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がんの最後の1ヶ月に起きること|数週間前からの変化と家族の備え

このテーマの総論:末期がんはあとどれくらい?「末期」という言葉の意味と経過の幅

この記事では、最期が近いときの体の変化についてお伝えしています。いまは読みたくないときは、無理をせず、読める日まで閉じておいても大丈夫です。

この記事の結論

最後の1か月には、眠る時間が長くなり、食事が減り、体力が落ち、関心が身近なことへ絞られていく変化が多くの方に見られます。「1か月」は前後する目安なので、日付ではなく変化に合わせて、話す・会う・連絡・付き添い・夜の電話先の備えを進めます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:Hui D, et al. Clinical signs of impendin… ほか12件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

「1か月くらいかもしれない」と言われたあとの日々には、多くの方で、眠っている時間が長くなり、食べる量が減り、体力が落ち、関心が家族や身近なことへ向いていく、といった変化が少しずつ重なっていきます。ただ、「1か月」は前後に幅のある目安で、変化の速さも人によって違います。

この記事では、この時期に見られやすい変化と、ご家族が今のうちに整えておきたい四つの備え(話せるうちに話す・会わせたい人への連絡・付き添いの分担・もしもの夜の電話先)をまとめました。怖がるだけで終わらせない1か月の過ごし方の輪郭を、一緒に描いていきます。

「1か月くらい」と言われた日に、このページを開いた方へ

  • 「1か月くらいかもしれない」と言われた。父はまだ話せるのに、1か月後にどうなっているのか想像できない。
  • 何を準備すればいいのか、今のうちに何を聞いておけばいいのか分からない。
  • この1か月を、怖がって過ごすだけで終わらせたくない。

がんの最後の1か月には、どんなことが起こるのですか?家族は何を備えればいいですか?

多くの方で、眠る時間が長くなり、食事が減り、体力が落ちて、関心が身近なことに絞られていきます。家族の備えは、話せるうちに話すこと、会わせたい人への連絡、付き添いの分担、もしもの夜の電話先の四つです。「1か月」は前後する目安として受け止めます。

この時期の変化は、ある日突然そろって現れるのではなく、週をまたぐごとに少しずつ重なっていきます。先週は車いすで売店まで行けたのに、今週はベッドの上で過ごす時間がほとんど、というように、振り返ると変化に気づくことが多いものです。だからこそ、備えは「何日目に何をするか」ではなく、「話せるうち」「動けるうち」にしかできないことから順に進めます。

四つの備えには、急ぐ順番があります。いちばん先に決めておきたいのは、夜中に何かあったときの電話先です。決めるのに時間はかからないのに、決まっていないと、いちばん慌てる夜に困ることになります。次に、会わせたい人への連絡と付き添いの分担。話せるうちに話すことは、毎日の面会の中で少しずつ重ねていきます。

  1. 1もしもの夜の電話先体調の変化を相談する先と、亡くなったあとに連絡する先を決める
  2. 2会わせたい人への連絡本人に誰に会いたいかを聞き、話せるうちに来てもらう
  3. 3付き添いの分担聞く人・知らせる人・そばにいる人・休む人を分けて交代表にする
  4. 4話せるうちに話すこと調子のよい時間に、一回の面会で一つずつ
  5. 5書類や片づけこの時期は後回しでよい
この1か月の備えを、急ぐ順に重ねる

「1か月くらい」という見立ては、どのくらい確かなのですか?

前後に幅のある目安です。医療者は、変化が週ごとに進んでいる様子などから見立てを伝えますが、実際にはそれより長くなることも短くなることもあります。日付として受け止めず、変化に合わせて見立てを聞き直していきます。

医療者は、一つのしるしだけで残りの時間を判断しているわけではありません。米国とブラジルの緩和ケア病棟で進行がんの患者さん357人を調べた研究(Hui ほか、2014年)では、意識がぼんやりする、水分を飲み込みにくくなるといった変化は比較的早い時期から現れる一方で、残りの時間を見分ける決め手としては弱いと報告されています。いくつもの変化を重ねて、その速さを見て、ようやく「週の単位」「日の単位」という見立てになります。

「1か月」と聞いた日から、カレンダーの日付を目で追ってしまうかもしれません。けれど、その日付どおりに何かが起きるわけではありません。代わりに、看護師さんに「週の単位から日の単位に変わってきたら、教えてもらえますか」と頼んでおくと、次に動くべきときを医療者と一緒に見極められます。

数週間前から、体と一日の過ごし方はどう変わりますか?

