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進行したがんを家族にどう伝える?|説明の順番と不安の相談先

このテーマの総論:ステージ1〜ステージ4で余命は違う?|がんの生存率の読み方

この記事には、余命や生存率などの数字の話が出てきます。数字は多くの方をまとめた統計で、一人ひとりの予測ではありません。読むのがつらいときは、途中で閉じても大丈夫です。

この記事の結論

がんが進行したことをほかの家族に伝えるときは、医師が言った事実、医師の言葉のままの見通し、本人の希望、次に決めることの順で短く伝えると、聞く側も受け止めやすくなります。伝える前に、本人が誰にどこまで知らせてほしいかを確かめます。説明役のあなた自身の不安も、相談窓口で話してかまいません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「『がん相談支援センター』とは」/同「相談… ほか13件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

がんが進んだという説明を受けたあと、ほかの家族には、医師が言った事実、医師が使った言葉のままの見通し、本人の希望、次に決めること、の順で短く伝えると、聞く側も状況をつかみやすくなります。全部を一度に話す必要はなく、相手によって伝える量や方法を変えてかまいません。

ただ、その前に一つ確かめておきたいことがあります。病状は、まず本人のものだということです。本人が誰に、どこまで知らせてほしいと思っているかを、できる範囲で確かめておくと、あとで本人と家族のあいだに溝ができにくくなります。

この記事では、伝える前に確かめること、伝える順番と文面の例、遠方のきょうだいや高齢の親に伝えるときの配慮、最期に向けた備えの入口、そして説明役を引き受けたあなた自身の不安を話せる相談先を、順にまとめました。

説明を一人で聞いて、このページを開いた方へ

  • 主治医の説明を聞いたのは、家族の中で自分だけ。遠方の兄や高齢の母に、どこまで、どう伝えればいいのか分からない。
  • 自分の不安は後回しにしてきたけれど、夜になると怖くて泣いてしまう。
  • 誰かに話したい。でも、誰に話せばいいのかも分からない。

父のがんが進行しました。他の家族にどう説明し、最期に向けて何を備え、不安はどこに相談すればいいですか?

説明は「事実・見通し・本人の希望・次に決めること」の順で短く。備えは、本人の希望を聞くことと連絡の段取りから少しずつ。あなた自身の不安は、がん相談支援センターや、電話・LINEの相談窓口で話してかまいません。

この問いには、三つの荷物が重なっています。家族に伝える役目、これからに備える役目、そして自分の怖さ。どれも重いのに、説明を聞いた人は、ひとりで全部を背負ってしまいがちです。三つを分けて考えるだけで、今夜手をつけることは、ずっと小さくなります。

今夜決めるのは、「最初に誰に伝えるか」の一つだけで十分です。文面はこの記事の例を参考に明日書けばよく、備えは今週のうちに一つ始めれば間に合います。そして、自分の気持ちを話す先は、家族に伝えるより先に持ってかまいません。話して整理してから伝えるほうが、言葉を選ぶ余裕が生まれます。

家族に伝える前に、本人について確かめておくことはありますか?

本人が、誰に、どこまで知らせてほしいと思っているかです。病状は本人のものなので、確かめずに広く伝えると、あとで本人が傷つくことがあります。聞きにくければ、「お兄ちゃんにも先生の話を伝えていい?」の一言からで十分です。

たとえば(例)、「母さんには心配をかけたくないから、細かいことは言わないでほしい」「兄貴には自分から言いたい」。本人には本人の考えがあり、その多くは家族を思う気持ちから出てきます。先に確かめておけば、伝えたあとに「勝手に話した」とすれ違うことを防げます。知りたくないこと、知らせたくないことがあるのも、本人の大事な権利です。

もう一つ確かめておきたいのが、本人が主治医からどこまで説明を受けているかです。家族だけが詳しい話を聞いている場合、家族の会話から本人が初めて病状を知ることになりかねません。説明の場に本人がいなかったなら、主治医に「本人にはどこまで説明していますか」と確かめ、家族の中で話がちぐはぐにならないようにしておきます。本人の気持ちの聞き方に迷うときは、本人に何をどんな順番で聞くかも参考になります。

