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今日からできる小さな10のこと|がんの親に今できること

このテーマの総論:がんの家族と後悔しないために|今できる5つのことと時期別の表

この記事の結論

今日できることは、電話を1本かける、写真を1枚撮る、昔の話を1つ聞くといった、数分で終わる小さな行動で十分です。10の中から今日の一つを選び、できたら印をつける。毎日でなくてよく、できない日があっても、それまで続けてきた日々は消えません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか6件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

がんの親に後悔しないために今日できることは、大きな親孝行ではありません。電話を1本かける、写真を1枚撮る、昔の話を1つ聞く。数分で終わる小さな行動を、今日一つだけ選ぶことです。小さな一つでも、今日のうちに終わらせれば、「今日はこれをした」と言える日が一日増えます。

「後悔しないように」と言われるほど、何か特別なことをしなければと身構えてしまいます。けれど、親の体調も、自分の仕事や家庭の事情も、日によって変わります。だからこそ、どんな日にも選べる小さな行動を、10個手元に持っておくと助けになります。

この記事では、今日からできる10のことと、それぞれのやり方、今日の一つの選び方、続けるコツ、そしてできない日があってもいい理由をお伝えします。親の体力や病状に合わせた関わり方の全体は別の記事に譲り、ここでは「今日の一つ」に絞ります。

今日、親のために何かしたい方へ

  • 「後悔しないように」と周りに言われるけれど、今日、具体的に何をすればいいのか分からない。
  • 旅行に連れて行くような大きなことは、もう親の体力的にも難しい。
  • 小さくてもいいから、今日できることを一つ教えてほしい。

がんの親に後悔しないために、今日からできることは何ですか?

電話を1本かける、写真を1枚撮る、昔の話を1つ聞くといった、数分で終わる小さな行動を、今日一つだけ選んでください。大きな親孝行より、今日の一つを重ねるほうが、後悔の種を少しずつ減らしていけます。

「いつか、ちゃんと話そう」「落ち着いたら、旅行に連れて行こう」。大事なことほど、いつかに置いておきたくなります。けれど、いつかの予定は、親の体調や自分の都合で延びていきがちです。小さく区切った行動なら、今日のうちに終わらせることができます。

10のことは、どれも特別な道具や準備がいりません。会える日にも会えない日にも、自分に余力がある日にもない日にも、どれか一つは選べるように並べています。親の体力や病状の段階に合わせた関わり方は体力に合わせた小さなことで詳しく扱っているので、あわせて読んでみてください。

  • 電話を1本かける
  • 写真を1枚撮る、送る
  • 昔の話を1つ聞く
  • 好きだった味を、ひと口分届ける
  • 手を握る、肩や背中をさする
  • 好きだった音楽を、一曲一緒に聴く
  • 医療者に、質問を1つ聞く
  • 親の気がかりを、1つ片づける
  • 「ありがとう」を、1つの場面に添えて伝える
  • 自分の休みを、1つ取る
今日からできる小さな10のこと(今日は、このうち一つで十分です)

なぜ「大きなこと」より「小さなこと」なのですか?

大きな計画は、親の体調や自分の都合で延期になりやすく、延びるほど「まだできていない」が積もっていくからです。小さな行動なら今日のうちに終わり、終わったことは「した」として手元に残ります。

たとえば、「家族みんなで温泉に行こう」と決めたとします。日程を合わせ、宿を探し、親の体調を見ているうちに、季節が変わる。体調を崩して延期になれば、計画は「できなかったこと」として胸に残ります。大きな計画が悪いわけではありませんが、病気の親との時間では、予定どおりにいかないことのほうが多くなりがちです。

小さな行動は、その反対です。電話は今夜かけられます。写真は明日撮れます。うまくいかなくても、次の日にまた別の一つを選べばいい。親の側から見ても、大勢が集まる大きな行事より、短い電話や、そっと手を握られることのほうが、体に負担をかけずに受け取れることがあります。

大きな計画

  • 体調や都合で、延期になりやすい
  • 準備に時間と体力がかかる
  • 延びるほど「まだできていない」が積もる

今日の小さな一つ

  • 数分で、今日のうちに終わる
  • 親の体調に合わせて形を変えられる
  • 終わるたびに「した」が手元に残る
大きな計画と、今日の小さな一つの違い

10のことは、それぞれどうやればいいのですか?

