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電話でただ話を聞いてほしい|がんの悩みを評価せずに聞く電話

このテーマの総論:誰かに話したい、がんのこと|話せる相手と最初の一言

この記事の結論

解決策はいらない、ただ聞いてほしいというときのための電話はあります。がんと家族の相談室の「ただ聞く」電話は、評価も助言もしない20分です。話す順番や結論の準備はいらず、泣いても、黙っても、途中で切ってもかまいません。ご希望があれば記録も残しません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「『がん相談支援センター』とは」/同「相談… ほか3件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

解決策はいらない、ただ黙って聞いてほしい。その願いのための電話は、ちゃんとあります。励ましの言葉も、前向きになるための助言もいらない日に、自分の言葉を最後まで受け止めてもらうための時間です。

話してみてどう感じるかは、人によっても日によっても違います。話すうちに胸のつかえが少し下りる人もいれば、うまく言葉にならないまま終わる日もあります。どちらの電話も、失敗ではありません。「話を聞いてくれる電話」と夜中に検索している自分を、弱いと思わなくていいのです。それは、自分を保とうとする、まっとうな動きです。

こんな気持ちで、このページを開いた方へ

  • 「頑張って」「大丈夫だよ」と言われるたびに、うなずきながら少しずつ疲れていく。
  • 医師に話すようなことではないし、家族にはこれ以上心配をかけたくない。
  • 何も言い返さずに、最後まで聞いてくれる相手がほしい夜がある。

この記事で分かること

  • 「ただ聞く」電話の中で、起きることと起きないこと
  • かける前に、何も準備しなくていい理由
  • 泣いても、黙っても、途中で切ってもいいこと
  • 20分を、どんなふうに過ごせばいいか

がんのことで、解決策はいらないので、電話でただ話を聞いてほしいです。そんな窓口はありますか?

あります。がんと家族の相談室には、評価も助言もしない20分の「ただ聞く」電話があります。答えを出すための電話ではなく、あなたが話したいことを、話したい順番で話すための時間です。ご希望があれば、記録も残しません。

平日の9時〜18時なら、080-4178-5017にかけると担当が名前を名乗って直接お受けします。夜間や休日は自動音声が受け付け、翌朝9時までに担当から折り返します。話す時間を自分で選びたいときは、フォームにご希望の時間帯を書いて送れば、その時間帯に担当からかけます。声を出すのがつらい日は、無料・匿名のLINEにスタンプひとつ送るところから始めてもかまいません。

聞いてもらえる場所は、ほかにもあります。24時間対応のよりそいホットライン(0120-279-338、フリーダイヤル)や、病院のがん相談支援センターも、気持ちの話を受け止めてくれる先です。場所ごとの違いは聞いてもらえる場所の種類と特徴にまとめています。この記事では、聞くことに徹する電話の中で何が起きるのかを、電話の場面に沿ってお伝えします。

「評価も助言もしない」とは、電話の中で何が起きないということですか?

「頑張って」「前向きに」という励ましも、「こうしたほうがいい」という助言も、あなたの選んだことへの良い悪いの判断も、電話の中では出てきません。話の行き先を決めるのは、最後まであなたです。

たとえば、「正直、治療をやめたいと思う日がある」と口にしたとします。身近な人なら、思わず「そんなこと言わないで」と返すかもしれません。ただ聞く電話では、その言葉を引っ込めさせることも、理由を問いただすこともしません。「家族に病気のことを半分しか話していない」と打ち明けても、それが正しいかどうかの判定は出てきません。

助言がないのは、冷たいからではありません。助言は、どんなに善意でも「今のあなたのままでは足りない」という合図として届いてしまうことがあるからです。ただ聞く時間では、足りないものを探すのをやめて、今のあなたの言葉をそのまま置いておきます。

頭の中だけで回っていた考えは、声に出すと、順番と大きさを持ち始めます。自分の声で聞いて初めて、「いちばん怖かったのは、これだったのか」と気づくこともあります。聞き手が口をはさまないからこそ、その気づきは誰かにもらった答えではなく、あなた自身のものとして残ります。

がんで和らげる対象は、体の痛みだけではありません。世界保健機関(WHO)が2002年に示した緩和ケアの定義(日本緩和医療学会の定訳)は、身体的な問題に加えて、心理社会的な問題やスピリチュアルな問題も、早くから見つけて対応するものとしています。誰かに聞いてほしいという気持ちは、わがままではなく、手当てされてよいつらさのひとつです。

電話の中で起きないこと

  • 「頑張って」「前向きに」という励まし
  • 「こうしたほうがいい」という助言
  • 治療や家族への向き合い方の良し悪しの判断
  • 話を急かしたり、まとめさせたりすること

電話の中で起きること

  • あなたの言葉を、最後まで聞く
  • 黙っている時間も、そのまま待つ
  • 同じ話の繰り返しも、そのまま受け止める
  • 終わり方を、あなたが選ぶ
ただ聞く電話の中で、起きないことと起きること

電話の前に、何か準備しておくことはありますか?

