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休んでいい、頼っていい|がんの家族が自分の時間を取り戻す方法

このテーマの総論:末期がんはあとどれくらい?「末期」という言葉の意味と経過の幅

この記事では、最期が近いときの体の変化についてお伝えしています。いまは読みたくないときは、無理をせず、読める日まで閉じておいても大丈夫です。

この記事の結論

休んでも、頼ってもいいのです。休むことは看病から降りることではなく、明日も支えるための段取りの一つです。頼れる相手を5つの枠で書き出し、「いつ・何を・どのくらい」と「断ってもいい」の一言を入れて頼めば、自分の時間は少しずつ取り戻せます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか8件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

休みたい、誰かに頼りたいと思うのは、看病を投げ出したいからではありません。今のやり方のままでは続かないと、あなたの体と心が正しく気づいているからです。休むことは、本人を見捨てることとは違います。

どのくらい休めば足りるのか、誰にどこまで頼めるのかは、本人の病状、家族の人数や住む場所、仕事の事情によって変わり、決まった答えはありません。だからこそ、気合いで乗り切ろうとするより、「誰に・何を・どう頼むか」を言葉にしておくことが助けになります。

限界が近いときのサインや、休む・頼る・話すの全体像は、限界のときに自分を守る3つの方法にまとめています。この記事では、頼れる相手の洗い出し方と、そのまま送れる頼み方の例文に絞ってお伝えします。

自分の時間が、もうずっとない方へ

  • 病院から帰ると洗濯と夕食の支度。気づけば、自分のための時間がもう何週間もない。
  • 妹に頼みたいけれど、「忙しいのに悪い」と思うと、書いたメッセージを送れずに消してしまう。
  • 休んだら本人に申し訳ない。でも、このままでは自分がもたないことも分かっている。

がんの家族の看病で自分の時間がありません。休んだり誰かに頼ったりしてもいいのでしょうか?

いいのです。看病は、いつまで続くか分からない道のりです。休むことと頼ることは、本人を見捨てることではなく、支える力を切らさないための段取りです。迷ったら、まず一つの用事を誰かに渡すところから始めてください。

看病の重さは、多くの家族が抱えてきたものです。国立がん研究センターが2022年に公表した遺族調査(2017年と2018年にがんで亡くなった方のご遺族、有効回答54,167名)では、看病の時期をふり返って、介護の負担感が大きかったと答えた方が38.9%いました。がん情報サービスも、家族の立場について「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と紹介しています。疲れきってしまうのは、あなたの力が足りないからではありません。

休むことを「見捨てる」ように感じるのは、そばにいる時間の長さで、愛情の量を測ってしまうからです。けれど、本人が受け取っているのは時間の長さだけではありません。疲れでこわばった顔で過ごす6時間より、眠って少し回復した顔で過ごす2時間のほうが、本人にとって気が楽なこともあります。

頼ることも同じです。一人で抱えて倒れてしまえば、本人の支えはそこで途切れます。用事を分けて持てば、一本一本の支えは細くても、長く続けられます。

頼みたいのに頼めないのは、なぜですか?

頼めない気持ちをほどいてみると、「迷惑をかけたくない」「断られるのが怖い」「説明するほうが手間」「自分がやるべきだ」という4つの思いが見えてきます。どれに当たるかが分かると、それに合った頼み方を選べます。

どの思いも、まわりへの気づかいや責任感から生まれたものです。ただ、そのままにしておくと、頼みたい気持ちと頼めない気持ちのあいだで、毎晩同じところを行ったり来たりすることになります。自分のブレーキがどれなのかを、下の表で確かめてみてください。

頼めない理由頭の中の声ほどき方
迷惑をかけたくない「みんな忙しいのに悪い」小さく、期限つきで頼む。相手が選べる形にする
断られるのが怖い「嫌な顔をされたらどうしよう」「難しければ断ってね」と、先に逃げ道を渡す
説明するほうが手間「教えるより、自分でやったほうが早い」手順をメモ一枚にまとめ、一度だけ渡す
自分がやるべきだ「長女だから」「妻だから」自分にしかできないことを絞り、残りを分ける
頼めない理由と、その気持ちのほどき方

いちばん手ごわいのは、最後の「自分がやるべきだ」かもしれません。家族の中での立場や、これまでの役割から来る思いは、簡単には外れません。それでも、看病の中には、あなたでなくても回る用事が混ざっているものです。その用事を手放すことは、役目を放り出すことではなく、あなたにしかできないことのために、手を空けておくことです。

頼れる相手は、どうやって洗い出せばいいですか?

