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元気なうちにしておくこと|がんの段階ごとに今しかできないこと

このテーマの総論:がんの家族と後悔しないために|今できる5つのことと時期別の表

この記事の結論

動けるうち・話せるうち・その後の3つの段階で、できることの中心は移っていきます。動けるうちは外出や人に会うこと、話せるうちは希望や事務の確認、その後は声をかけることと触れること。今どの段階かは、日数ではなく変化の見通しとして医療者に聞いて確かめます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:厚生労働省「『人生会議』してみませんか」/厚生労働省「ACP(アドバンス・ケア・… ほか11件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

元気なうちにしておきたいことは、ご本人の今の体と暮らしを「動けるうち」「話せるうち」「その後」の3つの段階で眺めると、見分けやすくなります。体を使うことは動けるうちに、言葉が要ることは話せるうちに。そして話すのが難しくなってからも、そばにいることで伝えられるものが残ります。

それぞれの段階がどのくらい続くかは、がんの種類や治療、体力によって大きく違い、日数では区切れません。行きつ戻りつすることもあります。この記事では、段階ごとに今しかできないことの枠組みと、今がどの段階かを医療者に聞く言い方をまとめました。ご本人が読んでも、ご家族が読んでも使えるように書いています。

「話せるうちに」という言葉が、頭から離れない方へ

  • 今は普通に話せているから、まだ先の話だと思っていたい。
  • それでも「話せるうちに」という言葉が、頭のどこかに引っかかっている。
  • いつまでが「うち」なのか分からず、気づいたら遅かった、となるのが怖い。

がんの家族が元気なうち、話せるうち、動けるうちに、それぞれしておくべきことは何ですか?

動けるうちは外出や人に会うこと、いつもの姿の写真、時間のかかる手続きの相談。話せるうちは希望や事務の確認と「ありがとう」。話すのが難しくなってからは、声をかけることと触れること。段階ごとに、できることの中心が移っていきます。

3つの段階は、できなくなることを数えるための区切りではありません。その時期に「いちばんやりやすいこと」がどこにあるかを示す目印です。遠出や人に会うことは体力を使うので、動けるうちのほうが選べる形が多くなります。希望を聞いたり事務を確かめたりするには、言葉と、考えるための余力が要ります。そして話すのが難しくなってからも、声を届けること、手に触れること、同じ部屋で過ごすことは続けられます。

  1. 1動けるうち外に出る、人に会う、いつもの姿を写真に残す、手続きの相談を始める
  2. 2話せるうち希望を聞く・伝える、事務を確かめる、「ありがとう」を言葉にする
  3. 3その後名前を呼ぶ、手や足にそっと触れる、好きな音楽や家族の声を届ける
3つの段階と、それぞれの時期にできることの中心(長さは人によって大きく違い、行きつ戻りつもする)

段階は、きれいに順番どおり進むとは限りません。外出はつらくなっても、ベッドの上で長く話せる時期が続くことがあります。病状が進むと、一時的に意識が混乱する「せん妄」が起こりやすくなるとされていて(国立がん研究センター)、話がかみ合いにくい日と、すっきり話せる日が入れ替わることもあります。「もう話せる時期は過ぎた」と早く決めつけず、話せる日が来たら、その日を使えば大丈夫です。

今がどの段階かは、何を手がかりに考えればいいですか?

