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罪悪感が消えない、自分を責める|がんの家族の気持ちの手放し方

このテーマの総論:つらい・しんどい・限界|がん患者の家族が自分を守る3つの方法

この記事の結論

罪悪感は、大切な人を守りたかった気持ちが行き場をなくしたときに生まれます。感じている責任の重さと、実際の責任は同じではありません。事実と解釈を紙の上で分け、「本当はこうしたかった」を今日できる小さな行動に置き換えると、少しずつ扱える大きさになっていきます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか6件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

自分を責める気持ちが消えないのは、あなたが冷たい家族だからでも、取り返しのつかない過ちをしたからでもありません。大切な人ががんになるという受け止めきれない出来事を前に、心が「誰のせいなのか」を探し回り、いちばん近くにいた自分を指さしてしまっているのです。

罪悪感がいつ軽くなるかに、決まった目安はありません。検査や治療の節目、本人のつらそうな姿を見た日に、ぶり返すこともあります。力ずくで消そうとするより、罪悪感の中身をほどいて、手に持てる大きさに戻していくほうが近道です。

読み進めるのがつらくなったら、途中で閉じてかまいません。ページの後半には、責める気持ちをそのまま話せる先もまとめています。

同じ場面を、何度も思い返してしまう方へ

  • 「あのとき、もっと強く病院に行こうと言っていれば」と、同じ場面を何度も頭の中で再生してしまう。
  • 具合が悪かったはずの日に、きつい言葉をぶつけてしまった。あの日の自分が許せない。
  • 本人は治療でつらい思いをしているのに、私は普通に食べて、眠って、働いている。それが申し訳ない。

この記事で分かること

  • 罪悪感が「守りたかった」という気持ちから生まれる理由
  • 「もっと早く気づけたはず」という考えが、頭から離れない仕組み
  • 事実と解釈を4つの欄に分けて書き出す、紙一枚の整理の仕方
  • 罪悪感を「今日できること」に変える手順と、苦しいときの相談先

家族ががんになったのに何もできず、自分を責めて罪悪感が消えません。どう考えればいいですか?

まず、「罪悪感がある」ことと「実際に責任がある」ことを、別々に考えてください。罪悪感の強さは、責任の大きさを測るものさしにはなりません。強く責めてしまうのは、それだけ本人を大切に思っているからです。

どうでもいい相手のことで、「もっと何かできたはず」と夜中まで考え続ける人はいません。罪悪感は、「守りたかった」「失いたくない」という願いが行き場をなくし、自分自身に向かっている状態です。その意味で、罪悪感は愛情の裏返しだといえます。

心の働きとして、もう一つ知っておいてほしいことがあります。「なぜ、こうなったのか」という問いに、すっきりした答えが見つからないとき、人は答えのない状態に耐えるより、「自分があのとき気づいていれば」という筋書きのほうを選びがちです。自分を責めるのはつらいことですが、出来事に理由がつき、世界が少しだけ理解できるものに感じられるからです。責める考えの中には、心を守ろうとする働きも混ざっているのです。

がん情報サービスの「家族ががんになったとき」というページには、家族が「本人はもっとつらいのだから」と自分の気持ちを抑えてしまいやすく、そのうえ自分の暮らしも回し続けなければならないことが書かれ、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と添えられています。罪悪感も、家族が誰にも言わずに飲み込みがちな気持ちの一つです。抱えたまま看病を続けるのは、重い荷物を背負って坂道を上るようなものです。下ろし方を知っておくことは、本人のためにもなります。

「もっと早く病院に行かせていれば」という考えが、頭から離れないのはなぜですか?

結果を知った今の目で、まだ何も知らなかったころの自分を裁いているからです。今のあなたには病名も経過も見えていますが、あのときのあなたが手にしていたのは、本人の短いひと言と、いつもと変わらない様子だけでした。

たとえば、こんな場面です。年末の電話で、母親が「最近、胃が重くて」と言った。「年のせいじゃない? 一度診てもらったら」と返し、話はすぐに孫の話題へ移った。数か月後、受診した母親にがんが見つかる。それからというもの、あの電話の数十秒が、何度も頭の中で再生される。

出来事の結末を知ってから振り返ると、途中にあった小さなサインが、くっきりと浮かび上がって見えます。けれど、それは結末を知っているから引ける線です。あのときと同じひと言を、結末を知らない別の誰かが聞いていたら、どう受け止めたでしょうか。

