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がん患者の家族のうつ状態|サインと相談・受診の目安

このテーマの総論:つらい・しんどい・限界|がん患者の家族が自分を守る3つの方法

この記事の結論

うつ状態かどうかを判断するのは医師ですが、気分の落ち込みや興味の喪失、眠りや食欲の変化が続き、生活に差し支えているなら、受診や相談を考える目安です。家族の心の負担が大きいことは調査でも示されており、受診をためらう必要はありません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター「遺族調査(H29予備調査)結果」2018年;国立がん研究セ… ほか7件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

不安でいっぱいで何もできない状態が続いているなら、それは気の持ちようではなく、心が休養や手当てを必要としているサインかもしれません。うつ状態かどうかを決めるのは医師ですが、受診を考えるための目安は、あなた自身でも確かめられます。

落ち込みの深さや続き方は、人によって違います。看病の山場が過ぎると自然に戻る人もいれば、少しずつ重くなっていく人もいます。何日続いたら、という線を一律に引くことはできませんが、「休んでも戻らない」「生活が回らなくなってきた」と感じるなら、一人で様子を見続けなくてかまいません。

看病のために病院へ通う家族が、自分の心のことで医師に相談するのは、順番を守らないことでも、本人への裏切りでもありません。

落ち込んだまま、このページを開いた方へ

  • 朝起きるのがつらく、何をしても楽しくない。家族のことを考えると、不安で動けなくなる。
  • これが「うつ」なのか、ただの疲れなのか、自分では分からない。
  • 本人のことで病院に通っているのに、自分まで受診するのは気が引ける。

この記事で分かること

  • 看病中の家族の気持ちが落ち込みやすい理由と、調査で分かっていること
  • 疲れや一時的な落ち込みと、受診を考えたい状態の見分け方の目安
  • 受診先の選び方と、受診の前に相談できる窓口
  • 受診するまでの間に、自分を守るためにできること

家族のがんのことで不安でいっぱいになり、気持ちが落ち込んで何もできません。うつ状態でしょうか?

うつ状態かどうかは医師が判断することですが、気分の落ち込みや興味の喪失、眠りや食欲の変化が続き、仕事や家事に差し支えているなら、受診を考えてよい状態です。迷っている段階で相談してかまいません。

「何もできない」は、怠けているのとは違います。洗濯物を畳むのに長い時間がかかる。スーパーで何を買うか決められず、何も持たずに店を出てしまう。テレビの音が、意味のある言葉として頭に入ってこない。気力や集中力、決める力が落ちるのは、心が疲れきったときによく起こる変化です。

自分がうつ状態なのかどうか、ここで答えを出す必要はありません。判断を医師に預けること自体が、肩の荷を一つ下ろすことになります。この記事は診断のためのものではなく、相談や受診を考えるための目安として読んでください。

がん患者の家族は、なぜ気持ちが落ち込みやすいのですか?

本人を思って気持ちを抑え、そのうえで自分の生活も回し続けなければならないからです。先の見えない不安、決める役の重さ、睡眠不足が重なり、心が回復する時間を持てないまま疲れが積み重なっていきます。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、家族について、「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も維持しなければならないと説明し、「ご家族は、『第二の患者』ともいわれます」と記しています。

がんの看病には、ほかの心配ごとと違う重さがあります。次の検査の結果が分かるまで、何週間も宙ぶらりんの気持ちで待つ。治療を続けるかどうかの話し合いに同席し、本人と一緒に決める役を担う。親戚から様子を聞かれるたびに、同じ説明をくり返す。そのあいだ、自分の楽しみや人づきあいは、いつのまにか後回しになっていきます。心をゆるめる時間がないまま、こうした重さが何層にも積み重なっていくのです。

  1. 1気持ちを抑える本人の前では明るくふるまい、不安や悲しみを飲み込む
  2. 2生活を回す看病と仕事、家事、子どものことを同時にこなす
  3. 3体が休まらない眠りが浅く、食事の時間も不規則になる
  4. 4役割を背負う説明を聞き、治療の話し合いに加わり、親族に伝える
  5. 5人から離れる楽しみや人づきあいを後回しにして、話す相手が減る
家族の気持ちを落ち込ませやすい重なり

家族の心の負担について、調査で分かっていることはありますか?