ありません。話す順番も、結論も、病名や治療の正確な名前もいりません。あれば助かるのは、ひとりになれる場所と、少しのあいだ邪魔の入らない時間くらいです。

相談窓口に電話するとなると、多くの人は「何を相談するか」をまとめようとします。けれど、ただ聞く電話には、まとめるべき相談がありません。「何から話せばいいか分からない」というところから話し始めても、電話はちゃんと成り立ちます。

明るい声を出す必要もありません。家族の前や職場で「大丈夫」を演じている人ほど、電話の前にも声を整えようとしがちです。ここでは、沈んだ声も、かすれた声も、そのままでかまいません。

場所は、車の中、昼休みの公園のベンチ、家族が出かけている時間の自宅など、人の耳を気にせずにいられるところが向いています。ティッシュと水があれば十分です。

  • 話す順番や、話の筋道
  • 結論や、まとまった相談内容
  • 病名・治療・薬の正確な名前
  • 明るい声や、落ち着いた話し方
  • 電話をかけるもっともな理由
電話の前に、用意しなくていいもの

電話がつながってから、最初の1分はどう進みますか?

担当が名前を名乗ったら、「今日は、ただ聞いてほしいです」と一言伝えれば十分です。記録を残してほしくないときは、続けてそう伝えてください。あとは、どこから話し始めてもかまいません。

呼び出し音が鳴っているあいだに、やっぱり切ろうかと迷うのは自然なことです。つながったら、担当が名前を名乗ります。そこで「がんの治療をしている本人です。今日は、ただ聞いてほしくて」と言えれば、電話の目的は伝わります。うまく言えなければ、「聞くだけの電話をお願いしたいです」でも足ります。

話し始めは、今いる場所や、今日あったことからで大丈夫です。「今、病院の駐車場にいます」「さっき診察が終わって」。核心から話す必要はありません。周りをゆっくり回っているうちに、話したかったことに自然と近づいていくことがよくあります。

助言なしで聞いてもらいたいことを、家族や友人に頼むときの言い方は、助言なしで聞いてもらう頼み方で紹介しています。電話の場合は、聞くこと自体が約束された時間なので、頼み方を工夫しなくても大丈夫です。

  1. 1名乗りを聞く担当が名前を名乗って電話を受ける
  2. 2一言伝える「今日は、ただ聞いてほしいです」
  3. 3必要なら添える「記録は残さないでください」
  4. 4近くから話す今いる場所、今日あったこと、今の気分
  5. 5話したいことへ話すうちに、本当に話したかったことに近づいていく
電話がつながってから、話し始めるまで

どんな気持ちを話しても、受け止めてもらえますか?

受け止めます。病気への怒り、元気な人へのうらやましさ、家族への申し訳なさ、治療をやめたい気持ち、何も感じられない自分への戸惑い。口にしたら嫌われそうな気持ちほど、ここで出していってください。

ただ聞く電話に持ち込まれる話は、きれいな悩みばかりではありません。「同期が昇進した話を聞いて、素直に喜べなかった」「励ましてくれる妻に、うるさいと思ってしまう自分が嫌だ」「正直、もう疲れた」。身近な人には言えない気持ちほど、行き場がないまま胸にたまっていきます。

こうした気持ちは、言ってはいけないことでも、隠すべき欠点でもありません。病気がなければ抱かずにすんだ感情が、病気をきっかけに次々と湧いてくるのは、無理もないことです。電話の向こうの聞き手は、その気持ちを正したり、もっと前向きな言葉に言い換えさせたりしません。

話すことが特にない日にかけてもかまいません。「なんとなく誰かの声が聞きたかった」も、電話をかけるもっともな理由です。

話している途中で泣いたり、黙ったりしても大丈夫ですか?