紙に「家族・親戚」「友人・近所」「職場」「病院」「地域の窓口」の5つの枠を書き、思いつく名前や窓口を入れていきます。頼めることの大きさは人によって違ってかまいません。小さな用事しか頼めない人も、大事な一人です。

「頼れる人がいない」と感じるときほど、頭の中では「全部を任せられる人」を探しています。けれど、全部を任せられる人は、そうそういません。探す相手を「小さな用事を一つだけ頼める人」に変えると、枠に入る名前は意外と増えていきます。

看病の中心にいるあなた

  • 家族・親戚面会の交代、送り迎え、親戚への連絡係
  • 友人・近所買い物、ペットの世話、話し相手
  • 職場勤務時間の調整、介護休暇などの制度の確認
  • 病院看護師、医療ソーシャルワーカー、がん相談支援センター
  • 地域の窓口地域包括支援センター、市区町村の介護保険の窓口
頼れる相手を洗い出す5つの枠

名前が少ない枠があっても、気にしなくて大丈夫です。次は、用事の側から書き出してみます。人と用事を両方並べると、「この用事なら、あの人に頼めそう」という組み合わせが見えてきます。

  • 面会の帰りに、着替えや洗濯物を持ち帰る
  • 週に一度、夕食のおかずを届ける
  • 親戚や知人からの問い合わせに答える
  • 通院の日の送り迎え
  • ペットの散歩や、植木の水やり
  • 郵便物や、支払いの期限の確認
  • 夜に少しのあいだ、電話で話を聞く
人に渡しやすい、小さな用事の例

病院と地域の枠には、相談を受けることが役目の人たちがいます。医療ソーシャルワーカーは、病院などで、患者さんや家族が抱える経済的・心理的・社会的な困りごとの相談に応じる専門職です。窓口の名前は病院ごとに違うので、看護師に「ソーシャルワーカーの方に、家族の負担のことで相談したい」と頼んでみてください。がん相談支援センターは、家族だけでも、本人の通院先でなくても、無料・匿名で使えます。

地域包括支援センターは市町村が設置する機関で、高齢の方や、その家族介護者の相談を早い段階から受けて、必要なサービスにつないでいます。介護保険は、65歳以上なら要介護・要支援の認定を受ければ原因を問わず使えます。40〜64歳の方は、がんが介護保険の特定疾病にあたる場合に限られます。どちらの場合も、要介護認定の申請は市区町村の窓口で行い、対象になるかどうかもそこで確かめられます。

頼み方には、何か「型」がありますか?

あります。「事情をひと言」「頼みたいことを日時と中身で」「期間を区切る」「断ってよいと添える」「あとでお礼と報告」の5つを入れると、相手は何を引き受けるのかがはっきりし、返事をしやすくなります。

「何かあったら手伝ってね」は、優しい頼み方に見えて、実は相手にとって動きにくい頼み方です。何を、いつ、どのくらいすればいいのかを、相手が自分で考えなければならないからです。反対に、中身がはっきりした頼みごとは、相手が自分の予定と照らして、すぐに答えを出せます。

  1. 1事情をひと言「母の入院が長くなりそうで」と、背景を短く伝える
  2. 2日時と中身「来週の水曜、夕方6時から1時間」のように具体的にする
  3. 3期間を区切る「再来週までの2回だけ」と、終わりが見える形にする
  4. 4逃げ道を渡す「難しければ遠慮なく断ってね」と先に添える
  5. 5お礼と報告引き受けてくれたら、その日の様子を短く伝える
頼む一文を組み立てる5つの部品

とくに効くのが、期間を区切ることです。終わりの見えない頼みごとは、引き受ける側にも重くのしかかります。「再来週まで」と区切ってあれば、相手は気軽に「それならできる」と言えますし、続けられそうなら、そのとき改めて相談すればいいのです。お礼と報告も、手を抜かないでください。「今日、母が『○○ちゃんが来てくれた』って喜んでたよ」。この一言で、手伝った人は本人とつながれたと感じ、次に頼むときの扉も開きやすくなります。

きょうだいには、どう頼めばいいですか?

