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残された時間をどう過ごす?|がんの家族との3つの決めごと

このテーマの総論:がんの家族と後悔しないために|今できる5つのことと時期別の表

この記事の結論

特別な予定を詰め込まなくても大丈夫です。今週の過ごし方は、一緒にいる時間を決める、本人の望みを一つ聞く、自分の休みも決める、の3つの決めごとで組み立てられます。体調に合わせて毎週見直してよく、守れない週があっても決め直せば十分です。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか8件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

残された時間を大切に過ごす方法は、毎日を特別な予定で埋めることではありません。一緒にいる時間を決める、本人の望みを一つ聞く、自分の休みも決める。この3つの決めごとを今週のカレンダーに書き込むだけで、「大切に」という形のない言葉が、手で触れられる段取りに変わります。

決めごとは、体調や病状に合わせて毎週変えてかまいません。病気の進み方は一人ひとり違い、先週できたことが今週は難しくなることも、反対に落ち着いた日がしばらく続くこともあります。ここでいう決めごとは、守らなければならない規則ではなく、迷ったときに戻ってくる目印です。

「残された時間を大切に」と言われて、立ち止まっている方へ

  • 「残された時間を大切に」と言われたけれど、具体的に何をすれば大切にしたことになるのか分からない。
  • 普通にご飯を食べてテレビを見ているだけの日が続くと、時間を無駄にしているようで焦る。
  • 何か特別なことをしなければと思うのに、本人も自分も疲れていて、計画を立てる気力がわかない。

この記事で分かること

  • 3つの決めごとを、今週の予定に入れる順番
  • 「一緒にいる時間」「本人の望み」「自分の休み」の具体的な決め方と言い方
  • 体調が変わったときや、決めごとが守れなかった週の見直し方

がんの家族と残された時間を、どう過ごせばいいですか?時間を大切にする方法はありますか?

今週の過ごし方を、3つの決めごとで組み立ててみてください。一緒にいる時間を決める、本人の望みを一つ聞く、自分の休みも決める。予定を詰め込むより、この3つを守れた週を重ねるほうが、本人も家族も疲れずに時間を大切にできます。

「大切に過ごす」が難しいのは、その言葉に終わりがないからです。どれだけ一緒にいても、「これで足りたのか」を確かめる物差しがありません。物差しがないまま過ごすと、何もしない日は無駄にしたように見え、何かをした日も「もっとできたのでは」と感じてしまいます。決めごとは、その物差しの代わりです。決めた時間にそばにいられたら、その週は「大切にできた週」と数えてかまいません。

3つの決めごとは、それぞれ違う人を守っています。一緒にいる時間は、本人と家族が共有する時間を。本人の望みは、本人の声を。自分の休みは、支える家族の暮らしを。どれか一つが欠けると、残りの二つも続きにくくなります。

特別な思い出を作らなければという焦りについては思い出作りは「いつも通り」でいい理由で、後悔を減らすための考え方の全体は今できる5つのことと時期別の表でまとめています。この記事では、今週の予定に決めごとを書き込む実践に絞ってお伝えします。

  1. 1① 一緒にいる時間を決める曜日と時間帯を先に決め、その時間は家事や連絡を置いてそばにいる
  2. 2② 本人の望みを一つ聞く今週かなえられそうな小さな望みを、範囲を区切って一つ聞く
  3. 3③ 自分の休みも決める本人に会わない時間を、代わってくれる人と一緒に先に予定へ入れる
今週の過ごし方を組み立てる、3つの決めごと

3つの決めごとは、どの順番で今週の予定に入れればいいですか?