国立がん研究センターが2022年に公表した遺族調査では、がんで家族を亡くした方のうち、死別から1〜2年の時点で抑うつ症状がみられた方が19.3%でした。家族の心の不調は、珍しいことではありません。

この調査(2018〜2019年度調査の統合報告)は、2017年と2018年にがんで亡くなった方のご遺族を対象に行われ、有効回答は54,167名でした。介護の負担感が大きかったと答えた方は38.9%、強い悲嘆がみられた方は30.9%でした。抑うつや悲嘆は、質問項目によるスクリーニングでの推計で、医師の診断ではありません。

日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の調査「J-HOPE4」(2020年報告)では、2018年に215施設(うち緩和ケア病棟187)の遺族17,147名を調査し、9,071名から有効回答を得ています。中等度以上の抑うつ(PHQ-9という質問票による評価)がみられた方は14%でした。ただし、回答者の大半は緩和ケア病棟で家族を見送った方で、がん遺族全体を代表する数字ではありません。

どちらも、看病を終えたあとの家族に聞いた調査で、看病の真っ最中の人の割合を示すものではありません。それでも、家族の心のつらさが、看病の時期だけで終わらずに長く続くことがあると分かります。だからこそ、つらさに気づいた今の時点で手当てを始めることに、意味があります。

数字から言えること

  • 家族の心の負担は、看病を終えたあとも続くことがある
  • 抑うつや強い悲嘆を抱える家族は、少なくない
  • 家族の心のつらさは、気の迷いではなく手当ての対象になる

数字だけでは言えないこと

  • 看病中の家族のうち、どのくらいの人がうつ状態か
  • あなたが今、うつ状態かどうか
  • この先、あなたの気持ちがどう変わっていくか
調査の数字から言えることと、言えないこと

うつ状態のサインには、どんなものがありますか?

気分の落ち込みが一日の大半続く、好きだったことに興味がわかない、眠りや食欲が大きく変わる、疲れやすい、集中できない、自分を責める、といった変化が重なって続くときは、うつ状態のサインかもしれません。

疲れていれば、誰でも気分は沈みます。見分ける手がかりは、休んだあとに戻るかどうか、そして生活にどのくらい響いているかです。下の表は、受診を考えるときの一般的な目安で、当てはまるかどうかで診断が決まるものではありません。

観点疲れや一時的な落ち込み受診を考えたい状態
休んだあと少し気分が戻る休んでも重さが変わらない
楽しみ好きなことをすると気がまぎれる何をしても楽しいと感じない
眠り疲れた日はよく眠れる寝つけない、早く目が覚める、眠りすぎる
食事食べれば味がする食欲がない、味がしない、体重が変わる
自分への見方「疲れたな」と思う「自分が悪い」「いないほうがいい」と思う
生活なんとか回っている仕事や家事が回らなくなってきた
疲れや一時的な落ち込みと、受診を考えたい状態の違い

右の列に当てはまる項目が重なり、それが続いているなら、かかりつけ医や心療内科などに相談してよい状態です。涙が止まらない日が続く方は、家族の涙を責めない考え方もあわせて読んでみてください。「いないほうがいい」に近い考えがあるときは、少し下の「消えてしまいたいと思うとき」の見出しを先に読んでください。

不安でいっぱいになるのも、うつ状態と関係がありますか?

不安と気分の落ち込みは、重なって現れることがよくあります。胸がどきどきする、頭が休まらない、最悪の場面ばかり浮かぶといった強い不安が続き、生活に響いているなら、それも受診や相談を考えてよい目安です。

検査の結果を待つあいだ、心臓の音が耳につく。夜中に目が覚めると、悪い知らせを受ける場面が勝手に浮かんでくる。電話の着信音を聞くだけで、手が冷たくなる。家族ががんになると、こうした不安が一日の多くを占めるようになることがあります。強い不安が長く続けば、心は疲れきり、やがて何をする気力もわかなくなっていきます。不安と落ち込みは、別々のものというより、つながっていることが多いのです。

不安が押し寄せたときは、まず体のほうから落ち着かせます。吸う息より吐く息を長くして、ゆっくり呼吸をくり返す。足の裏が床についている感覚に意識を向ける。それだけで、波が少し引くことがあります。頭の中で同じ心配が回り続けるときの付き合い方は、最悪のことばかり考えてしまうときで紹介しています。

ただし、動悸や息苦しさが急に強くなったときは、不安のせいと決めつけないでください。体の病気が隠れていることもあります。胸の痛みや強い息苦しさを伴うなら、迷わず119番に電話してください。

受診するなら、何科に行けばいいですか?