これまでの不満をぶつけるより、「この日のこの用事だけ」と具体的に頼むほうが、相手は動きやすくなります。遠くに住むきょうだいには、離れていてもできる役割を名指しで渡します。

近くに住むきょうだいへ(メッセージで)

「お母さんの入院が長くなりそうで、毎日の面会が少しきつくなってきました。来週の火曜と金曜、仕事帰りに30分だけ病院に寄ってもらえないかな。難しければ遠慮なく言ってね。様子は、あとでこちらからも聞くね」

遠くに住むきょうだいへ(電話で)

「こっちに来るのは難しいと思うから、親戚からの問い合わせの窓口をお願いできないかな。叔母さんたちから電話が来たら、そっちに回してもいい? それと、月に一度でいいから、週末に帰ってきてもらえると本当に助かる」

遠くに住むきょうだいほど、何もできずにいることを、ひそかに気に病んでいることがあります。名指しで役割を渡されて、ようやく関われるとほっとする人もいます。頼むことは、相手から何かを奪うことばかりではありません。

話し合いがこじれそうなとき

「なんで私ばかり」という思いが強いときほど、気持ちより先に、用事の一覧を見せるほうが伝わります。一週間の用事を書き出したメモを共有し、「このうち、どれならできそう?」と相手に選んでもらう形にすると、責め合いになりにくくなります。相手にも、仕事や子育てなど見えていない事情があるかもしれません。選んでもらうやり方なら、その事情を責めずに済みます。

親戚や友人、職場には、どう頼めばいいですか?

親戚や友人には、短く具体的な用事を一つだけ。職場には、病名より「家族の看病のために、この配慮がほしい」を伝えます。どちらも、相手が「はい」か「いいえ」で答えられる形にするのがこつです。

親戚へ(電話で)

「叔母さん、急にごめんね。母の入院で、平日の昼間に病院へ行ける人がいなくて。来週の木曜の午後、2時間ほど母のそばにいてもらえないかな。都合が悪ければ、遠慮なく言ってください」

友人へ(メッセージで)

「家族のことでばたばたしていて、連絡できずにごめん。一つだけお願いがあって、土曜の午前に、うちの犬の散歩を頼めないかな。無理なら全然大丈夫」。話を聞いてほしいときは、「解決策はいらないから、少しだけ話を聞いてもらえる?」と、聞いてほしいだけだと先に伝えておくと、相手も構えずに済みます。

職場へ(上司に)

「家族の看病で、しばらく水曜日だけ定時で上がらせていただきたいのですが、ご相談できますか。そのぶんの業務は、火曜と木曜で調整します」。同僚には、「家族の用事で、しばらく水曜の夕方の打ち合わせを別の時間にしてもらえると助かります」と、変えてほしいことだけを伝えれば十分です。通院の付き添いなどには、介護休暇(1年に5日、対象の家族が2人以上なら10日まで)を時間単位で使えることもあります。対象になるかどうかは、家族の状態によって決まるので、人事に確かめてください。会社への伝え方は、仕事に集中できないときの伝え方と休む制度で詳しく紹介しています。

看護師には、家族が休みたいことをどう伝えればいいですか?

「家族も少し疲れてきていて、休む日をつくりたいと思っています」と、休みたい理由と確かめたいことをセットで伝えます。家族の疲れを伝えることは、わがままではなく、療養の段取りを一緒に考えるための大切な情報です。

看護師に伝えるときは、休みたいという希望だけで終わらせず、確かめたいことを一つ添えると、話が前に進みます。たとえば、こんな言い方です。

  • 「来週から、面会を週に何日か休もうと思っています。本人に伝えておいたほうがいいことや、気をつけておくことはありますか」
  • 「面会に来られない日に、本人の様子を電話でうかがえる時間帯はありますか」
  • 「家族の疲れや、付き添いの分担について相談できる方はいますか」

自宅で療養している場合は、訪問看護師やケアマネジャーに「家族が休める時間をつくりたい」と伝えてください。使えるサービスや、家族の手を空ける方法を相談できます。付き添いの交代の組み方や、席を外すときに看護師と決めておく連絡の約束については、最期の時期の付き添いと、自分が休むことの両立で詳しく取り上げています。

断られたり、嫌な顔をされたりしたら、どうすればいいですか?

断られたのは、あなたではなく、その日時と用事です。別の日や、もっと小さな用事で頼み直すか、家族の外の手を探します。一度断られても、頼んだことで「手が足りていない」という事実は、相手に伝わっています。

断られた夜は、「やっぱり頼むんじゃなかった」と思うかもしれません。けれど、断る自由があるからこそ、引き受けてもらえたときの「いいよ」は本物になります。断られたら、「分かった、ありがとう。また別のことで相談するかも」と軽く返して、そこで終わりにします。

