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がんの本人が話してくれない|家族が無理に聞き出さずに支える方法

このテーマの総論:あとどれくらい生きられるか知りたい|がんの余命5つの質問に回答

この記事の結論

本人が話さないのは、心を閉ざしたからとは限りません。家族を守りたい、まだ言葉にならない、話す相手を選んでいる、といった理由が考えられます。無理に聞き出さず、話せる入口を開けておくことが支えになり、家族自身の不安は別の場所で話してかまいません。

理由と根拠は、このあと本文でくわしくお伝えします。 主な出典:国立がん研究センター がん情報サービス「家族ががんになったとき」 https:/… ほか6件 参考・出典を見る 先に「次の一歩」を見る

がんの本人が話してくれないのは、心を閉ざしているからとは限りません。家族に心配をかけたくない、まだ自分でも気持ちが言葉にならない、話す相手を選んでいる。そうした本人なりの理由が隠れていることがあり、無理に聞き出すより、いつでも話せる入口を開けたまま待つほうが、本人の守り方を尊重できます。

ただ、手応えのないまま支え続けるのは、家族にとってもつらいことです。本人が弱音を吐かない分、家族のほうが不安を一人で抱え込みやすくなります。待ち方と同じくらい、家族自身の気持ちの置き場所も大事にしてください。

「大丈夫だ」しか返ってこない方へ

  • 父は何を聞いても「大丈夫だ」としか言わない。本当はつらいはずなのに。
  • 弱音を吐かないのは家族のためだと分かっていても、本当の気持ちが分からないまま支えるのがつらい。
  • 無理に聞き出すのは違う気がして、不安を抱えているのが自分だけのように思える。

この記事で分かること

  • 本人が話さない、よくある3つの理由
  • 「大丈夫だ」の裏にあるものに、言葉以外で気づく方法
  • 話さなくても伝わる関わり方と、話し始めたときの受け止め方
  • 本人が家族以外に話せる場所と、家族自身の気持ちの置き場所

がんの父が何も話してくれず、弱音も吐きません。本当はつらいはずなのに、どうすればいいですか?

まず、話さないことを「心を閉ざしている」と受け取らなくて大丈夫です。無理に聞き出すより、話せる入口を開けたまま、言葉以外の変化に目を配り、本人が家族以外にも話せる相手を持てるようにしておくことが支えになります。

「大丈夫だ」「心配いらない」。何を聞いてもそれしか返ってこないと、家族は「本当はつらいはずなのに」と、かえって不安になります。診察の帰りの車で窓の外を見たまま黙っている、夕食の箸がいつもより進んでいないのに「腹が減ってないだけだ」と言う。そんな場面が重なるほど、家族は何とかして本音を聞き出したくなります。

けれど、弱音を吐かないことは、本人が自分を保つためのやり方であることもあります。長いあいだ家族を支える側にいた人ほど、支えられる側に回るのは簡単ではありません。そこを無理にこじ開けようとすると、本人はさらに固く口を閉ざすことがあります。

できることは、大きく三つあります。いつでも話せる入口を開けておくこと。言葉以外に表れる変化に気づき、必要なら医療者に伝えること。そして、本人が家族以外にも話せる相手を持てるようにしておくことです。そのうえで、家族自身の不安を置く場所も、別に作っておきます。

本人が話さないのは、心を閉ざしているからですか?

そうとは限りません。家族を心配させたくない、まだ自分でも気持ちが言葉にならない、話す相手を選んでいる、といった理由が考えられ、どれも本人なりに自分と家族を守ろうとしている形です。

一つめは、家族を守りたいという気持ちです。「心配をかけたくない」「父親として弱いところは見せられない」。本人にとって「大丈夫だ」は、家族への気づかいであり、自分の役割を守るための言葉でもあります。

二つめは、まだ言葉にならないことです。病気の説明を受けてから気持ちが追いつくまでには、時間がかかることがあります。怖さや悔しさを口に出すと、それが本当のことになってしまう気がして、言えない人もいます。話さないのではなく、まだ話せる形になっていない状態です。

三つめは、話す相手を選んでいることです。家族には心配をかけたくないから言えなくても、看護師や主治医、古くからの友人には本音を話している、という人もいます。家族だからこそ言えないことがあるのは、不自然なことではありません。

