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余命はどうやって決まる?がんの予測の仕組みと外れる理由

このテーマの総論:あとどれくらい生きられるか知りたい|がんの余命5つの質問に回答

この記事には、余命や生存率などの数字の話が出てきます。数字は多くの方をまとめた統計で、一人ひとりの予測ではありません。読むのがつらいときは、途中で閉じても大丈夫です。

この記事の結論

余命の見立てに決まった計算式はなく、医師はがんの種類や広がり、治療への反応といった病気の情報と、動ける範囲や食事の量、症状などの今の体の様子を重ね合わせて考えます。どの材料も一人の先の出来事までは映さないため、見立ては長いほうにも短いほうにも外れることがあります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「用語集:生存率」;国立がん研究センター「… ほか9件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

先生の「半年くらい」は、どこかの計算式に数値を入れて出てきた答えではありません。医師は、がんの種類や広がり、治療がどう効いてきたかという「病気の情報」と、一日のうちどのくらい起きていられるか、食事がどのくらいとれているか、息苦しさやむくみがあるかといった「今の体の様子」を重ね合わせて、見通しを考えています。

そのため見立ては、どれほど経験のある医師でも幅のある目安にとどまり、実際の経過がそれより長くなることも、短くなることもあります。材料の中身も、それぞれの重みも、時期によって変わっていきます。

この記事では、医師が見通しを考えるときに見ている材料、時期によって重く見る材料が変わる理由、ネットの余命計算と医師の見立ての違い、そして自分の状態を自分の言葉で確かめる方法を、順にお伝えします。

「半年くらい」の根拠が分からず、このページを開いた方へ

  • 先生の「半年くらい」が、何をもとにした数字なのか分からない。聞き返す前に、診察が終わってしまった。
  • 余命を計算してくれるようなページを夜中に試しては、出てきた数字に落ち込んでいる。
  • 自分の体のことなのに、見通しの仕組みを知らないのは自分だけのような気がする。

がんの余命はどうやって決まるのですか?医師はどんな基準で予測しているのですか?

決まった計算式はありません。医師は、がんの種類や広がり、治療への反応といった病気の情報と、動ける範囲や食事の量、症状といった今の体の様子を重ね合わせて見立てます。どちらを重く見るかは、時期によって変わります。

病気の情報のほうから見ていきます。まず、がんの種類と性質です。同じ臓器のがんでも、細胞の種類や性質によって、進み方や薬の効き方が違います。次に、がんの広がりです。病期(ステージ)は、がんの大きさや広がり(T)、リンパ節への転移(N)、離れた臓器への転移(M)の組み合わせで決まり、その基準はがんの種類ごとに違います。そして、治療への反応です。画像検査でがんが小さくなったか、血液検査の値がどう動いたかは、これからを考える大きな手がかりになります。

体の様子のほうは、診察室での会話や、日々のケアの中で見えてくるものです。一日のうち横になっている時間はどのくらいか。身の回りのことを自分でこなせているか。食事や水分はどのくらいとれているか、体重はどう変わったか。むくみや、安静にしていても息苦しい感じはあるか。意識がぼんやりしたり、つじつまの合わないことを言ったりする時間はあるか。医療者のあいだでは、日常生活をどのくらい自分でこなせるかを「全身状態」と呼び、「PS(パフォーマンス・ステータス)」という言葉で段階に分けて記録することもあります。

医師はこうした材料に、同じ状態の方の経過をまとめた統計や、これまでに診てきた患者さんたちの経過を重ねて、「年の単位か、月の単位か」といった見通しを組み立てます。ほかの病気を持っているか、年齢や体力がどうかも、材料に加わります。

医師の見立て

  • がんの種類と性質同じ臓器のがんでも、細胞の種類で進み方や薬の効き方が違う
  • 広がり(病期)がんの大きさ、リンパ節への転移、離れた臓器への転移の組み合わせ
  • 治療への反応画像検査や血液検査で、がんがどう変わってきたか
  • 全身状態横になっている時間や、身の回りのことを自分でこなせるか
  • 食事・水分・体重どのくらいとれているか、体重がどう変わったか
  • 症状むくみ、安静にしていても続く息苦しさ、意識の混乱などがあるか
  • 統計と経験同じ状態の方の経過と、医師がこれまでに診てきた方々の経過
医師が余命を見立てるときに、重ね合わせている材料

時期によって、医師が重く見る材料は変わるのですか?

