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同居の配偶者ががんで眠れない・つらい|共倒れを防ぐ自分の守り方

このテーマの総論:夫・妻のがん、あとどれくらい?|配偶者の見通しの聞き方

この記事の結論

同じ家で看る配偶者が逃げ場のなさに苦しむのは、看病から離れる時間が一日のどこにもないからです。家の中に看病の外の時間と場所をつくり、訪問看護や短い入院・ショートステイで家を離れる時間を予定に入れます。眠れない状態が続くなら、自分の受診も考えてください。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会資料「在宅(その3)」(令和5年10月20… ほか10件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

同じ家で配偶者を看ていて「逃げ場がない」と感じるのは、あなたが弱いからではなく、休みのない場所に毎日いるからです。自分を守るために必要なのは、気合いではなく区切りです。家の中に看病から離れる時間と場所をつくり、訪問看護や短い入院、ショートステイのような仕組みを使って、家を離れる時間を予定として組み込んでいきます。

どのくらいつらくなるか、どの仕組みが使えるかは、病状や住んでいる地域、家族の事情によって違います。この記事では、同じ家で休みなく支える配偶者の「逃げ場のなさ」に絞って、一人の時間をつくる方法と、自分の受診を考える目安をまとめました。夜、隣で眠れない不安との付き合い方は隣で眠る配偶者の夜の過ごし方に、家族の限界のサイン全般は家族が自分を守る3つの方法にあります。

同じ家で、休みなく看ている方へ

  • 病院から帰っても、家には夫がいる。看病に休みの日がない。
  • 夫の顔色ひとつで一日の気分が決まり、夜になっても眠れない。
  • 親の看病なら自分の家に帰れたのに、と思ってしまう。逃げ場がなくて、心も体も限界に近い。

配偶者ががんで、同じ家にいるので逃げ場がなく、不安で眠れずつらいです。どう自分を守ればいいですか?

休みのない場所にいることを、まず認めてください。そのうえで、家の中に看病から離れる区切りをつくり、訪問看護や短い入院・ショートステイなどで家を離れる時間を予定に入れます。眠れない状態が続くなら、自分の受診も考えます。

会社員には勤務時間があり、休日があります。同じ家で配偶者を看る人には、そのどちらもありません。朝は顔色を確かめ、昼は食事と薬の世話をし、夜は物音に耳をすませる。夫が眠っている間も、どこかで呼ばれるのを待っている。体は座っていても、気持ちはずっと持ち場についたままです。それで眠れなくなり、つらくなるのは、当然の成り行きです。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、本人を気づかって気持ちを我慢し、自分の暮らしも回し続けなければならない家族について、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と書いています。同じ家にいる配偶者は、その中でも看病から物理的に離れにくい立場です。「つらい」と口にしていいのです。それは夫を見捨てる言葉ではありません。

自分を守る手立ては、いきなり大きなものから始めなくてかまいません。家の中の小さな区切りから、家を離れるまとまった休みまで、できるところから重ねていきます。

  1. 1家の中の区切り決めた場所と時間だけは「看病の外」にする
  2. 2家の外に出る1時間訪問看護や家族がいる時間に、近所を歩く・買い物に行く
  3. 3半日の外出家族や介護のサービスに頼み、自分の用事や受診に使う
  4. 4まとまった休み短い入院やショートステイで、数日続けて休む
  5. 5自分の受診眠り・食事・体調の不調が続くときは、かかりつけ医などへ
自分を守る手立てを、小さいものから重ねる順番

同じ家で配偶者を看るつらさは、親の看病と何が違うのですか?

