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がんの最期が近いサインとは?体の変化と家族ができること

このテーマの総論:がんの最期までの流れ|治療終了から看取りまでの全体像

この記事には、余命や生存率などの数字の話が出てきます。数字は多くの方をまとめた統計で、一人ひとりの予測ではありません。読むのがつらいときは、途中で閉じても大丈夫です。

この記事の結論

最期が近づくと、眠る時間が増えて食事が減り、やがて呼びかけへの反応が弱まり、尿が減って手足が冷え、呼吸のリズムが変わる、という変化が多くの方に見られます。残りの日数を測る物差しではないため、「今はどの段階か」を医療者に聞き、段階に合った過ごし方を選んでいきます。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:Hui D, et al. Clinical signs of impendin… ほか11件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

最期が近いサインは、ある日ひとつだけ現れるものではありません。眠り、食事、意識、尿、手足、呼吸に、少しずつ重なるように出てくる変化です。一般には、数週間前ごろから眠る時間と食べる量が変わり、数日前ごろから反応や手足の様子が変わり、直前の数日から数時間のあいだに呼吸の形が変わる、という流れで説明されます。

ただし、これは多くの方に見られる経過を大まかに並べたもので、日数の予測ではありません。順番が入れ替わる方、ひとつの段階に長くとどまる方、途中で一時的に元気を取り戻す方もいます。

この記事では、時期ごとの変化の目安、見ていてつらくてもご本人は苦しくないと考えられている変化、医療者に「今はどの段階ですか」と尋ねる言い方、そして段階ごとに家族がそばでできることを、順番にお伝えします。夜中にこのページを開いているのは、そばにいる準備をしようとしているからです。調べている自分を責めなくて大丈夫です。

こんな夜に、このページを開いた方へ

  • 母の食事が急に減って、眠っている時間が長くなった。これが「最期のサイン」なのかどうか知りたい。
  • 看護師さんは「変化が出てきています」と言うけれど、どの段階なのかまでは教えてくれない。
  • 遠方の弟をいつ呼ぶか、伝えたい言葉をいつ伝えるか。決めるための材料がほしい。

がんの最期が近いときには、どんなサインが体に現れますか?家族は何に気をつければいいですか?

眠る時間が増える、食べる量が減る、呼びかけへの反応が弱まる、尿が減る、手足が冷えて色が変わる、呼吸のリズムが変わる、といった変化が多くの方に見られます。家族が気をつけたいのは日数を数えることより、苦しそうなサインに気づいて医療者に伝えることです。

これらの変化は、病気が進んで体が使えるエネルギーが減り、心臓や肺、腎臓などの働きが少しずつ弱まることで起こると考えられています。限られた力が生きるために欠かせない働きへ回されるぶん、食べる、起きている、手足を温める、といった働きから先に静かになっていく、と説明されることもあります。

時期の目安で並べると、下の図のようになります。「数週間前ごろ」「数日前ごろ」は、かなり幅のある言い方です。ある変化から次の変化までが短い方もいれば、同じ状態が長く続く方もいます。

  1. 1数週間前ごろ眠る時間が増える。食事や水分が減る。だるさが強まり、歩くのに手助けが要る。周りへの関心が薄れる
  2. 2数日前ごろ呼びかけへの反応が弱くなる。飲み込みにくくなる。尿が減って色が濃くなる。手足が冷え、まだら模様が出ることがある
  3. 3直前の数日〜数時間ごろ呼吸のリズムが変わり、止まる間ができる。あごを動かすような呼吸になる。喉の奥でゴロゴロと音がする。手首の脈が触れにくくなる
  4. 4どの時期でも順番が入れ替わる、ある段階が長く続く、一時的に元気になる、といったことがある
多くの方に見られる体の変化の目安(日数の幅は大きく、順番どおりに進まないこともあります)

家族が気をつけたいことは、大きく分けて2つです。ひとつは、見ていてつらい変化と本当に苦しいサインを分けて考えること。もうひとつは、気になった変化を「いつから・どんなふうに」と書き留めて、看護師さんや訪問看護師さんに伝えることです。「昨日の夕方から尿がほとんど出ていない」「今朝は呼んでも目を開けなかった」のように具体的に伝えると、医療者はそれを手がかりに今の見立てを話しやすくなります。

このサインが出たら、あと何日と決まっているのですか?