  1. Q1断られた理由は、日時や都合の問題でしたか

    はい別の日や時間帯で、もう一度頼んでみる

    いいえ次の問いへ進む

  2. Q2その人にもできそうな、もっと小さな用事はありますか

    はい電話で話を聞く、買い物を一回など、小さな形で頼み直す

    いいえ次の問いへ進む

  3. Q3家族や友人の中に、ほかに頼めそうな人はいますか

    はいその人に、日付と中身を入れた一文を送る

    いいえ医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターなど、家族の外の窓口に相談する

頼んで断られたときの分かれ道

家族や友人に頼みにくいときは、家族の外の窓口を頼ってください。相談を受けること自体が、その人たちの役目です。

「長女の私がやるしかない」と思っていた娘は、どう頼めるようになった?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(70代の母が入院中。80代の父は自宅で暮らし、家事は娘が担っている。近所に妹、県外に弟がいる。パートで働いている)
相談のあとに変わったこと
毎日だった病院通いが週4日になり、水曜の午後が「自分の時間」になった。妹と弟に、日時と中身を入れた一文で頼めるようになり、父の食事のことは地域包括支援センターに相談を始めた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から3週間後、この方の手帳には、毎週水曜の午後に「自分の時間」と書かれるようになりました。妹が火曜と金曜の夕方に病院へ寄り、県外の弟は、親戚からの電話の窓口と、月に1回の週末の付き添いを引き受けています。毎日だった病院通いは、週4日になりました。水曜の午後は、美容院に行ったり、ただ昼寝をしたりして過ごしています。「水曜は行かなくていい日、と決めたら、ほかの日に母と笑えるようになりました」。

2. 相談を考えた背景

母親が入院して2か月。80代の父親は自宅で暮らしていますが、食事の支度ができず、この方がパートの帰りに実家へ寄って夕食を作っていました。昼は病院、夜は実家と自宅の家事。妹は近くに住んでいるものの、小さな子どもがいて忙しそうに見え、「長女の私がやるしかない」と思い込んでいました。

3. 相談する前に困っていたこと

一度だけ、妹に「手伝ってほしいんだけど」と送ったことがあります。返ってきたのは「何をすればいい?」の一言で、そこで手が止まりました。何を頼めばいいのか、自分でも分からなかったのです。地域包括支援センターという名前は聞いたことがあっても、父のことまで相談していい場所だとは知りませんでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

サイトに「誰に・何を・どう頼むか」を一緒に書き出すとあり、気持ちを聞いてもらうより、まず頼むための言葉がほしかったこの方には、それがそのまま決め手になりました。夜中にフォームを送り、希望の時間帯には、パートの休憩時間にあたる「平日13時から」と書いています。「受付のメールがすぐに届いて、ちゃんと届いたと分かって眠れました」。

5. 相談で話したこと・その後

お電話では、担当が名前を名乗ってから、まず話を聞くことに時間を使いました。そのあと一週間の用事を一緒に書き出すと、全部で14ありました。この方にしかできないことに印をつけると、残ったのは3つだけ。ほかの用事を、5つの枠に書いた名前と組み合わせていきました。妹には「来週の火曜と金曜、仕事帰りに30分だけ病院に寄ってもらえないかな。難しければ遠慮なく言ってね」と送っています。担当は、母親の病状の見通しについては判断していません。父親の食事については、地域包括支援センターに相談できることを伝え、この方は翌週に電話をかけました。妹からは「もっと早く言ってくれればよかったのに」と返ってきたそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 家族が面会に来ない日をつくりたいのですが、本人に伝えておいたほうがよいことはありますか。
  • 面会に来られない日に、本人の様子を電話で聞ける時間帯はありますか。
  • きょうだいが交代で来るとき、病棟に伝えておくことはありますか。
  • 家族の疲れや付き添いの分担について、相談できる方はいますか。
  • 退院したあと、家族の負担を減らすために使えるサービスはありますか。

とはいえ、頼ることにまだ迷いがあるあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──後ろめたさが消えなくても、休んでいい

初めて面会を休んだ日は、家にいても落ち着かないかもしれません。何度も時計を見て、スマホを確かめてしまう。それで当たり前です。後ろめたさが消えてから休むのではなく、後ろめたさを抱えたまま休んでいいのです。二度、三度と休むうちに、休んだ翌日の自分の顔つきや声の調子が違うことに、気づくかもしれません。それは本人にも、ちゃんと伝わっています。

② 実務のこと──「自分にしかできないこと」を絞り、月に一度見直す

看病の中心にいる人ほど、すべての用事を「自分の仕事」と感じています。一度、一週間の用事を全部書き出し、自分にしかできないことに印をつけてみてください。主治医の説明を聞く、本人の大事な気持ちを受け止める、治療についての話し合いに加わる。本当に代わりのきかない用事は、思っているより少ないものです。残りは、5つの枠の誰かに渡せる用事です。病状や暮らしが変われば、用事の中身も変わります。月に一度、きょうだいと用事の一覧を見直す日を決めておくと、一人への偏りが元に戻りにくくなります。