日数ではなく、一日の過ごし方で考えます。外に出る日があるか、起きている間に会話が続くか、横になる時間が増えたか。ただ、見極めを家族やご本人だけで背負う必要はありません。迷ったら、医療者に「今の様子をどう見ていますか」と聞いてください。

この記事では、買い物や散歩に出る日があるなら「動けるうち」、外出は難しくても枕元で昔の話が続くなら「話せるうち」と考えます。話の途中でうとうとする日が増えてきたら、伝えたいことを早めに言葉にしておく時期に入ってきた、と受け止めてもいいかもしれません。段階を考える手がかりは、検査の数値より、毎日の暮らしの中にあります。

一方で、体の変化から時期を見極めることは、医療者にとっても簡単ではありません。2014年に米国とブラジルの緩和ケア病棟で進行がんの患者357人を調べた研究(Hui Dほか)でも、意識の低下や飲み込みにくさは比較的早くから現れるものの、それだけでは時期を見分ける決め手になりにくいとされています。家族が変化を一つひとつ数えて判断しなくていいのは、そのためです。気づいた様子は書きとめて、医療者に渡してください。

  • 一日のうち、起きて過ごしている時間
  • 外に出た日と、そのあとの疲れ方
  • 食事の量と、食べたいものを自分で言えるか
  • 会話がどのくらい続くか
  • 話の途中で、うとうとすることがあるか
  • 一日の中で、調子のよい時間帯
医療者に伝えると、見立てを聞きやすくなる暮らしの様子

ご本人の方は、疲れやすさや、出かけたあとに元に戻るまでの時間の変化を、主治医に伝えてください。いちばん近くで体の声を聞いているのは、あなた自身です。そのうえで、今がどの段階か知りたくないと思うなら、その気持ちも大事にしてかまいません。知らないまま、できることだけを選んで過ごすやり方もあります。

まだ元気なのに、今から考えるのは早すぎませんか?

早すぎることはありません。元気なうちのほうが、選べることも、あとからやり直せることも多いからです。考え始めることは最期の準備ではなく、これからの時間の使い方を選ぶこと。決めるのは少しずつで足ります。

「縁起でもない」「まだ先の話」と感じるのは自然なことです。ただ、選べる幅は、体力と時間に余裕があるうちのほうが広くなります。たとえば介護保険は、65歳以上なら原因を問わず、40〜64歳ならがんを含む特定の病気が一定の条件にあたる場合に、要介護・要支援の認定を受けて使える制度です。申請は市区町村の窓口で行い、結果の通知までは原則30日以内とされています(厚生労働省)。必要になってから慌てて調べるより、元気なうちに窓口で流れを聞いておくだけでも、その日の動き方が変わります。

緩和ケアも、終末期になってから受けるものではなく、がんと診断されたときから受けられるものです(国立がん研究センター がん情報サービス)。痛みや息苦しさなどのつらさを早めに和らげておくことは、動けるうち・話せるうちの時間を自分らしく使うための土台にもなります。

ご本人の方は、「まだ考えたくない」と思うなら、その気持ちを家族に伝えておくだけでも一歩です。「今は考えたくない。でも、行きたい場所の話ならしたい」と言えれば、家族は動けるうちの楽しみから手伝えます。ご家族の方は、本人が話したがらないうちは、段階の話を持ち出すより、動けるうちにできる楽しみを一緒に増やしてください。それも立派に「今しかできないこと」です。

動けるうちに、しておきたいことは何ですか?

体力を使う外出や遠出、会いたい人に会うこと、いつもの姿の写真や動画、そして介護保険の相談のように時間がかかる手続きです。本人の署名や来所が要る用事も、体が動くうちのほうが進めやすくなります。

動けるうちの「今しか」は、体を使うことに集まっています。電車に乗って思い出の町へ行く、友人の家を訪ねる、季節の花を見に出かける。どれも、体力が落ちてからでは形を変えざるをえないことです。行きたい場所を主治医にどう相談するか、叶えるための段取りは、会いたい人・行きたい場所を叶える段取りで詳しく紹介しています。

写真は、記念写真より、いつもの姿を。台所に立つ背中、新聞を読む横顔、孫と話すときの笑い声。動画なら、声も一緒に残ります。手続きの中には、本人が窓口に行ったり、自分で書類を書いたりできるうちのほうが進めやすいものがあります。介護保険の相談のほか、大事な書類の置き場所を家族と確かめておくのも、この時期にしやすいことです。

ご家族の方で、親御さんがまだ元気に見える時期に、いつもの電話や食事に混ぜてできることを探しているなら、日常に組み込む行動リストが役に立ちます。

話せるうちに、何を聞いて、何を伝えておけばいいですか?

