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急変に備える家族の連絡先|がんの病状が急変したときの判断

このテーマの総論:がんで最期が近いと食べられない?無理をさせない理由と口のケア

この記事では、最期が近いときの体の変化についてお伝えしています。いまは読みたくないときは、無理をせず、読める日まで閉じておいても大丈夫です。

この記事の結論

がんの急変(大量の出血、急な息苦しさ、意識の変化、激しい痛み)で命に関わると感じたら、迷わず119番です。在宅医や訪問看護と連絡の順番を決めている場合は、その取り決めに沿います。連絡する順番、電話で伝えること、本人の希望を1枚の紙にまとめ、家族全員で同じものを持っておくと迷いが減ります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」/厚生労働省「子ども… ほか7件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

がんの「急変」は、出血や呼吸の変化、意識の変化、激しい痛みなど、それまでの経過から外れた変化が短い時間に起きることを指して使われる言葉です。命に関わると感じたら、迷わず119番に電話してかまいません。そのうえで、在宅で療養している方や、もしものときの医療について本人の希望がある方は、どこへ先に電話するかを前もって医療者と決めておくと、慌てた場面で本人の思いと違う流れになるのを防ぎやすくなります。

急変がいつ、どんな形で起きるかは、がんの種類や広がり方によって違い、起きないまま過ごす方もいます。だからこそ、起きたときの手順を一度決めておけば、あとは日々の時間に気持ちを向けやすくなります。

この記事では、急変で起きうること、救急車と病院のどちらに連絡するかの考え方、在宅・通院中・入院中それぞれの連絡先の決め方、119番のあとの流れ、本人の希望を前もって共有する方法、電話のそばに貼る1枚の手順の作り方をまとめました。急に弱ったときの受診の目安と、夜間の相談先の振り分け方は、それぞれを扱う記事にお任せしています。

「急変することもあります」と言われて、眠れなくなった方へ

  • 先生に「急変することもあります」と言われた。でも、急変とは何が起きることなのか分からない。
  • そのとき救急車を呼ぶのか、主治医に電話するのか、まだ何も決まっていない。
  • 夜中にそれが起きたらと思うと、物音がするたびに目が覚めてしまう。

がんの「急変」とは、どんなことが起きるのですか?

大量の出血(血を吐く、黒い便や血便、傷口からの出血)、急な息苦しさ、意識の変化(呼びかけに反応しない、けいれん)、急に強くなる痛みや手足のまひなどが代表的です。どれが起きやすいかは、がんの種類や広がり方によって違います。

出血は、胃や腸のがんなら血を吐いたり、黒っぽい便や血の混じった便が出たりする形で、肺のがんなら血の混じった痰や、せきと一緒に血が出る形で表れることがあります。呼吸の変化は、胸に水がたまる、肺炎を起こす、血の塊が肺の血管に詰まる、といった理由で急に起こることがあります。

意識の変化は、脳への転移のほか、血液中のカルシウムの増加や感染症、薬の影響などでも起こります。痛みやまひは、骨への転移がある骨が折れたり、背骨の転移が神経を圧迫して足に力が入らなくなったりしたときに見られます。急変と呼ばれる変化の中には、早く手当てを始めれば和らげられるものもあります。

起きやすい急変は、一人ひとり違います。主治医に「父の場合、どんな急変が起こりやすいですか。そのとき家族は何をすればいいですか」と聞いておくと、備える範囲がぐっと絞られます。下の表は、電話をしながら、または電話のあとで到着や指示を待つ間に、家族ができることの一般的な例です。手当てのために電話を後回しにする必要はありません。電話の向こうの救急隊や医療者から指示があれば、そちらに従ってください。

種類家族が目にする様子の例電話と並行してできること
出血血を吐く、黒い便や血便、傷口の血が止まらない吐いているときは、顔と体を横に向ける。時刻と量の目安を覚えておく
呼吸の変化急に息が苦しい、肩で息をする、唇の色が悪い上半身を起こすなど、本人が楽な姿勢をとれるよう手伝う
意識の変化呼びかけに反応しない、けいれん、急につじつまが合わないけいれん中は口に物を入れず、周りの危ない物をどける。始まった時刻を見る
激しい痛み・まひ急な強い痛み、手足に力が入らない、尿や便が出ない指示されている痛み止めがあれば使い、痛む場所と時刻を書き留める
急変の主な種類と、家族が目にする様子・電話と並行してできることの例(指示があればそちらを優先)

がんの父が急変したとき、家族はどうすればいいですか?救急車を呼ぶべきですか、病院に連絡すべきですか?

