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もう一人で抱えきれない|がんの荷物を半分だけ預ける方法

このテーマの総論:がんの不安で夜眠れない|朝まで自分を守る6つの方法

この記事の結論

全部を手放さなくても、抱えている荷物の半分を人や制度に預けることはできます。付き添い・仕事・家事・親族への連絡・手続きと役割ごとに書き出し、あなたにしかできないことは残して、ほかを人・制度・窓口に割り振ってください。今日決めるのは、手放す役割1つだけで足ります。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「『がん相談支援センター』とは」/同「相談… ほか10件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

一人で抱えてきたものがもう持ちきれないと感じたら、全部を誰かに渡すのではなく、半分だけ預けることから始められます。付き添い、仕事、家事、親族への連絡、手続き。抱えている役割を一つずつ並べてみると、あなたにしかできないことは、思っているより少ないかもしれません。

どこまで抱えられるかは、体力や仕事、家族の人数によって人それぞれで、同じ人でも治療の時期によって変わります。先月は回っていたことが、今月は回らない。それは気持ちが弱くなったのではなく、荷物の量が変わったということです。

この記事では、抱えている役割の棚卸しのしかた、役割ごとに人・制度・窓口のどこへ預けられるかの割り振り表、手元に残すものの選び方、割り振りを決める順番、ご本人が一人で抱えているときの預け先、預けたあとにうまく回らないときの立て直し方をまとめました。読み終えたときに、今日手放す役割を1つ決められるように書いています。

「全部、自分がやるしかない」と思ってきた方へ

  • 病院の付き添いも、仕事も、家事も、親戚への連絡も、気づけば全部ひとりで回している。
  • 最近、理由もなく涙が出る。車の中や台所で、急に止まらなくなる。
  • 「もう無理」と口にしたら、その場で崩れてしまいそうで怖い。

家族のがんのことを一人で抱えてきましたが、もう抱えきれません。どうしたらいいですか?

全部を手放そうとせず、荷物の半分を預けることから始めてください。抱えている役割を書き出し、あなたにしかできないことは残して、ほかは人・制度・窓口に割り振ります。今日決めるのは、手放す役割1つだけで十分です。

「抱えきれない」と感じたとき、頭に浮かぶのは「でも、代わりがいない」という言葉かもしれません。きょうだいは遠くに住み、配偶者は仕事で手いっぱい、本人には頼めない。だから全部を自分で持つしかない。そう考えて、ここまで踏ん張ってきた方もいるでしょう。

けれども、預けるといっても、全部を誰かに任せる必要はありません。面会に通うこと、本人の好きな食べ物を知っていること、そばで話を聞くこと。こうした手放したくないものは手元に残したまま、親戚への連絡や書類の手続き、送り迎えの一部のように、誰がやっても結果が同じになるものから渡していけばいいのです。全部か、ゼロか、ではなく、半分。それが、崩れずに続けるための現実的な線です。

国立がん研究センターのがん情報サービス「家族ががんになったとき」は、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も保たなければならないことから、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と書いています。同センターが2022年に公表した遺族調査の報告(2018〜2019年度調査。2017・2018年にがんで亡くなった方のご遺族が対象で、有効回答は54,167名)でも、介護の負担感が大きかったと振り返った人は38.9%でした。抱えきれなくなったのは、あなたが看病に向いていないからではありません。自分の暮らしと看病の両方を、一人で回してきたからです。

眠れない、理由もなく涙が出るといった変化が続いているなら、荷物を下ろす時期に来ているという合図です。限界のサインの見分け方と体の守り方は、家族が自分を守る3つの方法にくわしくまとめています。この記事では、その荷物を「どこに、どう預けるか」に絞って書いていきます。

抱えている役割は、どうやって棚卸しすればいいですか?