  1. Q1本人は、主治医の説明を一緒に聞いていましたか

    はい本人に「誰に、どこまで伝えていいか」を確かめる

    いいえ先に主治医に「本人にはどこまで説明していますか」と聞く

  2. Q2本人が「まだ知らせないで」と言っている相手はいますか

    はいその気持ちを尊重し、いつ、誰から伝えるかを本人と相談する

    いいえ伝える順番を決め、短い文面から始める

家族に伝える前に、本人について確かめる分かれ道

病状は、どんな順番で伝えればいいですか?

①医師が言った事実、②医師が使った言葉のままの見通し、③本人の希望、④次に決めることと日付、の順にすると、聞く側が状況をつかみやすくなります。自分の解釈や検索で見た数字は、聞かれたときに添える程度にとどめます。

事実を先に置くのは、うわさや思い込みが入りにくくなるからです。見通しを医師の言葉のまま伝えるのは、伝言のたびに言葉が強くなっていくのを防ぐためです。「治療が効きにくくなっている」が、人づてに伝わるうちに「もう手の施しようがない」に変わってしまうこともあります。本人の希望を三番目に置くと、家族の話が「どうなるか」から「どうしたいか」に向きます。最後の「次に決めること」は、聞いた人が自分の役割を見つける手がかりになります。

文面の例です(例)。「お兄ちゃんへ。今日、お父さんの診察で先生から説明があったので知らせます。CTで、肝臓の転移が前より大きくなっていると言われました。先生は『今の治療は効きにくくなっている。次の治療を一緒に考えましょう』と話していました。お父さんは『できるだけ家で過ごしたい』と言っています。来週水曜に次の治療の説明があります。電話でもいいので、一緒に聞いてもらえると助かります」。短く、事実が中心で、次の予定が入っていれば十分です。

  1. 1事実医師が言ったことを、聞いたままの言葉で
  2. 2見通し医師が使った言葉で。自分の解釈や検索した数字は足さない
  3. 3本人の希望本人が口にした「したいこと」「してほしくないこと」
  4. 4次に決めること次の説明の日、手伝ってほしいこと、返事がほしい時期
家族に病状を伝える順番(上から順に話すと伝わりやすい)

遠方のきょうだいには、どう伝えればいいですか?

電話かビデオ通話で直接伝え、同じ内容を短い文面でも送っておくと、聞き漏れや思い違いを減らせます。「何をしてほしいか」を具体的に添えると、離れていてもできる役割が見つかり、相手も動きやすくなります。

離れて暮らすきょうだいは、変化を一度にまとめて知ることになります。驚きのあまり、「どうしてもっと早く言わなかったのか」「別の病院で診てもらうべきだ」と強い言葉が返ってくることもあります。それは、責めているというより、そばにいられないもどかしさの表れであることもあります。その場で言い返さず、「先生の言葉は、送った文面のとおり。次の説明で一緒に聞いてほしい」と、医師の話に立ち戻るのが近道です。

離れていてもできる役割は、案外たくさんあります。医療費や介護の制度を調べる、親戚への連絡を引き受ける、付き添いを交代する日を先に決める、費用の分担を考える。頼むときは「何かあったら言って」ではなく、「来月の第2週に、3日間付き添いを代わってほしい」のように具体的にすると、相手も返事をしやすくなります。次の説明の場に、電話やビデオ通話で参加できるかどうかは、病院によって違うので、前もって看護師に尋ねてみてください。

高齢の母に伝えるときは、何に気をつければいいですか?