命に関わると感じたら、迷わず119番です。命に関わるほどではないが急ぐ変化なら、まず病院や訪問看護など、その方を診ている医療者へ電話します。在宅で、もしものときの連絡の順番を医療者と決めている場合は、その取り決めに沿います。

119番と病院への電話は、役割が違います。119番は、救急隊が駆けつけ、命を救うための処置をしながら病院へ運ぶ仕組みです。病院や訪問看護への電話は、その方の病状や経過を知っている医療者に、どう動けばよいかを判断してもらう方法です。呼びかけに反応しない、息ができないほど苦しい、大量に出血しているといった場面は、119番の出番です。

一方で、病状が進んだ時期に在宅で療養している方の中には、「急変したら、まず訪問看護に電話する」「救急車で運ばれるより家で過ごしたい」といった取り決めや希望を、在宅医と前もって話し合っている方もいます。その場合は、決めた順番に沿って電話します。決めた先につながらないとき、取り決めがないとき、迷ったときは、119番に電話してかまいません。電話の向こうで、状況を聞いて判断してもらえます。

救急車を呼ぶかどうかで迷うときに、医師や看護師、救急救命士に電話で相談できる救急安心センター事業(#7119)もありますが、実施していない地域もあります。お住まいの地域で使えるかどうかは、落ち着いている日に確かめておきます。急変というほどではないけれど、急に食べられない、寝てばかりになったという変化の受診の目安は、急に悪化したときに連絡していい変化にまとめています。

  1. Q1呼びかけに反応しない、息ができないほど苦しい、大量に出血しているなど、命に関わると感じますか

    はい在宅医と決めた順番があればそれに沿い、なければ、ためらわず119番へ

    いいえ次の問いへ

  2. Q2在宅医や訪問看護の、24時間の連絡先がありますか

    はいまずそこへ電話し、指示に従う

    いいえ通院先の病院の夜間・休日の連絡先へ。救急車を呼ぶか迷えば#7119(実施地域のみ)

急変に気づいたとき、最初にどこへ電話するかの分かれ道

在宅・通院中・入院中で、連絡先の決め方はどう違いますか?

在宅で療養しているなら訪問看護や在宅医の24時間の連絡先、通院中なら病院の夜間・休日の連絡先、入院中なら病棟からの電話を確実に受ける家族の番号が、決めておく中心になります。どの場合も、つながらないときの次の番号まで決めておきます。

在宅で療養している場合

訪問看護ステーションや在宅医から渡された夜間の番号が、最初の連絡先になることが多いです。在宅療養支援診療所には、24時間連絡を受ける体制や往診の体制などを整えることが施設の基準として求められていますが、夜中に誰が電話を受け、どのくらいで来てもらえるかは医療機関ごとに違います。次の訪問のときに、「急変したら、訪問看護と在宅医のどちらに先に電話しますか」「救急車を呼ぶのは、どんな場面だと考えておけばいいですか」と具体的に聞いておきます。自宅で最期まで過ごすと決めている場合の流れは、自宅で最期を迎えるときの備えで詳しく扱っています。

通院しながら治療を受けている場合

治療を受けている病院の、夜間・休日の連絡先を確かめておきます。治療を始めるときにもらった説明の紙に書かれていることが多いので、見当たらなければ次の受診で聞きます。病院が遠い場合、救急車で運ばれる先は、かかっている病院とは別の病院になることもあります。そのときに病状を伝えられるよう、病名と治療の内容、かかっている病院と主治医の名前を書いたメモを用意しておきます。

入院している場合

急変への対応は病棟が行います。家族が決めておくのは、病棟からの電話を誰が受け、誰が駆けつけるかです。確実につながる番号を2つ伝え、夜中でも連絡がほしいかどうか、どんな変化のときに電話をもらえるかを、看護師と確かめておきます。蘇生の処置についての本人の希望を、主治医から聞かれることもあります。その話し合い方は、このあとの見出しで取り上げます。

