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親(父・母)のがん、あとどれくらい?余命の数字の意味と聞き方

このテーマの総論:母が・父ががんになった|最初の1週間に子どもができること

この記事には、余命や生存率などの数字の話が出てきます。数字は多くの方をまとめた統計で、一人ひとりの予測ではありません。読むのがつらいときは、途中で閉じても大丈夫です。

この記事の結論

ネットで見る余命や生存率は、何年も前に診断された大勢の人の統計で、親御さん個人の残り時間ではありません。家族が見通しを知るには、本人がどこまで知りたいかを確かめたうえで、主治医に「週単位か、月単位か」と幅で尋ねる方法があります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「用語集:生存率」;国立がん研究センター「… ほか9件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

お父さんやお母さんに残された時間を、日にちまで言い当てられる人はいません。主治医であっても同じです。それでも、家族が「どのくらいの幅で考えておけばよいか」を知る方法はあります。その幅が分かるだけで、会いに行く回数や仕事の休み方は、ずっと決めやすくなります。

検索で出てくる数字がサイトごとにばらばらなのは、もとにした集団や計算のしかたが違うからです。そこには、親御さんの今の体力も、治療への反応も入っていません。この記事では、余命や生存率の数字が何を表しているのか、先生が数字を言いにくい理由、週・月単位で見通しを尋ねるときの言い方、そして数字より先に決めておきたい「今できること」の順番を、面会の帰り道でも読めるようにまとめました。

面会の帰り道に、このページを開いた方へ

  • 「病状が進んでいます」と言われた日から、帰りの電車でつい「父 癌 あとどれくらい」と打ってしまう。
  • 出てくる数字がサイトごとに違っていて、どれが父に当てはまるのか分からない。
  • 先生は数字を言わない。知りたいのに、聞いたら何かが決まってしまいそうで怖い。

父ががんです。あとどれくらい生きられるのか、家族が知る方法はありますか?

正確な日数を知る方法はありません。ただ、主治医に「週単位で考える段階か、月単位で考えてよい段階か」と幅で尋ねれば、家族が動く目安は聞けます。先にお父さん本人がどこまで知りたいかを確かめておくと、聞いたあとも家族の足並みがそろいます。

日数が分からないのは、医療が頼りないからではありません。がんの経過は、治療への反応、食事や睡眠の量、肺炎などの合併症、体力の残り方によって変わり、同じ病名・同じステージでも人によって大きく違います。医療者は、食べられる量や眠っている時間、ベッドから起き上がれるかといった変化を見ながら、見立てをそのつど更新しています。だから「あと何日」という一点ではなく、「数か月の幅で考えてよい」「数週間の幅で準備を」という言い方になるのです。

家族が見通しを知る入口は、主に3つあります。1つ目は主治医との面談です。病棟の看護師さんに「家族として、先生からお話を伺う時間をいただけますか」と頼むと、日時を調整してもらえることがよくあります。2つ目は、毎日お父さんを見ている病棟の看護師さんや訪問看護師さんです。「最近の様子で、先生に伝えておいたほうがいい変化はありますか」と尋ねると、数字ではない形で今の状態が見えてきます。3つ目は、がん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」で、家族だけでも、その病院に通っていなくても、無料・匿名で、聞き方や面談の準備を相談できます。

  1. 1本人の意向を確かめる「先生の話、どこまで聞きたい?」と本人の言葉で聞いておく
  2. 2窓口役を1人決める主治医と話す家族を決め、ほかの家族へはあとで共有する
  3. 3質問を3つに絞る「週単位か月単位か」を含めて、紙かスマホに書いておく
  4. 4面談の時間をもらう病棟の看護師さんに、家族として話を聞きたいと伝える
  5. 5変化の合図を持ち帰る数字より「見立てが変わる合図」を家族で共有する
家族が見通しの「幅」を聞くまでの5つの段取り

ネットで見る余命や生存率の数字は、親に当てはまりますか?

