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看取りで後悔しないために|がんの最期を前に今できる3つと相談先

このテーマの総論:がんで最期が近いと食べられない?無理をさせない理由と口のケア

この記事では、最期が近いときの体の変化についてお伝えしています。いまは読みたくないときは、無理をせず、読める日まで閉じておいても大丈夫です。

この記事の結論

後悔をゼロにする方法はありませんが、看取りが近い今は「伝える」「聞く」「電話する先を決める」の3つに絞ると、間に合わなかったら・聞けなかったらという心配に備えられます。夜に涙が止まらないときは、病棟の看護師、がん相談支援センター、こころの相談窓口、相談室などに話してかまいません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団『遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関す… ほか11件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

看取りが近い今、後悔を減らすためにできることは、「伝える」「聞く」「電話する先を決める」の3つに絞れます。今日のひとことを伝えておけば、間に合うかどうかに左右されない言葉が手元に残ります。ご本人の望みをひとつ聞いておけば、あとで「聞けなかった」と悔やむことが減ります。夜に様子が変わったときの電話の先を決めておけば、慌てる時間が短くなります。

それでも、後悔をゼロにすることは誰にも約束できません。最期までの時間の長さには大きな個人差があり、どれだけ備えても、心残りはどこかに生まれるものです。だからこそ、夜にひとりで泣いている気持ちを話せる場所を持っておくことも、3つと同じくらい確かな備えになります。

後悔したくないのに、何をすればいいか分からない方へ

  • 後悔しないようにと思うほど、何から手をつければいいのか分からなくなる。
  • 夜、家に帰ると涙が止まらない。でも、家族の前では泣けない。
  • 友人に話すには重すぎて、この気持ちを誰にも言えずにいる。

この記事で分かること

  • 後悔の心配を3つに分けて、今できることに置き換える方法
  • 「伝える」「聞く」「電話する先を決める」の始め方
  • 家族の前で泣けない夜に、気持ちを話せる相談先
  • がんと家族の相談室で、どんなふうに話を聞いてもらえるか

母の最期が近づいています。後悔しないために今できることと、不安を話せる相談先を教えてください

今できることは「伝える」「聞く」「電話する先を決める」の3つに絞れます。不安は、病棟の看護師さん、がん相談支援センター、こころの相談窓口、24時間の電話相談、がんと家族の相談室など、内容と時間帯で選んで話せます。ひとりで抱えなくてかまいません。

看取りが近い時期に「後悔しないために」と調べると、やっておくべきことの一覧がいくらでも見つかります。けれど、残された時間も、家族の体力も限られています。この記事では、看取りを前にした家族の心配を「間に合わなかったら」「聞けなかったら」「どう決めればいいか分からなかったら」の3つに分け、それぞれに今できることをひとつずつ置きました。それが「伝える」「聞く」「電話する先を決める」です。

もう少し前の時期から使える5つの芯と時期ごとの表は後悔を減らす5つのことに、遺族の調査をもとにした「しておけばよかった」の一覧は亡くなる前にしておけばよかったことにまとめています。ここでは、看取りが目の前に迫った今だけに絞ってお伝えします。

  1. 1伝える今日:次の面会で、ひとことだけ言葉にする
  2. 2聞く今週:ご本人が話せる時間に、望みをひとつだけ尋ねる
  3. 3電話する先を決める今夜:夜間の連絡先、家族の連絡順、自分の話し相手を書き出す
看取りが近い今の3つを、今日・今週・今夜に振り分ける

後悔しないようにと思うほど、何をすればいいか分からなくなるのはなぜですか?