観点在宅で療養通院中入院中
最初の連絡先訪問看護・在宅医の24時間の連絡先通院先の病院の夜間・休日の連絡先病棟(病院から家族へ電話が来る)
つながらないとき決めておいた次の番号。命に関わるなら119番命に関わるなら119番。迷えば#7119(実施地域のみ)家族の2つ目の番号にかけてもらう
家族が決めておくこと電話する順番と、救急車を呼ぶ場面別の病院へ運ばれたときに渡す病状のメモ誰が駆けつけるか、移動の手段
医療者と確かめること夜中に電話したときの動き方どの変化で、どこへ電話するか夜中の連絡の希望、蘇生についての本人の希望
在宅・通院中・入院中で、急変に備えて決めておくことの違い

救急車を呼ぶと、そのあとはどうなりますか?

救急隊は、命を救うための処置をしながら病院へ運ぶのが基本の仕組みです。運ばれる先は、かかっている病院とは限りません。がんの治療中であること、かかっている病院と主治医、本人の希望を伝えると、その後の流れがつながりやすくなります。

119番に電話すると、最初に「火事ですか、救急ですか」と聞かれます。「救急です」と答え、住所、誰がどうなったか、名前と電話番号を順に伝えます。救急車が着くまでのあいだに、電話の向こうから、その場でできることの指示が出ることもあります。その間に、ほかの家族がいれば玄関の鍵を開け、夜なら明かりをつけて、救急隊を迎えに出てもらいます。

救急隊が着いたら、がんの治療中であること、かかっている病院と科、主治医の名前を伝えます。心臓や呼吸が止まっていれば、救急隊は心臓マッサージなどの蘇生の処置を行うのが基本です。本人が蘇生を望んでいないことを伝えた場合の対応は、地域の消防の決まりによって異なります。だからこそ、本人の希望がある場合は、救急車を呼ぶ場面そのものを、在宅医や主治医と前もって話し合っておく意味があります。

運ばれる先は、本人の状態や受け入れの状況をみて救急隊が決めます。持っていくものは、受診に使うマイナ保険証か資格確認書(従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わっています)、診察券、お薬手帳、病状のメモです。付き添う家族は一人に決め、ほかの家族への連絡は、落ち着いてから短い文面で送れば十分です。

  1. 1「救急です」と伝える「火事ですか、救急ですか」と聞かれたら、まず「救急です」
  2. 2住所を伝える番地まで。目印になる建物も添えると早い
  3. 3様子を伝える誰が、いつから、どうなったか。呼びかけへの反応と呼吸
  4. 4名前と電話番号を伝える指示があれば従い、玄関の鍵と明かりを用意する
  5. 5救急隊に伝えるがんの治療中であること、病院と主治医、本人の希望、薬
119番に電話してから、救急隊に引き継ぐまでの流れ

本人の希望は、急変の前にどう共有しておけばいいですか?

体調の落ち着いている日に、「もしものとき、どこで、どんな医療を受けたいか」を本人に聞き、家族と医療者で同じ内容を共有しておきます。心肺蘇生をするかどうかなどは、本人の意思を中心に、主治医と話し合って決めていきます。

もしものときに望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有する取り組みは、厚生労働省によって「人生会議」と名づけられています。国の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂)も、本人による意思決定を基本にしています。書類を作ることが必須なのではなく、話し合いを重ねることそのものに意味があり、考えが変われば、そのつど話し直してかまいません。

急変に関わる話題でよく出てくるのが、「DNAR」という言葉です。心臓や呼吸が止まったときに、心臓マッサージや人工呼吸などの蘇生の処置を行わない、という取り決めを指します。知っておきたいのは、これが蘇生の処置についての取り決めで、痛みや苦しさを和らげる治療や、そのほかの必要なケアまでやめるという意味ではないことです。