あのとき手にしていた情報

  • 「疲れやすい」「胃が重い」といった、本人の短いひと言
  • 食事も仕事も続けていた、いつもどおりの様子
  • 「年のせいかな」と笑っていた本人の口ぶり

今のあなたが知っていること

  • 検査の結果と、はっきりした病名
  • 見つかったときの病気の広がり
  • その後の治療と体調の移り変わり
あのときのあなたと、今のあなたが持っている情報の違い

がんは種類や場所によって、早い段階でははっきりした症状が出にくいことがあります。本人が体の変化に気づいていなかったり、気づいていても家族に心配をかけまいと黙っていたりすることもあります。大人が病院に行くかどうかを最後に決めるのは本人で、家族が無理に連れて行くことは、現実にはなかなかできません。

早く受診していれば違ったのかどうかは、医学の問いです。答えに近づけるのは、検査の結果を見てきた主治医で、それでも言い切れないことがあります。どうしても知りたいなら、次の診察で尋ねてかまいません。聞かずにおくのも、あなたが選んでよい道です。

自分を責める考えは、なぜ何度もくり返し浮かんでくるのですか?

罪悪感には、考えるたびに新しい「証拠」を集めてくる性質があるからです。夜に一人になったときや、本人のつらそうな姿を見た帰り道など、決まった場面で強まりやすく、くり返すうちに解釈が事実のように感じられていきます。

責める考えは、同じ道をぐるぐる回るのが特徴です。「あのとき気づいていれば」から始まり、「あの日も顔色が悪かった」「そういえば健診の話もしていた」と、思い出すほど証拠らしきものが増えていきます。ところが、どれだけ回っても、新しい事実は一つも増えていません。増えているのは、同じ出来事に向けた、責める解釈だけです。

こうした考えには、引き金になりやすい場面があります。自分の引き金を知っておくと、「今は罪悪感が強くなる時間帯だ」と、少し離れたところから眺められるようになります。

  • 夜、布団に入って一人になったとき
  • 面会の帰り道や、病院の駐車場で車に乗り込んだとき
  • 検査の結果や、治療の変更を聞いた日
  • 親戚や知人から「もっと早く気づけなかったの」と聞かれたとき
  • 本人が痛がったり、つらそうにしたりする姿を見たとき
  • 楽しいことをして、思わず笑ったあと
  • 「早期発見」という言葉を、テレビやネットで目にしたとき
罪悪感が強まりやすい場面(自分の引き金を知るために)

引き金に気づいたら、「また、あの道に入りかけている」と心の中で言葉にしてみてください。考えを無理に止めようとしなくてかまいません。名前をつけて眺めるだけでも、考えに飲み込まれている時間が短くなることがあります。

事実と解釈を分けて書き出すには、どうすればいいですか?

紙に4つの欄をつくり、「実際にあったこと」「そのとき知っていたこと」「今の自分の解釈」「親しい友人が同じ話をしたら、何と返すか」を順に書きます。頭の中で回っていた考えが紙の上に並ぶと、事実と解釈のすき間が見えてきます。

頭の中では、事実と解釈が溶け合い、一つの塊になっています。紙に書くと、それぞれが別の欄に分かれ、どこからが自分の思い込みなのかを目で確かめられます。きれいに書く必要も、誰かに見せる必要もありません。スマホのメモでもかまいませんが、手で書くと考える速さが落ち、そのぶん落ち着いて言葉を選べます。

  1. 1事実を書く日付と出来事だけを、誰が読んでも同じになる言葉で書く
  2. 2知っていたことを書くそのときのあなたが手にしていた情報だけを書き出す
  3. 3解釈を書く頭の中の責める言葉を、そのまま書き写す
  4. 4友人への返事を書く親しい人が同じ話をしてきたら、何と声をかけるかを書く
  5. 5願いを一つ選ぶ書き終えたら、「本当はこうしたかった」を一つだけ取り出す
罪悪感を4つの欄に分けて書き出す手順