今日できること

自分の時間を取り戻すために、今夜から明日までにできる3つのこと

  1. 5つの枠に名前を書く

    家族・親戚、友人・近所、職場、病院、地域の窓口の5つの枠を紙に書き、思いつく名前を一人ずつ入れる。

  2. 頼む一文を一つだけ送る

    5つの部品を使って、明日か明後日の用事を一つ頼む一文を書き、そのまま送る。

  3. 看護師に休む日を伝える

    次の面会で「面会を休む日をつくりたい」と看護師に伝え、その日の様子の聞き方を確かめておく。

よくある質問

一人っ子で、頼れるきょうだいがいません。

5つの枠のうち、家族以外の4つに目を向けてください。友人や近所の人には小さな用事を一つ、病院では医療ソーシャルワーカーに家族の負担を、地域包括支援センターや市区町村の介護保険の窓口には介護の手助けを相談できます。相手が家族でないほうが、かえって割り切って頼みやすいこともあります。

配偶者が、なかなか看病に関わってくれません。

「手伝って」ではなく、用事と日時を名指しで頼んでみてください。「土曜の午前は、あなたに病院へ行ってほしい」「親戚への連絡は、あなたに任せたい」。関わろうとしないように見える人も、何をすればいいのか分からずにいることがあります。役割がはっきりして、ようやく動き出せる人もいます。

休んでいるあいだに本人の具合が変わったらと思うと、休めません。

その心配は自然です。休む日には、病棟に連絡のつく番号を伝え、電話に出られるようにしておくと安心です。今が体調の変わりやすい時期かどうかは、看護師に「今週、面会を休んでも大丈夫そうですか」と聞いてみてください。それでも先のことは、誰にも言い切れません。もし何かが起きたとしても、それはあなたが休んだせいではありません。

頼んだら、きょうだいとの関係が悪くなりそうで怖いです。

我慢をため込んだ末に、不満が一度にあふれ出すほうが、関係にとっては負担になりがちです。気持ちに余裕のあるうちに、小さく、期限つきで頼むほうが、お互いに受け止めやすくなります。用事の一覧を見せて相手に選んでもらう形にすれば、「押しつけられた」と感じさせずに済みます。

子どもの入院に付き添っていて、自分の時間がまったくありません。

付き添いの交代や、きょうだい児の世話などで困っているときは、小児がん拠点病院のがん相談支援センターに相談できます。その病院にかかっていない家族からの電話相談も、無料で受けています。公益財団法人がんの子どもを守る会には、小児がんを専門にするソーシャルワーカーの相談窓口もあります(東京03-5825-6312/大阪06-6263-2666、受付は平日10時〜17時で年末年始を除く)。親御さんが休むことも、子どもを支える準備の一つです。

夜、一人になると不安で、休んでいても心が休まりません。

体を休めることと、心が休まることは、別のことがあります。夜に考えが止まらないときは、心配ごとを紙に書き出し、「続きは明日の朝」と区切ってみてください。誰かの声を聞きたい夜には、よりそいホットライン(0120-279-338)が24時間、無料で電話を受けています。がんと家族の相談室のLINEに送ったメッセージは、翌朝いちばんに読んでお返事します。

「誰に・何を・どう頼むか」を、電話で一緒に書き出しませんか

お名前はニックネームで大丈夫です。休憩時間など、話しやすい時間帯を書いて送ってください。送ったあとすぐに受付確認のメールが届き、その時間帯に担当が電話をかけます。一週間の用事を一緒に書き出し、頼める相手と、そのまま送れる一文まで整えます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

    3. お見積りの後にお断りいただいても構いません

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    これからの流れは、大きな分かれ道だけ先に話しておく

    これから先のことを、一度にすべて決める必要はありません。どこで過ごしたいか、急な変化のときに誰へ連絡するか。大きな分かれ道だけでも話しておくと、そのときの迷いが小さくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「これから起こりうる変化と、そのとき家族が連絡する先を教えてください。」

    1. 過ごしたい場所(自宅・病院・緩和ケア病棟など)の希望を、ご本人と少しずつ話す
    2. 在宅療養や介護保険のことは、病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談する
    3. 決めたことはメモにして、家族のあいだで共有しておく

    手元にあると話しやすいもの

    • ご本人の希望(過ごしたい場所など)のメモ
    • 介護保険の被保険者証(お持ちの場合)

    公的な相談先

    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。
    地域包括支援センター・市区町村の介護保険の窓口
    介護保険の申請や、介護サービスの使い方を相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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