帰る家がないこと、相手の気分や体調に自分の心が引きずられやすいこと、夫婦の役割が「看る人」に固定されやすいことの3つです。親を看るときにはあった、看病から離れる時間が、同じ家ではほとんど生まれません。

離れて暮らす親の看病なら、面会のあとは自分の家に帰れます。帰り道がどんなにつらくても、玄関を開ければ自分の場所に戻れる。配偶者の看病では、病院から帰った家にも本人がいます。在宅で療養が始まると、リビングに介護用のベッドが入り、テーブルに薬の箱が並び、くつろいでいた場所が少しずつ看病の場所に変わっていきます。

毎日いちばん近くにいるからこそ、本人の小さな変化にも心が揺れます。朝の顔色、食事の量、ため息の数。食べてくれた日はほっとし、残した日は一日じゅう気持ちが沈む。相手の調子に合わせて自分の気分まで上下するので、本人の体調が落ち着かない時期ほど、看る側の心も休まりません。

役割の偏りも重なります。家事やお金の管理、親戚への連絡、子どものこと。夫婦で分けていた用事まで、一人に集まってきます。冗談を言い合ったり、どうでもいい話で笑ったりする、ただの夫婦の時間は減っていき、「看る人」と「看られる人」の関係だけが残ってしまう。いちばんの話し相手だった夫に、その重さを話せないことも、逃げ場のなさに拍車をかけます。

観点離れて暮らす親を看るとき同じ家で配偶者を看るとき
看病から離れる時間面会のあと、自分の家に帰れる家に帰っても本人がいる
気持ちの揺れ面会の時間に集中しやすい朝から夜まで、相手の様子に引っぱられやすい
役割きょうだいなどと分けやすい夫婦で分けていた家事やお金の管理まで集まる
話し相手自分の配偶者に愚痴を言えるいちばんの話し相手が本人になっている
眠り自分の家では眠れる夜も本人の気配がすぐそばにある
離れて暮らす親を看るときと、同じ家で配偶者を看るときの違い

共倒れが近づいているサインには、どんなものがありますか?

同居の配偶者に出やすいのは、自分の通院や薬を後回しにする、本人以外と話さない日が続く、外に出ても落ち着かずすぐ帰ってしまう、といった変化です。自分の暮らしが、本人の世話だけで回っていないかを見てください。

  • 自分の持病の薬が切れたままになっている。通院や健診を先延ばしにしている
  • 本人以外の人と、ほとんど話さない日が続いている
  • 外に出ても本人が気になり、用事を済ませるとすぐ帰ってしまう
  • 本人の顔色や食事の量で、一日の気分が決まってしまう
  • 座って食事をすることがなく、台所で立ったまま済ませている
  • 本人にきつく当たり、そのあと強く自分を責める
  • 「どこかへ逃げたい」「全部投げ出したい」と思う瞬間が増えた
同じ家で看る配偶者が見落としやすい、共倒れのサイン

数を数えるより、「前の自分なら、こうはしなかった」と思う項目があるかを見てください。それが、暮らしが看病だけで回り始めている印です。とくに最初の項目は、同居の配偶者が見落としやすいものです。夫の通院の予定は手帳にびっしり書いてあるのに、自分の血圧の薬は切れたまま。そんな状態に、あとになって気づくこともあります。

共倒れという言葉は、大げさに聞こえるかもしれません。けれど、主に看ている人が体調を崩すと、夫の療養の形そのものを変えなければならなくなることがあります。家で過ごしたいという夫の希望を守るためにも、看る側が倒れない仕組みが要ります。自分を守ることは、夫の望む過ごし方を守ることでもあるのです。

家の中に、看病から離れる時間と場所はどうつくればいいですか?

家の中の一か所と、一日のうちの短い時間を決めて、そこだけは「看病の外」にします。本人にも「この時間は休憩ね」と伝えておくと、呼ばれるかもしれないと身構えずにすみ、短くても本当の休みになります。

場所は、自分のためだけの一か所を選びます。寝室の隅の椅子、ベランダ、浴室、駐車場の車の中。どこでもかまいませんが、本人のベッドが見えない場所のほうが、気持ちが切り替わりやすくなります。時間は、夫が昼寝をする時間や、夕食の片づけが終わったあとの15分など、毎日おおよそ同じころにします。決まった時間に決まった場所へ行くことが、体に「今は休み」と知らせる合図になります。