理由本人の中で起きていることの例家族ができること
家族を守りたい「心配をかけたくない」「弱いところを見せたくない」頼りにしていることを伝え、本人の役割を残す
まだ言葉にならない気持ちの整理がつかない、口に出すと現実になる気がする急がせず、話せる入口だけ開けておく
話す相手を選んでいる家族だからこそ言えない、医療者や友人には話している家族以外の話し相手を持てるようにしておく
本人が話さない理由と、家族ができること

どの理由であっても、共通しているのは、本人なりに自分と家族を守ろうとしていることです。話さないことを責めたり、家族の力不足だと受け取ったりしなくてかまいません。

「大丈夫だ」は、本当に大丈夫という意味ですか?

言葉どおりの場合もあれば、「今はこれ以上聞かないでほしい」「心配させたくない」という意味の場合もあります。言葉を問い詰めるより、食事や眠り、表情など言葉以外の変化に目を向け、気づいたことは医療者に伝えてください。

どちらの意味なのかを、言葉だけで見分けるのは家族にも難しいものです。そこで、言葉を確かめようとする代わりに、言葉以外に表れる変化に目を向けます。下のリストは病状を判断するためのものではなく、医療者に様子を伝えるための手がかりです。

  • 食事の量や、好きだったものへの反応が変わった
  • 夜中に起きている、昼間にうとうとすることが増えた
  • 体をかばうような動きや、顔をしかめる場面がある
  • 好きだった趣味や外出をしなくなった
  • 口数が減った、または怒りっぽくなった
  • 通院や薬の話題を避けるようになった
言葉以外で気づける、ふだんとの違い

気になる変化に気づいたら、本人に「本当はつらいんでしょう」と迫るより、看護師や主治医に伝えるほうが役に立ちます。「父は家族には『大丈夫』としか言わないのですが、最近、夜中に起きていることが多いようです」。こう伝えておくと、診察のときに医療者の側から尋ねてもらえることがあります。痛みや眠れなさ、気持ちのつらさを和らげる緩和ケアは、がんと診断されたときから受けられるもので、我慢しきれなくなってから使うものではありません。

体調が急に変わったときは主治医や病院、訪問看護に連絡し、命に関わると感じたときは迷わず119番に電話してください。

話さなくても伝わる関わり方はありますか?

あります。並んで同じことをする時間、短いメモ、本人を頼る一言。言葉で気持ちを確かめ合わなくても、「いつでも話していい」「頼りにしている」という思いは伝わります。

一つめは、並んで過ごす時間です。向かい合って「どう?」と聞かれると答えにくくても、車の運転中や散歩、庭いじり、野球中継を一緒に見ているときなど、同じ方向を向いている時間に、ぽつりと本音がこぼれる人もいます。話を引き出すための時間ではなく、ただ一緒にいる時間として持つのがこつです。

二つめは、書いたものです。面と向かって言われると照れくさい言葉も、短いメモなら受け取りやすいことがあります。「話したくなったら、いつでも聞くよ。話さなくても、ここにいるよ」。手帳や枕元に置いておけば、本人は好きなときに読み返せます。

三つめは、本人を頼ることです。家族を守ってきた人にとって、頼られることは自分の居場所を確かめることでもあります。「雨どいが外れかけてるんだけど、どう直せばいい?」「この書類、どこに出せばいいか分かる?」。病気とは関係のない相談が、本人の役割を残し、自然な会話のきっかけにもなります。接し方全体の考え方は、「いつも通り」の中身を分けて考える方法にまとめています。

聞き出そうとする関わり方

  • 「本当は、つらいんでしょう?」と重ねて聞く
  • 会うたびに体調や気持ちを確かめる
  • 黙っていると、理由を問い詰める

入口を開けておく関わり方

  • 「話したくなったら聞くよ」と一度だけ伝える
  • 並んで同じことをする時間をつくる
  • 黙っている時間も、そのまま一緒に過ごす
聞き出そうとする関わり方と、入口を開けておく関わり方

本人が話し始めたとき、どう受け止めればいいですか?