そのままは当てはまりません。生存率は何年も前に診断された大勢の人の集団の数字で、親御さん一人の余命を示すものではないからです。サイトごとに数字が違って見えるのも、数えた集団や計算のしかたが違うためです。

生存率とは、がんと診断されてから一定の期間がたった時点で、生存している人がどのくらいいるかを表す割合です(国立がん研究センター がん情報サービス)。計算のしかたにも種類があり、すべての死因を含めて数える「実測生存率」と、がん以外の原因で亡くなる影響を補正した「相対生存率」「純生存率」とでは、同じがんでも数字が変わります。さらに、院内がん登録の生存率を公開している閲覧システム自身が、表示している数字は過去の期間に診断された方のもので、これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があると断っています。

もう一つよく目にするのが「生存期間中央値」という言葉です。これは集団の半数がまだ生存している期間のことで、言いかえれば、その時点より長く過ごした人と短かった人が同じくらいいる、という真ん中の値にすぎません。中央値に書かれた月数を、お父さんやお母さんの残り時間として読み替えないでください。

それでも確かめたいときは、まとめサイトではなく、国立がん研究センターの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」や、全国がんセンター協議会の「全がん協生存率調査(KapWeb)」のような公式の集計を、昼間に、できれば誰かと一緒に見てください。夜にひとりで見る数字は、同じ数字でも重くのしかかります。

観点検索で見る数字主治医の見立て
もとにしている人何年も前に診断された大勢の人今のお父さん・お母さん本人
表していること集団の中の割合や、真ん中の値今の体の状態から考えた「幅」
入っていないこと本人の体力・治療への反応・最近の様子正確な日にち(誰にも分からない)
家族の使い道病気の全体像をつかむ手がかり会いに行く回数や休みの段取りの目安
検索で見る数字と、主治医の見立ての違い

先生がはっきりした数字を言わないのは、なぜですか?

多くの場合、隠しているわけではありません。一人ひとりの経過を正確に予測するのは医療者にも難しいこと、数字が独り歩きすると家族を苦しめやすいこと、本人の気持ちを確かめる前に家族だけへ伝えることに慎重であること。この3つが重なっています。

1つ目は、予測そのものの難しさです。体の状態は、治療が効いているか、食事がとれているか、感染症を起こしていないかで変わり、今日の見立てが来週には変わることもあります。医師が「個人差が大きいので」と繰り返すのは、話をそらしているのではなく、それがいちばん正直な答えだからです。

2つ目は、数字が独り歩きするおそれです。具体的な月数を聞いた家族は、カレンダーのその日を数えはじめます。予測より早く変化が来れば「まだ時間があると思っていた」と悔やみ、長く過ごせた場合でも「あの数字は何だったのか」と気持ちが揺れます。数字そのものより、数字を聞いたあとの家族の毎日を、医師は気にかけています。

3つ目は、本人の意思を中心に置く考え方です。厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂)は、本人による意思決定を基本としています。お父さんが「聞きたくない」と思っているかもしれない情報を、その気持ちを確かめないまま家族にだけ伝えることに、医師が慎重になるのは自然なことです。

言わないことと、聞いてはいけないことは別です。答えやすい形で尋ねれば、医師も今の見立てを言葉にしやすくなります。

家族は、どんな言葉で見通しを聞けばいいですか?

「あと何か月ですか」と一点を尋ねるより、「週単位の段階ですか、月単位で考えてよい段階ですか」と幅で尋ねるほうが、医師は答えやすくなります。聞きたい理由と「見立てが変わる合図」も添えて尋ねると、答えをそのまま家族の段取りに使えます。

週単位・月単位という言い方は、医療の現場で見通しを伝えるときによく使われ、「数週間ほどの幅」「数か月ほどの幅」を指すことが多い言葉です。日にちを特定しないので、医師にとっては見立てを伝えやすく、家族にとっては受け止めやすい大きさになります。