変わります。診断から治療中の時期は、体の様子が大きく変わらないため、がんの種類や広がり、治療の効き方が主な手がかりになります。病気が進んで体の変化が見えてくると、動ける範囲や食事の量など、今の体の様子のほうが重くなります。

診断されたばかりのころや、治療を続けている時期は、多くの方がまだ普段に近い暮らしをしています。この時期に見通しを考える材料は、がんの種類と病期、そして治療がどう効いているかが中心です。統計の数字が目に入りやすいのも、この時期です。

治療を重ねるうちに、体の様子が少しずつ前に出てきます。治療を終えたころや、体力が落ちてきた時期には、「先週より横になる時間が増えた」「食べられる量が半分になった」といった変化の速さが、見通しを考える手がかりとして、いちばん確かなものになっていきます。緩和ケアの分野では、動ける範囲、食事の量、むくみ、安静時の息苦しさ、意識の混乱といった項目を組み合わせて見通しを考える指標も研究され、医療者が参考にすることがあります。

さらに先の、看取りが近い時期には、眠っている時間、呼吸の様子、尿の量など、日々の変化そのものが見立ての中心になります。見通しの言い方が「月単位」から「週単位」へと細かくなっていくのは、手がかりが、より近い先を映すようになるからです。単位ごとに指す幅は、医師の「月単位・週単位」が示す目安と幅で確かめられます。

  1. 1診断のころがんの種類と病期、同じ状態の方の統計が主な手がかり
  2. 2治療中画像検査や血液検査で見る、治療の効き方が加わる
  3. 3治療を終えたころ動ける範囲や食事の量など、体の様子が前に出てくる
  4. 4体力が落ちてきた時期横になる時間や食事の量が変わる速さが、手がかりの中心になる
  5. 5看取りが近い時期眠り、呼吸、尿の量など、日々の変化そのものを見る
時期によって、見通しの手がかりの重心が移っていく様子(各時期の長さは人によって大きく違う)

「半年くらい」という言葉は、どこから出てくるのですか?

多くの場合、同じ状態の方の経過をまとめた統計と、今の体の様子を見た医師の判断を合わせた、幅のある言い方です。どちらにどれだけ寄っているかは場面や医師によって違うので、根拠そのものを尋ねてかまいません。

統計に寄った「半年」は、たとえば、同じがん・同じ広がりの方々の生存期間の中央値に近いところから出てきます。中央値は、集団の半数の方がまだ生存している時点までの期間です。半数の方は、その期間を過ぎても暮らしを続けています。中央値をそのまま一人の余命と読むことはできない、というのはこのためです。数字のでき方そのものは、余命の目安の読み方で順を追って説明しています。

体の様子に寄った「半年」は、ここ数か月の変化の速さから出てきます。「この数か月で、食事の量や動ける範囲がこのくらい変わってきたから、この先もこのくらいの速さで変わるかもしれない」という見通しです。こちらは統計より、ご本人の今を映しています。そのぶん、体調が変われば見立ても変わります。

医師が「半年くらい」と丸めた言い方を選ぶのには、一つの日付のように受け取られないようにする、という面もあります。「半年」と聞いた日から、カレンダーの先のほうに印をつけたくなる気持ちは、自然なものです。けれども、その印は医師が引いた線ではありません。

医師の見立ては、なぜ外れることがあるのですか?

材料のどれもが、一人の先の出来事までは映していないからです。統計は過去の集団の記録で、体の様子はその日の姿です。治療の効き方の変化や、感染症などの思いがけない出来事は、見立てを立てた時点では誰にも分かりません。

統計については、数字を作る側がはっきり注意をしています。国立がん研究センターの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」は、表示する生存率が過去の期間にがんと診断された方のものであり、これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があると書いています。集めた方々の経過が分かるまで待ってから計算するので、どうしても少し前の時代の治療の結果になるのです。

体の様子については、その日の姿がそのまま続くとは限りません。痛みや吐き気が和らいで、食事がとれるようになることがあります。意識がぼんやりする「せん妄」は、一時的に現れる意識の障害で、徐々に進む認知症とは違うものです。原因によっては、手当てで落ち着くこともあります。反対に、肺炎などをきっかけに、体調が急に変わることもあります。