どれも、短く、軽く、一つで終わらせるのがコツです。電話は長話にせず一つだけ聞く、写真は一枚だけ、昔の話は問いを一つだけ。食べ物や体に触れることは、先に看護師さんに確かめてから始めます。

声と姿を届ける3つ

電話を1本かけるときは、話題を一つだけ決めておきます。「今日、何食べた?」「庭の柿、色づいた?」。長く話すと疲れる親もいるので、数分で切り上げてかまいません。続けるうちに、毎回同じ問いから始まる電話が、親子の小さな決まりごとになっていきます。

写真は、親に見せたいものを一枚撮って届けます。孫の運動会、近所の紅葉、親が育てていた花。親の手と自分の手を並べて撮る方法もありますが、親を撮るときは「撮ってもいい?」と一言聞いてからにします。

昔の話は、「若いころ、どんな仕事をしてた?」のような問いを一つだけ投げかけます。答えが短くても、続きを急かさずに相づちを打てば十分です。昔話の聞き方は、子どもだからできる関わりで詳しく紹介しています。

そばで五感に届ける3つ

好きだった味は、ひと口分で十分です。食べられる量や形は体調で変わるので、先に看護師さんに確かめてください。食べるのが難しい時期なら、好物の話をするだけでも、味の記憶は届きます。

手を握るときは、痛む場所がないかを看護師さんに聞いておくと安心です。握り返す力がなくても、手の甲をゆっくりさするだけで、言葉の代わりになります。同じ音楽は、親が若いころに聴いていた曲を一曲、小さな音で流して一緒に聴きます。曲名が分からなければ、「若いころ、何の歌が好きだった?」と聞くこと自体が、昔の話の入り口になります。

親の安心を増やす3つ

医療者への質問は、次の見出しで詳しく扱います。親の気がかりを片づけることは、思いのほか親の顔を明るくすることがあります。病気になっても、親は家のことを気にかけています。植木の水やり、郵便物の確認、町内会の当番、車の保険の更新。「何か気になってることある?」と聞いて一つ引き受け、終わったら「やっておいたよ」と報告します。

「ありがとう」は、「あのときの弁当、毎朝ありがとう」のように、具体的な出来事にくっつけて伝えます。改まった言い方より、思い出話の延長のほうが、照れずに口にできます。

自分を保つ1つ

自分の休みも、10のことに入っています。早めに眠る、温かいものを食べる、20分だけ外を歩く。親のために動き続けるには、自分の体を後回しにしないことが土台になります。休んだ日は、それも今日の一つとして数えてください。

「医療者に質問を1つ」は、何を聞けばいいですか?

答えが今日の関わり方につながる質問が向いています。「今、痛みや苦しさはありそうですか」「家族が来たときに、してよいこと・控えたいことはありますか」「好きなものを少し口にしてもいいですか」など、一つだけ選んで聞きます。

質問を一つに絞るのは、病棟の看護師さんも在宅の訪問看護師さんも忙しく、長く話せる時間は限られているからです。聞きたいことは山ほどあっても、今日は一つ。そう決めておくと、廊下で看護師さんを見かけた数十秒でも聞けます。

聞いた答えは、スマホのメモに書いて、家族のグループに送っておきます。「好きなものは少しならよいそうです。冷たいもののほうが口に入りやすいかもしれない、とのことでした」。一人が聞いた答えを家族みんなで使えると、同じ質問を何度もせずにすみます。

質問の中身に迷う日は、10のことのほかの行動と結びつけて考えると選びやすくなります。好きな味を届けたいなら「口にしてよいか」を、手を握りたいなら「触れて痛む場所はないか」を聞く。質問が、次の一つへの準備になります。

今日の一つは、どうやって選べばいいですか?

今日、親に会えるかどうかと、今日の自分にどれくらい余力があるかの2つで選びます。会えない日は電話・写真・気がかりの片づけから、疲れている日は自分の休みや写真1枚から選べば十分です。

朝、スマホのメモを開いて、2つのことを自分に聞きます。「今日、会いに行ける?」「今日の自分に、余力はある?」。会える日は、手を握る、好きだった味、同じ音楽、昔の話のように、そばでしかできないことが選べます。会えない日は、電話、写真、気がかりの片づけ。余力のない日は、自分の休みを今日の一つにしてかまいません。

選ぶときに、親の様子を思い浮かべるのも助けになります。最近は話すと疲れやすいようなら電話を短く、眠っている時間が長いようなら手を握る、というように。迷ったら、昨日と同じものを選んでも大丈夫です。

  1. Q1今日、親に会いに行けますか

    はい手を握る、好きだった味、同じ音楽、昔の話から一つ選ぶ

    いいえ電話1本、写真1枚、気がかりの片づけから一つ選ぶ

  2. Q2今日の自分に、余力はありますか

    はい医療者への質問か「ありがとう」を、もう一つ足してみる

    いいえ今日の一つは「自分の休み」にして、早めに休む

今日の一つを選ぶための分かれ道

選んだ一つは、どんなひと言で切り出せばいいですか?