希望(過ごしたい場所、もしものとき気持ちを代わりに伝えてほしい人)、事務(大事な書類の場所、知らせてほしい人)、気持ち(ありがとう、ごめんね)の3つです。一度に全部ではなく、話せる日に1つずつ。ご本人の側から伝えておくこともできます。

言葉が要ることを「話せるうちに」と言うのは、考えをまとめて口にするには、体力と、頭がすっきりしている時間が要るからです。厚生労働省が「人生会議」と名づけた取り組みでも、もしものときに望む医療やケアを前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合って共有しておくことが勧められています。一度で決めなくてよく、気持ちが変われば話し直せます。

ご本人から伝えておくと助かること

  • 過ごしたい場所と、その理由
  • 話せなくなったとき、気持ちを代わりに伝えてほしい人
  • 大事な書類の置き場所と、知らせてほしい人

ご家族から伝えておきたいこと

  • 「ありがとう」と、具体的な思い出をひとつ
  • 心配していることを、責める形でなく正直に
  • 「何があっても、そばにいるよ」という約束
話せるうちに、ご本人から伝えておくと家族が助かることと、ご家族から伝えておきたいこと

ご家族の方が親御さんに聞いておきたい項目と、重くならない切り出し方は、親に聞いておく10項目にまとめています。ご本人の方は、家族が聞きにくそうにしていると感じたら、自分から一つ話し始めてみるのもひとつの方法です。「もしものときは、あなたに先生と話してほしい」。その一言で、家族の迷いは大きく減ります。

話すのが難しくなってからも、できることはありますか?

あります。名前を呼ぶ、手や足にそっと触れる、好きな音楽や家族の話し声を聞かせる、同じ部屋で過ごす。返事がなくても、声は届いている可能性があるといわれています。この段階の中心は、そばにいることです。

話すことが難しくなると、家族は「もう何もしてあげられない」と感じがちです。けれど、この段階にも、この段階でしかできないことがあります。静かな部屋で手を握る時間。家族どうしが昔の話で笑い合うのを、枕元で聞いてもらう時間。言いそびれていた「ありがとう」も、この時期に伝えられます。

2020年にカナダのブリティッシュコロンビア大学の研究チームがScientific Reportsに発表した研究では、ホスピスの患者さんの脳波を調べ、呼びかけに反応しなくなった状態でも、一部の人の脳が音に反応していたと報告されています。反応がない状態で記録できたのは5人で、言葉の意味まで分かっているかは分かりません。それでも、耳は聞こえている可能性があるといわれています。普段どおりの声で、今日の天気や家族の近況を話しかけてください。

観点動けるうち話せるうちその後
一緒にすること出かける、外で食事をする枕元で昔の話をする手を握る、同じ部屋で過ごす
言葉の渡し方出かけた先で、景色を見ながら短い「ありがとう」を何度でも耳元で名前を呼び、ゆっくり話しかける
残せるものいつもの姿の写真や動画声の録音や、本人の言葉のメモ家族が話しかけた言葉を日記に
医療者に聞くこと遠出や手続きを始める目安話しておきたいことに向く時間帯夜に様子が変わったときの連絡先
段階ごとに変わる、伝え方と残し方の例(段階の長さは人によって大きく違う)

口の渇きを和らげる手当てや、楽な姿勢の工夫など、この段階で家族が手伝えることは、看護師に聞くと教えてもらえます。手を動かすことがあると、そばにいる時間が少し過ごしやすくなります。

今どの段階かを、医療者にはどう聞けばいいですか?