手を止めて最後まで聞き、励ましや助言を急がないことです。話してくれたことへのお礼を伝え、聞いた内容を誰に伝えてよいかを本人に確かめておくと、次も話しやすくなります。

弱音を吐かない人が口を開くのは、改まった場面より、夜の台所や車の中、病院の待ち時間のような、何気ない瞬間であることがあります。不意に「実はな」と始まったら、準備ができていなくても、手を止めて聞くことがいちばんの準備です。

  1. 1手を止める洗い物やスマホを置き、体を本人のほうに向ける
  2. 2最後まで聞く途中で「そんなことないよ」と打ち消さない
  3. 3言葉をくり返す「怖かったんだね」と、本人の言葉で返す
  4. 4お礼を伝える「話してくれてありがとう」と一言添える
  5. 5伝える範囲を聞く「このこと、母さんにも話していい?」と確かめる
本人が話し始めたときの、受け止め方の順番

受け止めるときに避けたいのは、すぐに励ますこと、すぐに解決策を出すこと、すぐにほかの家族に報告することの三つです。「大丈夫だよ」と励まされると、本人は「やはり言わなければよかった」と感じることがあります。解決策を急ぐと、気持ちを聞いてほしかっただけの本人は、話の行き場を失います。ほかの家族への報告は、本人に確かめてからにします。

聞いた話が、家族だけで受け止めきれないほど重い内容だったときは、その場で答えを出さなくてかまいません。「大事な話だから、先生や看護師さんとも一緒に考えたい」と伝えて、医療者につなぎます。本人が泣き出したり、怖さを口にしたりしたときの寄り添い方は、泣いている本人、怖がっている本人への寄り添い方も参考にしてください。

家族以外の人になら、本人は話せますか?

話せることがあります。看護師や主治医、病院のがん相談支援センター、電話の相談窓口など、家族ではない相手だからこそ言える本音もあります。家族は、そうした場所があることを本人にそっと伝えておくだけでも支えになります。

看護師や主治医には体のつらさを話せても、家族の前では平気な顔をする。そういう人にとって、家族以外の話し相手は、気持ちを下ろせる大事な場所になります。

本人が話せる場所

  • 病棟・外来の看護師体のつらさも気持ちのことも、日々の様子と合わせて相談できる
  • 主治医痛みや眠れなさを、治療と一緒に相談できる
  • 緩和ケアのチーム体と心のつらさを和らげる。がんと診断されたときから相談できる
  • がん相談支援センター本人も家族も、無料・匿名で相談できる
  • がん情報サービスサポートセンター国立がん研究センターの電話窓口。匿名で相談できる
  • がんと家族の相談室ご本人の話も、評価も助言もせずに20分お聞きする
本人が家族以外に話せる場所

病院のがん相談支援センターは、患者さん本人も家族も、その病院にかかっていない人も、無料・匿名で使える相談窓口です。話した内容が、相談した人の同意なしに担当医などへ伝わることはないので、家族にも主治医にも言いにくいことを話す場所として使えます。電話なら、国立がん研究センターの「がん情報サービスサポートセンター」(0570-02-3410、または03-6706-7797、平日10時〜15時、通話料のみ自己負担)でも、名前を言わずに相談できます。

本人にすすめるときは、押しつけにならない一言で十分です。「家族には言いにくいこともあるよね。病院に、何でも話せる相談の窓口があるんだって」。パンフレットを置いておくだけでもかまいません。使うかどうかは、本人が決めることです。

本人が家族以外の誰かに本音を話していたと知って、寂しく感じることもあるかもしれません。けれど、それは家族の支えが足りないという意味ではありません。本人が話せる場所を一つでも持てたことは、家族にとっても安心の材料になります。

不安を抱えているのが自分だけのように感じるときは、どうすればいいですか?