もう一つ、見通しは先のことほど幅が広くなります。天気予報が、明日より来週のほうが外れやすいのと似ています。数か月先を見通す「半年くらい」は、数日先を見通す言葉より、ずっと大きな幅を含んだ言葉です。

材料分かること分からないこと
同じ状態の方の統計似た条件の集団が、過去にどんな経過をたどったか最近の治療の進歩と、ご本人の体の事情
画像検査・血液検査今のがんの広がりと、治療への反応体がそれにどこまで持ちこたえられるか
動ける範囲・食事の量今の体の余力と、変化の速さ症状の手当てで、どこまで持ち直すか
医師の経験似た経過をたどった方々の、おおまかな傾向感染症など、思いがけない出来事が起きるかどうか
見立ての材料ごとに、分かることと分からないこと

ネットの余命計算は、信じてもいいのですか?

似た条件の集団の目安を知る道具にはなっても、ご本人の余命を示すものではありません。入力できる項目は限られていて、医師が診察で見ている体の様子や治療への反応は、ほとんど入らないからです。

がんの種類や病期、年齢などを入れると数字が出てくるページは、統計をもとに作られていることが多く、それ自体がでたらめというわけではありません。ただ、入れられるのは数個の項目だけです。今週どのくらい食べられたか、昨日どこまで歩けたか、前の治療がどう効いたか。医師が見立てで重く見ている材料の多くは、入力欄のどこにもありません。

もう一つ気をつけたいのは、数字の出どころが書かれていないページもあることです。いつ、どこで、どんな人を集めた数字なのか。生存率にも、すべての死因を含む実測生存率と、がん以外の死亡の影響を補正した相対生存率や純生存率があり、種類によって値は変わります。出どころの分からない数字どうしを見比べても、答えには近づきません。

公的な統計を自分で確かめたいときは、国立がん研究センターの「がん情報サービス」や、先ほどの院内がん登録の閲覧システムのように、数字の作り方と注意書きが示されている場所を選ぶと安心です。夜中にいくつものページを試してしまうのは、自分の状況をつかみたいという自然な気持ちからで、責めることではありません。ただ、夜に見る数字は、昼に見るより重く響きます。数字を確かめるのは、明るい時間に回してかまいません。

観点ネットの余命計算医師の見立て
もとにする材料入力した数個の項目と、どこかの統計診察、検査、日々の体の様子、統計
誰についての答えか入力した条件に近い集団目の前のご本人
変わるかどうか入力を変えない限り同じ体調に合わせて見直される
答えの形一つの数字になりやすい「月単位」など、幅のある言葉になりやすい
ネットの余命計算と、医師の見立ての違い

自分の状態を、自分で知る方法はありますか?

点数で自分を判定するより、医師が見ている材料を自分の言葉で書き留めておくほうが確かです。横になっている時間、食事の量、歩ける距離、困っている症状を短く記録して診察に持っていくと、見立ての根拠を一緒に確かめやすくなります。

先ほど触れた見通しの指標は、医療者が診察や検査の結果と合わせて使う道具です。項目を自分で当てはめて点数を出しても、その点数が自分の残り時間を教えてくれるわけではありません。夜中に一人で点数をつけると、少しの体調の揺れで数字が上下し、そのたびに気持ちも揺さぶられてしまいます。

代わりにおすすめしたいのは、医師が重く見ている材料を、点数ではなく自分の言葉で書き留めることです。「今日は昼に二時間横になった」「夕食はいつもの半分」「駅まで歩けた」「夜、息苦しくて目が覚めた」。一日一行で十分です。一週間分並べると、自分の体の変化の向きと速さが、少しずつ見えてきます。

この記録は、診察室でも役に立ちます。「この一週間、こんな様子でした」と見せれば、医師は短い時間で多くの材料を受け取れます。見立ての根拠を尋ねるときも、「この記録のどこを、いちばん気にしたほうがいいですか」と聞けば、話が具体的になります。

  • 一日のうち、横になって過ごした時間(長かった日・短かった日)
  • 着替えや入浴、家事などの身の回りのことを、自分でできたかどうか
  • 食事と水分の量(いつもと比べて、どのくらいか)
  • 歩けた距離や、出かけられた場所
  • 困っている症状(痛み、息苦しさ、むくみ、眠れないなど)と、その時間帯
  • 気持ちの変化や、医師に聞きたくなったこと
次の診察までに、自分の言葉で書き留めておくこと

見立ての根拠を、医師にどう聞けばいいですか?