「あとどれくらいですか」と数字を聞くより、「今のうちにしておいたほうがいいことはありますか」「この先、動くことや話すことは、どう変わっていきそうですか」と、変化と優先順位を聞くほうが、具体的な答えをもらいやすくなります。

残りの時間を数字で言い当てることは医師にも難しくても、これから起きやすい変化や、今のうちに優先したいことなら話せる場合があります。聞き方を変えると、「分かりません」で終わらずに、今週や今月の過ごし方につながる答えが返ってきやすくなります。

ご本人の方なら、こんな聞き方があります。

  • 「数字でなくてかまいません。これから体はどう変わっていきそうですか」
  • 「やっておきたいことがあります。体力の面で、早めにしたほうがよいことはありますか」

ご家族の方なら、こんな聞き方があります。

  • 「本人と話しておきたいことがあります。今の様子を、先生はどう見ていますか」
  • 「離れて住む家族を呼ぶなら、どんな変化が目安になりますか」

聞く相手は主治医だけではありません。日々の様子をよく知る病棟や外来の看護師、家での療養なら訪問看護師も、見立てを一緒に考えてくれる相手です。看取りの時期の家族向けに作られた冊子『これからの過ごし方について』(緩和ケア普及のための地域プロジェクト〈OPTIM〉)のように、医師や看護師が変化の説明に使う資料もあります。この冊子を使って説明を受けた遺族への調査(2012年発表、10施設の遺族325名に郵送し260名が回答)では、84%が「変化の目安になる」と答えていました。ただし著者らは、冊子はただ手渡すものではなく、医療者と家族が十分に話し合いながら使うことを条件にしています。

  1. Q1ご本人は、自分の今後の見通しを知りたいと言っていますか

    はい本人と家族が一緒に、主治医に変化の見通しを聞く場をつくる

    いいえ本人の前では聞かず、家族だけで看護師に「今のうちにしておくこと」を聞く

  2. Q2次の診察や面談まで、日にちがありますか

    はい聞きたいことを3つに絞って、紙に書いておく

    いいえ病棟や外来の看護師、訪問看護師に、電話や面会のときに短く聞く

  3. Q3説明を聞いても、今どの段階か分からないままですか

    はい「今週と今月にしておくとよいこと」に言い換えて聞き直す

    いいえ聞いた内容を家族で共有し、今の段階の「ひとつ」を決める

今の段階を医療者に聞くときの分かれ道

ご本人が見通しを知りたくないときは、その気持ちが優先です。家族だけで看護師に聞く、あるいは誰も聞かずに今できることを続ける。どちらも、本人を大事にした選び方です。

「まだ先」と「もう遅いかも」の間で揺れていた妻は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
60代・妻の立場(70代の夫が通院で治療中。自宅で二人暮らし、息子は県外に住む)
相談のあとに変わったこと
夫婦で主治医に「今のうちにしておくこと」を聞き、今は「動けるうち」だと分かった。同じ月のうちに、夫の生まれた町への日帰り旅行と、介護保険の窓口への相談を済ませた。

1. 相談のあとに変わったこと

次の診察に、夫婦で3つの質問を書いた紙を持っていきました。主治医からは、体力のある今のうちに出かけたい場所があれば、という話と、疲れやすくなってきたら早めに教えてほしいという話がありました。その月の終わり、息子の運転で夫の生まれた町へ日帰りで出かけ、駅前で夫と息子の写真を撮りました。翌週には地域包括支援センターで介護保険の申請の流れを聞き、手順を書いたメモをもらって帰ってきたそうです。「まだ先、と、もう遅いかも、の間に、今があった」と話しています。

2. 相談を考えた背景

夫の治療が変わったころ、主治医から「これからは、体調を見ながらになります」と言われました。帰り道で会った近所の人に「話せるうちに、色々聞いておきなさいね」と声をかけられてから、その言葉が頭を離れなくなったといいます。