おすすめは、③自分の休みを最初に入れ、次に①一緒にいる時間、最後に②本人の望みを、一緒にいる時間の中で聞く順番です。休みを後回しにすると、ほかの予定で週が埋まり、休みが入る隙間がなくなりやすいからです。

看病や付き添いの予定は、放っておくと際限なく広がります。通院の付き添い、薬の受け取り、親戚への連絡、洗濯物の入れ替え。空いた時間に休もうと思っていると、その空きはまず来ません。だから休みは、ほかの予定より先に、動かせない予定として書き込みます。

次に、一緒にいる時間を入れます。本人の調子がよい時間帯に合わせて、曜日と時間を決めます。最後に、その一緒にいる時間のどこかで、本人の望みを一つ聞く日を決めておきます。望みを聞くために別の時間をつくる必要はありません。

この作業は、週のはじめに10分あれば足ります。日曜の夜に家族のカレンダーを開き、3つを書き込み、週の終わりに見返して印をつける。それを毎週繰り返すだけです。

  1. 1週のはじめに10分家族のカレンダーを開き、今週の予定を見渡す
  2. 2休みを先に入れる自分が会わない時間と、代わってくれる人を決める
  3. 3一緒にいる時間を入れる曜日と時間帯を、本人の楽な時間に合わせて決める
  4. 4望みを聞く日を決める一緒にいる時間のどこかで、小さな望みを一つ聞く
  5. 5週の終わりに見返すできたことに印をつけ、来週の形を決め直す
今週の予定に、3つの決めごとを書き込む流れ

決めごと①「一緒にいる時間」は、どう決めればいいですか?

「時間ができたら行く」ではなく、「火曜の夕食後の30分」「土曜の昼」のように、曜日と時間帯を先に決めます。長さより決まっていることに意味があり、本人にとっても待つ目印になります。その時間は、家事やスマホを脇に置いてそばにいることだけを決めておきます。

一緒に暮らしている家族ほど、意外にこの時間がありません。同じ家にいても、食事の支度、薬の管理、洗濯、仕事の連絡と、そばにいる時間のほとんどが「世話をする時間」で埋まっていきます。だからこそ、「夕食後の20分は、家事をしないで隣に座る」と決めておくと、世話をする人から、家族の一人に戻る時間ができます。

離れて暮らしている、あるいは入院している場合は、本人の調子がよい時間帯を看護師さんに聞き、面会の時間をそこに合わせます。毎日でなくてかまいません。週に二度でも、決まっていることが、本人の一週間に区切りをつくります。

その時間に何をするかは、決めなくて大丈夫です。並んでテレビを見る、お茶をいれる、爪を切る、黙って窓の外を眺める。本人が疲れている日は、時間を半分にしてもかまいません。決めごとの中身は「そこにいること」で、何かを成し遂げることではないからです。

決めごと②「本人の望みを一つ聞く」は、どう聞けばいいですか?

「何かしたいことある?」と広く聞くより、「今週、食べたいものある?」「誰か会いたい人いる?」のように、範囲を区切って聞くと答えやすくなります。答えが「特にない」でも、聞かれたこと自体が、本人の気持ちを大事にしているという合図になります。

範囲の区切り方には、いくつか型があります。食べたいもの、見たい景色や番組、会いたい人、行きたい場所、そして「してほしくないこと」。最後の問いは意外に大事で、「お見舞いの人数を減らしてほしい」「病気の話ばかりしないでほしい」といった答えから、家族が良かれと思ってしていたことを見直せることがあります。

望みが返ってきたら、「いつにする?」と続けて、今週のどこで実現するかまで決めます。食べること、外に出ることなど体や治療に関わる望みは、先に看護師さんや医師に「してよいか」を確かめてください。そのままの形では難しくても、形を小さくすれば届くことがあります。行けない場所は写真や動画で、食べられないものはひと口や香りで。「一人の時間がほしい」「家族に休んでほしい」という望みが返ってくることもあり、それをかなえるのも立派な決めごとです。

小さな望みを聞くことは、もっと大きな話への入り口にもなります。厚生労働省は、もしものときに望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みを「人生会議」と呼び、国の指針も本人による意思決定を基本にしています。療養の場所や医療の希望といった話は、本人が話したいときに、本人のペースで進めてかまいません。

  1. Q1その望みは、体や治療に関わることですか

    はい看護師さんや医師に、してよいか、どんな形ならよいかを先に確かめる

    いいえ家族で日にちと担当を決め、今週のカレンダーに書き込む

  2. Q2今のままの形では、かなえるのが難しいですか

    はい写真や動画、ひと口、電話など、形を小さくできないか考える

    いいえ一緒にいる時間の中で、そのまま実現する

聞いた望みを、今週かなえるかどうかの分かれ道

決めごと③「自分の休み」は、どう確保すればいいですか?