先ほどの電話の場面なら、たとえば次のようになります。

  • 実際にあったこと:12月の電話で、母が「胃が重い」と言った。「年のせいじゃない? 一度診てもらったら」と返した。母が受診したのは2月だった。
  • そのとき知っていたこと:母は前から胃腸が弱かった。食事はとれていて、春の旅行の計画も立てていた。
  • 今の自分の解釈:軽く流したせいで、見つかるのが遅れた。全部、自分のせいだ。
  • 友人への返事:「その話だけで、がんを思いつくのは無理だよ。それに、ちゃんと受診も勧めていたじゃない」

4つ目の欄が書きにくいときは、自分の子どもや大切な友人が、同じことで泣いていたらと想像してみてください。他人には自然に向けられるやさしい言葉を、自分にだけは向けられずにいたことに、気づくかもしれません。

書いたからといって、罪悪感がすっと消えるわけではありません。目指すのは、「全部自分のせいか、まったく関係ないか」の両極端で考えていた責任を、事実に見合った大きさに戻すことです。

罪悪感を「今できること」に変えるには、何から始めればいいですか?

書き出した後悔の奥から「本当はこうしたかった」という願いを一つ取り出し、今日か明日にできる小さな行動に置き換えます。過去は変えられなくても、願いの向きは、これからの時間へ向け直せます。

罪悪感の中には、たいてい「こうしたかった」という願いが埋まっています。体を守りたかった、優しくしたかった、そばにいたかった。願いそのものは、とても健やかなものです。向きを過去から今日へ変えるだけで、同じ気持ちが、自分を傷つける刃から、動くための燃料に変わります。

罪悪感の言葉奥にある願い今日できること
もっと早く病院に行かせていれば本人の体を守りたかった次の診察に同席し、聞きたいことを3つメモしておく
あの日、きつく当たってしまった優しく接したかった「あのときはごめんね」と短く伝える
仕事を理由に、そばにいられないそばにいたかった決まった時間に、短い電話かメッセージを送る
自分だけ元気でいて申し訳ない苦しさを分け合いたかった自分の体を整え、通い続けられる状態を保つ
罪悪感の言葉と、その奥にある願い、今日できること

最後の行の「自分だけ元気でいる申し訳なさ」は、口に出しにくいぶん、一人で抱え込みやすい気持ちです。笑うことや出かけることへの迷いもふくめて、家族が楽しんでいい理由で詳しく取り上げています。

気をつけたいのは、罪悪感を「償い」で埋めようとして、何もかも引き受けてしまうことです。毎日欠かさず通う、手続きを一人で抱える、自分の休みをなくす。それは罪悪感を燃料にした無理で、長くは続きません。置き換える行動は、一日に一つ、小さなもので十分です。何かを足したくなったときは、その前に、役に立てないと感じる家族が、実はできていることを数えてみるのも一つの方法です。

本人に謝りたい気持ちがあるときは、どう伝えればいいですか?

伝えるなら、具体的な一つの出来事について、短く謝るのが目安です。「全部わたしのせい」という大きな謝罪は、本人に慰める役を背負わせてしまうことがあります。直接言いにくいときは、手紙や日々の行動で伝える道もあります。

たとえば、面会でりんごをむきながら、「この前、急かすような言い方をしてごめんね」とひと言だけ添える。本人が「そんなこと気にしてないよ」と返したら、「ありがとう」と受け取って、話をほかに移します。それで十分です。

一方で、「病気に気づけなかったのは私のせいだ」と泣きながら謝ると、本人は自分の体のことより先に、あなたをなだめなければならなくなります。本人もまた、「家族に迷惑をかけている」と、別の形の申し訳なさを抱えていることがあります。お互いに謝り合うより、「ありがとう」を交わすほうが、二人とも肩の力が抜けることがあります。

面と向かって言えないときは、短い手紙やメモにして渡す方法もあります。言葉にしなくても、本人の好きな飲み物を持っていく、話を最後までさえぎらずに聞く、といった行動が、謝罪の言葉より多くを伝えることもあります。言葉選びに迷う方は、感謝や謝罪、許しなど、最期に伝える5つの言葉も参考にしてみてください。

  1. Q1謝りたいのは、具体的な一つの出来事についてですか

    はい面会のときに、短いひと言で伝える

    いいえ4つの欄に書き出して、謝りたい中身を一つに絞る

  2. Q2本人は今、落ち着いて話を聞ける体調ですか

    はい話の流れの中で、さりげなく伝える

    いいえ手紙やメモに書いておき、渡せる日を待つ

  3. Q3伝えたあと、本人の返事をそのまま受け取れそうですか

    はい「ありがとう」と受け取り、話をほかに移す

    いいえ先に信頼できる人や相談窓口に話して、気持ちを整える

謝りたい気持ちを、どう伝えるか迷ったときの分かれ道

罪悪感が強くて苦しいとき、どこに相談できますか?