大丈夫です。涙で言葉が途切れても、何も言えない時間が続いても、それも電話の一部です。謝る必要はありません。家族の前で平気なふりをしている人ほど、ここでは泣いていってください。

泣いてしまったとき

話しているうちに、思いがけず涙があふれてくることがあります。家族の前でも職場でもこらえてきた涙ほど、誰も見ていない電話の場で出てきやすいものです。声が詰まったら、「今、泣いてしまって」と言うだけで伝わります。言葉が戻るまで、待ってもらってかまいません。泣きながらの電話については、泣きながら電話してもいい理由でも詳しく書いています。

言葉が出ないとき

「話したいことがあったはずなのに、出てこない」という時間も起こります。そんなときは、「ちょっと待ってください」と言って、黙っていてかまいません。沈黙は、電話がうまくいっていない印ではありません。言葉を探している時間です。何も出てこなければ、「今日は、言葉にならないということだけ伝えたかった」で終えても、それはそれで一本の電話です。

途中で切りたくなったら、切ってもいいのですか?

いつ切ってもかまいません。「今日はここまでにします」と言って切っても、言葉が出なければそのまま切っても大丈夫です。理由を説明する必要はなく、また話したくなったら、別の日にかけ直せます。

話し始めてから、思っていたより苦しくなることがあります。触れたくなかったところに話が近づいて、急に怖くなる。そんなときは、自分を守るために電話を終えてかまいません。20分は「使い切らなければいけない時間」ではなく、「使ってもいい時間」の上限です。

家族が帰ってきた足音がした、職場の人が車の横を通った、という理由で切りたくなることもあります。そんなときは「人が来たので、ここで切ります」の一言で十分です。電波が悪くて途中で切れてしまったときも、かけ直すか、その日はそこで終わりにするかは、あなたが決めてかまいません。

切ったあとに「失礼だったかな」と気にする方もいますが、途中で終わる電話も、ただ聞く電話の自然な形のひとつです。次にかけたときに、前回の続きから話す必要もありません。

20分は、どんなふうに過ごせばいいですか?

決まった使い方はありません。迷うなら、はじめの数分で今の気分を、真ん中で話したいことを、終わりの数分で「今日いちばん重かったこと」を口にする、という流れが目安になります。

20分は、長いようで短い時間です。話したいことが次々に出てくる人には足りないこともあり、言葉が少ない日には長く感じることもあります。どちらでもかまいません。下の図は使い方の一例で、この順番どおりに話す必要はありません。

話がそれても、同じことを何度繰り返しても大丈夫です。繰り返してしまう話は、それだけ心の中で場所を取っている話です。終わりの数分で「今日いちばん重かったのは、母に言えないことでした」のように一つだけ言葉にできると、電話を切ったあと、自分の気持ちの輪郭が少しだけ見えやすくなります。

電話を切った直後は、話す前より気持ちが揺れていることもあります。すぐにスマホで検索を始めたり、家族の待つ部屋に戻ったりせず、数分だけそのまま座って、水を一口飲んでください。心に残った言葉を一行だけメモに書いておくと、次に気持ちが詰まったとき、その一行が、話を聞いてもらった時間の手ざわりを思い出させてくれます。

  1. 1はじめの数分今いる場所、今日あったこと、今の気分を話す
  2. 2真ん中の時間話したいことを、浮かんだ順に。それても、繰り返してもいい
  3. 3終わりの数分「今日いちばん重かったこと」を一つだけ言葉にする
  4. 4電話のあと心に残った言葉を、メモに一行だけ書いておく
20分の過ごし方の一例(決まりではありません)

電話を切ったあと、何かを勧められたり、連絡が来たりしませんか?

あなたが望まない限り、何かを勧めたり、ほかの窓口につないだりはしません。断っても費用はかかりません。ご希望があれば、話した内容の記録も残しません。

相談室は、医療機関でも葬儀社でもありません。無料で話を聞く、民間の相談窓口です。ご本人の場合、治療や緩和ケア、生活や仕事の相談先を一緒に探すこともありますが、それはご希望とご同意がある分だけです。専門サービスを紹介した場合は、提携事業者から紹介手数料を受け取ることがあり、そのことは運営者情報で開示しています。医療機関や士業からは紹介料を受け取りません。

ただ聞く電話は、それだけで完結してかまいません。聞いてもらったあとで「先生にどう聞けばいいか考えたい」と思ったら、そのときに改めて伝えてください。先生の言葉を分かる言葉に置き換えて、次の診察で聞く質問を3つにまとめることもできます。

聞いてもらうだけでは足りないと感じたときは、どうすればいいですか?