大事なのは、本人と共有しておくことです。例:「3時から3時半までは、ベランダでお茶を飲んでくるね。何かあったら、この呼び鈴を鳴らして」。黙って席を外すと、本人は不安になり、看る側も落ち着きません。声の届く場所にいることと、呼ぶ手段があることを伝えておけば、お互いに安心して離れられます。

もう一つ、看病の役を降りて、ただの夫婦に戻る時間をつくる方法もあります。体温や薬の話はしないと決めて、古いアルバムを一緒にめくる、好きだったテレビ番組を並んで見る。看る人と看られる人ではない時間が、役割の固まりを少しゆるめてくれます。

訪問看護は、看る側の休みにも役立ちますか?

役立ちます。訪問看護は本人の体のケアのための仕組みですが、家族の疲れや眠れなさを看護師に話してかまいません。家族が休む方法を一緒に考えてほしいと、遠慮せずに伝えてください。

がん情報サービスにも、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してかまわないことが書かれています。毎回の訪問は、本人の様子を伝える時間であると同時に、看る側の様子を知ってもらえる時間でもあります。例:「実は、夜ほとんど眠れていません」「家族が休める方法を相談したいです」。この一言が、看護師と一緒に支え方を見直すきっかけになることがあります。

制度の面では、「末期の悪性腫瘍」の場合、要介護認定を受けていても訪問看護は医療保険の扱いになり、医療保険で原則とされる週3日以内という日数の制限もかかりません。どちらの保険になるかは利用する側の希望では選べず、主治医の指示が前提です。訪問の回数や時間帯をどうするかは、主治医や訪問看護ステーションと相談します。

訪問のあいだに家族が少し外へ出てよいかどうかは、事業所の考え方や本人の状態によって違います。「訪問のあいだに、近所を歩いてきてもいいですか」と一度聞いてみてください。了解が得られれば、その1時間が、家を離れて深呼吸できる時間になります。

短い入院やショートステイで、まとまって休むことはできますか?

病状や地域によっては、できる場合があります。家族が休むための短い入院や、本人が介護保険の施設に短い期間泊まるショートステイなどです。使えるか、受け入れ先があるかは、主治医や訪問看護師、ケアマネジャーに尋ねます。

家族が休むために本人を一時的に預ける仕組みは、レスパイトと呼ばれることがあります。病院によっては、家族の休息のための短い入院を受け入れているところがあります。介護保険のサービスには、本人が短い期間、施設に泊まるショートステイもあります。ただ、医療的なケアが必要な人を受け入れられるかどうかは、病院や施設によって違います。名前や条件は地域ごとにさまざまなので、「家族がまとまって休む方法はありますか」と、目的から尋ねると話が早く進みます。

介護保険のサービスを使うには、市区町村の窓口で要介護認定を申請します。65歳以上の人は、要介護・要支援と認定されれば、病気の種類を問わず使えます。40〜64歳で医療保険に加入している人は、がんが原因で要介護・要支援と認定された場合に使えます。厚生労働省は、このがんの条件を「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)」と示しています。申請から認定の通知までは原則30日以内です。どこに相談すればよいか分からなければ、市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターに尋ねます。通院先の病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、療養の場の変化や使える行政サービスの相談にも応じてもらえます。

  1. 1困りごとを伝える訪問看護師や主治医に「家族が休めていない」と具体的に話す
  2. 2選べる形を聞く短い入院、ショートステイ、家族の交代など、使える形を尋ねる
  3. 3介護保険を確かめる要介護認定がまだなら、市区町村の窓口で申請を相談する
  4. 4受け入れ先を探すケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーに、条件に合う先を相談する
  5. 5本人と話す休む理由と期間を、本人の気持ちを聞きながら伝える
  6. 6短く試して見直す初めは短い期間で試し、本人と家族の様子を見て次を決める
家族が休むための短い入院やショートステイを相談する流れ

本人が「家にいたい」「知らない人は嫌だ」と言ったら、どうすればいいですか?