「付き添い」「仕事」「家事」「親族への連絡」「手続き」の5つの見出しを紙に書き、その下に、抱えている用事を一行ずつ書き出します。気づかいのような目に見えない荷物も、一行に数えてください。数が見えると、割り振りを考えられます。

荷物は、頭の中にあるうちは実際より大きく、いくつあるのかも分かりません。紙に書き出すと、「全部」と思っていたものが、十数個の具体的な用事に変わることがあります。数えられるものは、分けられます。見出しを先に5つ立てておくのは、思いつくままに書くと付き添いのことばかりが並び、手続きや連絡のような細かな用事が抜け落ちやすいからです。

書き出すときは、目に見える用事と、見えない荷物の両方を拾います。見えない荷物とは、医師の説明を聞いてほかの家族に伝える役、本人の前で明るくふるまうこと、夜中に病院から電話が来るかもしれないという緊張などです。時間は使っていなくても、心の容量を使っている荷物です。5つの見出しのどこにも入らないものは、最後に「その他」として足しておきます。

  • 付き添い:通院の送り迎え、面会、説明の場への同席
  • 仕事:休みの調整、職場への説明、休んだ分の穴埋め
  • 家事:食事、洗濯、子どもの送り迎えや学校のこと
  • 親族への連絡:病状の報告、問い合わせへの返事
  • 手続き:医療費の支払い、保険や制度の書類、介護の申請
  • その他:本人の気持ちの聞き役、自分の気持ちを隠すこと
5つの見出しの下に書き出すと出てくる用事の例

書き終えたら、それぞれの行の横に、週に何回、どのくらいの時間がかかっているかを書き添えてみてください。正確でなくてかまいません。時間で表せない行は、「重い・普通・軽い」で気持ちの重さを書いておきます。こうしておくと、どの役割を切り分けると楽になるかが見えてきます。

棚卸しした役割は、人・制度・窓口のどこに預けられますか?

付き添いや家事、親族への連絡は主に「人」に、休みやお金の負担は「制度」に、手続きや調べものは「窓口」に預けるのが割り振りの基本です。一つの役割を丸ごと渡さず、半分だけ切り分けて預ける形でもかまいません。

役割人に預ける制度・窓口・仕組みに預ける
付き添い送り迎えの一部を、きょうだいや配偶者に介護休暇が使えるか勤め先で確かめる
仕事急な休みの穴埋めを、上司や同僚と分ける介護休暇・介護休業、勤め先の人事
家事曜日で分ける、子どもに一つ任せる介護保険のサービス(要介護認定が必要)
親族への連絡連絡係を1人決めて、共有を任せる決まった曜日にまとめて報告する仕組み
手続き書類集めや問い合わせを家族に頼む医療ソーシャルワーカー、加入先の健康保険
5つの役割ごとの、預け先の割り振り(例)

付き添い──全部の日ではなく、「この日だけ」を切り分ける

付き添いは、本人にとってもあなたにとっても大事な時間なので、丸ごと手放す必要はありません。預けやすいのは、送り迎えだけの日、薬を受け取るだけの日のように、中身の決まった日です。大事な説明がある日はあなたが行き、いつもの点滴の日は配偶者やきょうだいが送る、という分け方なら、本人も安心しやすくなります。介護休暇は、要介護状態の家族のために1年に5日(対象の家族が2人以上なら10日)まで、時間単位でも取れる休みです。付き添う家族の状態が対象に当たるかどうかも含めて、勤め先の人事に確かめてみてください。

仕事──休みの不足は、制度と職場に分けて持ってもらう

仕事の荷物は、休みの不足と、職場への説明の2つに分かれます。休みの不足には、介護休暇のほか、対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる介護休業があり、雇用保険の介護休業給付金の対象になる場合もあります。2025年4月からは、介護に直面した社員に制度を個別に知らせ、意向を確かめることが事業主の義務になりました。職場への説明は、上司に「急な休みが出るかもしれない」とだけ先に伝え、穴埋めの段取りを一緒に決めておくと、休むたびの気まずさが減ります。休み方の組み立ては、看病と仕事を両立させる休む制度でくわしく紹介しています。