決まっていません。最期が近い時期の変化は、残りの日数を言い当てる目安ではありません。医療者向けの研究で「直前の数日に多い」とされた徴候もありますが、すべての方に現れるわけではなく、家族が時間を数えるためのものではありません。

たとえば、米国とブラジルの急性期緩和ケア病棟に入院した進行がんの患者さん357人を観察した研究があります(Hui Dほか、Oncologist、2014年)。手首の脈が触れなくなる、下顎呼吸、尿量の減少、チェーン・ストークス呼吸(浅い呼吸と深い呼吸をくり返し、止まる間がはさまる呼吸)、死前喘鳴(喉のゴロゴロという音)が、亡くなる直前の数日と強く結びついていました。一方で、意識の低下や飲み物の飲み込みにくさは、もっと早い時期から現れ、時期を見分ける手がかりとしては弱いものでした。同じ研究グループは2015年にも、ベッドサイドで確かめる52の徴候を調べ、瞳孔の対光反射の消失など8つを挙げています(Cancer、2015年)。

知っておいてほしいのは、これらが医療者の判断を助けるための研究だということです。こうした徴候がはっきり出ないまま穏やかに最期を迎える方もいますし、徴候が出てからの時間にも幅があります。家族が変化をひとつずつ確かめて「あと何日」と数えはじめると、そばにいる時間が、時計を見る時間に変わってしまいます。数えるのは医療者に任せて、家族は「気づいたことを伝える係」でいてください。

見ていてつらい変化は、本人も苦しいのですか?

喉の奥のゴロゴロという音や、あごを動かすような呼吸は、意識が深く下がった段階で見られることが多く、ご本人は苦しさを感じていないと考えられています。手足の冷えやまだら模様も、見た目ほどの苦痛はないとされます。一方、意識があるときの息苦しさや痛みは、伝えれば和らげる手段があります。

見守る側にとってつらいのは、「苦しそうに見える」ことと「本当に苦しい」ことの区別がつかない点です。喉の音は、飲み込む力が弱まり、唾液などが呼吸のたびに喉の奥で揺れるために鳴ります。あごの動く呼吸も、呼吸を支える力が弱まった体の動きです。どちらも聞いている家族の胸を締めつけますが、ご本人は深く眠っているような状態にあると考えられています。

反対に、目を開けて息苦しさを訴える、顔をしかめる、うめく、何度も体を動かして落ち着かない、といった様子は、苦痛のサインかもしれません。遠慮せずに「苦しそうに見えます」と伝えてください。痛み止めの医療用麻薬について「使うと最期が早まるのでは」と心配する方もいますが、適切に使われる医療用麻薬で命が縮むという根拠はないとされています(日本緩和医療学会『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』)。呼吸の変化については呼吸が変わるときの見守り方で詳しく扱っています。

ご本人は苦しくないと考えられている変化

  • 喉の奥でゴロゴロと鳴る音
  • あごを動かすような呼吸
  • 呼吸が止まる間が長くなる
  • 手足の冷え・まだら模様

医療者に伝えると和らげる手段がある変化

  • 意識があるときの息苦しさ
  • 痛み・うめき声・しかめ顔
  • そわそわして落ち着かない様子
  • 口の渇き・吐き気・発熱
見ていてつらい変化と、伝えれば和らげる手段がある変化

「今はどの段階ですか」と医療者に聞いてもいいのですか?

聞いてかまいません。医療者も日数は言い切れませんが、「週の単位」「日の単位」といった見立てや、夜間に家族へ連絡する目安なら答えられることが多いものです。遠方の家族を呼ぶ時期も、そのまま尋ねてよい質問です。

聞きにくいのは、「忙しそうな看護師さんを困らせたくない」「聞いたら本当になってしまう気がする」からかもしれません。けれど医療者の側も、家族がどこまで知りたいのかが分からないと、言葉を選びすぎてしまいます。「心の準備をしたいので、正直に教えてください」と聞く理由をひとこと添えると、話の入り口ができます。病室ではなく面談室やナースステーションの前で聞けば、ご本人の耳を気にせずにすみます。

先に知っておくことが家族の助けになる、という報告もあります。看取りの時期が近づいた患者さんの家族に「看取りのパンフレット」を使って説明した多施設研究(山本亮ほか、Palliative Care Research、2012年)では、協力した10施設で説明を受けたご遺族325名に郵送で尋ね、260名が回答しました。冊子による説明が「とても役に立った」「役に立った」という回答は合わせて81%で、体験として「変化の目安になる」を挙げた方は84%でした。協力施設のご遺族の回答なので、すべての家族に当てはまるとは言えませんが、知ることは怖がるためではなく、そばにいる準備になりえます。