本人の気持ちをまず受け止め、休みが本人のためでもあることを、自分の言葉で伝えます。いきなり家を離れる預かりを提案するより、家に来てもらうサービスや短い外出から始めるほうが、本人も受け入れやすくなります。

本人にとって、家を離れて泊まることは「見捨てられる」ように感じられることがあります。家に知らない人が入ってくることも、落ち着かないものです。「妻にしか頼みたくない」という気持ちは、それだけ信頼しているということでもあります。だからこそ、休みの話は、責める調子ではなく、二人の今後の話として切り出します。

例:「あなたと長く一緒にいたいから、少しだけ休ませてほしいの。倒れたら、そばにいられなくなるから」。本人の前で言いにくければ、訪問看護師や主治医に同席してもらい、家族が休む大切さを第三者の口から話してもらう方法もあります。

本人が強く嫌がるときに、無理に進める必要はありません。家に来てもらう看護や介護、子どもやきょうだいの泊まりなど、家を離れない形から始めます。本人の希望と、看る側の限界の両方を医療者に伝えて、その間をとる方法を一緒に探してください。

  1. Q1家の中に、一人になれる場所と時間がありますか

    はいその時間を本人にも伝え、毎日「看病の外」にする

    いいえ訪問看護や家族がいる時間に、外へ出る1時間を決める

  2. Q2頼める家族や友人が、近くにいますか

    はい曜日と時間を決めて、半日の留守番を頼む

    いいえ訪問看護師やケアマネジャーに、使えるサービスを尋ねる

  3. Q3眠れない・食べられない状態が続き、暮らしに差し支えていますか

    はいまとまって休める短い入院やショートステイを相談し、自分の受診も予約する

    いいえ今の区切りを続け、つらくなった日に見直す

今の自分に合う休み方を選ぶ分かれ道

自分の体のことで、受診を考えたほうがいいのはどんなときですか?

眠れない、食べられない、体の不調が続いて、家事や仕事に差し支えているときは、受診を考える目安です。自分の持病の通院や薬を止めているときも、早めにかかりつけ医へ。命に関わると感じたら119番です。

受診するかどうかを、日数で区切る決まりはありません。それよりも、前の自分と比べて変わったか、その状態が続いているか、暮らしに響いているかで考えます。最初の相談先は、ふだんかかっている内科やかかりつけ医で十分です。沈んだ気分や不安のほうが主な困りごとなら、心療内科や精神科を選ぶこともできます。受診するときは「家族を自宅で看病しています」と伝えると、医師も生活の事情を踏まえて考えやすくなります。眠り・食事・体調の変化ごとの目安は、看病で眠れない・食べられないときの受診目安で詳しく取り上げています。

同居の配偶者がつまずきやすいのは、「受診の日に、夫を誰に頼むか」です。この壁があるために、自分の通院を後回しにし続けてしまう。受診の日は、子どもやきょうだいに半日だけ来てもらう、介護のサービスの時間に合わせる、短い入院やショートステイの期間に予約を入れる、といった形で、先に本人の見守りを決めてから予約をとると動きやすくなります。

どこに相談すればいいか分からないときは、がん相談支援センターが使えます。全国のがん診療連携拠点病院などにあり、家族だけでも、その病院に通っていなくても、無料・匿名で相談でき、相談した人の同意なしに内容が担当医などへ伝わることはありません。気持ちの落ち込みが続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)から地域の公的な相談窓口につながります。つながる曜日や時間帯は地域ごとに異なり、通話料も自己負担です。

「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶときは、日を置かずに誰かとつながってください。よりそいホットライン(0120-279-338)は、昼も夜も無料で電話を受けています。胸の痛みや強い息苦しさなど、自分の体に急な異変があるときは119番、救急車を呼ぶか迷うときは、地域によっては#7119で相談できます。