「その見通しは、何をいちばん重く見て考えたものですか」と尋ねるのが入り口になります。数字そのものより、自分の体の何が鍵になっているかが分かり、どんな変化があれば見立てが変わるのかも聞きやすくなります。

聞く順番を決めておくと、診察室で言葉に詰まりにくくなります。最初に、前回言われた言葉を確認します。「先日、半年くらいとおっしゃいましたね」。次に、その根拠を聞きます。「それは、同じ病気の方の統計から考えたものですか。それとも、今の体の様子からですか」。そのうえで、「どんな変化があったら、見通しが変わったと考えればいいですか」と、目印を聞きます。最後に、今の時期にしておくとよいことを聞けば、見通しの話が、今日からの過ごし方の話につながります。

数字はもう聞きたくない、という方は、根拠と目印だけを聞くこともできます。「数字は聞かずにいたいのですが、何に気をつけて体を見ていればいいかは知りたいです」と伝えれば、医師もそのつもりで答えてくれます。

外来の時間が短くて聞けないときは、看護師に「先生に、見通しの根拠を聞きたい」と先に伝えておく方法があります。全国のがん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」でも、聞き方そのものを相談できます。患者さんだけでなく家族や、その病院に通っていない人も無料・匿名で使え、話した内容が相談した人の同意なく担当医に伝わることはありません。聞く前の心の準備は、余命を医師に聞くときに先に決めておくことでも整理しています。

  1. 1言われた言葉を確かめる「先日、半年くらいとおっしゃいましたね」
  2. 2根拠を聞く「統計からですか、今の体の様子からですか」
  3. 3目印を聞く「どんな変化があれば、見通しが変わりますか」
  4. 4今の過ごし方を聞く「今の時期にしておくとよいことはありますか」
見立ての根拠を確かめるときの、質問の順番

「半年くらい」の根拠を聞けずにいた方は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
70代・女性・ご本人(夫を見送り、ひとり暮らし。娘は隣の県に住む)
相談のあとに変わったこと
毎晩いくつもの余命計算のページを試していた状態から、自分の体の記録をつけて診察に持っていき、「半年」の根拠を主治医に自分で尋ねられた。夜にページを開く日は、ほとんどなくなった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、変わったことは2つありました。ひとつは、台所のカレンダーの使い方です。それまで「半年」先の月に小さな印をつけていましたが、その印を消し、代わりに毎日の欄に「横になった時間」「食べた量」「歩いたところ」を一行ずつ書くようになりました。もうひとつは、夜の過ごし方です。寝る前に3つも4つも余命計算のページを試していたのが、相談から3週間ほどで、開かない夜のほうが多くなりました。「数字は相変わらずこわい。でも、見るところが分かったら、少し落ち着いた」と話しています。

2. 相談を考えた背景

きっかけは、外来での主治医とのやりとりでした。思い切って「私はあとどれくらいでしょう」と尋ねると、主治医は少し考えてから「半年くらいと考えておいてください」と答えました。次の患者さんが待っている気配がして、それ以上は聞けないまま会計に向かったそうです。帰りのバスの中で、「半年くらい」が何を根拠にした言葉なのか、急に分からなくなりました。

3. 相談する前に困っていたこと

家に帰ってから、がんの種類と年齢を入れると数字が出てくるページを、いくつも試しました。ページによって数字が違い、同じページでも入れ方を変えると数字が変わります。どれが本当なのか分からず、そのたびに落ち込みました。娘に話せば心配をかけると思い、電話では「変わりないよ」とだけ伝えていました。主治医の言葉と画面の数字のどちらを信じればいいのか。その問いを、誰にも出せずにいました。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院の待合室に、がん相談支援センターの案内が貼ってあったのは覚えていました。ただ、同じ病院の中で「先生の言葉の意味が分からない」と相談するのは、主治医を疑っているようで気が引けたそうです。娘がスマホに入れてくれていたブックマークから、がんと家族の相談室のページを見つけ、フォームならニックネームで送れると知って、その夜のうちに送信しました。すぐに受付確認のメールが届き、「とりあえず、誰かに届いた」と思えたといいます。