看取りの時期の家族向けの冊子には、厚生労働科学研究「緩和ケア普及のための地域プロジェクト(OPTIM)」が作った『これからの過ごし方について』もあり、医師や看護師が説明するときに使うことを想定しています。病棟によっては似た資料を用意していることがあるので、「体の変化を説明した資料はありますか」と尋ねてみるのもひとつです。

  1. 1聞く面談室などで、今の見立てと夜間の連絡の基準を尋ねる
  2. 2書き留める言われた言葉を、言い換えずにスマホのメモへ残す
  3. 3共有する遠方の家族にも同じ言葉で伝える。言い換えると重みが変わりやすい
  4. 4決める呼ぶ・泊まる・交代する、を今夜の分だけ決める
医療者の見立てを、家族の動きにつなげる流れ

遠方の家族は、いつ呼べばいいですか?

「間に合うかどうか」だけで考えると、決められなくなります。医療者に「会わせたい人がいるなら、いつごろまでに」と尋ね、ご本人が会いたがっているか、移動にどれだけかかるかを重ねて考えると、決めやすくなります。

きょうだいが遠方に住んでいると、「まだ早いと言われたらどうしよう」「呼んだのに何日も変わらなかったら、仕事はどうする」と迷いが重なります。医療者の「会わせたい方がいれば」という言い方は、多くの場合、早めに会っておくことを勧める合図です。それでも日数は誰にも分かりません。呼ぶのは「間に合わせる」ためだけでなく、「話せるうちに会う」ためでもある、と考えると判断の軸が増えます。迷いが続くときは、今すぐ会いに行くべきか迷ったときの考え方も参考にしてください。

勤めている方は、職場の制度を先に確かめておくと動きやすくなります。面会のために数時間だけ抜けたい日は、時間単位でも使える介護休暇(1年に5日まで。対象家族が2人以上なら10日まで)が使えます。まとまった休みが要るときは介護休業で、要介護状態(2週間以上にわたって常に介護が必要な状態)の家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます(厚生労働省「育児・介護休業法」の解説)。亡くなったあとの忌引きは法律で決まった休暇ではなく、会社ごとの就業規則によるので、あわせて確認しておくと安心です。

  1. Q1医療者から「会わせたい方がいれば」と言われましたか

    はい移動にかかる時間を伝え、今夜から明日に動けるかを家族で相談する

    いいえ「呼ぶなら、いつごろまでがよいですか」と次の面会で尋ねる

  2. Q2ご本人が「会いたい」と口にしている人がいますか

    はい話せるうちの面会を優先し、短い時間でも会えるよう段取りする

    いいえ電話やビデオ通話で声を届ける方法も含めて考える

遠方の家族を呼ぶか迷ったときの分かれ道

急に元気になって話ができたのは、回復のサインですか?

最期が近い時期に、一時的に意識がはっきりしたり、食べたいものを口にしたりすることがあります。回復とは限りませんが、言葉を交わせる貴重な時間です。伝えたいことがあれば、この時間に伝えてください。

昨日まで眠ってばかりだった方が、朝になって「お茶が飲みたい」と言ったり、家族の名前を呼んで昔話をしたりすることがあります。家族は「よくなってきたのでは」と期待し、その後にまた眠る時間が増えると、落差に戸惑います。この揺れも、最期が近い時期に見られる経過のひとつです。

様子が変わったと感じたら、医療者に「今日の様子をどう見ていますか」と尋ねてください。期待しすぎないよう身構える必要はありません。この時間に「ありがとう」をひとこと言えた、好きだった歌を一緒に口ずさめた、という記憶が、あとになって家族を支えることがあります。

段階ごとに、家族はそばで何ができますか?