「後悔」という言葉が大きすぎて、何に備えればいいのかが見えなくなっているからです。心配を「間に合わなかったら」「聞けなかったら」「決め方が分からなかったら」の3つに分けると、それぞれに今できることが見えてきます。

後悔は、まだ起きていない未来の気持ちです。未来の気持ちを相手にしていると、「あれもしておかなければ」「これも聞いておかなければ」と、備えるべきことが際限なく増えていきます。夜中に書き出したやることリストが、朝には倍の長さになっている。そんな状態では、一つひとつに手をつける前に気持ちが疲れ切ってしまいます。

心配の中身を分けてみると、手の届くことに変わります。間に合わなかったらと怖いなら、間に合うかどうかに関係なく残る言葉を、今日のうちに渡しておく。聞けなかったらと怖いなら、聞きたいことを全部ではなくひとつに絞る。決め方が分からなかったらと怖いなら、夜に迷ったときの電話の先を決めておく。どれも、今夜か明日にはできる大きさです。

心の準備がすっかり整う人は、多くありません。日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の遺族調査J-HOPE4(2018年に215施設の遺族17,147名に調査し、9,071名が有効回答)では、患者さんが亡くなることへのこころの準備が「できていた」と答えた人は29%で、「ある程度できていた」を合わせて85%でした。回答者の大半は緩和ケア病棟で家族を見送った方で、すべての遺族を代表する数字ではありませんが、準備しきれないまま看取りを迎えるのは、珍しいことではないと読み取れます。

心配今できること小さな始め方
間に合わなかったら伝える次の面会で、ひとことだけ言葉にする
聞けなかったら聞く答えやすい問いを、ひとつだけ用意する
決め方が分からなかったら電話する先を決める夜間の連絡先と家族の連絡順を書き出す
看取りを前にした心配と、今できること

「間に合わなかったら」が怖いとき、今できることは何ですか?

今日のうちに、伝えたいことをひとこと言葉にしておくことです。最期の瞬間に居合わせられるかは誰にも約束できませんが、今日渡した言葉は、間に合うかどうかに関係なく残ります。あわせて、夜間に連絡をもらう約束を病棟と結んでおきます。

「最期の瞬間にそばにいたい」という願いは、とても自然なものです。けれど、息を引き取る時は、家族が仮眠をとった明け方や、病院へ向かう途中に訪れることもあり、どれだけ付き添っていても選ぶことはできません。だからこそ、その一瞬に間に合うかどうかに、すべてを預けないことが助けになります。

伝える言葉は、面会の帰りにひとこと添える形で十分です。「お母さんのぬか漬け、私が引き継ぐからね」「今日も顔が見られてよかった」。改まった感謝の言葉でなくても、ご本人との暮らしの続きを伝える一言は、別れの言葉より口にしやすいものです。言葉にすると涙が出そうなら、手を握って名前を呼ぶだけの日があってもかまいません。

もうひとつは、間に合う可能性を少しでも広げておくことです。看護師さんに「夜中でも、どんな変化のときに、どの番号へ連絡をいただけますか」と尋ね、連絡を受ける家族を決めておきます。遠くに住む家族がいるなら、会いに行く時期の考え方は今すぐ会いに行くべきか迷ったときの判断材料を参考にしてください。

「聞いておけばよかった」を減らすには、何をどう聞けばいいですか?

答えやすい問いを、ひとつだけ用意します。全部を聞き出そうとせず、ご本人が話せそうな時間に、短く尋ねます。ご本人が話したくなさそうなら、聞かずにおくことも、その人の気持ちを大事にする選び方です。

看取りが近い時期には、眠っている時間が長くなり、話せる時間は少しずつ短くなっていきます。そのなかで、「最期はどうしたい?」のような大きな問いを投げかけるのは、ご本人にも家族にも重すぎることがあります。聞くことは、今のご本人が答えられる大きさに切り分けてください。

もしものときに望む医療やケアを、前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合っておく取り組みを、厚生労働省は「人生会議」と呼んでいます。書面を作ることは必須ではなく、国の指針(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン、平成30年3月改訂)も本人による意思決定を基本にしています。看取りが近い今からでも、「顔を見たい人はいる?」のひとことは、その人の望みを知る立派な一歩です。