眠れない、食べられない、何も手につかない日が続くときは、主治医や看護師、がん相談支援センターに「気持ちのつらさ」として伝えてください。消えてしまいたい気持ちがある夜は、24時間のよりそいホットラインに今夜のうちにかけてください。

聞いてもらうことで軽くなるつらさもあれば、それだけでは届かないつらさもあります。気持ちのつらさは、体の症状と同じように、診察で話してよいことです。病院によっては、緩和ケアチームや緩和ケア外来で、気持ちのつらさも相談できます。

がん相談支援センターは、その病院に通っていない人も無料・匿名で利用でき、話した内容が、相談した人の同意のないまま担当医などに伝わることはありません。都道府県などの心の相談窓口につながる、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)という番号もあります。受付の時間は地域によって違い、通話料がかかります。

よりそいホットライン(0120-279-338)は、フリーダイヤルで24時間対応しています。050で始まるIP電話をお使いの方は、050-3655-0279を使ってください。体調が急に変わったときは主治医や病棟へ、命に関わると感じたときは119番へ電話してください。

  1. Q1消えてしまいたい気持ちがありますか

    はい今夜のうちに、よりそいホットライン(24時間)へ

    いいえ次の問いへ進む

  2. Q2眠れない、食べられない日が続いていますか

    はい主治医や看護師に「気持ちのつらさ」として伝える

    いいえ次の問いへ進む

  3. Q3また誰かに聞いてほしくなりそうですか

    はい日を改めて、ただ聞く電話をもう一度予約する

    いいえ今日の電話で心に残った一行を、メモに残しておく

電話のあとも、つらさが残っているときの分かれ道

何も言わずに聞いてほしかったご本人は、電話で何が変わった?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
30代・ご本人(会社員の男性。治療を続けながら働いている。ひとり暮らしで、両親は遠方)
相談のあとに変わったこと
同僚や友人の「頑張れ」に、愛想笑いではなく「ありがとう、ぼちぼちやってる」と返せるようになった。通院日の夜に検索して眠れなくなる習慣が、月に数回から、ほとんどなくなった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、いちばん変わったのは、まわりの「頑張れ」への返し方でした。以前は笑ってうなずきながら、家に帰るとどっと疲れていたのが、「ありがとう、ぼちぼちやってる」と自分の言葉で返せるようになったといいます。通院日の夜に、同じ病気の人のブログを読みあさって眠れなくなることも、月に数回あったのが、ほとんどなくなりました。その後も、気持ちが詰まってきたと感じたときに、2か月に1回ほど、ただ聞く電話を予約しているそうです。

2. 相談を考えた背景

治療を始めて半年ほどたったころ、職場で病気を知る人が増え、廊下ですれ違うたびに「頑張れよ」と声をかけられるようになりました。ありがたいはずなのに、言われるたびに「頑張っていない自分」を責められているような気がして、だんだん人と会うのがおっくうになっていったといいます。

3. 相談する前に困っていたこと

遠くに住む両親には、心配をかけたくなくて検査の結果しか伝えていませんでした。友人に話せば励まされるのが分かっていて、医師に話すようなことでもない。夜中に「話を聞いてくれる電話」と検索して窓口をいくつか見つけましたが、どこも「何を相談したいか」を聞かれそうで、相談したいことのない自分がかけていいのか迷っていました。

4. ここを選んだ理由・決め手

相談室を選んだのは、「評価も助言もしない20分」という言葉が目に入ったからでした。「助言をしない」と最初から書いてあることに、かえって安心したといいます。フォームに「ただ聞いてほしい」とだけ書き、平日の12時台を指定しました。名前はニックネームにしたそうです。

5. 相談で話したこと・その後

電話は、会社の駐車場に停めた車の中で受けました。担当が名前を名乗ったあと、最初の1分ほどは何も言えず、「すみません、何から話せばいいか」とだけ言いました。担当は急かさずに待ち、やがて「頑張れって言われるのが、一番しんどいんです」という言葉が出てきました。そこから職場のこと、両親のこと、夜のことを、順番もばらばらに話したといいます。担当は助言も励ましもせず、病状の見通しにも触れませんでした。20分たって電話を切る前に出た言葉は「何も解決してないのに、肩が軽いです」。その日の午後は、久しぶりに仕事に集中できたそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 気持ちのつらさを相談できる外来やチームは、この病院にありますか。
  • 眠れない日が続いています。診察のときに相談してもいいですか。
  • 治療の話とは別に、気持ちの話を聞いてもらえる方はいますか。
  • がん相談支援センターでは、気持ちの話だけでも相談できますか。

とはいえ、聞いてほしいあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──話してもすっきりしない日があっていい

ただ聞く電話をかけても、毎回すっきりするとは限りません。話したことで、かえって悲しみがはっきりする日もあります。それは、電話が役に立たなかったという意味ではありません。ひとりで抱えていたものを、一度は誰かの前に出せたという事実が残ります。