家事──毎日の用事は、回数を減らすか、人と仕組みに渡す

家事は毎日発生するぶん、少し手放すだけで効き目が大きい荷物です。家族の中で「夕食はこの日だけ」「洗濯はこの人」と曜日で分ける、子どもに一つ任せる、作り置きや宅配を使って回数そのものを減らす、といった分け方があります。高齢の家族の介護が始まっているなら、要介護認定を受けて介護保険のサービスを使える場合もあるので、市町村が設置する地域包括支援センターに、家族として相談してみてください。家族介護者の相談を初めの段階から受け、必要なサービスにつなぐ機関です。

親族への連絡──「連絡係」を一人決めて、共有を任せる

親戚への連絡は、同じ説明を何度もくり返すうちに、気持ちまで削られていく荷物です。病状をまとめて伝える役は、少し離れたところにいる家族のほうが向いていることもあります。あなたが週に一度、要点を一人に送り、その人が親戚に回す形にすると、あなたの説明は一回ですみます。電話をくれる親戚には「連絡は弟からまとめて行くことにしたので」と伝えておけば、問い合わせも自然と連絡係に向かうようになります。

手続き──書類と調べものは、窓口に持ちこむ

医療費の支払い、保険や制度の書類、介護の申請。手続きの荷物は、一人で調べるほど重くなります。医療ソーシャルワーカーは、病院などで社会福祉の立場から、療養中の不安や入退院、使える行政サービスなどの相談に応じる専門職です(置いている病院とそうでない病院があり、相談室の名前も病院ごとに違います)。高額療養費制度は、1日から月末までの1か月に払った自己負担が上限額を超えると、超えた分が支給される仕組みで、2026年8月には上限額の見直しとあわせて年間の上限も新設されました。自分の上限額は加入している健康保険で確かめられるので、その問い合わせだけを家族に頼むこともできます。

何を手元に残し、何を預ければいいですか?

「あなたにしかできないか」と「今週中に必要か」の2つで分けます。本人のそばにいることや、本人が頼りにしている役目は残し、誰がやっても結果が同じ用事から預けます。急がない用事は、預け先が決まるまで置いておいてかまいません。

手放すものを選ぶとき、つい「いちばん重いもの」から考えてしまいます。けれども、重い荷物ほど、あなたが大事にしている役目であることが少なくありません。それを真っ先に手放すと、あとで後悔が残ることがあります。最初に預けるのは、重さより「誰がやっても同じかどうか」で選ぶほうが、気持ちの負担が少なくすみます。

たとえば、面会で本人と過ごす時間は、あなたにしかできないことかもしれません。一方、面会のついでの洗濯物の受け渡しは、ほかの家族に任せられることがあります。医師の説明を聞くのはあなたでも、その内容を親戚に伝えるのは、別の家族でかまいません。

  1. Q1それは、あなたにしかできないことですか

    はい手元に残す。回数や時間を減らせないかだけ考える

    いいえ預け先の候補を、横に1つ書いておく

  2. Q2今週中にやらないと困ることですか

    はい今日のうちに、預け先へ一言伝える

    いいえ来週の分として、メモに回しておく

この役割は残す? 預ける? と迷ったときの分かれ道

もう一つの目安は、本人がどう感じるかです。本人が楽しみにしている面会を減らすのはつらくても、本人が気にしていない書類の手続きなら、誰が代わっても本人は困りません。迷ったときは、本人に「この用事、弟に頼んでもいい?」と聞いてみるのも一つの方法です。家族が倒れずにそばにいられることは、本人にとっても安心につながります。

割り振りは、どんな順番で決めればいいですか?

いちばん重い役割からではなく、預けやすい役割から一つずつ決めます。書き出す、残すものに印をつける、預け先を書く、今週は一つだけ頼む、1か月後に見直す。この順番なら、一度に全部を変えずにすみます。

割り振りを一晩で全部決めようとすると、頼む相手との相談も、制度の確認も一度に押し寄せ、それ自体が新しい荷物になってしまいます。1週間に一つずつで十分です。一つ預けて回り始めると、「頼んでも大丈夫だった」という手応えが、次の一つを頼む力になります。