ご本人がもう話せない場合は、看護師さんに「最近、母は何か話していましたか」と尋ねてみてください。家族のいない時間に、ふと口にした希望や心配ごとを、看護師さんが覚えていることがあります。元気なころの口ぐせや暮らし方も、聞けなかった答えの代わりの手がかりになります。

  • 「顔を見たい人はいる?」
  • 「今、いちばんしてほしいことは何?」
  • 「家のことで、気になっていることはある?」
  • 「お父さんに、伝えておきたいことはある?」
  • 「好きな歌、小さな音でかけてもいい?」
話せる時間に、ひとつだけ聞ける問いの例

「電話する先を決める」とは、何を決めておくことですか?

3つの先を決めておくことです。夜に様子が変わったときに病棟や訪問看護から連絡をもらう番号、家族に知らせる順番、そして自分の気持ちを話す先。決まっていれば、夜中に慌てて番号を探す時間も、ひとりで迷う時間も短くなります。

1つ目は、医療とのつながりです。入院中なら病棟の電話番号と、夜間に家族の誰へ連絡してもらうかを。自宅で看ているなら、訪問看護ステーションや在宅医の夜間の連絡先を。在宅療養支援診療所には24時間連絡を受ける体制などが求められていますが、夜にどこまで来てもらえるかは医療機関によって違うので、「夜中に様子が変わったら、まずどこへ」を確かめておきます。

2つ目は、家族の中の連絡の順番です。夜中に知らせを受けた人が、誰に、どの順で伝えるかを決め、家族のグループで共有しておきます。3つ目が、見落とされやすい「自分の話し相手」です。体の変化は医療者に伝えればよくても、怖さや悲しさを話す先は、別に用意しておかないと、夜にひとりで抱えることになります。

がんと家族の相談室では、「もしもの夜に電話する先」をひとつ決めておく登録(無料・3分)も受け付けています。登録しても、葬儀のことなど何かを決める必要はありません。電話の先が一つ決まっているだけで、頭の片隅が少し空くことがあります。

夜、家に帰ると涙が止まりません。誰に話せばいいですか?

話したい中身と時間帯で選べます。ご本人の体のことは病棟や訪問看護へ。家族としての不安は、がん相談支援センターやがん情報サービスサポートセンターへ。眠れない夜は、24時間対応のよりそいホットラインや、翌朝に返事が届く相談室のLINEがあります。

病棟の看護師さんには、ご本人のことだけでなく、家族自身のつらさを話してもかまいません。国立がん研究センターのがん情報サービス「家族のがんが進行・再発したとき」にも、家族が自分のつらさや困りごとを担当医や看護師に相談してよいこと、相談しにくいときは看護師やがん相談支援センターに話せることが書かれています。

全国のがん診療連携拠点病院などに置かれているがん相談支援センターは、患者さんの家族も、その病院にかかっていない人も、費用をかけず名前を伏せたまま利用できます。面談か電話で話せ、相談した内容が相談者の同意なく担当医などに伝わることはありません。国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410、または03-6706-7797)は、平日10時〜15時に電話を受けていて、相談は無料・匿名(通話料は自己負担)、原則1日1回20分以内です。文字で相談したい人向けに、2026年5月からは平日12時〜15時のチャット相談も受け付けています。

夜の気持ちを受け止める窓口もあります。よりそいホットライン(0120-279-338)は24時間・無料でかけられる電話相談で、がん専門の窓口ではありませんが、眠れない夜にも人の声につながります。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、かけた場所の都道府県などの相談機関につながる番号で、受付の曜日や時間は地域によって違い、通話料がかかります。SNSで相談できる窓口も含めて、厚生労働省の「まもろうよ こころ」というサイトで探せます。夜中の相談のしかたは、夜中・深夜につながる相談窓口でも詳しく紹介しています。