聞く理由を添えると、答えはさらに具体的になります。「遠方の兄を、いつごろ呼べばいいか決めたいので」「仕事の休みをどう取るか考えたいので」と伝えれば、今のうちに動いたほうがよいのか、変化を見てからでも間に合うのか、家族が決めたいことに沿った形で話してもらいやすくなります。もう少し言い換えの例を知りたい方は、見通しを尋ねる言葉の置き換え方も参考になります。

面談では、次の言い方がそのまま使えます。

  • 切り出し:「家族として心の準備と段取りをしたいので、今の見通しを伺えますか」
  • 幅で聞く:「今は、週単位で考える段階でしょうか。月単位で考えてよい段階でしょうか」
  • 合図を聞く:「その見立てが変わるとしたら、どんな様子が出たときですか」
  • 本人への配慮:「父は数字を聞きたくないようです。家族だけで伺ってもいいでしょうか」

答えにくい聞き方

  • あと何か月ですか
  • 治るんですか、治らないんですか
  • ネットの数字と比べてどうですか

答えやすい聞き方

  • 週単位と月単位、どちらで考える段階ですか
  • 今の治療は、何を目指していますか
  • 見立てが変わる合図は、どんな変化ですか
医師が答えにくい聞き方と、答えやすい聞き方

親本人が「知りたくない」と言ったら、家族だけで聞いてもいいのですか?

家族だけで聞く形を、主治医に相談することはできます。ただ先に、本人がどこまで知りたいか、家族が代わりに聞いてよいかを確かめ、その気持ちを主治医とも共有しておくのが基本です。「知らないでいる」のも本人の大事な選択で、聞いた内容を本人に伝えるかは、医療者と相談して決めて構いません。

厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みを「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」と呼んで勧めています。その出発点は、本人がどうしたいかです。見通しの数字も同じで、知る権利と同じように、知らないでいる権利があります。

本人の意向は、改まった場を作らなくても確かめられます。たとえば次の説明の前に「先生の話、全部聞きたい? 大事なところだけにする? それとも家族に任せる?」と、3つの中から選んでもらう聞き方があります。「任せる」と言われたら、窓口役の家族が別の時間に面談をお願いし、本人の前では数字を出さない、という分け方ができます。

家族の側にも「聞かない選択」はあります。きょうだいの中に「自分は数字を聞きたくない」という人がいても、おかしなことではありません。聞く役は1人に任せ、ほかの家族には「変化の合図」だけを伝える形にすると、知りたい人も知りたくない人も同じチームでいられます。ご本人の方がこのページを読んでいるなら、「自分はどこまで知りたいか」を一言、家族に先に伝えておくと、家族が先生と話すときの迷いが減ります。

  1. Q1親御さん本人は、見通しを知りたいと言っていますか

    はい本人と一緒に、幅で聞く面談を主治医にお願いする

    いいえ本人の前では聞かず、家族の窓口役だけが別の時間に伺う

  2. Q2あなた自身は、今、数字を聞く心の準備ができていますか

    はい聞いた内容をメモに残し、ほかの家族へは窓口役から伝える

    いいえ聞く役は別の家族に任せ、変化の合図だけ教えてもらう

見通しを聞くか、聞かないかで迷ったとき

数字より先に、家族が今できることは何ですか?

数字が分からなくても、今週のうちに進められることが3つあります。本人のしたいことを小さく聞くこと、夜に連絡が来たときの順番を決めること、家族自身が休む段取りをつけることです。どれも、見通しが週単位でも月単位でも無駄になりません。

① 本人の「したいこと」を、小さく聞く

「今いちばん食べたいものは?」「会っておきたい人はいる?」「家のことで気になっていることは?」。大きな話をしなくても、小さな問いの答えに、その人が大事にしたいことが表れます。体力のあるうちにしか聞けないことから聞いておくと、あとで「聞いておけばよかった」が1つ減ります。家族として最初の数日に何をするかは、親のがんが分かった最初の1週間でも整理しています。

② 夜の連絡の順番を決める

病院から夜に電話が来たら誰が受けるか、誰にどの順番で回すか、遠方の家族はどうやって来るか。決めておくのはこの3つで足ります。家族のグループに送る文面を1行だけ下書きしておくと、その夜に手が震えていても送れます。