家族の不安は、家族自身が話してよいものです。本人が話さない分、家族は一人で抱え込みやすくなるので、看護師や病院のがん相談支援センター、電話の相談窓口など、自分の気持ちを置ける場所を先に作っておいてください。

本人が話さない分、家族は「本当はどうなんだろう」という問いを、ひとりで抱え続けることになります。国立がん研究センターのがん情報サービス「家族ががんになったとき」は、家族が本人を思って自分の気持ちを我慢しがちなことにふれ、ご家族は「第二の患者」ともいわれると紹介しています。家族の不安も、手当てが必要なものです。

病院のがん相談支援センターは、家族だけでの相談も受けています。家族が自分のつらさを医療者に話してかまわないことは、がん情報サービスの家族向けのページでも伝えられています。夜中に不安で眠れないときは、24時間・無料のよりそいホットライン(0120-279-338)があります。気持ちの落ち込みが続くときは、都道府県などの公的な相談機関につながる、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)も使えます。こちらは受付の曜日や時間が地域によって違い、通話料がかかります。

がんと家族の相談室でも、本人が話してくれないつらさを、評価も助言もせずに20分お聞きします。ご希望があれば、記録も残しません。LINEなら匿名で送ることができ、夜に届いたものは翌朝いちばんに読んで返事をします。眠れない、食べられない日が続くときは、家族自身も、かかりつけの医師に相談してください。

「大丈夫だ」しか言わない父を支えた娘は、どう動いた?

説明のための例(実在の方の体験談ではありません)

どなたの例か
40代・娘の立場(父が通院で治療中。実家は車で30分、両親の二人暮らし)
相談のあとに変わったこと
父に「どう?」と聞き続けるのをやめ、土曜の買い物の運転を引き受けた。車の中で父がぽつりと不安を口にするようになり、娘は自分の不安を話せる場所を持てた。

1. 相談のあとに変わったこと

相談のあと、娘さんは実家に行くたびに5回も6回もくり返していた「どう?大丈夫?」を、帰り際の一回だけにしました。代わりに、土曜の買い物の運転を引き受けました。3回目の土曜、スーパーからの帰り道で、助手席の父が前を向いたまま「次の検査、ちょっと怖いんだよな」とつぶやきました。娘さんは「そっか、怖いよね」とだけ返し、そのまま車を走らせたそうです。夜に自分の不安があふれそうなときは、相談室のLINEに短く書き、翌朝の返事を読んでから仕事に向かうようになりました。「父の分まで抱えていた荷物を、半分下ろせた気がした」と話しています。

2. 相談を考えた背景

父ががんと診断されて4か月。治療が始まってからも、父は家族に「大丈夫だ」としか言いませんでした。母から「お父さん、夜中に起きてるみたい」と聞かされても、本人に確かめると「よく寝てる」と返ってくるだけでした。

3. 相談する前に困っていたこと

夜になると「がん 父 弱音を吐かない」と検索し、本人の気持ちを聞くことの大切さを書いた記事を何本も読みました。思い切って「本当はつらいんでしょ」と聞いた日、父は「しつこいな」と声を荒らげ、それから実家に行くのが少し気まずくなりました。母も疲れていて、娘さんは自分の不安を誰にも話せないままでした。

4. ここを選んだ理由・決め手

病院のがん相談支援センターも考えましたが、本人が相談に行く場所だと思い込んでいて、家族だけで使えるとは知りませんでした。ほかの窓口も調べるなかで、相談室の「評価も助言もしない20分」という説明が目に留まりました。助言の前に、まず自分の気持ちを聞いてほしかった娘さんには、それが決め手になりました。夜中でも匿名でLINEを送れることも、背中を押しました。

5. 相談で話したこと・その後

最初の電話の20分は、ほとんど娘さんが話し、途中で泣いてしまいました。担当は評価も助言もせずに聞き、希望どおり、その日の記録は残していません。数日後、今度は娘さんから「整理を手伝ってほしい」と頼み、聞き出すのをやめること、母の話していた夜中の様子を次の受診で看護師に伝えること、並んで過ごせる時間を探すことを、一緒に書き出しました。担当は父の病状や見通しには触れていません。運転を申し出たとき、父は最初「自分で運転できる」と断りましたが、「私が運転したいの。ついでに自分の買い物もしたいから」と言い直すと、黙って助手席に座ったそうです。