がん相談支援センターは、家族だけでも無料・匿名で気持ちの相談ができます。眠れない、食べられない状態が続くならかかりつけ医や心療内科へ。夜中に一人で抱えきれないときは、24時間対応のよりそいホットラインがあります。

責める考えは、頭の中だけで回しているあいだは、どこまでも大きくなります。誰かに声に出して話すと、自分の耳でもう一度その言葉を聞くことになり、「さすがに言い過ぎかもしれない」と気づくきっかけが生まれます。

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などに置かれた、がんの相談窓口です。本人でなくても、その病院にかかっていなくても、無料で、名前を明かさずに話せます。相談した内容が、あなたの同意なしに担当医などへ伝わることもありません。お住まいの近くにあるセンターは、がん情報サービスのサイトにある「相談支援センターを探す」のページから見つけられます。

罪悪感に加えて、眠れない、食べられない、何をしても楽しくないといった状態が続き、仕事や家事に差し支えているなら、心が疲れきっているサインかもしれません。かかりつけ医や心療内科で、「家族ががんになり、自分を責める気持ちが頭から離れません」とそのまま伝えてください。受診を考える目安は、落ち込みが続くときの見分け方にまとめています。

どこに話せばいいか迷うときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にかけると、かけた地域の公的な相談窓口につながります。受け付けている曜日や時間帯は、つながる先の自治体によって異なり、通話料がかかります。「自分なんかいないほうがいい」という考えまで浮かぶ夜は、一人で朝を待たないでください。よりそいホットライン(0120-279-338)なら、夜中でも無料で、24時間電話を受け付けています。差し迫った危険があるときは、119番です。

がんと家族の相談室も、選択肢の一つです。医療機関ではないので診断はしませんが、評価も助言もしない20分のお電話で、責める気持ちを最後までお聞きします。

「母のがんは自分のせいだ」と思っていた息子は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・息子の立場(70代の母が抗がん剤治療中。母は実家で一人暮らしで、姉が近くに住んでいる)
相談のあとに変わったこと
年末の電話を思い返す夜が、ほぼ毎晩から週に1回ほどに減った。母に一度だけ謝り、「ありがとう」を言い合えるようになった。次の診察では、聞きたかった問いを自分の口で尋ねられた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から1か月ほどで、この方が布団の中で「あの電話」を思い返す夜は、ほぼ毎晩から週に1回ほどに減りました。相談のときに4つの欄に書き出した紙は、手帳に挟んで持ち歩いています。思い返しが始まると、4つ目の欄の「その話だけで気づけというのは無理だよ」という一文を読み返すのだそうです。月に2回の帰省では、母親に一度だけ「あのとき、年のせいなんて言ってごめん」と伝えました。母親は「そんなこと覚えてないよ」と笑い、「来てくれてありがとうね」と返したといいます。「許されたというより、背負っていた荷物の置き場所が見つかった感じです」。

2. 相談を考えた背景

母親の病気が分かったのは、年が明けてからでした。前の年の暮れ、電話で「最近、胃が重くて」と聞いたとき、この方は「年のせいじゃない?」と返し、話はすぐに孫の受験のことへ移りました。受診した時点で、病気はすでに広がっていると説明を受けています。近くに住む姉から「なんで、あのとき強く言わなかったの」と言われた夜から、眠りが浅くなりました。

3. 相談する前に困っていたこと

夜中に「がん 早期発見 家族 気づけなかった」と検索しては、早期発見の大切さを説く記事を読み、そのたびに胸が苦しくなりました。主治医に「もっと早ければ違ったのか」と聞いてみたい気持ちと、答えを聞くのが怖い気持ちの両方があり、どこに相談すればいいのかも分かりませんでした。職場ではいつもどおりにふるまい、妻にも「大丈夫」としか言えずにいたといいます。