まずは、かかりつけ医や普段かかっている内科で大丈夫です。気分の落ち込みや不安が中心なら、心療内科や精神科も選べます。受診先に迷う気持ちも含めて、がん相談支援センターやこころの相談窓口に相談できます。

心療内科と精神科は、医療機関によって診ている範囲が重なっていることも多く、どちらでも気分の落ち込みを相談できることがよくあります。予約の電話で「家族の看病中で、気分の落ち込みが続いています。こちらで相談できますか」と聞けば、受け付けてもらえるかどうかがその場で分かります。病院によっては、がんに伴う心の問題を専門にする「精神腫瘍科」を置いているところもあります。家族が受診できるかどうかは病院ごとに違うので、がん相談支援センターで尋ねてみてください。

がん相談支援センターは、がん診療連携拠点病院などにある相談窓口で、患者さんだけでなく家族も、その病院に通っていない人も、無料・匿名で利用できます。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にかけると、その地域の都道府県や政令指定都市が行う公的な相談窓口につながります。曜日や時間は地域ごとに異なり、通話料がかかります。

落ち込みが続くあなた

  • かかりつけ医・内科最初の相談先。体の不調も含めて診てもらえる
  • 心療内科・精神科気分の落ち込みや不安が中心のとき
  • がん相談支援センターがんに関わる気持ちや生活の相談。家族も無料・匿名で
  • こころの健康相談統一ダイヤル0570-064-556。地域の公的な相談窓口へ。時間は地域で異なる
  • よりそいホットライン0120-279-338。24時間、無料
  • がんと家族の相談室受診するか迷う気持ちの整理と、評価も助言もしない20分
落ち込みが続くときの受診先と相談先

診察の場で、うまく話せる自信がなくても大丈夫です。次のようなことをメモにして持っていけば、見せるだけで伝わります。

  • いつごろから、どんな気分が続いているか
  • 眠り、食欲、体重の変化
  • 仕事や家事で、できなくなったこと
  • 家族の病状と、付き添いの頻度など看病の様子
  • 「消えてしまいたい」と思うことがあるかどうか
  • 飲んでいる薬や、お酒の量
受診のときに伝えるとよいこと

「消えてしまいたい」と思うときは、どうすればいいですか?

その気持ちが浮かぶ日は、今日のうちに誰かとつながってください。よりそいホットライン(0120-279-338)は24時間無料で電話を受けており、命の危険が差し迫っているときは119番です。一人で朝を待たないでください。

「消えてしまいたい」「死にたい」という気持ちは、心が限界まで疲れたときに起こりうるもので、あなたが弱いから浮かぶのではありません。言葉にするのが怖いかもしれませんが、口に出すことで、一人で抱えていた重さの一部を外に出せます。身近な人に話せるなら、「最近、消えたいと思うことがある」と一言だけでも伝えてください。かかりつけ医や心療内科を受診するときも、この気持ちがあることは隠さずに伝えてください。

声に出して話すのが難しいときのために、厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話やSNSで相談できる窓口がまとめられています。こころの健康相談統一ダイヤルも、地域の公的な窓口につながります。夜に不安が強くなり、どう過ごせばいいか分からなくなったときの手順は、精神的に限界の夜ににまとめています。

  1. Q1「消えてしまいたい」「死にたい」と考えることがありますか

    はい一人で抱えず、よりそいホットライン(24時間)か、かかりつけ医・こころの相談窓口に今日つながる

    いいえ次の問いへ進む

  2. Q2落ち込みや眠り・食欲の変化が続き、生活に差し支えていますか

    はいかかりつけ医や心療内科を予約し、看病中であることも伝える

    いいえ休む時間を先に確保し、変化があれば早めに相談する

気持ちの落ち込みに気づいたときの分かれ道

受診するまでの間、自分を守るためにできることはありますか?

大きな決断を先送りにし、眠る・食べるの最低限を守り、気持ちを誰か一人に話しておくことです。看病の役割を一時的に誰かへ渡して、自分が休む時間をつくることも、立派な手当ての一つです。

落ち込みが強いときは、物ごとを悪いほうへ考えやすくなります。仕事を辞める、家を手放す、治療についての大きな判断を一人で抱え込むといった決断は、できるだけ先に延ばしてください。決める必要があることは、信頼できる人と一緒に考えます。

眠りと食事は、完璧を目指さなくてかまいません。起きる時刻をそろえる、何か一口でも食べる、という最低限で十分です。お酒で気分を紛らわせるのは、眠りを浅くし、気分の波を大きくすることがあるので控えめにしてください。