一日のうち眠っている時間が長くなり、起きていられる時間は短くなります。食事は少しずつ、飲み物が中心になり、身の回りのことに手助けが増えます。関心も、先の予定やニュースより、家族や身近なことに向いていくことが多いとされます。

面会に行っても眠っていることが増え、「せっかく来たのに」と感じる日もあるでしょう。けれど、体の力が落ちてくると眠る時間が長くなるのは、この時期によく見られる変化の一つとされています。起こして会話をするより、目を覚ましたときにそばにいることを大事にしてください。食事は、量より本人が口にしたいものを、少しずつ。冷たいものや口当たりのよいものを好むようになる方もいます。詳しくは眠ってばかりいるときの過ごし方も参考になります。

夕方から夜にかけて、つじつまの合わないことを言ったり、落ち着かずに点滴を気にしたりすることがあります。これは「せん妄」と呼ばれる一時的な意識の混乱で、病状が進んだ時期に起こりやすくなるとされています。認知症とは違い、原因によっては和らげられることもあるので、気づいたら看護師に伝えてください。否定も説得もせず、「ここにいるよ」と穏やかに声をかけるだけで十分です。

観点見られやすいこと家族ができること
眠り昼も夜もうとうとし、起きている時間が短くなる起こさず、目を覚ましたときにそばにいる
食事量が減り、飲み物や口当たりのよいものが中心になる量より、本人が欲しいものを少しずつ
体力寝返りやトイレに手助けが要るようになる介助の方法を看護師に教わり、無理をしない
関心先の予定より、家族や身近なことに向く短い会話や、手を握る時間を大切にする
数週間前から見られやすい変化と、家族ができること(目安で、現れ方は人によって違う)

痛みや苦しさは、この1か月でどう和らげてもらえますか?

痛みや息苦しさ、だるさには、薬の種類や量の調整、姿勢や環境の工夫など、和らげる方法がいくつもあります。本人に我慢させず、家族が気づいた様子を早めに医療者へ伝えることが、この時期にできる大きな手助けです。

国立がん研究センターの遺族調査(2025年公表。2021年にがんで亡くなった方の遺族1,226名が回答)では、からだの苦痛が少なかったと振り返った人は37%で、前回の42%から下がっていました。苦痛を和らげることには、今もまだ取り組む余地があるということです。本人が「痛い」と口にしなくても、顔をしかめる、同じ姿勢をいやがる、夜に眠れていない、といった様子に家族が気づくことがあります。それをそのまま看護師に伝えてください。

医療用麻薬の量が増えていくことに不安を感じる方もいますが、日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』は、オピオイドの使用が命を縮めるという根拠はないとしています。ほかの方法では和らげられない強い苦痛があるときには、眠った状態にして苦痛を和らげる「鎮静」が、本人や家族と話し合われることもあります。

話せるうちに、何をどう話しておけばいいですか?

大きな話を一度にしようとせず、調子のよい時間に、一回の面会で一つずつ。聞いておきたいのは、会いたい人や過ごしたい場所、苦しくなったときの希望など、本人にしか答えられないこと。伝えたいことは、返事を求めずに言葉にするだけでも届きます。

この時期の会話は、長く続きません。お父さまが疲れやすくなっているなら、一日の中で比較的はっきりしている時間帯を看護師さんに聞き、その時間に面会を合わせます。話題は一回に一つ。「今日は、会いたい人のことだけ聞こう」と決めておけば、聞きそびれた後悔も小さくなります。

聞きにくいことは、遠回しな入り方で構いません。「家と病院、どっちが落ち着く?」「苦しくなったら、どうしてほしい?」。答えが返ってこなければ、無理に引き出す必要はありません。一方で、伝えたいことは、返事をもらえなくても言葉にしてください。「ありがとう」「お父さんの子どもでよかった」。改まった場面を待たず、帰り際の「また明日ね」と一緒に言うくらいがちょうどよいこともあります。伝える言葉に迷ったら、最期に伝えたい言葉も手がかりになります。

  • 今、いちばん会いたい人は誰か
  • 家と病院、どこで過ごすのがいちばん落ち着くか
  • 苦しくなったとき、どうしてほしいか
  • 最期の時間に、そばにいてほしい人は誰か
  • 家族に伝えておきたいこと、頼んでおきたいこと
話せるうちに、本人に聞いておきたいこと(本人が望む範囲で)

会わせたい人には、いつ、どう連絡すればいいですか?