  1. 1書き出す5つの見出しの下に、抱えている用事を一行ずつ書く
  2. 2残すものに印あなたにしかできない役割に、丸をつける
  3. 3預け先を書く残りの行の横に、人・制度・窓口のどれかを書く
  4. 4今週は一つだけいちばん頼みやすいものを選び、相手か窓口に伝える
  5. 51か月後に見直す回っているか、新しく増えた荷物はないかを確かめる
役割の割り振りを、一つずつ決めていく順番

割り振りを家族に伝えるときは、書き出した紙をそのまま見せると話が早く進みます。「これだけあって、このうちこれを頼みたい」と一覧で示されると、相手も全体の量が分かり、自分にできる役割を選びやすくなります。頼むときの言葉の選び方や、断られたときの受け止め方は、休んでいい、頼っていいで例文とあわせて紹介しています。

ご本人が一人で抱えているときは、何を預けられますか?

治療の説明を一人で聞くこと、お金や仕事の手続き、家族への気づかいが、ご本人の抱えやすい荷物です。説明には家族か看護師の同席を頼み、お金や仕事は医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターへ、気持ちは聞き手に預けられます。

ご本人の方は、「家族に迷惑をかけたくない」という思いから、治療の予定もお金の心配も仕事のことも、一人で抱えこみがちです。夜中に「癌 一人で抱えている」と検索してしまう自分を、責めないでください。家族の前で平気な顔をしている方も、このページを読んでいるあいだくらいは、泣いてかまいません。

預けやすいのは、まず診察の説明です。大事な説明の日だけ家族の誰かに同席してもらうか、それが難しければ看護師に「一緒に聞いていただけますか」と頼むと、聞いた内容を一人で覚えておく荷物が軽くなります。

お金と仕事の荷物は、制度と窓口に預けます。勤め先の健康保険の被保険者が業務外の病気の療養で仕事に就けず、給与が出ないときの傷病手当金や、高額療養費制度が自分に当てはまるかは、病院の医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターで一緒に確かめられます。がん相談支援センターは、働き方に関係なく仕事の相談にも応じています。家族の顔色を読み続ける荷物は、家族の外に置き場所をつくると軽くなります。家族に話せないことを誰に話すかは、関係のない第三者に話すという選択で整理しています。

預けたのに、うまく回らないときはどうすればいいですか?

預け先が合っていなかっただけで、預けたこと自体が間違いだったわけではありません。回らない役割は、別の人か制度か窓口に回し直します。一人に集まりかけたときのために、窓口を予備の預け先にしておくと、また全部を抱えこまずにすみます。

割り振りは、一度決めたら終わりではありません。頼んだきょうだいの仕事が忙しくなった、本人が入院して付き添いの形が変わった、介護の申請が始まって手続きが増えた。こうした変化で、回っていた割り振りが急に回らなくなることがあります。そのたびに、5つの見出しの紙を出して、どの行が止まっているかを確かめれば十分です。

よくあるのが、預けたのに気になって、結局自分でやり直してしまうことです。やり方があなたと違っていても、本人が困らないなら、そのやり方に任せてみてください。預け先がやり方まで自分で決められるほうが、役割は長続きします。

人に預けた役割が止まったときの受け皿として、窓口を一つ決めておくのも一つの方法です。がん相談支援センターは、患者さんだけでなく家族も無料・匿名で使えます。当相談室には、ご家族からの相談も多く寄せられています。2026年9月の実績(運営者集計)では、電話相談・お問い合わせ1,200件のうち800件がご家族からでした。

一人で全部を回していたご家族は、どう半分を預けた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・嫁の立場(同居する70代の義父が通院で治療中。夫は単身赴任中で、小学生の子どもが2人。パートで働いている)
相談のあとに変わったこと
抱えていた14の用事を5つの役割に分けて書き出し、8つを夫・夫の弟・病院の相談窓口に預けた。手元に残したのは、通院の付き添いの一部や子どものことなど6つ。夜に台所で泣く日が、ほとんどなくなった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から1か月半。この女性の家の冷蔵庫には、抱えていた14の用事を書いた1枚の紙が貼ってあり、そのうち8つの横には、別の人や窓口の名前が書き込まれています。親戚への連絡は単身赴任中の夫が電話で、月に2回の通院の送り迎えは近くに住む夫の弟が、医療費の書類のことは病院の医療ソーシャルワーカーとの相談に回りました。手元に残したのは、通院の付き添いの一部と夕食、子どものことなど6つです。子どもが寝たあとに台所で泣く日は、ほとんどなくなりました。「全部じゃなくて半分。それだけで、こんなに息がしやすくなるとは思わなかった」と話します。