一日のどこかに、短い回復の時間も置いてください。朝の光を浴びながら近所を少し歩く、好きだった音楽を一曲だけ聴く。楽しめなくてかまいません。「何もできない一日」の中に小さな区切りが一つあるだけで、時間の重さが少し変わります。

「怠けているだけ」と思っていた夫は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・夫の立場(妻のがんが再発し、通院で治療中。高校生の子どもがいる)
相談のあとに変わったこと
朝起き上がれない状態を怠けだと思い込んでいたが、かかりつけ医に相談し、心療内科への通院を始めた。付き添いの一部を姉に任せ、週に一度は自分の時間をとれるようになった。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から1か月後、この方は心療内科への通院を始めていました。かかりつけ医に「妻が再発して看病中で、朝起き上がれない日が続いています」と伝えたところ、心療内科を紹介されたといいます。妻の通院の付き添いは、週に1回を近くに住む姉が受け持つことになり、その日の午前中は散歩に出るようにしています。「名前のつかない重さに、医師が名前をつけてくれた。それだけで少し楽になりました」。

2. 相談を考えた背景

妻のがんの再発が分かって半年。この方は、病院での説明を聞く役も、家事も、高校生の子どもの進路の相談も、一人で担ってきました。職場では簡単な判断にも時間がかかるようになり、週末はソファから起き上がれないまま一日が終わる。好きだった釣りの道具も、半年触っていませんでした。

3. 相談する前に困っていたこと

相談する前は、夜中に「家族 うつ 甘え」と検索しては、ネット上の自己チェックを何度も試していました。当てはまる項目は多いのに、「妻のほうがずっとつらい」と思うと、受診する理由にはならない気がしたといいます。精神科に行くことには抵抗があり、もし診断がついたら、役に立たない夫になってしまうのではないかと怖かったそうです。

4. ここを選んだ理由・決め手

妻の病院のがん相談支援センターも考えましたが、妻の主治医がいる建物で自分の話をすることに、気が引けました。受診するかどうかを決める前に、まず誰かに話を聞いてほしい。平日の昼休みに、会社の駐車場から050の番号に電話をかけたのが最初でした。「担当の方が名前を名乗ってくれたので、声を出しやすかった」と振り返ります。

5. 相談で話したこと・その後

担当は20分、評価も助言もせずに話を聞いたあと、受診するかどうかの迷いを一緒に整理しました。うつ状態かどうかについては判断せず、かかりつけ医に相談するのも一つの入り口になると伝えています。医師に伝えることは、いつから、どんな状態か、看病の様子、の3つにまとめました。この方はその週のうちに、姉にも「実は少し参っている」と打ち明けています。後日、妻に話したときには、「気づいていたよ。ちゃんと診てもらって」と言われたそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • (ご自身の受診先で)家族ががんで看病中です。気分の落ち込みが続いていて、休養や治療が必要な状態か見ていただけますか。
  • (ご自身の受診先で)薬を使う場合、看病や車の運転、夜中の付き添いに影響はありますか。
  • (ご自身の受診先で)仕事は続けてよいか、休んだほうがよいか、意見をいただけますか。
  • (本人の病院で)家族が心の相談をできる窓口や外来は、この病院にありますか。

とはいえ、落ち込みの中にいるあなたに伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──自分の受診は、本人を後回しにすることではない

本人のことで病院に通っているのに、自分まで医師にかかるのは申し訳ない。そう感じるのは、あなたが本人をいちばんに考えてきたからです。けれど、あなたの心の不調に手当てをすることは、本人から何かを奪うことではありません。落ち込みに名前がつき、手当てが始まれば、本人のそばで過ごす時間も、少しずつ穏やかなものに戻りやすくなります。

② 実務のこと──調子が戻るまで、看病の役割を小さくしておく

回復には、休む余白が必要です。本人のそばにいることは続けたまま、親戚への連絡、書類の手続き、家事のいくつかを、きょうだいや親戚に一時的に預けてください。仕事を続けるのがつらいときは、医師と相談したうえで休むことも選択肢です。会社員などが入る健康保険には、業務外の病気で仕事に就けず給与が出ないときの傷病手当金があり、連続する3日間を含めて4日以上休んだことなどが条件です。国民健康保険には原則としてこの給付がないので、加入先に確かめてください。

今日できること

落ち込みが続く日に、受診や相談へつなげるための3つのこと

  1. 受診先を一つだけ決める

    かかりつけ医か、通いやすい心療内科を一つ選び、電話番号をメモしておく。予約の電話は明日の昼でかまいません。

  2. 伝えることをメモにする

    いつから、どんな状態か、眠りと食欲、看病の様子を、スマホのメモに箇条書きにしておく。

  3. 一人にだけ打ち明ける

    きょうだい、友人、相談窓口のどれか一か所に、「最近、気持ちが落ち込んでいる」と一言だけ伝える。

よくある質問

心療内科と精神科、どちらに行けばいいですか?