切り出し方は、正面からでなくてかまいません(例)。「前に『管につながれてまでは』って言ってたけど、今もそう思う?」「先生から、もしものときのことを聞かれたんだけど、どうしてほしい?」。話した内容は、主治医に伝えてカルテに残してもらえるか相談し、家族の間でも同じ言葉で共有します。本人が話せない状態のときは、家族が「本人ならどう望むか」を考え、医療・ケアチームと話し合っていくことになります。そのときの手がかりになるのも、元気なうちに聞いておいた本人の言葉です。

  • もしものとき、どこで過ごしたいか(自宅・病院など)
  • 急変したとき、救急車で病院へ運ばれることを望むか
  • 心臓や呼吸が止まったとき、蘇生の処置を望むか
  • 痛みや苦しさを和らげることを、どのくらい優先したいか
  • 本人が話せないとき、誰に考えを伝えてほしいか
  • 話し合った内容を、主治医やほかの家族に伝えてよいか
急変の前に、本人と話しておきたいこと(一度に全部決めなくてよい)

電話のそばに貼る「急変時の1枚」には、何を書けばいいですか?

連絡する順番と電話番号、電話で伝えること(名前・生年月日・病名・かかっている病院と主治医・飲んでいる薬・本人の希望)、持ち出す物の置き場所の3つです。家族の誰が見ても、同じように動けることを目指します。

急変の場面では、ふだん落ち着いている人でも頭が真っ白になることがあります。そのときに頼れるのは、記憶より紙です。連絡の順番は、在宅医や訪問看護と決めた順番があればそれに沿って、「①訪問看護(番号)②在宅医(番号)③どちらにもつながらないときは119番」のように、番号と一緒に上から並べます。決めた順番がなければ、「命に関わるときは119番」をいちばん上に書いておきます。入院中なら、病棟の番号と、病棟から電話を受ける家族の順番を書きます。

電話で伝えることは、読み上げればそのまま伝わる形にしておきます。本人の希望は、「急変時の希望は主治医と話し合い済み(○○病院 ○○医師)」のように、話し合った相手と一緒に一行で書くと、救急隊や別の病院にも伝わりやすくなります。紙は冷蔵庫や電話のそばに貼り、写真に撮って家族全員のスマホにも入れておきます。薬が変わったとき、療養の場所が変わったときは、その日のうちに書き直します。

紙に書いておくこと

  • 連絡する順番と電話番号
  • 名前・生年月日・病名・かかっている病院と主治医
  • 飲んでいる薬と、アレルギー
  • 本人の希望と、話し合った医師の名前

置き場所を決めておく物

  • マイナ保険証か資格確認書
  • 診察券とお薬手帳
  • 当面の薬と、病状のメモ
  • 携帯電話の充電器と、少しの現金
「急変時の1枚」に書くことと、置き場所を決めておく持ち出し物

「蘇生をどうするか」と聞かれて一人で抱えていた娘は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(80代の父が肺がんで入院中。母はすでに亡く、弟は県外に住む。娘は病院まで車で40分の所に一人で暮らしている)
相談のあとに変わったこと
主治医に聞かれていた蘇生の希望について、父本人と主治医が話す時間を作ってもらえた。病棟に伝える番号を2つにし、夜中に呼ばれたときの動き方を、弟と同じ1枚の紙で共有した。

1. 相談のあとに変わったこと

相談の4日後、病棟の面談室で、主治医と父と娘の3人で話す時間が設けられました。父は「苦しいのは嫌だ。でも、機械につながれて長らえるのは望まない」と自分の言葉で話し、主治医は、蘇生の処置は行わず、痛みや息苦しさを和らげる治療は続けると説明して、その内容をカルテに残しました。娘は病棟に、自分の携帯と自宅の電話の2つの番号を伝え、夜中に呼ばれたらタクシーで向かうこと、弟には電話一本で知らせることを決めました。その順番を書いた紙は、玄関と冷蔵庫、弟のスマホにあります。「決めるのは私じゃなかった。父の言葉を、先生に届ける役だった」と話します。

2. 相談を考えた背景

父が入院して1週間ほどたったころ、主治医から「急変することもあります。もしものとき、心臓マッサージなどの蘇生をどうするか、ご家族で考えておいてください」と言われました。