休みは「空いたら取る」ではなく、先に予定に入れ、その時間に代わってくれる人まで決めておきます。半日でも、夜の数時間でもかまいません。休む時間は、眠る、食べる、病気以外の話をするといった、自分の暮らしを取り戻す時間にします。

休みを決めることに、後ろめたさを感じるかもしれません。けれど、がん情報サービスは、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを我慢しがちで、自分の日常生活も保たなければならないため、「第二の患者」ともいわれると説明しています。国立がん研究センターが、2017年と2018年にがんで亡くなった方の遺族に尋ねた調査(2022年3月公表、有効回答54,167名)では、介護の負担感が大きかったと答えた遺族が38.9%にのぼりました。支える側が疲れ切ってしまうことは、珍しいことではないのです。

代わってくれる人は、きょうだいや親戚、友人だけとは限りません。介護保険のサービスなど、家族以外の手を借りて休みをつくれる場合もあります。休みの時間には、病気のことを調べるのはやめておきます。眠る、温かいものを食べる、外を歩く、病気と関係のない話をする。休んだぶん、次に一緒にいる時間に、穏やかな顔で戻れます。

本人には「土曜の午前は、ちょっと出かけてくるね」と先に伝えておきます。黙って出かけるより、伝えておくほうが、本人も「行っておいで」と送り出しやすくなります。家族が休んでいると知って、ほっとする方もいます。看病する家族が自分を守る方法は、家族が自分を守る3つの方法でも詳しく紹介しています。

  • 休む曜日と時間帯
  • その時間に、本人のそばにいてくれる人
  • 何かあったときに、自分に連絡がつく方法
  • 休みの時間にしたいこと(眠る・食べる・人に会う)
  • 休むことを本人に伝える、ひとことの言い方
休みの時間を守るために、先に決めておくこと

体調が変わったら、決めごとはどう変えればいいですか?

決めごとは毎週変えてかまいません。起きている時間が短くなったら一緒にいる時間を短く回数多く、話すのがつらそうなら望みは「はい・いいえ」で聞くか、これまでの言葉から汲み取り、付き添いが増える時期ほど休みを厚くします。

見直すのは、週の終わりにカレンダーを見返すときです。「決めた時間に、本人は起きていたか」「望みを聞いたとき、答えるのはつらそうではなかったか」「自分は休めたか」。この3つを振り返ると、来週どこを変えればよいかが見えてきます。眠る時間が増えてきた時期の過ごし方は、眠ってばかりのときの過ごし方で詳しく扱っています。

気をつけたいのは、看病が濃くなる時期ほど、家族は休みを削りがちなことです。本当は逆で、付き添いが増える時期こそ、休みを厚くしておかないと、いちばんそばにいたい時期に体が動かなくなります。夜の付き添いを交代制にする、休む人を日替わりにするなど、休みの形を変えて続けてください。

決めごと起きて話せる日が多い時期眠る時間が増えた時期反応が少なくなった時期
一緒にいる時間食事やテレビの時間に合わせる短い時間を、回数多く家族が交代でそばにいる時間をつなぐ
本人の望み言葉で聞いて、今週かなえる「はい・いいえ」で答えられる形で聞くこれまでの言葉や好みから汲み取る
自分の休み週に一度、会わない時間をつくる夜の付き添いを交代制にする眠れる人から順に休む
体調の変化に合わせた、決めごとの変え方の例(変わり方や速さは一人ひとり違います)

決めごとが守れなかった週は、どう考えればいいですか?

