPG・PNG・GIF・WebP・PDF)。スマートフォンの写真はそのまま選べます。大きい写真は送信前に自動で縮小します。

    2施設について

    3ご連絡先

    ご希望の連絡方法任意

    連絡のつきやすい時間帯任意・複数可

    4詳しく書ける方へ任意いつから・何回目か・何か所か・何名の施設か。分かるとお見積りまでの日数が短くなります

    同じ症状は

    補助金の利用

    他社のお見積り

    他社の金額をお伺いすることはありません。相見積の場合は、各社に同じ条件をお伝えします。

    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    全部をしようとせず、今週の3つに絞る

    ご家族の役割は「そばにいる」「情報を一緒に整理する」「生活を支える」「自分を守る」の4つに分けると、見通しがよくなります。全部を完璧にする必要はありません。今週できることを3つだけ選んでみてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「家族として、今いちばん手伝えることは何でしょうか。」

    1. きょうだいや親族で役割を分けて、ひとりに負担を集めない
    2. 診察には、聞きたいことを3つ書いたメモを持っていく
    3. 仕事やお金の手続きは、がん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 家族の役割分担のメモ
    • 次の診察の日時と、付き添える人

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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