3. 相談する前に困っていたこと

急変が何を指すのかも、蘇生をしないことが父を見捨てることにならないのかも分からず、夜中に何度も検索しました。弟に電話すると「姉ちゃんに任せる」と言われ、自分一人で決めなければならないと思い込んでいました。夜中に病院から電話が来たらどうするかも、何も決まっていませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターも知っていましたが、まずは病院の外の人に、迷っている気持ちを聞いてほしかったといいます。夜にこのサイトを読み、医療の判断はしないけれど先生の言葉をわかる言葉にする手伝いはする、と書かれていたことが決め手でした。フォームにニックネームで「父の蘇生のことを一人で決められない」と書き、平日の夕方の時間帯を選んで送りました。

5. 相談で話したこと・その後

電話で担当は、まず娘の話を最後まで聞きました。そのうえで、急変という言葉の一般的な意味と、蘇生の処置をしない取り決めは、ほかの治療やケアをやめることとは違う、という一般的な説明をしました。どちらを選ぶべきかの判断はしていません。話すうちに、父はまだ自分の言葉で話せること、出発点は父自身の希望であることに、娘が自分で気づいていきました。主治医への質問は、担当と話しながら3つに絞りました。「父の場合、どんな急変が起こりやすいですか」「蘇生をしない場合でも、続けてもらえる治療やケアは何ですか」「父と一緒に、このことを話す時間をつくってもらえますか」。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

主治医・看護師に聞く質問例

  • 父の場合、どんな急変が起こりやすいですか。そのとき家族は何をすればいいですか。
  • 急変したとき、最初にどこへ電話すればいいですか。つながらないときの次の番号も教えてください。
  • 救急車を呼ぶのは、どんな場面だと考えておけばいいですか。
  • 蘇生の処置をしない場合でも、続けてもらえる治療やケアは何ですか。
  • 本人の希望を、カルテなどに残しておいてもらえますか。

とはいえ、急変に備える家族に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──とっさに119番を押しても、間違いではない

どれだけ準備しても、目の前で家族の様子が急に変わると、手が勝手に119番を押していることがあります。それは、大切な人を守りたいという自然な動きで、決めていたことと違っても、誰かに責められることではありません。救急隊が来たら、かかっている病院や在宅医の連絡先と、決めていた方針を伝えれば、そこから流れをつなぎ直せます。準備は、完璧に守るためのものではなく、迷いを少しでも減らすためのものです。「急変することもあります」と言われてから、夜の物音で目が覚めるようになったなら、それだけ気を張って過ごしている証しです。家族は、本人のつらさを思って自分の気持ちを我慢しがちで、「第二の患者」ともいわれます。家族自身の不安や眠れなさも、担当医や看護師に相談してかまいませんし、話しにくければ、がん相談支援センターでも聞いてもらえます。

② 実務のこと──希望と手順を、家族全員で同じものにしておく

急変の場面で起きやすいのは、その場にいなかった家族との受け止め方の食い違いです。「どうして救急車を呼ばなかったのか」「なぜ蘇生をしなかったのか」。遠方のきょうだいがあとからそう感じてしまうことがあるのは、話し合いの場にいなかったからです。本人の希望と、話し合った医師の名前、連絡の順番は、同じ紙で家族全員と共有しておきます。そのうえで役割を分けます。病院や救急隊とやりとりをする人、駆けつける人、ほかの家族に知らせる人。仕事を持つ家族は、急な呼び出しがあり得ることを、職場に一言伝えておくと動きやすくなります。急な付き添いには、1日単位だけでなく時間単位でも取れる介護休暇の仕組みもあります(対象となる家族の状態などの条件は、職場の担当者に確かめてください)。

今日できること

急変への備えを、今夜から明日に1つずつ進める3つのこと

  1. 最初に電話する先を1つ書く

    在宅なら訪問看護か在宅医、通院中なら病院の夜間・休日の番号、入院中なら病棟に伝える家族の番号。まず1つだけ、紙に書いて電話のそばに貼ります。

  2. 次の診察で聞く1行を決める

    「急変したとき、最初にどこへ電話すればいいですか」を書いて、診察券と一緒にしまっておきます。

  3. 本人の言葉を思い出して書く

    「管につながれたくない」「家がいい」など、ご本人がこれまでに口にした言葉を書き留めます。考えがまとまらない夜は、相談室のLINEに一言だけ送ってください。夜に届いたものは翌朝いちばんに読んで返事をします。

よくある質問

救急車を呼んだら、かかっている病院に運んでもらえますか?