一度に全部を伝えず、短く区切って、できれば顔を見ながら話します。同じことを何度か伝える前提で構いません。伝えたあとに一人にしない段取りも、一緒に考えておきます。

高齢の親が、本人と二人で暮らしている配偶者という場合もあります。いちばん近くで本人を支えている人だからこそ、受け止めるのに時間がかかります。電話で大事な話を一度に伝えると、言葉の一部だけが残って不安がふくらむことがあります。できれば実家で、お茶を飲みながら、ゆっくり話します。聞こえや、覚えておく力に心配があるときは、要点を大きな字で紙に書いて渡すと、あとで読み返せます。

伝えたあとは、話を聞いて終わりにしないことが大切です。その夜は誰かが泊まる、翌日に電話をかける、眠れているか、食べられているかを気にかける。「お父さんの好きなものを一緒に考えてほしい」のように、母にしかできない役割を頼むと、気持ちの置き場所になることもあります。母自身の暮らしや介護の負担が心配なときは、地域の高齢者と家族の相談を受ける地域包括支援センターにも相談できます。

遠方のきょうだいには

  • 電話かビデオ通話で直接伝え、同じ内容を文面でも送る
  • 手伝ってほしいことを、日付まで具体的に頼む
  • 次の説明の日を知らせ、参加を誘う

高齢の親には

  • できれば顔を見て、短く区切って話す
  • 同じことを何度か伝える前提で、紙にも書く
  • 伝えたあと、一人にしない段取りをつける
遠方のきょうだいと高齢の親とで、変えたい伝え方

最期に向けて、家族は何から備えればいいですか?

まず本人の希望を少しずつ聞くこと、次に連絡と付き添いの段取り、そのあとにお金や介護の制度です。全部を急ぐ必要はなく、「今週は希望を一つ聞く」くらいの歩幅で十分です。

備えの中心にあるのは、本人の希望です。もしものときに望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みは、厚生労働省によって「人生会議」と名づけられ、国の指針も本人による意思決定を基本にしています。「最期をどこで」と正面から聞かなくても、「家と病院、どっちが落ち着く?」「会っておきたい人はいる?」といった問いから始められます。

こうした話し合いは、以前より身近になってきています。国立がん研究センターの「遺族調査報告書 2023年度調査」(2025年公表、2021年にがんで亡くなった方のご遺族1,226名が回答)によると、医師と最期の療養場所を話し合っていた割合は53%で、前回の調査の36%から増えていました(ご遺族が振り返って答えたものです)。話し合うことは、あきらめることではありません。

連絡の段取りは、急な変化のときに誰がどこへ電話し、誰が駆けつけるかを決めておくことです。命に関わると感じたら迷わず119番、という基本も、家族全員で共有しておきます。詳しい決め方は、急変に備える家族の連絡先にまとめています。制度は、必要になる前に窓口だけ確かめておきます。介護保険は、65歳以上なら原因を問わず、40〜64歳の方は、医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したがんなどの特定疾病が原因の場合に、要介護認定を受けて使えます。病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、療養の場所の変化や使える行政サービスの相談にも乗ってもらえます。

  1. 1今週本人の希望を一つ聞く(過ごしたい場所、会いたい人)
  2. 2次の診察まで主治医に聞くことを、家族で一つにまとめる
  3. 3今月のうち連絡の順番と付き添いの交代を決め、家族で共有する
  4. 4必要になる前に介護保険や医療費の制度の窓口を、一度確かめる
最期に向けた備えを始める順番の例(体調や本人の気持ちで入れ替えてよい)

説明役の自分が不安で、夜になると泣いてしまいます。どこに相談すればいいですか?

家族自身の不安も、相談してよいものです。がん相談支援センターは家族だけでも無料・匿名で使え、担当医や看護師に家族のつらさを話すこともできます。夜に誰かと話したいときは、24時間・無料の電話相談や、翌朝に返事が届くLINEもあります。

説明役になった人は、家族の前で崩れないように気を張り続け、ひとりになった途端に涙が出ることがあります。それは弱さではありません。家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の生活も保たなければならないことから、「第二の患者」ともいわれます(国立がん研究センター がん情報サービス)。2017年と2018年にがんで亡くなった方のご遺族を対象にした国立がん研究センターの遺族調査(2018〜2019年度調査、2022年公表、有効回答54,167名)でも、介護の負担感が大きかったという回答は38.9%ありました。重さを感じているのは、あなただけではありません。