すっきりしなかった日は、「今日は、出せただけで十分」と自分に言ってあげてください。気持ちは、一本の電話で片づくものではなく、波のように何度も寄せてきます。そのたびに置き場所があることのほうが、一度で軽くなることより、長い療養の中では支えになります。

② 実務のこと──「聞いてもらう時間」と「決める時間」を分けておく

療養が長くなると、治療のこと、仕事のこと、家族のことで、決めなければならない場面が続きます。決める時間の中で気持ちまで話そうとすると、どちらも中途半端になりがちです。

そこで、「決める時間」は診察や家族との話し合いに、「聞いてもらう時間」は別の場所にと、分けておく方法があります。たとえば、通院日の夜や、検査結果を聞く前の週など、気持ちが揺れやすい時期を手帳に書き出し、そこに聞いてもらう時間をあらかじめ置いておく。気持ちを出す場所が決まっていると、診察室では決めることに集中しやすくなります。

今日できること

ただ聞く電話を、肩の力を抜いてかけるための3つのこと

  1. ひとりになれる時間を一つ決める

    昼休みの車の中、家族が出かけている時間など、20分だけ人の耳を気にせずにいられる時間を一つ選びます。

  2. 最初の一言をメモに写す

    「今日は、ただ聞いてほしいです」と一行書いて、電話の横に置きます。記録を残してほしくなければ、その一言も書き添えます。

  3. かけるか、予約するかを選ぶ

    平日の9時〜18時なら直接かけ、ほかの時間ならフォームで時間帯を指定します。声が出ない夜は、LINEにスタンプひとつでもかまいません。

よくある質問

本当に何も言われないのですか?少しは意見がほしくなったら?

ただ聞く電話では、こちらから評価や助言をすることはありません。途中で「少し意見を聞きたい」と思ったら、そう伝えてください。先生の言葉を分かる言葉に置き換えたり、今の判断を一緒に整理したりする相談として、改めて話すこともできます。どちらにするかを決めるのは、あなたです。

記録を残さないでほしいと頼めますか?

頼めます。ご希望があれば、話した内容の記録を残しません。電話の最初に「記録は残さないでください」と伝えてください。言い忘れたときは、電話の終わりに伝えてもかまいません。

同じ話を何度もしてしまいそうで、気が引けます。

同じ話を繰り返してかまいません。何度も口に出てくる話は、それだけ心の中で大きな場所を占めている話です。前回と同じ話でも、話すたびに少しずつ言葉が変わっていくことがあります。

20分では足りなかったら、どうすればいいですか?

日を改めて、もう一度かけてください。続きから話しても、まったく別の話をしてもかまいません。足りなかったと感じたこと自体を、次の電話の最初の一言にしても大丈夫です。

家族に聞かれたくないのですが、どうすればいいですか?

フォームで、家族が家にいない時間帯を指定してください。お名前はニックネームでかまいません。電話番号は入力が必須ですが、使い道は折り返しのお電話だけです。声を出せない環境なら、無料・匿名のLINEに文字で送ることもできます。

病気や治療のことを質問してもいいですか?

ただ聞く電話は、答えを出す電話ではないため、医療の質問にはお答えしません。相談室は医療機関ではなく、診断や予測もしません。症状や治療の疑問は、主治医や看護師、がん相談支援センターへ。医療の質問の振り分け方は、医療の質問を電話でするときで紹介しています。

何も決めずに、20分だけ話してみませんか

フォームに、ご希望の時間帯と「ただ聞いてほしい」とだけお書きください。送信するとすぐに受付確認のメールが届き、その時間帯に担当からお電話して、評価も助言もせずに、あなたの話を聞くことに徹します。途中で切っても、何も話せなくてもかまいません。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

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    次の一歩

    「ただ聞いてほしい」も、立派な相談です

    助言がほしいわけではなく、話を聞いてほしいだけ。それは相談として十分な理由です。この相談室では、評価も助言もしない20分の電話や、LINEでのひとことからお受けしています。ご本人でも、ご家族でも、匿名でも構いません。

    電話やLINEの最初に使えるひとこと

    「今日は、ただ話を聞いてほしいです。」

    1. 電話・LINE・フォームのうち、いちばん負担の少ない方法を選ぶ
    2. 家族や友人に話しにくいことほど、家族ではない相手に話してみる
    3. 気持ちの落ち込みが長く続くときは、主治医やがん相談支援センターにも伝える

    手元にあると話しやすいもの

    • 準備はいりません。話したいと思った気持ちだけで大丈夫です

    公的な相談先

    よりそいホットライン
    24時間・通話料無料でつながる電話相談です。
    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。

    このサイトでできること

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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