どちらでも、気分の落ち込みを相談できることが多いものです。迷うなら、通いやすさと予約のとりやすさで選んでかまいません。予約の電話で「家族の看病中で、落ち込みが続いている」と伝え、相談できるか確かめると確実です。どこにすればいいか見当がつかないときは、かかりつけ医に紹介をお願いする方法もあります。

薬を飲むと、看病に支障が出ませんか?

薬の種類や量によって、眠気が出るなど生活への影響は違います。夜中に病院から連絡が来る可能性があること、車で病院に通っていることなど、看病の事情を医師に伝えれば、それを踏まえて考えてもらえます。飲み始めてから気になることがあっても、自己判断でやめずに、まず処方した医師に相談してください。

本人に、自分が落ち込んでいることを伝えるべきですか?

決まった正解はありません。本人の体調や気持ちの余裕によっても変わります。すべてを話さなくても、「少し疲れているから、今週は休む日をつくるね」と、必要なことだけを伝える方法もあります。本人に話す前に、きょうだいや相談窓口など、別の誰かに先に聞いてもらうと、自分の気持ちが整理されて伝えやすくなります。

落ち込んでいるのに、本人の前では明るくふるまってしまいます。

本人を気づかって明るくふるまうのは、自然なことです。本人の前では明るいままでもかまいません。ただ、どこにも本音を出せる場所がないと、心はさらに疲れていきます。その代わりに、取りつくろわなくていい場所を一つ、家族の外に持ってください。がん相談支援センターやこころの相談窓口、がんと家族の相談室のような外の窓口なら、明るい顔をつくる必要はありません。

仕事を休んだほうがいいのでしょうか?

休むかどうかは、医師と相談して決めるのが安心です。あなた自身の療養のために休むなら、会社員などの健康保険には傷病手当金の制度があります。家族の付き添いや介護のための休みは、介護休暇や介護休業など別の制度になります。会社への伝え方や制度の使い分けは、家族ががんで仕事ができないときにまとめています。

本人が亡くなったあとも気持ちが戻らなかったら、どうすればいいですか?

先に紹介した遺族調査のように、死別から1〜2年たった時点でも抑うつ症状がみられる方は少なくありません。亡くなったあとも、かかりつけ医や心療内科、こころの相談窓口は使えます。国立がん研究センター中央病院には、がんで大切な人を亡くした遺族のための遺族ケア外来もあります。今のうちから話せる相手を持っておくことが、その先の支えにもなります。

受診するか迷う気持ちから、一緒に整理しませんか

お名前はニックネームで大丈夫です。話しやすい時間帯を書いて送ってください。送信後すぐに受付確認のメールが届き、選んでいただいた時間帯に担当から電話をおかけします。診断はしませんが、最初は評価も助言もせずにお話を伺い、そのうえで受診先や相談先の選び方を一緒に考えます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    必須は4項目(お困りの内容・施設名・お名前・メールアドレス)です。分かる範囲でご記入ください。写真があると、状況の確認が早くなります。

    1. 1営業日以内にご連絡(お急ぎの場合は当日中)

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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    休むことは、手を抜くことではありません

    看病が続くと、ご家族も心と体がすり減っていきます。ご家族は「第二の患者」と言われるほど、大きな負担を抱えやすいものです。休む、誰かに代わってもらう、つらいと口に出す。それは、大切な人を支え続けるために必要なことです。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「家族の私も、つらさを相談してよいですか。」

    1. 自分の眠りや食事が崩れていないか、週に一度ふり返る
    2. 訪問看護や介護サービスなど、手を借りられる先を医療ソーシャルワーカーに聞く
    3. 気持ちが限界に近いときは、主治医・がん相談支援センター・この相談室に話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 自分の眠りと食事の様子のメモ
    • 手伝ってほしいことの一覧

    公的な相談先

    自治体のこころの相談窓口
    精神保健福祉センターや保健所などで、気持ちのつらさを相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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