がん情報サービスの「家族のがんが進行・再発したとき」でも、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してよいこと、相談しにくいときは看護師やがん相談支援センターに相談できることが紹介されています。がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにあり、その病院に通っていなくても、家族だけで無料・匿名で使えます。がんに詳しい看護師や、生活全般の相談ができるソーシャルワーカーなどが対応し、相談した人の同意なしに、話した内容が担当医や病院のスタッフに知られることはありません。平日の日中なら、国立がん研究センターの「がん情報サービスサポートセンター」(0570-02-3410 または 03-6706-7797、10時〜15時、通話料は自己負担)にも匿名で電話でき、12時〜15時はチャットでも相談できます。

夜のうちに誰かと話したいときは、24時間・無料のよりそいホットライン(0120-279-338)があります。がん専門の窓口ではありませんが、張りつめた気持ちを話すことができます。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、かけた地域の公的な相談機関につながる番号で、受付の曜日や時間は地域によって違い、通話料がかかります。

がんと家族の相談室も、その選択肢の一つです。2026年9月の実績(運営者集計)では、電話相談・問い合わせ1,200件のうち800件が、ご本人ではなくご家族からのものでした。お電話(080-4178-5017)は、平日9:00〜18:00は担当が直接お受けし、それ以外の時間は自動音声で受け付けて、翌朝9時までに担当から折り返します。LINEは無料で、匿名のままでも使え、夜のうちに送られたメッセージも翌朝いちばんに読んで返事をします。評価も助言もせず、ただ聞く20分の電話もお受けしています。家族に伝える前に、まず誰かに話して自分の気持ちを整えたいときにも使ってください。家族が自分を守る方法は、看病する家族が自分を守る3つの方法でも紹介しています。

説明役を引き受けたあなた

  • 担当医・看護師家族のつらさや困りごとも、相談してよい
  • がん相談支援センター家族だけでも無料・匿名。通っていない病院でも使える
  • がん情報サービスサポートセンター平日の日中に電話、昼はチャットでも。匿名で話せる
  • よりそいホットライン24時間・無料。夜に誰かと話したいとき
  • こころの健康相談統一ダイヤル地域の公的な相談機関へ。時間は地域ごとに違う
  • がんと家族の相談室電話・LINE・フォーム。伝え方の整理や、ただ聞く20分
説明役の家族が、自分の不安を話せる先
2026年9月の相談実績
サイト訪問120,000人
相談ページ訪問18,000人
電話相談・問い合わせ1,200件
うち、ご本人からのご相談400件
うち、ご家族からのご相談800件

2026年9月実績(運営者集計:スキマグループ合同会社)

2026年9月の実績(運営者集計):がんと家族の相談室に、ご本人とご家族から届いた電話相談・問い合わせの件数

父の病状の説明役を一人で抱えていた娘は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(70代の父が大腸がんで通院中。病状が進んだという説明を父と二人で聞いた。兄は県外に住み、70代の母は父と二人暮らし)
相談のあとに変わったこと
父に「誰に、どこまで伝えていいか」を確かめたうえで、兄には電話と同じ内容の文面で、母には実家で顔を見ながら伝えた。夜に涙が出たときは、LINEにひとこと送るようになった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談の翌日、女性はまず父に「先生の話、お兄ちゃんとお母さんにも伝えていい?」と聞きました。父の答えは「兄貴には全部。母さんには、細かいことはいい」。その夜、兄に電話をかけ、事実・先生の言葉・父の希望・次の説明の日の4行を、同じ文面でも送りました。母には週末に実家で、お茶を飲みながら短く話し、「お父さんの好きなものを一緒に考えてほしい」と頼みました。次の説明の日には、兄が仕事を休んで病院に来ました。夜に涙が出てしまったときは、相談室のLINEにひとこと送り、翌朝の返事を読んでから出勤しています。「説明役をやめたわけじゃない。でも、一人で抱える役ではなくなった」と話します。