同じ家で休みなく看ていた妻は、どう一人の時間を取り戻した?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
60代・妻の立場(60代の夫が自宅で療養中で、訪問診療と訪問看護を利用。子どもは独立して県外に住んでいる。妻は持病の高血圧の通院を半年ほど止めていた)
相談のあとに変わったこと
週2回、訪問看護の時間に1時間ほど外へ出るようになり、止めていた自分の通院も再開した。夫の短い入院の間に、まとまって3晩眠ることができた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から2か月。この方は火曜と金曜、訪問看護師が来ている時間に、近所の公園まで歩くようになりました。看護師に「訪問のあいだに外へ出てもいいですか」と尋ね、了解をもらっています。半年止めていた自分の血圧の通院も、県外の息子が月に一度、土曜に来てくれる日に合わせて再開しました。主治医との相談で、夫が数日間の短い入院をした間には、3晩続けて朝まで眠れたといいます。「家に帰ってきて、『ただいま』と言えたのは何か月ぶりだったか」。

2. 相談を考えた背景

夫が家で療養するようになって4か月。リビングに介護用のベッドが入り、この方は一日じゅう夫のそばにいました。夫が眠っている間も物音に耳をすませ、食事の量で一喜一憂する毎日。自分の薬が切れていることには、気づいていても見ないふりをしていました。

3. 相談する前に困っていたこと

夜中に「配偶者 がん 眠れない つらい」と検索しては、共倒れという言葉を見て怖くなりました。家族が休むための仕組みがあるらしいとは分かっても、高齢の人のためのものだと思い込み、自分たちが使えるのか分かりませんでした。訪問看護師に「奥さんは眠れていますか」と聞かれても、「大丈夫です」と答えていました。

4. ここを選んだ理由・決め手

誰に何を頼めばいいのか、外の人と一緒に整理したい。そう思ってフォームを開き、夫が昼寝をする平日の14時台を選んで申し込みました。ニックネームでよかったこと、医療機関ではない場所で、自分の話から始められそうだったことが決め手でした。

5. 相談で話したこと・その後

電話の担当は名前を名乗り、最初はただ話を聞きました。そのあと一週間の予定を一緒に書き出し、外に出られそうな時間を三つ見つけています。訪問看護師に聞くことも「家族が休むために使える方法はありますか」「訪問のあいだに外へ出てもいいですか」の二つにまとめました。担当は、夫の病状や入院できるかどうかについては判断していません。次の訪問で看護師に二つを尋ねると、主治医やケアマネジャーとも話がつながり、短い入院の相談が進みました。入院の話を切り出したとき、夫は「お前が倒れたら困るからな」と言ったそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 家族が休むために使える方法(短い入院や、施設に泊まるサービスなど)はありますか。
  • 訪問のあいだに、家族が少し外へ出てもかまいませんか。
  • 訪問看護の回数や時間帯を、家族の負担に合わせて相談できますか。
  • 家族の眠れなさや体調のことも、こちらで相談してよいでしょうか。
  • 本人が家を離れたくないと言っています。本人の希望を守りながら家族が休む方法はありますか。

とはいえ、同じ家で看ているあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──「逃げたい」と思うのは、気持ちが冷めたからではない

同じ家で看ていると、ふと「どこかへ逃げたい」と思う瞬間があります。そう思った自分にぞっとして、あわてて打ち消すかもしれません。けれど、休みのない場所に長くいれば、誰でも外の空気を吸いたくなります。それは夫への気持ちが冷めた印ではなく、体と心が休みを求めている印です。逃げたいと感じた日は、短い外出を予定に入れる合図だと受け取ってください。

② 実務のこと──「家族が休む時間」を、ケアの組み立てに入れてもらう

介護保険のサービスを使っている場合、サービスの組み合わせは、ケアマネジャーが本人や家族と相談して決めていきます。そのとき、「家族が休む時間」も、本人のケアと同じ重さの項目として伝えてください。訪問看護師にも、家族の休みが必要なことを共有しておきます。看る側の休みが、その場の思いつきではなく、最初から組み立ての中に入っていれば、休むたびに後ろめたさを感じずにすみます。

今日できること

同じ家で看るあなたが、今夜から明日にできる3つのこと

  1. 一週間を書き出す

    紙に1週間の予定を書き、訪問看護や家族が来る時間に印をつけます。その中の1時間を「一人の時間」と決めます。

  2. 看護師への一言を用意する

    次の訪問で「家族が休める方法を相談したいです」と言えるよう、メモに書いて目につく場所に置きます。

  3. 自分の薬と通院を確かめる

    切れている薬や止めている通院がないかを確かめ、あれば予約の電話をかける日を決めます。

よくある質問

「レスパイト」という言葉を初めて聞きました。どういう意味ですか?