2. 相談を考えた背景

義父のがんが分かったのは、夫の単身赴任が決まって半年がたったころでした。義母はすでに亡くなっていて、通院の付き添いも薬の管理も、自然と同居している女性の役目になりました。小学生の子ども2人の世話と、週4日のパートも続けていました。

3. 相談する前に困っていたこと

困っていたのは、何から手を放せばいいかが分からないことでした。夜中に「癌 一人で抱えきれない」と検索し、限界のサインを並べた記事を読むと、ほとんどが当てはまりました。けれども、当てはまると分かっても代わりがいない、と画面を閉じるだけでした。夫の弟に頼むことも考えましたが、「嫁なのに」と思われる気がして言い出せずにいました。

4. ここを選んだ理由・決め手

相談室を選んだのは、フォームの説明に「抱えていることを箇条書きのまま書いてかまわない」とあったからです。電話で一から説明する元気はなかったけれど、箇条書きなら書けると思ったそうです。パートが休みの水曜の午前10時を選んで送ると、受付確認のメールがすぐに届きました。

5. 相談で話したこと・その後

電話で担当は、最初の20分はただ話を聞き、そのあと女性に確かめてから、箇条書きの14項目を5つの役割に分け直していきました。「あなたにしかできないか」「今週必要か」で印をつけると、預けられそうなものが8つ出てきました。担当は義父の病状については判断せず、書類のことは病院の医療ソーシャルワーカーに、介護のことは地域包括支援センターに相談できると伝えました。いちばんの難関は夫の弟への一言で、1週間迷ったあと、月に2回の送りだけをメッセージで頼みました。返ってきたのは「もっと早く言ってくれればよかったのに」という一文だったそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞いてみたい質問例

  • 家族が毎回は付き添えないとき、通院で気をつけることはありますか。
  • 大事な説明がある日は、前もって教えていただけますか。家族の都合を合わせたいです。
  • 医療費や介護の手続きを相談できる部署は、どこですか。
  • 介護保険の申請を考えたほうがいい状態かどうか、教えていただけますか。
  • 付き添う家族が疲れているとき、相談できる人はいますか。

とはいえ、手放すのがこわいあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──預けても、あなたの役目は消えません

荷物を預けると、「自分は役に立たなくなったのでは」「看病から逃げたのでは」と感じることがあります。けれども、預けたのは用事であって、本人を思う気持ちや、そばにいる時間ではありません。余力が戻ったぶん、面会での表情がやわらいだり、本人の話にゆっくり耳を傾けられたりするなら、それはあなたにしかできない役目を、前よりも果たせるようになったということです。

② 実務のこと──役割の一覧を、あなたの頭の外に置く

一人で抱えこむ状態は、用事の量だけでなく、情報が一人の頭の中にしかないことからも生まれます。通院の予定、薬の名前、医師に言われたこと、手続きの進み具合。これらがあなたの頭の中にしかないと、誰かに代わってもらおうとしても、そのたびに説明が要り、結局自分でやるほうが早くなってしまいます。家族で共有できるカレンダーや連絡用のグループ、冷蔵庫に貼る一枚の紙など、誰でも見られる場所に一覧を置いておくと、役割は人から人へ渡しやすくなります。あなたが寝込んだ日にも誰かが続きを引き受けられる形にしておくことが、半分を預け続けるための土台です。

今日できること

抱えている役割から、1つを手放すための3つのこと

  1. 5つの見出しで書き出す

    付き添い・仕事・家事・親族への連絡・手続きの見出しを書き、その下に用事を一行ずつ並べる。

  2. 1つに「預ける」印をつける

    誰がやっても結果が同じ用事の中から、いちばん預けやすいものを1つだけ選ぶ。

  3. 預け先を書いて、今週中に伝える

    選んだ用事の横に人・制度・窓口のどれかを書き、相手か窓口に今週中に伝える。頼む先が浮かばなければ、一覧をそのまま相談室に送る。

よくある質問

「抱えきれない」と家族に言ったら、本人にも伝わって心配をかけませんか?