2. 相談を考えた背景

定期の診察で、主治医から「今の治療は効きにくくなってきています。次の治療を考えましょう」と説明を受けたのは、父と彼女の二人だけでした。帰りの車で父はほとんど話さず、彼女も何を言えばいいのか分かりませんでした。

3. 相談する前に困っていたこと

兄はすぐに「なんで早く言わなかった」と言いそうで、心配性の母は寝込んでしまいそうで、誰にも伝えられないまま1週間が過ぎました。兄から届いた「親父の検査どうだった?」というメッセージにも、「また連絡する」とだけ返していました。夜、子どもが寝たあとに「がん 進行 家族に説明」と検索しては、風呂場で声を殺して泣く日が続きました。父の希望を聞いておくべきだと分かっていても、どう切り出せばいいのか見当がつきませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

家族の誰かに話す前に、家族ではない人に一度話して、頭の中を整えたかったといいます。平日の昼休みに080-4178-5017にかけると、担当が名前を名乗って出ました。「病院の人ではない」と分かったことで、父の病状のことも、自分が泣いていることも、そのまま話せたそうです。

5. 相談で話したこと・その後

担当は、最初の20分ほど、女性の話を評価も助言もせずに聞きました。そのうえで、主治医の言葉の一般的な意味を伝えましたが、父の見通しについての予測はしていません。伝える前に父の気持ちを確かめること、事実・見通し・父の希望・次に決めることの順で4行の文面にすることを、一緒に整理しました。自分の気持ちを話す先として、病院のがん相談支援センターが家族だけでも使えることも伝えました。女性は翌月、そのセンターにも一度足を運んでいます。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 父には、病状や見通しをどこまで説明していますか。
  • 家族に説明するとき、先生の言葉をそのまま使ってもよいですか。誤解しやすい点はありますか。
  • 次の説明の日に、離れて住む家族も電話やビデオ通話で参加できますか。
  • これから家族が備えておくことは、何から始めればよいですか。
  • 家族自身が不安で眠れないとき、病院の中で相談できるところはありますか。

とはいえ、説明役を引き受けたあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──泣いてしまう夜があっても、説明役は務まっている

家族の前では落ち着いて話し、夜になると涙が止まらない。そんな自分を、説明役に向いていないと責める必要はありません。泣けるのは、それだけ父のことを大切に思い、言葉を選んで伝えようとしてきたからです。まだ父がそばにいるのに、失うことを思って悲しくなる気持ちには「予期悲嘆」という名前があり、「喪失が現実となる以前に起こる悲嘆」と説明されています。悲しむことと、支えることは両立します。眠れない日が続く、食べられない、仕事が手につかないといった状態が続くときは、あなた自身の体と心のことも、かかりつけの医師や相談窓口に話してください。

② 実務のこと──説明役と相談役を分け、情報の出どころを一つにする

病院とのやりとりを担う「説明役」は、一人に決めておくと伝言のずれが減ります。ただし、説明役が家族への連絡まで全部を引き受けると、負担が集まりすぎます。親戚への連絡はきょうだいに、制度の調べものは別の家族に、と分けます。家族のグループの連絡先を一つ作り、医師から聞いたことは説明役がそこに同じ文面で載せる。誰が何を知っているかを、そこを見れば分かるようにしておきます。そして、説明役のあなたにも、話を聞いてくれる「相談役」を一人持っておいてください。配偶者や友人でも、相談窓口でもかまいません。受け止める側が一人で受け止め続けない形をつくることも、家族の備えの一つです。

今日できること

説明を一人で聞いた今夜から、明日にかけてできる3つのこと

  1. 本人に一言だけ確かめる

    「先生の話、お兄ちゃん(お母さん)にも伝えていい?」と聞き、答えをメモに残します。今夜聞けなければ、明日でかまいません。

  2. 4行の文面を下書きする

    事実・医師の言葉のままの見通し・本人の希望・次に決めることを、1行ずつ書きます。送るのは、読み直してからで大丈夫です。

  3. 自分の気持ちの置き場を一つ決める

    がん相談支援センターの場所を調べる、相談室のLINEに「今日、父の説明を一人で聞いた」と送る、など。夜に届いたLINEは、翌朝いちばんに読んで返事をします。

よくある質問

本人が「家族には言わないで」と言っています。どうすればいいですか?