3. 相談する前に困っていたこと

夜中に「話せるうちに 聞くこと」と検索すると、しておくべきことのリストがいくつも見つかりました。けれど、夫はまだ毎朝散歩に出ていて、どこから手をつけていいのか分かりません。県外の息子に電話で相談しても、「父さん、まだ元気じゃない」と言われて話が終わりました。思い切って夕食のときに延命治療の話を出すと、夫は「まだそんな話は早い」と箸を置き、その晩は口をききませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

夫は家にいる時間が長く、電話で相談する声を聞かれたくありませんでした。LINEなら文字で、名前を出さずに送れると知り、夫が寝たあとに状況を書いて送りました。翌朝いちばんに返事が届き、そこからフォームで、夫が散歩に出ている午前中に電話をもらうことにしました。

5. 相談で話したこと・その後

電話では、担当がまず、夕食のときの話を最後まで聞きました。そのうえで、段階を日数で考えずに「今できていること」で眺める考え方を紹介し、次の診察で聞く質問を一緒に3つに絞りました。1つめは「今のうちにしておいたほうがいいことはありますか」。数字を聞く質問は、入れませんでした。夫の病状がどの段階にあるかについて、担当は何も言っていません。紙を見せると、夫は「これなら聞いてもいい」と言い、3つめの質問の横に、自分で「旅行」と書き足したそうです。延命治療の話は、夫が話したくなるまで待つことにしています。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 今の様子を、数字ではなく、これから起きやすい変化として教えていただけますか。
  • 体力があるうちに、しておいたほうがいいことはありますか。
  • 話したり考えたりするのがつらくなる時期が来るとしたら、どんな様子から分かりますか。
  • これからの体の変化について、家族が読んでおける説明の資料があれば教えてください。
  • 介護の手続きや家での療養の相談は、いつごろ、どこで始めればよいですか。

とはいえ、段階に追われずに過ごしてほしい2つのこと

① 気持ちのこと──段階を知るのは、急ぐためではありません

段階を考えるのは、残りの時間を数えるためではなく、今いちばんしやすいことを選ぶためです。「気づいたら遅かった」が怖い方へ。動けるうちを過ぎても、話せるうちが残っています。話せるうちを過ぎても、そばにいることは最後まで続けられます。どの段階にも、その段階でしかできないことがあり、手遅れという段階はありません。ご本人の方は、今がどの段階か知りたくないなら、知らないままでかまいません。ご家族の方は、本人を気づかうあまり、自分の気持ちを後回しにしがちです。がん情報サービス(国立がん研究センター)が伝えているように、ご家族は「第二の患者」ともいわれます。段階が移るたびに揺れる気持ちを、誰かに話してください。

② 実務のこと──見直す場面と、夜の連絡先を決めておく

段階は行きつ戻りつしながら移っていくので、「いつ見直すか」を決めておくと慌てずに済みます。診察の日、退院の日、訪問看護が始まる日など、医療者と話す機会を見直しの場面にして、家族の間で「今はどの段階か」をひとこと共有します。後悔を減らすための全体の考え方は、後悔を減らす5つのことにまとめています。話すのが難しくなってきたら、夜に様子が変わったときの連絡先(病棟・訪問看護・在宅医など)を、家族全員が分かる場所に書いておきます。相談室では、「もしもの夜に電話する先」をひとつ決めておく登録(無料・3分)も受け付けていて、登録しても何かを決める必要はありません。療養や介護の制度のことは、がん相談支援センターや、市区町村の介護保険の窓口、地域包括支援センターで相談できます。

今日できること

今の段階を確かめて、ひとつ動かすための3つ

  1. 今の段階に印をつける

    3つの段階のうち、今いちばん近いと思うものを、ご家族なら家族で、ご本人なら自分で選び、メモの一番上に書いておく。

  2. その段階の「ひとつ」を決める

    動けるうちなら行きたい場所、話せるうちなら聞きたいこと、その後ならそばで過ごす時間を、ひとつだけ決めてカレンダーに入れる。

  3. 次の診察で聞く一言をメモする

    「今のうちにしておいたほうがいいことはありますか」の一言を紙に書き、診察券と一緒にしまっておく。

よくある質問

それぞれの段階は、どのくらいの期間続きますか?