守れなかった週は失敗ではなく、決めごとが今の暮らしに合っていなかったという知らせです。自分を責める代わりに、来週の決めごとを小さくして決め直せば十分です。3つのうち1つでも守れた週は、その1つで足りています。

決めごとが崩れる理由は、たいてい家族の意志の弱さではありません。本人の体調が急に変わった、仕事が立て込んだ、自分が熱を出した。予定が崩れるのは、病気と暮らしが同時に進んでいるからです。

週の終わりの見返しでは、できたことに○、半分できたことに△をつけ、×はつけないでおきます。△が続く決めごとは、大きすぎる合図です。「夕食後の30分」が守れないなら「15分」に、「土曜の午前の休み」が取れないなら「平日の夜1時間」に。小さくして決め直すたびに、決めごとは今の暮らしに合った形になっていきます。

家族が何人かいるときは、決めごとをどう分ければいいですか?

一緒にいる時間は家族で曜日を分け、本人の望みは聞いた人が家族に共有し、休みは互いに代わり合う形にすると、一人に負担が集まりません。週に一度、家族のグループで予定を見せ合うと続けやすくなります。

たとえば、家族のグループに日曜の夜、今週の予定を一枚にまとめて送ります。「火・金の夕方は姉、土曜の昼は自分、日曜は父」。本人から聞いた望みも、「母が『栗ご飯が食べたい』と言っていた。木曜に作れる人いる?」と共有すれば、聞いた人が一人で抱えずにすみます。

離れて暮らす家族にも役割はあります。一緒にいる時間は担えなくても、本人の望みをかなえる段取り(会いたい人への連絡、食べたいものの取り寄せ)や、近くの家族が休む日の電話の相手は、遠くからでも引き受けられます。

決めごとで、毎日の焦りが変わったご家族は?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
30代・娘の立場(母と二人暮らし。母は通院しながら自宅で療養中。本人は在宅勤務で、近くに母の妹が住んでいる)
相談のあとに変わったこと
「夕食後の20分は家事をしない」「母の望みを週に一つ聞く」「土曜の午前は叔母に来てもらい外出する」の3つを決めた。母の眠る時間が増えてからは、一緒にいる時間を朝の15分に移して続けている。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から4週間、夕食後の20分は、1週間のうち5日ほど守れています。母の隣でテレビを見たり、黙って足をさすったりする時間です。母の望みは、庭の柿で干し柿を作ること。母は椅子に座って手順を指示し、娘が皮をむいて軒下に吊るしました。土曜の午前は4回のうち3回、叔母に来てもらって美容院やカフェに出かけています。日曜の夜に10分、冷蔵庫に貼ったカレンダーへ3つを書き込むのが習慣になりました。「『何かしなきゃ』が、『今日はこれをした』に変わりました」と話しています。

2. 相談を考えた背景

母のがんが進み、主治医からつらさを和らげる治療を中心にしていく方針を聞いたのは、夏の終わりでした。父はすでに亡く、母と二人暮らしです。在宅勤務の合間に通院の付き添いや食事の支度をこなすうちに、気づけば何週間も、買い物以外で家を出ていませんでした。

3. 相談する前に困っていたこと

親戚からは「残された時間を大切にね」と言われ、そのたびに焦りました。夜に検索すると、旅行や記念日の過ごし方が並んでいましたが、母は外出すると数日疲れが残ります。隣の部屋で母が休んでいる間にパソコンに向かう自分が、時間を無駄にしているようで後ろめたかったといいます。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターには、医療費のことで一度電話したことがありました。けれど「どう過ごせばいいか」は、病院に聞くことではない気がしていました。母が寝たあとの夜にフォームを開き、ニックネームで送って、昼休みの時間帯を指定しました。受付確認のメールがすぐに届き、少し肩の力が抜けたそうです。