家族のあなたの気持ち

  • 病棟の看護師ご本人の様子と、家族のつらさの両方を話せる
  • がん相談支援センター家族も無料・匿名。面談か電話で
  • がん情報サービスサポートセンター平日10時〜15時。原則1日1回20分以内
  • こころの健康相談統一ダイヤル地域の公的な窓口へ。受付時間は地域で異なる
  • よりそいホットライン24時間・無料。がん専門の窓口ではない
  • がんと家族の相談室LINEは無料・匿名。夜に送った分も翌朝いちばんに読んで返事
涙が止まらない夜に、気持ちを話せる相談先
  1. Q1ご本人の体の様子が気になって、眠れずにいますか

    はい病棟や訪問看護に電話する。命に関わると感じたら119番

    いいえ次の問いへ

  2. Q2今すぐ、誰かの声を聞きたいですか

    はいよりそいホットラインなど、24時間対応の電話にかける

    いいえLINEやフォームに気持ちを書いて送り、翌日に話す

今夜、誰に話すか迷ったときの分かれ道

家族の前で泣けない、友人にも話せないのは、おかしいことですか?

おかしくありません。家族の中で支える役を担っていると、自分が崩れてはいけないと感じて、泣ける場所がなくなりがちです。喪失が現実になる前から始まる悲しみは「予期悲嘆」と呼ばれ、看取りを前にした家族に起こりうる自然な心の動きです。

病室では明るくふるまい、父や弟の前ではしっかり者でいる。その分の涙が、ひとりになった夜にまとめてあふれてくるのは、当然のことかもしれません。日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の Foundation News(Vol.48、2025年4月)は、予期悲嘆を「喪失が現実となる以前に起こる悲嘆」と説明しています。まだそばにいる人を、心のどこかで見送り始めている。夜の涙は、その悲しみの表れです。

友人に話せないのは、相手を信頼していないからではなく、話の重さを相手に背負わせたくないからでしょう。だからこそ、その重さを受け止めることを役割にしている窓口を使ってほしいのです。家族は「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを我慢しがちで、ご家族は「第二の患者」ともいわれます(国立がん研究センター がん情報サービス)。国立がん研究センターが2022年3月に公表した遺族調査(2017・2018年にがんで亡くなった方の遺族、有効回答54,167名)では、介護の負担感が大きかったと答えた人が38.9%いました。あなたが感じている重さは、あなたひとりのものではありません。

がんと家族の相談室では、どんなふうに話を聞いてもらえるのですか?

評価も助言もはさまずに20分ほどお話を聞くことができ、ご希望があれば記録を残さずにお聞きします。そのうえで、今夜の判断や次の面会の段取りを一緒に整理することもできます。電話・LINE・フォームのどれからでも始められ、フォームのお名前はニックネームで、LINEは匿名でかまいません。

電話は、平日9:00〜18:00なら担当が名前を名乗って直接お受けします。夜や休日にかけた場合は、自動音声がご用件を受け付け、翌朝9時までに担当のほうからお電話を差し上げます。LINEは無料で、名前を明かさずに使えます。夜のうちに届いたメッセージも、翌朝いちばんに担当が目を通してお返事します。言葉が見つからない夜なら、送るのはスタンプひとつでもかまいません。フォームに、ご希望の連絡方法と時間帯を書いて送れば、すぐに受付確認のメールが届き、その時間帯に担当がお電話します。電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。

話を聞くほかに、医療者の言葉が一般にどんな意味で使われるかをお伝えして、次に聞く質問を3つにまとめることや、遠方の家族を呼ぶか、今夜泊まるか、会社に何と言うかといった判断を一緒に整理することもできます。診断や予測はしません。ご希望とご同意がある分だけ、介護・終活・葬儀などの専門サービスへ橋渡しすることもあり、その場合は提携事業者から紹介手数料を受け取ることがあります(運営者情報で開示しています)。病院や診療所、弁護士などの士業から紹介料を受け取ることはなく、特定の1社だけをお勧めすることもしません。断っても費用はかかりません。

2026年9月の実績(運営者集計)では、電話相談・問い合わせ1,200件のうち、800件がご家族から、400件がご本人からでした。夜に涙が止まらないのは、あなただけではありません。