日数でお伝えすることはできません。がんの種類や治療、体力によって大きく違い、同じ方でも、動けない日が続いたあとに少し持ち直すなど、行きつ戻りつすることがあるからです。目安を知りたいときは、主治医に「数字でなくてかまわないので、これから起きやすい変化を教えてください」と聞いてみてください。変化の見通しが分かると、段階ごとの準備を早めるかどうかを決めやすくなります。

本人が「まだそんな話は早い」と嫌がります。どうすればいいですか?

段階の話を持ち出す必要はありません。動けるうちにしかできない楽しみ(出かける、会う、写真を撮る)は、「もしも」の話をしなくても一緒に始められます。楽しい予定を重ねるうちに、本人のほうから「次はあそこに行きたい」「あれだけは頼んでおきたい」と話が出てくることもあります。話したくない気持ちは、本人の大事な意思として尊重してください。

話せる日と、話がかみ合わない日があります。どう考えればいいですか?

病状が進んだ方や看取りの時期には、一時的に意識が混乱する「せん妄」が起こりやすくなるとされています。せん妄は、ゆっくり進む認知症とは違い、一時的に現れるものです。話がかみ合わない日が出てきたら、その様子を主治医や看護師に伝えてください。すっきり話せる日が来たら、その日に伝えたいことを伝えれば大丈夫です。

介護保険は、まだ元気なうちに相談してもいいのですか?

相談はいつ始めてもかまいません。介護保険は、65歳以上なら原因を問わず、40〜64歳ならがんを含む特定疾病が原因で一定の条件にあたる場合に、要介護・要支援の認定を受けて使えます。使えるかどうかは認定で決まり、申請から通知までは原則30日以内とされています。元気なうちに市区町村の窓口や地域包括支援センターで流れを聞いておくと、必要になったときに慌てずに済みます。

遠方に住んでいます。どの段階のうちに会いに行けばいいですか?

会いに行くことに、意味がなくなる段階はありません。そのうえで、一緒に出かけたいなら動けるうちに、ゆっくり話したいなら話せるうちに、と考えると予定を立てやすくなります。迷うときは、主治医や看護師に「離れて住む家族が会いに来るなら、どんな変化が目安になりますか」と聞いてみてください。帰る日を決めておくことは、本人にとっても待つ楽しみになります。

夜中に、段階のことを考えて眠れなくなります。

先のことを考えて眠れない夜は、誰にでも起こりえます。24時間対応の無料の電話相談として、よりそいホットライン(0120-279-338)があります(がんに限った窓口ではありません)。相談室のLINEは匿名で送れて、夜に届いたものは翌朝いちばんに読んで返事をします。本人の様子が急に変わったときは主治医や病棟、訪問看護へ。命に関わると感じたら、119番に電話してください。

今の段階でできる「ひとつ」を、一緒に決めませんか

フォームに、今のご様子をひとことと、電話に出やすい時間帯をお書きください。届いたらすぐに受付確認のメールをお送りし、その時間帯に担当がお電話します。段階の見立てはせずに、医療者への聞き方と、今週動かす「ひとつ」を一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    全部をしようとせず、今週の3つに絞る

    ご家族の役割は「そばにいる」「情報を一緒に整理する」「生活を支える」「自分を守る」の4つに分けると、見通しがよくなります。全部を完璧にする必要はありません。今週できることを3つだけ選んでみてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「家族として、今いちばん手伝えることは何でしょうか。」

    1. きょうだいや親族で役割を分けて、ひとりに負担を集めない
    2. 診察には、聞きたいことを3つ書いたメモを持っていく
    3. 仕事やお金の手続きは、がん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 家族の役割分担のメモ
    • 次の診察の日時と、付き添える人

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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