5. 相談で話したこと・その後

翌日の午後、希望した時間帯に担当から電話がありました。担当は、医師が見通しを考えるときに一般的に見ている材料と、「全身状態」という言葉の意味を説明しましたが、ご本人の余命については何も予測していません。話すうちに、本人がいちばん知りたかったのは「半年」という数字の正しさより、「自分の体の何を見ていればいいか」だと分かってきました。そこで、次の診察で聞く質問を3つにまとめ、メモにして送りました。次の外来では、つけ始めた記録を見せながら「半年というのは、何をもとに考えたものですか」と尋ねることができ、主治医は「食事の量と体重の変わり方を見ている」と答えたそうです。その週末、娘に初めて、診察で聞いたことをそのまま話しました。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 先日の「半年くらい」という見通しは、どんなことをもとに考えたものですか。
  • 今の私の場合、見通しを考えるうえで、いちばん重く見ているのは何ですか。
  • どんな変化があったら、見通しが変わったと考えればよいですか。
  • 体の様子で、自分で気をつけて見ておくとよいことはありますか。
  • 数字ではなく、今の状態を言葉で説明していただくことはできますか。

とはいえ、仕組みを知ったあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──仕組みが分かっても、数字がこわいままでいい

仕組みが分かれば、こわさが消えるわけではありません。「半年」が目安だと頭では分かっていても、その言葉を思い出すたびに胸が詰まる。それは、あなたの理解が足りないからではなく、それだけ重いことを聞いたからです。家族の前では平気な顔をしていても、ひとりになると涙が出る方もいます。ここでは泣いてかまいません。眠れない日や何も手につかない日が続くときは、主治医やがん相談支援センター、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556。曜日や時間は地域によって異なり、通話料がかかります)にも相談してください。

② 実務のこと──見立てを聞き直す「節目」を、通院の予定に組み込んでおく

見立ては、一度聞いたら終わりではなく、体の様子に合わせて変わっていくものです。そこで、聞き直すきっかけを先に決めておくと、自分から切り出しやすくなります。たとえば、画像検査の結果を聞く日、治療の内容が変わる日、体調が変わったと感じた日。この3つを「見通しを確かめてよい日」として手帳に書いておきます。緩和ケアは、がんと診断されたときから受けられるもので、緩和ケア外来や緩和ケアチームでも、体のつらさと一緒に見通しの不安を話せます。治療の選び方で迷うときは、担当医とは別の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも使えます。転院を前提にしたものではなく、担当医に紹介状を用意してもらって受けるもので、公的医療保険が使えない自由診療になります。

今日できること

「半年くらい」が頭から離れない今夜から、明日にかけてできる3つのこと

  1. 言われた言葉を書き写す

    「半年くらい」と言われた日付と、その前後に医師が話していたことを、覚えている範囲で一行に書きます。言葉の前後が分かると、統計に寄った話か、体の様子に寄った話かが見えてくることがあります。

  2. 今日の体を一行で記録する

    横になっていた時間、食べた量、困った症状を、点数ではなく言葉で書きます。明日からは、同じ欄に一行ずつ足していきます。

  3. 根拠を聞く質問を一つ選ぶ

    質問例から一つだけ選んで、診察券と一緒にしまいます。3つにまとめるのを手伝ってほしいときは、フォームからひとこと送ってください。

よくある質問

余命は、血液検査や画像検査で分かりますか?

検査は見立ての大事な材料ですが、検査の結果から日数が出てくるわけではありません。画像検査はがんの広がりと治療への反応を、血液検査は肝臓や腎臓のはたらき、栄養の状態などを映します。医師はそれらを、動ける範囲や食事の量といった体の様子と合わせて考えています。検査の結果を聞く日は、「この結果で、見通しの考え方は変わりますか」と尋ねるのによい機会です。

医師によって、見立てが違うことはありますか?

あります。どの材料をどのくらい重く見るか、どんな患者さんを多く診てきたかは、医師によって違うからです。違う見立てを聞いて混乱したときは、それぞれ何をもとに考えたのかを尋ねると、違いの理由が見えてきます。治療の選び方について別の医師の意見を聞きたいときは、セカンドオピニオンという方法があり、受け先に迷うときはがん相談支援センターでも相談できます。

見通しを立てる指標があるなら、自分で点数を出してもいいですか?