2026年9月の相談実績
サイト訪問120,000人
相談ページ訪問18,000人
電話相談・問い合わせ1,200件
うち、ご本人からのご相談400件
うち、ご家族からのご相談800件

2026年9月実績(運営者集計:スキマグループ合同会社)

相談室への電話相談・問い合わせの件数と内訳(2026年9月の実績・運営者集計)

毎晩ひとりで泣いていた娘さんは、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(70代の母が緩和ケア病棟に入院中。父と弟がいるが、家族の前では泣けずにいた)
相談のあとに変わったこと
帰宅後に毎晩ひとりで泣いていた夜に、話を聞いてもらえる先ができた。「伝える」「聞く」「電話する先を決める」を1つずつ済ませ、母が会いたがっていた古い友人にも来てもらえた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から2週間のあいだに、Iさんは3つのことを1つずつ済ませました。面会の帰りには、「お母さんのぬか漬け、私が引き継ぐからね」と伝えました。母は目を細めて、「混ぜるのは毎日よ」と返したそうです。「顔を見たい人はいる?」と聞くと、母は女学校時代の友人の名前を挙げ、Iさんが連絡すると、その友人は翌週に病室を訪ねてくれました。財布には、病棟の夜間の番号、父と弟への連絡の順番、自分の気持ちを話す先を書いたカードを入れています。泣く夜がなくなったわけではありません。ただ、泣いたあとにLINEへ一行送ってから眠るようになりました。「泣いていい場所がひとつあるだけで、病室では笑っていられた」とIさんは話します。

2. 相談を考えた背景

母が緩和ケア病棟に移ったのは、相談の1か月ほど前でした。主治医から「週の単位で考えてください」と説明を受けた日から、Iさんは家族の連絡役と面会の段取りを一手に引き受けてきました。口数の少ない父と、仕事の忙しい弟の前では、しっかり者でいるしかありませんでした。

3. 相談する前に困っていたこと

夜に「最期 後悔しないために」と検索して、やっておくべきことを15個ほど書き出しました。けれど、どれから手をつけても足りない気がして、リストを見るたびに焦りが募りました。帰宅して玄関のドアを閉めると涙が止まらなくなり、それが毎晩続いていました。友人に話そうとしても、重すぎて言葉が出てきませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

母の病院のがん相談支援センターのことは知っていましたが、受付は平日の日中で、母のいる病棟と同じ建物の中です。泣き顔のまま行く勇気はありませんでした。深夜1時、相談室のLINEに「後悔したくないのに、何をしたらいいか分かりません。泣いてばかりです」と送ると、翌朝いちばんに返事が届きました。その日の昼休みに電話をもらう時間を指定しました。

5. 相談で話したこと・その後

電話の担当は名前を名乗り、最初の20分は、Iさんの話を評価も助言もはさまずに聞きました。Iさんの希望で、その内容は記録に残していません。そのあと、書き出した15個を「伝える」「聞く」「電話する先を決める」の3つに寄せていき、今週はそれぞれ1つずつだけにしました。担当は、母の状態や残りの時間を予測することはしていません。つまずきもありました。最初に「会いたい人はいる?」と聞いたとき、母は「そんなこと聞かないで」と顔をそむけたのです。Iさんはそれ以上は聞かずに帰りました。2日後、母のほうから、友人の名前を口にしたそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 母が話しやすい時間帯や、体調の落ち着いている時間はありますか。
  • 最近、母が看護師さんに話していた希望や心配ごとがあれば、教えていただけますか。
  • 夜中に様子が変わったら、どんな変化のときに、誰の番号へ電話をいただけますか。
  • 会わせたい人がいる場合、いつごろまでに来てもらうのがよいでしょうか。
  • 家族の私の気持ちがつらいとき、病院の中で話せる人はいますか。

とはいえ、後悔したくないあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──後悔ゼロは目指さなくていい。残るのは「やれたこと」です