改まった前置きはいりません。「今日、何食べた?」「何か気になってることある?」のように、いつもの会話の調子で、短い問いか報告から入ります。返事を求めない言い方にしておくと、親も受け取りやすくなります。

「後悔しないように」と意気込むほど、最初のひと言は重くなりがちです。「ちょっと大事な話があるんだけど」と切り出すと、親は身構えてしまいます。10のことは、どれもいつもの会話の中に混ぜられるものばかりです。電話なら天気の話から、面会なら「来たよ」のあとに一つだけ。

言いにくいときは、自分の話を先にするのも一つの方法です。「今日、会社の帰りに、昔よく一緒に行った店の前を通ったよ」と話せば、親のほうから思い出話が始まることもあります。うまく言葉が出なかった日は、手を握るだけ、写真を見せるだけでもかまいません。

こと最初のひと言の例気をつけたいこと
電話1本「今日、何食べた?」長話にせず、一つ聞いたら切り上げる
写真1枚「玄関の菊、今年も咲いたよ」親を撮るときは「撮ってもいい?」と聞く
昔の話1つ「若いころ、どこで働いてたんだっけ」話したがらない話題には踏み込まない
気がかり1つ「何か気になってることある?」引き受けたら、終わったことを報告する
ありがとう1つ「あのときの弁当、毎朝ありがとう」返事を求めず、言いっぱなしでいい
選んだ一つを切り出す、最初のひと言の例

毎日続けるには、どんなコツがありますか?

した日に、カレンダーへ一語だけ書く。それ以上のことは決めないのがコツです。同じことを毎日繰り返してもよく、空欄の日があっても、そこでやめなければ続いています。

書くのは「電話」「写真」「手」のような一語で十分です。日記のように書こうとすると、書くこと自体が負担になります。週末にカレンダーを見返すときは、印の数ではなく、印の中身を思い出してください。「火曜の電話で、母が笑っていた」。その記憶が、次の週の一つを選ぶ力になります。

きょうだいがいるなら、家族のグループで「今日の一つ」を共有するのも一つの方法です。ただ、回数を競うようになると、かえって苦しくなります。誰が何をしたかより、親の一週間に誰かの一つが届いていることを、みんなで確かめ合う使い方にします。

  1. 1朝に選ぶ10のうち、今日の自分に合うものを一つ選ぶ
  2. 2やってみる数分で終わる形で。うまくいかなくても一度で十分
  3. 3一語だけ書くカレンダーに「電話」「写真」「手」などと書く
  4. 4週末に見返す印の数ではなく、印の中身を思い出す
  5. 5翌週も選び直す親の様子や自分の都合に合わせて、選ぶものを変える
「今日の一つ」を続けるための流れ

できない日があったら、後悔につながりませんか?

つながりません。仕事、親の体調、自分の疲れで、何もできない日は誰にでもあります。後悔を減らすのは、空白のない毎日ではなく、空白のあとにまた一つ選び直すことです。

親の病気と並んで暮らす家族は、自分の暮らしも回し続けなければなりません。がん情報サービスは、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、日常生活も保たなければならないことから、「第二の患者」ともいわれると説明しています。国立がん研究センターが2022年3月に公表した遺族調査の報告(2017・2018年のがんによる死亡、有効回答54,167名)でも、介護の負担感が大きかったと振り返った遺族が38.9%いました。何もできない日があるのは、怠けているからではなく、それだけのものを抱えているからです。

できない日を責めると、次の日の一つまで重くなります。空欄の日は「休む日だった」と考え、翌日にまた一つ選べば、それで続いています。1週間空いてしまっても、「もう遅い」ということはありません。今日からまた一つ、です。

場面責める考え方続ける考え方
何もできなかった日「また何もしてあげられなかった」「今日は休む日だった。明日一つ選ぼう」
親の体調で中止になった日「せっかく決めたのに」「親の体調に合わせられた」
1週間あいてしまった「今さら遅い」「今日から、また一つ」
できない日の受け止め方を、責める考え方と続ける考え方で比べた表