③ 家族が休む段取りをつける

国立がん研究センターのがん情報サービスは、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も保たなければならないため、「第二の患者」ともいわれると説明しています。面会を交代制にする、行けない日があってもよいと先に決めておく。それは手を抜くことではなく、長く支えるための準備です。

  1. 1本人の気持ちを聞く体力のあるうちにしか聞けないことから
  2. 2連絡の順番を決める夜の電話に誰が出て、誰に回すか
  3. 3家族の休み方を決める面会の交代と、仕事の休み方の確認
  4. 4お金や手続きを整理する必要になった順に、相談先と一緒に
見通しが分からなくても進められる、今週の優先順位

帰りの電車で検索が止まらない夜は、どうすればいいですか?

検索をやめられないのは、不安をどうにかしたい気持ちの表れで、責めることではありません。ただ、夜に見る数字は昼より重く感じます。調べものは昼間に回し、夜はひとことでも誰かに預けられる先を、いくつか知っておいてください。

公的な窓口として、まずがん相談支援センターがあります。患者さんの家族も、その病院に通っていない人も、無料・匿名で、面談か電話で相談できます。ここで話したことが、相談した人の同意なしに担当医などへ伝わる心配はありません。国立がん研究センターの「がん情報サービスサポートセンター」は、0570-02-3410(ナビダイヤル)または03-6706-7797で、平日10時〜15時に匿名で相談でき(通話料は自己負担、原則1日1回20分以内)、2026年5月からは平日12時〜15時のチャット相談も始まりました。深夜に気持ちがあふれたときは、がん専門の窓口ではありませんが、24時間・無料のよりそいホットライン(0120-279-338)もあります。

がんと家族の相談室も、その一つに数えてください。2026年9月の実績(運営者集計)を見ると、相談室への電話相談・問い合わせ1,200件のうち800件が、患者さんご本人ではなく、ご家族からでした。面会の帰りに数字を探してしまう夜を、同じように過ごしている人がいます。

親御さんのがんで不安なご家族

  • がん相談支援センター家族だけの相談も、ほかの病院に通う人の相談も、無料・匿名で受けている
  • がん情報サービスサポートセンター国立がん研究センターの窓口。平日の日中に、電話のほかチャットでも相談できる
  • よりそいホットライン0120-279-338。24時間・無料。がん専門の窓口ではない
  • 病棟・訪問看護・119番体調の急な変化はまず病棟や訪問看護へ。命に関わるときは119番
  • がんと家族の相談室電話は平日9時〜18時に担当が直接。夜のLINEは翌朝いちばんに読んで返事
親のがんで眠れない夜に、話を預けられる先

帰りの電車で数字を探していた娘さんは、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(父が入院中。母は自宅、兄は遠方で暮らしている)
相談のあとに変わったこと
毎晩の検索が週に1回ほどに減り、主治医との面談で「週単位か月単位か」を聞けた。遠方の兄が帰ってくる日を、家族3人で決められた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から2週間ほどで、娘さんが帰りの電車で「父 癌 あとどれくらい」と検索する夜は、ほぼ毎晩から週に1回ほどに減りました。変わったのは、数字を探す代わりに、主治医に聞くことが3つ、スマホのメモに入っていたことです。面談では「今は月単位で考えてよい段階だと思うが、食事がとれなくなってきたら見立ては変わる」と説明を受け、兄には「来月の連休に一度帰ってきて」と、日にちを入れて連絡できました。「数字が分かったからじゃなくて、何を見ていればいいかが分かったから眠れるようになった」と娘さんは話します。

2. 相談を考えた背景

お父さんは70代で、通院で治療を続けていましたが、ある日の診察で「病状が進んでいます」と告げられ、そのまま入院になりました。娘さんは仕事帰りに週3回面会に寄り、片道40分の電車の中で検索を続けていました。お母さんは「先生に任せておけばいい」と言い、遠方の兄からは電話のたびに「で、あとどれくらいなの」と聞かれました。