本人が話せるうちに会えるよう、早めに知らせます。誰に会いたいかは本人に聞き、面会は短めに。知らせる前に、看護師に面会の時間や体調の波を確かめておくと、来てくれる人と本人の両方の負担が少なくなります。

「親戚を呼んだら、父にもう終わりだと思わせてしまう」。その心配から連絡をためらうご家族もいます。そんなときは、「近くまで来たから顔を見に寄った」という形で来てもらう方法もあります。大事なのは、呼ぶ理由ではなく、本人が会いたい人に、会える状態のうちに会えることです。

来てくれる人には、前もって一言添えておきます。「疲れやすいので15分くらいで」「眠っていたら、手を握って帰ってくれれば十分です」。泣いてしまっても構わないことも伝えておくと、相手も肩の力を抜いて会いに来られます。

  1. 1本人に聞く「誰か会いたい人いる?」と、調子のよい時間に尋ねる
  2. 2看護師に確かめる面会の時間や人数の決まり、体調の波を聞く
  3. 3短く知らせる来られる日と、短めの面会になることを伝える
  4. 4来る人に一言添える眠っていたら手を握るだけでよいこと、泣いてもよいことを伝える
  5. 5あとで本人に話す「今日来てくれたね」と、会えたことを一緒に振り返る
会わせたい人に来てもらうまでの流れ

家族の連絡と付き添いは、どう分担すればいいですか?

「医療者から聞く人」「家族に知らせる人」「そばにいる人」「休む人」を分けて、交代表にします。一人が全部を抱えると、最後の数日を迎える前に倒れてしまいかねません。休む番も、れっきとした役割です。

家族への知らせは、同じ文面をグループに一度で送る形にすると、聞いた・聞いていないの行き違いが減ります。たとえば様子の報告なら「今日の父:眠っている時間が長め。話しかけるとうなずく。面会は夜7時まで」。来てほしいときは「看護師さんから、会わせたい人には早めにと言われました。来られる日を教えてください」。急ぐときは「父の様子が変わりました。来られる人は連絡をください。無理はしないで」。三つの型を先に作っておくと、慌てた夜でも短く正確に伝えられます。

役割すること気をつけること
聞く人医療者の説明を受け、要点をメモするできるだけ同じ人が担当する
知らせる人決めた文面で家族に様子を送る一度に全員へ、同じ内容で
そばにいる人声をかけ、手を握り、変化を看護師に伝える交代の時間を決めておく
休む人家で眠り、食べ、自分の用事を済ませる休む番の日は電話に出られれば十分
付き添いの役割分担の例

もしもの夜の電話先は、なぜ今のうちに決めておくのですか?

夜中に様子が変わったとき、迷わず電話できる先があるだけで、その夜の判断はぐっと少なくなります。決めておくのは、体調の変化を相談する先と、亡くなったあとにお体を運ぶ先への連絡の二つ。葬儀の中身まで決める必要はありません。

体調の変化を相談する先は、入院中なら病棟、自宅なら在宅医や訪問看護の夜間の連絡先です。亡くなったあとのことでは、法律で急ぐものは多くありません。火葬は亡くなってから24時間を経過した後でなければ行えず、死亡届は亡くなったことを知った日から7日以内に出します。その夜に決める必要があるのは、お体をどこへお運びするかだけです。病院で「葬儀社はお決まりですか」と聞かれても、「搬送だけお願いしたいです。葬儀はまだ決めていません」と答えて構いません。

夜の連絡先をひとつ決めておくだけなら、がんと家族の相談室の「もしもの夜の備え」も使えます。登録は無料で3分ほど、葬儀の中身などを決める必要はありません。相談室では、葬儀などの専門サービスを紹介したときに提携事業者から紹介手数料を受け取ることがあり、そのことを運営者情報に載せています。医療機関や士業から紹介料を受け取ることはなく、紹介をお断りいただいても費用は一切かかりません。

今のうちに決めておく

  • 夜に体調の変化を相談する電話先
  • 亡くなったあと、最初に電話する先
  • 家族に知らせる順番と文面

その夜やあとからでよい

  • 葬儀の形式や日程
  • 死亡届の手続き(知った日から7日以内)
  • 遺品や書類の整理
今のうちに決めておくことと、その夜やあとからでよいこと

心の準備は、どのくらいできていればいいのですか?