調べること自体は止められませんが、点数で自分の残り時間を判定するのはおすすめしません。こうした指標は、医療者が診察や検査の結果と合わせて使う道具で、統計から作られているため、一人の先を言い当てるものではありません。点数の代わりに、項目に出てくる「動ける範囲」「食事の量」「症状」を自分の言葉で書き留め、医師に見せるほうが、見立ての根拠を確かめる役に立ちます。

痛み止めの医療用麻薬を使うと、余命が短くなりますか?

日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』は、オピオイド(医療用麻薬)の使用が生命予後を短縮するという根拠はないとしています。痛みを我慢して眠れない日が続くより、和らげて食事や睡眠がとれるほうが、体の様子は整いやすくなります。痛みは遠慮せずに伝え、薬の使い方は主治医や薬剤師に相談してください。

一度言われた見通しは、もう変わらないのですか?

変わります。見立ては、その時点の材料から考えたものなので、症状が和らいで食事がとれるようになれば長いほうへ、急な体調の変化があれば短いほうへと見直されます。体調が変わったと感じたときは、「今の見通しは、前と変わりましたか」と聞き直してかまいません。

夜中に数字のことが頭から離れないときは、どこに話せますか?

24時間・無料で受け付けている電話に、よりそいホットライン(0120-279-338)があります。がんを専門にした窓口ではないものの、眠れないほどのつらさを、言葉を選ばずに打ち明けられます。平日の昼なら、国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410。平日10時〜15時、通話料は自己負担)もあります。言葉にならない夜は、がんと家族の相談室のLINEにスタンプひとつ送るだけでもかまいません。夜に届いたものは、翌朝いちばんに読んで返事をします。

「半年くらい」の根拠を確かめる準備を、一緒にしませんか

言われた言葉と、ご希望の連絡方法・時間帯をひとこと書いて送ってください。お名前はニックネームで構いません。送信後すぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当からお電話して、医療者の言葉の一般的な意味をお伝えしながら、見立ての根拠を確かめる質問を一緒に3つにまとめます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

    1ご相談の内容
    ご相談の種類任意

    今まさに設備が止まっている・水が漏れているときは、いちばん上を選んでください。すぐにできることを表示します。

    水が漏れている場合は、先に止水栓か元栓を閉めてください。電気設備に水がかかっている場合は、ブレーカーを落としてください。写真はLINEから送っていただくのが最短です(24時間受付)。

    対象の設備・箇所任意・複数可

    写真任意・3枚まで

    全体が分かる引きの写真、症状が分かる寄りの写真、銘板(メーカー・型式のシール)の3枚があると、機種と範囲がその場で分かります。入居者の方が写らないようにお撮りください。1枚2MBまで(JPG・PNG・GIF・WebP・PDF)。スマートフォンの写真はそのまま選べます。大きい写真は送信前に自動で縮小します。

    2施設について

    3ご連絡先

    ご希望の連絡方法任意

    連絡のつきやすい時間帯任意・複数可

    4詳しく書ける方へ任意いつから・何回目か・何か所か・何名の施設か。分かるとお見積りまでの日数が短くなります

    同じ症状は

    補助金の利用

    他社のお見積り

    他社の金額をお伺いすることはありません。相見積の場合は、各社に同じ条件をお伝えします。

    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    数字より先に、「幅」と「今できること」を聞いてみる

    余命の数字は、多くの方の経過をまとめた統計で、あなた一人の予測ではありません。知りたいかどうかは、ご本人が決めてよいことです。知りたいときは、数字そのものより「どのくらいの幅で見ているか」を主治医に尋ねると、受け止めやすくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「今の状態を、月単位・週単位のような幅で見ると、どのあたりでしょうか。」

    1. 聞きたいこと・聞きたくないことを、先にご家族と話しておく
    2. 主治医に聞くのがつらいときは、看護師やがん相談支援センターに「どう聞けばよいか」から相談する
    3. 数字を調べ続けて眠れない夜は、結論を朝に回して、誰かに話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 聞きたいこと・聞きたくないことを書いたメモ
    • 次の診察の日時

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    がん情報サービス(国立がん研究センター)
    出典のはっきりしたがんの情報と、お近くのがん相談支援センターの探し方がまとまっています。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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