3. 相談する前に困っていたこと

調べるほど、生存率の数字はサイトによって違い、どれが父に当てはまるのか分かりませんでした。主治医には一度だけ「あとどのくらいですか」と聞きましたが、「個人差が大きいので、何とも言えません」という答えで、それ以上は聞けなかったといいます。「聞き方が悪かったのか、聞いてはいけないことだったのか、それも分からなかった」。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院にがん相談支援センターがあることは知っていましたが、平日の昼間に仕事を抜けられず、後回しになっていました。夜11時過ぎ、電車を降りたホームで、がんと家族の相談室のLINEに「父のことで不安です」とだけ送りました。名前を書かなくてよかったこと、短い一文で送れたことが決め手でした。翌朝に返事が届き、昼休みに電話で話す時間を決めました。

5. 相談で話したこと・その後

電話では、担当が20分ほど話を聞いたあと、「病状が進んでいる」という言葉が一般的にどんな意味で使われるかを伝え、余命の予測はしませんでした。そのうえで、お父さん本人がどこまで知りたいかを先に確かめること、主治医には幅で尋ねること、兄への伝え方を一緒に整理し、質問を3つにまとめたメモがLINEで届きました。娘さんがお父さんに「先生の話、全部聞きたい?」と聞くと、「大事なことはお前が聞いておいてくれ」という答えでした。兄には数字ではなく「食事の量が変わったら連絡する」と伝え、家族の連絡はその一行で回るようになりました。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

主治医・看護師に聞く質問例

  • 父の今の状態は、週単位で考える段階でしょうか、月単位で考えてよい段階でしょうか。
  • その見立てが変わるとしたら、どんな様子が出たときですか。
  • 本人は数字を聞きたくないようです。家族だけで伺う時間をいただけますか。
  • 遠方の家族に会わせたいと考えています。いつごろまでに来てもらうのがよいでしょうか。
  • 家族が今のうちにしておくとよいこと、控えたほうがよいことはありますか。

とはいえ、数字を追いかけてしまう夜に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──「知りたい」と「怖い」は、同時にあっていい

数字を知りたいのは、残りの時間を後悔なく使いたいからです。知るのが怖いのは、お父さんやお母さんを失いたくないからです。どちらも本物の気持ちで、どちらかを消す必要はありません。面会では笑顔でいて、帰りの電車で涙が出る。それは弱さではなく、それだけ大事な人だということです。家族のつらさは、我慢して隠すものではありません。がん相談支援センターは、患者さん本人だけでなく家族も無料・匿名で使える窓口で、家族自身の苦しさを話しに行ってよい場所です。

② 実務のこと──家族の窓口役を1人決めると、情報の渋滞が減る

主治医からの説明、看護師さんからの連絡、親戚からの問い合わせ。これがばらばらに届くと、同じ話を何度も繰り返すことになり、伝わるたびに言葉が少しずつ変わっていきます。窓口役を1人決め、聞いた内容は家族のグループに1回だけ書く。親戚から「あとどれくらいなの」と聞かれたら、「先生も幅でしか言えないそうです。変化があったら知らせます」と返す。この2つの決まりだけで、窓口役以外の家族は、面会と自分の生活に気持ちを向けられます。

今日できること

面会の帰りから寝るまでにできる3つのこと

  1. 見た数字に一言添える

    スクリーンショットやメモに残した数字の横に「何年も前の大勢の人の数字。父の予測ではない」と書き足しておく。

  2. 質問を3つだけ書く

    上の質問例から3つ選んでスマホのメモに貼っておく。面談の日がまだ決まっていなくても構いません。

  3. ひとことを預けて眠る

    眠れないときは、がんと家族の相談室のLINEに「父のことで不安です」とだけ送って、スマホを置く。夜に届いたLINEは、翌朝いちばんに読まれ、返事が来ます。

よくある質問

母は「病状が進んでいる」と言われただけで、余命の話は出ていません。家族から聞いてもいいのでしょうか?