※よくある状況を組み合わせて作った例です。登場する方は実在しません。相談の進み方は、状況によって異なります。

医療者に聞く質問例

  • 父は家族には「大丈夫」としか言わないのですが、病院ではどんな様子ですか。
  • 痛みや眠れなさを我慢しているように見えるとき、家族はどう伝えればいいですか。
  • 気持ちのつらさについて、本人が相談できる専門のスタッフや窓口はありますか。
  • 家族には言いにくいことを、看護師さんから本人に聞いていただくことはできますか。

とはいえ、待つ家族に伝えたい2つのこと

① 気持ちのこと──話さない強さも、話したくなる日も、どちらも本人のもの

ご家族の方へ。本人が話さないままでも、家族の関わりが無駄になるわけではありません。並んで過ごした時間や、置いておいたメモ、頼りにした一言は、言葉の代わりに本人に届くことがあります。本音を聞けたかどうかで、自分の支えの値打ちを測らなくてかまいません。

ご本人の方へ。家族に弱音を見せないことも、あなたが選んだ守り方の一つです。ただ、一人で抱えきれない夜のために、話せる場所を一つだけ持っておいてください。家族の前では平気なふりをしていても、そこでは泣いてかまいません。つらさが強く続くときは、主治医やがん相談支援センター、こころの健康相談の窓口に相談してください。

② 実務のこと──待つ役と、医療者に伝える役を分けておく

家族の中で役割を分けておくと、待つことが楽になります。本人のそばで入口を開けておく役、気づいた変化を看護師や主治医に伝える役、離れて暮らす家族に様子を知らせる役。一人が全部を担うと、本人への質問がどうしても増えてしまいます。本人から聞いた話をどこまで家族で共有するかは、本人の了解を前提に、あらかじめ決めておくと行き違いが起きにくくなります。

今日できること

今夜から明日にかけてできる3つのこと

  1. 入口の一言を一度だけ伝える

    次に会ったとき、「話したくなったら、いつでも聞くよ」と一度だけ伝えます。返事がなくてもかまいません。

  2. 気づいた変化をメモする

    食事・眠り・表情で気づいたことを、日付と一緒にスマホに書いておきます。次の受診で看護師に見せられます。

  3. 自分の不安を一つ外に出す

    今夜、自分の不安を誰か一人に一言だけ話します。友人でも、電話の相談窓口でも、LINEでもかまいません。

よくある質問

本人が話してくれないのは、家族を信頼していないからですか?

そうとは限りません。大切な家族だからこそ心配をかけたくない、という気持ちから口を閉ざす人もいます。話さないことを「信頼されていない」と受け取ると、家族のほうが傷ついてしまいます。信頼しているからこそ家族の前では強くありたいのかもしれない、と考えてみると、少し待ちやすくなります。

「大丈夫だ」と言われたら、どう返せばいいですか?

「そっか、分かった」といったん受け取り、「何かあったら、いつでも言ってね」と添えるくらいで十分です。「本当に?」と重ねて聞くと、本人は「信じてもらえていない」と感じることがあります。言葉はそのまま受け取り、気になる変化は言葉以外のところで見ていくほうが、本人の負担になりません。

母やきょうだいには話しているのに、自分には話してくれません。

話す相手や話す内容を選ぶのは、自然なことです。配偶者には体のことを、子どもには仕事やお金のことを、と相手によって話す中身を分けている人もいます。自分に話してくれないことを、役に立てていない証拠と受け取る必要はありません。ほかの家族が聞いた話は、本人の了解がある範囲で教えてもらうとよいでしょう。

本人が怒りっぽくなりました。話さないことと関係がありますか?

気持ちを言葉にしにくい分、いら立ちとして表に出ることはあります。ただ、痛みや眠れなさ、治療の影響など、体の理由が隠れている場合もあります。家族だけで理由を決めつけず、「最近、怒りっぽくなった」と看護師や主治医に伝えてください。原因を一緒に考えてもらえることがあります。

「誰にも言うな」と言われました。家族の中で共有してはいけませんか?