どれだけ備えても、看取りのあとに「あのとき、もう少し」と思う瞬間は、来るかもしれません。それは、準備が足りなかった証拠ではなく、それだけ大事な人を見送ったということです。国立がん研究センターが2022年3月に公表した遺族調査では、死別から1〜2年の時点で強い悲嘆がみられた人が30.9%でした(スクリーニングによる推計で、診断ではありません)。悲しみや心残りが長く続くことは、珍しいことではありません。目標にしたいのは、心残りをなくすことではなく、「これはやれた」と思えることを、ひとつかふたつ手元に置いておくことです。今日伝えたひとことも、夜の電話の先を決めたことも、その一つになります。

② 実務のこと──「しっかり者」の役を、家族の中で少し分ける

家族の中で連絡役も面会の段取りも担っている人ほど、泣く時間も休む時間も持てなくなります。病棟とのやりとりの窓口は自分が続けるとしても、親戚への連絡は父に、週末の付き添いは弟に、というように、役のいくつかを手放してみてください。頼むときは「手伝って」より、「土曜の午後、病院に行ってもらえる?」のように、日にちと中身をつけるほうが引き受けてもらいやすくなります。手放してできた時間のうち、週に一度でも、自分の気持ちを話す時間か、何もしない時間にあてておくと、看取りまでの日々を息切れせずに過ごしやすくなります。

今日できること

今夜から明日にかけてできる3つのこと

  1. 今日のひとことを決める

    次の面会で伝えるひとことを、スマホのメモに1行書いておきます。言えなかった日は、帰り際に手を握るだけでかまいません。

  2. 夜の番号を電話帳の先頭に入れる

    病棟や訪問看護の夜間の番号を、「あ 病棟」のような名前で電話帳の先頭に登録しておくと、慌てた夜でもすぐに見つかります。

  3. 泣いた夜は一行だけ送る

    涙が止まらない夜は、LINEに一行だけ送ってください。スタンプひとつでもかまいません。夜に届いたものは翌朝いちばんに読んで返事をします。

よくある質問

母が先のことを話したがりません。聞かないままで、後悔しませんか?

話したがらないのも、ご本人の大事な意思です。聞けなかったことが残っても、それはご本人の気持ちを尊重した結果で、家族の落ち度ではありません。答えの代わりに、元気なころの口ぐせや選んできた暮らし方が手がかりになります。家族の心配は、ご本人とは別に看護師さんや主治医に相談できます。「話したくなったら、いつでも聞くからね」とだけ伝えておけば十分です。

相談すると、葬儀社などの営業をされませんか?

ご希望とご同意がなければ、専門サービスを紹介することはありません。紹介する場合は提携事業者から紹介手数料を受け取ることがあり、運営者情報で開示しています。医療機関や士業からは紹介料を受け取らず、事業者を1社だけ勧めたり、社名をサイトに出したりもしません。紹介を断っても費用はかかりませんし、話を聞いてもらうだけの相談でもかまいません。

夜中の2時に、どうしても誰かと話したくなったら?

人の声を聞きたいときは、よりそいホットライン(0120-279-338)が24時間・無料で受け付けています。050で始まるIP電話からは、050-3655-0279にかけてください。声を出せない場所にいるなら、相談室のLINEに今の気持ちを書いて送れば、翌朝いちばんに読んで返事をします。ご本人の様子が急に変わったときは、迷わず病棟や訪問看護に連絡してください。

家族と言い合いになってしまいました。こんな時期なのに、と自分を責めています。

看取りが近い時期は、誰もが張りつめていて、ささいなことでぶつかりやすくなります。言い合いになったのは、それぞれが本気でご本人を思っているからかもしれません。落ち着いたら、医療者の説明を家族そろって同じ場で聞く、病棟とのやりとりの窓口を1人に決める、といった形で、食い違いの元を減らしてみてください。

亡くなったあとに後悔で苦しくなったら、どこに相談できますか?