聞いて構いません。医師が自分から見通しを話さないのは、本人や家族が知りたいかどうか分からないためであることも多く、家族から「心の準備のために、今の見通しを伺いたいです」と申し出ることで話が始まることがあります。お母さん本人がどこまで知りたいかを先に確かめ、そのうえで「週単位か月単位か」と幅で尋ねると、答えてもらいやすくなります。

生存率の数字が思っていたより低くて、眠れなくなりました。どう受け止めればいいですか?

生存率は、何年も前に診断された大勢の人の集団の数字で、お父さんやお母さんの余命を示すものではありません。数字を公開している集計システム自身も、これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があると注意しています。苦しくなった夜は、その数字の横に「集団の数字」と書き添え、意味を考えるのは翌日の昼間に回してください。主治医に「この数字は父にどのくらい関係がありますか」と尋ねることもできます。

きょうだいから「で、あとどれくらいなの」と何度も聞かれ、答えに困っています。

「先生も幅でしか言えないそうです。今は(聞いた見立て)の段階と言われています。変化があったらすぐ知らせます」と、決まった言い方を1つ用意しておくと楽になります。数字を伝えるより、どんな変化が出たら連絡するかを共有するほうが、離れて暮らすきょうだいにとっても動きやすい情報になります。

家族が聞いた見通しは、親本人にも伝えなければいけませんか?

決まりはありません。本人が知りたいと言っているなら、主治医と相談して伝え方や場面を考えます。知りたくないと言っているなら、伝えないことも本人の意思を尊重する選択です。迷うときは家族だけで抱えず、主治医や病棟の看護師、がん相談支援センターに「本人にどう伝えるか」を相談してください。

主治医と話す時間がなかなか取れません。ほかに聞ける人はいますか?

毎日の様子を見ている病棟の看護師さんに、「先生と話す前に、最近の変化を教えてください」と頼むことができます。療養の場所やお金、仕事との両立のことは、病院に医療ソーシャルワーカーがいれば相談できます(窓口の名前は病院によって違います)。聞き方そのものを整理したいときは、がん相談支援センターや、がんと家族の相談室の電話も使えます。

夜中に親の容体が急に変わったら、どこに連絡すればいいですか?

入院中であれば、変化があったときは病院から家族に連絡が入るのが一般的です。自宅で療養している場合は、訪問看護や在宅医から伝えられている夜間の連絡先へ電話してください。呼吸が止まりそう、呼びかけに反応しないなど命に関わると感じたときは119番です。救急車を呼ぶか迷うときに「#7119」で相談できる地域もありますが、実施していない地域もあります。

数字を探す夜を、ひとりで過ごさないために

フォームに、どなたのことか(父・母)と今の様子をひとこと、お電話のご希望の時間帯を書いて送ってください。お名前はニックネームで構いません。送信後すぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当からお電話して、先生の言葉の一般的な意味と、次の面談で聞く3つの質問を一緒に整えます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

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    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    「あとどれくらい」の答えを待つより、会える時間の使い方を決める

    親御さんの病状の見通しは、主治医や病棟の看護師がいちばんよく知っています。ご家族として尋ねてよいことです。はっきりした数字が出なくても、「会っておいてほしい人を呼ぶ目安」を聞いておくと、動くタイミングを決める手がかりになります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「遠方の家族を呼ぶなら、いつごろが目安になりますか。」

    1. 誰が誰に知らせるか、連絡の順番をきょうだいで決めておく
    2. 泊まるか帰るか迷う夜のために、家族へ連絡をもらう基準を看護師に聞いておく
    3. 仕事の休み方(介護休暇・介護休業など)を、職場に早めに確かめておく

    手元にあると話しやすいもの

    • 家族・親族の連絡先の一覧
    • 勤務先の休みの制度が分かるもの(就業規則など)

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    勤務先の人事・総務の窓口
    介護休業・介護休暇や、治療と仕事の両立の制度を確かめられます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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