数週間前ごろは希望を聞いて会いたい人の段取りを、数日前ごろは連絡の順番と泊まり方を、数時間前ごろはそばで名前を呼び手を握ることを。どの段階でも、席を外したり休んだりしてかまいません。

名前を呼んでも目を開けなくなった時期でさえ、耳は聞こえている可能性があるといわれています。カナダの大学の研究(Blundonほか、Scientific Reports、2020年)は、ホスピスの患者さんの脳波を調べ、反応がなくなった状態でも一部の方の脳が音に反応していたと報告しました。反応のない状態で記録できたのは5人という小さな研究で、言葉の中身まで理解しているかどうかは分かっていません。それでも、いつもの調子で話しかけ、手を握る時間は、ご本人にも家族にも意味のあるものになりえます。声のかけ方は反応がなくなってからの過ごし方にまとめました。

  1. 1数週間前ごろ希望を聞く。会いたい人に会う段取りをする。話せるうちに伝えたいことを伝える
  2. 2数日前ごろ連絡する順番と文面を決める。夜間の連絡の基準を確かめる。泊まるか、交代するかを決める
  3. 3数時間前ごろそばで名前を呼ぶ。手を握る。唇を湿らせる。好きだった音楽を小さく流す
  4. 4どの段階でも食事と睡眠をとる。席を外してよい。泣いてよい。ひとりで抱えず、誰かに話す
段階ごとに、家族がそばでできること

付き添いが長くなると、家族の体も心もすり減っていきます。がん情報サービスの「家族ががんになったとき」にも、家族は「本人はもっとつらいのだから」と気持ちを抑えがちで、「第二の患者」ともいわれる、とあります。ご本人のことだけでなく、自分が眠れていない、食べられていない、ということも、看護師さんや相談窓口に話してかまいません。

夜中に変化に気づいたら、どこに連絡すればいいですか?

入院中ならナースコールで病棟へ、自宅なら前もって決めておいた訪問看護や在宅医の連絡先へ。命に関わると感じてほかに連絡がつかないときは119番です。家族自身の不安を話す窓口も、別に持っておくと支えになります。

体の変化は、迷ったら医療者へ、が基本です。「こんなことで呼んでいいのか」とためらう必要はありません。在宅の場合は、どんな変化のときにどの番号へ電話するかを、訪問看護師さんと先に決めておくと、夜中に迷う時間が短くなります。

一方で、「怖い」「眠れない」「誰かに聞いてほしい」という家族自身の気持ちは、医療者とは別の窓口でも受け止めてもらえます。がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口で、その病院にかかっていない家族も無料・匿名で使えます。平日の日中に電話で話せる先としては、国立がん研究センターのがん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410、平日10時〜15時、通話料は自己負担)も使えます。

夜中に気づいた変化・不安

  • 病棟のナースコール入院中なら、迷った時点で押してよい
  • 訪問看護・在宅医在宅なら、前もって決めた番号へ
  • 119番命に関わると感じ、ほかに連絡がつかないとき
  • よりそいホットライン24時間・無料。がん専門の窓口ではない
  • がん相談支援センター家族も無料・匿名。日中に面談か電話で
  • がんと家族の相談室LINEなら夜中でも送れる。翌朝いちばんに読んで返事
夜中に変化や不安に気づいたときの連絡先

看護師さんの言葉に迷ったご家族は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
50代・娘の立場(母が緩和ケア病棟に入院中。弟は新幹線で3時間ほどの距離に住む)
相談のあとに変わったこと
看護師さんに「今はどの段階か」を自分から聞けるようになり、弟を呼ぶ日を家族で決められた。夜中にスマホで検索をくり返すことも減った。

1. 相談のあとに変わったこと

相談から1週間ほどたった日、Aさんは面談室で看護師さんに「心の準備をしたいので、今の見立てを教えてください」と自分から切り出せました。返ってきたのは「日の単位に近づいてきていると思います」という言葉です。Aさんはその言葉を言い換えずに弟さんへ送り、弟さんは翌日の午後に病室へ着きました。お母さまが弟さんの名前を呼び、短く言葉を交わせたのは、その晩のことでした。「前なら、週末まで待とうと言っていたと思う」とAさんは話します。

2. 相談を考えた背景

お母さまの食事が急に減り、眠る時間が長くなったのは、その2週間ほど前からでした。看護師さんからは「変化が出てきています」とだけ言われ、何を意味するのか聞き返せないまま、帰りの電車に乗る日が続きました。

3. 相談する前に困っていたこと

夜中に「最期 サイン」と検索しては、出てきた記事と母の様子を照らし合わせていました。一晩に3回、4回と調べ直し、寝不足のまま出勤する日もありました。どの記事も「個人差があります」で終わり、では母は今どこにいるのか、弟をいつ呼べばいいのかが分からないままでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターも考えましたが、平日の日中は仕事で電話ができません。夜でも送れるLINEがあると知り、「看護師さんに『変化が出てきています』と言われました。どういう意味ですか」とだけ送りました。翌朝届いた返事には、診断や予測はできないこと、そのうえで言葉の一般的な意味と聞き方なら一緒に整理できることが書かれていて、「ここなら話してもいい」と思えたそうです。