がんで家族を亡くした人のための専門の窓口として、国立がん研究センター中央病院には遺族ケア外来が設けられています。身近なところでは、がん相談支援センターやかかりつけ医にも話せます。遺族のケアについては、専門の学会が『遺族ケアガイドライン 2022年版』をまとめていて、亡くなったあとの心の支えも医療の中で扱われているテーマです。眠れない、食べられない日が続くときは、ひとりで抱えずに相談してください。

話を聞いてもらうだけで、相談してもいいのですか?

もちろんです。何かを決めなければ相談してはいけない、ということはありません。がんと家族の相談室では、評価も助言もはさまずに20分ほどお話を聞き、ご希望があれば記録も残しません。話しているうちに、自分が何をいちばん怖がっているのかが見えてくることもあります。

今夜の気持ちを、まず聞かせてください

フォームには、お母さん(ご家族)の今の様子をひとことと、折り返し用のお電話番号、話しやすい時間帯を書いてください。お名前はニックネームでかまいません。送信後すぐに受付確認のメールが届き、ご希望の時間帯に担当がお電話します。最初は評価も助言もせずにお話を伺い、ご希望があれば「伝える・聞く・電話する先」を一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

    1ご相談の内容
    ご相談の種類任意

    今まさに設備が止まっている・水が漏れているときは、いちばん上を選んでください。すぐにできることを表示します。

    水が漏れている場合は、先に止水栓か元栓を閉めてください。電気設備に水がかかっている場合は、ブレーカーを落としてください。写真はLINEから送っていただくのが最短です(24時間受付)。

    対象の設備・箇所任意・複数可

    写真任意・3枚まで

    全体が分かる引きの写真、症状が分かる寄りの写真、銘板(メーカー・型式のシール)の3枚があると、機種と範囲がその場で分かります。入居者の方が写らないようにお撮りください。1枚2MBまで(JPG・PNG・GIF・WebP・PDF)。スマートフォンの写真はそのまま選べます。大きい写真は送信前に自動で縮小します。

    2施設について

    3ご連絡先

    ご希望の連絡方法任意

    連絡のつきやすい時間帯任意・複数可

    4詳しく書ける方へ任意いつから・何回目か・何か所か・何名の施設か。分かるとお見積りまでの日数が短くなります

    同じ症状は

    補助金の利用

    他社のお見積り

    他社の金額をお伺いすることはありません。相見積の場合は、各社に同じ条件をお伝えします。

    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    いま気になる変化を、そばにいる看護師に伝えてみる

    眠る時間が増える、食べる量が減る、呼吸のリズムが変わる。こうした変化をどう受け止めればよいかは、ご本人のそばにいる医療者に聞くのがいちばん確かです。「この変化は様子を見てよいですか」と尋ねるだけでも、今夜の過ごし方を決めやすくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「夜のあいだに家族へ連絡をいただくのは、どんな変化があったときですか。」

    1. 気になった変化を、時刻と一緒にメモしておく
    2. 苦しそうな様子や急な変化があれば、迷わず病棟・訪問看護・主治医に連絡する
    3. 泊まるか、家族を呼ぶかに迷う夜は、ひとりで決めずに誰かと話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 気になった変化のメモ(時刻つき)
    • 病棟や訪問看護の、夜間の連絡先

    公的な相談先

    病棟の看護師・訪問看護
    ご本人の体調の変化を、いちばん近くで見ている相談先です。夜間の連絡先も確かめておくと安心です。
    緩和ケアチーム・緩和ケア外来
    痛みや息苦しさ、気持ちのつらさを和らげる専門のチームです。主治医や看護師を通じて相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

    今の気持ちを、LINEでひとこと

    「怖い」「眠れない」「先生の説明が分からなかった」。ひとことで構いません。評価も助言もせず、お返事します。

    夜に書いたLINEは、翌朝いちばんに読みます。匿名で、スタンプひとつでも。

    話してみる相談料0円
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