5. 相談で話したこと・その後

担当は、最初にしばらく話を聞いてから、3つの決めごとを一緒に今週の予定に書き込みました。母の体調の見通しについては予測を口にせず、母の楽な時間帯を訪問看護の看護師さんに聞いてみることを提案しました。最初の週、娘は後ろめたさから土曜の外出を取りやめてしまいました。叔母に「土曜の午前、母といてもらえる?」と頼むのも、迷惑をかけるようで切り出せなかったといいます。2週目に思い切って頼むと、叔母からは「もっと早く言ってくれればよかったのに」と返ってきました。母に「土曜は出かけるね」と伝えると、「行っておいで」と言われたそうです。母が眠る時間が増えた頃、娘はもう一度フォームから申し込み、一緒にいる時間を朝の15分に移しました。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

看護師さん・医師に聞く質問例

  • 一日のうちで、本人が比較的楽に過ごせる時間帯はいつごろですか。
  • 本人が食べたい、行きたいと言っているものがあります。今の体調で、してよいことと控えたほうがよいことを教えてください。
  • 一緒に過ごす時間に、家族がしてあげられるケアはありますか。
  • 付き添う家族が休みをとりたいとき、使える支援やサービスはありますか。
  • 体調が変わってきたら、家族の過ごし方で気をつけることを教えてください。

とはいえ、決めごとに縛られなくていい2つのこと

① 気持ちのこと──決めごとは、守るためではなく迷わないためのもの

決めごとを作ると、今度は「守れなかった」と自分を責める材料になってしまうことがあります。けれど、決めごとの役目は、毎日を採点することではありません。何をすればいいか分からなくなった日に、「とりあえず、決めた時間にそばに座ろう」と戻ってこられる場所をつくることです。本人の体調が悪くて予定が崩れた日も、休みの時間に結局病院のことを考えてしまった日も、それで今週が台なしになるわけではありません。決めごとがあるから、崩れたあとに戻る道が見えるのです。

② 実務のこと──決めごとを支える制度と人の手を、先に確かめておく

3つの決めごとは、家族の気持ちだけでは続きません。支えになる制度を確かめておきます。働いている方は、本人が要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にあれば、その介護や世話のために介護休暇を使える場合があります。1年に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで、時間単位でも取れるので、平日の夕方にそばにいられる時間をつくる助けになります。休みをつくる手としては、介護保険のサービスがあります。65歳以上の方は、要介護・要支援と認定されれば原因を問わず使えます。40〜64歳の方は特定疾病が原因の場合に限られ、がんの場合は、医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限って対象になります。どちらも、要介護認定を受けることが前提です。相談の入り口は、市区町村の介護保険の窓口か、地域包括支援センターです。自宅で療養していて末期の悪性腫瘍と判断されている場合、訪問看護は主治医の指示のもとで医療保険から受けられ、週の日数の制限もかかりません。どのサービスが合うか分からないときは、がん相談支援センターで、家族だけでも無料・匿名で相談できます。

今日できること

今週の決めごとを、今夜から明日にかけて書き込む3つの手順

  1. 休む時間を先に一つ入れる

    今週のカレンダーに自分の休みを一つ書き、その時間に代わってくれる人へ連絡する。

  2. 一緒にいる時間を本人に伝える

    「火曜の夕ごはんのあと、一緒にテレビ見よう」のように、曜日と時間を本人に伝えておく。

  3. 聞く質問を一つ決める

    「今週、何か食べたいものある?」など、範囲を区切った質問を一つ選んでメモしておく。

よくある質問

本人に望みを聞いても「特にない」と言われます。

「特にない」は、気をつかっている場合もあれば、今の暮らしにそれなりに満足している場合もあります。無理に引き出さず、「じゃあ、来週また聞くね」と軽く終えてかまいません。選びやすいように、「栗ご飯と茶わん蒸し、どっちがいい?」と二択で聞くと答えが返ってくることもあります。してほしくないことを聞いてみるのも、一つの方法です。

仕事があって、平日に一緒にいる時間がとれません。

平日は電話の時間を決めごとにし、一緒にいる時間は週末に集める形でもかまいません。本人が要介護状態にあれば、介護休暇を時間単位で取り、月に何度か夕方だけ早く上がって介護や世話にあてる、という使い方も考えられます。2025年4月からは、介護に直面したことを申し出た社員に、会社が制度を個別に知らせて意向を確かめることが義務になりました。まずは上司か人事に状況を短く伝えてみてください。

決めた時間に、本人が眠っていたらどうすればいいですか?