伝え方は選べます。きょうだいや配偶者には、「用事を分けたい」という具体的な割り振りの相談として話せば、本人に伝わっても「家族で分担を決めた」という話になります。つらい気持ちそのものは家族の外の窓口で話すと、本人に心配をかける形になりにくくなります。

遠くに住むきょうだいには、何を預けられますか?

離れていてもできる役割は意外に多くあります。親戚への連絡係、制度や病院の情報の調べもの、加入先の健康保険への問い合わせ、オンラインでできる買い物の手配などです。帰省できる日があるなら、大事な説明の日の同席や、あなたが休む日の付き添いを、その日だけ引き受けてもらう方法もあります。

介護休暇や介護休業は、通院の付き添いにも使えますか?

対象になるのは、要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の家族を介護する場合です。通院の付き添いに使えるかどうかは、家族の状態によって変わるため、勤め先の人事に確かめてください。対象に当たらないときは、年次有給休暇や会社独自の休暇制度で調整することになります。

親の介護のことは、どこに相談すればいいですか?

高齢の親御さんなら、お住まいの市町村が設置する地域包括支援センターが、家族介護者の相談を初めの段階から受けています。40〜64歳の方の場合は、市区町村の介護保険の窓口か地域包括支援センターに相談してください。この年代では、がんは医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断した場合に限って介護保険の特定疾病に当たり、使えるかどうかは要介護認定で決まります。治療中の病院の医療ソーシャルワーカーにも相談できます。

相談室では、どんなことを手伝ってもらえますか?

抱えている用事を一緒に並べ、何を、誰に、どの順番で預けるかを整理します。お金の見通しや、会社に何と言うかの整理もご一緒できます。介護・終活・葬儀・相続などの専門サービスが必要になったときは、ご希望とご同意がある分だけ橋渡しをし、お断りいただいても費用はかかりません。

もう何も考えられないほど限界です。今夜はどうすればいいですか?

今夜は、荷物を整理しようとしなくてかまいません。眠れなくても横になり、明日の用事のうち一つだけ、誰かに頼むか先に延ばすかを決めてください。誰かと話したいときは、よりそいホットライン(0120-279-338)なら24時間・無料で電話をかけられます。今まさに命の危険を感じるときは、ためらわずに119番へ電話してください。

預けられる役割を、一緒に選びます

抱えていることを箇条書きのまま書き、ご希望の時間帯と折り返しのお電話番号を添えて送ってください。送るとすぐに受付確認のメールが届き、選んでいただいた時間帯に担当から電話がかかります。手元に残す役割と預ける役割を一緒に分け、それぞれの預け先まで決めていきます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    怖さを、ひとりで抱えたまま夜を越さない

    怖い、眠れない。その気持ちは、おかしなことではありません。怖さに名前をつけて誰かに話すだけで、少し息がしやすくなることがあります。眠れない日や気持ちの落ち込みが続くときは、主治医や看護師に伝えてください。心のつらさも、緩和ケアで向き合う大切なことの一つです。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「気持ちのつらさや眠れないことも、相談してよいですか。」

    1. 怖いことを「最期のこと」「痛み・苦しさ」「先の見えなさ」「ひとりになること」に分けて書き出す
    2. 眠れない日が続くときは、主治医や看護師に伝える
    3. 今夜誰かと話したいときは、電話やLINEでひとことだけでも送ってみる

    手元にあると話しやすいもの

    • 怖いことを書き出したメモ
    • 眠れなかった日の記録

    公的な相談先

    緩和ケアチーム・緩和ケア外来
    痛みや息苦しさ、気持ちのつらさを和らげる専門のチームです。主治医や看護師を通じて相談できます。
    よりそいホットライン
    24時間・通話料無料でつながる電話相談です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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