本人の気持ちを尊重して、基本は約束を守ります。どうしても共有したい相手がいるなら、「お母さんにだけは話してもいい?」と本人に確かめてみてください。ただし、自分を傷つけたいような言葉や、体の急な異変にかかわる話は、本人を守るために、医療者に伝えることを優先してください。

正直なところ、父の弱音を聞くのが怖い気持ちもあります。

その気持ちは自然なものです。頼りにしてきた親の弱さに触れるのは、子どもにとっても大きな出来事です。本音を受け止める役を、自分ひとりで引き受けなくてかまいません。看護師や相談窓口など、本人が話せる場所が家族以外にもあることは、家族を守ることにもつながります。聞く準備ができていない日は、「今日はうまく聞けないかもしれない。でも、また聞かせて」と伝えてもいいのです。

本人が話してくれるまで、ずっと待つしかないのですか?

待つことと、何もしないことは違います。入口を開けておく、言葉以外の変化に気づく、家族以外の話し相手を用意しておく。どれも、待ちながらできることです。療養の場所のように決める時期が近い話は、家族だけで抱えず、医療者と一緒に話す場を作ってもらう方法もあります。聞き方の順番は、本人に聞く順番と、聞けないときの方法にまとめています。

本人が話してくれない分、あなたの話を聞かせてください

今の状況と、電話に出やすい時間帯をお書きください。送っていただいた直後に受付確認のメールが届き、その後、指定の時間帯に担当がお電話します。まずはご家族自身の気持ちをうかがい、そのうえで、本人との関わり方や医療者への伝え方を一緒に整理します。

  1. 入力は1分ほどお名前はニックネームで構いません。ご相談の内容は、ひとことでも大丈夫です。
  2. すぐに受付メール送信すると、受け付けたことをお知らせするメールが届きます。
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    私たちは医療機関ではないため、診断・治療・余命の判断はできません。体調の急な変化は、まず主治医や病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は、迷わず119番へ。

    次の一歩

    言葉にできた問いを、そのまま人にも聞いてみる

    「あとどれくらいですか」「これからどうなりますか」。言葉にできたその問いは、主治医や看護師に聞いてよい問いです。検索やAIの答えは一般論です。ご本人に当てはまるかどうかは、ご本人を診ている医療者に確かめてください。

    主治医や看護師に聞いてみる一言

    「調べて不安になったことがあるので、確かめさせてください。」

    1. 調べて気になったことを、そのままメモして診察に持っていく
    2. 答えを聞くのがつらい問いは、看護師やがん相談支援センターに「聞き方」から相談する
    3. 気持ちを整理したいときは、この相談室の電話やLINEへ

    手元にあると話しやすいもの

    • 調べて気になったことのメモ
    • 質問メモ

    公的な相談先

    がん情報サービス(国立がん研究センター)
    出典のはっきりしたがんの情報と、お近くのがん相談支援センターの探し方がまとまっています。
    がん相談支援センター
    全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。どなたでも無料で、その病院にかかっていなくても相談できます。

    このサイトでできること

    体調の急な変化は、まず主治医・病棟・訪問看護へ。命に関わる緊急時は119番へ。

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    参考・出典

    監修者 木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の
    支援に関する監修者

    木内 由香

    緩和ケア・がん患者と家族の支援に関する監修者

    県立がんセンターでの勤務経験を経て、がん患者さんとそのご家族が直面する療養上の悩みや意思決定の葛藤に向き合ってきました。

    がんと診断されたご本人を支えるご家族には、「一日でも長く生きていてほしい」という切実な願いがあります。一方で、緩和ケアでは、痛みや苦痛を和らげること、その人らしい生活を大切にすること、ご本人の希望を尊重することなど、さまざまな視点から療養の方向性を考える必要があります。

    こうしたご家族の願いと医療・療養方針との間に生まれる葛藤を理解し、年間約200名のがん患者さんとそのご家族に関わる中で、それぞれの状況に応じた支援のあり方や、その先に進むための選択肢をともに考えてきました。

    「がんと家族の相談室」では、がん患者さんご本人だけでなく、支えるご家族も孤立せず、必要な情報や相談先につながれることを大切にしています。医療情報を伝える際には、医学的な正確性に配慮するとともに、ご家族が抱える不安や迷いにも目を向け、療養生活の中で次の一歩を考えるための情報発信を目指しています。

    監修は医療情報の正確性と表現の妥当性に関するものであり、個別の診断・治療・余命の判断を行うものではありません。ご本人の症状や治療については、担当の医師・看護師にご確認ください。

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