5. 相談で話したこと・その後

その日の昼休みにフォームから折り返しの電話を申し込み、20分ほど話しました。担当はお母さまの状態を予測することはせず、看護師さんの言葉が一般にどう使われるかを伝え、次の面会で聞く質問を3つにまとめました。「今はどの段階と見ていますか」「夜間はどんな変化のときに連絡をもらえますか」「遠方の家族を呼ぶなら、いつごろまでが目安ですか」。Aさんは同じ3つを弟さんにも送り、答えは聞いた言葉のまま共有すると決めました。「質問が決まったら、面会の前の晩に眠れるようになった」と振り返っています。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 今の様子を、どの段階と見ていらっしゃいますか。週の単位でしょうか、日の単位でしょうか。
  • 夜間に、どんな変化があったら家族に電話をいただけますか。
  • 遠方の家族を呼ぶなら、いつごろまでが目安でしょうか。
  • 苦しそうに見えるとき、本人は苦しいのでしょうか。和らげる方法はありますか。
  • 家族がそばでしてよいことと、控えたほうがよいことを教えてください。

とはいえ、サインを知っても心は揺れます

① 気持ちのこと──間に合わなくても、看取りは失敗ではありません

「間に合わなかったらどうしよう」という怖さは、大切に思っているから生まれます。けれど看取りは、最後の瞬間に部屋にいたかどうかだけで決まるものではありません。今日までにかけた声、さすった背中、届けた着替え。そのひとつひとつが、もう看取りの一部です。一般病院・緩和ケア病棟・在宅ケアの計215施設で家族を看取ったご遺族への調査(J-HOPE4、2018年実施、有効回答9,071名)では、亡くなることへのこころの準備が「できていた」と答えた方は29%で、「ある程度できていた」を含めると85%でした。対象の多くは緩和ケア病棟のご遺族で、日本のがん遺族全体を表す数字ではありませんが、多くの方が「完全ではない準備」のままその日を迎えていることがうかがえます。準備が足りないと感じていても、それは自然なことです。

② 実務のこと──家族の役割を分け、「その夜」の流れを知っておく

付き添いが長くなるほど、ひとりが全部を抱え込みがちです。病棟からの電話を受ける人、遠方の家族へ知らせる人、仕事や家のことを回す人、と役割を分けておくと、誰かひとりが倒れずにすみます。もうひとつ知っておきたいのは、病院で最期を迎えた場合、その夜のうちにご遺体をどこへ運ぶかを決めるよう求められることがある、という流れです。そのときに電話する先をひとつだけ先に決めておく備えは、もしもの夜の備えで紹介しています。無料・3分の登録で、葬儀の内容などを決める必要はありません。

今日できること

最期が近いと感じた日に、家族ができる3つのこと

  1. 看護師さんに2つだけ聞く

    「今はどの段階と見ていますか」「夜間はどんな変化のときに電話をもらえますか」の2つです。答えは言われた言葉のままメモします。

  2. 連絡の順番を書いておく

    誰に、どの順で、どんな文面で知らせるかをスマホのメモに書きます。送らなくてかまいません。書いておくだけで、その夜に迷う時間が減ります。

  3. 伝えたい言葉をひとつ声にする

    「ありがとう」「来たよ」だけで十分です。何から手をつけるか迷う日は、相談室から看取り前後にやることチェックリストを受け取り、手元に置いておくこともできます。

よくある質問

最期のサインが出てから、どれくらいで亡くなるのですか?

日数を言い当てることはできません。この記事で紹介した変化は多くの方に見られる流れを並べたもので、同じ変化が出ても、その後の時間が短い方もいれば、何日も続く方もいます。順番が入れ替わったり、一時的に元気になったりすることもあります。家族ができるのは、担当の医師や看護師に「今はどの段階と見ていますか」と尋ね、見立てが変わったときに連絡をもらえるようにしておくことです。

医療用麻薬を使い始めたら、最期が早まりますか?

オピオイド(医療用麻薬)について、日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版』は、使用が命を縮めるという根拠はないとしています。痛み止めを控えるかどうか迷うときは、自己判断で減らさずに医療者に相談してください。最期が近い時期はもともと眠る時間が増える時期でもあるため、変化が薬によるものか病気によるものかを家族が見分けるのは難しいものです。気になるときは「今の眠気に薬は関係していますか」と医療者に聞いてください。

自宅で看ている場合、どんな変化で訪問看護に連絡すればいいですか?