完全にできている必要はありません。緩和ケア病棟などの遺族への調査では、こころの準備が「できていた」と答えた人は29%で、「ある程度できていた」の56%と合わせて85%でした。揺れながらその日を迎えるのは、自然なことです。

数字の出典は、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が2020年にまとめた『遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究4(J-HOPE4)』です。調査は2018年、215施設(うち緩和ケア病棟187)で家族を見送った遺族17,147名を対象に行われ、有効回答は9,071名でした。対象の大半は緩和ケア病棟で家族を見送った方なので、がんの遺族全体を代表する数字ではありません。それでも、「準備ができた」と言い切れる人はむしろ少数で、多くの家族が「ある程度」のところで、その日を迎えていることがうかがえます。

この1か月、備えを進めながらも、ふとした瞬間に涙が出る。それは準備ができていないからではなく、大切な人を想う気持ちが動いているからです。がん情報サービスは、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを抑えがちで、「第二の患者」ともいわれると伝えています。ご自身の眠れなさや不安も、医療者や相談窓口に話してよいことです。

怖がるだけの1か月にしないために、家族が動き始めた例

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(80代の父が入院中で「1か月くらいかもしれない」と言われた。母は足が悪く、面会はほぼ娘が担っている)
相談のあとに変わったこと
会わせたい人のリストと家族への連絡の型ができ、父が会いたがっていた古い友人と弟に、話せるうちに会ってもらえた。付き添いは3人の交代表になり、娘自身が家で眠る夜もできた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、彼女は父に「会いたい人いる?」と聞き、名前の挙がった8人のリストを作った。看護師に面会の時間を確かめ、10日のうちに、父の古い友人と弟が「近くまで来たから」と顔を見せてくれた。友人が帰ったあと、父は「来てくれたなあ」と2回つぶやいた。付き添いは、彼女と夫、大学生の娘の3人で交代表にし、彼女が家で眠る夜は週に3日できた。「怖がるだけの1か月にしなくてよかった」と彼女は話す。

2. 相談を考えた背景

病棟の面談室で「1か月くらいかもしれません」と言われたとき、父は検査で席を外していた。病室に戻ると、父はいつものように新聞を広げていた。1か月後の父の姿と、目の前の父が、どうしても結びつかなかった。面談室を出るときに看護師から言われた「会わせたい方がいれば、早めのほうがいいと思います」という一言だけが、頭に残った。

3. 相談する前に困っていたこと

その晩から、彼女は「最後の1ヶ月」と検索しては、体の変化の一覧を読み続けた。面会中も父の呼吸ばかり気になり、話しかけることが減った。親戚に知らせたい気持ちはあったが、急に人が来れば父が「もう終わりなのか」と察してしまう気がして、誰にも連絡できずにいた。家に帰ってからも、スマホが鳴るたびに病院からではないかと身構えた。

4. ここを選んだ理由・決め手

高額療養費のことは病院のがん相談支援センターで教わり、助かっていた。ただ、「親戚をいつ、どう呼ぶか」は、病院の窓口で聞くことではない気がした。夜9時すぎに相談室へ電話をかけると自動音声で、用件を残すと、翌朝8時40分に担当から折り返しがあった。名前を名乗ってくれたことで、話しやすくなった。

5. 相談で話したこと・その後

担当は、彼女の話をひととおり聞いたあと、残りの時間については「それは主治医や看護師が見立てることなので」と言い、予測はしなかった。代わりに、看護師に父の調子のよい時間帯を聞いてみること、呼ぶ理由を説明しなくてもよい誘い方があることを一緒に整理した。家族への連絡の文面も、様子の報告・来てほしいとき・急ぐときの三つの型に、電話の中で一緒に整えた。リストの8人のうち最初に連絡したのは、父の弟と、40年来の友人の2人だった。電話を切ったあと、彼女はまず母に、交代表の相談をした。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 父の今の状態は、週の単位と日の単位で言うと、どちらに近いでしょうか。
  • 日の単位に近づいてきたら、家族に教えていただけますか。
  • 父の調子がよい時間帯はありますか。面会はいつごろが合っていますか。
  • 会わせたい人がいます。面会の人数や時間に決まりはありますか。
  • 夜間に様子が変わったとき、家族に連絡をいただけるのはどんなときですか。

とはいえ、この1か月を過ごすあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──揺れながら過ごす1か月も、無駄ではありません

備えを進めても、怖さが消えるわけではありません。眠るお父さまの呼吸を数えてしまう夜も、何もできずに病室の椅子に座っているだけの日もあるでしょう。けれど、そばにいる時間そのものが、この時期にいちばん大切な備えです。うまく話せなかった日も、会わせたかった人に会わせられなかったことも、あとから振り返れば、その日の精いっぱいだったと分かることがあります。