介護をしている家族が休めるように、本人を一時的に預けたり、サービスで手を借りたりすることを指して使われる言葉です。病院の短い入院や、介護保険のショートステイなど、形も呼び名も地域や施設によって違います。言葉にこだわらず、「家族がまとまって休む方法はありますか」と主治医や訪問看護師、ケアマネジャーに尋ねてください。

夫は50代です。それでも介護保険のサービスは使えますか?

40〜64歳の人も、がんが原因の場合は、要介護認定を受ければ介護保険のサービスを使えます。厚生労働省の示す条件は「がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)」です。申請は市区町村の窓口で行い、相談は市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターでできます。

夫を残して出かけると、何かあったらと不安で落ち着きません。

初めは不安で当然です。出かける前に、何かあったときの連絡先と、呼ぶ方法を本人と確かめておきます。近所を歩く15分から始め、携帯電話は音が鳴る状態で持ち歩きます。訪問看護師や家族がいる時間を選べば、さらに安心して離れられます。少しずつ外にいる時間を延ばし、離れても大丈夫だった経験を重ねていくと、不安は小さくなっていきます。

仕事を辞めて、看病に専念したほうがいいでしょうか?

大きな決断は、疲れきっている時期に急がなくてかまいません。仕事は収入だけでなく、家の外に出て看病から離れる時間でもあります。勤め先の介護休暇(対象の家族が1人なら1年に5日まで、時間単位でも取れる)や介護休業(対象の家族1人につき通算93日まで、3回まで分割)を確かめ、まずは休み方を組み合わせてから考えても遅くはありません。

看護師さんに、自分のつらさまで話していいのでしょうか?

話してかまいません。がん情報サービスにも、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してよいこと、相談しにくいときは看護師やがん相談支援センターに相談できることが書かれています。看る側が倒れずにいることは、本人の療養を続けるうえでも大事なことです。

誰にも「つらい」と言えません。どこに話せばいいですか?

がん相談支援センターなら、家族だけで、名前を出さずに相談できます。がんと家族の相談室では、評価も助言もしない20分の電話をお受けしており、ご希望があれば記録も残しません。電話は平日9時〜18時なら担当が直接出て、それ以外の時間は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します。夜中に今すぐ誰かと話したいときは、よりそいホットラインが24時間受け付けています。

家を離れる時間を、一緒に予定へ組み込みませんか

お名前はニックネームで大丈夫です。電話を受けやすい時間帯を書いて送ってください。送信と同時に受付確認のメールが届き、書いていただいた時間帯に担当が電話をかけます。一週間の予定を一緒に見ながら、誰に何を頼めば一人の時間がつくれるかを整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    いちばん近い人だからこそ、ひとりで抱え込まない

    パートナーの病気は、暮らし・お金・お子さんのこと・仕事が一度に重なりやすいものです。病状のことは主治医へ、お金や制度のことはがん相談支援センターや病院の医療ソーシャルワーカーへ。相談先を分けると、ひとつずつ進められます。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「これからの生活のことは、どなたに相談すればよいですか。」

    1. パートナー本人が何を知りたいか、どこまで話したいかを確かめる
    2. 医療費や仕事の制度(高額療養費制度・傷病手当金など)を、相談先で確かめる
    3. お子さんへの伝え方に迷うときも、ひとりで決めずに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 健康保険の資格が分かるもの(マイナ保険証・資格確認書など)
    • 医療費の領収書

    公的な相談先

    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。
    加入している健康保険の窓口
    高額療養費制度や傷病手当金などの手続きを確かめられます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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