起こさずに、そばに座っていれば、その日の決めごとは守れています。眠っている時間が増えてきたら、一緒にいる時間を本人が目を覚ましやすい時間帯に移すか、短い時間を何回かに分ける形に変えてみてください。どの時間帯が楽そうかは、看護師さんに聞くと教えてもらえることがあります。

特別な思い出を作らなくても、本当に大丈夫ですか?

大丈夫です。体力が落ちてきた時期には、遠出やイベントそのものが負担になることがあります。本人が強く望み、医療者とも相談できたなら特別な予定を入れてもかまいませんし、そうでなければ、いつもの食卓やテレビの時間で十分です。焦りが消えないときは、決めた時間にそばに座れたことを、その週の思い出として数えてみてください。

休みの日に、罪悪感で結局休めません。

最初の何回かは、休みの時間も落ち着かないかもしれません。それでも、休む時間を決めて家を出ること自体を続けてみてください。「休むのも看病のうち」と、自分に言い聞かせてかまいません。どうしても休めない状態が続く、眠れない日が重なるといったときは、がん相談支援センターなどに、家族としてのつらさを相談してください。

決めごとを、本人と一緒に決めてもいいですか?

もちろんです。本人が話せる状態なら、一緒に決めるほうが、本人の望む過ごし方に近づきます。「今週は火曜の夕方に来るね。その時間で大丈夫?」と確かめるだけでも、本人が自分の時間の使い方に関われます。本人が決めることに疲れている様子なら、家族で決めて、伝えるだけにしてもかまいません。

ひとりで抱えきれない夜は、どこに相談できますか?

日中なら、がん相談支援センターで家族としての悩みを相談できます。今すぐ声で話したいときは、24時間・無料で受け付けているよりそいホットライン(0120-279-338)もあります(がん専門の窓口ではありません)。相談室のLINEは無料・匿名で、夜に届いたものは翌朝いちばんに読んで返事します。本人の体調が急に変わったときは主治医や病棟、訪問看護へ連絡し、命に関わると感じたら119番に電話してください。

今週の3つの決めごとを、一緒に書き込みませんか

ご家族の今の様子と、いちばんの気がかりをひとこと、折り返しのお電話番号と一緒にお送りください。受付確認のメールが届いたら、あとは書いていただいた時間帯のお電話をお待ちください。一緒にいる時間・本人の望み・ご自身の休みを、今週の予定に一緒に落とし込みます。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

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    次の一歩

    伝えたいことを、ひとつだけ今日のうちに

    後悔しない過ごし方に、決まった正解はありません。「ありがとう」を伝える、好きだった音楽を一緒に聴く、手を握る。小さなことでも、一緒に過ごした時間は残ります。会いに行くタイミングに迷うときは、病棟の看護師に目安を尋ねてみてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「本人が会いたがっている人がいます。いつごろ来てもらうとよいでしょうか。」

    1. 伝えたいこと・聞いておきたいことを、1つずつ書き出しておく
    2. ご本人の希望(会いたい人・過ごしたい場所)を、聞ける範囲で聞いておく
    3. 遠方の家族とは、会いに行く予定を早めに相談しておく

    手元にあると話しやすいもの

    • 伝えたいこと・聞いておきたいことのメモ
    • 会いたい人の連絡先

    公的な相談先

    病棟の看護師・訪問看護
    ご本人の体調の変化を、いちばん近くで見ている相談先です。夜間の連絡先も確かめておくと安心です。
    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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