4. ここを選んだ理由・決め手

知り合いに「あなたのせいじゃない」と言われても、慰めにしか聞こえない気がしていました。母親とも姉ともつながりのない相手に、事実として聞いてほしい。最初は深夜にLINEで「母のがんは自分のせいだと思っています」とだけ送り、翌朝に届いた返事を読んでから、フォームで平日の昼休みの折り返しを申し込みました。決め手は、記録を残さずに話せると知ったことでした。

5. 相談で話したこと・その後

お電話では、担当が名前を名乗ってから、最初の20分は評価も助言もせずに話を聞きました。そのあと、年末の電話の場面を4つの欄に分けて一緒に書き出し、4つ目の欄はこの方自身の言葉で埋めています。次の診察で聞く質問も3つにまとめ、「もっと早く受診していたら違ったのか」は、聞くかどうかを当日の気持ちで決めることにしました。担当は、母親の病状の見通しや、早く受診していたらどうだったかについては判断していません。この方は診察の日、主治医に自分の口で尋ね、帰りの車の中で、その説明を姉にそのまま伝えたそうです。姉とはそれ以来、「犯人探しはやめよう」と話しています。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 差し支えなければ教えてください。もっと早く受診していたら、今の状況は違っていたのでしょうか。
  • 家族として、今から治療や療養の支えになれることはありますか。
  • 本人が、家族にしてほしいと話していることがあれば、教えていただけますか。
  • 家族が気持ちのつらさを相談できる窓口は、この病院にありますか。
  • 次の診察に家族が同席してもよいでしょうか。そのとき聞いておくとよいことはありますか。

とはいえ、自分を責める夜が続いているあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──罪悪感は、ゼロにしなくても抱えていける

この記事を読み終えても、罪悪感がすっかり消えるわけではないかもしれません。それでかまいません。目指すのは、罪悪感をなくすことではなく、一日じゅう運転席を明け渡さないことです。責める声が聞こえたら、「また来たね」と心の中で声をかけ、助手席に座らせておく。そのうえで、今日の予定へハンドルを戻す。消えない日があるのは、本人を思う気持ちが今も続いている証拠でもあります。

② 実務のこと──家族のあいだで「犯人探しはしない」と決めておく

罪悪感は、家族どうしの言葉で大きくなることがあります。「なんで気づかなかったの」「いちばん近くにいたのに」。言った側にも、自分を責める気持ちの裏返しが潜んでいることがあり、責め合いは誰も楽にしません。きょうだいや配偶者と一度だけでいいので、「過去のことで誰かを責めるのはやめて、これからのことを話そう」と確かめ合っておくと、話し合いの場が少し安全になります。親戚から心ない言葉をかけられたときに返す一文も、家族で決めておくと迷いません。役割の分け方にも工夫ができます。罪悪感の強い人が、診察への同席や質問メモの係を引き受けると、「守りたかった」という気持ちに、目に見える置き場所ができることがあります。

今日できること

自分を責める気持ちが強い夜から、明日までにできる3つのこと

  1. 4つの欄に一つだけ書く

    いちばん頭から離れない場面を一つ選び、事実・知っていたこと・解釈・友人への返事の4つに分けて紙に書く。書き終えたら、今夜はそこで閉じる。

  2. 願いを明日の行動に変える

    書き出した後悔から「本当はこうしたかった」を一つ取り出し、明日できる小さな行動を一つだけ決めて、手帳に書いておく。

  3. 責める言葉を一度だけ外に出す

    信頼できる人、がん相談支援センター、相談室のLINEのどれか一か所に、「自分を責めてしまいます」と一文だけ伝える。

よくある質問

親戚に「もっと早く気づけなかったの」と言われ、ますます自分を責めてしまいます。

言われた言葉は、あなたの責任の重さを示すものではありません。病気の知らせに動揺した人が、行き場のない気持ちを近くの誰かに向けてしまうことがあります。その場で反論したり説明したりする必要はなく、「家族でよく話し合っています。今は、これからのことを考えています」と短く返せば十分です。言われた夜は、その言葉を4つの欄の「解釈」に書き写し、「事実」の欄と並べてみてください。