② 実務のこと──仕事と家のことは「この時期だけの形」に組み替える

1か月という時間は、ふだんの仕事と家のことを、そのまま続けるには長く、すべてを止めるには先が読めない長さです。職場には、期間を約束せずに「父の病状が進み、急に休む日が出るかもしれない」と状況だけを先に伝えておきます。2025年4月から、介護に直面した社員に対して、会社が介護休業などの制度を個別に知らせ、意向を確かめることが義務になりました。介護休暇は1年に5日(対象の家族が2人以上なら10日)まで時間単位で取れて、介護休業は対象の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。家事や子どもの送り迎え、親の通院の付き添いなど、ふだん自分が担っていることも書き出し、この時期だけ誰に頼むかを決めておくと、急な呼び出しにも動けます。

今日できること

この1か月の備えを、今夜から一つずつ

  1. 夜の電話先を確かめる

    病棟(自宅なら在宅医や訪問看護)の夜間の連絡先を確かめ、家族のグループに一度だけ貼っておきます。

  2. 連絡の型を三つ作る

    「様子の報告」「来てほしい」「急ぎ」の三つの文面をスマホのメモに作り、送る前に家族で見せ合います。

  3. 明日の面会で一つだけ聞く

    「会いたい人いる?」など、本人にしか答えられない問いを一つだけ選び、調子のよい時間に尋ねます。

よくある質問

1か月より早く変化が進むこともありますか?

あります。感染症や出血などをきっかけに、状態が急に変わることもあります。見立てより早かったとしても、それは家族の見落としではありません。だからこそ、夜の電話先と家族への連絡の型を、この時期の早いうちに用意しておくと安心です。急な変化に気づいたら、入院中ならナースコール、自宅なら在宅医や訪問看護に連絡し、つながらず命に関わると感じたら119番に電話してください。

本人が「家に帰りたい」と言い出しました。今からでも間に合いますか?

状態や家族の体制によりますが、帰ることを考えられる場合もあります。まず主治医と病棟の看護師、医療ソーシャルワーカーに「家に帰りたいと言っています」と伝え、在宅医や訪問看護をどう手配するか相談してください。末期のがんの方の訪問看護は、主治医の指示のもとで医療保険から受けられます。帰れる期間が短くても、本人の望みに近い時間をつくる方法を一緒に探してもらえます。

面会のたびに泣いてしまいます。本人の前で泣いてもいいですか?

泣いても構いません。涙は、本人を大切に思っている気持ちの表れで、本人に伝わってもいけないものではありません。どうしてもつらいときは、いったん廊下に出て深呼吸をしてから戻れば十分です。泣かないように気を張り続けるより、泣いたあとに手を握って「また来るね」と言えるほうが、本人にとっても家族にとっても自然な時間になります。

子どもを面会に連れて行ってもいいですか?

病院によって面会の決まりが違うので、まず看護師に確かめてください。連れて行く場合は、前もって「おじいちゃんは眠っている時間が長いよ」「話せなくても声は届くかもしれないよ」と、見る様子を短く伝えておくと、子どもも戸惑いにくくなります。行きたくないと言う子どもには、手紙や絵を届ける形でも十分なつながりになります。

昼間に相談できる公的な窓口はありますか?

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにあり、患者さんだけでなく家族も無料・匿名で相談できます。国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410、平日10時〜15時、通話料は自己負担)では、原則1日1回20分以内で電話相談ができ、2026年5月からは平日12時〜15時のチャット相談も始まりました。落ち込みが長く続くようなら、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)に電話すると、かけた場所の都道府県などが行う公的な相談窓口につながります(曜日や時間は地域で異なり、通話料がかかります)。

この1か月の段取りを、一枚に整理しませんか

お父さまの今の様子と、いま気がかりなことをひとことお書きください。受付確認のメールが届いたあと、ご希望の時間帯に担当からお電話します。連絡の順番、付き添いの分担、もしもの夜の電話先を一緒に整理し、看取り前後にやることチェックリストもお届けします。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    これからの流れは、大きな分かれ道だけ先に話しておく

    これから先のことを、一度にすべて決める必要はありません。どこで過ごしたいか、急な変化のときに誰へ連絡するか。大きな分かれ道だけでも話しておくと、そのときの迷いが小さくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「これから起こりうる変化と、そのとき家族が連絡する先を教えてください。」

    1. 過ごしたい場所(自宅・病院・緩和ケア病棟など)の希望を、ご本人と少しずつ話す
    2. 在宅療養や介護保険のことは、病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談する
    3. 決めたことはメモにして、家族のあいだで共有しておく

    手元にあると話しやすいもの

    • ご本人の希望(過ごしたい場所など)のメモ
    • 介護保険の被保険者証(お持ちの場合)

    公的な相談先

    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。
    地域包括支援センター・市区町村の介護保険の窓口
    介護保険の申請や、介護サービスの使い方を相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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