「どんな変化のときに、どの番号へ電話するか」を、訪問看護師さんや在宅医と前もって決めておくのがいちばんの目安です。呼吸の変化、強い痛みや苦しそうな様子、呼びかけへの反応の低下、家族が不安で判断できないとき、などを挙げておくと迷いが減ります。なお、末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、要介護認定を受けていても医療保険で行われ、原則週3日以内という日数の制限もかかりません(主治医の指示が前提です)。訪問の回数について、訪問看護ステーションに相談してみてください。

家族の中で、サインの受け止め方が違います。どうすればいいですか?

医療者から聞いた言葉を、言い換えずにそのまま共有するのがひとつの方法です。「もうすぐらしい」と「日の単位に近づいていると言われた」とでは、聞いた人の受け取り方が変わります。連絡の窓口になる人を1人決め、面会のあとに同じ文面を送ると、遠方の家族も状況をつかみやすくなります。意見が分かれたままのときは、家族そろって医療者から話を聞く時間をお願いするのも方法です。

子どもを病室に連れていってもいいですか?

決まった正解はありません。お子さんの年齢や「会いたい」という気持ち、付き添える大人がいるかどうかで決めてよいことです。連れていく場合は、「眠っていることが多くてお返事はできないけれど、声は聞こえているかもしれないよ」と、病室の様子を先に言葉で伝えておくと、驚きが小さくなります。病棟ごとに面会のきまりがあるため、看護師さんに相談してから決めてください。

夜中にひとりで付き添っていて、怖くなったらどうすればいいですか?

ご本人の様子が気になるときは、まずナースコールで看護師さんを呼んでください。様子は落ち着いているのに気持ちが追いつかないときは、廊下に出て深呼吸をする、家族に短いメッセージを送る、といった小さなことでかまいません。声に出して誰かと話したい夜は、よりそいホットライン(0120-279-338。24時間・無料で、がん専門の窓口ではありません)にもかけられます。がんと家族の相談室のLINEは無料・匿名で、夜に届いたメッセージは翌朝いちばんに読んでお返事します。

「今はどの段階か」を聞いたあとのことを、一緒に整理しませんか

看護師さんに言われた言葉と、つながりやすい連絡方法・時間帯をお書きください。フォームを送ると、受付確認のメールがすぐ届きます。そのあと書いていただいた時間帯に担当からお電話し、看護師さんの言葉の意味と、遠方のご家族を呼ぶか、今夜泊まるかを一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
  3. ご希望の時間にお電話電話番号は、折り返しのお電話にだけ使います。スタッフが名前を名乗っておかけします。

    ご本人でも、ご家族でも。お名前はニックネームでも構いません。ご希望の時間帯に、担当がお名前を名乗ってお電話します。

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へご連絡ください。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    ご相談されるのは

    必須

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    お急ぎのときは、お電話で:080-4178-5017(それ以外の時間はお問い合わせフォームで仮受け付け、翌日17時までに担当から折り返します)/文字で相談したいときはLINEで

    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    数字より先に、「幅」と「今できること」を聞いてみる

    余命の数字は、多くの方の経過をまとめた統計で、あなた一人の予測ではありません。知りたいかどうかは、ご本人が決めてよいことです。知りたいときは、数字そのものより「どのくらいの幅で見ているか」を主治医に尋ねると、受け止めやすくなります。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「今の状態を、月単位・週単位のような幅で見ると、どのあたりでしょうか。」

    1. 聞きたいこと・聞きたくないことを、先にご家族と話しておく
    2. 主治医に聞くのがつらいときは、看護師やがん相談支援センターに「どう聞けばよいか」から相談する
    3. 数字を調べ続けて眠れない夜は、結論を朝に回して、誰かに話す

    手元にあると話しやすいもの

    • 聞きたいこと・聞きたくないことを書いたメモ
    • 次の診察の日時

    公的な相談先

    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。
    がん情報サービス(国立がん研究センター)
    出典のはっきりしたがんの情報と、お近くのがん相談支援センターの探し方がまとまっています。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

    今の気持ちを、LINEでひとこと

    「怖い」「眠れない」「先生の説明が分からなかった」。ひとことで構いません。評価も助言もせず、お返事します。

    夜に書いたLINEは、翌朝いちばんに読みます。匿名で、スタンプひとつでも。

    話してみる相談料0円
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