本人から「あなたのせいじゃない」と言われても、罪悪感が消えません。

消えなくて自然です。罪悪感は、理屈で納得したからといって、すぐに引いていくものではありません。本人のその言葉は、無理に信じ込もうとしなくてかまいませんが、手帳の隅にでも書き留めておいてください。責める考えが浮かんだときに思い出せる「もう一つの声」になります。罪悪感が長く続き、眠りや食欲にも響いているなら、かかりつけ医や相談窓口に話してみてください。

子どもががんになりました。親として自分を責めてしまいます。

原因について気になることは、主治医に「私たちの生活や育て方に、何か関係があったのでしょうか」とそのまま尋ねてかまいません。小児がん拠点病院に置かれたがん相談支援センターなら、通っている病院が別でも無料で、電話での相談も受け付けています。公益財団法人がんの子どもを守る会でも、小児がん専門のソーシャルワーカーが相談に応じています(東京03-5825-6312/大阪06-6263-2666、平日10時〜17時、年末年始を除く)。親御さんの気持ちも、相談してよい大切な話題です。

きょうだいの中で、自分だけが遠くに住んでいて看病に関われず、申し訳なく思っています。

離れていてもできることはあります。決まった曜日に本人へ電話をかける、近くで看病している家族の話を聞く、手続きの調べものや親戚への連絡を引き受ける。近くの家族を支えることも、本人を支えることの一部です。申し訳なさを近くの家族に伝えるなら、「何もできなくてごめん」より「来週の連絡は自分が引き受ける」のように、できることと組み合わせて伝えると、相手も受け取りやすくなります。

罪悪感から毎日病院に通い、自分の休みがまったくなくなっています。

罪悪感を償いで埋めようとすると、休むことまで自分に禁じてしまいがちです。けれど、あなたが倒れれば、本人の支えも途切れます。休む日をつくることは、罪を重ねることではなく、来週もそばにいるための準備です。まずは週に一度、半日だけでも誰かに代わってもらう日を決め、病棟の看護師にもそのことを伝えておいてください。

本人が亡くなったあとも、この罪悪感は続くのでしょうか?

悲しみや後悔の形と長さは人によって違い、いつまでと言い切れるものではありません。国立がん研究センターが2022年に公表した遺族調査(有効回答54,167名)では、死別から1〜2年の時点で強い悲嘆がみられた方が30.9%でした。罪悪感そのものを調べた数字ではなく、質問票による推計で診断でもありませんが、死別のあとにつらさが長引く人が少なくないことを示しています。亡くなったあとに支えを受けられる場として、国立がん研究センター中央病院には遺族ケア外来があります。後悔をひとりで抱え込まない習慣を今からつくっておくことは、その先の時間を支える準備にもなります。

責める気持ちを、声に出して置いていきませんか

お名前はニックネームでかまいません。話しやすい時間帯を書いて送ると、すぐに受付確認のメールが届き、その時間帯に担当がお電話します。最初の20分は評価も助言もせずにお聞きし、ご希望があれば記録も残しません。そのあとで、書き出した後悔を「今日できること」に置き換える作業を一緒に進めます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

    2. 現地の確認は無料です(所要30分〜2時間)

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    ご相談の種類任意

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    対象の設備・箇所任意・複数可

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    同じ症状は

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    送信すると、受付番号を記した受付完了メールが自動で届きます(ご入力の内容は記載しません)。受付とご連絡は、運営会社のスキマグループ合同会社が行います。ご相談・現地の確認・お見積りまで費用はかかりません。

    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(平日9:00〜18:00は担当が直接お受けします。それ以外は自動音声で受け付け、翌朝9時までに折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    休むことは、手を抜くことではありません

    看病が続くと、ご家族も心と体がすり減っていきます。ご家族は「第二の患者」と言われるほど、大きな負担を抱えやすいものです。休む、誰かに代わってもらう、つらいと口に出す。それは、大切な人を支え続けるために必要なことです。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「家族の私も、つらさを相談してよいですか。」

    1. 自分の眠りや食事が崩れていないか、週に一度ふり返る
    2. 訪問看護や介護サービスなど、手を借りられる先を医療ソーシャルワーカーに聞く
    3. 気持ちが限界に近いときは、主治医・がん相談支援センター・この相談室に話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 自分の眠りと食事の様子のメモ
    • 手伝ってほしいことの一覧

    公的な相談先

    自治体のこころの相談窓口
    精神保健福祉センターや保健所などで、気持ちのつらさを相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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