「何もしていない」と感じていた娘さんは、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(80代の母が入院中。本人はパートで働き、高校生の子どもがいる。兄は遠方に住む)
相談のあとに変わったこと
毎朝「今日の一つ」を選ぶようにして、3週間のうち16日に印がついた。母の気がかりだった鉢植えの水やりを引き受け、咲いた花の写真を届けられた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から3週間で、カレンダーには16日分の印がつきました。いちばん多いのは「電話」で、仕事の休憩中に数分だけかけています。看護師さんに確かめたうえで、母の好きな水ようかんをひと口分届けた日もありました。母が気にしていたベランダの鉢植えは娘が水やりを引き受け、咲いた花の写真を見せると、母は「よかった、枯らさずにすんだ」と笑ったそうです。「一つでいいと決めたら、毎日がちゃんと終わるようになりました」と話しています。

2. 相談を考えた背景

80代の母が入院したのは、夏の終わりでした。親戚からは会うたびに「後悔しないようにね」と言われ、そのたびに胸がざわついたといいます。パートの仕事と高校生の子どもの世話があり、面会に行けるのは週に二、三度でした。

3. 相談する前に困っていたこと

夜に「親 後悔しないために 今できること」と検索すると、旅行や家族写真の撮影など、今の母には難しいことばかりが並んでいました。仕事帰りに病院へ寄っても母が眠っていて話せない日があり、行っても何もできなかったと感じて帰ることが続きました。遠方に住む兄からは「ちゃんと行ってる?」と電話が来るたびに責められている気がして、自分は何もしていないという思いが強くなっていきました。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターは、治療費の相談をする場所だと思っていました。言葉にならず、夜中にLINEでスタンプを一つだけ送ると、翌朝いちばんに返事が届きました。そのあとフォームから、パートの休憩時間を指定して折り返しの電話を申し込みました。

5. 相談で話したこと・その後

担当は最初に、「何もしていない」という言葉をさえぎらずに聞きました。そのあとで、一緒に小さな行動を書き出し、会える日と会えない日で選べるように分けました。母の病状やこの先については予測を口にせず、看護師さんに聞く質問として「好きなものを少し口にしてもいいか」をまとめて送りました。2日目は印をつけ忘れて落ち込みましたが、「空欄の日があっていい」と決めていたので、翌日また一つ選べたそうです。カレンダーを兄にも見せると、兄は週末の電話を受け持つようになりました。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

看護師さん・医師に聞く質問例

  • 母(父)は今、痛みや苦しさを感じていそうですか。
  • 好きだったものを少し口にしてもいいですか。量や形で気をつけることはありますか。
  • 手や足に触れたり、さすったりしても大丈夫ですか。痛む場所はありますか。
  • 面会のとき、家族にしてほしいこと、控えてほしいことはありますか。
  • 電話をかけるなら、本人が出やすい時間帯はありますか。

とはいえ、小さなことに迷う日に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──「こんな小さなことで」と思わなくていい

電話1本、写真1枚。これで本当に後悔が減るのかと、心もとなく感じる日もあるでしょう。けれど、親子の時間は、もともと大きな出来事より、何気ない日々でできていたはずです。今日の一つは、その何気ない日々の続きです。小さすぎると感じる一つも、親の一日に届けば、親にとっては今日の出来事になります。そして、何も選べない日のあなたも、親を思う気持ちまで失ったわけではありません。気持ちのつらさが強い日が続くときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)にかけると、電話をかけた場所の都道府県・政令指定都市が行う公的な相談につながります(曜日や時間は都道府県によって異なり、通話料がかかります)。

② 実務のこと──10のことを、家族と制度で分け合う

10のことは、一人で全部を担う必要はありません。遠くに住むきょうだいは電話や写真、親の気がかりの片づけの手配を、近くに住む人は手を握る、好きだった味を届けるといった、そばでしかできないことを。得意と距離で分けると、親の一週間に届く一つが自然に増えます。働いている方は、親が要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にあれば、その介護や世話のために、介護休暇を1年に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで、時間単位でも取れる場合があります(使える場面は勤め先に確かめてください)。65歳以上の親の介護のことは、市町村が設置する地域包括支援センターで、家族からも相談できます。家族の負担が大きくなってきたと感じたら、がん相談支援センターで、家族だけでも無料・匿名で相談できます。

今日できること

「今日の一つ」を始めるために、今夜から明日にできる3つのこと

  1. 明日の一つを選んでおく

    10のことから明日する一つを選び、スマホのメモの一番上に書いておく。

  2. 印をつける場所を決める

    手帳やスマホのカレンダーに、した日に一語だけ書く場所を決めておく。

  3. 親の気がかりを聞いてみる

    次の電話か面会で「何か気になってることある?」と聞き、答えをメモしておく。

よくある質問

癌の家族に今できることは、親以外の家族でも同じですか?