まずは、その気持ちを尊重してください。理由を聞くと、「心配をかけたくない」「自分の口から言いたい」「今はまだ受け止めきれない」など、本人なりの思いが見えてくることがあります。「いつなら、誰からなら伝えてもいい?」と時期と伝え方を一緒に考えると、話が進むことがあります。介護の分担などで家族に知らせる必要が出てきて迷うときは、主治医や看護師、がん相談支援センターに相談してください。

きょうだいが「別の病院で診てもらうべきだ」と言います。

そうした選択肢の一つに、セカンドオピニオンがあります。担当医とは別の医師に、診断や治療の選び方についての意見を聞く方法で、病院を移ることとは別のものです。担当医に紹介状(診療情報提供書)や検査の資料を用意してもらって受け、公的医療保険が使えない自費の診療になり、費用は病院によって違います。受けるかどうかを決めるのは本人なので、きょうだいの意見は「こういう方法もあるみたい」と本人に伝える形にしてください。

子どもにも、祖父の病状を伝えたほうがいいですか?

決まった正解はありません。がん情報サービスは、親のがんについて子どもと話すときの考え方として、周りの大人が方針をそろえておくこと、子どものせいではないこと、うつらないことを伝えること、発達に合った言葉で段階的に話し、生活の中で変わることと変わらないことを伝えることを紹介しています。祖父母の病気を伝えるときも、こうした考え方が参考になります。

母に伝えたら泣き崩れてしまいました。伝えたのは間違いでしたか?

間違いではありません。大切な人の病状を知って泣くのは、自然な反応です。その場で無理に励まさず、そばにいて、話したくなったら聞く、という形で十分です。翌日にもう一度電話をかけ、眠れたか、食べられたかを気にかけてください。落ち込みが長く続くようなら、母のかかりつけの医師や地域包括支援センターに相談することもできます。

医療費や介護のことは、誰に相談すればいいですか?

病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、療養中の経済的な不安や、使える行政サービスについて相談できます(相談の窓口の名前は病院ごとに違います)。がん相談支援センターでも、家族だけで相談できます。介護保険を使いたいときは、お住まいの市区町村の窓口か地域包括支援センターが入口です。40〜64歳の方は、がん(医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)などの特定疾病が原因であることが条件になり、要介護認定も必要なので、窓口で確かめてください。

家族への伝え方と、あなた自身の不安を、一緒に整理しませんか

主治医から聞いた言葉と、伝えたい相手をひとことお書きください。お名前はニックネームでかまいません。送信するとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当がお電話して、まずお話を伺ったうえで、伝える順番と文面を一緒に整えます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    ステージや転移の意味を、「今の治療とケア」につなげて聞く

    ステージや転移という言葉は、それだけで先のことを決めるものではありません。大切なのは、今どんな治療やケアが考えられるかです。説明の言葉が分からないときは、そのまま「分からない」と伝えて大丈夫です。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「今の状態で考えられる治療とケアを、教えていただけますか。」

    1. 説明で出てきた言葉をメモして、分からないものに印をつける
    2. 治療の選び方に迷うときは、別の医師の意見を聞く方法もあると知っておく
    3. 急に具合が変わったときは、迷わず主治医や病棟に連絡する

    手元にあると話しやすいもの

    • 説明で出てきた言葉のメモ
    • 検査結果の控え

    公的な相談先

    セカンドオピニオン外来
    別の病院の医師に、診断や治療について意見を聞く方法です。主治医に紹介状と検査結果を用意してもらいます。
    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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