運ばれる先は、本人の状態や受け入れの状況をみて救急隊が決めるため、かかっている病院になるとは限りません。かかっている病院の名前と診療科、主治医の名前を伝え、お薬手帳や病状のメモを持っていくと、運ばれた先の病院にも治療の経過が伝わりやすくなります。落ち着いたら、かかっている病院にも連絡しておきます。

蘇生をしないと決めたら、ほかの治療もしてもらえなくなりますか?

そうではありません。蘇生の処置を行わないという取り決めは、心臓や呼吸が止まったときの処置についてのもので、痛みや苦しさを和らげる治療や、そのほかの必要なケアまでやめるという意味ではありません。どの治療を続けるかは、本人の希望を中心に、主治医と一つずつ確かめていきます。

本人が話せない状態で、延命について聞かれたら、家族はどうすればいいですか?

家族だけで正解を出さなければならない、と抱え込まなくてかまいません。国の指針は本人による意思決定を基本にしていて、本人が話せないときは、家族などが「本人ならどう望むか」を考え、医療・ケアチームと一緒に話し合っていく形になります。これまでに本人が口にしていた言葉や、大事にしてきたことを思い出して、そのまま医療者に伝えてください。

自宅で療養していて呼吸が止まったように見えたら、119番を呼んではいけないのですか?

呼んではいけない、ということはありません。前もって在宅医や訪問看護と「まずこちらに電話を」と決めているなら、その順番に沿います。決めていないとき、つながらないとき、命に関わると感じて迷うときは、119番に電話してください。救急隊は命を救うための処置を行うのが基本なので、家で穏やかに過ごしたいという希望があるなら、こうした場面の動き方を、元気なうちに在宅医と話し合っておくと安心です。

夜中に病院から「すぐ来てください」と電話が来たら、どう動けばいいですか?

慌てて運転すると危ないので、できればタクシーを使うか、運転できる家族に頼んでください。着くまでに時間がかかりそうなら、「今から向かいます。着くまでにこのくらいかかります」と病棟に伝えておきます。ほかの家族には、「病院から呼ばれた。今向かっている。着いたらまた連絡する」のような短い文面で十分です。間に合うかどうかを気にして自分を追い込まず、安全に着くことを優先してください。

急変のときの手順を、1枚にまとめる準備を一緒にしませんか

今の療養の場所と、主治医や看護師に言われたことをひとことお書きください。お名前はニックネームでかまいません。送信するとすぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当がお電話して、連絡の順番と、主治医に確かめる質問を一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

    1ご相談の内容
    ご相談の種類任意

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    4詳しく書ける方へ任意いつから・何回目か・何か所か・何名の施設か。分かるとお見積りまでの日数が短くなります

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    他社の金額をお伺いすることはありません。相見積の場合は、各社に同じ条件をお伝えします。

    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    いま気になる変化を、そばにいる看護師に伝えてみる

    眠る時間が増える、食べる量が減る、呼吸のリズムが変わる。こうした変化をどう受け止めればよいかは、ご本人のそばにいる医療者に聞くのがいちばん確かです。「この変化は様子を見てよいですか」と尋ねるだけでも、今夜の過ごし方を決めやすくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「夜のあいだに家族へ連絡をいただくのは、どんな変化があったときですか。」

    1. 気になった変化を、時刻と一緒にメモしておく
    2. 苦しそうな様子や急な変化があれば、迷わず病棟・訪問看護・主治医に連絡する
    3. 泊まるか、家族を呼ぶかに迷う夜は、ひとりで決めずに誰かと話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 気になった変化のメモ(時刻つき)
    • 病棟や訪問看護の、夜間の連絡先

    公的な相談先

    病棟の看護師・訪問看護
    ご本人の体調の変化を、いちばん近くで見ている相談先です。夜間の連絡先も確かめておくと安心です。
    緩和ケアチーム・緩和ケア外来
    痛みや息苦しさ、気持ちのつらさを和らげる専門のチームです。主治医や看護師を通じて相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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