同じように使えます。配偶者やきょうだいが病気の場合も、電話1本、写真1枚、手を握る、気がかりを1つ片づける、といった小さな行動は変わりません。配偶者なら「家のことの気がかり」、きょうだいなら「子どものころの話」というように、相手との関係に合わせて中身を少し変えてみてください。

10個全部やらないと、後悔が残りますか?

全部やる必要はありません。10のことは、どんな日にも一つ選べるように並べた選択肢です。同じ一つを毎日繰り返しても、それで十分に続けています。今日の自分と親の様子に合うものを、一つだけ選んでください。

遠くに住んでいて、会えない日がほとんどです。

会えない日にも選べるものがあります。電話1本、写真1枚、親の気がかりの片づけの手配、そして医療者への質問を、近くの家族に託すこと。どれも離れたままでできます。会いに行ける日は、手を握る、好きだった味を届けるといった、そばでしかできない一つを選ぶようにすると、限られた面会の時間が生きてきます。

親とは昔から折り合いが悪く、優しくするのがぎこちないです。

無理に仲直りを目指さなくて大丈夫です。気持ちを込めた言葉が難しければ、写真1枚を送る、気がかりを1つ片づけるといった、言葉のいらない行動から選んでみてください。何かを片づけてもらえたことは、親にとって、言葉以上に伝わるものになることもあります。

最期に立ち会えなかったら、後悔が残りませんか?

最期の瞬間にそばにいられるかどうかは、距離や時間帯、病状の変わり方に左右され、家族の努力だけでは決められません。間に合わなかったとしても、それは看取りの失敗ではありません。それまでに届けた電話や写真、握った手は、親と過ごした時間として確かに残ります。今日の一つは、その時間を一日ずつ積み重ねることでもあります。

夜、後悔ばかり考えて眠れないときは、どうすればいいですか?

今すぐ誰かと話したいときは、よりそいホットライン(0120-279-338)に電話できます。こちらは24時間・無料の電話相談で、がん専門の窓口ではありません。相談室のLINEなら、名前を出さずに無料で送れます。夜中に届いたものは、翌朝いちばんに読んでお返事します。言葉が見つからない夜は、スタンプを一つ送るだけでもかまいません。

電話をかけても、親が出られないことが多いです。

出られない日があるのは自然なことです。留守番電話やメッセージに「声が聞きたくてかけただけ。また明日ね」と一言残せば、それも今日の一つに数えてかまいません。看病している家族に、親が電話に出やすい時間帯を聞いておくと、つながる日が増えていきます。話すと疲れる様子の時期は、親は聞くだけでいいように、こちらが近況を短く話す電話に変えてみてください。

今日の一つを、一緒に決めませんか

フォームには、親御さんの今の様子と、今日の一つに迷っていることをひとことだけ。折り返しのお電話番号も添えてお送りください。受付確認のメールがすぐに届き、ご指定の時間帯に担当からお電話します。会える日と会えない日、それぞれの「今日の一つ」を一緒に考えます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

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    次の一歩

    全部をしようとせず、今週の3つに絞る

    ご家族の役割は「そばにいる」「情報を一緒に整理する」「生活を支える」「自分を守る」の4つに分けると、見通しがよくなります。全部を完璧にする必要はありません。今週できることを3つだけ選んでみてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「家族として、今いちばん手伝えることは何でしょうか。」

    1. きょうだいや親族で役割を分けて、ひとりに負担を集めない
    2. 診察には、聞きたいことを3つ書いたメモを持っていく
    3. 仕事やお金の手続きは、がん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに相談する

    手元にあると話しやすいもの

    • 家族の役割分担のメモ
    • 次の診察の日時と、付き添える人

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    医療ソーシャルワーカー(病院の相談室など)
    医療費や制度、退院後の暮らし、在宅療養の準備を一緒に考える専門職です。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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